21. LEGO ムービー
これに関しては多くを語るのをやめる。超面白い。ありえない。うそだろこれ。身悶えするくらい観て良かったと思える。僕はこの映画を観たんだ、という事実が僕の中にある、そのことが幸福である。今ならば、次は字幕版でもう一度観たいと考える。この映画が作られ、上映されたこの時代に、居合わすことが出来てよかった。今後しばらくは、人と会ったら、この映画を勧めることにする。 [映画館(吹替)] 9点(2014-04-18 00:43:31)(良:1票) |
22. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 みんながイイと言うものには、たいていケチつけたくもなるが、いやいや、これはイイ。ぶっちゃけ書いてしまおう。これは「出産」だ。ソユーズに着いて宇宙服を脱いだあの時の画を見てもわかるが、胎内の嬰児そのものじゃないか。それっぽく臍帯のような管が奥に浮遊しているし、円形ハッチが母性を感じさせる。最後地球に生還するんですけど、湖に着陸してハッチを開いたとき流れ込んでくる大量の水は、羊水。陸地に立ち上がり、重力を全身に浴び、歩き始める姿は、あかちゃんの産声。 産声「オギャー」はあかちゃんのどんな気持ちが発している言葉なのだろうか。言葉に訳すとなんだろう。映画でサンドラブロックは「thank you」って言ってた。 映画が終わって、当たり前のように呼吸をしている自分を自覚した。また、あたりまえのように重力を浴びて、垂直抗力による摩擦でシートに座っていられる自分を自覚した。映画館が明るくなったとき、立ち上がり、歩ける。これって喜びなんだなって自覚した。映画ラスト、カメラは地上から青空に向けられるが、何を映しているかというと、目に見えない「重力そのもの」を、画面いっぱいにとらえているのだ!!目に見えない「重力」を映像化することに成功!そしてすぐ暗転しタイトル「GRAVITY」 惜しむらくは邦題「ゼログラビティ」・・・。馬鹿かこれ決めたやつ。 [映画館(字幕)] 9点(2013-12-18 21:39:24)(良:2票) |
23. 危険なプロット
《ネタバレ》 教室の最後列に座る青年と、職員会議で最後列に座る国語教師が、ラスト、公園のベンチという「最前列」に座ってメゾンの窓を眺める。現実と虚構がないまぜになっていく演出が心地よく、ユーモアもありとても面白かった。ただし僕は熟女が好みではないので、もうすこし若い奥さんのほうがよかった。 [映画館(字幕)] 9点(2013-10-29 18:37:54) |
24. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 久しぶりだ、先の展開が読めるんだけどもワクワクする体験は。なんでやねんと突っ込みたくなることばかりだったが、それを振り切って圧倒的に面白いと言わしめるエネルギーがある映画、明日を生きる勇気をもらえる映画。 人がバカスカ殺されてるのに、みんなでゲラゲラ笑いあえるのが映画館の良さ。このよさを「don't think, feeeeel!」 [映画館(邦画)] 9点(2013-09-29 00:47:10)(良:1票) |
25. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 死体を陽気に解体するでんでんと黒沢、その様子をみてゲラゲラ笑う我々観客。こんなに気を違えた映画館体験に居合わせることができたのがうれしい。 [映画館(邦画)] 9点(2011-02-21 22:07:02)(笑:1票) (良:2票) |
26. カラフル(2010)
《ネタバレ》 『カラフル』における避けて通ってはいけないものの一つに“背景画”があると思う。手書きとは思えないまるで実写のような絵の上でアニメの人物が動く。『スカイクロウラー』においては背景と人物のコントラストが濃かった。いま思えば押井は背景に対していかにかっこいいかを追及していたようないんしょうだが、『カラフル』の背景はまるで人物のように能弁に語る。 平田オリザ先生はその著書等で「人は環境によって喋らせられている」と主張している。まさにその摂理にこの背景画は従っている。この背景にこのセリフありと言わんばかり。シーンが切り替わり、背景が更新された瞬間にそのシーンの主張がスクリーン全面から高濃度に飛び出てくる。 『カラフル』がアニメという方法を選択したのは、原恵一がアニメしか撮れないのかもしれないけども、この背景の能弁さを活かしたかったからだと受け止めた。それにしてもあんなに精巧な絵、どうやって描くんだろう。 いつまでも心に残るあの鍋のシーンでの父の演技も素晴らしい。兄貴がティッシュを父にだけ渡さないあの間合いと、実はそのあとにちょっとだけ涙がにじんでいた父。『息もできない』においてサンフンが泣いた時よりもぐっときた。たったあれだけの涙なのに。たった。映画って難しいね、沢山泣けばいいってもんじゃない。 [映画館(邦画)] 9点(2010-08-30 00:24:50)(良:2票) |
27. 告白(2010)
教師の知り合いが何人かいるが、彼らに見せてあげたい! [映画館(邦画)] 9点(2010-06-22 21:06:10) |
28. 楽園(2019)
《ネタバレ》 忘れてはならないポイントがある。この映画3つのチャプター構成になっていて、それぞれ「罪」「罰」「人」とサブタイトルが付されている。ゼゼ監督が生涯をかけて言いたいこと伝えたいことって、まさにこの3つなんだと言っても過言ではない(と思う)。実は楽園は、ヘヴンズストーリー縮刷版だ。 なぜそこに人がいるのか必然性が全くない、あのY字路のシーン。柄本明と杉咲花の会話。この映画は、あそこに尽きる。閉塞と絶望と喪失が充填しているこの世界で、杉咲花が立て看板を引っこ抜いて叫ぶあのセリフこそ、希望(折り合い)であり赦し(諦め)である。罪と罰をなんとかして生きていかなければならない人の肯定である。こんな力強い映画は無二だ。 だからこそ、あのシーンをもっと丁寧に、印象的に、分かりやすく「俺が言いたいことはこれだー」という感じに撮って欲しかった。そこがちょっと残念。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:24:43) |
29. ジョーカー
《ネタバレ》 アーサー、詐病説を僕は支持する。故意に笑ってるんじゃないか。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-30 15:18:36) |
30. 劇場版 響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ
《ネタバレ》 なんでリズと青い鳥を演奏するんだろ、と疑問だったが、実はリズと青い鳥のアナザーサイドストーリーだと後から知ってびっくりした。副題が口にするのが恥ずかしい日本語。誓いのフィナーレ。。。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:14:55) |
31. アルキメデスの大戦
《ネタバレ》 冒頭のヤマト撃沈シーンは、『プライベートライアン』をほうふつとさせるくらい、まるで自分もヤマトに乗っているような、まるで自分もヤマトに爆弾落としているような臨場感。これをオープニングに叩きつけたうえで始まる、海軍のおっさんたちの闘い。 会議室での口汚いののしり合いと櫂の数学トークが混ざり合い、スリリングでさながら『12人の怒れる男』のようでもあった。 映画ラスト、山本によるヤマト論には大いに頷かせられた。確かに山本の使命感のおかげで、今僕はこうしてのほほんとフェースブックやれている。それもこれもヤマトの撃沈のおかげなのだろうか。うーん、ちょっと後出しじゃんけんにも思えるが、美しい後出しじゃんけんだ。 そう思うと、山本の「それがどうした」のあとの弁解も、やっぱり後出しじゃんけんに聞こえてくる。フィクションだから構わないけど。 重要なことは、彼らの思惑は80年前の古いものではなく、まったくもって現代の私たちにも当てはまるということだ。言うまでもなく、ヤマトは東京2020大会のメタファである。 人は過ちを繰り返す。しかし繰り返さないようにいろいろ頑張ることはできる。私たちはこの映画をはじめ、いろいろなコンテンツで歴史を学ぶことができる。さて私たちはヤマトから何を学ぶのか。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:03:16) |
32. ハウス・ジャック・ビルト
ラースフォントリアー自身がカメオ出演で、最後の「ハウス」の柱のひとつになっててほしい。その牙を、自分自身に向けよ。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-30 15:00:45) |
33. ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
《ネタバレ》 CG映画が、ポリゴンの塊であることは、誰もが知っている。そもそも映画とは、暗い部屋に投影される光と音にすぎない。そもそも小説は文字の順列にすぎない。ミッキーマウスは労働者の着ぐるみ。人間とは血と骨と臓器のうまい具合の絡まりにすぎない。そんなことは言われなくてもわかっている。みんな知っている。なにもかも虚構であり、物理で記述可能なのだ。そんなことはもうとっくのとうに『新世紀エバンゲリオン』で味わっている(特に、世界の中心でアイを叫んだけもの)。だから「それがどうした。」なのである。そして、こういうメタ認知構造を突き付けてくる作品は、僕は嫌いじゃない。 だいだいだなあ笑い男よ、僕たちはね、ぼうけんのしょが消えるという、我が実存そのものを全消去されるショックを耐え抜いて今を生きているのだ。なぜって、勇者だからさ。 僕たち人間のスゲエところは、上記のような「現象」でしかないものに「価値」を見出すことができるということ。そしてその「価値」は、いかなるものからも傷一つつけられることはない。そう、あのラスボスであってもだ。(ぼうけんのしょが消えたときはかなり傷ついた) ここは意見が分かれるところだと思うが、僕は、あのラスボスは何も破壊できていないと思っている。だってミルドラースのバグですよ、そりゃ弱いでしょ。 しかもこの映画、ちゃんと笑い男に打ち勝ってるではないか。そのときの武器がアレなのも大いに共感できる。てんくうのつるぎは、僕(=ゲームの主人公)には装備できなかった。でもアレは、僕にも装備できる。なぜって、勇者だからさ。そしてエンディングが「そして伝説へ」。 それに中盤、ところどころにラスボスシーンの必然性(ピンクの聖水のトリップ反応、クエストというセリフ、設定というセリフ、雑な端折り)が仕込まれていたので、丁寧な仕上がりとなっていると言える。轢かれた猫のような衝撃はそれなりに緩衝できるように作られている。 でもさすがにラスボスに負けていたら、今頃ボロカスに書いていただろう。 ガキの頃ドラクエと出会い、ドラクエで言葉や計算を学び、ドラクエで人付き合いが増えた。20歳くらいになるとDSとかプレステとかでリメイクされ、ドラクエと再会した。最近ではユーテューブでプレイ動画(ありえねえ裏技があってびっくり!)見る。そして今、CGで映画としてよみがえりしドラクエだが、僕にとってのドラクエは最初から今まで一貫して変わらぬ存在。これが「価値」だ。しょせんゲームで、しょせんドラクエだ。「時間の無駄」と言われれば何も言い返せない。それでも、今でも僕が僕であるための支えの一つである。これはきっと多くの元少年も思いを同じにするところだろう。 要するに、つうこんのいちげきと捉える人が多いけれど、僕にとってはかいしんのいちげきな映画だった。僕は支持する。感動した。ありがとうドラクエ。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-27 14:39:13) |
34. リチャード・ジュエル
《ネタバレ》 よくマスコミ批判する人いる。その気持ちはわかる時はわかるが、この映画でひとつわかった。マスコミとは、我々そのものであるということ。 もちろん権力の監視、公器、第4の権力者としてのマスコミの役割はあるだろう。軽減税率8%だし。けれど、我々とは別の営利追求組織と括りきることはできないのではないか。我々とマスコミを隔てる膜は、無い。 マスコミ批判イコール、我々批判。それを自覚したうえでマスコミを批判しなきゃいけないなと思った。 爆発直後に駆けつけたマスコミのセクシーお姉さん記者が、聞くに耐えないおぞましい本音を呟く。おもいっきりゲンコツしてやりたい反面、大衆は実は同じこと思ってるのだ。もちろん僕自身もそうなんだろう。 これは数年前の邦画『凶悪』でも、リリーフランキーや池脇千鶴が同じこと指摘している。 これ以外にもセクシー記者の振る舞いからは、マスコミイコール衆愚が示される。特に、母の会見聞いて涙を浮かべるなんて、なんて衆愚なことか。僕は身の毛がよだった。同族嫌悪。 また、マスコミは大衆を煽動したり、ステマしたり、権力がマスコミを利用したりなど、脆くて危険なシステムでもある。ナチスとか、ルワンダとか、大日本帝国とか。 でもこの映画は、これらが過去の過ちの話ではなく、現在進行形であることを浮き彫りにする。今のジャパンもそうなんだ。 もちろん言うまでもなく、権力は人をモンスターにする。映画前半にわかりやすく述べられるこのセリフは、なんなら今の時代のジャップにはじわじわ実感くるじゃないか。 [映画館(字幕)] 8点(2020-03-23 15:47:31) |
35. ズートピア
《ネタバレ》 現代の世界の問題、残念ながらニンゲンがもつ普遍的な問題、なんなら黒人と白人の差別問題を、こんなにもわかりやすく、かつ親しみやすくメタファライズしている、その技量に感服。 ズートピアは平和を取り戻した。さて、私達現実世界は、平和になるだろうか。この映画は、その手がかりを示しているだろうか。 [地上波(吹替)] 8点(2018-12-27 23:27:55) |
36. シュガー・ラッシュ
《ネタバレ》 世界中にゲーム好きな人が沢山いるんだなと。 [映画館(吹替)] 8点(2018-12-27 23:24:35) |
37. リズと青い鳥
まず第一に、吹奏楽部に集うJKなんて連中は、最低最恐の人間関係だどうせ。裏切りと嫉妬、陰口、ラインのグループ外し、不登校、リストカット、生理不順、妊娠と中絶、リベンジポルノ、親の離婚再婚に振り回され、奨学金というなの借金を背負い、三角関数ちっともわからない、茶髪ピアスを教師に咎められ、地毛証明書強要、などなど枚挙にいとまがない。こんなストレスに晒される哀れでいとおしい、クソめんどくせえ存在、それがJKである。 しかし、登場人物全員が見事にいい子たちばかりで、絵の雰囲気も柔らかく穏やかで、その雰囲気に癒されっぱなしだった。そう、ヒーリング。 [映画館(邦画)] 8点(2018-12-27 22:45:11) |
38. 三度目の殺人
《ネタバレ》 隠しメッセージを見つけて読み解くパズル的な面白がり方もいいと思う。 アンバーの明かりを浴びて頬を拭うしぐさ 十字 裁判とは、真実を明らかにする場ではなく、互いの利害調整の場であるとは、監督がインタビューでも話していた。だから、真実を明らかにするなどという神のみぞなしうることは端から求められていない。だから我々観客は、真実を知ることは出来ないだろう。 斉藤由貴の、娘の後頭部をスーッと嗅ぐところ、超エロい。 死刑といえど、殺人であるということは、死刑を備える国に住む僕たちはきちんと逃げずに受け止めなければいけない。 [映画館(邦画)] 8点(2017-12-29 22:42:57) |
39. 夜明け告げるルーのうた
《ネタバレ》 ひっさしぶりに映画館で観たからか、心にしみわたる感動をもらった。 確かに真面目に眉間にしわを寄せながら観れば、いろいろツッコミどころ満載で、首をかしげてしまいがちかもしれない。 「海水が緑色になって、四角くなって飛んでくるわけなくね?ありえねえし」とか。 まあ実際ありえないんだけど、そんな些末なことを塗りつぶすように、これでもかと言わんばかりにオモシロをぶつけてくる。 クライマックスで傘を登場させるためなら、町の伝統工芸品にすることくらいお手の物。なんでやねん。 しかし、保健所の殺される予定の犬とか、人魚に殺された(とされる)昔の人々とか、海底に沈む船とか、骨だけになっても動き回る魚とか、随所に「死」を想起させるのもピりりとしている。ルーの母の壮絶な処刑の光景は想像すらしたくない。 なによりも、ルーがうちの娘に似ている。 でもやっぱタイトル覚えずらい。 [映画館(邦画)] 8点(2017-07-13 23:37:30) |
40. クリーピー 偽りの隣人
《ネタバレ》 僕たちはこの映画を「黒沢清だから」観に来ている。なのでそのつもりでこの映画と対峙するつもりでいる。するとオープニング、取調室の窓枠ただそれだけで吐き気がこみ上げてくる。窓枠の格子に合わせて字幕でキャストの名前が現れて消えていくが、「黒沢清」は文字数の関係かもしれないが、窓枠の格子からずれている。僕は開始3分のこの時点で、満腹感。 考えすぎだバカと思うでしょ。でもさ、ちゃんとこの取調室の窓枠、映画後半で再び登場したんですよ。ほらちゃんと意識的に撮られている。 隣人の登場も秀逸。ただ「日陰に立ってる」だけなのに、なぜあんなにヤベエ感じに撮れるのだろう。玄関手前に揺れるカーテンがきっと効果あるんだろう。揺れるカーテンは、『トウキョウソナタ』のラストシーンでもあった。あの時は清々しい風だったけど、今回は禍々しい風だった。室内から外に風が流れるとは、家の奥のドアが開いたり閉じたりしたときではないか。つまり、あのカーテンがたなびいているとき、奥のあの鉄扉が開いていたのか。 昔の一家失踪事件の生き残りの女もクリーピーだ。確かに被害者で気の毒な人なんだけど、どうやら彼女は黒だ。 誰もが記憶に残る、大学での尋問のシーン。そこでの彼女の証言「私は2階にいて、その男を見下ろしていた」という表現が僕は引っかかった。そして映画の後半、彼女は住んでいるアパートの2階の廊下から、西島秀俊を見下ろした。 てことは自動的に西島もクリーピーだ。そして映画ラスト、一見気持ちいいリベンジを果たすんだけど、西島は隣人にとどめをさそうとする(が弾切れだったので竹内結子に「もう死んでるわよ」と諌められる)。この映画の中でもっともサイコパスなやつは、何を隠そう西島その人であった。 そもそも香川照之が一番悪い奴で、こいつさえいなければ良かったんだけど、現実に我々の世界にはあんなやつが存在していた。北九州一家殺人事件とか、尼崎角田美代子事件とかもきっとこんな感じだったんだろう。ぶっとんだサイコパスの行き着く先には、現実がある。 [映画館(邦画)] 8点(2016-12-30 23:59:04) |