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21.  ガルシアの首
暑苦しくて狭い車内をハエが飛び回り、横に乗ってる友人の首に酒をぶっ掛ける。不快極まりない状況のなか男は車を走らせる。何に向かって走っているのか?金か?地位か?女か?そうじゃない!今まで散々に踏みにじられてきたプライドを取り戻すため、自らの意地のために「ガルシアの首」を乗っけて車を走らす。いつもながら、ペキンパーの描くオヤジ達はブチ切れているのに、哀愁漂い魅力的だ。負け犬の遠吠えで片付けることを許さない、どん底の男がぶちまける魂の雄叫びがこの映画に込められている。
[ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-31 02:22:36)(良:2票)
22.  サムライ(1967)
「いぬ」に続きメルヴィル作品を観賞するのは2作目です。所々にハッとさせられるシーンがあるものの、ノワールな雰囲気を作り出すこと全力を傾けたせいか、ストーリー性は弱く、話のテンポが遅い・・・アラン・ドロンが、ほとんど喋らないのも陰鬱な雰囲気を出すためだと思うが、雰囲気が出るより物語の単調さ、淡白さを強調してしまっている気がする。それに、暗黒街を生き抜く殺し屋にしては、アラン・ドロンが漂わす甘さ、繊細さみたいなものに違和感ありでした。趣味の問題だと思うが、殺し屋はハードボイルドであってこそ殺し屋で、アラン・ドロンのような甘いソフトクリームには似合わない。ただ、アラン・ドロンはこの系列の映画に結構出演しているし、単にアラン・ドロンが苦手ってこと?
[ビデオ(字幕)] 4点(2005-05-30 02:20:05)
23.  ハメット
内容や主人公の名前からして、監督がハードボイルド系のフィルムノワールを目指しているのは解るのですが、結果はイマイチでした。本作はビデオで観たせいか、画面全体が暗すぎて観づらい。ノワールな雰囲気を出したいのは解るけど、カラーで撮るならもう少し違ったやり方があると思う。それにこの系列の映画では必ず登場する「運命の女」、本作では東洋の神秘的な美女リンですが、彼女に魅力を感じなかったのも辛いものがありました。混沌としていて謎に満ちた場所としてのチャイナタウン、ハメットに背くように小説とは違う結末を迎える現実など、個人的には好みな作品のはずなんですが、欠点の方が目立ってしまいました。比較するのは間違いかもしれないけど、ハメットという名前を聞くと「マルタの鷹」を想像してしまいます。結果の方はというと、ハメット原作の「マルタの鷹」に遠く及びません。
[ビデオ(字幕)] 5点(2005-05-27 20:07:44)
24.  いぬ 《ネタバレ》 
仏のフィルム・ノワールを代表する作品らしいですが、その肩書きは伊達じゃなかったです。長く伸びる人影、揺れ動く電球、黒い影で覆われた顔など明暗の使い方、気だるさと色気を感じさせる音楽など抜群の雰囲気で、それだけ観れてしまいますが、映画終了後にストーリーを振り返ると、これも一級品だったことが解りました。暗黒街にどっぷり浸かっており、無表情で感情を表に出さないシリアンだが、その仮面の下には、人に言ったら笑われるような一面を持っている。この両面を持っているあたりは、ハードボイルド風味で好きです。モーリスに真相を打ち明けるシーンでも無表情で事実を淡々と述べるだけで、友情を感じさせることはない。そんな彼が「ポンチエリの道で誰かが匿ってくれと言うだろう、助けてやろう」と言いブイサインをする。この時の一瞬微笑んだようなベルモンドの表情と仕種は大好きです!これが暗黒街に生きている今の彼にできる精一杯の表現なんだろうと思う。暗黒街を抜け出す寸前で彼は銃弾に倒れるが、抜け出していたらどんな表情をするんだろうかと想像すると、せつなさで胸が苦しくなります。アメリカ映画に比べると演出は抑え気味で、ストーリーもやや複雑なため合わない人もいると思うけど、個人的にはかなりお気に入り作品です。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-05-24 02:14:37)(良:1票)
25.  狩人の夜
悪事を行うのが自らの使命のように振る舞い、それを嬉々として行うハリー、その彼が伝道師というのも恐ろしい話です。そのハリーの存在と共にこの映画を支えているのは映像の素晴らしさです。未亡人(ハリーの妻)の殺害シーンにおける二等辺三角形の家の壁、同じく二等辺三角形に入り込んでく光、その時のハリーの神経症的な表情、水中に沈められた女性の死体、歌いながら子供を追跡するハリーのシルエットなど、幻想的な美しさと悪夢のような不気味さが交じり合ったような映像は、観ていて飽きることがありません。個人的には未亡人殺害シーンは記憶に残ってます。ストーリーの方はノワールっぽいものを期待していただけに後半に進むにしたがってお説教じみてきて尻つぼみな印象でした。ストーリーよりも全体の雰囲気やトーンを楽しむ種類の映画だと思うので、家庭的な明るい雰囲気で終わるラストは、それまでの抑えたなかに狂気を孕んだ陰湿なトーンが壊れてしまい残念です。これで1点減点。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-05-21 00:54:54)(良:2票)
26.  キー・ラーゴ
「マルタの鷹」の黄金コンビであるボギーとヒューストンで挑んだ本作だけに、期待したぶんだけショックもでかい・・・南の島という場所も映画全体を覆う勧善懲悪な設定もノワールな雰囲気のボギーと相容れないものがあるし、ローレン・バコールも都市でこそ映える美女で南の島では魅力半減の印象でした。その中で孤軍奮闘しているのがロッコ役のエドワード・G・ロビンソン。「飾窓の女」での中年紳士の役や「深夜の告白」での犯罪に抜群の嗅覚を持つ上司役とは打って変わって、本作ではギャングのボス役を演じてますが、これが圧巻です。ギャング役は俺の十八番だと言わんばかりの活躍で主役のボギーとバコールを完全に喰っちゃってます。本作はエドワード・G・ロビンソンの奮闘を評価して5点です。
[DVD(字幕)] 5点(2005-05-20 01:21:27)(良:1票)
27.  ロング・グッドバイ 《ネタバレ》 
グ-ルドが演じるマーロウはかっこ良いというより、とにかくタフだという印象です。公開当時は原作と異なるということでかなり批判されたようだけど、こんなマーロウも嫌いじゃないです。裏切りで友人を失い、飼ってる猫にまで逃げられる始末のマーロウだが、これまでと変わらず都会の片隅のアパートでたばこを吹かし続けることだろう。 ラストの「ハリウッド万歳」の歌や原作と異なり友人テリーの命を奪うという設定で、マーロウの社会から切り離されたような印象が一層強調されます。確かにテリーの言うようにマーロウは敗北者かもしれない。しかし、マーロウが孤立し敗北者の印象が強まれば強まるだけ、私の中ではマーロウの魅力は増していくのです。  
[DVD(字幕)] 8点(2005-05-12 23:45:38)(良:2票)
28.  三つ数えろ
ハードボイルド映画の傑作のひとつですが、ストーリーが複雑、というより崩壊してます。ボギーが「運転手を殺したのは誰か教えて欲しい」と聞いたところ脚本家、監督、原作者の誰もわからなかったらしい。そんなわけで、観客が解らないのは当然のことで、マーロウが最後まで解らなかったことは観客も解らないまま映画は終了。映画の雰囲気は好きなんですが、一応サスペンスなので犯人を決めてから映画制作に取り掛かってほしかったというのが正直な感想です。ボギー演じるマーロウも嫌いではないけど、ストーリーに気を取られすぎたせいか、ラストを除くとあまり印象に残りませんでした。個人的にはボギー主演の探偵ものなら「マルタの鷹」の方が上です。
[DVD(字幕)] 7点(2005-05-07 17:03:05)
29.  さらば愛しき女よ 《ネタバレ》 
ディマジオは若くしてスターで子供の喝采を浴びる一方、マーロウは年老いてトミーの子供には恨まれるかもしれない・・・暗い事務所で一人黙って佇むマーロウの横顔はどこか疲れている。生きていくことのやるせなさを感じさせ、観ているこっちもせつなくなる。事件は解決してもいつものことながらほろ苦い、自分が全力を尽くしても何も変わらない世の中、少ない楽しみだったディマジオの連続ヒット記録も途絶えてしまう。それでも「お前はタフだ」と言い聞かせるようにマーロウは静かに去っていく・・・ レビューを読んでもらえば解るかもしれないですが、完全に映画の世界に浸りきってました。ミッチャムのマーロウは、タフさはあまり感じさせないが、ボギーやグールドのマーロウよりも疲れているせいか哀愁を感じさせ、それがとても魅力的で惹きこまれます。 それとシャーロット・ランプリングは、低音な声、雰囲気ともにローレン・バコールに似てますね。 
[DVD(字幕)] 10点(2005-05-07 16:59:50)(良:1票)
30.  マルタの鷹(1941) 《ネタバレ》 
どれだけ多くの男がボギーに憧れ挫折していったことだろう、私のように(笑)それ位ボギーはかっこ良く、ハードボイルド映画の傑作と言えます。ボギー扮するサム・スペードは境界線上の人間で、善とも悪とも言えない中間に位置し、決して正義を振りかざすことはない。冷静に見ると悪人顔のボギーには、まさにはまり役です。殺人の罪をウィルマー?(名前が間違ってるかも)に被せるシーンでの悪そうな笑みなどを見ると、ボギーが一番怖かったりします。しかしそれだけではハードボイルドとは言えない、決める所では決めて、はじめて画になるってものです。「相棒が殺されたこと位で、なんで私を許してくれないの?」そんな疑問を持つ彼女に向かって一言、「相棒が殺されたら男は黙っちゃいない」と言い放つボギー、か・かっこよ過ぎです!そうでなくちゃいけません。けど、この映画で一番印象に残ったのはラストシーン、「(鉛の鷹を持ちながら)やけに重いな」と言う警官に一言、「夢が詰まっているのさ」とボギー・・・シビレました!解ってくれるかボギーという感じです。
[DVD(字幕)] 10点(2005-05-07 16:57:37)(良:1票)
31.  疑惑の影(1943)
この世は醜く、家に住んでるのはブタだという極めて悲観的な闇の世界に転落していった叔父と、そういう叔父と出会ったことで光ある世界に戻ってきた姪は双子のように通じ合うと言っていように、この二人は非常に似てます。 姪のチャーリーが憧れ、叔父のチャーリーが惑わされた豪奢な世界は、一瞬だけ画面に映り消えていく舞踏会の映像のように不安定で脆いもろだと感じます。それよりむしろ、退屈に見えても安定した家庭の方が心が落ち着き、チャーリーの父とその友人のように完全犯罪を想像しながら無駄話をしていたいと思うのでした。 
[DVD(字幕)] 6点(2005-05-06 14:44:57)
32.  チャイナタウン
ジャック・ニコルソンの全く正義を感じさない薄汚れた印象、緊張感と混沌とした雰囲気を醸し出す音楽など、フィルムノワールとしてもハードボイルド映画としても傑作です。人間の清濁混交としたあらゆる行い全てを飲み込んでしまう街としてのチャイナタウンは、安易な発想かもしれないけど、相応しい場所のように思う。誰にとっても得るところはなく、あらゆる行為は無意味となったときジェイクは「なまけ者の街」と呟くが何を言いたいのだろうか?自分は何かを行ったと思っていたが結局は何もできなかった、なまけ者と同じだと言いたいのだろうか。激しい渦に巻き込まれ、すべてが水泡に帰し、ジェイクに残ったものといえば鼻の傷痕と苦い記憶のみ・・・ラストで虚ろな表情で佇むジャック・ニコルソンの表情は印象に残りました。
[DVD(字幕)] 9点(2005-05-03 22:08:07)
33.  パッション(2004)
イエスの「善性」を際立たせるためとはいえ、やり過ぎでは?というのが正直な印象。あれではサディストの兵士に虐められてるだけになってます。別にイエスでなくて、囚人でも捕まったスパイであっても、虐められる側に同情して見るので同じ印象を持つことでしょう。わざわざナザレのイエスを題材にするなら、相手(兵士など)を貶めてイエスの善性を強調するような手法は取って欲しくなかったです。キリスト教の国では当然知っていることかもしれないけど、イエスが何を訴えようとして人々を惹きつけ、ユダのように離れていき、何故大祭司達に罰せられねばならなかったのかなどを描かないと、イエスの全体像が見えず、映画としては失敗だと思います。個人的にはキリスト教・イエス像と言うと遠藤周作さんの影響が強いせいか、イエスが十字架の上で亡くなった後に起こる奇跡のようなシーンには抵抗がありました。このシーンを挿入したことで、隣人を愛せ、敵を愛せなど「愛」について語るわりには「神の愛」より「神の罰」の印象を強く受けてしまいました。それがアメリカの考えだと言われれば何となく理解できるんですが、個人的には、あまり好きになれません。
[DVD(字幕)] 3点(2005-05-02 14:35:39)
34.  ロスト・イン・トランスレーション 《ネタバレ》 
他の人も言われているように「外国人向け東京ガイド」といった感じがあり、実在するものを使っており、番組まで実在の番組を使ってました。マシュー南はいつもどおりのハイテンションで、いつもと違い?スベってました(笑)スベってくれという指示が出てたのか、それともリアルでスベったかは不明。あの空気ならスベって当然か。そんなことは置いといて、ただの東京ガイドではなくストーリーの方も捨てたもんじゃなかったです。自分を見失ったような喪失感を抱いた2人が異国の地で惹かれあう、これは異国ならではでしょう。母国なら、そういう喪失感に自分でも気づかず生活し、相手のことも敏感に察することはないでしょう。あの二人が交わるには「異国」という舞台が必要だったと思います。それが東京である必然性には疑問があるんですけどね。そういう交わることがない2人が一瞬交わり、離れてそれぞれの日常に帰っていく。そして、もう2度と交わることはないだろうし、交わらない方が幸福だろう。ラストも爽やかで、とても後味の良い作品でした。
[DVD(字幕)] 7点(2005-04-28 20:58:56)
35.  眼下の敵 《ネタバレ》 
リアリティが無く、戦争の現実と違うのは承知の上です。この映画にリアリティは求めません。なぜかと言えば、それ位駆逐艦と潜水艦の攻防はスリリングだし、どっちの艦長も魅力的だし、特にドイツの潜水艦艦長ユルゲンスが好きだからです。駆逐艦の執拗な攻撃で部下のひとりが取り乱したときに、怒ることなく、規則や権限を振り回すことなく「我々は死なない、俺を信じろ!」と言い放つ艦長、か・かっこ良すぎ・・・シビレます、私もお供しますと思わず言いたくなりました。その後、危険を顧みることなく、兵士を鼓舞するためにレコードをかける艦長の気骨にもやられました。 
9点(2004-12-09 18:29:42)
36.  めぐりあう時間たち 《ネタバレ》 
生きてる意味があるのだろうか?そんな疑問を持つ人もいれば、いない人もいると思う。この映画の登場人物達はそんな疑問に嵌った人達で、この疑問は生活するには無意味どころか、むしろ有害ですらあるのに、嵌ってしまうと離れられない非常に厄介なしろものです。人から気遣ってもらいそれに感謝していても、誰かのことを愛していても、この疑問の外にはなかなか抜け出せない…いつも「私は生きてる意味があるだろうか?」その疑問だけが頭の中を駆け巡っていて、自分が生きていることに意味を見出せない。死んだように生きている彼らにとって生きていることは喜びどころか苦痛で屈辱でしかない、一口に言えばニヒリズムの状態なわけだけど、自分でもそれが解っていても抜け出せない。そんな彼らには共感するし、特に何の問題もなさそうなローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)には特に共感しました。その中で彼らは自殺したり、旅立ったりと、その環境から抜け出そうとします。それが彼らの「生きるとは何か?」の答えなのでしょう。しかし、現在の私の答えは彼らとは違うものです。私は未来に可能性が無く、怠惰な日常が果てしなく続こうとも、それに耐えていくことが「生きる」ことであり、それが周りの、そして自分の幸せにも繋がると思ってます。最後に私事なんですが、以前の私も生きていることが無意味に感じられ、苦痛であり、そこから抜け出す方法は自殺しかないんじゃないか?そんなことを思ってました。かなり頭でっかちになってたとは思うけど、そんな過去があるからこの映画を楽しめたのかもしれません。
8点(2004-11-11 15:58:24)
37.  ミスティック・リバー
「ミリオンダラー・ベイビー」を観たのを機会に再度鑑賞。この映画ほど観るたびに評価が変わる映画も少ない。1回目はデイブの悲惨さとジミーの妻の勝手ぶりだけが目に付き、2回目はアメリカ的正義を強要されているようで不快に感じ、3回目はミリオンダラー・ベイビーの後に観たためか、これまた評価が一変。これほどに「生きる」ことの罪の重さが圧し掛かってくる映画少ないと思うに至りました。生きることは決断の連続であり、それにより大きな罪を背負ってしまうことがある。誰かの責任という訳ではなく、神ではない人間が背負うには重過ぎる罪を背負って生きていくことをこの映画は痛切に描き出した、イーストウッドの力量には驚かされる。好きかと言えば好きではない映画だが、再鑑賞に耐える厚みを備えた傑作です。ただ、好きではないので点数は相変わらず低め。 
[DVD(字幕)] 3点(2004-10-02 23:55:38)
38.  戦争のはらわた
シュタイナーとストランスキーを比較したとき、一般社会で受け容れられるのはストランスキーで、シュタイナーのような存在は許されないでしょう。確かに観念なんてくだらないように思うが、ストランスキー同様観念無しに多くの人間は生きられません。しかし、シュタイナーは違う。だからこそ、彼に惹きつけられるのでしょう。人間が作り出した観念を彼の荒れ狂う生存本能が突き破るのは観ていて爽快です!彼にとって国家や戦争の善悪なんて関係ないし、勲章も邪魔くさい。俺は生きる、生きてやる!例えそれが狂気であろうと生き抜いてやる!彼は叫んでいるように思います。 そして最後の高笑い、彼が笑ってるのはストランスキーに象徴される人間の作り出した観念(又は価値観)すべてではないだろうか?
8点(2004-09-27 00:17:22)
39.  椿三十郎(1962)
どこか出来すぎかなと思うけど、それほど気にならずに見れました。それもこれも椿三十郎のキャラクターのおかげでしょう。自分のことを悪者だと言ってのける室戸にある種共感し、評価さえしているあたりが三十郎の魅力ですねー。ここが「遠山の金さん」や「水戸黄門」との差でしょう。単なる善人ではなく、自分のやりたいことをやりたいようにやる、それがたまたま良い行いになっただけで、ひょっとすれば悪に加担する室戸のようになってしまうかもしれない。そんな野性味を持った三十郎は魅力的だけど、そのままでは社会には適応できないし、無理に適応させれば室戸のようになってしまうのかも…それを解っているから自ら去っていく三十郎、かっこいい~~。しびれました!そんな三十郎を演じきった三船はさすが世界の三船です。お見事!
7点(2004-08-15 21:53:20)
40.  白鯨
なんと言っても神をも恐れぬ復讐の鬼、エイハブ船長ですねー。子供の救助を拒否したり、無茶な命令をしたりと問題は多いし嫌悪感を感じつつも、船員同様、彼には惹きつけられました。神であれ悪魔であれ人間に越えられないものはない!エイハブはそう主張してるように思います、なんて言うか人間の神宣言みたいなことですね。そして、そういう力強い宣言をする人間には危険だと解りつつも惹かれるし、最後は巻き込まれて破滅してしまう、映画で言えばスターバックスですし、おそらく私もスターバックスのような人間だろうと観ていて感じました。エイハブは現在のアメリカ人や日本人が目標とする「強い人間像」の象徴のようで、その危険性を感じないまま目標にしてるようで怖い感じがします。ちなみに原作(翻訳)は読みたいと思うだけど、鯨の専門書みたいという話を聞いて悩んでる最中です。 
7点(2004-08-15 20:56:07)
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