21. 17歳の瞳に映る世界
《ネタバレ》 17歳、ペンシルベニアからNYへの妊娠中絶のための小さな旅。 ペンシルベニアの小さな町。17歳の彼女が感じる閉塞感、家族をはじめとする人間関係など。 序盤のこうした前提を本作は本当に必要最小限にしか語らない。 必要最小限なのは台詞や音楽も。 その分、局面ごとの彼女たちの心の内、その不安感を彼女たちの表情や目で語らせる。 その演出と、それに応える2人の演技もまた素晴らしい。 全編を通して静かな作風にあって唯一たたみかけてくるのが、 NYのクリニックでの、本作の原題にもなっている4つの選択肢の質問。 答えに詰まり、感情がこみ上げてくる彼女の表情をとらえ続ける、本作の中で最も厳しいシーン。 しかし優しく彼女に問いかけ、耳を傾けるカウンセラーの姿勢や、 序盤の地元ペンシルベニアのカウンセラーの主人公に寄り添う姿勢など、 今も議論が続く重いテーマに対する作者の姿勢も印象的な問題提起の形でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-17 18:06:40) |
22. MEMORY メモリー
リーアム・ニーソン、年をとっても変わらず本作でもめちゃめちゃ強いです。 主役のリーアムが最後にこういうことになってしまう映画って他にあるのかな。初めて見た気がする。 強い男を演じ続けながらも実年齢と共に演じる人物像、演じ方が少しずつ変わっているけど、 いい意味での哀愁や渋みが加わり、俳優としていい年の重ね方をされている人だと思います。 本作では作品タイトルの通り記憶がひとつの鍵になっており、 アルツハイマー認知症を発症し引退の時が近づいている殺し屋を演じている。 悪役にはイタリアの宝石と言われたモニカ・ベルッチ。さすがにお年をめされた感がありますが その分、若い頃の彼女には出せないゴージャスなふてぶてしさが印象的です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-10-10 18:00:19) |
23. マンハッタン無宿
《ネタバレ》 イーストウッドが演じるのはカウボーイハットとブーツ姿で、 容疑者を連れて帰るためアリゾナからNYに乗り込む若き保安官補。 まるで西部劇の世界から現代NYに抜け出してきたかのような男。 上司や上部機関の指示などクソくらえだぜ、そんな一匹狼的キャラ設定は、 ドン・シーゲル&イーストウッドが初めてコンビを組んだ作品ということもあり これが後の「ダーティハリー」へとつながっていく作品だと考えれば、 作品の出来とは別のところで存在意義のある作品なのかもしれません。 後のハリー・キャラハンと比べると、本作ではまだ大人しいですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-10-03 17:06:09) |
24. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 作中、ある証言者は「彼は編曲を発明した」とし、また別の証言者は「彼は映画音楽の発明者」と賛辞を贈った。 映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが自身の音楽人生を振り返り、彼を知る本当に数多くの証言者が登場するドキュメンタリー。 モリコーネの名が世界中で一躍広まっていくのはレオーネの作品をはじめとするマカロニウエスタンですが、 レオーネのような巨匠の名作からB級作に至るまで非常に数多くのマカロニ作品の音楽を書いてきた理由も本作を見ればなるほどと思える。 その一方で「西部劇だけの作曲家だと思われたくなかった」といった本音を多くさらけ出しているのも印象的で、 そう話す彼の前には常に信頼のおける友であり本作の監督であるトルナトーレがいたのかもしれない。 ノミネート歴は数あれどアカデミー賞に縁が無かったモリコーネでしたが2006年、ついに名誉賞を受賞する。授賞式での彼の姿が感動的です。 ある証言者は「名誉賞はハリウッドからの謝罪であり、本当に嬉しかった」とし、 アメリカの映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムスの「アカデミーはやっと”彼に賞を”と気付いた」という言葉が印象的です。 作中にはそれもなるほどと思える、数々の素晴らしい映画と、その映画を彩る彼の素晴らしい音楽が登場する。 エンニオ・モリコーネという人がいて、本当に良かった。 いいドキュメンタリーでした。エンニオ・モリコーネの映画音楽を愛する者としてとても楽しい作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-09-19 16:38:57) |
25. アナザーラウンド
《ネタバレ》 冴えない中年オヤジ達の人生再出発モノ…とは一味違う序盤。 内容的にはシリアスなストーリーではあるのですが、4人がそれを崩さない絶妙の線引きでコメディタッチの演技を見せる。 あまりアルコールを飲まない人から見れば、自分も酒飲みの部類に入ると思うので彼らの気持ちは分かるけど、 まあ、だんだん酒の量が増えて当初の計画通りの0.05%では済まないことになってくること、 そして彼らのある意味実験が一旦は破綻するところまでは想像がつく。 しかし彼らには家族があり、生徒たちがいる。もう一度立ち上がり再び人生を歩みださなければならない。 元々はダンサーだったというミケルセンの生徒たちと一体になった、 生徒たちだけでなく自らをも鼓舞するような力強さと躍動感あるダンスが素晴らしい。 生徒たちも、中年教師たちもこれからの人生を頑張れ。素直にそう思えるラストが鑑賞後の余韻をいいものにしてくれます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-09-13 15:19:53) |
26. Mr.ノーバディ
《ネタバレ》 冴えない日常を過ごしている冴えないおっさんが実は凄腕だった、というのは映画ではよくある話なんですが 本作のおっさんはただ者ではない、凄腕の度合いが半端なかった!これはもう演じるボブ・オデンカークの風貌が絶妙すぎです。 割と早い段階で実はただ者ではない、このおっさん一体何者なんだ?ということになるんですが、 「3文字の政府機関の特別職」だったという過去、そしてオデンカークの醸し出す説得力満点の雰囲気、これだけでもう十分です。 ですが、事の発端が娘の猫のブレスレットを取り返しに行く、というこの男の今を表す極めて家庭的な事情がまたいい。 僕にとってはお久しぶりです、の息子に負けないタフなじいさんを演じるクリストファー・ロイドの健在ぶりも嬉しかった。 音楽、挿入曲の使い方もクール!な痛快バイオレンス・アクションでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-09-13 15:15:17) |
27. 台北暮色
台湾の大都市、台北市。鉄道や高速道路が行き交い、一見無機質に見える台北の街並みの遠景と、 人々が密集して暮らす生活感あふれる路地。その両方を捉える映像それぞれにいい味がある。 そして登場人物それぞれに家族や今の人間関係と、今の自分に大きな影響を与えている過去がある。 終盤に「距離が近すぎると人は衝突する。」という台詞が登場しますが、 登場人物それぞれの人間関係と、そこにある目には見えない距離感や孤独感、隙間風のようなものを実に巧く描き出しています。 その一方で亜熱帯の暑気を帯びた空気やそこで生きる人々の熱を感じさせる台湾映画らしい質感がいい。 大都会の遠景と、その中で生きる人々のごく近くに見える姿。 迷惑でしかない「ジョニーに代わってよ」と頻繁にかかってくる間違い電話をある意味受け入れているかのような主人公の女性。 遠景を見せられるとひっきりなしに車や鉄道が行き交い、そこに人同士の関りが見えてこない大都会。 しかし近くに寄って行けば、一見もう終わり?というラストにはエンストした車を脇に寄せようと人々が助け合う声が聞こえる。 「距離が近すぎると人は衝突する」とは言うものの、やはり人は何らか関わり合わなければ生きてはいけない。 作品は3人の主要登場人物の今後にこれといった解決策は見出しませんが、そんなことを感じさせるラストが印象的です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-08-19 12:06:32) |
28. ダーティファイター(1978)
イーストウッドがただただ強い。一応敵役?のブラック・ウィドーズの連中がただただ頭が悪くて弱い。 オランウータンのクライド君の方がかしこい。ばあちゃんの方が気合が入ってて強いくらいです。 当時のイーストウッドのパートナーだったソンドラ・ロックとの共演モノです。 イーストウッドも、この手のイーストウッド映画になぜかよく出てくるジェフリー・ルイスも楽しそう。 現代ハリウッドの生ける伝説、巨匠イーストウッドも昔はこんな無邪気な映画に出てたんだなあ、という作品です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-06-11 13:06:07) |
29. ゲッタウェイ(1972)
《ネタバレ》 本作の少し前にはボニー&クライドという、罪を重ねながらの男と女の逃避行モノがあっただけに、 本作を初めて見た時にはボニー&クライドを思い出しながらの観賞となってしまいましたが、 その中に描かれる男と女、クインシー・ジョーンズのクールな音楽、マックイーンのクールなカッコよさ。 それだけでなく本作は女の方もカッコいいんです。 内に秘めたる意志の強さを感じさせるアリ・マッグローの表情、その目ヂカラ。 マックイーンと見事に渡り合っている。 どう考えても2人は破滅に向かっているとしか思えない。 しかし。最後に出会ったおっさんとのラストのやり取りがいい。 ずっと張りつめていた作品の空気を最後の最後に緩める。 ニューシネマの時代にあって、それに抗うような真逆を行くラスト。 これもまた反骨の人ペキンパーらしくていいのではないか。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-05-13 18:12:19) |
30. 地平線から来た男
《ネタバレ》 バート・ケネディ監督、ジェームズ・ガーナー主演のおバカ西部劇第2弾です。 「夕陽に立つ保安官」の続編かと思いきやストーリーは全くの別物、姉妹作ということのようです。 それにしてもジェームズ・ガーナー演じる一見金持ちのこの男、 実は裏の顔がある強い奴なのかただの詐欺師みたいな奴なのかその正体がまるで分からないんですが、 前作と同じくジェームズ・ガーナーが何が起ころうとも堂々として飄々としている様がいい絵になっている。 そのガーナーにいいように使われる男を演じる、同じく前作から続いて出演のジャック・イーラムの醸し出す雰囲気がまたいい。 さて、そうこうしているうちに「本物」が町にやって来てしまい、さあ大変! 「本物」と対峙し、ついに決着がつくのかと思いきや、最後まで西部劇の王道に背を向けるようなコントのような顛末。 本家の西部劇をパロディにしたような、イーラムの最後の一言に至るまで何とも無邪気な作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-04-26 23:23:12) |
31. ティル・デス
《ネタバレ》 雪深く周囲から隔絶されたポツンと一軒家、孤立無援のヒロイン。 重くて苦労して引きずって一緒に移動するしかないあるものと手錠で繋がれ、 スマホもクルマも使えないようにされてしまって、 外部との連絡も逃げ出すことも不可能。このあたりは抜け目なく設定されている。 しかし序盤から孤立無援の中、命を狙う凶悪犯もなくこの手の作品に必須のハラハラドキドキ感は無い。 どうやってここから脱出するかだけの作品なのかな・・・ そう思い始めた中盤以降から一気に作品が動き出す。 母屋、ガレージ、倉庫と広い敷地内に点在する建物に、深く降り積もった雪や氷の張った湖。 ヒロインが身を隠し、逆に命の危機が訪れる要素の配置もいい具合にされている。 既視感もあるシチュエーションスリラー鉄板の舞台設定ですが展開のテンポも良く大健闘の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-15 13:31:55) |
32. すべてが変わった日
まずは孫がいる夫婦を演じるケビン・コスナーとダイアン・レインがいい。 孫を心配して旅に出る。馬に乗って現れる先住民の血をひく若者との、 見渡す限りの平原が広がるノースダコタでの、西部劇のような空気感がある出会いの場面がいい。 しかしこれでもかというほど嫌な雰囲気をまとうウィーボーイ家の面々が次々と現れる。 特に一家をマインドコントロールで支配しているかのような一家の女主人役のレスリー・マンヴィルの存在感が凄い。 ウィーボーイ家との対面以降は何とも言えない不穏で嫌な空気が充満するのですが、 それでもこんな結末になるとは思いもしなかった。決着に至る最終盤はあまり好きな展開ではないですが、 作品の空気づくりの巧みさや主要キャストの素晴らしい仕事もあり、見応えのある映画になっていると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-01 17:19:57) |
33. 野獣暁に死す
仲代達矢さんがこんなB級マカロニに出ていたとは・・・。しかもこんな悪役で。 仲代さんが最初に登場するシーン。仲代さんが出ている前提で見たのですぐに分かりましたが、 何も知らずに何となく見ていたら気付かなかったかも。それくらいの濃さでマカロニの世界観に馴染んでいる。 一方で復讐する側の5人衆のキャラや存在感が薄いせいもあり仲代さんの存在感の濃さがより際立っている。 何かあった時の仲代さんのリアクションを見ているだけでも十分面白いです。 深い森の中で5人衆がナイフやロープなど銃以外の武器も駆使し、藪の中や樹の上から奇襲し1人ずつ始末していく様は、 あの「ランボー」のジャングルシーンを思い出すようでもあり、 ロープを枝にかけ、中吊りにして始末する様は必殺シリーズの三味線屋の勇次を思い出したりもする。 まさか本作が「ランボー」や「必殺」の元ネタ?なんてことはないと思いますけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-18 13:13:13) |
34. 海上48hours-悪夢のバカンス-
《ネタバレ》 英国製のサメ映画です。 海上か海底か、47か48の違いはありますが同じサメ映画のシリーズと似た邦題が付いてるけど別物の作品。 最後に誰が助かるのかは、冒頭の海に出て行く前のキャラからも非常に分かりやすいですが、 足を怪我して最初に犠牲になる男は別にして、あとの2人の男が仲間を救うために見せる男気がいいじゃないですか。 上映開始後、若い男3人と女が2人。海に投げ出されるまでに10分か15分程度、 そして90分足らずの上映時間で展開も早く、最後までまずまず楽しめるサメ映画です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-03-18 13:10:20) |
35. ディープ・ブルー2
《ネタバレ》 前作からなぜか20年近く経っての続編です。 サメを使った薬の研究、洋上の秘密研究施設、人間の想定以上に知能を持ってしまったサメ。 このあたりは前作と同じような設定ですが、スケールもキャストも前作よりも小ぢんまりとした感じです。 ピチャピチャと水面を賑わせながら向かってくる、知能を持ったサメから産まれた赤ちゃんザメの大群との闘いがメインとなっていて、 この赤ちゃんザメというのは新しいとは思いますが、この時間帯はピラニア映画でも見てるような感覚に近い。 知能を持った巨大凶暴ザメとの闘いはほとんどないのでサメ映画としても物足らないし、 海水が入ってきて沈みゆく施設から、サメに狙われながらの脱出モノとしても前作の方が面白かった。 生き残った赤ちゃんザメがいることを見せるラスト。 「3」を作る気満々のラストだなと思って確認したらやっぱりありましたね。 赤ちゃんザメが大人になった続編か、はたまた別のストーリーになっているのか。 機会があれば期待しすぎないで見てみることにしよう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-02-20 12:32:25) |
36. 誇り高き男
《ネタバレ》 どちらかというと悪役が印象的なロバート・ライアンが主役の保安官もの。 やっぱりいい役者だなあと改めて思わされる1本です。 敵役の酒場の支配人だけでなく、面倒を見ることになる新人保安官の若者、どちらとも過去に因縁がある。 酒場の支配人とは分かりやすい、西部劇らしい善悪の関係があるけど、 新人保安官の若者との今の信頼関係と過去の因縁、複雑な関係がいい緊張感をはらんでいる。 その緊張感が高まる町外れの荒野での銃の練習と、その時の教えを忠実に守った悪役との最後の決着シーンが見事。 節目で流れる口笛のテーマ曲が耳に心地いい。 決着がつき、その口笛のテーマ曲が流れる中、町を後にするライアンの遠ざかる後ろ姿で終わるのかな?と想像していたのですが、 この若者は立派にこの町の治安を守っていくだろうことを確信させる、新人保安官が歩を進めるラストシーンがまた良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-02-16 18:03:22)(良:1票) |
37. デッド・ドント・ダイ
《ネタバレ》 新旧のジャームッシュ映画の常連たちが顔を揃えた、このジャームッシュ的豪華キャスト! なんですが、しばらくは見ずにいた作品です。 ジャームッシュの映画にはストーリーがあって無いようなものもあるけど、 登場人物の何気ないやり取りを、ゆるい空気とちょっとした間の使い方ででコメディにしてしまうのが巧い人なんですが、 本作はいつものジャームッシュの作品の空気が好きな人にとっても、 ゾンビ映画ファンの人にとってもどっちつかずに終わってしまった感じですね。 とはいえ、「まずい結末になる。と君は予言のように言い続けた。何故なんだ?」 「台本を全部読んだ。ジムが見せてくれた。」 「俺には出演シーンだけだったぞ。あいつにはずいぶん協力してきたのに。恩知らずめ!」には笑った。 しかしながら最後の意味不明のUFO登場に至っては、ちょっとなんでもアリが過ぎませんか?でしたけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-02-10 17:39:29) |
38. シング・ア・ソング! 笑顔を咲かす歌声
寡作の人ピーター・カッタネオの久々の作品です。 「フル・モンティ」もそうなのですが、不安や悩みを抱える庶民が一致団結して何かを成し遂げていく。 こういうストーリーをコメディタッチで描き出すと、変わらずいい味わいを出す監督さんです。 本作もリーダーシップを発揮しようとする大佐の妻と、部下の妻たちに最初は微妙な空気が流れつつも、 少しずつその心の距離を縮めていく過程の描き方がまあ、ベタではありますが本作はそれがいい映画です。 本当にこれで合唱団になっていけるのか?と思っていた序盤、 1つにまとまるきっかけとなるのが日本での知名度はないですがヒューマン・リーグの曲というのもイギリスらしくていい。 本作も「フル・モンティ」などと同じくイギリス映画らしい空気、イギリス映画らしい良さがある佳作です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-30 16:19:07) |
39. ゲットバック
《ネタバレ》 稼いだだけ金を使いまくる浪費家として有名な人なので常に金が必要なのか、 とにかく何でもかんでも映画に出まくっている印象を受ける近年のニコラス・ケイジ。 まあ、この人らしいクライム・アクションサスペンスなんですけど、 これは結構いい方なんじゃないでしょうか。 冒頭の銀行強盗から8年、ムショを出てからのお話がメインなんですが、 彼を追うFBI、人間のクズのような8年前の共犯者と、この男に誘拐された娘。 それぞれにニコラスと均等に絡みがあり、無難にまとまっている。 何事も無かったかのように元の鞘に収まる家族とその様子を見守るFBI。なかなか洒落たラストが良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-01-16 16:59:30) |
40. ヒッチャー(1985)
《ネタバレ》 荒涼とした乾いた風景のハイウェイと車。 作品の出だしはスピルバーグの「激突!」に似た空気のある不条理サスペンス。 路上、荒涼とした風景に点在するガソリンスタンド、カフェ、警察署、モーテル。 主人公の行く所に確実に的確に現れるので、 そろそろまた出て来るなというのが見ている側にも的確に分かってしまうのですが、 その表情も佇まいも、主人公の男の前に現れる様も、とにかく不気味。 この作品はとにもかくにもルトガー・ハウアーですね。 一体何人殺したんだろう?ルトガー・ハウアー演じる男は残忍の一言なんですが、 残忍な殺され方をするその瞬間や、惨殺された死体はあまり見せない。 しかし、何が起こっているのか見る者には全て分かる。 この手の作品にしては見やすさもありつつ、よく考えられた見せ方であると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-11 16:23:24) |