21. 暗黒街の弾痕(1937)
さてさて、年も明けて“運命は残酷”ネタも落ちついてきましたね。ブームというのは恐ろしいものです。そんな遊びをされてしまうと、一般の良識ある人(私のことです 爆!)が怖がってレビューを書けないではありませんか(笑)。私にとっては、この映画、“運命は残酷”というよりも“おバカな二人組”としか考えられませんでした。ああああ、なんでそっちの選択をしてしまうかなぁ~、あああああ、なんで人を頼らないのよ~、ああああああ、ちょっとは人を信用しろよ~。と言った感じ。終始、あああああああと思いながら観ていたので、大変疲れました。さらに、あのタクシー会社の経営者さん、あなた、一体何? 途中で放り出すくらいなら、最初から受け入れなきゃいいのに……。ちょっとは『男たちの挽歌』のタクシー会社の人を見習ってよね!(プンプン)と、主人公達に同情する部分も確かにあります。が、疲れる……。逆に見方を変えて、どこまでバカな方向に進んでいくんだろうということを楽しもうとしたら、少しは楽に観られるようになりました。ちょいと『テルマ&ルイーズ』の後半に似ていますね。 6点(2004-01-02 04:07:55) |
22. フランケンシュタインの花嫁
《ネタバレ》 「感動するよ」という話を聞いてはいたのですが、なかなか観る気にならなかった作品でした。だって、フランケンシュタインですよ。あの鉄鋲をつけたモンスターが暴れるだけかと思っていたんです。『フランケンシュタイン』(31)も、なんだか納得いかなかったし。で、ヒマだし観てみようかな、と思って手に取ったんですよ。今までの私の先入観を恥じましたね。前作から4年しか経っていないという事実に驚きすら覚える完成度の高さ。上手に前作のダイジェストを入れて、初めてみる人&前作を忘れた人にも親切設計。モンスターの孤独を中心に、胸がしめつけられるような辛いシーンや心温まるエピソード。そして……心打たれるラスト……。どうしてあんなレバーが?なんて言ってはいけません。そんなことはどうでもいいんです。「友達……いい」と話す彼の夢は、自分を友達としてみてくれる人と一緒にいたい、ってことだけなのに。はじめてモンスターを友人として迎えた、盲目のおじいさん。モンスターの姿が見えないから迎え入れてくれた、というのも辛いじゃないですか。とかく人間は見た目に左右される。それは私もしょうがないことなんだろう。だけど、私も孤独な盲目のおじいさんのように偏見を持つことなく生きていけたら、どんなに素晴らしいか。もっとも、おじいさんも辛い思いをして、毎日淋しく生活していたから、モンスターを受け入れることができたのでしょうが。あの二人を引き離さないでいて欲しかった。感動するという言葉は適切じゃないかもしれない、でも心に深みを与えてくれるような、そんな作品でした。是非、ご覧ください。この作品のコメントがまだ二人だけというのは、少し淋しいですねっ、【Pewter All】さん。 8点(2003-12-08 07:10:06)(良:3票) |
23. 自由を我等に
感じたことは↓【おっさん】さんと同様なので省略。(あっ、予備校の先生が似ているってのは違いますよ 笑)んじゃあ、何書こうかなぁ~。歌がたくさん出てきていたね。のっぴきならない状況でも、楽観的に歌を歌う。これってディズニー映画の精神に通じるものがあるような、ないような。後味爽快。この映画をもしもリメイクするなら、主役はジョージ・クルーニーかなぁ~。でも彼にしちゃったら、未練たらしく恋人を追いかけちゃって、自由な旅に出るって感じじゃなくなっちゃうしなぁ~。難しいな。話は戻るけれど、音楽が楽しくていい雰囲気だなぁ~と思っていたら、『アンリエットの巴里祭』の音楽の人と同じだったんでビックリ。ジョルジュ・オーリックが音楽担当している映画をおっかけてみよっかな。 8点(2003-11-23 03:54:52) |
24. 踊らん哉
《ネタバレ》 アステア&ロジャースものとしては、ダンスはあんまり好みじゃありませんが、一見の価値はじゅう~ぶんにあります。いきなりラストダンスについてなんですけれど、ロジャースのお面を持った踊り子がワラワラ。ロジャースに肘鉄をくらわされたアステアが「ロジャースとどーしても踊りたい!」ってことで、踊り子たちにお面をつけさせるわけですが、そこにロジャース本人も乱入。自分のお面をつけて踊ります。設定としてはアステアがロシアのNo.1バレエダンサーなので、ちょっとキワモノっぽくなってしまったのかもしれませんね。それでもセントラルパークのローラースケートダンスは、とっても楽しいですよ。マスコミを避けているハズなのに、二人で楽しげに踊るのはどうかとも思いますが、こういう映画は細かいことを考えてはいけません(はじめはサングラスなんかをかけて人目を避けていた二人ですが、いつの間にか素顔で踊っております)。前半部分、二人がなかなか踊らなくてじらされもしましたが、後半のはじけ具合はハンパじゃない。アステア初心者の方にはこの映画から入るのはオススメできませんけれど(笑)。やっぱり『トップ・ハット』や『有頂天時代』の優雅なダンスから入ってほしいですね(←ひとりごと)。 6点(2003-11-23 03:13:13)(良:1票) |
25. ゲームの規則
混沌とした社会という圧縮鍋に人間の弱さや哀しさをギュ~ッとつめて、ひとつまみ分のコメディエッセンスを加えたような作品かしら? 友情や愛に対する人々の想いがピシピシと伝わってきて、笑うに笑えなかったのが唯一のマイナスポイントでした(でも私的には“コメディエッセンスが笑えたか”ってのが大事なんです……)。大西洋を23時間で横断飛行するという快挙をなしとげ、英雄となったアンドレ(ローラン・トゥータン)を称して「大西洋は渡れても、シャンゼリゼ通りの横断歩道は渡れないんだ」という友人オクターヴ(ジャン・ルノワール)の言葉が印象的。これはどの人にもあてはまるんじゃないでしょうか。 7点(2003-11-08 07:41:40) |
26. 有頂天時代
《ネタバレ》 『有頂天時代』という邦題がよくありません。まるでチャップリンの『○○狂時代』と重なってしまいます。いえ、チャップリンがダメと言っているわけではありません。むしろ好きなくらいで。ただ、アステアとロジャースの優雅で華麗な世界を表現するには物足りないと思うんです。“有頂天”という言葉からでは、まるで二人が得意がっているような印象を与えてしまいがち。まだ『スイング・タイム』のほうがいいのではないでしょうか。この映画のダンスナンバーはどれも洗練されていて完成度が高く、一番を決めるのは非常に難しいのですが、個人的な好みであえて挙げるとすればアステアが顔を黒く塗って一人でタップをするシーンになります。中でも影がスクリーン(のようなもの)に映し出されるように撮られている映像では、アステアと影の動きがズレていないか凝視していました。アステアの早い動きに目がついていけなかったからか、ズレがわからないまま。その後、意図的に本体と影の動きをズラす演出に、もう目がくぎ付け状態になってしまいました。ストーリーは結構イライラするところがありますが(特に婚約者のことを黙っているアステアと、自ら墓穴を堀まくる手品師)、終わってみれば二人はハッピー。ちょっと指揮者の二枚目兄ちゃんがかわいそうでしたが、これはこれでいいのかな。 7点(2003-11-01 07:07:30) |
27. トップ・ハット
《ネタバレ》 ダンスシーンが魅せ場の映画なんですけれど、ストーリーもいいですよ。そりゃ強引なところは多々あります。ベタなところだらけですし。でもロジャースがアステアを既婚者だと勘違いして4人(主役2人と金持ち夫妻)+おまけ2人(執事とデザイナー、アルベルト・ペディーニ!)が繰り広げる勘違いの嵐にも、なかなか面白いものが。コンディションが良くない時に観ると、疲れるかもしれませんけれど。私はペディーニのキャラがけっこう好きです。ペディーニ家の家訓「女性にはキスを、男には剣を」と言いながらサーベルを持ち出したりする危険人物であり、自分を讃える歌を鏡の前で歌うナルシストだったりしますが、こういう変なキャラというのは、出てくるだけで楽しいです。 ダンスシーンは『有頂天時代』のほうが洗練されているとは思いますが、ストーリーはこちらのほうが好きです。 8点(2003-10-30 06:29:39)(良:2票) |
28. スミス都へ行く
《ネタバレ》 どうしてスミスは勝てたのか?それはクロード・レインズ演じる上院議員が良心の呵責に耐えかねたから。もちろん、スミスは頑張った。秘書も応援していた。それが上院議員の心を動かしたのかもしれない。スミスを認めることは自らの上院議員の座を追われること。スミスだけではなく、この上院議員の勇気に拍手を送りたい。 7点(2003-10-27 03:50:31) |
29. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 終わり方が好きです。お尋ね者と娼婦との恋……ふふっ、すがすがしいですね。こういうイキな計らいで終わる映画は、その場面だけを観ても嬉しくってニンマリしてしまいます。もちろんチェイスの場面も、襲われた集落の場面もどこも迫力があるんですが、どうしても人間模様のほうに目がいってしまいますね。たくさんの人が出ているのに、それぞれ個性があって、どの人も活かされている。どことなく対立していた感のある妊婦と娼婦が、出産に協力するという過程を経て、次第になんとなく心が通じ合ってくる微妙さが、これまたイイ感じ。賭博師のダンディズムもなかなか良かったのですが、どうも娼婦の方に肩入れしてしまうので、なにかと娼婦を無視する彼には減点かも。その点、娼婦をレディとして扱うジョン・ウェインの好ましいことといったら。飲んだくれの医者が頑張ったところもよいし、どの人もそれぞれ魅力的なんですよね。 8点(2003-10-26 22:52:35)(良:3票) |
30. 白雪姫
ストーリーは皆様もよくご存知の『白雪姫』です。今さらって感じですがDVD発売と同時に買ってしまいました。白雪姫のまっしろい肌、愛らしい唇……森の妖精に祝福された可憐な姿は、何年経っても色あせないですね。たまに車を運転しながら♪ハイホ~、ハ~イ~ホ~~♪と歌っております。 7点(2003-10-26 22:30:39) |
31. フランケンシュタイン(1931)
《ネタバレ》 フランケンシュタイン博士のいい加減さが鼻につく。やっぱりボンボンなのね、結局は。後始末を恩師に頼んでおいて、自分だけ結婚して幸せになろうってか。そんなの許せない。絶対に許してなるものか!と思いながら観ていたので、ラストはイヤだった。なんでモンスターを火攻めにあわせなきゃいけないのよ。なんで博士は自分の手でピリオドを打たないのよ。解せない……。 5点(2003-10-26 22:14:30)(良:1票) |
32. 巨星ジーグフェルド
『ザッツ・エンターテイメント』でも「こんなに豪華なミュージカルは今でも作れません」と紹介されるくらい豪華絢爛なミュージカル。1900年ぐらいからブロードウェーでヒット昨を飛ばし続けた敏腕プロデューサー(ジーグフェルド)の半生が描かれているものなんですが、ジーグフェルド自身の物語のテンポの良さと、しつこいまでの舞台場面のバランスがいい作品でした。いろいろなエピソードがあり見どころも満載なので、どこを取り挙げればいいのか困ってしまいます。ライバルのおじさんプロデューサー(この人は本当に人がいい。口は少々悪いですが、それがまた愛嬌のひとつ)がジーグフェルドを評して“一晩で女性のために1万ドルを使う男”と言うくらい金銭感覚が欠如している(逆に美の追究に妥協がないとも言える)フェミニストの王様の美の世界を堪能できます。まさしく彼は“巨星”でした。 [DVD(字幕)] 8点(2003-10-22 17:42:23) |
33. グランド・ホテル
《ネタバレ》 たくさんの人の人間模様が描かれているので、誰に共感するかは人それぞれ。私はプリマに感情移入しっぱなしでした。世界一(だろうと思う)のプリマである彼女はベルリン一のグランド・ホテルに滞在してベルリン公演に臨む。ところがプリマは鬱状態になっていて公演をすっぽかしてしまうわけです。頂点を極めた人の焦燥感はわかります。バレエ人気も翳りが見えはじめ、お客さんの拍手も明らかに小さくなっている。それこそ果ては『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンのようになるかもしれない。そんなときに、流星のごとく現れたのがダンディな男爵。二人は瞬く間に恋に落ちる。ところが男爵はお金に困っているホテル荒らし。実際のところ、プリマの持っている真珠を盗もうと部屋に侵入した際に出会うわけです。この二人は。プリマはお金持ちなので、男爵のためなら何でも投げ出す気持ち。一方の男爵は惚れた女に援助をしてもらうことなんてできない男気の持ち主。プリマは男爵に会えたことで、一気に躁状態に突入するんですよ。はじめて恋を知った少女のように部屋で唱い踊る始末。公演も大成功。むちゃくちゃカワイイ。男爵のほうはというと金策に困って大会社の社長の部屋に盗みに入るわけですが、運悪く殺されてしまう。もう、何度思ったことか。プリマに真珠をもらえよぉ~、お金だって用意してくれるよ、そして二人で幸せにくらそうよ、と。これがケイリー・グラントだったら即行で彼女にタカってたはず。コホン、それはさておき殺されたことを知らないプリマは一晩中彼を待ち続けるんですよ。で、事件を知らされることなくホテルを去る。ああ、なんと哀しいんだろう。せめて生前に男爵がもらしていた「初めて恋を知った」という言葉を伝えてあげたかった。男爵がかわいがっていた犬を引き取って欲しかった。だって『タワーリング・インフェルノ』のアステアは猫を大事に抱えていたじゃないですか!! 犬がどこに連れて行かれたかはわからない。たとえ事件が起きても何事もなくゲストを送り出すのが一流ホテルの務めなんだから。でも、でも、せめてプリマの付き人くらいは彼女のために動いてほしかった。そんなビジネスライクな人々に囲まれていたら鬱にもなるよぉ~。とまぁ、異常なほどにプリマに感情移入をしてしまったのでした。 7点(2003-10-17 18:05:23)(良:2票) |