Menu
 > レビュワー
 > ザ・チャンバラ さん
ザ・チャンバラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223
>> カレンダー表示
>> 通常表示
361.  G.I.ジョー(2009)
原作が男の子向けの玩具であり、アメコミよりもさらに下の年齢層を対象とした作品であるため、本作の設定の粗さには文句を付けません。敵組織の目的がサッパリわからなかったり、国際社会におけるG.I.ジョーという組織の位置付けが謎だったりしますが(各国領空に自由に侵入する権限を持っている一方で、地元警察に拘留されたりする)、男の子向けのアクション大作でそういう細かいことを言うのは野暮ってやつです。しかし、本作の構成のマズさは指摘されるべきでしょう。とにかくペース配分がメチャクチャで、映画は2時間もたずに失速します。G.I.ジョー登場にはじまり(スネークアイズかっこよすぎ!)、メタルスーツによる見たこともないチェイスが繰り広げられる前半は大いに楽しめるのですが、物語にまったく起伏がない状態で緊張感皆無の撃ち合いをダラダラ続けているだけでは、後半に入ると一気に飽きが来ます。前半ほどインパクトのある見せ場を配置できなかったことも致命的で、本作はペース配分が完全に狂っています。。。 「ハムナプトラ」以降のスティーブン・ソマーズ作品はすべてこの傾向にあって、冒頭からフルスロットルで見せ場を畳みかけるものの、途中で息切れしてクライマックスでは平凡なドンパチをやってしまい、尻すぼみになって終わるということをここ10年間繰り返しています。この監督が「インディ・ジョーンズ」に憧れているということはわかります(「ザ・グリード」は当初、ハリソン・フォードが主演する予定だった)。冒頭で観客の心を掴み、冒険の世界に引きずり込むというアクション映画が心底好きなのでしょう。ただし、冒頭でハデな掴みをやれば、観客はそれ以上の見せ場を本編に期待します。スピルバーグにはその期待に応える力量があったのですが、残念なことにこの監督にはその力量がありません。だからこの人の映画はつまらない。予算制約によって冒頭に掴みのアクションを入れられなかった「ザ・グリード」がフィルモグラフィ中もっともバランスの良い娯楽作に仕上がっていることが何とも皮肉です。 
[DVD(吹替)] 4点(2011-11-02 23:44:35)
362.  ハンニバル(2001)
前作は、連続殺人犯の追跡と若き捜査官の成長物語を軸とした王道の刑事ものでしたが、そこにレクター博士という特殊なスパイスを加えたことで、歴史的な傑作へと変貌を遂げた作品でした。対して本作はレクター博士を見るためだけに作られた続編であり、多くの要素が有機的に絡み合っていた前作と比べると、根本的に分の悪い企画だったと思います。いわば「美人すぎる○○」みたいなもので、政治家やスポーツ選手にしては美人なので世の注目を集めるが、その美貌のみを抽出してグラビアなんかをやらせると、一気に色褪せてしまうというあのパターンと同じ。レクター博士は脇役でこそ映えるキャラクターなのです。バッファロービルを捜査するクラリスに重要なヒントを与えるが、決して多くは説明しない。「もうあと一言欲しい」というところでクラリスと観客を放り出してしまうことが、彼の知性や存在感をより大きく感じさせていました。一方本作では主人公となった博士が何から何まで丁寧に説明してくれるのですが、このことが彼の存在を小さくする原因となっています。リドリー・スコットは企画が根本的に抱えるこの欠点を理解していたようで、開き直って残酷な見せ場をこれでもかと盛り込むことで観客の恐怖心を煽ろうとしますが、完成した映画は見せれば見せるほど恐怖の底が知れてしまうという悪循環に陥っています。メイソン・ヴァージャーというもう一人の狂人を加えるというテコ入れもなされていますが、このキャラクターも完全な出オチで、インパクトがあるのは初めて顔を晒す場面のみ。ビジュアルの巨匠リドリー・スコットの限界がここにあったと思います(かと言って、仮にジョナサン・デミが続投しても優れた作品を作れたとは思えませんが)。
[DVD(字幕)] 4点(2011-10-03 23:58:52)(良:1票)
363.  私は貝になりたい(2008) 《ネタバレ》 
公開時にはSMAPの起用が批判の対象とされましたが、中居君の演技はかなり良かったと思います。絶望のあまりもぬけの殻になった草彅君の演技も良く、両者ともこの企画に必要な力量は十分に発揮しています。問題なのは監督の演出が平凡だったことで、いくつもの場面で日本映画の悪いクセがドバっと出てしまっています。記号のようなオーバーアクト、「ここで感動してください」と言わんばかりに高鳴る押し付けがましい音楽、外国人俳優の安っぽい演技、監督の力量次第でどうにでもなった部分に多くのほころびが見られます。あと最悪だったのがエンドロールに流れるミスチルによるテーマ曲で、絶望のあまり愛する妻子を思うことすら面倒になってしまったという豊松のモノローグの後に「会いたい、伝えたい」という内容の歌を流すだなんて、一体どんなセンスしてるんだと唖然となりました。お話は良い、役者も良いんですから、監督ももうちょっと頑張りましょうよ。
[DVD(邦画)] 4点(2011-05-09 22:30:32)
364.  フレディVSジェイソン
「13日の金曜日」も「エルム街の悪夢」も何作かは見たことがあるものの、シリーズにそれほど思い入れはありません。どちらのシリーズもホラー映画の割には怖くなくて、強烈なキャラクターによる殺人ショーを鑑賞するものだという印象を持っていました。両者が初共演した本作についても同様の印象で、良く言えばオリジナルの特徴をきちんと踏襲した番外編なのですが、悪く言えばオリジナルの欠点を乗り越えることができず、オリジナルと同等の完成度に甘んじてしまった作品。どちらの印象を持つかで本作への評価は大きく変わるのですが、残念ながら私の印象は後者でした。。。本作の脚本を担当したのはデヴィッド・S・ゴイヤー、オリジナルシリーズに関わっていた監督・脚本家よりもレベルがふたつくらい上の人材を捕まえてきたわけですから、私は本作に期待していました。オリジナルの良い点は残しつつも、弱点はきちんとカバーするような出来にしてくるであろうと。しかし、出来たものはオリジナルと同等のレベルだったので、これにはガッカリでした。もちろん、ゴイヤーらしい仕事は見て取れます。両シリーズの設定を擦り合わせ、お約束を物語にうまく活かすという丁寧な仕事は相変わらずです。しかしそれだけで終わってしまっていて、本作をオリジナル以上の番外編にしようという工夫や努力がなかったのは残念でした。
[DVD(字幕)] 4点(2010-09-19 22:24:37)
365.  サラマンダー 《ネタバレ》 
マッドマックス2みたいな世界で凶悪ドラゴンと軍隊が戦うという男子の大好物が詰まった奇跡的なコンセプト、「reign of fire(炎の統治)」という尋常じゃなくかっこいい原題、主演はクリスチャン・ベール、製作開始がアナウンスされてから、これほど見たいと思った映画は他にありません。しかも、全米公開から日本公開までに相当な期間があり、その間に期待はさらに膨らみました。そうしていよいよ劇場に足を運んだところ、これが驚異的につまらなくてずっこけそうになりました。大好きなジャンルなので好意的な目で鑑賞していたのですが、それでもこのつまらなさには勝てませんでした。。。本作の最大の敗因は、力の序列がデタラメだったことにあります。マシュー・マコノヒー率いるケンタッキー義勇軍は出会うドラゴンを片っ端から退治しながらイギリスに上陸してきたという設定なのですが、その割に一頭の雄ドラゴンによって呆気なく壊滅させられるし、その雄ドラゴンはほとんど素手の3人組によって意外と簡単に倒されるし、そもそもドラゴン達は地球を滅亡寸前にまで追い込むほど強力には見えないしと、設定と描写がまったく噛み合っていません。これについては脚本上の不備というよりも、監督にセンスがなかったことが原因だったと思います。雄ドラゴンの描写を例に挙げると、雄ドラゴンは通常のドラゴンの数倍もの巨体という設定であり、その巨大さ・強力さを示す描写は初登場時に示すのが常套手段です。「なんだ、あのバカでかいのは!」という煽りのセリフと共に登場し、圧倒的な火力でケンタッキー義勇軍を壊滅させるという演出がなされるべきなのですが、本作では初登場時に「こいつは特別強い」ということを示す演出が入らないために、ラスボスとしての存在感をアピールしきれていません。そのため、壊滅するケンタッキー義勇軍が弱く見えるという事態に陥っているのですが、本来は「あれほど強いケンタッキー義勇軍がなす術もなく全滅するとは」という描写でなければならなかったのです。。。VFXはよく頑張っているし、エイドリアン・ビドルによるカメラワークは相変わらず素晴らしく、破滅を象徴するようなドラゴンのデザインも秀逸、役者も悪くないので、監督の無能を原因とするこの出来は本当にもったいないと思います。
[映画館(字幕)] 4点(2010-09-16 22:36:29)
366.  アイ・アム・レジェンド
主人公は自らが定めた日課を黙々とこなし、人に見立てた物体に話し掛けることでかろうじて人格を維持しているが、3年間も一人で生きていればさすがにマトモではいられない。冷静な観察力や判断力が失われており、独自の社会を形成している感染者を依然としてただのバケモノとしてしか見ていない。彼らが知性と感情を有していることを理解していないために、感染者との間で戦争を引き起こすことに。。。これが物語の骨子なのですが、ネヴィルの精神には異常が発生していること、彼がパラノイア的に感染者を敵視していることをはっきりと示す描写がないために、作品の意図がイマイチ伝わってきません。主人公の描写は明らかに「キャスト・アウェイ」を参考にしているようですが、「キャスト~」においては裸のトム・ハンクスがバスケットボールに話し掛ける様を見れば、一目で「イっちゃってるな」ということは分かりました。一方本作のウィル・スミスは身なりをそれなりに整えているしそこまで異常な言動をとるわけでもないので、彼がマネキンに話しかけたところで、本当に頭がおかしくなっているのか、遊び半分で「他人がいるごっこ」をやっているのか、セリフなしでは困るという製作上の都合でマネキンに話し掛けているのかの判別が難しく、「こいつは頭がきている」という決定的な描写は必要だったと思います。感染者に対する異常な敵視についても同様で、例えば誘拐してきた感染者を極度に傷付けるような実験を行う描写があれば、主人公の認識に歪んだ部分があることを示すことが出来たはず。描写の不足は感染者側にもあって、彼らの知能や社会性を示す描写が弱いために、何も考えずに見ていると「孤立無援のヒーローがバケモノを退治する話」にしか見えません。これでは、原作と真逆の物語となってしまいます。そもそも感染者の設定には不明な点が多く、NY市にはどれだけの感染者がいて、何を食べて生きているのか(主食とされる人肉はすでにありません)、彼らは夜間何をやっているのかという基本的な設定すら説明されないため、映画の芯がボヤけてしまっています。無人のNY市の描写等ビジュアル面は非常に素晴らしいのに、設定面での煮詰め方が甘いために世界観が不十分なものに。そして世界観の弱さが映画の弱さとなっており、見た後にスッキリしない作品となっています。
[映画館(字幕)] 4点(2010-09-15 22:34:59)(良:1票)
367.  オーシャンズ11 《ネタバレ》 
オールスターキャストとは宣伝されたものの、出演者中本当にスターと言えるのはクルーニー、ピット、ロバーツ、デイモン、ガルシアの5人だけだし、その中でもデイモンとガルシアは久しくヒットがなくスターの座が危なかった時期にあり、本当にオールスターキャストと言えるのかどうかは疑問があります。一方で画面からは確かに豪華さが感じられたわけですが、これはキャストの力ではなくスタッフの実力によるところが大きいと思います。特にソダーバーグの貢献は大きく、インディーズ出身の彼にとって初のメジャー大作を任されたプレッシャーは相当なものだったはずなのですが、そんな中でも演出は非常に的確であり、時に余裕すら感じさせる素晴らしい腕前を披露。11人という大所帯チームが参加する犯罪計画は非常に複雑なのですが、流れるような演出と編集でこれを分かりやすく見せています。俳優達による軽快な絡みもうまく撮れていて、ケチの付けようのない仕事をしています。。。そんな監督の手腕にも関わらずこの映画が面白くないのは、脚本の出来がイマイチだったためでしょう。11人が参加する犯罪計画をわかりやすくまとめるという困難な作業に気を取られてしまい、各分野のスペシャリストである11人の特技を計画に活かすという重要な点が軽くなっています。まず、チームのブレーンを務めるのがオーシャンとラスティの二人なのですが、これはオーシャン一人でも務まります。ドライバーも二人は必要ないし、しかも高度な運転技術を要する展開がないため、二人とも必要なかったとも言えます。爆破担当とメカニック担当は通常であれば一人の人間がこなす役だし、スリの名人ライナスに至っては何のために存在しているのかがよく分かりません。そして、最大の問題がベネディクトの描写が浅いことで、観客が彼を敵として認識できるほどにダークな面が強調されていないため、オーシャンの計画に爽快感が不足する原因となっています。また犯罪者の妻だったテスがカジノ王であるベネディクトとどうやって出会ったのかも不明であるため(簡単に出会える相手ではありません)、テスとベネディクト、オーシャンとベネディクトの関係がはっきりしません。そのために、激しく憎んでいたはずのオーシャンの元に戻っていくテスの心境の変化もよくわからなくなり、見ようによっては感情的で頭の悪い女に見えてしまうという残念なことになっています。
[DVD(吹替)] 4点(2010-09-15 22:33:45)(良:1票)
368.  マインドハンター
前半、サクサクと人が殺されていく過程は面白かったです。さすがは「エルム街の悪夢」出身のレニー・ハーリンだけあって、ショックシーンを見せるタイミングや、無残な死体の描写などにはセンスを感じさせられます。しかし、舞台に残っている人数が少なくなり「次は誰が殺されるのか?」から「誰が犯人なのか?」に焦点が移ると、物語は一気に失速します。仕掛けのための仕掛け、観客を騙すためのドンデン返しが続くため、見ている側は冷めてしまうのです。脚本は観客の先読みを利用する形となっており、物語の中心人物となりそうなキャラクターを早々に退場させたり、観客から疑われるであろうキャラクターを意図的に作ったりとなかなか手が込んでいるのですが、そのためにストーリーテリング上のテクニックばかりが目立つ格好となっています。そうやって観客を騙すためのテクニックばかりを見せられると、真犯人は誰なのかを考えることがバカバカしくなってきます。設定上の必然性よりも、観客にとっての意外性で犯人が決められているわけですから。実際、クライマックスで判明する真犯人については、動機も手段も腑に落ちないものとなっています。また、ハーリンにはミステリーが向いていないことも作品の弱点を際立出せる形となっています。ショックシーンやアクションシーンは嬉々として演出しているものの、謎解き部分については脚本に書いてあることをそのまま撮っているだけで何の工夫もないのです。さらに、訓練島に独特の雰囲気を作れていないこともマイナスであり、もしサスペンスに慣れた監督が撮っていれば、そこそこの作品になったと思います。
[DVD(吹替)] 4点(2010-09-15 22:31:24)
369.  スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 《ネタバレ》 
EPⅠがあまりにガッカリな出来だったので、ジャンゴ・フェットやクローントルーパーが登場していよいよスターウォーズらしくなり、派手な戦闘シーンも山盛りである本作には、初見時にかなり満足した記憶があります。しかし、あらためて見るとやっぱりダメな映画ですね。みなさんご指摘の通り、アナキンとパドメの恋愛関係がまったくダメ。初見時には戦闘シーンを見るために中盤のドラマはガマンしてやり過ごすものと割り切っていたのですが、サーガを通して見るとアナキンをダースベイダーに変える重要な要素が二人の関係であり、この部分の描写が未熟なのでは話になりません。ルーカスは女性層からの支持の薄いシリーズのテコ入れのため、イケメン俳優を使った恋愛要素を大幅に拡大したと思われるのですが、これが完全にマイナスでした。本来、二人は耐える恋愛をせねばならないのです。アナキンは耐えて耐えてひたすら自分の気持ちを押し殺していたが、ラストで死を覚悟した瞬間にパドメに自分の思いを伝える。しかし突然の援軍到着で思いがけず命拾いし、以後はパドメへの思いを切り離して生きることができなくなってしまう。恐らく最初はこんな展開にするつもりだったのでしょうが、中盤にイチャイチャ場面を入れたために、チンピラみたいな軽いお兄ちゃんと、男選びのヘタクソなお嬢様のどうしようもない恋愛にまで落ちてしまいました。アナキン関係でいえば、怒りに任せてタスケンレイダーを皆殺しにする場面もダメでした。タスケンは、理由はよくわからないのですがアナキンの母親を誘拐し、理由はよくわからないのですがもう少しで死ぬというギリギリの状態で母を生かしていて、そして母はちょうどアナキンが助けに現れたタイミングで死にます。これに怒ったアナキンがタスケンを皆殺しにし、自身の凶暴性を認識することとなるのですが、この場面ではアナキンの手が血で染まる様子を観客に見せねばならないでしょう。観客に不快感を抱かせないようこの描写をボヤかしたということは、サーガのターニングポイントをボヤかしてしまったということ。ルーカスは物語を観客に伝える意思があるのかと疑ってしまいます。。。本作でただひとつ評価できるのはクライマックスで、クローン軍団が戦艦に積み込まれ、銀河に向けて飛び立たんとする場面は、「共和国はついに一線を越えてしまった」という重々しさが見事に表現された名場面でした。
[映画館(吹替)] 4点(2010-09-02 00:18:51)(良:1票)
370.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト 《ネタバレ》 
ファミリー映画として徹底的に毒を抜いた結果として敵に恐怖感や威圧感がなくなり、アクションから緊迫感が失われたという点が前作の問題点でしたが、続編ではこの点がクリアーされています。グチャグチャベチョベチョの気持ち悪いデイビー・ジョーンズ軍団は悪役としてきちんと機能しているし、フライングダッチマン号が海から登場する場面の威圧感もお見事。大ヒットに浮かれず前作の問題点をきちんと洗い出していたようで、ブラッカイマーはなかなかやる男だなと感心しました。。。と、本作を評価できるのはここまで。苦手だった前作よりはマシになっているものの、それでも本作は満足とは程遠い仕上がりとなっています。プロデューサーがシリーズの方向性を正したことで明らかになったのは、監督の演出力があまりに低すぎるということ。海賊と言えど所詮は犯罪者、味方同士であっても騙し合いが頻繁になされる物語となっているのですが、監督が人間ドラマを描けず、また各キャラクターの腹の内をきちんと整理できていないため、この騙し合いがまったく面白くありません。ラストバトルにおけるジャックとエリザベスのキスなどは最たるもので、自らの命が大事で一度は逃げたものの、エリザベスへの思いから船へ戻ったジャック、ジャックの思いを知りつつ、みんなを守るため彼を船に縛り付けて生贄にしたエリザベス、そして二人のキスを目撃してしまったウィル、この3者の思いが交錯する重要な場面なのですが、各キャラクターの心情や背景がまったく整理できていないため、見ている側は特に何も感じさせられません。場面の取捨選択もマズく、例えばジャック、ウィル、ノリントンの3人がチャンバラをする場面などは、どうせ誰かが誰かを殺すということはありえないシチュエーションなのですから、さっさと終わらせてしまえばいいのです。しかし本作ではこの緊張感のないチャンバラが延々と続き、おまけに妙に凝ったスタントまでが繰り広げられ、労力と上映時間を費やすべきところを完全に間違えています。本作はすべてがこの状態で、物語が濃密である結果としての長い上映時間ならともかく、薄いドラマや意味のないアクションを2時間半もダラダラと見せられるのですから困ったものです。面白かったのはバルボッサが再登場するラストだけなのですが、なんだかんだで続きが気になるラストを持ってくる商売のうまさには感心しました。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2010-08-29 18:21:36)(良:1票)
371.  フリーダム・ライターズ
熱血先生ものとしては手堅くまとまっているのですが、あまりに良い子ちゃんな仕上がりで教育テレビでも見ているような印象を持ちました。先生と生徒が心を通わせる過程は随分とすんなりいってしまい、葛藤や軋轢が不足しています。例えば、生徒がいかに先生の授業に感動して生き方を改めようと思っても、それまでの不良仲間から距離を置くことや、所属していたギャングを辞めることには相当な苦労が必要なはず。そのような現実的な葛藤があまりに少なく、先生が良いことを言えばすぐに響く性根のまっすぐな生徒ばかりであり、なんだか都合の良い美談を聞かされているような気がしました。また、彼らが通じ合うきっかけとなった日記の扱いも雑で、あれだけ荒れていた生徒達が初日から素直に日記を書き始め、「先生、読んで」と自分達の気持ちをさらけ出す展開には疑問です。「小学校5年生程度の国語力しかない」と言われた不良達が、初日からそこいらの大学生でも書けないような達者な文章を披露することも不自然。実話を元にした物語ですが、舞台となる1994年から本作が製作される2007年までの13年間で、当事者達にとって都合の良い形に思い出が変質していったのではないでしょうか。そして本作の製作陣の姿勢を疑ったのが、熱血先生と対立することとなる教科主任の扱いです。生徒の心を掴むため形にはこだわらない熱血先生に対して、教科主任は形式的にカリキュラムをこなせばそれでよしと考え、事あるごとに熱血先生の障害となります。確かにこういうタイプはどの職場にもいて、たいていの場合、やる気ある人間の足を引っ張る有害な存在となるのですが、この教科主任を完全な悪として描く本作の姿勢には賛同できません。ある行動をとる人物を一定の型にはめ、それを一方的に悪と非難することは、人種間の対立を乗り越えて互いを知り合えという熱血先生の指導にまさに反しています。確かに彼女は頭が固く、教師でありながら生徒のためを思った行動のとれない人物でしたが、本作の舞台となるような荒れた学校においては、教師を無視する生徒とは真剣に向き合わず、お役所的に授業をこなすのみとする先生の処世術も、決して否定することができません。そうした他の先生達の背景を描くことなく、一方的に悪と断罪する姿勢には疑問です。作品のモデルとなった熱血先生がこの描写を良しとしているのであれば、この先生の性根も疑ってしまいます。
[DVD(吹替)] 4点(2010-08-04 00:11:32)(良:1票)
372.  クローン
フィリップ・K・ディック原作の映画化としては4本目の作品となりますが、本作はジェリー・ブラッカイマーお抱えの脚本家スコット・ローゼンバーグが脚色し、それを「逃亡者」のデビッド・トゥーヒーが手直ししたノンストップアクションとして製作されています。「マイノリティ・リポート」に先駆けノンストップアクションという切り口でディック作品を料理したことは新鮮であり、作品の方向性は自体は悪くありません。ただし、完成した映画の出来は残念なものに。ジェリー・ブラッカイマーの映画や007シリーズを見れば分かるのですが、優秀なスタッフさえ揃えれば、監督が誰であってもそれなりのアクション映画は撮れてしまいます。逆に言えば、スタッフを整えることが出来なければ良いアクションを撮ることは出来ません。この点、本作を製作したミラマックス社はアクション映画の経験に乏しく、良いアクションを撮るための現場作りができなかったようです。そのため、アクション映画としてはいまひとつな出来に。この脚本であればもっと面白いものが撮れたはずです。一方、SFとして見ても本作はいまひとつ。SFはいかに予算やテクノロジーを動員しても監督にセンスがなければ良いものは撮れない、逆に言えば低予算であってもセンス次第で良いものを作ることが可能なジャンルなのですが(例:同じくディック原作の「スクリーマーズ」)、この監督はSFを撮る才能に恵まれていませんでした。本作以前のディック作品にはあった陰鬱な空気がまったく表現できていないし、冒頭で提示される壮大な世界観は作品から浮いてしまっていて、本編にまるで絡んできません。本作は本格的にCGを用いて映画を撮れるようになってから最初に製作されたディック作品であり、映像表現の可能性という点では先輩3作よりも恵まれた条件下で製作されているのですが、にも関わらずSFとしては最低の作品に。SF映画においては監督の手腕がいかに重要であるかが図らずも証明されています。俳優のハマリ具合もいまいちで、なぜこの役にゲイリー・シニーズなのかが不思議で仕方ありません。この頃のシニーズは「ミッション・トゥ・マーズ」という駄作にも主演しており、ニコラス刑事のような大作に出演する演技派を目指していたようなのですが、この無残な作品選びではその目的を達成できなかったことも納得です。
[DVD(字幕)] 4点(2010-07-27 21:09:59)
373.  踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
テレビシリーズ及び劇場版第一作を経てきたメンバーだけあって、前半部分の安定感は抜群。シリーズに思い入れのない私でも十分に楽しめるほどの仕上がりでした。しかし、本筋に入ってからが酷い。青島をはじめとした所轄の人間の言うことは青臭すぎるし、若い観客から支持されたくてこうした発言を放り込んだ製作陣の魂胆がバレバレとなっています。すでに権力の側に回っている監督やプロデューサーが心にもない組織批判を上っ面で考えただけなので、どうにも現実味のない空虚な主張となったのでしょう。青島ら所轄の敵となる女性管理官の描写はさらに酷いもので、ひたすらに性格が悪く、やることなすことすべてが最悪。この人物は現場の足を引っ張り、観客の怒りを買うために監督によって置かれたコマのようなものであるためか人格や個性をまったく与えられておらず、物語のキャラクターとしての体をなしていません。テレビシリーズはキャラクターの作り込みが面白かったのに、その「踊る」がここまで杜撰なことをするとは驚きです。もっと杜撰なのが犯人グループで、犯罪については素人のリストラサラリーマンが寄り集まって、各自が自由意思で行動してるだけの集団が強いわけないだろと。官僚機構たる警察組織に対抗する勢力としてリーダーのいない犯罪者集団を持ってきたアイデア自体は悪くないのですが、「なぜ彼らが強いのか」という理屈の部分が弱すぎるのです。現実的にはありえない設定に理屈付けしていかに観客を納得させるかがフィクションの勝負どころですが、この映画はその理詰めの作業を完全に放棄してしまっています。それは管理官や犯人の設定のみならず、作品全体に及ぶ欠点。殺人犯逮捕のために特殊部隊たるSATがわざわざ出動するか?挙句、数十人のSATに取り囲まれながら犯人が逃走に成功するか?たった2名を殺害した犯罪者を逮捕するためにお台場を封鎖するか?犯人を4回もニアミスで取り逃がした管理官が責任を問われないってどうよ?以上のようにちょっと考えればおかしな展開がゴロゴロしています。娯楽作なのでガチガチに理屈っぽく作る必要はありませんが、少なくとも2時間は観客を騙しておけるだけの知恵は必要だったと思います。こうした監督や脚本家の配慮とも言うべき部分が致命的に欠け、ウケる要素を適当に羅列しただけの仕上がりにしてしまったため、本作は「客を舐めた映画」として嫌われているのでしょう。
[地上波(邦画)] 4点(2010-07-19 11:27:11)
374.  コラテラル・ダメージ
バットマンの悪役だの、オカルトだの、SFだの様々なジャンルに手を出し、ことごとく失敗していた90年代後半のシュワ。そのシュワがついにテロリストとの戦いに戻ってきた!さらに、9・11による上映延期!(「上映延期」「上映禁止」などと聞くと、なぜか凄いものだと思ってしまうのです)監督は、アクションスターの魅力を引き出せる男、アンドリュー・デイビス!これはとんでもないアクション大作がくると期待したものです。しかしフタを開けると壮絶にショボかった!!目立った見せ場はヘリ部隊がゲリラ軍の村を破壊しまくる場面のみで、他のアクションはほとんど印象に残らないレベル。今回のシュワは銃を一発も撃たず、消防士としてのスキルを活かし爆発物でテロリストと戦いますが、これは政界進出を考えていたシュワのイメージアップ戦略の賜物。本作の製作開始前にはコロンバイン事件が世を騒がせており、映画における銃器の扱いも問題視されていました。そんな中で、政界進出を考える俺が銃を乱射するわけにはいかない。そこで、アクション大作であるにも関わらず主人公が銃を一発も撃たないという珍妙な現象が起こったのですが、よく考えてみれば爆発物を武器にする方が危ないでしょ。ラストなどは、ほぼ袋のネズミ状態となった二人の敵を殺すために、テロリストが起こした以上の爆破を引き起こすという倒錯ぶり。こうしたシュワ氏の価値観に清き一票を投じたカリフォルニアの人々の品性には、実に素晴らしいものがあると思います。。。公開時に本作を見た時、私は悲しくなりました。子供の頃から大好きで、ハリウッドの先頭に立っていた男シュワちゃんが、もう時代に合わなくなっていることを実感したからです。昔は気にならなかったシュワの大根役者ぶりが、本作では気になって気になって仕方ありませんでした。家族を亡くして悲しみに暮れるシュワ氏の下手クソぶりなどは、見ている私が恥ずかしくなったほど。また、消防士でありながらCIAですら見つけられなかったゲリラの本拠地をあっさり突き止めてしまうシュワ。昔であれば、少々強引な展開であっても「シュワちゃんだからいいんだ」という妙な説得力があったものの、本作ではこの強引さ、都合の良さは通用しませんでした。アクション映画におけるシュワ氏の神通力も消えてしまった瞬間を目の当たりにした気がしました。
[DVD(吹替)] 4点(2010-07-06 16:14:51)
375.  ナイト・ウォッチ(2004)
原作がロシアではベストセラーであるためか、この映画版の観客も話や設定を知っているものとして扱われているようです。なので細かい説明は一切なしで、映像のみが最初から最後までフルスロットル。見ていて疲れたし、仮に難解な物語であれば読み解く楽しみがあるものの、ありきたりで難しくもない話の説明不足な部分を脳内で補完してあげる作業は、途中でバカバカしくなります。物語は完全にX-MENなのですが、本作のキャラクター達にはX-MEN達のように個性的な能力がありません(設定上は何かあるのかもしれませんが、映画版を見る限りでは目立った特徴がありませんでした)。ナイトウォッチ達はグループで自警団活動を行っているものの、戦っているのはもっぱら主人公のアントンのみ。他のメンバーにはどんな特殊能力があって、グループ内でどんな役割を果たしているのか、その力量はどう違うのかが一切不明。訳ありげに登場したフクロウ女に至っては、本当に何もせずに映画が終わってしまいます。唯一、その能力について説明のなされた主人公の能力は「未来を見通せる」というものでしたが、彼は彼でその能力がまったく戦いに活かされていません。映像は独創的でカッコよく、VFXの使い方も悪くないため、脚本にもうちょっとこだわれなかったのかと思います。そんな感じでキャラクターの個性すら描ききれていない脚本ですから、物語の核心に迫る後半になると完全にグダグダに。「災いを招く乙女」に「偉大なる異種」とキーパーソンを二人も出して来て、それぞれの物語が交互に描かれるため、面白さ2倍どころか緊張感が途中でぶつ切り状態となるのです。3部作の1作目ということですが、続編はもういいかなという感じです。
[DVD(吹替)] 4点(2010-07-05 21:09:35)
376.  シャフト(2000)
サミュエルがかっこよすぎます。これまたかっこいい音楽に続いてのシャフト登場の時点で「このリメイクは成功したな」と思いました。しかし、肝心の話があまりにつまらなくて倒れそうになりました。。。オリジナルと同じ空気を出すために大作化を意図的に避けていることはわかるのですが、サミュエルの敵がアホぼんと街のチンピラでは、戦う前に勝負がついてるようなもの。クリスチャン・ベール演じるアホぼんも、ジェフリー・ライト演じるチンピラも単独では良いキャラだし、俳優もよく頑張っているのですが、シャフトの敵とするとどちらも役不足。シャフトは大した苦労もせず敵を追い詰め、あっさりと勝ってしまいます。このお手軽さ・無敵さは、もはやセガール映画の域に達しています。アクション映画なら、もうちょっと激しい攻防があるべきでしょう。せっかくシャフトが良かったのに、本作の失敗で続編が製作されなかったことは残念です。
[DVD(吹替)] 4点(2010-05-30 17:19:24)
377.  スパイダーマン3
好きな女子と両想いになって、プライベートもヒーロー業も順調なピーターが調子に乗ってる前半からイラっときます。ブラックスパイダーマンになって「調子に乗ってる」が「完全な勘違い」に進化すると、恥ずかしくて見ていられません。そんなピーターに復讐しようとするハリーの手口は、婚約者との三角関係を装ってピーターを精神的に追い込むという、遠回りかつチャチな計画。これが父親の仇に対する復讐計画なんだろうかと驚きました。ハリーが都合良く記憶喪失になり、そして都合良く記憶喪失が治るという安直さにも唖然とします。これは大映ドラマかと。狙っておかしくしている部分もあるのでしょうが、意図してないのに妙なことになっている部分も多くあります。これはスタジオの戦略ミスでしょう。女性客を開拓するためにメロドラマを入れさせたものの、ライミがそれに対応できなかったという。本シリーズはドラマ部分の充実が特徴でしたが、それは「オタクの童貞君が誠実に頑張る物語」においてライミの才能とマグワイアのパブリックイメージが巧く噛み合ったからこその成果でした。大人のメロドラマなど撮ったことのないライミと(中年学者を主人公にした「ダークマン」すら童貞臭が漂っていました)、オタクっぽい風貌のマグワイアでは、こんな話など成立するはずがないのです。ハリーが都合良く記憶喪失になる展開については、しかめっ面ばかりだったジェームズ・フランコの輝く笑顔を見せたくて無理矢理挿入したとしか思えません(うちの嫁は「ハリーがかわいかった」と言ってたので、こちらは成功したとも言えますが)。。。また、新キャラが多すぎる点についてもスタジオの戦略ミスです。ヴェノムは人気キャラなのに登場場面が少なすぎてもったいないし、ピーターと因縁の関係にあるサンドマンの人物描写も不足しているため、「罪を犯す側にも事情がある。許すことも大事である」という本作のテーマが立っていません。サム・ライミは別のキャラを登場させたかったものの、スタジオに押し切られてこの布陣になったとか。シリーズ最終作なので大盤振る舞いしたかったんでしょうね。。。なお、本作があまりにヒットしたので3部作構想から6部作構想に変更されたようで、今後は「マリッジブルー編」とか「子煩悩編」とかも作られるのでしょうが、このシリーズはピーターの青春時代が終わった「2」のラストで終了していると思います
[映画館(字幕)] 4点(2010-01-03 18:14:40)(良:1票)
378.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
【超ネタバレしています】巻き込まれていたと思っていた主人公が実は首謀者だったというオチの付け方は面白いのですが、設定があまりに強引なので「騙された!」という感覚よりも「これだけ無茶な設定なら何でもありだよな」という印象の方が強く残りました。ちょっとズルイかなと。他の映画では見たことのない長い長いネタバラシもイマイチ。脚本レベルでは面白かったのでしょうが(だからこそ豪華キャストが集まったのかも)、映像にするとさすがに間延びしすぎです。一言二言のヒントを与えられることで脳内に引っ掛かっていた情報がピタっと重なる瞬間がドンデン映画の醍醐味だと思うのですが、これだけダラダラ説明されるとスッキリ感も何もありません。。。人格者のイメージが強く、過去に一家惨殺をやった人間には見えないモーガン・フリーマンとベン・キングスレイをヤクザの親分に配置するというキャスティング段階でのミスディレクションも、それほど効果を発揮していません。20年で彼らの人格がどう変わったかの説明が不足しているため、凶暴なチンピラと威厳ある親分の像が最後まで一致しないのです。復讐相手のキャラクターが不安定では復讐劇は盛り上がりません。一方いかにも殺し屋なブルース・ウィリスと、巻き込まれ役が板についたジョシュ・ハートネットは良かったし、ルーシー・リュウが出演作中唯一魅力的に見えており、悪いところばかりではありません。ねじれた笑いも決まっており、監督はこういう映画に向いた感覚を持つ人だと思います。あともう少し突っ込んでいれば面白い映画になったのかもしれません。
[DVD(吹替)] 4点(2009-12-28 02:14:20)(良:2票)
379.  ダイ・ハード4.0
大好きなシリーズなので高得点をつけたかったものの、残念ながらこれはダメでした。ド派手な見せ場の連続なのに手に汗握らないという、アクションものの末期症状とでも言うべき状態となっています。シリーズの定番通りマクレーンは傷つき、満身創痍で敵に挑むものの、どんな強敵を相手にしても負けないだろうという妙な安心感が作品を覆っています。マクレーンが超人化した「2」、駄作と言われる「3」にも、戦いには一定の緊張感が存在していたのですが、本作にはそれが皆無に近い状態となっています。「アンダーワールド」の頃から、レン・ワイズマンは「迫りくる緊張感」や「煽り」というものを不得意としていました。ド派手なアクションを撮る実力はあるのに(どこまでがCGでどこまでがライブなのか見分けがつかないほど見事な腕前)、これを映画における見せ場として機能させることができないのです。そんな彼の作品においては、設定や物語はアクションをやるためのお膳立てにすぎません。よって脚本はかなり雑です。自分の意見を聞いてもらえなかったとヤケになって米国にテロを起こすちっちゃな男が今回の敵なのですが、動機とやってることのスケールがあまりに一致していないため、この人物をリアルに感じることができません。「どうしてここまでのことを?」「6億ドル盗むとなると、とことん追われるからな」と、大それた行動に見合った動機付けをしていた「1」が懐かしくなりました。また、魔法の杖のようにいとも簡単にインフラを操作することも、あまりにリアリティを欠いていました。これでは、この映画は何でもありかいと冷めてしまいます。これまた、プログラマーがセキュリティを解除するための時間稼ぎをしていた「1」が懐かしくなりました。さらに、彼の配下には恐ろしく優秀な部隊がいますが、彼らは一体どういう動機でテロに参加しているのかも不明です。敵の存在もマクレーンの活躍もあまりに都合よく話が進んでしまうため、見ている側は特に何も感じることのない2時間を経験することとなります。画はよかっただけにこの仕上がりは残念です。
[映画館(字幕)] 4点(2009-07-30 17:21:33)(良:1票)
380.  HERO(2007) 《ネタバレ》 
テレビ版が好きだったので見に行きましたが、相当な期待外れでした。映画らしいと言えばフジテレビの威光でやたら豪華なキャストを揃えているところのみで、脚本も演出も映画館で見るに値するレベルに全然及んでいません。とにかく荒さの目立つ脚本で、特にすごいのが「男魂」の扱い。「男魂」とペイントされた容疑者の車が事件の有力な証拠だということでこの車両の捜索が映画前半のメインエピソードとなるのですが、韓国まで追いかけてようやく発見したこの車両が後半の裁判で決定的な役割を果たすのかと思いきや、被告側の弁護士である松本幸四郎の一言であっけなく証拠としての採用を棄却され、後半では「男魂」の「お」の字も出てきません。普通の映画文法では、前半であれほど時間をかけて追いかけたものは後半の伏線になるはずなのですが、ここまで無意味になってしまうのはさすがにどうかと思いました。1時間ドラマ程度の内容しかない脚本の時間稼ぎのため、またゲスト出演のイ・ビョンホンを登場させるべく韓国へ舞台を移すため、車両の捜索という本筋とは無関係なエピソードをねじ込んだようにしか見えませんでした。またキムタクのキャラクターも映画版ではあざとく感じました。ラフな服装と型破りな言動で一見すると検察官としての能力はなさそうだが、実は熱い心を持って事件にあたる久利生公平。彼の人間味溢れる捜査で事件のみならずその背後にある人間ドラマも解決していくこと、またパっと見で彼を判断する連中を最後にはギャフンと言わせる痛快さがドラマの面白さでした。それはやはり1時間枠のテレビドラマで、しかも月曜9時。深く考えずに1時間でさくっと見るからこその面白さだったのだなと映画版を観て再認識しました。上映時間は倍以上になり、見ている側の集中力も格段に違う映画においてはやはり勝手は違います。どうでもいい捜査を延々見せられた末に、ラストはキムタクの演説で判決が出てしまうという適当さ。キムタクが人情話をすれば、状況の吟味や証拠の検証などもすっ飛ばしてみんな「はは~」っと納得してしまうわけですよ。それはあんまりでしょ。
[映画館(字幕)] 4点(2007-10-06 19:13:02)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS