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プロフィール
コメント数 620
性別 男性
自己紹介  「監督の数ではなく、観客の数だけ映画が有る」という考えでアレコレ書いています。
 洋画に関しては、なるべく字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くというスタンスです。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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361.  アフター・アース 《ネタバレ》 
 ゲーム的な要素の強い内容ですね。  船尾という名のゴール地点、ホットスポットという名のセーブポイント、空気濾過カプセルという名の時間制限、ゴーストという名の無敵モード、といった感じ。   この「船尾を目指せゲーム」を主人公父子が頑張ってクリアしようとするのを見守る形になる訳なのですが、これがどうにもこうにも退屈で、困ってしまいました。  せっかく通信機によって父子は意思疎通が出来るのに、ナビゲイター役の父親は視力の低下と眠気によって殆ど役に立たない&必要な事以外は喋らないというんだから、盛り上がりようが無いんですよね。  喧嘩していた父子が和解し、協力する事によって危機を乗り越えるのかと思いきや、結局主人公が助かったのって「鳥による自己犠牲」「ゴーストの習得」という要素が大きいし、これらに必ずしも父子の和解や協力が必要だったという訳でも無いのだから、何とも中途半端。   どうやら制作側は本作を三部作の一作目とする目論みがあったらしく、父子の決定的な共闘を描くのは先延ばしにする腹積もりだったのかも知れませんが、どうもそれがマイナスに作用してしまったように思えます。  「危険度最高レベル」「全てが人類を殺す為に進化している」という地球の恐ろしさが、具体的に伝わってこないのも不満。  殺すどころか、地球の鳥が命を投げ出して主人公を助けている訳だし、それが「人間を殺す立場にあるはずの存在が、逆に助けてくれた」という意外性の感動に繋がらず「全然殺す気なんて無いじゃん」という拍子抜けに繋がってしまったのですよね。  鳥の自己犠牲(我が子を助けてもらった恩返し?)シーンの演出からすると、ここは宗教的なメッセージ性もありそうなのですが、信仰心なんて殆ど持ち合わせていない自分からすると、どうもピンと来ない。   そもそも序盤において「能力は高いが性格に難がある」という主人公の姿が描かれていた以上、改心するなり精神的な成長を遂げるなりするのが王道なのでしょうが、本作ではそんなの関係無しに「エリートの息子がエリートの父親と同じ超技術を習得して敵を倒す」というシーンがクライマックスとなっているので、物語の前後が繋がっていないような気がしました。  ここ、父親役のウィル・スミス目線で考えるなら「息子が自分と同じ力に目覚めて成功してくれる」というのは、そりゃあ嬉しいだろうけど、観客としては置いてけぼり気分です。   結局、主人公の「周りの意見を聞かずに独断で暴走する」という性格は作中で明確に改善される事は無く「父親の意見に背いて崖から飛び降りたお蔭で二人とも助かった」という形で、むしろ肯定的な結果に繋がっているのだから、何というか……主人公を最終的にどうしたいのか、着地点が見えてこないんです。  姉が目の前で殺されたトラウマを乗り越える事を主軸に据えたかったのだろうな、という事は窺えましたが、それなら上述の要素の数々は排して、もっとシンプルに「姉のトラウマを乗り越える主人公」という形だけに定めた方が良かったのではないかと。   ラストシーンで「母親と同じ仕事」を主人公が選び、父離れするのかと思ったら「父さんもだ」って最後まで父子一緒なのが示唆されるのも、凄く微妙。  仲が良いんだなぁと和む気持ちより、もうちょっと互いに親離れ子離れした方が良いんじゃないかって冷めた気持ちの方が強かったです。  「バッドボーイズ」や「ベスト・キッド」(2010年版)など、父子で共演しておらずとも面白かった映画があるし、二人とも好きな俳優さんであるだけに、何だか非常に勿体無く思えましたね。   舞台となる地球の風景などは中々壮観でありましたし、アクション描写なども悪くないと思います。  けれど、それ以上に色々と気になる点が多過ぎて、最後まで没頭出来ず仕舞いな、残念な映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2017-03-19 22:53:56)
362.  羊たちの沈没 《ネタバレ》 
 この手のパロディ映画の中では、結構良く出来た品じゃないかなと思います。   笑いが下品過ぎなくて、観ていて不快になるシーンが皆無というだけでも安心させられるものがありましたね。  他のパロディ映画では、放屁だの嘔吐だのといった下ネタが多かったり、視覚的にキツい場面が頻出したりする事も珍しくないだけに(おぉ、意外と上品だな……)と感心させられたという形。  元ネタの作品を露骨に馬鹿にする笑いが皆無だったのも良かったと思います。   細かい不満点やら、目に付いた欠点やらを論ったらキリが無いだろうけど、それでも幾つかクスっとさせられる場面はあったし「腕時計」や「電話ボックス」の件なんかは、感心させられるものがありました。  「犯人は、アルフレッド・ヒッチコック……に変装した別人」というオチも、実に馬鹿々々しくて、憎めない。   ちょっと疲れている時とか、映画なんて単なる娯楽だろうと再確認したい時には、丁度良い一本かと。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-19 19:10:47)
363.  GAMER ゲーマー 《ネタバレ》 
 同監督作「アドレナリン」のラストでもゲーム風の演出がありましたが、本作でもラストに「全てはゲームの中の出来事だった?」と思わせる演出がありましたね。  現実と非現実の対比、今いる世界もまた誰かに支配されているゲームの世界なのではないかと、作り手の真意について色々と考えさせられる深い映画……なんて事は全然無くて、お気楽SFアクションとして楽しむのが得策な一本なのだと思います。   序盤において主題となるゲーム「スレイヤーズ」の勝利条件が不明な事とか、不満点は色々あったりするのですが「そんなの気にせず楽しんだもん勝ちだよ」と思わせる作品としての大らかさがあるんですよね。  ラストのゲームオーバー画面にしたって「全てはゲームの中の出来事。だから劇中で科学考証とかが間違っていてもツッコまないでよ」という免罪符であり「その代わり、色々アクションとかエロスとか詰め込んで、ゲームらしい楽しい映画だったでしょう?」というメッセージでもあったように思います。   それでも、せっかく主人公とプレイヤーの少年が意思疎通出来るようになったのに、その後に二人が全く絡まず、何の絆も生まれず、ラスボスを倒すのに少し手助けしただけで終わったというのは、何とも寂しかったですね。  あくまでも「ゲームの中で操られている主人公が、自分を取り戻し、家族も取り戻す物語」で終わらせたかった為、意図的にプレイヤー側の出番を減らしたのだと思われますが、そこはもうちょっと欲張って、両者の交流を描いても良かったんじゃないでしょうか。   俳優陣は豪華な顔触れの為(こんな人達をゲームのキャラクターとして操作出来たら、そりゃあ楽しいだろうな……)なんていう、不謹慎な欲望を刺激するものがあり、作中で「ソサエティ」が流行っている事への説得力にも繋がっていて、良かったと思います。  主人公の奥さんが扇情的な恰好をさせられて、四つん這いになった時のお尻がエロかったとか、でもそんな奥さんを操作している男は極度の肥満で、しかも裸でプレイしている姿が最高に気持ち悪かったとか、この設定ならではの印象的な場面が幾つかあるのも好印象。  「窮地の主人公を前にして、黒幕が自らの目論見について得意気にベラベラ喋り、それが中継されているせいで墓穴を掘ってしまう」なんていうテンプレ展開を、堂々とやってみせる辺りも、短所ではなく長所であるように感じられましたね。   全力で肯定するのは難しいけど、楽しめたか否かという基準で判断すれば、しっかり楽しむ事が出来た一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-16 20:28:18)
364.  DEATH GAME デスゲーム(2006) 《ネタバレ》 
 あるゲームをプレイ中に、自分の操作キャラが死亡すると、現実世界で自分も同じように死亡してしまう……という設定、非常に好みですね。  こういった馬鹿々々しいような思い付きを、そのまま形にしてみせた映画って、どうも憎めないです。   登場人物達は所謂ゲームオタク揃いなのですが、美男美女が演じている為か、あまり内向的な感じがせず、画面が華やかだった辺りも良い。  しかも、主人公の周りにはゲーム好きの友人が沢山いて、職場の上司までゲーム好きで仲良くやっているというのだから、何とも羨ましい話です。  そんな友人が次々に死んでしまう展開な訳ですが「主人公」「ヒロイン」「男友達」と、メインの三人は生き残る事が出来たし、ハッピーエンド色が強めでしたね。  その後に問題のゲームが市場に出回ってしまうオチも付く訳ですが、一種の予定調和という感じで、後味が悪くなったりはしませんでした。   怖がらせる為の演出も「車のバックミラーを調節したら、そこに謎の女が映り込んでおり、そのまま車内で襲われる」といった感じで、ベタゆえの安心感があります。  ゲームの世界で扉を開ければ、現実世界で開かない扉を開けられるようになるという形で、主人公側が「ゲームと現実のリンク」を逆手に取ってみせる辺りも、面白かったですね。  こういう「不条理で非現実的なルール」を強いられるタイプの作品で、そのルールを主人公達が活用し、普通なら出来ない事をやってみせる描写というのは珍しい為、大いに感心させられました。   そんな具合に、好きな部分が多かった映画なのですが……  終盤にて脚本が破綻しているというか、面倒になって細かい部分は投げ捨てたかのような作りになっている辺りが、非常に残念。  GAME OVERになったはずの男友達のスウィンクが生きていたり、ヒロインのアビゲイルが唐突に花占いを始めたりと「?」と思わされる場面が多かったのですよね。  自分が伏線を見落としていただけかも知れませんが、ちょっと納得出来なかったです。   それから、折角主人公達は助かった訳だから、その余韻というか「生還した喜び」あるいは「ゲームをクリア出来たけど、失った友達は帰って来ないという喪失感」のようなものを描くシーンがあれば、更に良かったんじゃないかと思います。  もっと丁寧に作っていたら、若々しい感性のホラー映画として傑作になっていた可能性を感じさせるだけに、惜しい一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 16:37:27)
365.  29歳からの恋とセックス 《ネタバレ》 
 劇中にて色んな男性と主人公が関係を持ち「結局、誰とくっ付くの?」と思わされるのですが、結論としては「誰ともくっ付かず、自分探しする事を選ぶ」というエンディングだった為、拍子抜けしちゃう人もいそうですね。  自分としては元々「誰と誰がくっ付くか」で引っ張るようなラブコメは好みではないという事もあってか、このエンディングは悪くなかったと思います。   他にも「私ふしだらな女だけど、悪人じゃない」との台詞が印象的で、本当に主人公のキャラクターを的確に表しているなぁ……と感心させられたりもしましたね。  正直、それほど性格が良い女性とは思えなくて、酔った勢いとはいえ万引き紛いの事もしちゃうし、男に対して他の男の悪口も言っちゃうしで、傍迷惑な存在なんだけど、妙に憎めない。  誰かのせいで自分が不幸になったんだと責任転嫁せず「私のせい」と認め、そこから前に進んでいくシーンなんかも、気持ち良かったです。   「誰かを愛するには、まず自分の愛し方を学べ」という名言を踏まえた上での「他人を愛せない内は、自分の事なんか愛せない」という台詞も良かったですね。  振り返って考えてみると、全体の内の一時間ほどは退屈だったりもしたのですが……  結末は中々秀逸な「終わり良ければ全て良し」タイプの映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 02:48:39)
366.  ドッグ・ソルジャー(2002) 《ネタバレ》 
 冒頭にて「純銀のペーパーナイフ」が登場する時点で「じゃあ狼男が出てくるって事か」と観客に理解させてくれる、非常に親切な映画。   でも、こういった分かり易い籠城系ホラーは好みのジャンルのはずなのに、どうも最後までノリ切れないまま終わってしまった気がしますね。  恋愛要素を排した硬派なストーリーに、ユーモアの効いた会話、CGではなくあえて着ぐるみに拘った特撮部分など、文章にしてみれば褒めたくなるような要素ばかりなのに、何故楽しめなかったのか、自分でも不思議。   あえて理由を考えてみるなら、同監督の「ディセント」に比べ、全体的にカメラワークや画作りが粗削りで、洗練されていないように思えた辺りがネックになっているのでしょうか。  それと「分かり易い」を通り越して「分かり易過ぎる」脚本な辺りも気になります。  なんというか、フリが丁寧過ぎて 「どうせ狼男をペーパーナイフで倒すんでしょう?」 「このヒロインって絶対に敵側だよね?」 「これだけ伏線張ってるって事は、サッカーの試合結果も分かるんでしょう?」  と思ってしまうし、事実その通りになるのだから、全く意外性が無い。  特にペーパーナイフの件は深刻で、こんな軽い小ネタみたいな代物は、映画の中盤で窮地を脱するくらいの使い方しかしないだろうと思っていたら、とっておきの隠しネタみたいにラストで使われるものだから(そんな大層なネタじゃないでしょうに……)と、ガッカリしてしまったんです。  ヒロインが勿体ぶって正体を現したと思ったら、ヘッドショット一発で即退場しちゃう辺りも、何だか拍子抜け。  サッカーの試合結果ネタにしたって「狼男事件よりもサッカーの試合の方が記事が大きい」っていう皮肉さを出したかったとは思うんだけど、そこを写真無しで文字だけでスコアを表示しているから、写真付きの狼男事件の記事の方がスペースは小さくても重要に扱われているようにも見えちゃって、どうにもチグハグなんですよね。  その辺りに、作り手との「好みの違い」「感性の壁」があったように思えます。   狼に絡んだ童話の「赤ずきん」や「三匹の子豚」を連想させる台詞がある辺りはニヤリとさせられたし、主人公が何とか生き残るハッピーエンドに近い作りなのも好み。  低予算ながらも「面白い映画を撮ろう!」という意気込みは伝わってくる、好ましいタイプの映画であるだけに、楽しめなかった事が残念な一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2017-03-12 08:33:20)(良:1票)
367.  ディセント2 《ネタバレ》 
 前作ラストの答え合わせ。  思わせぶりなシーンは「主人公が洞窟から脱出する前に見た、束の間の幻」だった訳ですね。  まぁ、元々インパクト重視のバッドエンドというだけで、そこに深い意味なんて無かったように思えるので、単なる夢オチの一種だったという事なのでしょう。   さてさて、そんな訳で前作と地続きな続編となる本作なのですが、ご丁寧に「主人公グループが未知の地底人と遭遇するまで」の件を、たっぷり時間掛けて描いている事に吃驚です。  これって、1を未見で2から観たという人に対する配慮なのだろうけど、連続視聴した自分としては「いや、地底人がいるとか、そんなのとっくに知ってるって」と、少々ノリ切れないものがありましたね。   そんな具合に序盤は既視感が強いシーンが続き、正直退屈。  でも「前作で死んだと思われていたジュノが、実は生きていた」というサプライズが飛び出す中盤からは、ようやくギアが入った感じで、面白く観賞出来ました。  考えてみれば、確かに前作でも彼女の死亡シーンは明確に描かれていませんでしたからね。  観客を裏切らない程好い衝撃といった感じがして、好印象。  前作を生き延びた主人公のサラと、彼女が再会し、対立しそうになるも最終的には共闘してみせる展開なんかも、ベタだけど良かったと思います。  お約束の「自己犠牲」を意図的に否定してみせた前作を踏まえた上で、本作ではあえてお約束の「自己犠牲」を主人公が行ってみせる構造になっているのも面白い。  途中まで退屈だったがゆえの反動もあるかも知れませんが、この後半部分に関しては、本当に良かったと思います。   その一方で、ラストが前作と同じ「助かったと思いきや結局は助かっていない」というバッドエンドであった事には、心底ガッカリ。  何もそこまで重ね合わせなくても……と、つい思っちゃいましたね。  もし3が出たら、今作の黒人女性も実は助かっており、サラに代わって彼女が再び洞窟に入って、そこで生き延びていたサラと再会して……という無限ループ的な展開になったりするんでしょうか。  そこまでやってくれたら天晴な気もするけど、どっちかっていうと(変に凝ってバッドエンドにするより、そのまま脱出に成功してハッピーエンドで良かったのに)という気持ちの方が強かったです。   そんな本作は「洞窟に入るメンバーが女性だけではなく、男性もいる」という点が前作との大きな違いとなっている訳ですが、結局は「男なんて不要」とばかりに、バッサリ切り捨てる脚本になっているのも凄かったですね。  「何があっても、君を見捨てない」なんて恰好良い事を言っていた男性キャラクターも、その二分後には崖から墜落して瀕死となり、そのまま何の活躍もせず退場するのだから、恐れ入ります。  その後に文字通りの意味で「足手まといな男を斬り捨てる」展開も存在しているのだから、徹底しているなぁと呆れる思い。  もしかしたら、一種の女性賛歌の映画なのかも知れませんね。   1と2の合計で、約194分。  色んなシーンを拝ませてもらいましたが、結局は「怪物なんかより女の方が怖い」という結論に至るという……そんな二作品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-09 10:16:00)
368.  ディセント 《ネタバレ》 
 地底人という怪物なんかよりも、人間の方が怖い。  そして人間の中でも「女」は特に怖い……と感じさせる映画でしたね。   前半は洞窟からの脱出劇かと思いきや、中盤から地底人が登場して「モンスター映画だったのかよ!」とツッコませてくれる辺りは中々楽しかったし、終盤にて「友人を犠牲にして自分だけでも助かろうとする主人公」を描いているのも衝撃的。  後者に関しては、普通なら嫌悪感しか抱かないはずなのに、何となく納得出来るように仕上げられているんですよね。  その友人が主人公の夫と不倫していたからとか、誤解も重なった上での選択であるとか、そういった「理由付け」以上に「他者を犠牲にしてでも生き残ろうとするエゴイズム」を肯定的に描いており、そこに説得力が生まれているように思えました。  とにかくもう、犠牲にする友人を見下ろす主人公の目線が怖くて、強くて、ちょっと恰好良く見えたりもしたんだから、お見事です。  この手のホラー映画なら、友人側が率先して自己犠牲を選ぶのがお約束であるだけに、それを逆手に取った展開が、非常に新鮮だったと思います。   一方で、オープニングの事故がラストの夢オチに繋げる為にしか機能しておらず、劇中ではむしろ「夫と友人が不倫していた」事に重点が置かれている辺りなんかは、チグハグに思えましたね。  だから最後に娘の幻を見たとしても、何か「取って付けた」感がある。  それと、夢から覚めて起き上がった際に、気絶する前は周囲に散らばっていたはずの白骨が無くなっているなど、ミスなのか演出なのか良く分からない部分があるのも気になりました。  演出だとすれば「地底人も、その地底人の犠牲者である白骨も存在しない。洞窟で起こった惨劇は主人公達の妄想による代物」あるいは、娘の姿が消えた事も含めて「ようやく主人公が死から解放されたという事を示す為に、あえて白骨は映さなかった。血まみれなのも出産直後の赤子を連想させて、生まれ変わった事を示す為」なんて可能性もありそうなんですが……そのわりには地底人の声を被せてくるし、主人公は娘の亡霊に囚われたままみたいな表情だしで、どうも納得し難い。  「ただ単に、脱出したと思ったら、実は夢オチで未だ洞窟の中にいたというバッドエンドをやりたかっただけじゃないかなー」と思えちゃいましたね。  最後には「洞窟探検に旅立つ前の、皆が笑顔で映った写真」で〆る辺りも合わせ、後味の悪さ重視の結末であった気がします。   ……なんて具合に、色々と解釈が出来そうな「投げっぱなしオチ」だった訳ですが、その答え合わせが続編にて行われていましたね。  本作を観賞後「結局あれって何だったの?」と気になって仕方ない人には、オススメです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-09 10:11:19)(良:2票)
369.  地獄の変異 《ネタバレ》 
 某探検隊風の予告編とは異なり、コメディ要素は皆無で、至って真面目に作られた一品ですね。   洞窟内の映像も美しく、しっかり作り込まれているのが伝わってきます。  ……ただ、どうも真面目過ぎるというか、強くダメ出しする部分も無いけど、大きく褒める部分も見つからない。  退屈はしなかったけれど、面白いとも感じなかったという、何とも微妙な印象を受けてしまいました。   楽しめなかった理由を分析してみるに、まず全編に亘って舞台が洞窟内に絞り込まれており、洞窟外のシーンが僅かしか存在しないので、息苦しい構成になっている事。  そして「主人公の兄が怪物に変異して敵対するのかと思いきや、最後まで味方のままで終わる」事が大きかったのではないでしょうか。  この辺りは「徹底して洞窟探検に拘った、潔い映画」「観客の予想を裏切る脚本」と褒める事も出来そうなんですけど、自分としてはマイナス点に感じられましたね。  前者に関しては、やはりずっと洞窟内のままだと画面が代わり映えしなくて単調になってしまうし、後者に関しては「頼れる兄との対比で情けない弟だった主人公が、最後まで情けないまま成長せずに終わる」という落胆に繋がってしまった気がします。   終盤の怪物達との戦闘、そして兄が完全に怪物になってしまう前に自己犠牲で相打ちとなる事を選ぶ展開などは良かったと思うのですが、実はヒロインも地底生物に寄生されており「怪物が地上に解き放たれてしまった」という後味の悪いオチが付く辺りも、ちょっと微妙。  ここの部分、ヒロインが寄生されていると分かった時の音楽や演出などが「えっ、何? まだ終わっていなくて続くの?」と思わせる感じだったもので、その後すぐ音楽が止んで完結を迎えるのが、何かチグハグだったのですよね。  それなら「実は彼女も寄生されていた」という衝撃と共に映画を終わらせる……具体的に言うと「ヒロインが立ち去る場面」で、そのまま終わらせて「主人公がヒロインを追いかけようとするけど見つからなくて途方にくれる場面」の数十秒はカットした方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と思えました。   それにしても「カタコンベ」といい「ディセント」といい、地下を舞台としたホラー映画って後味が悪いというか(うわぁ……)と感じさせる終わり方が多いですね。  これって偶々なのか、それとも「やっぱり地下系ホラーは、こういう終わり方じゃないとな!」という拘りのようなものが存在しているのか、気になるところです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-08 11:15:26)(良:3票)
370.  映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 《ネタバレ》 
 昨年の「新・日本誕生」が歴代ドラ映画でも三本の指に入るほどの名作であった為、大いに期待を込めて観賞。   結論から言うと、流石に前作を越えるほどの衝撃は味わえませんでしたが、まず満足出来る一品でしたね。  所謂「F原作大長編」の存在しないアニメオリジナルの作品としては「ひみつ道具博物館」に次ぐ出来栄えではないかな、と思います。   何といっても、脚本が良い。  これほど見事に「タイムトラベル」ならではの妙味を劇中の核に取り入れた作品は、ちょっと過去作品には無かったのではないでしょうか。  思えば十数年前、子供時代の自分は某ドラ映画を観賞し「何じゃそりゃ!」と盛大にツッコんで、時間軸が矛盾している脚本に呆れ返り「やっぱりアニメのドラえもんは原作漫画には敵わない」という偏見を抱くに至った経緯があったりしたのです。  それを、現代のドラえもん映画が汚名返上してくれた形なのだから、実に愉快痛快。  偏見を取り払い「アニメでも原作漫画より面白くする事は出来る」と教えてくれたのは「恐竜2006」でしたが、そこから更に十年以上の月日を経て「アニメオリジナルでも、複雑な時間軸を扱った面白い映画が作れる」と証明してくれたのは、本当に嬉しかったです。   伊藤つばさと星野スミレが背景で顔見せしたり、かき氷のシロップに「からあげ味」「かつどん味」があったり、ヒャッコイ博士が「ジャングル黒べえ」そっくりの仮面を被ったりと、遊び心に満ちているので、そういった小ネタを見つける喜びがある辺りも良いですね。  「氷細工ごて」を使って氷を溶かしながら移動するシーンは視覚的にも楽しいし、テントが強風で飛ばされてしまい、止むを得ずその場に穴を掘ってビバークするなどの「冒険」「探検」ならではのワクワクする展開がある辺りも嬉しい。  「南極でオーロラに見惚れながらカップ麺を啜ろうとしたら、すっかり凍ってしまっている」という場面が「翻訳コンニャクを食べようとしたら凍っている」という場面に繋がっている辺りも面白かったです。   また、全体的に演出がスピーディーであり、名曲「夢をかなえてドラえもん」によるオープニングの中で「氷の遊園地作り」「ジャイアン、スネ夫、静香を仲間に誘う件」を片付けてしまう辺りなんかは、大いに感心。  「南極での探検」「遺跡内での冒険」の中でもダイジェスト調にして手早く片付ける場面があり、自分としては好印象でしたが、ここは「ダイジェストになる場面が二回もあるのは、流石に如何なものか」と感じる人もいそうですね。   その他、あえて不満点を述べるとすれば「ゲストキャラであるカーラとの別れが、ややアッサリめ」だった事が該当するでしょうか。  エンディングの一枚絵にて「のび太との思い出のカキ氷機を大事にしている」と示されている為、それなりに余韻はあると思うのですが、ちょっと物足りなかったです。  前作において「ククルとの別れ」「ペガ達との別れ」と連続して描いたばかりという事もあり、今作においても別れのシーンを濃密に描いては流石に食傷気味になる……という判断だったのかも知れませんが、せめて一分くらいは尺を取って欲しかったなぁ、と。   クライマックスであるブリザーガとの戦いは「人間VS怪獣」という趣きがあり、実に自分好みで嬉しかったですね。  夢幻三剣士のシズカールに先駆けてドラえもんが「取り寄せバックで大量の水を取り寄せる」という作戦を披露しているのもニヤリとしたし「非力な人間達が知恵を働かせて、強大な怪獣を見事打ち倒す」という、心地良いカタルシスを味わう事が出来ました。  ラストにて「十万光年先のヒョーガヒョーガ星」を天体望遠鏡で観察し、十万年前に星が救われていた事を確認する演出なんかも(オシャレだなぁ)と、しみじみ感じ入りましたね。  二つの星と、十万年という時間、それらの壮大なスケールの話が、野比家にある望遠鏡のレンズの中で収束し、完結するという形。  子供の頃、原作漫画からしか感じ取る事が出来なかった「すこし」「不思議」な感覚をスクリーン越しに感じ取る事が出来た、素敵な映画でありました。    ……そして、来年はどうも「南海の大冒険」を再映画化するらしく(旧アニメ版の「南海大冒険」とは別物になるの?)なんて事も気になっていたりする訳ですが、それよりも何よりも監督候補が今井一暁さんなので、自分としては大いに期待しちゃいますね。  同氏が担当されている「最強! ころばし屋Z」や「巌流島ちょっと前の戦い」は文句無しの名作である為、映画ではどんな手腕を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ありません。  今後も観客に夢を与えてくれるような、素敵な映画を作り続けて欲しいものです。
[映画館(邦画)] 8点(2017-03-04 13:07:28)
371.  ガバリン 《ネタバレ》 
 この映画、妙に好きです。  もう三十年以上も前の作品だからか、ちょっとテンポが悪いし、終わり方も唐突で余韻もへったくれも無くて、洗練されていない印象も受けるけど、何処か憎めない愛嬌がある。  胸を張って「面白い! 好きだ!」と言えるタイプの品ではなく「そこまで面白いって訳でもないんだけど、何となく好き」って感じの品ですね。   「基本的にはホラー」「でも、全編に亘ってユーモアが溢れており、全く怖がらずに観賞出来る」「それでいて、怪物のデザインは結構不気味……」なんて具合に掴み所が無い内容であり、その魅力を語るのは難しいのだけど、特に「ユーモア」の部分が自分好みであった気がします。  怪物の手を踏みつけながら「いまは手がはなせない」と言ってみせたり、緊迫した場面で「絶対放さないぞ」と言った途端に掴んだ手を放しちゃうとか、そういう会話の妙があるんですよね。  主題歌もホラー映画らしからぬ惚けたテンポで「お前、怖がらせる気無いだろ」と、楽しくツッコませてくれます。   妻と離婚したばかりの主人公が、インスタント食品だらけの冷蔵庫を覗き込み、憂鬱そうにしながら電子レンジで調理する場面なんかも良かったですね。  こういう何気ない演出で感情移入させてもらえると、その後の面白さも倍増するように思えます。   その他、鏡の中に入り込むシーンはドキドキさせられるし、怪物と間違って元妻を射殺してしまったかと取り乱すシーンではハラハラさせられるしで、本当に色んな魅力が詰まっているんですよね。  親切な隣人、近所の少年、行方不明となっていた幼い息子など、怪物に殺されてしまうかと思われたキャラクター達が、全員無事に生き残る脚本なのも、後味が良くて嬉しい限り。   悪役である怪物達を除けば、誰も死なないし、不幸にもならない。  主人公一家にとっては文句無しのハッピーエンドという、非常に希少価値の高いホラー映画でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-03-01 12:00:58)
372.  キャンディマン(1992) 《ネタバレ》 
 最後のオチありきの映画ですね。  作り手側も、あそこの部分をやってみたくて制作に踏み切ったんじゃないかな、と思えました。   しかも、そこをあっさり描かないで「鏡の前でヘレンの名前を何度も呟いてしまう」というシーンを適度に勿体ぶって描いているから(あっ、これもしかして……)と観ている自分も気が付けたし、キャンディマンの代わりにヘレンが出てきた時には(ほぉら、やっぱり!)と、予想が当たって嬉しくなったのを憶えています。   基本的なストーリーラインとしては、主人公のヘレンが酷い目に遭い、最後は都市伝説の中の怪物になってしまうという悲劇なのですが、それほど後味は悪くなかった点も好み。  これに関しては作中で「人質に取られた赤ちゃんを救う事は出来た」という救いが示されているのが大きいのでしょうね。  わりと良い人そうだったヘレンの元彼氏が殺されてしまう件に関しても、作中で何度も「ヘレンが入院する前から実は浮気していた」という伏線が張られていた為(可哀想だけど、まぁ自業自得な面もあるか)と納得出来る感じに纏められており、脚本の巧みさが窺えます。   その一方で「本当にキャンディマンは実在するのか?」「全ては精神を病んだヘレンの妄想ではないか?」と思わせるような展開もあり、これが中々迫真の展開ではあるのですか(いや、明らかにキャンディマンの仕業でしょうよ)と思わせる情報が事前に多過ぎたので、何だかチグハグな気がしましたね。  例えば、冒頭にてキャンディマンの声で「血は、流す為にあるのだ……」なんて観客に語り掛ける演出がある訳だから、彼女の妄想の産物であるとは、ちょっと考えにくいんです。  このような展開にするなら、もっと序盤でキャンディマンの実在性をボカす演出(インタビューで聞いた話の中でのみ登場する、など)にしておいた方が良かったんじゃないかな、と。   あとは主人公のヘレンの存在感が強過ぎて、怪物役のキャンディマンの影が薄くなっている点なども気になりますね。  とはいえ、全体的な印象としては程好いサプライズが味わえた、中々面白い映画でありました。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2017-02-28 07:43:20)
373.  白い嵐 《ネタバレ》 
 海洋学校を舞台とした青春ドラマ、嵐による遭難、船長の責任を問う裁判と、大まかに分けて三つのパートで構成されている本作。   何やら詰め込み過ぎな印象も受けますが、配分としては「青春ドラマ」が主である為、落ち付いて観賞出来ましたね。  確認してみたところ、映画が始まって九十分以上経過してから、ようやく嵐に遭遇し、残り三十分程で完結する形となっており、作り手としてもメインに据えたのは「嵐に遭遇する前の日々」である事が伝わってきます。   自分としては、海洋学校のパートは楽しかったし、嵐のパートも迫力や悲壮感があって良かったと思うのですが、ラストの裁判に関しては、ちょっと納得いかないものがありましたね。  無言で鐘を鳴らすというメッセージ、生徒側の弁護、船長の毅然とした態度など、きちんと見せ場は用意されているのですが、結論が「免許取り消しは保留された」「だが、船長が海へ戻る日は来るだろうか?」なんていう、実に曖昧な代物だったので、どうにも反応に困ってしまいます。  ハッピーエンドの爽快感も無いし、バッドエンドの重く沈む気持ちも味わえないし、何だか観ているこちらの心も宙ぶらりん。  この辺りは、実話ネタならではの歯痒さでしょうか。   その他、意地悪な見方かも知れませんが「自分が米国人だったら、もっと感情移入出来たかもなぁ……」と感じさせる描写も多かったですね。  宇宙開発やら冷戦やらについてのラジオ放送が、劇中で頻繁に流れる演出なのは、作中の時代背景を伝えるという以上に、米国人のノスタルジーに訴える効果を狙っていそう。  それと、イルカを殺した件をあんなにも重大事のように扱う辺りも(確かに可哀想だ)と思う一方で(外国の人達って、本当にイルカが好きだよな)なんて考えが浮かんだりもして、ちょっと作中人物に距離を感じてしまった気がします。  前述の冷戦やら何やらの放送にて「アメリカの正義」を主張されていたせいか、途中で「キューバの魔の手から、毅然とした態度で少年達を守るアメリカの船長」なんて場面がある事にも、少々鼻白むものがありましたね。   序盤にて「船からの飛び込み」という適度な山場を用意し、観客を映画の世界に招き入れる巧みさなんかは、流石リドリー・スコット監督という感じだし、あんまり褒められた事じゃないだろう「飲酒」「買春」などのパートを爽やかに描いて「これも少年達の成長に繋がる、青春の一ページ」と感じさせてくれる辺りは、良かったと思います。   タイトルに反し、嵐に出会う前の、主人公達が生き生きとした姿を見せてくれる場面の方が面白く感じられた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-02-27 06:06:27)(良:1票)
374.  悪魔を憐れむ歌 《ネタバレ》 
 「真実の行方」や「オーロラの彼方へ」の監督さんが、こんな映画を撮ったのか?  と考えれば戸惑うけれど「ブラックサイト」と同じ監督と考えれば納得してしまうという、そんな内容の一品ですね。   悪趣味、バッドエンド、騙しの演出など、自分の苦手な要素が一杯詰まっているのに、それでも面白く観賞出来てしまったのだから困り物。  それだけ作り手の力量が確かなのだろうな、と思えるし「狡い」と不快感を覚える一方で「観客に対してフェアであろうという最低限の配慮はある」と認めざるをえない感じです。   例えば「猫からの目線で悪魔が主人公を見つめているカット」が中盤に存在している以上「猫に憑依したお蔭で悪魔は助かりました」というラストについても「そんなのありかよ!」とはツッコめないんですよね。  でもって「死にそうになった時の話だって、最初に言ったはずだ」と言われてしまえば「まぁ、確かにそうだけどさぁ……」と渋々認めざるをえないという。  「真実の行方」もバッドエンドだし「オーロラの彼方へ」もラストはサプライズがあったけど、その二作ほどは面白く感じなかったせいか「狡いよなぁ」とボヤきたくなっちゃいますね、本作の場合は。   中盤にて、歌を効果的に用いて「次から次に、色んな人達に憑依する悪魔の恐ろしさ」を描く件は、凄く不気味で良かったし、主人公の相棒と上司、どちらに悪魔が憑りついているのかと疑心暗鬼に追い込まれる終盤のやり取りも良かったしで、褒めるべき点は幾らでもあるのですが、如何せん結末が酷いと思うので、どうにも評価が難しい。  主人公に残された唯一の希望として、甥っ子が生き延びているのに、ご丁寧に悪魔に「あの甥っ子も殺してやる」とまで言わせているし……うん、やっぱり悪趣味です。   もしかしたら、悪魔を自らに憑依させて相打ちになるラストでは、有名過ぎる「エクソシスト」を連想するので、そこにもう一捻り加える必要性を感じたのかも知れませんね。  とはいえ、そもそも基本的なストーリーラインが「ペンタグラム」そのままな訳だから、あんまり気にしないで相打ちエンドでも良かったんじゃないかなぁ、と思えるのですが、どうなんでしょう。   世の中には勧善懲悪の物語が溢れているのだし、偶には悪が勝っても良いのかも知れませんが、自分としては受け入れ難い映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-22 03:40:25)
375.  サハラ 死の砂漠を脱出せよ 《ネタバレ》 
 観賞中  (何か、シリーズ物の中の一本って感じだなぁ……)  と感じていたのですが、原作小説は人気シリーズであり、これはその中の一作を映画化した代物だったのですね。大いに納得。   上記のように感じた理由としては「主人公と相棒のキャラクターが魅力的である」という良い点もあるのですが「観客が主人公達の事を知っているのは当然とばかりに説明が少なく、感情移入させる前に物語を進行している」という悪い点もあったりして、それが残念でしたね。  勿論、原作を読んでさえいれば解決する問題なのでしょうが、未読の身としてはキツかったです。   冒険映画として押さえるべき点は押さえてあり、夕暮れの砂漠をラクダで横断するシーンなんかは見惚れてしまう美しさがありましたし、ボートで河を移動するシーンなんかも楽し気で良かったのですが、どうも物足りない。  それは例えば「中盤の銃撃戦が妙にダレていて長い」とか「音楽の使い方もセンスは悪くないと思うんだけど、ちょっと派手過ぎる」とかいった、些細な違和感でしかないのですが、こういうタイプの映画って「観客に違和感を抱かせずに、気ままに楽しませてくれる」のが大事だと思うのですね。  その為、観ていて退屈したという訳では無いのですが「面白かった」とも言い難いのが、正直なところ。   もう一つ、大事な部分としては、砂漠を舞台にしているにも拘らず「主人公達が渇きに苦しみ、水を求めるような場面が存在しない」という点も気になります。  水質汚染というテーマを扱っている以上、手近な水をグビグビ飲んでいては不自然という配慮ゆえかも知れませんが、これは如何にも寂しい。   終盤にて遭難しかけた主人公達が、壊れた飛行機をヨットのように改造して移動手段とする場面などは痛快でしたし、良い所も色々と見つけられただけに、何だか勿体無いですね。  細かい部分を、もっと練り込んでくれたら傑作に化けたんじゃないかという、そんな可能性を感じさせる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-21 23:55:24)(良:2票)
376.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
 「男が抱いているヒーロー願望を、そのまま映画にしましたよ」という感じですね。  理由なんて全く語られないけど、とにかく主人公は強い。  幼い少年には無邪気に懐かれて、人妻と許されぬ恋に落ちたりする。  観ていて恥ずかしさも覚えるのだけど、それでも作り手のセンスの良さや、主演俳優の恰好良さに痺れる思いの方が強かったです。   派手なカーチェイスを繰り広げる訳ではなく、警察の目から巧みに車体を隠しながら逃げおおせるという冒頭のシーンが、特に素晴らしい。  「追いかけっこ」の興奮とは違う「かくれんぼ」の緊張感を味わえたように思えます。  それだけに、中盤にて車同士で火花を散らすような「普通のカーチェイス」の場面もあった事は(あっ、結局そっちもやっちゃうの?)という落胆もあったりしたのですが……まぁ、そちらはそちらで、やはり魅力的だったし「タイプの異なるカーチェイスを両方味わえる、お得な映画」と考えたいところ。   ちょっと気になるのは「恰好良い主人公」を意識し過ぎたあまりか、敵側の恐ろしさが欠けているように思えた事ですね。  丁寧に敵側の目線での物語も描いている為「底知れない不気味さ」なんてものとは無縁だし、単純に人数も少ないものだから、作中で「強敵と立ち向かう主人公の悲壮感」を醸し出す演出がなされていても、今一つ説得力が感じられなかったのです。  ここの部分は、少々バランスの取り方を間違えたのではないかな、と。   逆に「上手いなぁ」と感じたのは、エロティックな要素の挟み方。  バイオレンスな内容である以上、性的な場面が全く存在しないというのは不自然になってしまいそうだし、ある程度は必要になってくると思うのですが、この映画では、それを「敵地に乗り込んだ際に、そこに裸の女が沢山いる」って形でクリアしているのです。  こういった場合、ついつい安易に「人妻であるヒロインと許されぬ関係を結んでしまうベッドシーン」なんて形で性的な要素を満たそうとするものですが、そこを踏み止まって、あくまでもプラトニックな恋愛描写に留めてくれた事が、本当に嬉しかったですね。  夜の車内で二人きりになって、そっと手を握るだけでも充分に「背徳感」「許されぬ逢瀬」という雰囲気が伝わってきたのだから、これはもう大成功だったかと。  ヒロインの息子との交流シーンにて、普段は滅多に笑顔を見せぬ主人公が笑ってみせる描写を挟む辺りも、ベタだけど効果的で良かったと思います。   ベタといえば、そもそも「裏稼業のプロフェッショナルな主人公が、美女や子供と交流する事によって癒され、彼らを守ろうと戦う」というストーリーライン自体、ベタで陳腐で王道な代物なんですよね。  である以上「何度も使われてきた魅力的な骨組みである」という長所と「もう観客は見飽きているマンネリな内容」という短所が混在している訳ですが、この映画に関しては、前者の方を色濃く感じる事が出来ました。   ラストシーンも、これまたお約束の「主人公の生死は曖昧にしておきます」「お好みの後日談を想像して下さい」という、観客に委ねる形の結末だったのですが、音楽の使い方やカメラワークが上手いせいか、あんまり「ズルい」って感じはしませんでした。  自分としては「お腹を刺されたけど、病院に行けば治るんじゃない?」「とりあえず一番の脅威は排除したし、残党が襲ってきても主人公なら大丈夫でしょう」「あの奥さんと子供とも、きっと再会して三人で幸せになれるよ」なんていう、楽天的な未来を想像する訳だけど、それも有り得そうな気がするんです。  バッドエンドとは程遠い、不思議な爽やかさと明るさが感じられる終わり方だったからこそ、そう思う事が出来た訳で、非常に後味が良い。   ダメ男の現実逃避用とも言われてしまいそうな、そんな感じの代物なのですが……  やっぱり好きですね、こういう映画。
[DVD(字幕)] 7点(2017-02-20 21:44:39)(良:4票)
377.  -less [レス] 《ネタバレ》 
 序盤の時点で「あぁ、これは死後の世界か何かに迷い込んでいるんだな」と気が付かされる訳ですが、そんなネタバレ状態でも楽しめる一品でしたね。   七時半で車内の時計が全て止まっている件などは「つまり、その時刻で事故が起こった訳か」と推測させてくれるし「あの白い服の女性は誰?」(=事故の相手となった車の運転者)など、適度に謎も残してくれているので、一番大事なオチが分かっていても、細かい部分の答え合わせを行えて、退屈しないという形。  ラストにも分かり易く死神風の男が現れるし、日本で言うところの「怪談」映画だったのだなと納得して、モヤモヤを抱えずに観終わる事が出来ました。   とはいえ「怪談だから整合性とか気にしなくても良いんだよ」感が強かった辺りは、難点と言えそう。  登場人物の行動が不自然で、ちょっと感情移入し難いものがあったのですよね。  例えば、主人公のマリオンだけが車を降りて夜道に一人きりになる際に、彼氏も一緒に降りない理由が不可解だし、マリオンの弟が野外で唐突に自慰行為を始めるのも理解不能。  運転手である父親が飲酒したりなど、色々と道徳的、あるいは宗教的なメッセージが込められているのかも知れませんが、それらを読み解く楽しさよりも、置いてけぼりな気持ちの方が強かったです。   そもそも、隠されたテーマが云々と言い出したら「去年は高速道路を使ったので事故を起こさなかった。つまり、この映画には『皆も高速道路を使おう』というメッセージが込められているんだ」と言い張る事だって出来そうな感じなんですよね。  深読みしたら、作中の延々と続く道路同様に、キリが無さそう。   一家全滅ではなく、主人公だけは助かっているので、後味が悪いという訳ではないのですが「最高のおじいちゃんになる」という、もはや叶わぬ願いが書かれたメモが拾い上げられるシークエンスと、実は去年のクリスマスの時点で笑顔だったのは父親と娘だけ(しかも娘の方は作り笑いっぽくて、家族全員が違う方向を見ている)と明らかになる写真を映し出して終わる辺りには「悪趣味だなぁ……」とゲンナリ。  総合的には楽しめた時間の方が長くても、こんな具合にラストが好みでなかったりすると、評価が難しくなってしまいますね。   彼氏が「今夜プロポーズするつもり」と語った途端に、別の場所でマリオンが「彼に別れ話を告げる練習」をしている姿を映す演出は上手いと思ったし、中弛みしそうなところで「目に見えて狂い出す母親」という展開にして、観客の興味を維持させる辺りも、感心させられるものがあります。  「実は両親揃って不倫していた」なんて下世話な真実を明かしてくれるのも、作り手のサービス精神が伝わってきましたね。   観ると幸せな気持ちになれるという類の映画ではありませんが、平均以上の満足感は与えてもらったように思います。
[DVD(字幕)] 6点(2017-02-19 18:24:13)
378.  13ゴースト(2001) 《ネタバレ》 
 終わってみれば、主人公一家の四人は全員生存しているのだから「安心して観賞出来るファミリー映画」とも言えそうな本作。   ただ、自分としては冒頭から登場する霊能者のデニスに感情移入していた為、彼が死亡する展開だったのが残念でしたね。  その後に幽霊として助言してくれるし、主人公を庇っての自己犠牲である以上「オイシイ役どころ」とも言えそうなのですが、その辺りの流れも少々唐突。  「こうすれば、ずっと嫌いだった自分を好きになれる」との事なので、動機は理解出来るのですが (せっかく魅力的なキャラクターだったのに、こんな風に殺すのは勿体無いなぁ……)  と、感動するよりも惜しむ気持ちが強かったです。  主人公一家には幼い男の子もいるし、年頃の女の子もいるし、彼らと交流を持たせるなり何なりして、自己犠牲の動機に「この家族を好きになったので、守ってあげたい」という要素を濃くしてくれていたら、もっと好みだったかもしれません。   翻って、主人公一家はといえば、良くも悪くも王道、無難な造形ですね。  強烈に心惹かれるものはありませんでしたが、ちゃんと善人揃いなので「生き残って欲しい」と素直に応援出来る感じ。  物語としては子供達に「人質」以外の役どころが殆ど与えられていない事、黒人家政婦が場を和ませるアクセント止まりな事は不満に感じましたが、あくまでも主人公である父親中心のストーリーなのだから、致し方無いところでしょうか。  母親の霊が、残された家族に「愛してる」と告げてから消えるラストに関しても、綺麗に纏まっていて良かったと思います。   「前後」に両断される弁護士の殺され方など、この手の映画に必要な残酷なギミックが、きちんと描かれていた辺りも好感触でしたね。  何というか「残酷さ」のバランスが程好い感じで、うわぁ……とドン引きしてしまう程でもないし、全くドキドキしない訳でもないという、巧みなバランス。  掛けると幽霊が見えるようになる眼鏡など、魅惑的なアイテムが登場して、ワクワクさせてくれる辺りも良かったです。   「後半の展開が好みから外れている」という点を差し引いても、それなりの満足感を得る事が出来た、安定度の高い一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-14 16:41:08)(良:1票)
379.  HATCHET/ハチェット 《ネタバレ》 
 同監督作の「フローズン」と同じように、この映画も「痛い」描写が目白押し。   とはいえ、あちらの精神的にキリキリと響いてくるような痛みとは違って、こちらは盛大に血が噴き出して、思わず笑っちゃうような描写でしたね。  殺人鬼が出てくるシーンでも「ばぁっ!」って驚かすように画面下から飛び出したりして、どこかギャグの要素が込められている感じです。   自分としては、どちらにしても残酷描写は苦手なのですが、こういったスラッシャー映画自体は好きだったりもするので、無難に楽しむ事が出来ました。  何といっても、殺人鬼に遭遇する前の「沼地探検ツアー」の件が、妙に面白かったのですよね。  「彼女に振られて傷心中の主人公」「陽気な黒人の男友達」「隣の席に座っている訳あり気な美人ヒロイン」という主要人物の組み合わせだけでも、観ていて楽しくなっちゃう。  他のメンバーも「手持ちカメラでポルノ映画の撮影をする監督と女優達」「おしどり中年夫婦」「ガイド役は胡散臭いアジア人」といった具合に、個性的な面子が揃っていて、本当にワクワクさせられました。  (もう殺人鬼とか出さずに、このままおっかなびっくり沼地探検して平和に終わって、主人公とヒロインが結ばれるだけの映画にしても良いんじゃない?)  と思ってしまったくらいなのですが、そういう訳にもいかず、やっぱり沼地の途中でボートが事故を起こし、そこから先はお約束の血煙道中に突入。  本作の殺人鬼さんは見た目もグロテスクだし、殺し方は派手だし、テンポも良いしで、人によっては「ここからが本番」「ようやく面白くなってきた」という感じなのでしょうけど、自分としては「出て来なくて良いよ」「殺さないでよ」なんて、ついつい思ってしまいましたね。  結末に関しても「主人公は腕をもがれて瀕死」「ヒロインも殺人鬼に捕まる」「他のメンバーは全員殺され済み」という、悲惨な状況下で唐突に終わってしまう為、どうにも後味が悪かったです。   スラッシャー映画にハッピーエンドを求める方が無粋なのかも知れませんが、本作のように登場人物に魅力を感じてしまうと、やはりバッドエンドは辛いものがありますね。  ジェイソンとフレディ、更にはキャンディマンを演じた俳優さんまで起用するなど、このジャンルの映画に対する愛情は伝わってくるだけに、胸を張って「傑作だ!」と言えない事が歯痒くなってしまう一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-02-14 14:08:15)(良:1票)
380.  罰ゲーム 《ネタバレ》 
 作中で行われる「サイモンセッズ」というゲームに対し、全く馴染みが無かった事もあってか、今一つ楽しみ切れなかったように思います。   「ジョージ・マクフライ」ことクリスピン・グローバーが殺人鬼を演じている為か、襲われる若者達よりも、彼の方が主人公と呼べそうな作品なのですよね。  だから「殺人鬼がヒロインを監禁して、双子を産ませるオチ」に関しても、彼の目線からすればハッピーエンドという可能性もあるのですが……やっぱり後味は悪くて、満足度は低め。   「双子は両方とも生きている」と匂わせる描写が幾つかあり、その答え合わせがスタッフロール後に行われる遊び心なんかは、決して嫌いではないのですけどね。  ただ、それも「生きてたのかよ!」とツッコませてくれる一方で、結局はサイモンも殺人やら監禁やらの片棒を担いでいるなら「善と悪の双子」という対比も崩れる訳だし、何だか中途半端な印象に繋がってしまった気がします。  自分としては、ヒーローになるかと思われたザックが無残に殺されてしまった辺りも残念でした。   良かった点としては、やはりツルハシを使った豪快な殺し方が挙げられるでしょうね。  不謹慎な話ですが、こういう映画では殺害シーンに一種の「気持ち良さ」「爽快さ」を求められるものでしょうし、その点に関しては平均ラインをクリアしていそう。  森の中に無数のツルハシが飛び交い、何とかそれを回避するアクション場面なんかは、視覚的にも楽しかったです。  上述のザックの死体の中に隠れ、そこから飛び出して殺人鬼に鉈で襲い掛かるヒロインの姿なんかも、迫力があったかと。   「悪魔のいけにえ」の晩餐風景などもオマージュされており、スラッシャー映画として押さえるべき点は押さえてある為、妙に憎めない映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-13 21:18:11)
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