361. 私は告白する
告解の内容を他言できないという神父の守秘義務が作品のベースになっているのですが、 宗教モノでこういうサスペンスにしてしまう、そこに挿入されるロマンスも本作に無くてはならないものとして機能しています。 全盛期の作品と比較すると地味な作品ですが、ヒッチコックらしい映画職人ぶりは十分に見ることができる作品です。 モノクロならではの美しさを感じさせるロケ地のカナダ、ケベックの街並みも見どころの1つ。 第2次大戦中、終戦直後あたりのドイツ軍、ドイツ人が登場する他のヒッチコック作品でも見られますが、 本作でも真犯人のドイツ人が結構な悪に描かれています。 [DVD(字幕)] 7点(2018-11-12 23:03:02) |
362. ボヘミアン・ラプソディ
《ネタバレ》 はっきり言って、Queenのファン限定の映画かもしれませんが、彼らの音楽を愛する者として大満足の作品でした。 一番レビューの方と同じく、オープニングの本作オリジナルの"20th century FOX"からテンションがアガること確実です。 フレディと、3人。この構図は予想通りだったのですが、テイラー、メイ、ディーコンの3人の個性もバランス良く、とてもよく出ていたと思う。 表情、ステージ上での所作、楽器を構える姿、演奏する姿等、よくここまでQueenを研究したと思う。 4人とも、特に後期は本当によく似ていたし、見事に皆がメンバーそれぞれになりきっていました。 ラストのLIVE AID以外は、じっくりQUEENの音楽を聞かせるとい趣向ではないですが、そのLIVE AIDのステージを再現したラストは圧巻。 LIVE AID直前のバンドは解散寸前の状態にあったというのはよく知られた話ですが、そのいきさつも描かれています。 しかしLIVE AID直前にフレディからメンバーに語られた衝撃の告白。その内容は言うまでもないですが・・・。 そして様々な思いでウェンブリーのステージで躍動するフレディの姿を見つめる人々の思いも重なり、感動的なものとなっています。 4人の動きだけでなくクルーの動きに至るまでかなり忠実に再現されており、 ウェンブリーを埋め尽くしたファンと一体になった当日のステージの再現は見事でした。 控室でいよいよ自分たちの出番が次にやってきた。ステージから聞こえてくるのはダイアー・ストレイツの〝Sultans of Swing″。 こんな細かいこだわりに思わずニヤリとさせられました。 ステージで躍動するフレディを見つめるメンバーの表情もまた印象的。 家に帰ってから、LIVE AIDのDVDを見てみた。なるほどと思える雰囲気があった。何度も見たDVDですが、目に涙があふれたのは初めてだった。 [映画館(字幕)] 9点(2018-11-09 17:47:31)(良:1票) |
363. ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
チャーチルの名前は知っていても、実際にどういう人物であったかはほとんど知らない状態で鑑賞。 賛否ある人物だったのかと思いますが、その両方を見事に演じたオールドマンの身も心もチャーチルになりきったかのような熱演を堪能しました。 もう、オールドマンには見えず、チャーチルにしか見えなかった。 2時間を超える上映時間の中で空や太陽が見えることはほとんど無かったように思います。 原題の通り作品の大半の時間は薄暗い執務室や議場で展開されます。当時の行き詰った戦局や、時代の閉塞感を感じずにいられません。 薄暗い執務室や議場にいるのはオールドマン=チャーチルを筆頭に、ロナルド・ピックアップをはじめとするイギリスのベテラン俳優達。 そんな作品の世界観にあってタイピスト役の女優さんの透明感のある存在がいいアクセントになっていました。 これも薄暗い地下鉄の車内でチャーチルが国民と語り合う。フィクションのような感じもしますが、ここも本作の印象的なシーンの1つでした。 [DVD(字幕)] 8点(2018-11-03 21:38:37) |
364. メリーゴーランド
《ネタバレ》 早くに母を亡くし父と2人で生きている10歳の少年が主人公。父は超多忙な弁護士。 作品の大半の時間はこの少年の孤独、淋しさを描くことに使われます。 少年と父親と、父親の恋人。登場する誰もが辛い思いを抱えている。 儚げな音楽とこの少年のかわいらしさ。 中盤あたりの父と息子の姿に「クレイマー・クレイマー」を思い出したりもした。 しかし、もっと辛くなる展開が最終盤、突然にやってきます。 見る者を泣かせにきているのは明白。しかしそれでもこのラストは・・・。 夜の遊園地。少し離れた場所から父と息子の様子を見つめる恋人の表情もまた悲しかった。 [DVD(字幕)] 7点(2018-10-30 21:22:00) |
365. おかしなおかしなおかしな世界
1963年作、アメリカン・ドタバタコメディ超大作。結構なバカ映画です。 ある大物犯罪者が35万ドルもの大金を隠した場所を言い残し交通事故死。 その事故現場に居合わせたごくごく普通の連中に、珍道中の最中に出会った、ごくごく普通の一般市民の皆様に、 最後はお偉い警部様までもが、あぶく銭に目がくらんで35万ドル争奪戦を繰り広げる。本当にくだらない作品です。 大御所ミルトン・バールをはじめとするベテランコメディアン達に加え、 名優スペンサー・トレイシーやエセル・マーマンといったスター達の体を張ったバカコントがこれでもかと挿入されます。 監督があのスタンリー・クレイマーというのが一番の驚きですが、 普通の人たちが大金を目の前に豹変していく様にはちょっとだけ皮肉が込められているようにも思えます。 我先にカネの隠し場所にたどり着こうとカーチェイスも頻繁に挿入されますが、演出やスタントにキャリー・ロフティンの名が。 この人、スピルバーグの「激突!」の殺人トレーラーのドライバーの人ですよね。ちょっと納得です。 終盤にはチョイ役でピーター・フォークが登場。 本作の2年後、似たテイストのある公道爆走コメディ大作「グレートレース」ではしっかりいい役を貰っていました。 このようにスターが出世していく一過程が見られるのも映画好きには嬉しいところです。 途中は中だるみもあるし、160分はさすがに長い。今に見ると笑えるような笑えないような微妙なギャグもあり。 しかしこれが60年代前半の作品であることを考えると当時としてはなかなかのコメディ大作ではなかったかと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2018-10-28 20:10:19)(良:1票) |
366. 特攻野郎Aチーム THE MOVIE
笑いドコロも十分あるし、いい意味で大味でコメディタッチの前半は結構面白いです。 しかし脱獄以降はこのテンションが下がり、普通のアクション映画になってしまいましたね。 前半のハイテンションのまま最後まで突っ走ってもらいたかった。 ニーソン演じるAチームを率いる大佐の序盤の台詞。「今の俺は若い頃の10倍は強いぜ。」 近年のニーソン主演の圧倒的強さを誇る作品群をみていると納得!の一言でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-28 20:07:10)(良:1票) |
367. デス・ウィッシュ
《ネタバレ》 妻が殺害され娘は一命をとりとめるが大きなダメージを負う。 Cブロンソン主演のオリジナル「狼よさらば」と同じく、犯罪とは無縁に生きてきた中年男が警察や法に代わり復讐の鉄槌を下す。 この夫であり父である男の悲しみと怒りという、作品のベースとなるものは大切にしつつ、 ニュース報道や警察の発表により、物議を醸しながらも少しずつ市民のヒーローとなっていくオリジナルに対し、 目撃者が撮影していた動画がSNSに乗って拡散し、一気に市民の心を掴んでいくあたりに現代の空気をうまく入れていく。 スマホで犯人と接触を持っていくあたりにも時の流れを感じます。 ブロンソンが長年にわたり演じたポール・カージー。一作目は基本的には目撃者のいない暗闇で地味に街のワルどもを処刑していくのに対し ブルースのポール・カージーは目撃者がいようが関係なし。標的がいれば人でごった返すクラブでもお構いなしに銃をぶっ放す。 犯人の1人と接触して以降の、犯人グループを1人ずつ仕留めていくブルースのポール・カージーの凄味。 ブロンソンのカージー以上に、ブルースのカージー、強し。このリメイクならではの良さもしっかりあったと思います。 自宅のオーディオなどではなく、映画館の音響で聴くAC/DCの〝Back In Black″がアツかった! [映画館(字幕)] 7点(2018-10-24 18:40:38) |
368. アトミック・ブロンド
MI6、CIA、KGBにフランスの情報部。東西を隔てる壁の崩壊前夜のベルリンに各国の諜報機関が入り乱れる。 特に次々とこれら各国の登場人物の名前が登場する序盤が大変。しかしここを整理して乗り切れば、 シャーリーズ演じる凄腕女スパイが主人公のハードボイルドサスペンスとしても十分楽しめる作品です。 挿入曲がいい。当時のベルリンの東側の体制には好まれなかったであろう、ネーナの〝99Luftballons″に、 ラストの〝Under Pressure″の使い方には参りましたね。ただ音楽に関しては少々うるさく感じられる所もあります。 スパイものらしく「裏切りのサーカス」を思わせる複雑な相関図はありますが、アクションが本作のウリとなっています。 そのアクションは銃撃戦もありますが体を張った打撃戦がメインとなっており、後半のワンカット大打撃戦が最大の見どころ。 ここまでシャーリーズ無双映画とは思いませんでしたが、何歳になってもこういうアクションで見栄えがするシャーリーズに拍手!です。 [DVD(字幕)] 6点(2018-10-20 18:23:42) |
369. トレイン・ミッション
コレット=セラとリーアム・ニーソンのコンビもすっかり板についてきました。 大勢の乗客がいる中で事件に巻き込まれ、正体不明の敵から絶えずメッセージが届き、誰も頼れない状況で事件を解決しなければならない。 飛行機から列車に舞台は変わりましたが、このコンビの「フライト・ゲーム」と基本的な設定は似た作品。 どちらも最後まで見る者に的を絞らせない、よく出来た作品ですが展開のノンストップ感など、本作の方がより面白かったです。 年齢を重ねるごとに渋みを増すニーソンですが元警官、元CIAエージェントといった過去を持つ男の役が多くなってきました。 本作では、元警官で、今はリストラにあった保険会社の営業マンという男を演じていますが 相変わらずメチャクチャ強いので、こういった過去を持つ男という設定も当然になってくるのかもしれません。 それにしても、あの面構えとドスのきいた声で威圧され、保険の必要性を説かれたら思わず契約してしまいそうで怖いです。 [DVD(字幕)] 8点(2018-10-14 14:10:01) |
370. 隣のリッチマン
《ネタバレ》 ベン・スティラーとジャック・ブラックがコンビを組んだ典型的アメリカン・コメディ。 アメリカン・コメディ好きにはたまらない組み合わせ。 こういう顔ぶれのアメリカン・コメディのノリが好きな方にはそこそこ楽しめる作品です。 隣に住む大親友で同じ会社に勤めているけど、自分は管理職、相棒はヒラ社員。 ちょっと自分の方が優位に立っていたはずが、その相棒が大ヒット商品を発明し大富豪になったものだからさあ、大変。 中盤までは基本的には親友の成功を素直に喜べず、嫉妬にかられたベン・スティラーの動きを楽しむ作品です。 こういうトホホなおっさん役はお手の物のスティラー。さすがの安定感ですが、 一方で大成功したJBの役がいい奴すぎて、いつもの彼の濃い存在感が影をひそめてしまってるのが勿体ない。 理由なんて何でもいいので、1度や2度はJBにも無茶をさせたりドタバタさせる時間を作ってあげてほしかったですね。 共同経営者となり、スティラーの嫉妬も収まってしまう後半はトーンダウンしてしまいますが、 大した禍根も残さず2人仲良くハッピーエンド。 はなはだ都合が良すぎますが、こういうアメリカンコメディにあまりかたいことを言っても仕方が無いし、 めでたしめでたしということで良かったんじゃないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-10-13 22:10:50) |
371. まともな男
どこにでもいそうなサラリーマンの男。最近ちょっとうまく行ってない妻と難しいお年頃の1人娘との3人家族が、 娘と同じ年頃のご主人の上司の娘を連れてスキーリゾートにやってきました。 家族の間に気まずい空気はありつつも、普通ならスキーに来て、まあ楽しかったかな、で終わるとことですが、 よりによって、預かってきた上司の娘さんの身に事件が起こってしまう。もうスキーどころではありません。 何とか取り繕うと悪戦苦闘するご主人。しかし、取り繕うとするほどに泥沼に陥っていきます。 全く笑えない状況を独特の空気に包み、小出しに積み重ねていく展開の組み立てが面白い。 このご主人を演じる俳優がお見事。コメディとシリアス、演技の境界線を行ったり来たり。 その演技がどうしよう・・・。どうしよう・・・。とうろたえる、ご主人の置かれたお気の毒な状況と見事に重なる。 数年前の「フレンチアルプスで起きたこと」という映画と同じく、スキーリゾートにやって来た家族と、 トラブルが起きた際のご主人の判断が問われる、笑えない状況下のコメディとしてよく出来た作品です。 本作が気に入られた方、「フレンチアルプスで起きたこと」という映画もぜひどうぞ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-10-09 20:39:52) |
372. 地獄で眠れ
J・リー・トンプソン(あるいは「狼よさらば」以降のマイケル・ウィナー)+ブロンソン=復讐 あまりにも分かりやすい、この顔ぶれの毎度おなじみの復讐モノです。 中南米を舞台に暗躍する、人体実験や拷問を繰り返し庶民を苦しめる狂気の医師。親友が拷問の末この狂気に医師に殺される。 その奥さんと娘を引き連れ、中米某国に潜入し復讐を果たすというお話。ツッコミどころはいくらでもある。 しかしブロンソンをこよなく愛する者にとっては、もはや脚本や演出などはどうでもいい。 日本流にいえば還暦をとうに過ぎたブロンソンがアクションを頑張っている。 髪に白いものが大分増えてきた寡黙なブロンソンがまだまだ強いところを見せてくれる。 ブロンソン好きにとってはもうそれだけで十分なのです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-07 16:10:49) |
373. レディ・ガイ
ある殺し屋の男に身内を殺害された女医が、復讐にその殺し屋の男に手術を施し女にしてしまうところからストーリーが始まる。 体は女になってしまっても、心は男のまま。色仕掛けで敵の男に迫ったりはしない。 本作のキャッチコピー「女に改造されても、弾丸(タマ)はある」の通り、 どんな状況となっても男として闘う様を描くあたりは、男臭いアクション映画職人、ウォルター・ヒルらしい。 ミシェル・ロドリゲスが手術前、つまり男の頃も自分で演じている序盤も見どころだと思いますが、 ストーリーが動き出し、メインとなるのはあくまでも手術後のことになります。 復讐のため女にされてしまった男が、その更なる復讐のため立ち上がる。そのテンポのいいアクションに期待したい所でしたが 頻繁に挿入される、手術を施した女医への尋問がその流れに水を差してしまっています。 しかし、これが最小限になっていたならば1時間程度で済んだ作品かもしれませんが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2018-10-07 00:11:00) |
374. わたしを離さないで
SF的要素のある世界観。こういう映画の場合、近未来が舞台になっていたりするとあくまでもSFの世界という目で見るのですが、 本作の場合は見ている自分が生きてきた時代を舞台としており、少し変わった感覚で見ていました。 歴史と威厳を感じさせる、イギリスの寄宿学校の校舎の佇まいと、そこでの生活。緑豊かなイギリスの田園風景。 本作のSF的基本設定を除けば、実にイギリス映画らしい雰囲気をたたえた作品です。 ある生まれながらの宿命を背負い、1人の少年と2人の少女がともに成長していく。抗えない宿命と生、友情と恋のはざまで揺れ動き、 些細な何かがきっかけで壊れてしまいそうな、繊細な心の機微を描いた青春映画としても良かった。 キャリー・マリガンは独特の魅力と個性を持っている人だと思います。 ハッとするような美貌という訳ではないけれど、その表情で演じる彼女の魅力は本作のような静かな映画にピタリとはまりますね。 [DVD(字幕)] 8点(2018-09-30 16:08:03) |
375. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
《ネタバレ》 自国の兵士を誰1人現地に送り込まなくても作戦が完了する現代の戦争。 「世界一安全な戦場」という邦題の通り、本作に登場する、この作戦に関わる英米の軍人が戦死する可能性はゼロ。 今回の作戦行動はケニアの首都ナイロビのテロリストが潜むアジト周辺の一区画のごく狭い範囲のみ。 しかし、一瞬たりとも緩むことの無い、張りつめた緊張感が凄い映画。 作戦を指揮する、ヘレン・ミレン演じるイギリス軍大佐、彼女の上官であるアラン・リックマン演じる中将。 ミサイル発射のボタンを押す、作戦の末端にいるアメリカ軍中尉とその部下。その中尉の上官。 彼ら軍人と、ロンドンにいるイギリス政府の大臣や官僚たち。 ここに挿入される、テロリストのアジトの脇でパンを売り始める少女の存在が効いている。 作戦を今決行すれば、大物テロリストたちを間違いなく抹殺できるが、確実にこの少女が犠牲になる。 軍の高官、官僚たち背広組、ミサイル発射のボタンを押す兵士達。様々な思惑を実にテンポよく交錯させる。 そしてこの作戦に関わった関係者の多くと同じく、見る者の視線をパン売りの少女に向けさせる。 常に現地のドローンから送られるアジト内のテロリストの動きと少女の様子。一刻を争うライブ映像の緊迫感が凄い。 更なる緊迫感をもたらすアクシデントの挿入も実によく計算されています。 関係者たちが現地の映像を自国の作戦室や会議室で見つめる様は、 オバマ大統領たちがビンラディン殺害計画の様子を食い入るように見つめていた当時のニュース映像を思い出しました。 エンドロールの最初に出てくる「アラン・リックマンを偲ぶ」というメッセージ。 リックマンの遺作となった本作。主演ヘレン・ミレンの熱演が印象に残るとともに、 彼女とは対照的な、リックマンの静かなる存在感も印象的でした。特に、数々の修羅場を見てきた彼の本作最後の台詞が重かった。 声高に正義を訴えることもなく関係者の言動を追う中に投げかけられる問題提起とともに、サスペンスとしても一級品の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-09-29 19:57:23) |
376. 風の無法者
それなりに緊迫した状況でも、終盤までは常に気楽で呑気な空気が漂うコメディタッチのマカロニウエスタン。 リー・ヴァン・クリーフも終盤までは3人組のチンケな駅馬車泥棒の1人なのであまりカッコよくない。 2度目の駅馬車泥棒の際に本物の盗賊の一団が現れ、クリーフの泥棒仲間の2人が援軍に駆けつけるあたりにも何の緊張感もありません。 元から緊迫感を出そうという気も無いようで、何とも呑気な音楽に乗せて2人が現れます。 音楽はあのリズ・オルトラーニです。本作でも全編を通していい仕事はしていますけどね。 それでも最終盤の盗賊団との銃撃戦からラストにかけては保安官のバッジを付けることになるリー・ヴァン・クリーフがカッコいい所を見せてくれます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-09-25 20:10:21) |
377. ターミネーター:新起動/ジェニシス
《ネタバレ》 シリーズが最も面白かった1と2の世界観を盛り込んだ序盤の展開は期待が持てたのですが・・・。 それにしても、あのターミネーターが〝おじさん″とは・・・。思わず笑ってしまいました。 現在と近未来、サラ・コナーとジョン・コナーとカイル・リース。そしてスカイネットとターミネーター。 本シリーズの、壊しようのない基本的なベースとなるものがあるはずであり、 あんな風になってしまうジョン・コナーは見たくはなかったな。 ターミネーターが年をとったり2017年に現れたジョン・コナーが実は・・・。あたりからは本当に何でもアリになってしまいました。 生身の人間と不死身のターミネーターのスピード感のある追いつ追われつの接近戦。 前作もそうでしたが、このシリーズの最も面白い部分が削られていって、不必要に話を複雑にしてしまう。 そして第1作のカイルとサラと、彼らが置かれていた分かりやすい世界観がいかに素晴らしいものであったかを再認識しました。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2018-09-21 20:32:50) |
378. バンディッツ(2001)
《ネタバレ》 面白くなりそうな、期待感が高まる作品の始まりでした。 豪快野郎と、神経質で理屈っぽい男。こういう凸凹コンビもこの手の映画のお約束。特にソーントンがいい味を出していました。 冒頭、ニュースキャスターが引き合いに出す「ボニー&クライド」。そしていつしか〝お泊り強盗″と呼ばれ民衆の人気者となっていく。 この辺りには既視感のあるニューシネマ的ストーリーが進行しますがそれでも初めてのお泊り強盗の夕飯の食卓なんてすごく面白かった。 それだけに、もっとお泊り強盗における被害者との楽しい絡みや、2人がバカやってはじけている様が見たかったと思う。 本作の様にゆるい脱獄モノは好きなのですが、それでも2人と絡む警察という追手をもっと意識させて脱獄中という緊張感がもう少し欲しかった。 1人の女の登場で作品が全く別の方向に行ってしまい、コメディの要素が薄くなり結果テンポも悪くなってしまって中盤以降は長く感じました。 と、思っていたらラストは面白かった!まあ、バレバレの「スティング」的仲間割れの撃ち合いではありましたけど、 途中はハッピーエンドになるとは思わなかったので鑑賞後の気分はなかなか爽快な作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-09-18 22:08:05) |
379. 木と市長と文化会館/または七つの偶然
90年代のロメールと言えば、四季の物語シリーズに取り組んでいた頃。 それを一旦中断して撮られた本作は、あのロメールが政治に言及する異色作です。 しかし変わらず登場人物は誰もが饒舌、ロメール節は本作でもすこぶる快調。 左派を自称するある田舎町の市長。緑が豊富で農業が主要産業。他にこれといった特色が無い小さな町に、 総合文化会館を建設する市長の計画に端を発する騒動、というほどのこともないですが、様々な人々の主張が面白おかしく繰り広げられる。 作品は7つの章に分かれていて、これが邦題にある「7つの偶然」となっています。 理屈っぽいそれぞれの主義主張が繰り広げれますが、結局は偶然の連続、偶然の積み重ねで世の中は回っていくということか。 軽いタッチの中に風刺や皮肉も効いている。汚職も無く箱物建設の利権に群がるような者も出てこないロメール流政治モノ。楽しい映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-16 23:21:53) |
380. ウイスキーと2人の花嫁
《ネタバレ》 第2次大戦中のスコットランドの小さな島を舞台にした、実話に基づく人情喜劇です。 スコットランドだけに、島の人々はウイスキーに目が無い人ばかりですが、 戦局の悪化と共についにウイスキーの配給が止まってしまうと、みんな意気消沈。 そんな折に大量のウイスキーを積んだ船が島の浅瀬に座礁してしまったことにより島にウイスキー騒動が勃発です。 こんな絵に描いたコメディのような実話があったことに驚きです。 こういう小さな島の人々が一致団結して、本土から調査に来た者を煙に巻く、 たまにこういう構図の映画がありますが、どれも面白いんですよね。ほのぼのとしていて。 第2次大戦中の実話に基づくヨーロッパの映画は重くシリアスなものが多いですが、そういう空気はありません。 軽くスコッチでも飲みながら気軽に見るのにちょうどいい、愛すべき小品。 ただ、一応本作では悪役ということになってしまうのかな。 任務第一、真面目が軍服を着て歩いているような堅物大尉をコミカルに演じるエディ・イザードがいい味を出しまくっているのですが、 憎めない人物像に描かれている大尉さんがあまりにも気の毒な、島にとってのハッピーエンドはちょっと複雑ではあります。 実際はどういう感じの人かは知る由もないですが、もっと憎たらしい人物像ならばよかったのかもしれませんけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-16 23:18:07) |