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21.  さよなら子供たち 《ネタバレ》 
ルイ・マル監督自身の心の叫びのようなものがひしひしと伝わってくる。監督自らの幼かった頃の体験、戦争が親友を引き裂く。子供にとっては戦争なんて、大人達の、また国の身勝手さの前には何もすることが出来ないという叫びが静かに訴えかける作品になっている。二人の少年の友情と別れ、けして、大げさに叫んだり、わめいたりもしない。戦争映画ではあるけど、派手なアクションシーンもない。ラストのジュリアンとボネの別れのシーン、手を振るジュリアンに対して、それをただ眼で追うようにして、別れをする場面の悲しさ、お互い、もっともっと好きなことを語ったり、遊びたかったに違いない。だからこそ余計に心に染みる別れの刹那さ、言葉を交わすことなく別れてしまう二人の心に残るであろう、悲しみ、大人には解らない子供心の刹那さ、色んな意味でこの映画における戦争というものの許せなさ、校長先生の「さよなら子供たち」という言葉が子供たちの心に忘れたくても忘れられない言葉として、一生残るであろう!タイトルの「さよなら子供たち」何とも悲しく切ない子供たちの別れの映画として、ルイ・マル監督の映画の中でも監督自身が忘れられないと言っているそんな作品であって、また監督がチャップリンが好きなんだなあ!あの皆でチャップリンの映画を楽しそうに観ている場面が出てくるのを観るとそう思わずにはいられなくなるし、悲しい映画の中で唯一、楽しい場面であって、あれは戦争中であっても、映画ぐらいは楽しい映画を!何か一つぐらい皆で楽しみたい。という願いが込められているように感じずにはいられなくなります。ルイ・マル監督作品の中で最も好きな、面白い映画は「死刑台のエレベーター」だとすると、最も悲しくてやりきれない怒りが感じられる作品がこの映画です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-06-05 19:57:51)(良:2票)
22.  ル・バル 《ネタバレ》 
凄い!何が凄いって?始まってから終わるまで一切、台詞なし!それでいて、やたらと面白い。その面白さ、あの怪しげな男達の危なさ、異常な雰囲気の中で言葉なしに表情だけで全てが伝わってきます。喜びや悲しみも全てを身体全体使って見せる。ここには余計な言葉など要らない。例えば戦地に夫を持っていかれた二人の女性が互いに対して殴る。その後の二人が見せる思いやり、互いの夫の写真を見せ合うことで解りあえる女性ならではの優しさに満ち溢れた女と女の友情のようなダンスに込められた思い、それを優しく映し出して見せてくれているこのエットーレ・スコラ監督の眼差しの温かさ、それはあの戦争へ行ったままの夫が戻ってきた後の奥さんとの二人きりのダンス、それを見て踊る周りの人達、ここでも再会した瞬間は音楽なしで、見せることでその後のワルツが効いてきます。後半に出てくる変なロックン・ロール達、最後の方の踊りのシーンも流れている音楽とはまるでかみ合ってないダンスを見せる怪しい男達の面白さやら何から何まで面白可笑しく、音楽の楽しさ、人間の面白さやらそういうものが見事に描かれているのと、そして、この映画、フレッド・アステア主演の映画「トップ・ハント」へのオマージュをも感じられ、監督のアステアへの思い、そういうものが観られる映画としても私はこの監督さんの心の優しさが見られてとても良い映画であると思いました。
[ビデオ(字幕)] 9点(2010-03-03 21:32:23)(良:1票)
23.  ラビリンス/魔王の迷宮 《ネタバレ》 
いや~久しぶりに見たけど、面白い。昔、何度も何度も繰り返し見た映画である。まず何と言ってもジェニファー・コネリーが可愛い。ホグルがデヴィト・ボウイの魔王ジャレスを裏切り、サラの見方となる気持ちが痛いほどよく解る。解りすぎてたまらなくなる。気持ち良く立ちションしている後ろで声をかけられる時の慌てようといったらない。もしも、私が同じ立場で気持ち良く立ちションしている時にこんなにも可愛いジェニファー・コネリーに声をかけられたら、ションベン所ではなく、あっ!すいません。お食事中の方はこんなどうしようもないアホなレビューなど見ない方が宜しいかと!ジャレスの命令に従い、毒の桃をサラに渡す苦しみ、ホグルにとって初めてかもしれない親友となったサラとの友情を優先したワイズマン、私は好きです。同じく図体は大きいくせに臆病者のルードも好きなキャラクターとして忘れられない。この映画は確かに子供向けの作品ではあることは否定致しません。しかし、単なる子供向けではない魅力、出てくるキャラクターが魅力的で久しぶりに見てもやはり初めて見た時と同じく楽しめた。セサミストリートを毎回毎回、楽しみに見て育った私としては、セサミスリートのような雰囲気、何とこの映画の製作はセサミストリートを製作した人達であるとのこと、とにかくそんな訳ですから何年経とうが今も変わらず好きだった当時の気持ちと同じ気持ちのままでいられることが何よりも嬉しい。ラスト、サラの部屋で皆が楽しそうにしているシーン、この映画はそんな楽しさに満ち溢れた素晴らしいファンタジー映画としてこれからも見たい。そんな映画である。
[DVD(字幕)] 9点(2010-02-04 21:08:51)(良:1票)
24.  赤毛のアン/完全版〈TVM〉
原作は誰もが知っている有名な話である。そして、アニメにもなり、世界名作劇場の中でもファンの数では間違いなく上位に入るであろうと思われるそんな作品が実写映画として、あったのは知っていたけど、ここまで完成度が高い作品になっているとは正直、思いもしなかった。恥ずかしながら原作は読んだことがないけど、アニメの「赤毛のアン」は何度か見ているぐらい好きである。男で「赤毛のアン」が好きだとはなかなか言えない。しかし、良いものは良い。好きなものは好きだ。あのアニメで見て感動したようにこの映画も感動出来る。「赤毛のアン」は女性のものだというような偏見を持たれる方、特に男の中にそういう人がいるかもしれないけど、良いものに男も女も関係ないと言いたい。よくぞここまであのアンのイメージにぴったりな女の子を見つけてきたものだと感心させられた。美しい映像、心に残るアンの言葉や、友達、大親友のダイアナとの友情、その他この映画からは人間て素晴らしいてことを改めて教えられた気がする。とにかく女の子向けだからって馬鹿には出来ない。男の私が観たって、素直に楽しめた。原作があって、それをアニメ化し、成功することはよくある。しかし、それを実写としてやると失敗するケースが多く、特に日本の場合だとそれがよく当てはまる。その点、この映画は全てにおいて、よく出来ている。アニメの実写としてここまで素晴らしい映画はなかなかない。そのぐらい素晴らしくてこれはこの後の続きも絶対に観なくてはという気持ちでいっぱいです。
[DVD(吹替)] 9点(2010-01-31 13:07:23)
25.  黄昏(1981) 《ネタバレ》 
美しい!何と美しい映画だ!もう、冒頭の夕焼けの空の美しさと湖の水の美しさ、そして、湖に住む鳥、アビを映すカメラの美しさ、映像美、いやあ、ここで完全にこの映画は素晴らしい映画になるという予感通りに素晴らしい映画でした。美しいと言えば何も映像だけでない。主演の二人、これが遺作となってしまったヘンリー・フォンダと妻を演じているキャサリン・ヘプバーンの美しき夫婦愛、夕焼けの空の下でボートに乗って釣りを楽しむシーンの二人のあの笑顔、優しい顔付きが忘れられなくなるほどのこの美しい夫婦愛、二人が一緒にいる場面はどの場面も本当に美しい。ただ釣りをすることだけが楽しみである夫婦が喧嘩別れとなったままでいる娘(ジェーン・フォンダ)何と実際の父と娘という関係がここでも父と娘という形で描かれているシーンでのあの父親の前で飛び込みを見せるシーンがこれまた素晴らしい。そんなシーンを近くで見て拍手する妻と少年との心温まるシーンや時々入る笑いやらも観ていて心地良く、特に凄いドラマなど無くてもこれだけ良いものを見せてくれる。ラストシーンのヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンと、ここでも夕焼けの空のあのオレンジ色した美しさ、タイトル通りの「黄昏」時の夫婦愛と親子愛のドラマとしての名作を見せてもらった。遺作にして、本当の親子での共演という素晴らしさもヘンリー・フォンダにとってはこれが遺作で良かったのではないだろうか。物凄い映像なんてなくてもこれだけ素晴らしい映画がアメリカ映画は作れるのに、昨今はやたらと派手な演出で誤魔化そうとしてばかりいる。この映画を一人でも多くのアメリカの監督さんに観て貰いたい。そして、良い映画とは何かってことをこの映画を観て知って欲しいと共にこういう映画をもっと沢山の人に観て欲しいし、撮って欲しい。最後に一言だけ言わせて貰うとすると、いくら好きでも6年間毎日、マスばかりの食事では飽きるぞ!そんなことはどうでも良いとは思うけど、とにかく良い映画でした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-12-18 21:23:07)(良:3票)
26.  BU・SU 《ネタバレ》 
この映画のタイトルの意味は性格的なブスという意味で間違いないだろう!あれも嫌だし、これも嫌だし、とにかく全てが嫌で仕方ないそんな性格ブスを演じている富田靖子、この女優と言えばまず真っ先に大林宣彦監督の「さびしんぼう」での一人二役を思い浮かべる。そんな富田靖子の魅力満載、何しろこの女優のオーラ、顔付き、表情、全てが観ていて不思議なほど癒される。富田靖子演じる麦子が先輩の芸者の籠を持って走るシーンや文化祭でのあの八百屋お七のシーン、そして、何と言ってもラストの清々しさ、晴々とした笑顔が素晴らしい。それまでほとんど笑うこともなく、常に暗い表情しか見せなかった麦子が見せる初めての笑顔の中に初めての幸せ、幸福感、喜び、色んなものが見てとれる。作品全体を包み込む優しい感じのする市川準監督による映像、少ない台詞、最近の映画のように何でも台詞で語らせるものとは対照的な映像で見せるこの映画が私は好きだ。この映画は何度も言うように富田靖子、富田靖子、健気な女の子とどこか影のある不思議な女の子を演じさせるとよりスクリーンの中で輝きを放つこの女優さんが私は好きです。「さびしんぼう」は別格として、それ以外の富田靖子の出ている映画でどれか一つだけ選べと言われたら迷わずにこの映画を挙げる。
[ビデオ(邦画)] 9点(2009-11-15 10:22:05)(良:1票)
27.  刑事ジョン・ブック/目撃者 《ネタバレ》 
ハリソン・フォードと言えば「スター・ウォーズ」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズというのが一般的な意見かもしれないけど、私は違う。私にとってのハリソン・フォードと言えばこの映画がベストである。どこまでも人間臭く、そして、優しさに満ち溢れている。そんな人間臭い男、しかも刑事役である。これが何とも良い味、出しているし、正に刑事であり、刑事役がこの俳優には本当によく似合う。この映画はサスペンスでありながら単なるサスペンスというよりは社会派のドラマとして見応え十分な映画になっているし、見せ方も上手い。まずは駅のシーン、少年がトイレで目撃してしまう殺人シーン、ここは何度観てもドキドキしてしまいます。見つからないように少年に「頑張れ」てついつい言いたくなってしまう。そんな少年がハリソン・フォード演じる刑事に初めて犯人が黒人の刑事である事を教える場面の演出が上手い。声も台詞も一切無しで子供の眼、それを見て察するハリソン・フォード、このやりとり、台詞になど頼らないで見せる。映画的なワンシーンである。この映画、始まって直ぐに犯人を観ている私達に教えてしまいます。そうすることでこの犯人がどのようにして捕まるのか?という興味、更に目撃者の少年が犯人に見られていた事を知ってしまうと、果たしてこの少年はどうなる?という二重の興味が沸いてきます。この演出などを観るとピーター・ウィアー監督が「刑事コロンボ」のファンなのかもしれないという興味も沸くなど、色んな興味がこの映画を観ていると沸いてきます。そういう興味深さを感じさせるという上手さ、単なる刑事ものにあらず、しっかりとした人間ドラマとしても見せてくれるという意味でも評価したいと思うし、そして、何よりも映像の美しさと音楽も心地良くて好きです。最後に好きなシーンを他にも挙げるとすれば、ハリソン・フォードとケリー・マクギリスがダンスをするシーン、そして、皆で家を建てるシーン、犯人との戦いに勝った後のハリソン・フォードと少年が二人、背を向けて座っている後姿など好きなシーンがとにかく多くて、そんな訳でとにかくこの映画が私は大好きだ!
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-15 21:43:52)(良:1票)
28.  いまを生きる 《ネタバレ》 
この映画は学生時代に授業サボってガラガラの映画館の中で観てました。人は常に社会という枠の中で生きている。学生なら「校則」というルールの中で生きているし、社会人になればなったで「社会」及び「規則」いうルールの中で生きている。常にルールに守られながら生きていかなくてはならないのが人間の運命である。運命は人それぞれだけど、必ず守らなくてはならないそれが生きて上で最も重要であり、逆らうことの出来ない運命に対する逆らい、自分以外の人間が決めた価値観の元で生きているのが人間なのだと私は思う。そんな人の意見に対して聞き入れる気持ちと自分の事は自分で決めると思う気持ち、自分の道は自分で見つけようというあのラストの机の上に立ち上がる生徒達、あれこそ正しく自分の気持ちに素直になり、生きることの喜びを見出そうとする気持ち、勇気を持ってすればどんな苦しい事でも何とか乗り越えられるんだというものを見事に表している。正にこの映画は「生きる」映画!苦しい時、何かに対し、答えが見出せい時、この映画を見て勇気を貰いたいと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2009-09-01 22:48:58)(良:1票)
29.  ブラック・レイン
松田優作が亡くなって今年の十一月で早いものでもう二十年が経つ。公開当時、二度観に行きました。この映画が公開された年、1989年のキネマ旬報で1位に選ばれた洋画が「ダイ・ハード」である。「ダイ・ハード」も間違いなく傑作だと思うけど、私はこっちのが好きです。「ダイ・ハード」の影に隠れて評論家の人のほとんどはこの映画をベストテンに投票してない。この年邦画で1位に選ばれた「黒い雨」より私は断然、この映画!この映画が遺作となってしまった松田優作がこの時、既に末期がんで死後を覚悟していたという話を聞いたことがある。死後を早めるからと出演中止をすすめる友人に「死後を早めるのは解ってる。けど、好きなようにさせてくれ。このチャンスを逃したら悔いを残して死んで行くことになるから俺の好きなようにさせてくれ」と松田優作がその友人に対して答えているというのを本で読んだりしたけど、それを聞いた瞬間、私は泣けてきた。そんな松田優作の見たくてももう二度と劇場では観ることの出来ない最後の姿を見ることの出来る貴重な映画だ!私にとっては松田優作がいる。それも最後の姿だ!そんな最後の松田優作の才気溢れる演技は一生忘れることは出来ない。あまりにも早すぎる死は日本映画界の大きな損失だ!高倉健との夢の共演、健さん、松田優作の分までいつまでも長生きしてください。あんな自転車だらけのまるで中国みたいな街は大阪じゃないとか、大阪はあんなにも恐ろしい街じゃないとか、その他色々批判的な意見もあるかもしれない。しかし、好きなものは好きだ。好きで何が悪い?えっ?何?やたら興奮しすぎだって?良いじゃないか!好きな映画を好きなように熱く語って何がいけないの?すいません。興奮しすぎました。でも好きなんだから許して下さい。
[映画館(字幕)] 9点(2009-02-15 19:58:24)(良:1票)
30.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
今ではすっかり駄目監督の烙印を押されてしまっている森田芳光監督ではあるが、この作品は間違いなく森田芳光監督の最高の作品である。おそらくこれを超える程の作品を撮ることなど出来ないと思う。それは何故か?昨今の日本映画には役者の魅力の無さと力量の無さ、個性溢れる俳優、特に脇役でそういう人が少ない。昔の邦画にはそれがある。例えば黒澤、小津映画には三井弘次や中村伸郎が溝口映画には小沢栄が成瀬映画には加東大介が市川崑映画には伊藤雄之助が川島雄三、今村昌平映画には小沢昭一がいるようにそういう俳優がいないからである。この作品は狂気の塊のような作品である。人間の狂気、これがあるからこそこの作品はいつ見ても面白く見ることが出来る。松田優作の家庭教師の狂ってる様、そんな狂気の塊のような人間に対してこれまた周りも皆、どこか狂ってる。何を考えてるのかさえ全く解らない連中だらけの家族、成績も悪ければ運動おんちで喧嘩も弱く、いじめられてばかりの息子、これを演じている宮川一郎太の冷めた表情、家庭教師も教えてもらう側もどちらも常に冷めた空気で充満している。そんな冷めた二人に対してこれまた伊丹十三、由紀さおりの二人もこれまた冷めた空気、二人共人間の狂気を感じることが出来る。劇中一切の音楽を使わないこの作品、音楽が無いことで生まれる緊張感、一人、一人が何を考えてるのか読めないこの空気、緊張感、単なる家族の話なのにこの緊張感は凄まじい。横一列に並んで食事する場面、伊丹十三が目玉焼きをチュウチュウしながら食べている。この場面こそ正しく人間なんて何を考えてるのか誰にも解らないと言っているようである。この映画の成功は何よりもこのキャスティングによるものが大きい。松田優作に伊丹十三というこの二人の個性、若くして亡くなってしまった松田優作と自殺により自らの命を絶った伊丹十三、この二人が今も生きていたら、今でも間違いなく活躍している筈である。そう思うと本当にこの二人の死は日本映画界にとって大きな痛手あることは間違いない。松田優作、伊丹十三にとっても監督の森田芳光にとっても歴史に名を残す傑作であろう!勿論、宮川一郎太にとっても由紀さおりにとってもこの映画に出逢えたことは大きいと思います。いずれにせよ、この映画は狂気の塊による才気溢れる傑作である。
[DVD(邦画)] 9点(2008-11-28 22:12:43)(良:1票)
31.  赤ちゃん泥棒 《ネタバレ》 
コーエン兄弟は断然、昔の作品の方が良い。個人的には「ミラーズクロッシング」とこの作品が私の中では同じぐらい大好きです。まず何よりもコーエン兄弟の温かさを感じることが出来るのが良い。囚人と府警という夫婦の組み合わせも面白い。そんな二人には子供が作れないという理由から赤ちゃんを盗む。しかし、単なるドタバタした話でない、何か人間的な温かさ、優しさが伝わってきて泣ける。笑えて泣けるのだ。赤ちゃんを盗んでからの二人の行動のチグハグさの中にも赤ちゃんに対する優しい感じが物凄く滲み出ていて観ていて幸せな気持ちにもなれる。だからこの映画が私は大好きです。車の中で盗んだ赤ちゃんを抱きしめている時のホリー・ハンターの嬉しそうな姿は、一人の人間としてのまた女性ならではの幸せを感じる何とも微笑ましい場面だし、ラストのあの夢のシーン、未来に向けての希望のようなあの場面、例えそれが正夢にはならなくてもきっとあの二人はこれからもずっと二人で仲良く生きていくことだろう!全てにおいて優しくて温かいこの映画、誰が何と言おうと、どんなに周りの評価は低かろうが、私は大好きだ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-05 16:04:21)(良:1票)
32.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
うっ!なんで?なんで?皆さん、えらい辛口ですね。これ、良いよ。良いなんてもんじゃない。凄く良いです。何年ぶりかなあ?もう10年以上は経つけど久しぶりに見返して見たらこんなにも良いとは前に見た時よりも良かった。薬師丸ひろ子と言えば今時の若い人のほとんどはテレビに出ている彼女だったり、映画では最近の作品ではやたらどこを見ても好評の(私は全然駄目)のあの三丁目映画での彼女だったりするかもしれない?しかし、違うんだなあ!おそらくこの映画についてコメントしている人のほとんどは三十代か若しくはそれ以上かもしれない?三十過ぎの人、特に男にとっての薬師丸ひろ子という存在はただのアイドルなんかではない。最近の日本の若手、アイドルとは一線をおく、全く違う存在だろう!この頃の彼女は映画一筋、テレビドラマで観ることはほとんどなかった。そんな彼女の最高に輝いている作品は誰が何と言おうとこれです。劇中で使われる名台詞の数々も忘れられない。脇を固める俳優陣もそれぞれ素晴らしく、三田佳子の凄さ、何と言う恐ろしさだ!自分のスキャンダルを知られるのを恐れ、研究生である薬師丸ひろ子演じる静香に押し付け、スキャンダルの張本人となる身代わりに主役を与える凄さ、二人の犠牲者となり主役を降ろされる役を演じている高木美保も忘れることは出来ない。そして、そして、これはもう、男の立場から言わせて貰うと世良公則のかっこ良さに泣ける。愛する者の為に身体を張って静香(薬師丸ひろ子)を助ける姿と最後の拍手!そこに男の中の男を見ることが出来る。二人の最後の選択する道もある意味、悲劇かもしれない。薬師丸ひろ子のラストの表情こそ本物の映画女優の姿だと感じることが出来る。これを見ないで薬師丸ひろこという女優を語ることは出来ません。
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-08-20 22:17:21)(良:2票)
33.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 
これはある一人の人間の物凄いドキュメンターリー映画である。奥崎謙三、このあまりにも常識外れな人間、行動、それは例えば昭和天皇が皇居参賀の日に天皇陛下に向って、パチンコ玉をぶつけようとするという普通では考えられない行動を取る。その一方で戦争によって、亡くなった戦友のお墓の前で涙を流すその姿は人間としての正しい有り方、行き方、例えどんなに他人からおかしな奴、変人扱いされても、一人の人間としての進むべき道を物凄く現実を持って知らせる。この親友の墓参りのシーンがあるからこそより一層、他の部分での奥崎謙三という一人の人間の持っている奇人変人的な一面というものが物凄い力を持って観る者に衝撃を与える。今まで観たどのドキュメンタリーよりも力の持った恐るべきこれこそ本物のドキュメンタリーだ!本当は満点にしたいぐらいのとにかく物凄い作品なのだが、奥崎謙三ということの男がどうにもこうにも私の上司の顔にそっくりなのが気になって仕方がないので、マイナス1点とするが、それでも本当にこの作品の持つパワー、恐ろしさ、奥崎謙三という一人の人間性がずしりと重くのしかかる物凄い傑作!
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-07-10 21:59:01)(良:1票)
34.  時をかける少女(1983)
大好きな大林宣彦監督による最初の尾道三部作の真ん中、二作目として撮られたこの映画、十何年ぶりに観ました。以前、見た時は、なんだ!いまひとつだなあ!という風にしか感じなかったのに、何てことだ!やたら面白くて、それでいて、どこか懐かしい。大林宣彦監督の描く世界はいつも懐かしさを感じる。尾道には高校時代に修学旅行で一度しか行ったことがないのに、どういう訳かこの映画、見ていると他の大林宣彦監督の映画同様、もう何年もその場所で自分が生活をしているような感覚になるから不思議だ!大林宣彦監督の故郷、尾道の狭い階段も海が見える丘もその他、学校も何もかもが遠い昔の記憶の中にある懐かしくて、懐かしくて、やたら温かい風情というものを感じてしまい、何かもうそれだけで泣けてきそうだ!主演の原田知世の演技は確かにどう考えても上手くない。いや、むしろ下手くそだが、それが良い具合に作品の雰囲気に合っている。日常の生活の中にふっと起こる非現実的なエピソードがこれまた見事に描かれているのには参った。それにしても、大林宣彦監督はヒロインを美しく描くのが本当に上手い。ずっと前に見た時よりもずっとずっと面白く感じることが出来た。所々映される桜の花やピアノの音、更にはバイオリン、幻想的な映像美、甘いと言えば甘いのたが、その甘さこそ大林宣彦監督の一番の魅力だと思う。そんな甘くて、どこかほろ苦いこの物語とあのラストシーン、私も随分と歳を取ったもんだ!欠点だらけの作品だと思うのに、どういう訳か素直に楽しめたし、また感動してしまったぞ!それしにしてもこの作品の評価が「転校生」や「さびしんぼう」に比べると低すぎる気がしてならない。私は例え甘いと言われようがこの作品も支持します。
[DVD(邦画)] 9点(2007-06-29 22:57:06)(良:3票)
35.  恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 《ネタバレ》 
久しぶりに観たけど、やっぱ良いねえ!何が良い?とにかくキャスティングがまずはお見事!そして役者の演技と音楽の素晴らしさ、更にこの映画、何といっても雰囲気が素晴らしい。そんな素晴らしい雰囲気を生かしているカメラワークもこれまた素晴らしい。中でも最も映画的な瞬間、映画でしか味わえない興奮、いや、もっと言うなら映画だからこそ可能なシーン、それはあのシーン!ジェフ・ブリッジス演じるジャックがバーで大勢の客を前にピアノを弾いている場面でのピアノの上に乗って歌うミシェル・ファイファー演じるスーシーとそれを映し出すカメラワークによって酔いしれる。観ている側も映画の中のお客さんと同じ気分になって酔いしれることが出来ます。当時、この映画で絶対にアカデミー賞主演女優賞獲得間違いなし、他の映画賞でも主演女優賞を総なめにしながらどういう訳か?オスカーだけは獲れなかった。これだけの見事な演技と歌声を見せて、聞かせたのに賞を与えなかったアカデミー賞、私は以来、アカデミー賞は一切、信用しないことにしました。そのぐらいミシェル・ファイファーの演技、歌声も完璧です。これこそ正しく大人の映画、ガキっぽい小学生レベルの映画がやたら増えてきている現在のハリウッド映画界において、こういう映画こそ本当に評価されるべき作品だと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2007-05-20 22:16:58)
36.  ヤング・アインシュタイン 《ネタバレ》 
アインシュタインの映画?何?最初は滅茶苦茶、お堅い映画じゃねえのか?なんて思っていたらとんでもなかった。ここの皆さんのコメントにもあるようにとにかく最初から最後までニコニコしながら観てしまいました。いやあ、本当にこの映画、見た目は単なるお馬鹿な映画だけど、それでも、凄く良い。作品全体にパワー、エネルギーを感じることが出来た。アインシュタイン役の俳優が凄く良い味、出してる。真っ黒になりながらビールを手渡すシーン、銭湯での恋人、マリーと抱き合うシーン、それを観ていた周りのおやじ達も笑える。そして、ギター片手にロック、ロックと歌い上げるシーンで、嘘やろ?おい!おい!そんな、アホな!普通なら真っ黒に焦げて、焼死するぞ!と思わせるものの、真っ黒になりながらも助かるシーンなんて、映画だから許せる。映画ならではのシーンだ!ラストのスピーチ代わりの挨拶とばかりに歌いまくるシーンも大好き!←このシーンで映る九官鳥かな?までもがロックに合わせて踊ってるように見えた。観ていて最後なんて私も踊りたくなった。そして、やたらビールが飲みたくなった。とにかくご機嫌な映画です。これって、DVD発売してるの?絶対に買う。欲しいよ!
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-08-15 21:18:59)(良:1票)
37.  男はつらいよ 知床慕情 《ネタバレ》 
私にとって、これが初めて映画館で観た男はつらいよです。そんなシリーズ38作目にあたるこの作品は傑作間違いなしの作品だと思っています。この作品、まずはそれまで寅さんシリーズと言えばオープニングであった夢のシーンが何とないこと。夢のシーンがない寅さんに違和感を覚える人もいるはずですが、例え、夢のシーンがなくても作品の出来が良ければそれで良いのであって、本当の意味で寅さんが元気な姿を見ることが出来るのはこれが最後の作品であると思えるぐらい寅さんが元気です。マドンナ役は二度目となる竹下恵子と三船敏郎をゲストに迎えての親子のやりとり、何もかもが見ていて感動的でした。三船敏郎の黒澤映画とは一味も二味も違ったかっこ良さを思い切り堪能出来た作品として、いつまでも心に残る。そして何度も観たい作品のひとつでもあります。
[映画館(邦画)] 9点(2006-03-10 21:25:54)
38.  霧の中の風景
テオ・アンゲロプロス監督作品はこの作品しか観たことないけど、これは間違いなく傑作だと言えるそんな素晴らしい映画です。この映画まず何よりもどのシーンにしても台詞は少なくても映像だけで迫ってくる。それも今のアメリカ映画的な大騒ぎ的な映像とは全く違う落ち着きのあるそして、美しい構図の中で繰り広げられる物語!長回しというカメラワークを巧みに使って、一度観ただけで絶対に忘れることの出来ないほどの素晴らしいショットを撮って見せた。霧の中の風景という正にタイトルにぴったしの素晴らしい映像!霧の中から映し出される二人の姉と弟の並び立つシーンやそして、やはり圧巻はあのラストシーン!何もかもが本当に美しく撮られていて素晴らしい!映画本来の持っている映画でしか観られない。映画だからこそ可能なこれぞ映像のマジックとでも言うべき傑作の一本です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-19 22:47:08)(良:2票)
39.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
男はつらいよ全48本の中でも上位に入る出来栄えだと思っています。少なくともシリーズ20作目~29作目の中ではダントツのナンバーワンです。昔、初めて観た時は普通に面白い作品というイメージしかなかったけど、この度、改めてDVDで借りてきてもう一度、観てみると、この作品はいしだあゆみ演じるマドンナと寅さんの大人の恋愛映画としてかなりの秀作だということに気がつくわけです。いしだあゆみの大人の女性としての、情念みたいなものが感じることが出来、マドンナとしては浅丘ルリ子演じるリリーとは対照的なタイプの女性で、そんな女性にまさかという展開のデートに誘われる寅さんが鎌倉でのデートでの場面での可笑しさ、哀しさが何とも言えない哀愁というものを感じられずにはいられまん。そういう意味でも最初に観た時よりも味わい深く、色々考えさせれる作品として好きな寅さんベストテンからは絶対に外せません。
[DVD(字幕)] 9点(2005-12-05 22:08:27)(良:1票)
40.  エル・スール
「ミツバチのささやき」で見せてくれた美しい映像と物語、同じくここでも見せてくれてます。やはりこの監督の撮る映画は素晴らしい!とにかく近頃のアメリカ映画みたいにやたらうるさい音楽を流すことなどせずにじっくりと見せてくれます。なんて言ったら良いのかなあ?とにかく静かな中にあるその人間ドラマとしての美しさ、優しさが上手く描かれていて観ていてとても良い気持ちになります。
[DVD(字幕)] 9点(2005-08-15 14:01:26)
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