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361.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
“Kingdom of the Crystal Skull”邦題まま。 19年ぶりにインディ・ジョーンズが帰ってくる!きっと素晴らしい作品になるだろう!…なんて期待したファンは少なかったと思う。3部作としてきちんと終わっていたシリーズを、今さら掘り起こして、何を観せたいんだろう? ハリソン・フォードももう66歳。主演本数から、ハリウッドスターとしては第一線を退いていたのに、往年のアクションなんて無理だろう。そうは思っていたんだけど…予告編が出てくると、あの音楽、帽子を拾うインディの影。やっぱワクワク感が勝ってしまう。オリジナルキャストによる正当な続編に、やっぱり期待してしまう。  でもやっぱ宇宙人は違うわ。インディの世界の謎を解く鍵は“神話の考察”と“考古学”で、インディでも解けない謎の最高位は“神の存在”だと思うんだ。 実在するオーパーツとしてクリスタル・スカルを持ってくるのは面白いし、インディの世界観として正しいんだけれど、結論が“私達が宇宙人と認識するもの”なのはあまりに安直。「(彼らが向かった先は)宇宙じゃない、宇宙と宇宙の間の空間だ」とかそんな取って付けの説はどうでも良くって、スカルの集合体のデザインがモロにグレイと呼ばれる宇宙人で、彼らの乗り物が空飛ぶ円盤。神話とか考古学とか関係なく、宇宙人を信じる人たちの共通アイコンそのまんまなのにガッカリしたのさ。 『神に似せるため子供の頭蓋骨を縛る』とかってリアリティあるオカルト説が出てくるんだから、その路線で、過去のスカル信仰を暴いて、それでいてちょっぴり謎(神の存在)を匂わせて落としてほしかった。  時代が進んでナチスをソビエトにしたのはいい。スパルコ大佐もなんか格好いい。アメグラな世界観も良いし、核実験だって時代を象徴するアイテムとして納得してる。だけど本作に至るまでに、インディがCIAの前身組織に属して政府のためにスパイ活動をしていたなんて、その設定必要?もしかしたら宇宙人以前にこの設定にガッカリしたかも… マリオン再登場は嬉しかったな。だけど家族揃ってわらわら冒険するのが、前年公開のナショナル・トレジャー2と被っちゃったんだよね。 シャイア・ラブーフ。この当時スピルバーグの映画にやたらと出ていた気がする。当時はゴリ押し感が強く感じられたけど、いま振り返ると、映画界の今後のために新しいスター俳優が必要だったんだな。
[映画館(字幕)] 5点(2023-07-10 12:00:49)
362.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
“Psycho”『精神病質者』。'60年の日本で“サイコ”って言葉がどれだけ通じたか知らないけれど、原題をそのまま使うとは思い切った決断だったと思います。憶測だけど、この映画の影響で“サイコ”という言葉が日本で浸透したんじゃないでしょうか? 私が小さい頃、テレビで放送される映画はカラー作品ばかりで、これだけ有名な作品でも放送されることはなく、高校に入ってから、レンタルで観たんだと思います。でも観る前からテレビの『ホラー映画特集』とかで、この映画のハイライトシーンは観ていました。  サイコのハイライトといえば『女の悲鳴』シーンと『母親登場』シーン。 DVD特典の当時の予告編から『シャワー中に女性が悲鳴を上げる』シーンがあることは、当時の観客も知っていたと思います。 だけど有名な『母親登場』は、御存知の通りこの映画の最高機密となっていて、きっとリアルタイムで観た人は、意外な犯人に驚いたことでしょう。物言えぬ母親の画。女装したノーマン。最後の精神科医の説明が、一般人の疑問の隙間を埋めてくれます。そしてリアルな母親の死体のショックからクールダウンする時間を与えてくれます。素晴らしい。  映画を観る前から結末を知っている私が、この映画で驚いたのは、序盤からノーマンではなくマリオンが主役で、彼女の突発的な犯罪を、映画のおよそ半分を使って、しっかり追いかけたことです。こんな映画だったなんて知りませんでした。 だけどクライム・サスペンスだとしたら、マリオンの犯罪はあまりに愚図愚図です。具合が悪いと会社を早退したのに路上で会った社長に笑顔。仮眠のつもりが寝過ごして警官に起こされる。逃走の車を買い替えるところをその警官に見られ、試乗もしないで700$もの大金をキャッシュで出す。宿帳に偽名で書いたのに、うっかり実名を伝えてしまう。成功の見込み無しの犯罪。  私にとって予想外だったクライム・サスペンスは、有名な『女の悲鳴』を境に主役が入れ替わり、殺人映画に。そして当時の人にとって予想外だったであろう、サイコ・スリラーに様変わりします。 つまりこの映画の本当に凄いところは、『母親登場』の最後ではなく、その最後に至るまでの過程の方にあるのでしょう。愚図愚図なマリオンの犯行と、4万$の行方にヒヤヒヤし、今度は異常な母親の犯行を隠すノーマンの気持ちになって、マリオンの死がバレないかとハラハラします。だからこその、そして最後は…。になるんですね。 沼から引き上げられる車のトランクには、序盤のキーアイテムの4万$と、後半のキーアイテムのマリオンの死体が一緒に入っています。そのトランクのアップで終わるのもまた、一本の映画としてのパッケージングの上手さ爆発です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2023-07-04 22:21:03)
363.  男はつらいよ 純情篇 《ネタバレ》 
シリーズ6作目。どこがどう純情篇なのだろう?こっちこそが望郷篇じゃないの?なんて思ったり。 男はつらいよは、'69年8月、単独作品として公開されたところ、好評で続編を創り、それも好評でシリーズ化。それでも5作目で完結したのが1年後の'70年8月。凄いハイペース。そこからまだまだ引き伸ばして創った作品が本作のよう。DBで言えばセル編か?'71年1月の作品。  出だしから行きずりの女を助ける寅。彼女を抱かない理由を優しく言い聞かせるのが格好いい。五島に行ってからも女と父親の板挟みになりつつ、故郷について自分の思いを話す寅。随分と大人な言い方で“シリーズ化に際し人情モノに全振りしてきたか?”って思ったくらい。 だけど柴又に帰ってくると、博とタコ社長の板挟みになって、出先で見せた大人なところを発揮せず、有耶無耶に投げ出して、無責任に酒宴に参加してしまうのが、何だかなぁ…だわ。 本作のメインが朝日印刷の現状なのかな?博が居ないと経営が厳しいこと。タコ社長の奥さんと小さな子どもたち。従業員慰安レクの舟遊びのショボさ。大変だな梅太郎さん。  おばちゃん「この人ね、私のいとこの嫁行った先の主人のメイの、夕子さん」こういう『…要するに、誰?』ってなる冗談話好き。だけど、ついこの間まで春子先生(3作目)に間貸ししていた部屋をまた間貸し。時間軸とか気にしちゃいけない作品なんだろうけど、寅さんって大学時代の私より故郷に帰る頻度高いわ。 最初と最後の宮本信子&森繁久彌の親子の話は良かったけど、長期安定シリーズに入るための低空飛行か、単独作品としては際立ったものを見つけにくい作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-07-02 15:36:54)
364.  インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 《ネタバレ》 
“Last Crusade”『最後の十字軍』。もちろんインディ最後の冒険として“聖戦”訳もアリですが、聖杯の兄弟最後の生き残り。もしくは十字架兄弟団を指したものと思われます。 公開当時は2作目が最高傑作で、本作はイマイチ。なんて言われていたと思います。私の評価は逆で、1作目の雰囲気を回復させ、シリーズ最終作として詰め込めるものを全部詰め込んだ傑作だと思っています。やっぱナチとの追い駆けっこがテンション上がります。 私にとってインディは、大学教授の静の面と、冒険家としての動の面。神話や伝説といった過去ファンタジーと、ナチズムの台頭という現代の脅威が、うまい具合に織り混ざってこそ産まれた傑作だと思っています。  冒頭、リバー・フェニックスが若きインディを演じるサービス満点のプロローグ。冒険家インディがどのように誕生したかが詰め込まれた、ショートムービーのような満足感があります。ヘビ嫌い、ムチ、アゴの傷、帽子。このたった10分ほどの最初の冒険で、インディのアイデンティティを全部詰め込んできました。そして“最初に手にした宝物は悪者に奪われる”のも3作共通。この十字架の奪い合いから現代に戻る繋がりも“インディ、あの日から今日まで、ず~~っとこんな冒険をしてたんだな”って、観るものに伝えるやり方がメチャクチャ上手い。 同じくハリソンの出世作の前日譚で、似たようなことをやってたけど、私はあっちは駄目でしたね。  お父さんはショーン・コネリー。無敵のインディが苦手とする人物を出すのも上手いと思います。特定の動物が苦手、女好きという、親子らしい共通点…インディそんなに女好きだったっけ?って思ったけど、まぁ楽しめました。ジェームズ・ボンドばりに傘やペンで敵をやっつけるのも期待を裏切りません。 ナチとの追い駆けっ子。第二次大戦映画が廃れていた当時、キビキビ動くバイクや飛行機はとても見応えがありました。あと飛行船にヘンテコな戦車。戦車はドイツ軍のものではなく、第一次大戦中のイギリス軍のマークⅧって車体の、トルコ軍が長年改造して使用した版らしいです。へえぇ~。ナチの秘密兵器じゃないけれど、インディらしさ満点。 今回ヒトラーまで出てきます。祭壇にはヒムラー、ゲーリング、ゲッベルス(左端はカイテルか?)も居ますね。式典の豪華さと本を焼く市民の熱狂が伝わります。細かい話ですが、十字架兄弟団とナチの戦闘シーン。手榴弾を投げて落ちてきた敵に追い銃撃でとどめを刺すなど、スピルバーグ、こういうトコでコツコツと戦争映画の練習をしてたんだなって思えました。  700年以上生きている騎士と聖杯の秘密。境界の中だけ効力があるなんて、不死伝説の落とし所としてとても綺麗です。聖杯を博物館に収めるために持ち帰りたいインディに対し、生涯を掛けて聖杯を研究してきたヘンリーが「諦めて手を掴め」と諭すところ。この場面、いっつもホロっと来てしまいます。 インディ「(今回の冒険で)父さんは何を見つけたんだ?」ヘンリー「私か?illumination(解明)だよ。」宝物を私利私欲に使う悪党と、人類の宝として残したいインディ。そして聖杯の存在と、その奇跡を見ただけで満足なヘンリー。深いです。 サラーとブロディ、ジョーンズ親子の4人が夕日に向かって馬で駆けていく終わり方。絵的に安直に思えるけど、「他に夕日に向かって走る終わり方の映画ある?」って言われるとパッと出てこないので、これはこれで素晴らしい大団円でした。 そういえば本シリーズは、スピルバーグ初の続編監督作品でしたね。
[ビデオ(字幕)] 9点(2023-07-02 14:32:09)
365.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
2作目ともなると、どういう映画か解っているぶん、素直に楽しめました。ジョン・ウィックの無双。技のキレ。銃撃の正確さ。華麗さ。全てが前作より増していたような気がしました。 もう飽きるくらい多彩なガンアクションが長時間堪能できます。ジョンにアッサリと殺されるあいつら、それなりに訓練を受けたマフィアとかなんだろうけど、あぁも簡単に死んでしまうんだな。  ジョンの体術と銃さばきをミックスした、流れるようなガンアクションを観ていると、一部マニアに人気があった“ガンカタ”が頭に浮かびます。燃えよドラゴン張りに『鏡の間』をクライマックスに持ってくるところからも、“銃を使った格闘技”を再び世の中に浸透させようという意図があったのかもしれませんね。なんで前作でピンとこなかったんだろう?  陰ながらジョンを助ける役で、ローレンス・フィッシュバーンが登場したのには、おぉ~~~ってなった。きっと次作で活躍するのかな?犬は無事かな? この映画の世界は殺し屋があまりに多すぎるのと、ジョンと同等の殺し屋が出てきたために、ブギーマンの絶対優位性が薄れてしまった気はするけど、1→2の時より続きが気になる創り&終わり方だったのは好感。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-06-28 23:31:51)
366.  メジャーリーグ 《ネタバレ》 
スポーツ物の映画って当たり外れが大きく、特に野球モノというと、突出した作品が生まれにくいのかもしれません…なんでだろ?野球を題材にした漫画は名作もたくさんあるのに、映画やドラマとなると極端に数が少なくなる。考えたら1試合3時間近いのに、それを約2時間の映画に収めるのは、やっぱ難しいのかな? そんな映画には不向きっぽい野球映画のなかでも、このメジャーリーグは、スポーツコメディとして王道と言える面白い作品だと思います。  インディアンズは本当に弱いチームだったみたいですね。当時常に最下位争いしてるようなチームで、そんなチームを取り上げて、本拠地移転という危機を創り出し、クセのある選手たちが集まって、さぁどうなるか?って映画です。 チームのグズグズ感。新オーナーの悪女っぷり。どんどん劣悪になるホスピタリティ。チームのダメダメ感がよく出ています。 日本のスポ根モノと違って、別にハードなトレーニングで強くなるわけではなく、能力のある選手たちが自分の力を存分に発揮して、勝利を掴んでいく展開。選手たちの歯車が噛み合って、スーパープレイがジャンジャン出てくる後半の展開。オーナーのボード作って試合に勝つたびに、1枚づつ衣装を剥がしていく悪ノリ具合。嫌いじゃないです。  今でもスポーツニュースの定番曲『WILD THING』、インスト曲『Pennant Fever』は観ていて&聞いていてテンションアゲアゲ。リッキーに気合を入れるロジャー。徐々に球が走るリッキー。塁に出たウィリーの「9フィート先さ」は鳥肌モノの名セリフ。そしてジェイクの予告ホームラン。最後の1試合に、野球の醍醐味を全部詰め込んできた。 もうね、この一作で全力投球。この題材のオイシイ所は全部出し切ったと思います。
[地上波(吹替)] 7点(2023-06-26 10:02:21)
367.  花嫁の父 《ネタバレ》 
“Father of the Bride”邦題まま。リメイクを観たばかりで、本作の存在を後から知って、観たいなぁと思ってたらBSでやってくれた。ありがとうBS!で、期待通り面白い作品でした。 コメディの中でも“HowToもの”とでも言うんだろうか、結婚式の晴れの舞台の舞台裏。誰もが直面したであろう、豪華さと比例して出ていく底なしの金額の恐ろしさ。出費で削るところは削るとしても、どこを削ればいいんだろう?という楽しさは、万国共通なのかもしれない。  娘の結婚が突然過ぎて、相手のアラ探しをするけど何も出てこない不満。娘の連れてきた男を信頼して落ち着いてる妻にも不満。自分が心配だからって妻まで心配にさせるなんて、良い意味で人間臭くて、良くも悪くも器小さくて、とってもリアル。親同士の話し合いで、酔っ払ってついつい余計な事までべらべら喋るのも、緊張から開放された感も上手い。 招待客1人に付き3.75ドル。1950年の1ドルっって幾らなんだろ?日本円で360円だけど、当時の貨幣価値を考えるとラーメン1杯20円…そりゃ家族で膝を合わせて招待客の取捨選択するわ。1500ドルで駆け落ちの打診なんて、本心じゃないの解るけど、そこまで悩んでる感がとても良く出てる。  ハティ叔母さんのセンス悪い時計から「送り返して!」の流れも綺麗。リメイク作と本筋は変わらないんだけど、やっぱり面白い。自分が式をメチャクチャにする悪夢も、何か本当にそんな夢見そうで怖い。その直後結婚式を不安がるケイを慰める姿が涙ぐましい。自分だって怖いのに。 あれだけ盛大な式のお金を出して、式の当日まで裏方並みに準備をして、教会で花嫁を渡したら、それで役目が終わる。 あぁ、父って偉大。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-06-26 09:18:11)
368.  男はつらいよ 望郷篇 《ネタバレ》 
シリーズ5作目。本作でシリーズを終わらせる予定だったそうで、1作目に回帰するように寅&登コンビ復活です。ここまで順番に観てきた印象では、共通のお約束はあるけれど、各作品個性が出せていてマンネリ感はなく、寅を中心に登場人物を深掘りしていくようで面白いです。  本作は寅がテキ屋をやっている姿は出てきませんが、テキ屋を生業とする者の生き様、仁義が描かれています。正吉親分の死をキッカケに登の兄貴分としてピリッとした空気を創り出してます。旅館で登に酒を注ぎ、自分には注がせないで父親の話を始める寅。兄弟の杯を割り、泊まり客に凄んで見せる寅はまさにヤクザ者。前作で子供と一緒に歌ってた寅とは一転して、寅がどんな世界で生きているかが観えてきます。  本作のタイトル・望郷篇。最初ピンとこなかったんだけど、寅次郎の心の拠り所と考えるとストンと落ちました。 本作ではさくらの出番も増えてます。むしろ前2作の出番があまりに少なかった(山田監督の陰謀?)んだけど。本作では生まれ故郷の柴又に帰ってきた寅と、それまでのテキ屋として生きてきた寅。それぞれの世界で寅の拠り所となっていたのが、柴又の妹・さくらと、テキ屋の弟分・登でした。 最後、いつものように柴又を後にする寅。訪ねてきた節子に『いつものことだから』という顔を見せるさくら。一方で朝里の海岸で偶然にも登と出会って、嬉しそうに仁義を切り合う寅と登。これまた『いつものこと』なんだろうな。と思わせる、素晴らしい終わり方でした。  あ、私が生まれるちょっと前の札幌と小樽と共和町の景色も楽しめて、テンション上がりました。あの頃までSLが走ってたなんて思わなかったわ。旅館に貼られた札幌五輪のポスター。そうかそんな時代か。札幌はオリンピックを境に急速に発展したんだろうな。 当時の小沢駅周辺、末次旅館のある風景の味わい深さ。ロケ地を回る個人サイトの写真と見比べると、今の小ざっぱりとしてしまった北海道の田舎の寂しさが、なんか私にとって望郷って感じです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-06-26 08:39:00)
369.  インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 《ネタバレ》 
“Indiana Jones and the Temple of Doom”『インディアナ・ジョーンズと悲運の宮殿』。シリーズ2作目。本作から『インディ・ジョーンズ』がタイトルに出てきます。なぜかレイダースより1年前が舞台です。真ん中から上映し、前日譚、後日譚って流れはスター・ウォーズみたい。 幼い頃、レイダースがあまりに面白かったので、インディの名を冠した本作は、きっともっと面白いに違いない!!…って思ったんだけど、まず時代設定がとても古く感じました。前作の近代的な時代設定から、時代の良く解らない上海、そしてもっと良く解らないインド。出てくる兵隊(ブランバート大尉のイギリス軍)も、ちょっと昔な感じに観えてしまって。前作のVS軍隊のリアリティと打って変わって、何でもアリなファンタジー世界に思えてしまいました。  ショート・ラウンド。自分と同じくらいの歳の子供が大活躍するのが、当時のマセガキの私はシラケてしまいました。ハッキリ行って、ウザい。だってあの子の蹴りで大の大人が倒せるとは思えないんだもん。この辺り、SWのイウォークと同じ匂いを感じてしまった。ルーカス発案なのかなぁ? 子供が活躍する一方で、ダークな世界観が不釣り合いに思えます。カブト虫や猿の脳みそ食べたりとか、かなり悪趣味。そして私はこの映画で虫が駄目になりました。小さい頃はトノサマバッタとか掴めたのに。デパートの世界の昆虫博とかも見に行けたのに。それまで意識していなかった“踏むと潰れる”“身体を這い上ってくる”ってのが気持ち悪く思えてしまって、虫もう駄目!!って。  一番違和感が大きかったのは、世界中を駆け回った前作と違い、中国からインドの宮殿に入って、そこを出たら映画が終わるところから、行動範囲の狭さに物足りなさを感じました。またロケよりセット内の撮影が多く感じられるのと、まだ技術的に未発達な特撮に頼りすぎているのも、前作との大きな違いに感じました。トロッコとか、水攻めから崖に逃げるとことか、当時のテレビだと特撮がしょぼく観えてしまって…  なんかメチャクチャに書いてますが、今は結構気に入ってます。上海のダンスシーンは賑やかだし、グロい晩餐会も虫だらけの洞窟も味があってイイ。洗脳されたインディが、どうして火を当てると正気に戻ったか謎だけど、そこからのマッチョな大活躍はスカッとします。特撮も当時ほどチャチに観えなくなってます(脳内補完?)。吊り橋で敵に囲まれて刀を振りかざすインディの格好良さったら無いね。これぞハリウッドの生み出したヒーローって感じです。
[地上波(吹替)] 7点(2023-06-26 00:05:29)
370.  汚れた英雄(1982) 《ネタバレ》 
あまり良い映画じゃない…とは聞いていたけど、バイクレースのシーンは思いっきり合格点な格好良さです。ローズマリー・バトラーの主題歌がまた映画に合ってて、懐かしくて格好いいんだわ。 ストレートを3台並んで並走するシーンなんて、どうやって撮ったんだろう?って思ったら命がけで撮っていてビックリ。車載カメラと思わしき映像や、コーナーを攻めるバイクを正面からアップで捉えた映像なんて、素晴らしいじゃないですか。レースシーンのこだわりは、まさに和製2輪版グラン・プリ。  ハリウッド俳優並みの二枚目・草刈正雄のおケツをたっぷり堪能できるこの映画、彼の脇を固めるのか、奥田瑛二と浅野温子が演じる緒方夫婦。見せ場は少ないけど、まだ売出し中の2人が観られたのは、ちょっと嬉しい。 木の実ナナ。この当時もう彼女の存在は知ってましたよ。子供の私から観て、クワッとした髪型の、性格が強そうな大人の…女性。まさか脱いでるとは思わなんだ。ウチのママンよりは数歳若いけど、この映画の彼女のあの使い方が正しいのかどうか、どうにもこうにも良く解らない。うぅ~~ん… え、レベッカ・ホールデン?ナイトライダーのエイプリルだよ凄い!!これは嬉しくも懐かしかったわ。あと黒部進(ウルトラマン)と団時朗(帰ってきたウルトラマン)がどこかに出てたんだ?どこだよ見逃した。  さて、バイクの映像は凄い格好いいんだけど、冒頭から15分以上も淡々とレースシーンが続くから、正直飽きてしまう。 北野はすでに巨万の富を手に入れていて、プール付きの豪邸に住んで、優雅な日常を送っている。いくら国内最高峰の2輪レーサーとはいえ、あそこまでの暮らしを手に入れるのは難しいだろうに、金持ち女にくっついて援助してもらって、今の北野があるんだろう。 こんな、ハングリーさを向けるべき方向を間違ってる人が、最終レースでもあんな結果になってしまう。あんな序盤飛ばしすぎても、あんなアクシデントがあっても、結果はあぁなるんだよ。人生ってなんだろうね? そして最後のテロップ。え?あ、あぁそうなんだ…って感想にしかならないよ。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-06-22 23:37:09)
371.  新・男はつらいよ 《ネタバレ》 
前作に引き続き、山田監督作品じゃない寅さん。前作の舞台が寅の旅先が中心だったのに対し、本作の舞台はほぼ柴又。前作同様、さくらはあまり出てきません。なんか3作と4作でワンセットになってる印象です。 今回のマドンナがとらやに下宿するというのも、前作の寅が旅館に住み込みで働いていたのと対になってるのかな?って。 ここに来て思ったのが、オープニングで寅が、悪びれもなく赤の他人に迷惑をかけるシーン(本作ではバスで窓側の席の乗客を押しのける)を入れてくるんだけど、当時は純粋に“笑い”として入れてたんだろうな。って。自転車の列が土手からコケたり、寝てる人の頭をカバンで小突いたり。オープニングのこの場面はね、どうにも「寅次郎、酷っ…」って思ってしまうわ。  前作でとらやのツケで大盤振る舞いしたからってワケじゃないだろうけど、競馬で大当たりしたお金で、おいちゃん夫婦と一緒にハワイ旅行に行かせようとします。ここから先の展開はまるでこち亀を観てるかのよう。悲しいやら情けないやら、追い打ちを掛けるように泥棒まで入ってくるなど、ドタバタしたコメディ要素が満載でワクワクしました。 本作の影の主役はおいちゃんとおばちゃん。青いJALのカバンを下げたおいちゃんとおばちゃんの嬉しそうな顔。慣れないカタコト英語。ハワイに行けなくなってからの二人の言い分なんか、とても人間臭いリアリティを感じました。最後も寝たふりで寅を見送るところが、寅の親代わりなんだなぁって微笑ましかったです。そういや今さらだけど、おいちゃん夫婦には実子が居ないのかな?  春子の父の死は、もっと話の筋に絡めてもって思ったけど、重たくなるから抑え気味にしたのかな。会沢という友人の訪問が突飛に思えたのもあって、とらや住み込みという好条件な割に、マドンナの印象が薄い。春子に近づくためとはいえ、幼稚園児と一緒になってはしゃぐ寅が可愛いです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-21 23:45:32)
372.  華麗なるギャツビー(2013) 《ネタバレ》 
“The Great Gatsby”『偉大なるギャツビー』。オリジナルは観ていませんが、レッドフォードにディカプリオ。主演俳優の美しさから邦題は『華麗=(The Brilliant)』の方にしてみたんでしょうかね?ジェイの繊細さが滲み出ていますが、タイトルとしては一代で富を築いたスーパー金持ちギャツビー氏って方に掛かってる、The Greatなんだと思います。誰が監督か特に意識しないで観てるうちに「これ、○○監督かな?」って特徴ある監督っていますよね。バズ・ラーマンとティム・バートンはすぐ解る気がします。  さて、謎多き大金持ちのギャツビー氏。そんな人が隣人だとニックでなくても興味が出てくると思います。ただね、彼がパーティを開く理由、そこに住む理由が紐解かれるたびに、ギャツビーを形成する鎧が剥がれていき、丸裸になる頃には、過去の恋に生きる単なる臆病な男になってしまいます。デイジーの過去の恋愛までを否定させるでなく、それを受け入れた上で新たな交際を始めるならともかく…なところです。  嫌になっちゃって「トムもうここに居たくない!」って叫んじゃうデイジー。あぁこれが最近学んだ“蛙化現象”か。ここからサスペンスっぽくなるけど、最後の方、ニックからの電話にスンとした顔して執事を見上げてるデイジーがまたとっても印象深い。これが、まだデイジーにも未練があって、会場に行きたいけど、でもトムが…ってなら物語としてアリだけど、彼女の感情の中で、完全に終わったんだなぁ~って顔。悲しすぎる。  華麗なるギャツビー役がディカプリオで良かったのか、ちょっと疑問です。やはり彼の美少年全盛期に比べ、顔つきがふっくらして、目には迫力があります。貧しい生まれで、戦場を生き抜き、禁酒法の裏社会で財を築いた偉大なる人物の顔つきはしていますが…
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-06-12 21:48:34)
373.  大脱走 《ネタバレ》 
“The Great Escape”『偉大なる脱出劇』。Greatには『大量の』なんて意味も含んでますが、もう『大脱走』で充分ですよね。 私が観たのは'87年の放送でしょうか?カラッと陽気な古き良き戦争映画として、また脱走モノとしてのハラハラドキドキ&ワクワクを存分に楽しみました。そしてスティーブ・マックイーンの格好いいこと。バイク・スタントのシーンはもちろんの事、独居房で独りキャッチボールする姿がとても格好良かったです。  物語は大きく分けて、収容所生活とトンネル掘り。脱走とその後の2部構成です。単純だけどこの構成が素晴らしい。 オープニングで誰もが知る大脱走マーチと共に、捕虜収容所に向かうドイツ軍のトラックを映します。ここから脱走計画実行まで、ず~~~~~っと収容所の中の話になります。例えばヒルツとアイブスがどんな風に捕まったのかとか、ウェルナー(白イタチ)が、どこでカメラを手に入れたかとか、想像すると笑えそうだけど、収容所の外の話は一切描写しません。 2時間ほど、ずっと収容所とトンネル掘りからの決行当日。息を殺しての脱走劇。この後半1時間に、一気にヨーロッパの風景がなだれ込みます。どこまでも続く牧草地帯、雄大なアルプス山脈、古風な市街地、戦時中とは思えないお洒落なカフェ…収容所で貯めに貯めたストレスが、まるでヨーロッパ観光でもするかのように、開放感となって一気に炸裂します。  実話をモトにしているものの、架空・創作の部分がまた良い味付けになっています。アイブスとヒルツ。トンネル王のダニーとウィリー。偽造屋コリンと調達屋ヘンドリーの友情が、映画らしく印象的に描かれています。またヒルツのバイクチェイスといい、飛行機強奪といい、史実に忠実にするのではなく、後半に向けて娯楽映画としての醍醐味を加える、良い味付けに思えます。  脱走の常習犯を一箇所に集めたにしては、随分と簡単に手に入る物資。あんな大規模なトンネルを3つも掘れたり、密造酒が飲めたり、ドイツの収容所の緩さが、ほのぼのとした当時の戦争映画らしく思えます。そして当時のドイツがゲシュタポのような“悪の象徴のナチス”と、ルーガー所長ら“普通に国を守る軍人さん(国防軍)”が混在していたことが、きちんと描かれています。 脱走した76名のうち50名が殺害。ヒルツもヘンドリーも運良く国境警備の国防軍に捕まったようだけど、ゲシュタポに捕まった捕虜は全員殺害されたようです。史実や原作は解りませんが、緩い警備体制で脱獄成功というヘマは国防軍におっ被せて、ビッグXら脱走常習犯の捕虜を公的に殺害する。というのが、ゲシュタポの目的だったのかもしれませんね。 最後は独居房に響く独りキャッチボールの音と、何か言いたげなドイツ兵(4回とも同じ兵隊さん)。カラッと陽気な古き良き戦争映画だけど、単なる娯楽に終わらない深みも味わえました。
[地上波(吹替)] 10点(2023-06-12 17:48:13)
374.  男はつらいよ フーテンの寅 《ネタバレ》 
フーテンとは、瘋癲と書いて…精神疾患の意味??とんでもない事を知ってしまった。 順番に観て3作目。監督は違いますが、さほど作品としての違和感や、キャラクターの破綻なんかは感じませんでした。きっとTVシリーズで既に車寅次郎というキャラクターが一人歩き出来ていたからでしょう。  一人歩きと言えば、本作は寅次郎の日常、日本中を旅する姿がメインとなっていて、お馴染みの柴又へは一度しか行ってません。そのため寅次郎のフーテン具合がよく伝わる作品となっていて、ある意味面白かったです。 家族写真のさくらを奥さんだって見栄を張る寅。博と喧嘩になって、あっさり負けて呆然としている寅。染子の父の気持ちを代弁し、その父に対しテキ屋として最大級の礼儀を示す寅。普段は馬鹿で子供だけど、テキ屋の世界に長く居るだけの人物であることを観せてくれてます。最後の桜島行の船での口上の実演なんか、定番だけどやっぱり聞き入ってしまう。 このシリーズをキッカケに、フーテンという言葉の本来の意味から、何ものにも縛られない、自由気ままな暮らしをする人物。みたいな意味が書き加えられたそうな。  マドンナとしてお志津が配されていますが、彼女との恋の駆け引きは今回殆どなく、お見合いから駒子夫婦の復縁に必要以上に大盤振る舞いさせたり、信夫と染子の駆け落ちを後押ししたり。自分の為でなく人の為に奔走する寅次郎が印象的でした。 でもそこはフーテン。無断でとらやのツケでご馳走用意したり、ハイヤー呼んだりと、どこかズレてるんだけど、さくらの「でもお兄ちゃん、別に悪い事した訳じゃないもんね」って一言と、大晦日に駒子夫婦も招いているおいちゃんに、ホッとさせられました。 『ゆく年くる年』がとらやのモノクロテレビから、お志津の家のカラーテレビへ。これだけでお志津が裕福で不自由のない暮らしに入ったことを表す手法はお見事。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-07 22:40:53)
375.  オールウェイズ 《ネタバレ》 
“ALWAYS”『いつまでも』。ピートとドリンダがシャンパングラスにビールを入れて乾杯するときの、ドリンダのセリフです。 リチャード・ドレイファスと“煙が目にしみる”と言えば『アメリカン・グラフィティ』を連想するけど、使われたのはロン・ハワードとシンディ・ウィリアムズのダンスシーンでした。  まだCGが普及していない時代、飛行機の映像は遠景の実機か模型で、コックピットは別撮りのパイロットのバストアップ映像が多かったと思います。トップガンでもそう。でもスピルバーグ映画の飛行機は、中に人が乗ってる感が良く出ていますね。本作も例に漏れずで、飛行機越しに中のパイロットを観せたりと工夫が見られます。 あと、とにかくホリー・ハンターがちっちゃくて可愛い。ベッドで小さく丸まって寝てるトコなんて子供のようだし、アルに抱っこされるドリンダの画はまるで少女と特大テディベアみたい。  さて、ドリンダとテッドの恋を見守るピート。さぁここからどうなる?死者がかつての恋人のもとに現れるファンタジーものとして、どうも後半がバタバタしています。ピートとドリンダが惹かれ合う理由付けがイマイチ弱い気がします。レイチェルなんてその後が無いから噛ませ犬扱い。そしてドリンダが独断で飛んだのも突飛に感じました。あとハップはもう一度くらいピートのもとに出ても良かったかと思いました。だってピートの気持ちをわかってあげられるのってハップだけだし。  本作の目玉は、映画に出なくなって久しいオードリーの、最後の作品ということ。永遠に若いスクリーンの王女・オードリー・ヘップバーンが、今現在の年齢を重ねた姿を残したこと。 スピルバーグは本作で“歳を重ねても可愛い女性”を撮りたかったんじゃないだろうか?ケバケバしい厚塗り化粧の若造りしてるオバサンではなく、ナチュラルで可愛い大人の女性。それが当時60歳のオードリー・ヘップバーンであり、31歳のホリー・ハンターだったんじゃないだろうか? …こう書いてみて、当時の2人が案外若いことに驚いてしまう。今の60歳とか31歳とか、スゴい若いよね。でも平成元年の頃31歳はオバサン呼ばわりだし、60歳は思いっきりお婆さん扱いだったように思う。 いつまでも可愛い大人の女性。美魔女とは違う魅力。阿川佐和子や安達祐実の事を、一部ネットで“ロリババア”と言うらしい。もちろん褒め言葉として。 オールウェイズはスピルバーグが時代を先取りして創った、ロリババア映画のさきがけだったのかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-06-06 22:24:19)
376.  カリートの道 《ネタバレ》 
“Carlito's Way”邦題まま。 逮捕前のカリート・ブリガンテの武勇伝についてはあまり語られないけど、もうアル・パチーノってだけで大物のマフィアでカリスマ性があったんだろうって想像できますね。そんな男が5年ぶりにシャバに戻って、カタギとして生きようとする。 時代が変わってベニー・ブランコのような(カリートから見て)チンピラが大物を気取っている。サッソが言う「彼は20年前の君と一緒じゃないか。」おそらく街もマフィアの世界も何も変わっていなくて、カリートの居ない間に時間だけが過ぎただけ。悪党は次の時代の悪党に代替わりし、古い悪党は沙汰される。ただカリートは自分の進むべき道を考え、ただそこに向かって進もうとしていた。 昔からの仲間、ラリーン、クラインフェルド、サッソ、パチャンガ。昔の仲間に大なり小なり裏切られるカリート。ここだっておそらく昔と何ら変わっちゃいない。カリートの価値観、進む道が変わっただけ。  クラインフェルドのクズっぷりが素晴らしい。カリートの刑期を短縮させるなど、それなりに有能な弁護士なんだろうに、突発的な行動が後先考えてなくて驚く。だけどトニーの脱獄の手助けがフランク一人だけって、マフィアって人材不足なのか?あれじゃクラインフェルドだって暴走するわ。でもカリートを道連れにする意味が…何かさせるつもりじゃなかったのかな? オープニングから撃たれるカリート。この場面がどこで出てくるのか?と思ったら一番最後だった。この映画で結末を映画のアタマに持ってきた意図が私には良く分からず。パチャンガがあの場面でカミングアウトする意図も私には分からず。ただカリートの脱出劇の緊張感。『楽園への脱出』看板と踊るゲイルの美しさは『ユー・アー・ソー・ビューティフル』と相まってとても美しかった。さすがデ・パルマ。  ブロードウェイを夢見ていたゲイルは、ストリッパーに身を落として働いていた。想像と違う現実のゲイルに、カリートは少なからずショックを受けたはず。 サプライズでゲイルに会いに行き、格好つけて帰ろうとしたときのゲイルの言葉。ドアチェーンを引きちぎるのは、想像していた自分の姿とは違ったはず。 最後の夕焼けの海岸で踊るゲイルは、あくまでカリートの理想とする将来像。自分抜きにでもバハマで幸せに暮らすゲイルを想像してのことなんだろう。 だけどきっとゲイルはバハマには行かないはず。カリートが死に、何のツテもなく身ごもったゲイルが、見知らぬ土地で一人生きていく未来は想像できない。マフィアの世界から足を洗おうとしても抜け出せなかったカリートと一緒で。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-04 22:43:57)
377.  続・男はつらいよ 《ネタバレ》 
BSなんかで放送された映画は、レコーダーに録画したのをDVDに焼いて、後日それを観てます。男はつらいよは50作もあるので、間違いなくどれが何作目か解らなくなるので、タイトルの他に“○作目”って書いてます。さてシリーズ2作目。当時は本作でシリーズ終了予定だったそうで、寅次郎の過去を広げる作品で、“続”の名が示す通り前作の続き=後編の色合いが強く感じられました。オープニングの歌も2番でしたね。  序盤で涼しい顔してさくらに5,000円札を渡して、見えないところで「痛かったなぁ今のは…」ってボソッと言う寅が人間らしく、訪ねてきた男が息子だと知った菊が、一瞬嬉しそうな顔をしたあと「今頃なんの用事かね、銭か?銭はあかんで」と突き放すのもまた人間らしい。親子だなぁ。 グランドホテルが今で言うラブホテルだったのと、ラブホに女中が居るのも驚いた。女中がお茶持ってきたり浴槽とかバイブとか鏡とかの説明するんだね、カルチャーショック。お決まりのお笑い要素、お母さんとか母親とか言っちゃダメって言ってるそばから次々と言っちゃったり、葬儀の車で藤村先生ととなりになったり。“気まずい状況”を笑いにするのは、寅さんシリーズらしい面白さ。  2作品を前編と後編として考えると、本作の根っこにあるテーマは引き続き“寅次郎の家族との再会”です。そして前編に当たる1作目が妹の結婚に甥の誕生と“若さと生”がテーマだったのに対し、後編に当たる本作のキーパーソン、母と恩師による“老いと死”がテーマでしょう。 京都で再会した散歩先生は寅に「お前の母親もいつかは死ぬ。その時では遅いのだぞ」と会いに行かせる。母との再会は、観ていて辛くなるほど凄まじく重たい結末に。だけどその後、寅が先生と2人で泣いてるのが、映画全体が湿っぽくならない上手い塩梅だと思いました。 今朝、天然のウナギが食べたいと言った恩師が、夕方には静かに死んでいる。死はそれくらい突然訪れる事を身を持って体験した寅。あれだけ凄まじい出会い方をした母親と、仲良く三条大橋を歩いていく。前作の登とのエンディング同様、菊と寅が仲良く歩くまでに至った過程を省く作風が想像力を掻き立てて、私はとても綺麗な終わらせ方だと思いました。  ところで、前作のマドンナが坪内冬子。本作のマドンナが坪内夏子。同じ坪内姓なのって、御前さまと散歩先生って親戚とか遠縁とかなのかな? 冬子に夏子。あと妹がさくら(春の花)、母親がお菊(秋の花)と、『前作がヒットしたから急きょ創られた』みたいだけど、この2作品で見事に完結させてます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-06-03 17:16:18)
378.  九龍の眼/クーロンズ・アイ 《ネタバレ》 
“警察故事 續集”『警察物語 続編』。え待って九龍は?九龍城が舞台でないの?これ?最後まで九龍城砦いつ出てくるんだろう?って期待してしまったよ。前作の『国際警察』ってタイトルのいい加減さはwikiで見たけど、これもかい。エンディングの歌が『英雄故事』だったので、今回観たのは日本公開版だった模様。  出る車出る車ほぼ三菱の自動車。警察も悪党も一般人も、トラックもワゴンもセダンもハッチバックも三菱とことん感謝祭。メインスポンサーだからだけど、当時の香港にきらめくシチズン、富士フィルムのネオン。キヤノンのカメラ、ソニーのオーディオ。日本企業が元気で、良いものをどんどん取り入れる香港の元気さが溢れてます。いまのスマホの時代に、地球の裏側のニュースを即時に知ることよりも、日本製品があふれる当時の映像の方が、世界との距離が近くに感じられる気がします。  前作の直後から始まるストーリーで、チェン(チャン?)と警部と署長のやり取りが面白く、それぞれの立場で部下や上司を動かす工夫とかが、上手いなぁって思う。警部の「私が居なければ署長はあまり怒らない」とか、実際会社でもそういう場面ありますもんね。『私は死んでも市民を守る覚悟です』の3連打なんて最高です。この警察署の物語をず~~っと見ていたい気持ちになりました。あ、みんなで一面ピンクの文字だけ新聞読んでるの、なんか変。  ストーリーは、中盤からの路線変更の大手術の影響がモロに出ていて消化不良。もともと、この頃のジャッキー映画にストーリーを期待してはいけないんだけど、やっぱり“撮りたいスタントシーンありき”で、それらを繋げ合わせた感を強く感じます。ポリス・ストーリーなのに。ジャッキーが特別班(一見ゴロツキだけど…?)のリーダーになるけど、彼らの目立った活躍は取り調べで女性3人が大暴れするところくらいで、あれだけ人数出したのに活かしきれてないかな。 前作に引き続き、出るたびに痛めつけられるメイ。爆竹投げられたりバイクで車に突っ込んだりと、今回も酷い目にあってるけど、映画的に一番酷いのは水鉄砲をチェンが避けて自分に掛かるシーン。あれ銃だったらチェンのかわりにメイ死んでるし。 ジャッキー映画ではNGシーンはお約束だけど、マギー・チャンの流血はドン引きしてしまう。う~ん…彼女が無事生きてたってだけで、ビックモローの事故並みにショッキングな映像でした~~~ホンチ!!
[インターネット(字幕)] 6点(2023-06-03 14:05:10)
379.  ゼロの焦点(2009) 《ネタバレ》 
よく創られた映画でした。'57年頃の東京の夜景や金沢の街といった、在りし日の風景を自然に再現していました。こういう、地味だけど印象深いシーンにお金を掛けている邦画って、近年あまり無いと思うので、なんか嬉しかったですね。 原作も前作も観ていないので、ピンとこない部分も多かったとは思うけど、そうかこの作品から2時間サスペンスの“崖の上のラスト”が産まれたのか!と思うと、本作でもそれは再現してほしかったような気がします。崖の上のアレはあまりにもベタだから…って考えたんでしょうかね?  あれだけの荷物と本の山から偶然2枚の写真を見つける。夜に10m以上離れた先にいる人物の背中を見て宗太郎だと解る。数言の英会話を聞いただけで久子がパンパンだと見破る。あの日のキャラメルの箱がカサコソと…サスペンスの主人公らしいっちゃらしいんだけど、割と重めな映像の割に、禎子の行く先々が事件の真相に向かってピンポイント過ぎて、どこか漫画のよう。それなら崖の上のラストも是非!なんだけどね。  ゼロの焦点というタイトル。“ゼロ=無かったこと”に焦点が当てられる。という意味でしょうか。昔パンパンだった過去を消し去り、社長夫人として生まれ変わった生活をする佐知子。佐知子と同じく過去を消し去って生まれ変わろうとした憲一。「イチからやり直そう」という言葉があるけど、イチではなく過去をゼロにしなければいけない佐知子によって、悲しい殺人が引き起こされる。 佐知子の罪を全てを被る儀作。佐知子にとって単に社会的地位だけでなく、儀作の優しさも、いまを捨てられない要因なのかもしれない。 そもそも憲一が久子と生きていく道を選んでいれば、誰も死ぬことはなかったのかな。自殺に見せかけてまで身ごもった久子を捨てて、旧友の佐知子に名前を伏せて押し付けるなんて、憲一の過去の消し方の雑さが気になりました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-01 23:47:27)
380.  座頭市血煙り街道 《ネタバレ》 
シリーズ17作目。しかし5年で17作って、当時の日本映画のハイペースさに驚くばかり。 座頭市観るのは2作目だけど、劇中突然歌い出したのには驚いた。シリーズを重ねるうちにそういう映画になってたのか? 歌は花のさだめ(2番)。歌うは中尾ミエでございます。本作公開が12月、レコードが年明け1月に出ていたようで、何かコラボだったんでしょうかね? 歌には驚きましたが、市のキャラクターは安定して魅力的。前観たのでは「メクラ」「ドメクラ」とイイように言われていたけど、ゲスト俳優からは「目の不自由な人」「おメクラさん」と、ちょっぴり配慮が見られた。  本作は小さな子供とのふたり旅。これがまた結構な悪ガキなもんだから、市相手に悪戯を仕掛けるんだけど、石ころの頃にはお互いに悪戯合戦になっていって可愛らしい。母・おみねの似顔絵を市が庄吉に見せるシーン。良太は悪戯のつもりで市を描いたんだろうけど、使われ方が上手くホロリと来る。  権造一味との殺陣の華麗さは見事。シリーズも回を重ねると、目新しさを出すのも大変だろうなぁ。 実力伯仲の赤塚との真剣勝負。市が庄吉を守るために刀を投げてしまう。他人の親子を救うために無防備で立ちふさがる市が格好いいし、対する赤塚が自身の負けを認めるのも格好いい。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-05-31 23:30:32)
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