21. 時計じかけのオレンジ
初めて映画を芸術だと感じた作品。素晴らしい芸術作品に出会った時、それを語るに足る言葉が見つからず、余計な思考の介入は一切許されない、まさにそんな衝撃に脳天を撃ち抜かれたという感動があった作品です。まあ、間違っても人に軽々しく勧められる作品ではありませんが。自分の人間性を疑われかねない。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-05 00:49:54)(笑:1票) |
22. カーテンコール(2005)
《ネタバレ》 あざとい。昔は良かったね的な話から人種問題までからめてくる節操のなさに失笑してしまう。ラストのほうで主人公がステージ下を中腰になってコソコソと走り抜けるシーンなど意図しないところでコミカルな絵が撮れてしまっているのにも苦笑。 [映画館(邦画)] 3点(2006-05-05 00:40:47) |
23. 1.0【ワン・ポイント・オー】
疲労感だけが残った。ダークでミステリアスでハイセンスな映像ってこんなもんだろって感じの何となくな雰囲気作りに自己満足して観客を置いてけぼりにしている作品。 [DVD(字幕)] 2点(2006-05-05 00:31:47) |
24. エル・マリアッチ
《ネタバレ》 電話越しの銃声音のヘボさとか微妙な下手っぴさを醸し出しているギター(バーで歌うほう)とか、いかにもな安っぽさに遊び心が感じられるコミカルな映像が相まってなんともいえない空気を作り出しているのがグッド。ただ映画としては普通につまらなかったというのが残念。主人公はなんでそんなに銃の扱いに慣れてんだよ(笑)とか部下を殺された挙句(ボスの部下であって自分の部下ではないということなんだろうか?)気絶するまで何発も殴られたのにすんなり主人公を見逃してあげちゃうヒットマンの妙な優しさ?とか話のネタにして笑い飛ばすには最適なんだけど…。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-05-05 00:26:21) |
25. ヴェニスの商人
《ネタバレ》 う~ん…、まあマジメに映像にしたらこうなっちゃうかなあ、という作品でした。個人的な見解ですが、シィクスピアの作品ってのは、その甘ったる過ぎる言葉回しに酔わされながらみるもんで、今作ではそれが控えめ過ぎたと思います。内容だけとってみればおとぎ話以下ですし、こういう理不尽な人種差別について理性的な対応が求められるようになった現代では「シャイロック可哀想!」な作品なら誰でも撮れるでしょう。それを如何に全体のバランスを保ちながら喜劇として描くのかと期待を持って観にいったんですが正直安易な方向に逃げちゃったね、という感じでした。 [映画館(字幕)] 4点(2006-05-05 00:08:24) |
26. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 「傘なんかいらん。恥ずかしい。」傍観者にしかなれない僕らのあんまりにもあんまりな無力さに泣きたくなった。 [映画館(字幕)] 7点(2006-05-04 23:50:03) |
27. クラッシュ(2004)
「部分的に面白かったシーンはけっこうあるけど全体的に面白かったかといわれるとそうでもない」。いや、本当はこういう一括りにしたような言い方大嫌いなんですが、実際思ってしまったので仕様がない。なんか言葉にできない消化不良感が。致命的なのが僕ら日本人にとって人種問題ってものがイマイチ肌感覚で分かっていないってことでしょうか。この映画のそれは「差別」を通り越して「憎悪」なんですよね。創作物としてオーバーに描いているのか、生々しいリアルを描いているのか分からんのです。分からない以上は評価を下すべきではないと思うのですが、まあこれは一個人の「感想」ということで。 [映画館(字幕)] 5点(2006-05-01 18:51:43) |
28. バベットの晩餐会
《ネタバレ》 こんなに淡々としたつくりなのに、晩餐会の準備が始まる頃から一気に話に引きずり込まれる。村人達の悪意のない無知さから生まれる一挙一動の滑稽さから本当に美味しそうな食事シーンを通して、全てを包み込むような優しさを感じられるラスト。鑑賞後は自分の気持ちも何か優しいもので満たされる。 [DVD(字幕)] 8点(2006-04-24 00:34:12)(良:1票) |
29. 鳥(1963)
《ネタバレ》 鳥が本格的に出てくるまでの人間模様の描き方が、このままヒューマンドラマにしてしまえば良いのではないかと思うくらい非常に素晴らしい。その分、鳥の襲撃には少々唐突さを感じてしまうのですが、「日常に突如現れるイレギュラー」のメタファーとして見れば物語を彩る絶妙なスパイスに感じられる。ただ終盤になるにつれ、やっぱり題名どおり、ただの鳥のパニック映画になるので残念です。鳥の意味するものは「原因も意味も全く分からないものへの恐怖」というようなものなのでしょうが、自分にとっては「丁寧な脚本の中に突発的に見られる不条理」と感じられてしまって、それに対するストレスのほうが先にきてしまいます。十分楽しめたけどマイナス要素もあるということで、これくらいが妥当な点数ですかね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-24 00:16:07) |
30. 北北西に進路を取れ
主人公の見ていて気持ちのいい直情型の人となりと、事態を発展させつつも必要な手順をきちんと踏んで話を回収していく丁寧な脚本が秀逸。さらにヒロインを非常に魅力的に撮ることに成功していたりと、ヒッチコックらしからぬ作品でありながら、氏の持ち味が存分に生かされている傑作。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-04-23 23:54:53) |
31. ブラザーズ・グリム
自分にとってテリー・ギリアムにかなり親近感を感じられるようになったというだけで価値がある映画。ああ、この人不器用なんだなって。 [映画館(字幕)] 6点(2006-04-17 23:45:14) |
32. ロープ
思うにヒッチコックは人間の描き方がそれほど上手くないのかなあ、と感じた作品。犯人の浅すぎる思考も彼らの恩師の一貫しないキャラクターもどうにも納得できなかった。映像の手法やストーリー展開などは時代の進歩とともに多様になっていくから一概に評価はできないけど、一人一人の人間を描く作業というのは不変の要素があると思うし、「当時斬新だったから」というような安易な理由であのようなキャラクターを作り上げてしまったというなら言語道断です。カメラワークやユーモアに溢れた会話など他に評価すべき点もあるのですが、それを考慮してもどうにも高評価はできないです。(追記)「ヒッチコックは」は言いすぎでしたね。ちょっと目新しいものに手をつけて火傷してしまった作品なのだと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2006-04-17 01:19:54) |
33. 知りすぎていた男
画面全体からあふれ出ている気品の高さ、ウィットに富んだ会話とヒッチコック作品ならではの上品さが心地よかったです。ただストーリーはテンポがあまり良くないのに結末を引っ張られるので、そこまで長い作品ではないハズなのに少々グダグダさを感じてしまいました。冷静に見てるとツッコミ入れたくなる場面も多いですし。年代を考慮すれば仕方ないことなんですが、脚本だけとれば火サスと同程度なんですよねえ。ただ、題名の付け方が秀逸で、ストーリーに集中する上で非常に良い牽制となっているので全体的には楽しめたほうです。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-04-17 00:59:33) |
34. オール・アバウト・マイ・マザー
《ネタバレ》 冒頭の息子の事故死から病院でのやりとりまでのシーンの演技に安っぽさを感じてしまったため、ちょっと不安に思いながら観ていたのだけど、意外や意外。予想外の骨太なストーリーに自然と魅入られてしまった。過酷な現実を力強く生きる女性を描くリアルさと、様々なテーマを断続的に提供して観る側を圧倒する良い意味でのハッタリのきかせ具合が絶妙なバランスを作っていて、「創作物」としての面白さを快く感じることができる。特に秀逸だったのはペネロペ・クルス演じるシスターの父親(痴呆気味)の初登場のシーンで、久々に意表をつかれた!っていう素直な驚きと感動があった。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-16 13:34:03) |
35. 未来世紀ブラジル
《ネタバレ》 ナンダコレハ?というのが正直な印象。冒頭の突入シーンとか見ている限りでは見せ方が上手いとか、一筋縄では終わりそうにない、さすがテリー・ギリアムとか簡単に思っていたけど、なんかもう、この人が本気でやりたい放題やったら自分の陳腐な理屈などじゃあとても語り尽くせるもんじゃないのね・・・っていう、凄まじいカルチャーショックを受けたような衝撃。これ、テーマは管理社会への警告なんだろうか?ただ、自分の中でのテリー・ギリアム観ってのは、確実に何割かの人をひかせてしまう独自の色を出しながらも、扱うテーマ自体はごく自然なもので、話の整合性は絶対に崩さない、要するに類まれなストーリーテラーというところに評価を置いていたんだけど、今作でその評価をちょっと見直すべきなのかも。何にもまして作品の魅せ方に非凡すぎるセンスを感じはするが、なんというか壮大すぎる世界観が観客のみならず作品そのものを飲んでしまっているという感じ。正直自分がこの作品に対して面白いと思ったのかどうかも上手く判別できないんですが、最後まで画面に集中したので面白かったということになるんでしょうか。とにもかくにも他人にこの作品の良さを説明しろといわれたら非常に困ってしまうので、とりあえずこの点で。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-04-16 13:29:36) |
36. 鮫肌男と桃尻女
オープニング映像からオシャレ系というかハイセンスな群像劇を撮りたかったのかなあ、とは思うんですが、だとしたら各キャラクターをもっと掘り下げて描くべきでしたね。配役さえはまればそこにいるだけでカッコいい浅野忠信と、ぶっとんだ我修院達也には存在感がありますが、主な脇役格の岸部一徳や鶴見辰吾でさえキャラクターが中途半端で、いまいちノリきれないもどかしさがあります。結論としてはもうちょっと脚本を整理して臨めば良かったのに、という感じですか。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-04-16 13:16:58) |
37. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
カッコ良すぎ。これ以上本当に何の言葉も語りたくなくなるほどの映画。いや、ストーリーについてはちょっとズルイなあ、って思うんですけどね。思いついたもん勝ちじゃないですか、あんなの。センスというかフィーリングに訴えかける作品なので評価は割れると思いますが、絶対一見はしておいてほしい映画。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 12:53:52) |
38. セブン
《ネタバレ》 グロテスクな描写など雰囲気こそダークな感じを装っていますが、個人的にこの映画は熱血映画です。血気盛んなルーキーと実力派のベテランが最初はいがみあいつつも次第にお互いを理解しあい犯人を追い詰めていくなんてベッタベタに熱い展開じゃないですか。テンポのよさもあいまって中盤以降はテンション上がりまくり。で、ラストで一気に突き落とされると。このアップダウンの激しさで最後まで楽しめました。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-15 18:29:54) |
39. 勝手にしやがれ
ゴダールの監督作品ということで、かなり時代性を考慮してみないといけないな~と、あらかじめ覚悟して観たのだけど、意外にもかなり見やすい作品だった。アルファヴィルなどでちょっと理解ができなかった映像を省略するセンスも今作では見事に効果を発揮していたし、白黒ならではの映像の上品さもあいまって、とことんおしゃれな作品に。単に「映画史上、重要な意味を成す作品」という範疇にとどまらない良作だと思います。あと、フランス語は分からないから、直訳なのかもしれませんが邦題がベストマッチ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-15 09:36:40) |
40. フルメタル・ジャケット
前半のハートマン教官の雄弁っぷりが素晴らしすぎる。それだけに後半はややタルさも感じられたか。やっぱ、ベトナム戦争という題材に必然性が感じられなかったことが最大のネックで、キューブリックの意地の悪さとシニカルな描写が楽しめたという点だけでも十分及第点までは行くけども、それ以上は特筆すべきところはなかったような。良くも悪くも「キューブリックの作品の一つ」という枠に収まってしまっている映画だと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2006-04-15 09:32:45) |