21. おとなのけんか
《ネタバレ》 やっぱりジョディとヴァルツの尖ったキャラが目立つがケイトとライリーの小市民的フェイク振りもジワジワくる。ああ、いいねぇ…。 「棒で武装」とか 「ドゥードル!」「よく言えるよな」とか 「(アフリカについて)しゃべりだすと止まらんぞ」とか 「この女は隅から隅まで偽物」とか 「本音はみんな一緒だ、ペネロペは別だが」とかとか… …観てからもう3日たったけど、ずっとこんなふうにセリフがぐるぐる頭の中を回ってる感じ。まさにこういうもんだよね、面白い映画って。 [DVD(字幕)] 8点(2012-10-30 17:53:30) |
22. アウトレイジ ビヨンド
《ネタバレ》 前作はDVDで鑑賞したのみなのですが、うーん、前作のほうが面白みはあったかなぁという感じです。その代わり前作にはあったダレ感はなくなり「締まった」印象。つまりこじんまりした報復劇(ケジメってやつですか)に落ち着いちゃったのかな。 残念ながら主役である大友の魅力は半減です。「仁義を大切にする古いタイプのやつだから」とかなんとかいう説明セリフがそれを如実にあらわしています。前作でいろいろに描かれていた複雑な大友像がこれにより一気にヤクザ映画のありきたりな主人公キャラに確定、この映画のスケールダウンと一緒ですね。同時に全員悪人ってキャッチも陳腐にしちゃった感じ。 でも映画としてのカタルシスは前作よりも感じられたし、続編といったらこんな感じで収めるしかないのかなって気もします。面白い映画って作るの難しいもんなんだなぁ。 その他の印象としては、コヒさん出過ぎだし、西田氏は國村・石橋両氏の穴を埋めるにはかなり不足感ありました。 [映画館(邦画)] 5点(2012-10-16 17:22:32)(良:1票) |
23. プロメテウス
《ネタバレ》 「なんだ、そっちだったんかい(怒or苦笑)」って突っ込む映画。製作側も狙ってたんだろう。真面目に期待して行くと怒り心頭ってトコ。 でも今回あんまり気にならなかったんだよね。 理由は最初から期待度が薄かったからなのと「人類の起源」系の映画にも見飽きたようなところがあったからなのかも。つまりは「謎解き」が肩透かしなのも「映画のテーマ自体」が肩透かしなのも所詮一緒かなと。どっちかというと肩透かしとしての新鮮さは後者のほうに感じたし。 まあ、確かにセロンとパパのつまらん親子確執なんて入れるぐらいないら、エンジニアの本星の様子とかその計画変更の理由なんて描いてほしかったような気もするが、多分それをやったところでおざなりな描き方になっちゃったんだろうな。 というわけで普通なら5点のところ、冒頭の白マッチョの自爆映像とか結構おもしろかったので+1の6点献上です。 [映画館(字幕)] 6点(2012-09-06 12:50:23) |
24. メン・イン・ブラック3
《ネタバレ》 1のみ鑑賞経験有り。そして1はかなり気に入っていた。2についてはついつい見逃していたところ評判イマイチという噂なので未見のまま。 そんな状況で本作3の鑑賞となったのだが、見終わってなんだかため息が出てしまった。 1と3ってさ、長さが11分しか違わないんだよね。 なのになんだろう、この冗長感は… そもそもKが冷徹な人間になってしまった原因なんて、1のイメージからそのキャラこそ愛すべきKのチャームポイントと思っていた私にとってはどーでもいいことなのだ。また、あのグリフィン(?)とかいう万能感あふれるエイリアンの存在もどこかご都合っぽい。加えてこのポッと出のニューキャラクターにはとても我らのJ・Kと同列に出来るほど感情移入は出来ないので、「なんだか面倒くさいヤツ出てきちゃったな」ぐらいの印象しかもてなかったんだよね。 というわけでまあ要は全くと言っていいほどワクワクできなかった。 ラストも(本当はすっごく苦労したんだけど終わってしまえば)「軽いノリで地球、救ってやったよ」的な小気味のいいものを期待していたけど、なんだかありきたりな親子OR師弟感動モノの風味に仕上げられていたし… ダメだなぁ。テンポの良いコメディーが続編になるほどウェット化して失敗する例なんていっぱいあると思うのだが、どうしてこんな風にしてしまったのか…ああ1のファンであるだけに返す返す口惜しいものである。 [映画館(字幕)] 4点(2012-06-05 17:15:44)(笑:1票) (良:1票) |
25. 阪急電車 片道15分の奇跡
《ネタバレ》 ぜんぜんなってないというか…ダメでしたね。最初の宮本信子さん扮するおばあさんのちょっと気取ったセリフ回しに拒絶感を感じた時点で私にはこの映画「アウト」でした。 そもそも、こういう「日常ほっこり系」映画を製作側の皆さんは安易に作りすぎなんじゃないですか?本当の意味でこの手の作品を秀作として世に送り出すには、気の利いたセリフやその間の取り合いなどに練りに練られた完成度がないと…「微かだけとじんわりくる感動」って思っているよりもずっとハードル高いモンなんですよ。 その覚悟も無く、話題の本と売れてる役者使って無難に稼ごうとしただけの情けない作品。こういうモノ作るんだったら、「不治の病」とか「出生の秘密」などでもっとB級テイストな分かりやすいストーリーでやってくれたほうが何ぼかマシです。 というわけでDVD100円レンタルですら不快感のみが残る鑑賞になりましたが、唯一役名の無い少女の「聞いてないのに教えてくれて」というセリフに3点献上。(予告で知ってた「生」以外に「おっ」と思わせてくれたのはコレだけだったので。) [DVD(邦画)] 3点(2012-02-22 18:25:01)(良:3票) |
26. メランコリア
《ネタバレ》 なんか、すごかったです。 映画の仕立てとしては全くリアリズムのない作品で、そういうSF映画ではないというのは一目瞭然。 そもそも、前半(乱痴気ウェディングパーティー)のほうが後半(惑星衝突)より登場人物が多いなんてちょっと笑っちゃうぐらいですよね。マスコミによる報道も完全にスルーだし。 でもだからこそゾクリとさせられる。 確かにどんなに多くの人に囲まれていようが正確な情報を逐一得ていようが、それらが全く意味無いものになるという絶望的状況が、逆説的に描いているからこそより切実に迫ってくるのかもしれません。 また、あえて「生命の完全なる死滅」を主人公に語らせるなんて容赦ない無慈悲さ加減にも… それでも最後の最後には……?と思い続けるなんて私が甘っちょろいってこと? もっともあのラストは、 前半のアンニュイで不毛なやりとりを我慢して見続けていた価値あったと思えるものでしたが。 今日になって、この監督が「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を撮った人だと知りました。 ……なるほど、ですな。 またもガツンとやられた感じですが、前回よりは後味よくやってもらえたようです。 好感触。 [映画館(字幕)] 7点(2012-02-20 17:18:53) |
27. レディホーク
《ネタバレ》 スクリーンは中世のヨーロッパなのに、耳に流れてくるのはあたかもミラーボールでも回っているのかと思うような80's! 普通なら「ぬぁんじゃぁ!ごぉりゃぁ!!」と「怒髪、天を衝く」レベルなんでしょうが黒騎士R・ハウアーの格好良さで全て帳消しになります。いや、むしろ聞いているうちにこのこっぱずかしい音楽に嵌ってしまう。 いいねぇ、このアンバランスさ!!いかにもな音楽よりも途轍もないインパクト(?)があって、癖になりそう…… 他にもヒロインの80'sな髪型とか(ラストの「髪、切ったんだね」には笑いました、オイオイどこの軟派なあんちゃんみたいなセリフ言ってんだよ)、ミサ中突然おっぱじまる死闘にも呆気にとられて見物しちゃうたくさんの坊さんたちとか、突っ込みどころは多々あります。 それでもこんだけカッコイイR・ハウアーが観られただけで私は大満足。とても冷静に点数なんかつけてられないです。 というわけで「アバタもエクボ」の8点献上。今度はここで評判の「サルート・オブ・ザ・ジャガー」でも借りてみようかしらん…… [DVD(字幕)] 8点(2012-01-24 18:09:15) |
28. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 やっぱインドってところが新鮮だったんだと思います。 やたら理不尽で、言いようも無く悲惨で、むちゃくちゃ混沌とした、それでいて実にパワフルな世界… でもそれ以外は、例えば「許されない幼馴染との恋」とか「一攫千金」とか「ギャング」とか割とフツーかな、と。 ま、アカデミー賞ってこんなときもありますよ。いわゆる勢いってヤツなんですかね。 というわけで感動のハッピーエンドストーリーよりも全編を流れる音楽、ラストの意味不明の踊りこそがこの映画の真髄だろ理解した次第。 以来、”Jai Ho!”ってあの歌声がラジオから流れてくるにちょっと足が踊ってしまう私です。 [DVD(字幕)] 5点(2011-12-19 17:38:26) |
29. ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
《ネタバレ》 トム様主演映画は苦手な私なのですが、それでも結構面白く拝見させていただきました。 そもそもこのシリーズを観るのも初めて。でも「チャッチャッチャラ~チャッチャッチャラ~」という懐かしの音楽効果もあってか楽しかったですね。 でもそれもやっぱりドバイのシーンまでかな?その後のムンバイの展開はちょっと付いて行き辛かったです。話見失いそうになりました。その焦りからか、その後の話のてんこ盛りに圧倒されまりくり。え?衛星?インドのメディア王?磁気スーツ?ちょっと待ってよーって感じでした。 というわけで私のおすすめはドバイまで。「あんだけ高いビルなんだからホントなら風スゲーはずだろ!」とか「窓割られてるのに何でセキュリティー来ないんだよ?」とか、突っ込む余地いっぱいですが、面白いんだから別にイイんでしょう。逆に言うと「面白い」ってそういうコトなんでしょ? あと映画鑑賞直前に泉谷しげるのCM観てしまい、もう一人の「いーさん」効果でお笑いポイントはちょっとアップしたかも。コレは映画に関係ないですけど、ね。 [映画館(字幕)] 6点(2011-12-19 17:34:41)(笑:1票) |
30. トリスタンとイゾルデ
《ネタバレ》 よかった、と思いました。 地味だけど美しく儚く悲しい物語が情感豊かに描かれていたと思います。 トリスタンのフランコはこういう屈折した苦悩の様がホントはまりますね。マーク王はカッコよすぎだし。 欲を言えば、「トリスタンの忠誠心やその背景となるマーク王との係わりをもっと描いて欲しかった」とかありますけど全体的には及第点です。多分イゾルデが必要以上に露出していなかったからかな。恋に溺れきっちゃう寸前でとどまるからこそトリスタンも「いい男」たりえるのですから。 禁じられているからこそ燃え上がるという恋の本質がよく描けた佳作。蛇足ですがイゾルデ役の人がちょっとぽちゃ気味だったのも好感触と付け加えておきます。。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-04 12:58:56)(良:1票) |
31. 猿の惑星:創世記(ジェネシス)
《ネタバレ》 ごめんなさい、わたしが期待しすぎたのでしょうか。 認知症の治療薬開発過程に生み出された、人間並みの知性を持つチンパンジー、シーザー。 彼が成長していくにつれて、「人でもなく猿でもない」自分のアイデンティティーに悩み、その果てに自らの生きていく道を選び取っていくという方向性は素晴らしいと思うのですが、その過程があまりにも雑な描き方になっていませんか? 例えば動物保護センター(だったか?)に預けられてから、他の猿たちを纏め上げていく過程とか。 最初は敵意を持っていた彼らに、そしてそれを観ている私たち観客に 「ああ、すごい、こいつは本当にすごい! 知性があるっているのはものすごいことなのだ、 彼に付いて行きさえすれば、きっと素晴らしいことが待っているに違いない!!」 と思わせ納得させてくれる何かがあったら、きっと映画としてもっともっと面白いものになったはずなのに… その辺がサラリと通り一遍に描かれてしまっているから、友人であるゴリラ(彼との友情もいつ育まれたのか、いまひとつわかりません)の死を悼むシーンもなんだかありきたり過ぎで、感動というより失笑してしまいました。 リスゴーも期待したほど魅せてはもらえず、フランコのいい人ぶりも中途半端(別この役が彼でなければならない理由は何もなさそうでした)。唯一気を吐いていたのは「ハリー・ポッター」でも悪役やってた意地悪飼育員の彼だけだったかも。 最後に蛇足ですが、時間の関係で吹き替え版での鑑賞を選んでしまったのもこの失望感の大きな一因かもしれません。シーザーのあの○○を日本語で聴いてしまったときは、一気に萎えてしまいました… [映画館(吹替)] 4点(2011-10-17 18:16:46) |
32. 英国王のスピーチ
よかったです。 繊細で癇癪もち、そして不器用な吃音症の英国王バーティ……とっても魅力的でした。 彼の緊張と共に私も緊張し、彼に笑顔がほころぶたびに私も頬を緩める、完全に感情移入した2時間弱。 ただ、これは私がコリン・ファースという役者が大好きなためなのかも。そのせいか冷静にこの映画の良し悪しを語れそうにありません。 自分の好きな役者がいい映画に出ることは普通はうれしいものなんでしょうが、なんだか本作品に関しては複雑な心境になってしまいました。 「コリン・ファースにうっとりしたのではなく英国王バーティに心を奪われたのだと、そう確信できる何かがほしい」なんて思うなんて贅沢なのかな…… [映画館(字幕)] 8点(2011-02-28 17:49:12)(良:1票) |
33. ヒア アフター
《ネタバレ》 一言で言うと、「よかった」と…… それから「やっぱ巧いんだよなぁ」とじわじわと感じてくる映画でした。 実に感覚的。 津波で溺れていくヒロインをああも美しく撮影したり、イタリア人がやっているからって妙に料理教室が官能的にそれでいて品よく描かれていたり。 それに加えてヘタすりゃ「薄っぺらいお涙頂戴part」となってしまう双子のエピを、無理なく彼らに感情移入できるレベル(ラスト近くの兄との交信のシーン、不覚にも私には涙が止まらなかったです)に持っていくあたり「やってくれた」という感じがしました。 上に挙げた点以外で私の気づかぬところにも、そこかしこにいろいろな技が散りばめられた結果なのでしょう。そうでないと「彼岸」や「蘇り」「霊媒師」なんて怪しげな世界をここまで淡々としかも美しく描けるなんて簡単なようでなかなか出来ないはず。 確かに「えっラブストーリーだったの?」っていう展開には唖然とさせられなかったわけではないんだが、その唖然がむしろうれしい、そんな映画でした。 「チェンジリング」「グラン・トリノ」(「インビクタス」は未見なので)と、ここんとこイーストウッド作品にはほとんどカタルシスを感じられなかったので、それを感じることの出来た本作品に出会えて無性にうれしかったです。 [映画館(字幕)] 7点(2011-02-21 17:14:00) |
34. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 ……そもそも芸術などまるで意に介さない男ヴィースラーが、ドライマンとクリスタの生活を監視し盗聴することにより、彼らの信望する芸術に触れ、その何たるかを知り、深く突き動かされ、その感動が彼の信念である国家への忠誠心を覆すほどにも大きく波打っていく……それがこの映画の根幹なのだと思っていた。 つまり、その感動が私たち観客にも与えられてこそ、この作品は成立し得るのである、と。 それが、問題のソナタはちょっろと弾かれるのみ、熱情ソナタへのレーニンの言葉でお茶を濁されるだけ。なんなんだ? 邦題とはいえタイトルが「善き人のためのソナタ」となっているからには、 少なくともそのソナタをもっとじっくり聴かせてもらいたいものだった。 それを聴かせないということは、もともとこのソナタには大した役割は託されていなかったということなのか? (じゃあ、ヴィースラーは何に感動したのだ? ドライマンたちの愛の深さ?演劇という芸術にかける彼らの情熱? しかし、どれをとってみてもどうもイマひとつ、残念ながら説得力のある要素はどこにもない。) いずれにせよ、 このソナタがそれほどのファクターでないというのは確かなことなのだから、 何人かのレビュアー諸兄が仰られるようにこのもったいつけた邦題の罪は重い。 そんなわけで、本来は4点あたりが相当するところだが、ラストの「私のための本だ」というセリフに+2点しての6点を献上。 逆に言うなら、このセリフ以外に観るべきものはほとんどない映画と言っていいだろう。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-24 18:03:18)(良:1票) |
35. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 上映時間148分、正直観る前は心配でした。 「ただ逃げているだけの単調で起伏の無いストーリー」 「それでなくとも陰気な空気に気がめいる」 「そもそも息すら殺して潜まねばならない主人公がピアニストである必要があるのか」 すべてごもっともです。でも、惹きこまれたんですよね、私は。 多分それは、ツクリモノである映画がギリギリのリアリティを追求したからなのだと思います。つまり、この手の話にありがちな「お説教めいた主張」や「泣かせどころの不自然な強調」、「安易なラブ・ストーリー」をことごとく排除した結果の感動なのだと…… 恥ずかしながら最後にこの作品が実話に基づいていることを知りました。 でも本作は、「実話だから」というのと「リアリティがある」「感動する」というのは全く別のものなのだということと実感させてくれる作品、です。 久しぶりに何度でも観たい佳作に出会えたことに感謝! [DVD(字幕)] 9点(2010-10-12 18:03:28) |
36. 第9地区
《ネタバレ》 ……グロいっすね。出てくるのは従来の悪役虫型エイリアン。しかし徹底的弱者として描かれている点が従来のものと一線を画している。これがイウォークもしくはギリギリの線でETみたいに愛すべき形態をしていたら全く別の作品となったのでしょうが。 映画の中で潰されるように殺されていくエイリアンたちはまさに虫けらのような存在でなんだか複雑な気分になりました。毎日何匹も潰しているしなぁ、私……ってかんじで。 そういう点も含めていろいろ考え抜かれた意欲的な作品だと思います。 でも、唯一つだけ気になる点が…… エイリアンはともかく、ナイジェリアの人たち、これ見て怒んないかな? [DVD(字幕)] 7点(2010-10-12 17:58:08) |
37. 影武者
ああ長いですね、本当に長すぎ。どうしてこんなに長々と起伏のないストーリーを撮ってしまったのでしょう。 現代において「重厚長大」とは、裏返せば「鈍重」「冗長」「もったいつけ」と同義でほとんど褒め言葉にはなっていないのに、この巨匠はかくも「重厚長大」な大作を撮ってしまったのですね。 黒澤監督という人は、そういう機微をよく知っていて、こういう面白みの無い超大作を撮ることを一番嫌がる人のような気がしていたのですが……残念です。 [DVD(邦画)] 5点(2010-10-04 17:51:18) |
38. 十三人の刺客(1963)
《ネタバレ》 すみません、私が期待しすぎちゃったせいもあるんでしょうが、イマイチでした。 まあ、前半は良いと思うんですよ、目付(千恵蔵)もバカ殿の側近(内田)も、善悪とは別の次元で互いに武士の一分を通そうとするところとか。その衿持ちの清清しさなんて、昨今のエセヒューマニズムに毒された時代劇に渇を入れてやって欲しいほど、見事でした。 でもねぇ、一番の見せ場の落合宿があれでは…。何がなにやらわからないままやたら狭いところでひたすら斬って斬って斬りまくるってんじゃ単調すぎて眠くなってしまいます。罠を仕掛けるにしてももう少しその準備を丁寧に描いて、私たちも十三人の仲間としてこの計画に加わっているかのような心持にさせていただきたかった、この点、かえすがえす惜しいでところす。 結局「集団抗争時代劇」と銘打っていますが、クライマックスの一対一の対決のスタイルなんて、やっぱり良くも悪くも時代劇の典型にはまった作品で、それ以上でもなくそれ以下でもない。古き良き武士の生き様を描くという意味では郷愁を誘う秀作ですが、「一人一人を丹念に描く群像劇」や「練りに練った戦術を駆使した痛快娯楽作」としては物足りなさの残る作品。そういう点では「七人の侍」には残念ながら遠く及ばないといわざるを得ませんね。 [DVD(邦画)] 6点(2010-10-04 17:43:19) |
39. メメント
《ネタバレ》 そうそう、考えてみれば私たちだって感じたことがないわけじゃないのです。 よくあるでしょ? 2階に何かを取りにいったんだけど、2階に着いたら何取りに来たんだか忘れちゃったりすること。 ただ違うのは、私たちは1階に戻ったとたん思い出すこともあるけど、この彼は思い出そうと努力しているうちに、何を思い出そうとしていたのかさえ忘れてしまう点…… …時間軸どおりに鑑賞すれば、確かにわかりやすい、同時に陳腐な話です。 でも時間を逆行させれば?すばらしい。主人公の抱えた障害を実感させてくれるという意味でこの手法は秀逸です、これ以上はないくらい。 この実感とそれに伴う歯がゆさの共有。これ抜きにしてこの話の価値は有り得ません。 こんな有無を言わさない手段で、観客を共感に引きずり込む方法があるなんて!驚きですね。 …そうは言うものの、確かに鑑賞後に得られるカタルシスは少ない。「散々考えさせといて、それだけかよ?」みたいな疲労感や虚脱感もある。 でもその欠点を補っても尚余りあるのが、この「忘却という感覚」の再現の巧みさなのではないでしょうか。それと同時に「映画っていろんな楽しみ方があるもんだ」ということを気づかせてくれた点ももちろん、なのですが。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-24 17:53:53)(良:1票) |
40. アバター(2009)
《ネタバレ》 3D効果が半端じゃないと評判のIMAXシアターにて鑑賞。チケット売り切れ状態が続いて3週間もお預けをくった末、ようやくの鑑賞だった。 で… すごい…こりゃ乗り物酔いちゃうかも…と感動し、そして心配していたのは、結局杞憂に終わった。 慣れてしまうのだ、30分もすると… そして、慣れちゃうともう「ちょっと迫力ある映像」にしか過ぎなくなってしまう。 (…大変だよね、映画作るってさ、こんな我侭な観客を満足させなきゃいけないんだもん。) というわけでアゲそうなほど見飽きたストーリーの展開に後半は失笑気味だった。 もう、敵方の首長の娘とかその婚約者もどきとか、他に考えられないのかよって感じ。 ストーリー云々は関係なく技術でアッと驚かすなら、もっと短時間のほうがいいよ、絶対に。みんなが慣れる前に息もつかせず畳み掛ける、そうしたほうがよかったんじゃないの? (追記) ホントは最初5点だったんだけど、「ビデオでも良い感じ」とはとても言えないので。「そこそこに面白い(6点)」よりはやっぱ「意外と面白くなかった」ので4点とさせて頂きました。 [映画館(吹替)] 4点(2010-03-20 18:41:59) |