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21.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
やられた。まんまと騙された。ヘンリー・フォンダが倒れ、急遽駆けつけた医者、そして、奥さん、更には銀行の頭取までもが全員、グルで他のポーカーの相手全員騙す。その騙し方が何とも爽快である。あの亭主も亭主なら奥さんも亭主以上のやり手だ。ポーカーのルールさえも全く知らないなんてとんだ大嘘である。結局どんな手で勝ったのか?見せないけれど、そこは見せなくて正解です。見せないことで観る側の立場から考えれば想像することの楽しさというものも面白さであり、またこの映画、ヘンリー・フォンダ以外のポーカーの相手もそれぞれが個性的であり面白い。更に西部劇好きにとってはあの西部の街並み、セット、そういう雰囲気を楽しむだけでも良いのに、そこに来てこの騙す者と騙される者とのやりとり、最後まで騙されたままでいることすら知らないでいる男達の事を思えばそれもまた面白い。とにかくこの映画は最近の下手な大作なんかじゃ絶対に味わえない面白い駆け引きが見られるのも良い。映画は脚本の力でどれだけ面白く撮られるかってことを見せ付けられる映画でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2012-01-04 10:23:27)(良:2票)
22.  チェブラーシカ(1969)
可愛い。とにかく可愛い。もう可愛い以外の誉め言葉が浮かんでこないぐらい本当に可愛い映画だ!チェブラーシカのあの瞳、観ているだけで癒される。毎日の仕事の疲れも、嫌なこともこの映画を観れば全て洗い流してくれる。そのぐらいとにかく観ているだけで嫌なことを忘れさせてくれる。あのワニのゲーナの後ろをくっ付いて歩く姿、ゲーナの奏でるアコーディオンの響きの楽しさ、楽しくて楽しくて仕方ない。しかも楽しいだけでなく、哀愁を感じさせる。どうも今の世の中、ちょっとしたことですぐに怒って人を殴ったり、つまらない理由で殺人を犯したりとそんな嫌なニュースがやたら多過ぎる。この映画を観れば絶対にそんなおかしな犯罪に手を染めるようなことなどないのに!この映画は単なるアニメの面白さを超えて、心の温かさを感じるし、一人でも多くこの作品に触れることで犯罪のない素晴らしい世の中になることを祈る。皆さんの素晴らしいコメントとこの高得点を信じて借りてきて本当に良かった。
[DVD(字幕)] 9点(2010-11-28 21:47:45)(良:1票)
23.  黒い画集 第二話 寒流
黒い画集シリーズの中で最後に観ることになった本作を拝見して、思ったことはやはり映画は脚本が命であるということと、緊張感を生む為の演出においてもこの鈴木英夫監督という監督さんはどうすれば良いかってことをよく解ってる。人物描写の上手さ、金が金を呼び、どんどんと金に埋もれて行く人間の醜さ、欲の塊から崩れて行く人間の儚さ、池部良の怯える顔、どんどんと悪女としての顔を出す美しい女の中にこそ隠れている男を惑わす女、新珠美千代、この二人の演技もさることながら池部良演じる銀行員の課長の常務の平田昭彦の何たる醜さ、この映画は人間が如何に金の前には弱く、男は女に弱く、そんな女の前に男は身体では解っていても思っている通りにはいかないというその全てを徹底してさらけ出している映画として、とにかく恐い。サスペンス映画としても勿論のこと、人間ドラマとしての面白さ、最近のサスペンスでは物足りない。そう感じてる人にお薦めの本格サスペンスの傑作です。最後にこの映画の主人公を演じている池部良、「青い山脈」や「昭和残侠伝」シリーズと並ぶ池部良自身の代表作の一つとして、遅くなりましたがご冥福を祈りつつ失礼します。
[DVD(邦画)] 9点(2010-10-31 10:09:08)(良:1票)
24.  ロミオとジュリエット(1968) 《ネタバレ》 
あぁぁぁ!神様!私をお許しください。これほどの古典的名作を今まで見ていなかったことに、そして、私の汚れた心をどうかお許しください。オリヴィア・ハッセーがこの映画の中でヌードになってるということだけはずっと前に聞いて知っていた。こんなにも美しくて、心の優しい汚れを知らない純粋で愛に生きる女、ジュリエットの「あぁぁぁ!ロミオ!あなたは何故?ロミオなの?」とベランダ越しに一人、語っている時の何たる可愛さ、美しさよ、それを下から見ているロミオ、この二人だけの場面のこれこそがこの映画そのもの、私もこんなにも美しい女性が相手なら名前なんか気にしない。例え「バカ」でも「アホ」でも「与太郎」でも「抜け作」でも何でも構わない。名前なんてなくても良い。こんなにも可愛くて、美しいオリヴィア・ハッセーが相手なら、一緒になれるなら、僕は例え、世界中の人達の前で自分のお尻を披露することとなっても構わない。あのおかしなお面だって、被れる。神様!ごめんなさい。こんなにも素晴らしい映画なのに、こんなアホなコメントしか書けない私をどうかお許しください。それにしてもオリヴィア・ハッセーのこの美しさ、あの美しい寝顔も死に顔も一生、忘れることはないだろう!そのぐらいとにかく美しい。ニーノ・ロータの切なくも悲しい音楽も美しいし、イタリアの町並み、素晴らしいセットととにかくこの映画は美しさに酔うための映画だ!自らの命を絶つことになってしまった若い二人に涙すると共に天国でも二人仲良く愛し合う事を心より神様にお願いしたい。この「ロミオとジュリエット」を見てしまったら、もう他の「ロミオとジュリエット」なんか見れない。この作品だけあればそれで良い。
[DVD(字幕)] 9点(2010-02-07 22:44:44)
25.  冒険者たち(1967) 《ネタバレ》 
甘い。確かに甘いが、だからってこの映画に対してケチを付けるということは出来ない魅力がこの映画にはある。オープニングからして惹き付けられるあの美しく切なく、甘い何か人生とはほろ苦くて哀しいものである。だからこそ夢に向って突き進むということは素晴らしいとでもあの音楽自身が語っているようなほど一度、見ただけで、聞いただけでいつまでも耳に残る。離れない音楽、二人の男に一人の女というのはよくある典型的なパターンであるが、この映画の最大の功績はやはりヒロインであるレティシアを演じているジョアンナ・シムカスの存在があればこそで、彼女の存在なくしてこの映画が大勢の方に愛され続けているということは絶対にないと断言して良いぐらいジョアンナ・シムカスが良い。海を愛し、「海が私の初恋の相手」だなんてかっこ良すぎるし、素敵じゃないか!周りから見れば何言ってんだ?と思われるかもしれないが、何かに対し素直な気持ちで自分の好きなことを告げる。なかなか出来やしないことだと思います。そんな彼女にもただ一つ思ってても言えなかったこと、自分の事を愛してくれているマヌー(アラン・ドロン)よりローラン(リノ・ヴェンチュラ)の事が好きでいた気持ち、それをローランに伝えることなくギャング達に襲われて死んで行った彼女とラスト、同じくギャングの銃弾によって殺されたマヌーに対してレティシアはお前の事を愛していたぞと言うローランと嘘を言えとだけ残して死んで行ったマヌーの事を抱きしめるローラン、この映画は青春のほろ苦さ、破れし夢を追い求める男と女の青春映画であると共に恋愛映画なのである。あのラストシーン、ここでは音楽も一切無しというのが良い。余韻を残したまま終わる。ここらがフランス映画の上手さであり、今時の映画とは大きな違いである。美しい音楽と美しい海、空、切なくてほろ苦くてそれでいて、甘さも残しつつ青春の儚さをストーレートに表した正に青春と呼ぶなに相応しい映画である。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-08-02 11:51:12)
26.  戦国野郎 《ネタバレ》 
黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」と似ている。確かに似てはいるけど、こっちのが喜劇的要素、コミカルであり、また二人のヒロイン、星由里子と水野久美の美しさと可愛さなどもあって私としては好きです。加山雄三と中谷一郎のやりとりも面白い上にそこに絡んでくる佐藤允の木下藤吉郎(後の天下人、豊臣秀吉)とのやりとりがこれまたユーモラスで面白い。加山雄三に斬るぞと脅かされて「わっしが今、ここで斬られてしまったら日本の歴史が変わる。」て、ぶはははは!確かにそうだ!こんなちょとした台詞にまで笑いが弾けていて、流石は岡本喜八監督である。黒澤明監督がアクションの監督なら岡本喜八監督はやっぱり喜劇の監督さんだなあ!というのがこの映画を見て私の感じたことであり、アクションの中にも喜劇の要素を取り入れることによって更に面白さ倍増!常にまじめな加山雄三と対照的なふまじめな二人の男、中谷一郎、佐藤允の二人が素晴らしい喜劇役者ぶりを発揮している。自分の前に歩く加山雄三ともう一人、水野久美とのやりとりの面白さ、更にはこの映画、岡本喜八監督が黒澤明監督を尊敬しているようなシャープな映像とカット割り、更には岡本喜八監督がマキノ雅弘監督の「次郎長三国志」シリーズの助監督を務めていたといこともあって「次郎長三国志」シリーズにも出ていた田崎潤の顔ぶれも見られるなど「次郎長三国志」シリーズ全て見ている私にはそれもまたこの映画を見ていて嬉しかったりもする。そして、やっぱり二人の女性、星由里子と水野久美が凄く魅力的である。これほどまでに魅力的で可愛げのある女を演じている星由里子を他に私は知らない。水野久美にしても同じ年に撮られた「マタンゴ」では感じられなかった女としての色気、可愛さにとにかく飽きることなく面白く見られるこれほどの傑作が、キネマ旬報ベストテンは愚か、誰も投票していないという事が納得出来ない。少なくとも今の時代劇や大河ドラマよりもずっとずっと面白いし、岡本喜八監督ファンは勿論、全ての時代劇ファン、黒澤映画が好きな人にも見て欲しい傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2009-04-12 20:20:48)(良:1票)
27.  その場所に女ありて 《ネタバレ》 
やった!念願叶ってようやく観ることが出来ました。この前、同じ監督の「彼奴を逃すな」をCS放送から録画して持ってるという親戚から借りて観たばかりでこれも観たいけどって聞いたら調べて見るよと言われたまま待っていたらこれも録画してあるという連絡を今朝、もらい早速借りてきて、観終わったばかりでして、いや~司葉子!司葉子!司葉子の何という美しさ、そして、かっこ良さ、男社会における企業の中で強く逞しく、生きる女を見事に演じている。その素晴らしさ、とにかく惚れ惚れするぐらいの美しさと知性、かっこ良さ、全てを備えた完璧なまでな女をここまで見せ付けられるに連れ、人間て生きものは男よりも女の方が強いということを改めて思い知らせれると同時にこの映画の司葉子演じるどこまでも美しくかっこ良い女の男社会に対する不信感から来る物凄い説得力のあるまるでサスペンスもののようなストーリー展開に、いや、これは完全にサスペンスものである。ライバル会社との駆け引きの中でひたすらに男よりも強く自立していく女の強さ、冷酷なまでにドライな感覚のままテンポ良く、全くもって飽きさせないこの鈴木英夫という監督の凄さ、そうそう!この映画、司葉子に対するカメラワークも素晴らしい。あの素晴らしく細くて舐めまわしたくなってしまうほどの美しい足、ここでもピシッとスーツ姿を決め、あのスカートから伸びる足、うわぁ~~~!て、何だかこうして書いてるとスケベなおっさんにしか思えないんだけど、これは司葉子の魅力全開、司葉子ファンは当然、必見として、これほどの作品がたった四人のコメントしかないという寂しさと現実に頼むから鈴木英夫監督の作品も川島雄三、成瀬巳喜男といった監督同様、全てDVD化して欲しい。この監督の作品、まだ二つしか観てないのにもう、既に虜になってしまった。それにしても司葉子とあんな良い思いしている宝田明めっ!憎いぞ!そして、羨ましい。最後に「その場所に女ありて」何て素晴らしいタイトル!「その場所に男ありて」なら見てないだろうし、男は誰も見ないだろうなあ!
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-01-12 22:11:11)(良:1票)
28.  「女の小箱」より 夫が見た 《ネタバレ》 
これはまた何という欲の固まり、欲に埋もれた人達のドロドロしたサスペンスものであり、これまた恋愛劇、それも純愛といっても良いような男と女のメロドラマ!出世の為なら何でもする。仕事として女を抱くという田宮二郎のあの男の凄まじさ、平然とした態度、それ以上に若尾文子、若尾文子、若尾文子はここでも凄い。オープニングから女の色気、ムンムン、フェロモン全開、風呂場での田宮二郎とのやりとりの凄さ、田宮二郎に猛烈に口説かれても全く動じない。表情をまるで変えず平然としている若尾文子、この場面を見たら間違いなく男はノックアウトするでしょう!私はもう、最初の若尾文子登場のこの場面から完全にノックアウトされました。そんな若尾文子と並んで凄いのが岸田今日子、怖い。本当に怖いです。増村保造監督は何を見たいか?男が期待している女の凄さと恐ろしさを徹底して見せてくれる。この監督、やはりただ者ではない。人間の持っている出世したいという欲、更には金に対する執着心、金欲、そして、人間なら男も女も同じように持っているはずの色の欲、つまりは性欲、欲の全てをここまでして描くとは恐ろしい。作品の好みで言うと「妻は告白する」の方が上だけど、これもまた単なるサスペンス映画ではない恋愛映画として素晴らしい傑作!
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-06-30 21:50:17)
29.  赤い天使 《ネタバレ》 
戦争映画っていうものはカラーよりも白黒で描く方が絶対に戦争の持つ恐ろしさが伝わるものです。少なくとも私にはそう感じる。この映画を観て益々そう感じた。これは戦争映画であると共に恋愛映画である。それもそこらの生ぬるい今時の恋愛ものなんかとは比べ物になにない究極の愛の形というものがこの映画の中にはある。それは若尾文子演じる西さくらという一人の看護婦が自分に関わった(肉体関係になった男)の存在があればこその本物の愛の形というものがある。自分と関わった男達は皆、戦争の被害により死んでいく。愛した男の為に自らの身体を身を持って見せる西さくらこそ彼らにとっては正しく天使の存在だった筈!しかし、そこは増村保造監督、この天使とでも言うべき若尾文子演じる西さくらを白衣の天使とは描いてない。確かに白衣を着込んではいるけど、この映画の若尾文子はタイトル通り正しく「赤い天使」それは何故なら戦争の惨酷さ、あのバケツの中に入れられる負傷した兵士達の手や足、それこそ人間の心の中に流れている「血」=「赤」という正に「赤」をモチーフに徹底して描かれたリアルで惨酷な恋愛映画だ!それにしてもこの映画のグイグイと引っ張る力強さ、それこそこの監督ならではの凄まじさではないだろうか! この作品の中の若尾文子のナース姿も軍服姿もどちらも◎
[DVD(邦画)] 9点(2007-07-21 23:08:12)
30.  ラインの仮橋 《ネタバレ》 
いや~何かこういうの観るといかにもハリウッド的なド派手なアメリカの戦争ものとは違う落ち着きのある。それでいて、物凄く優しさに満ち溢れている何ともヒューマニズムな香のする素晴らしい戦争映画て気がしてきて、やはりフランス映画独自の香り、底に流れる人間の持っている優しさ、この映画では何と言ってもパン屋ですよ。新聞記者と一緒に農民の手伝いをしたり、いや、どちらかというと無理やりさせられていると言った方がこの場合だと正しいのたが、嫌な顔一つ見せずに働くその姿は正しく働く者の鏡そのものです。そこに生まれる戦争という一つの壁を大きく超えた交流、まるで家族のように農民に対してもドイツ軍の捕虜となった人達に対しても優しく接する姿に涙が出てきた。これは正しくフランス映画、そう、例えるならジャン・ルノワール監督の映画にある優しさのようなものが画面全体を通して伝わってきます。これまた一つ素晴らしい映画に出会えた。以前、映画好きの親戚と戦争映画について話をしていた時にジャン・ルノワール監督の「大いなる幻影」が良かったと言ったらそれじゃ、これもきっと気に入るはずだよとテレビで放送したのをDVDとビデオに録画してあるからビデオで良ければやるよと借りたまま見てなかったので、昨日の夜、見たらもうこの映画のことが頭から離れず、ちっとも眠れず、寝不足ですが、それでもこれだけ良い映画なら文句は言えない。それにしてもこれってビデオにもDVDにもなってないのかな?なんでだろ?良い映画なのになあ!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2007-07-03 18:45:24)(良:1票)
31.  豚と軍艦 《ネタバレ》 
今村昌平監督と言うと「黒い雨」や「うなぎ」などで国内でも海外でも評価され、幾つもの賞を獲得しているけど私からしたら今村昌平監督の持ち味は喜劇でこそ発揮されると思っている。師匠である川島雄三監督の影響を強く感じる凄まじき欲に埋もれる人達の模様を何とブラックな笑いで描き切るこの今村昌平監督の演出の凄さにただただ圧倒させられた。アメリカ軍が支配する世の中の中で日本人がいかにして生きることの大変さ、厳しさというものがとにかく凄まじいほどの描写によって描かれている。よく醜い人のことを豚みたいな奴だと言ったりするけど、正にこの映画を見ているとその通りであると感じる。あの横須賀の町のギラギラした雰囲気の中、豚に埋もれる人間こそ、豚そのもの!あの何とも醜い姿、タイトルにもなっている豚を本物の豚を使ってまで見せつける人間の持っている醜い部分、容赦なしのこの徹底した演出、今村昌平監督が川島雄三監督へのオマージュを感じるあのラストシーン、便所に頭を突っ込んだまま死んでいく長門裕之のチンピラ、川島雄三監督の映画によく出てくる便所のシーンをここで見せる所なんて今村昌平監督がいかに川島雄三監督を尊敬しているかよく解るシーンだし、吉村実子が一人、去っていく時の流れる軍艦マーチ、あの陽気な音楽など川島雄三監督の「洲崎パラダイス赤信号」のラストとダブって見える。これは人間の欲望を豚に例えて描いて見せた何ともブラックな笑いの重喜劇の傑作だ! これこそ今村昌平監督の最高傑作!この映画を見ずして今村昌平監督を語るこなど私には出来ません。
[DVD(邦画)] 9点(2007-06-17 15:09:02)(良:1票)
32.  血と砂(1965) 《ネタバレ》 
冒頭「聖者の行進」に乗って登場する13名の少年達、この少年達の眼を通して戦争の愚かさ、空しさみたいなものを描いているこの映画、岡本喜八監督による何とも斬新な試み、たたみ掛けるようにして繰り広げられる物凄く熱い男達の生き様とエネルギーの前に涙が止まらない。それもただ泣けるだけでない、しかも物凄く笑えて(葬儀屋の伊藤雄之助が思い切り笑わせてくれるのだ)泣ける何というエネルギーを感じるパワフルな戦争映画だ!三船敏郎の小杉曹長の命令に従いながら戦争の悲しさを音楽の力を持って謳い上げる若者達の姿があまりにも切なく悲しい。最後まで音楽をやり通して死んでいった少年達の思いとそれをユーモアをたっぷりと混ぜて描くことで、より戦争の悲しさが伝わる。敵陣に殺された小杉曹長の遺体を運ぶお春さん(団令子)の姿もこれまた悲しくてたまらない。戦争シーンの凄まじいほどの迫力と人間の愚かさ、悲しい部分も同時に描くこの岡本喜八監督の凄さに脱帽しました。そして、やはり最後まで鳴り響く「聖者の行進」はいつまでも耳に残りそうなほどの印象を与える。これは岡本喜八監督の代表的な傑作の一つだ!
[DVD(邦画)] 9点(2007-01-06 21:11:16)(良:1票)
33.  コレクター(1965) 《ネタバレ》 
うん!これは凄い!単なるサスペンスホラーなんかじゃない何か凄みというものを感じられずにはいられない。まずは冒頭の蝶を追いかける主人公の姿と雨の中、びしょ濡れになりながら笑顔で横たわる姿に思わず共感してしまった。この映画の主人公の取っている行動、それは人間の持っている欲望の全てであり、底にあるのは人として、愛されたい気持ちというものの心理状態を鋭く描いているように感じる。大金を手にした事で会社を辞めた主人公は、誰からも愛されずにいるという思いでいる中で一人の女性を白昼堂々誘拐し、監禁し、そして、監禁した女性を自分の思いのままに操ろうとした挙句に殺してしまうのだが、本当は殺すつもりなどなかったに違いない。私はそう思います。そんな主人公の苦しみを緊張感を持ってじわりじわりと追い詰めて描くウィリアム・ワイラー監督の素晴らしい演出とそんな演出に見事に応えてみせた二人の俳優の名演技が物凄い緊張感を持って最後まで一瞬たりとも眼が離せない凄さ、ここでもワイラー監督お得意の階段を使っての縦の構図の素晴らしい演出が見ることが出来ます。一つだけ例に出すと監禁された女が風呂に入っている所を男が強引に引きずりだして、縛るとそこにお隣の家に住んでいる一人の男がやって来て、その時の階段の上、二階から流れ出す風呂の水、この時の主人公のびくびくした態度、表情、自分が今、している犯罪への意識についての怯えている姿、犯罪がばれやしないかという事に対する恐怖が見事に描かれています。これは完全なる心理劇であって、単なるサイコスリラーなんかじゃありません。主人公が監禁した女性を蝶と同じく扱うという恐ろしさ、ピカソの絵をやぶり捨てる時の恐ろしいほどの迫力といい、本当に恐い。人間の哀しさのようなものがこのシーンを見てもよく解るし、それとこの作品、常に視線は主人公の視線として捕らえているのも素晴らしいです。監禁した女性を殺してしまったた主人公は最後に二人目となる次の相手を探すラストも車の中から見ているその場面も主人公側から見た視線であって、とにかくどのシーンにしても主人公側に立って捉えていて惹き付けられます。これまた間違いなくウィリアム・ワイラー監督による人間の心理といものを見事に描きだした傑作間違いなしの1本です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-11-12 21:58:14)(良:1票)
34.  喜劇 とんかつ一代
タイトルにもあるようにいきなり豚の映像を大きく見せて強烈なほどの印象を植え付ける。川島雄三監督らしい始まり方に自然と画面の中へと引きずり込まれていく。とんかつをネタとして、一本の映画を撮ってしまうなんて流石です。森繁久彌、フランキー堺に加東大介、そして、三木のり平とまるで「社長シリーズ」に「駅前シリーズ」のような面々が繰り広げるギャグの数々、特に三木のり平のクロレラの研究者の凄さ、やはり三木のり平、もしかしたら日本映画史上で最も笑える人物ではないかと思うぐらい凄い。他にも川島雄三監督作品の常連と言って良いメンバー達のとんかつととんかつ屋の経営を巡る駆け引き、川島雄三監督らしいテンポの良さで飽きることなく観れる。それにしてもこの作品の団令子の色気は一体?これまた川島雄三監督らしい人間の描き方、また一つ川島雄三監督作品で面白い映画を観た気がする。 頼むからこの作品も「人も歩けば」「とんかつ大将」同様、DVD化してくれ~!森繁久彌のあの歌、CDあるのかな?あったら欲しい。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-09-16 08:45:28)(良:1票)
35.  グレートレース
昨日に引き続いてナタリー・ウッド目当てに借りてきたこの作品、面白い!面白すぎる。オープニングのタイトルの出方からして、凄く良い。昔、どこかで見たようなアニメの世界!既に書かれている人がいますが、「チキチキマシーン猛レース」的な雰囲気いっぱいの楽しいドタバタコメディです。ジャック・レモンとトニー・カーティスに(何だかワイルダー監督の「お熱いのがお好き」を思い浮かべる二人の他にも紳士的なトニー・カーティスの邪魔ばかりしようと企む悪徳教授のジャック・レモンとタッグを組んでいるピーター・フォークがこんなコメディアンぶりを見せるとは驚きです。ジャック・レモンの喜劇俳優の魅力、爆発とピーター・フォークとのコンビが本当に笑える。やることなすこと、とにかく失敗ばかりで、その失敗ぶりを見ているだけでも笑えて仕方がないぐらい本当に楽しい。そして、ナタリー・ウッドの可愛さ、美しさも輝る。全編、笑いの連続でこれは本当に観ていて飽きないし、本当に楽しくて、楽しくて、最後の終わり方も素晴らしい!また一つ、昔の映画で楽しいコメディを見つけることが出来た。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-08-15 15:35:51)(良:1票)
36.  草原の輝き(1961) 《ネタバレ》 
ワーズワースのあの詩「草原の輝き 花の栄光 再び それは還らずとも なげくなかれ その奥に秘められた力を見出すべし」とかいうこの詩が最後の最後にずしりと重く圧し掛かる。若い二人の恋の行方、切ない気持ちというものが見事なまでに表現されたこれが本当の恋なんじゃないかねえ!君!と何だか寅さんみたいな口調でつい、言いたくなってしまうぐらいこの映画は本当に二人の心情というものがよく描かれている。特に愛する男の為に純潔を守り続ける女性を演じたナタリー・ウッドが素晴らしい!個人的に同じナタリー・ウッド主演の「ウエストサイド物語」は感情移入出来ず、それほど好きでもないけど、これは良かった。とにかくナタリー・ウッドのあまりの美しさ、可愛さ、今までナタリー・ウッドてそれほど気にしたこともなければ、良いと思ったこともなかったけど、参りました。この映画を観て、ナタリー・ウッドという一人の女優に恋をしてしまった。とにかくナタリー・ウッドの全てがこの映画では本当に魅力的に見えてたまらない。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-08-14 22:09:43)(良:1票)
37.  アラバマ物語
アメリカ映画、全盛期の頃の本当に良い映画って感じの素晴らしい作品!黒人と白人との人種問題について真剣に取り組みながらきちんとした家族の物語として描いたこの作品、人種差別と偏見とは関係ないような暴力への追放問題、人としての正義感溢れるグレコリー・ペック演じる弁護士、アティカスの家族への愛と優しさ、そして、黒人だろうが白人だろうがどんな人種でも、皆、一緒!同じ人間なのだということを問う。裁判シーンでの緊迫感、俳優の演技、どれもこれも素晴らしく、人間ドラマとしての完成度は相当のものだと思います。冒頭に出てくるブーという男を演じたロバート・デュバルの存在感、演技、やはりこの俳優、ただ者ではない素晴らしさです。そんなロバート・デュバルとグレコリー・ペックが握手するシーンは感動的であります。窓越しに娘を抱く優しき父親のアティカスと娘の演技も感動的!この映画を観て、なるほど!何故、この映画のアティカスがアメリカ映画協会が選んだナンバーワンのヒーローなのかということが納得しました。
[DVD(字幕)] 9点(2006-06-11 19:19:20)
38.  人生劇場 飛車角と吉良常 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、鶴田浩二を主演にダイナミックにそして格調高く、美しく描いた任侠映画の傑作です。鶴田浩二の飛車角の男らしさ、男としてのかっこ良さに加えて、吉良常役の辰已柳太郎の味のある演技、若山富三郎の小金親分に宮川役の高倉健に松方弘樹の若き頃の今も変わらぬ雰囲気、藤純子と左幸子といった女優陣、物凄い豪華な顔ぶれの中で繰り広げられる義理と人情、男と女の哀しさに涙が出てきました。飛車角(鶴田浩二)が殺された宮川(高倉健)の仇を獲るために乗り込むシーンでそれまでカラーだった画面がモノクロの映像になる所とその後の藤純子が泣き崩れるシーンは強烈な印象を残します。内田吐夢監督の素晴らしい演出と役者達の重厚な演技に感動しました。任侠映画に少しでも興味のある方は必見の作品です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-05-04 20:55:50)
39.  関の彌太ッぺ(1963) 《ネタバレ》 
参った!参った!わたくし、この手の作品には本当に弱いです!これも原作は同じ中村錦之助主演の「瞼の母」の長谷川伸で、監督こそ違うものの、もう始まって10分もしない辺りから涙が出てきて、泣けて、泣けて困った。父親を殺されたのも知らずに父の帰りを待つ娘、お小夜の後姿だけで泣けてくる。そして、そんなお小夜の事を預かって欲しいとばかりに頼みに上がる中村錦之助の何とも言えない表情、本当にこういう役と演技をやらせると中村錦之助は上手いし、中村錦之助を観ているだけでも感情移入せずにはいられなかった。勿論、単なるお涙頂戴ものでない、きちんとした決闘場面も用意し、これまた素晴らしい作品でもある訳で、この際、リメイクだろうがそんなことはどうでも良い。とにかくこれは中村錦之助をはじめとする役者達の素晴らしい演技とそれを見事に引き出した山下耕作監督の手腕にも拍手!最後にもう一つだけ言わせて欲しい!お願いだから東映さんよう!中村錦之助主演の時代劇、全部とは言わないまでも少なくともこの作品と「瞼の母」、そして、マキノ雅弘監督の次郎長ものに「弥太郎傘」に「一心太助」シリーズぐらいはDVD化してくれーーーー!
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-02 13:01:23)
40.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 
川島雄三監督が若尾文子を女にしてみせますと宣言して撮られたというこの映画、紛れもなく若尾文子の映画であって、若尾文子のしたたかさ、本能のままに生きている女、芸者の時の小えんともう一人の姿をしている時のともこ、どっちも間違いなく若尾文子の可愛さが画面を通して見ている者に迫ってきます。初めに若尾文子と最初の愛人である山村聡の二人が布団に寝そべっているシーンでのあのゾクゾク感、若尾文子演じる芸者小えんが名刺をくださる。てお名前を尋ねるシーン、名刺を貰って「二級建築士!へえ!」て言うのを聞いて、思わず噴出しそうになる。まるで若尾文子の人生そのもののようなあのやりとり、そして、若尾文子に関わろうとする他の男達、フランキー堺も山茶花究も相変わらずの芸達者ぶりを発揮していてそれだけで楽しい。女風呂を覗こうとしている山茶花究のフラフラした態度の面白さ、フランキー堺と若尾文子の寿司屋さんでの会話の楽しさ、そんな楽しさを十二分に描きつつも女の強さと弱さ、男のだらしなさをテンポ良く描くこの川島雄三監督の演出の素晴らしさ、あのラストに関してもいかにも川島雄三監督らしい、それはこの監督の他の作品にも見られる終わり方、見ている私達に対して、あの後のどういう風に話が進んで行くのか?若尾文子演じる小えんが本当の意味で女としての幸せを掴んでいつまでも女らしく、そして、小えんらしく自由で明るくたくましく生きて行く未来を予感させる終わり方、正しくタイトル通り「女は二度生まれる」であって、見事な余韻を残したまま終わりとなる。川島雄三監督という監督さんは余韻の残らせ方が抜群に上手い。これもまた川島雄三監督、若尾文子の代表的作品として言えるそんな素晴らしい映画です。
[DVD(邦画)] 9点(2005-12-25 16:55:15)(良:2票)
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