21. 日蔭のふたり
なんと静かで、映像の美しい映画だろうとつい油断してストーリーに身をゆだねてしまった。 そしたら完全に無防備な状態で下腹部を強烈に突き刺された。 しばらくは引きずりそうです。 よくよく考えてみればそのシーンにつながる二次的な伏線は張られていたんですね。うかつでした。 この作品をまだ観てない人は心して観た方がいいと思う。 妊娠中の人は観ない方がいい。 子供は親の予想以上に親のことを考えているものだ、その逆もまた然り。 そんな中で起こったこの悲劇は見るに耐えない。 ケイト・ウィンスレットの役者魂は認めるが、内容的にはかなりきつかった。 宗教的な下地のある人が観るとまた解釈の仕方が違うのかな、とも思った。 映像、構図は完璧。 8点(2004-03-23 18:52:45) |
22. パーフェクト・ワールド
イーストウッドとの追跡劇を脇に置き、ケビン・コスナーと少年の心の交流に焦点を絞って2人の人物像と結びつきを深く描いた事が、この作品の作風をを静かで味わい深い物にしている。 しかしローラ・ダーンとイーストウッドとの掛け合いも、いい味が出ていたので犯人との心理戦の部分をもう少し膨らませていれば、もっと立体的な面白さのある作品になっていたと思う。犯罪心理分析官としてのローラ・ダーンの見せ場が少なかったのはもったいなかった。 どうやっても「いい人」に見えてしまうケビンは犯罪者には向いていないが、今回に限ってはその性質を逆手に取った「トラウマ持ちの実はいい人犯罪者」という役どころに上手くはまっていた。 脇役でのくすぐりも随所に配置され、淡々としているわりには飽きさせない作りには好感が持てたが、地味な作風が災いしてか全体的に印象が薄く感じた。 6点(2004-02-20 10:43:55) |
23. 機動警察パトレイバー2 the Movie
パトレイバー側の隊員達のアニメ然とした軽さと、物語の中心を担う何人かの人たちの過剰なまでの落着きと、都市に起きている重大な事件とが混ざり合うことも無く分離してしまっていて、同じ作品中の出来事のように思えなかった。犯人のはいたセリフのニヒリズムも受け入れがたいものだった。ラストのヘリコプターの中で犯人に振り返り辛らつな質問をした人、答えを聞いた後犯人を一発きつく殴っておくべきだったのではないか。鼻で笑って呆れ顔をするだけでは詰めが甘すぎる。彼もそれだけの仕打ちは受けているはず。 全体的にはストーリーと言うよりメカニックのディテールの緻密さが印象に残った。これがジャパ二メーションということか。 5点(2004-02-14 00:56:46) |
24. デッドマン・ウォーキング
死刑を望む被害者側の親族、受け入れる加害者側の親族、そしてその当事者と、命の尊厳の名の元に当事者を擁護する者それぞれの中には、現実的にはもっと凄まじい痛みや苦しみや心の葛藤があるはずだと思った。 ラストの被害者側の親族のとった行動も分からなくはないが、実際はもっとシビアだろう。 この手の作品は淡々とした静けさと、想像を絶する壮絶さの両極端を描ききってこそ観る者を動かす傑作となりうると思うが、そのどちらにも届いていなかった。 スーザン・サランドンはいつもの敏腕弁護士役の油っけをそぎ落とし、静かな尼僧侶役をうまく演じていた。 6点(2004-02-09 12:57:19) |
25. ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ!
もう長い付き合いなんだろうなと思えるウォレスとグルミットの熟した主従関係が良い。 よりによって、そこに割り込もうというペンギンの小悪党振りを、あのつぶらな瞳でよく表現出来たと感心した。 クライマックスのスピードプレイからウルトラCの着地まで見事に決め、大人の映画ファンをも唸らせた地道で周到な作業には拍手を送るしかない。 ウォレスの声、欽ちゃん以外は考えられない。 「ぐーるみっとぅ」という欽ちゃん流の呼び方が妙にはまっていた。 8点(2004-01-22 18:18:59) |
26. ミザリー
《ネタバレ》 キャシー・ベイツが銃をちらつかせた時あまりの怖さにめまいがした。 「怖さ」を抽出して量ったらこの映画、間違いなくトップクラスだろう。 キャシーの演技は凄いとしか言いようが無いが、身動き出来ない「密室の恐怖」と「痛さ」を見事に感じさせてくれたジェームズ・カーンの受けの演技も素晴らしかった。 十数年ぶりに観たが、その「怖さ」はじりじりと胃袋に響いた。人里離れた山の中で事故って瀕死の重傷。助けてくれたのが白衣の天使。なんていう都合のいいシチュエーションも、ちょっとひねっただけでこんなに不条理な話になるなんて面白い。 しかしこれに近い人って本当にいそうだ。 人間が一番怖いってコトか。 9点(2003-12-01 01:48:39) |
27. エグゼクティブ・デシジョン
特殊部隊がいかにもそれらしいので緊張感があり、手を変え品を変えラストまでその緊張感が続くので、見応えがある、得した気分になれる映画。 オススメ。 (追)スティーブン・セガールがあのまま乗り込んでいたらどういう展開になっていたか色々想像すると、この映画にとってはアレがベストプレイだっただろう。失礼。 8点(2003-11-29 21:02:45) |
28. 永遠に美しく・・・
ハリソン・フォードと、このブルース・ウィリスは痛めつけられて命からがら逃げ始めると、がぜん輝きだす。・・・間違いない。 7点(2003-11-28 16:28:20)(笑:1票) (良:1票) |
29. わが街(1991)
一見何事も無いような日常の隅に潜む不条理や歪みを説明過多に陥ることなく、観るものにも共に考える余白を残しながら進むストーリーが心地よい。 人はさまざまな思いを胸にグランドキャニオンの前に立つ。 そして、そこではセリフも説明も、もはや必要なくなる。 心に残るやさしさの良作。 8点(2003-11-28 12:42:01)(良:2票) |
30. ブレーキ・ダウン
かなり面白い。 ストーリーとともに恐怖の色を微妙に変化させながらラストまでピンと張った緊張感がいい。 そしてその糸を一瞬で断ち切るタイミングのセンスも良し。 この監督なかなかやる。 8点(2003-11-27 17:56:29)(良:1票) |
31. 運動靴と赤い金魚
月から望遠鏡で地球を眺めていたら、イランの街の片隅でたまたま見つけたいい話。 素朴な国のかわいい思いやりにハラハラニコニコ。 そんな「いい話」を求めて今日もまた、望遠鏡を覗く。 7点(2003-11-23 01:26:50) |
32. トゥルーライズ
ジェームズ・キャメロンに「007」を撮らせるべきだ。 きっと面白いぞ。 8点(2003-11-22 18:39:30)(良:1票) |
33. フォレスト・ガンプ/一期一会
ベトナムの戦場で弾道をCGで描写したところが凄かった。 5点(2003-11-22 15:33:14) |
34. フェイス/オフ
「映像美学」の名の下に、全ての映像にジョン・ウーの顔の大写しの透かしが入っているようで、この人の作品は見ていてかなりつらい。合わないということか。 5点(2003-11-21 17:09:44) |
35. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
最後の演説は素晴らしい。 素晴らしすぎる。 感動した。 そこに行き着くまでのエピソードも素晴らしい。 その中に「夢の香り」もそこはかとなくする。 しかし、その奥から演説に向けての「予定調和の香り」も同時に漂って来てしまった。 美しくまとまった物語を、そんな穿った見方で見てしまった。 7点(2003-11-19 00:48:38) |
36. グッドフェローズ
スコセッシで、デ・ニーロ、ペッシ、そして実力派の新人レイ・リオッタがそろえば、これだけで傑作だろう。 しかし傑作と呼ぶには印象がうすい。 出来事の羅列が平板で、物語のうねりが波となって伝わってこなかった。 結果ペッシのキレっぷりだけが印象に残る、という作品になってしまった。 惜しい。 6点(2003-11-14 23:36:47) |
37. バッファロー'66
こんなに心に染み付いてしまった主人公は初めて。 昔から知ってる友人のような気さえする。 「こいつ、バカだ。」と笑いながらも、暖かい涙がなぜか溢れた。 彼女とはうまくやれよ。 がんばれ、ビリー! 10点(2003-11-12 13:02:57) |
38. ジュマンジ
少年の成長もののファンタジーとして見事な出来栄えだと思う。 バックトゥザフューチャーほどの大風呂敷ではないが、適当なスケール感もいい。 脚本もよくできていて、ラストの着地のさせ方もドキドキする。 何度観ても楽しめる秀作。 8点(2003-11-10 19:14:12) |
39. ギャラクシー・クエスト
林で投げたおもちゃのブーメランがカンカンカンと木に当たり、遠くへ・・・ あーあと思うとくるりと向きを変え、スピードを上げながら戻ってきて、再び同じ木にカンカンカンと当たり、手の中にすぽっ。 見ると、金のブーメランに変わっている。・・・何というエンターテイメント。 ここ数年のベスト。 10点(2003-11-09 23:46:08)(良:2票) |
40. 許されざる者(1992)
しゃがれた風格があり、地下を流れるマグマのような静けさと、青空のような奥行きもある。 コーヒーに浸したなめし皮のような風わいがあり、いぶし輝きを放ち続ける至極の一作。 銃弾一発の「重さ」がリアル。 大人が安心して浸れる「映画の中の映画」だ。 10点(2003-11-09 17:15:45) |