21. 落下の王国
プロモーション・フィルムではなく「映画」である以上、映像・ストーリー・音響と音楽・俳優、それぞれの魅力が引き出された作品であることが自分としては理想です。 本作においては、映像は見事な出来栄えにもかかわらず、ストーリーの部分で大きく興味をそがれてしまった。特に、「面白い物語で子供を引き付ける」展開なのに、肝心の語られる物語はあまりにも幼稚で馬鹿馬鹿しく、全く先が気にならない出来。子供の「続きを聞かせて」というセリフが虚しく響いて聞こえました。 映画自体のストーリーの枠組みは面白いだけに残念。 [DVD(吹替)] 4点(2009-04-19 01:49:57) |
22. 告発のとき
《ネタバレ》 テーマや姿勢が真面目で、「いい映画」を目指しているのは好感が持てる。しかし、映画の出来としては今ひとつで、そのため心に残るはずの訴えが、うまく伝わってない感じを受けた。 特に、「戦争が引き起こす兵士たちの狂気化」を描くなら、戦場に出る以前(から変わった点)も描くべきであったと思う。主人公が元軍警察なのだから、その点には詳しいはず。 同様に息子の変化も、戦争前にどんな人間だったかを、父がもっと語るべきだったと思う。例えば「犬をよけて車を電柱にぶつけた」などの思い出話があれば、だいぶ印象が違うと思う。 また、地元の警察との確執があるが、「一般犯罪者」と「戦場(帰り)の狂気」の違いも描けたはずだと思う。それによって問題の大きさ、深さをもっと分かりやすく浮き彫りにすることもできたのではないか。 そして、「なぜ兵士が狂気化するのか?」という問題にまで踏み込んで欲しかった気もする。この作品なりの切り口が見たかった。 色々考えると、もっと面白く、心に残る作品に出来たと思うのでいささか残念。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-27 01:26:14)(良:1票) |
23. ランボー/最後の戦場
《ネタバレ》 この映画は「ミャンマーの内戦をテーマにしたアクション映画」ではなく、「ランボーの活躍できる舞台をミャンマーに設定した」だけのように思える。それは恐らく「ランボー3」のアフガンと同様なのだろう。内戦についての切り口はなく、代わりに残酷な殺戮シーンが繰り返される。内戦の悲惨な面は伝わってくるけれど、それについて考えさせられることは特に無い。 アクション映画としては、80年代によく作られたMIAものから全く進歩してないことに驚く。むしろ展開が薄くなっており、「もう終わりかよ!?」と拍子抜けする感じ。 また自分としては、「独善的で無知な人間のために、多くの人間が無駄な戦いで死ぬ」という話では盛り上がれない。せめて、使命感の強いプロの傭兵を助けるために戦う、などという展開が欲しかった。 [DVD(字幕)] 3点(2009-03-21 21:48:08)(良:1票) |
24. NEXT-ネクスト-
《ネタバレ》 気になる点は、他のレビュワーの方に同意。序盤は面白かっただけに失速感が強い。核爆弾などと話を大きくする必要はなかったと思う。銃撃戦とかアクションシーンが無いと、SF作品の企画が通りにくいのかもしれないが。 問題の夢オチは2002年製作の某映画(こっちは独特で面白い)のノリと全く一緒だったので、目新しさすら感じなかった。ニコラスだとある程度許せるのが不思議な点(笑) [DVD(吹替)] 3点(2009-03-07 23:04:58) |
25. ハプニング
《ネタバレ》 「自然界の出来事は完全にはわからない」…だから「この映画も完全にわからなくていいよ」ってことですか? 多くのレビュアーの方も色々な作品で訴えてますけど、「謎は解決しないけど、見ている間ハラハラしたからいいでしょ」的な映画はもうやめて欲しい。ドラマも無いに等しく、ハラハラしなかったし。いい加減頭にくるので0点にします。 [DVD(吹替)] 0点(2009-03-06 01:19:45)(良:2票) |
26. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 楽しめたが、もう少し時間を短くしてコメディ色が強くてもいいと思う。邦題と広告、パッケージでコンビものと誤解していたので、前半はだいぶ違和感を感じてしまった。 ラストの一大バトルはカタルシス充分だが、最近の傾向の細かすぎるカット割りで見づらいのが残念。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-25 21:47:27) |
27. パニッシャー(2004)
《ネタバレ》 悪くは無いが、人に「面白いよ」とは勧めるまではいかない出来。 「個人の復讐」→「社会の悪を制裁」へと意識が変化していく過程を描いてないのは大きなマイナス点だろう。アパートの隣人との関わりを通して変化していくと思ったのだが… 主人公がやたら不死身なくせに、チマチマと復讐作戦を繰り広げるアンバランスさはバカ映画に近いかも。下らないCGが無かった点は良かった。 序盤の妻と息子が殺されるシーンが、まんま『マッドマックス』だったり、ラストバトルの出陣シーンが『コマンドー』だったりするのはご愛嬌。 [DVD(吹替)] 4点(2009-02-25 21:31:43) |
28. マンマ・ミーア!
《ネタバレ》 こだわらなければ楽しめる。しかし、ABBAの曲に頼るところは大きいので、映画自体の評価は高くは出来ない。 特に、ミュージカル映画としての出来は壊滅的で、見ていてストレスを感じるレベル。カットを割り過ぎたり、全身の動きを写すショットが極めて少ないなど、基本が全く出来ていない。 例えば「ダンシング・クイーン」のシーンでは、メリル・ストリープのアップからカメラが引くと群衆が一緒に踊る(あるいは逆の動き)といった一連のカットで、盛り上がりを演出するのが普通のレベルだと思う。 スピーディに始まる冒頭や、肩のこらない演出は良かったと思う。エンディングの悪ノリも楽しめる。 [映画館(字幕)] 4点(2009-02-13 22:58:09) |
29. ドラゴン・キングダム
「オズの魔法使い」的な王道のストーリーは良いのだが、肝心のアクションシーンに不満が残った。特にジャッキーVSジェットの戦いは長いだけでメリハリを感じない。お互いの見せ場がないまま終わってしまう。CG、ワイヤーに加え、アメリカンスタイルの細かなカット割りもマイナスしている。 カンフーの教訓がずらりと並べられるが、ではそれを主人公が少しでも身に付けたかと言うと、全くそんなことは無い。ただの味付けならいたずらに精神を説かないでほしいとも思う。 無難にまとめて、誰でも楽しめるような作品だが、自分的にはこの作品に熱い戦いは感じられなかった。 [DVD(吹替)] 3点(2009-02-06 22:54:00) |
30. 地球最後の男 オメガマン
《ネタバレ》 どちらかというと、『アイアムレジェンド』の方が面白くなかった。また、4年後に作られた『SF最後の巨人』(ちょっと似てる)と比べても、本作の方がやや面白い。まあ、他作と比較しないと評価できないという時点で駄目ですが(笑) 良いところは、冒頭の無人の大都会と主役のヘストンの存在感。CG頼りでは出せない、ダイナミズムが感じられる。ショボイ点は、ヒロインに華が無い・敵が強そうに見えない・アクションが少ない・ヘストンあっさり倒されすぎ…といったところですかね。音楽のセンスも悪い。 『猿の惑星』→『オメガマン』→『ソイレント・グリーン』と尻つぼみの感が否めないヘストンですが、好きな俳優なので点数は大甘。 [DVD(字幕)] 4点(2009-01-08 02:04:22) |
31. レニー・ハーリン コベナント 幻魔降臨
《ネタバレ》 そこそこ楽しめるが、欠点も多い。まず、超能力で出来ること、出来ないことが明示されないので、戦いの面白さが損なわれている。また、超能力バトルのビジュアルイメージも、新鮮なものはなく冗長。決着のつけ方も予想通りの上に安易すぎて、全く盛り上がらない。 序盤、登場人物が多く混乱するが、すぐに整理され王道の話になるのは良かった。主人公やヒロインも魅力的なキャスティングと言える。全体的には、TVシリーズの初回スペシャルといった印象を受けた。続きがあったら見るかもしれない。 [DVD(吹替)] 3点(2008-12-29 21:47:38) |
32. ローグ アサシン
《ネタバレ》 一言で言うと、「観客の期待に全く応えてない映画」。ジェットとジェイソンのアクションスター競演なら、格闘・肉体派アクションをふんだんに見たい。そんな当然の観客の期待を無視しつつ、何がしたいのか全然分からないまま話が進む。 終盤の「意外な事実」も、いたずらに観客を混乱させるだけ。いきなり主役が変わるというのは、「意表をつく」ではなく「つまらないから誰もやらない」展開。 刀のアクションは『ラッシュアワー3』などでも分かるように、どうしても単調になる。本作もその例に漏れず。一番の見所はジェットVSケインかな~(笑) [DVD(吹替)] 2点(2008-12-29 02:20:31) |
33. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 私の感覚では、「ぎりぎりアウト」です。判断基準は、ネタ割れした後に「あ~そうだったのか!…で、この後どうなるんだ!?」と感じるか、「え~っ今までのは何だったの!?…もう、この後はどうなってもいいや」と感じるかで、本作は後者になってしまったからです。 また、多重人格の治療法についてはかなりSF的なものであるにもかかわらず、話の中では何の論議もされずに(観客に対しても説明は不充分)、死刑が撤回されてしまうなど、荒っぽい部分が多いと思います。 「多重人格者の脳内での戦い」というアイデア自体を活かすなら、最初の30分以内に観客に提示するべきだと思います。そして、脳内バトルを医師たちがモニターしながら、殺人者の人格を倒すべくリアルタイムで治療をしていく話などにすれば、正統な構成になったと思います。 (余談ですが、口直しにブライアン・デ・パルマの作品を見て、その力量を改めて感じることになりました) [DVD(字幕)] 2点(2007-09-09 22:40:08)(良:1票) |
34. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 高い評判だったので、期待しすぎたかもしれません。面白かったのは飛行場のシーンまでで、以降は不満にみちた長い時間となってしまいました。 まず、敵の強大さ、悪党ぶりが消えます。「計画が阻止されて、金を失ったからギャンブルで増やす」「金の取立てに来た数人のテロリストになすすべもなくボコボコにされる」…こんな頭も悪く、強くもない奴をジェームス・ボンドが倒す必要があるのか?取り立てを倒したボンドの方があきらかに強く見えるので、対決の構図にまったく緊迫感がないと感じてしまいました。 そして、見せ場となるカードの勝負も、「顔が引きつったらブラフ」という超低レベルの心理戦からスタートしているのも、信じ難いものでした。しかもそれ以上に発展しない…。ボンドガールとの初対面時のシーンで、「ギャンブルは心理戦がすべて」と、戦いの見せ場が高度な心理戦になることを予感させておいて、いつのまにか「俺は必ず勝つ!」みたいな根性論にすりかわり、最終的にこれまでの007映画のお約束=「ボンドだから勝つ」という結末では、盛り上がるわけがないと思うのですが。 ラストでは、ボンドガールの女が、「恋人を助けるために裏切ったけど、ボンドにも惚れてしまった」ような感じになりますが、あまりすっきりしない展開だと思います。ボンドと愛し合っていたとしても、じゃあ恋人は何だったの?と思ってしまいますから…。恋人よりも家族を人質に取られたほうがまとまった気がします。 冒頭のトイレのバイオレンス系格闘と、OP後の「マッハ!」的なアクション、空港での派手なチェイスはそれぞれ見所がありましたが、統一感が感じられないのが残念でした。 ダニエル・グレイグの存在感と、以後のシリーズに向けての期待で、5点といったところでしょうか。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-09 22:31:43)(良:3票) |
35. クライシス・オブ・アメリカ
《ネタバレ》 まず、ブツ切り音楽が連続する不快なオープニングから、危険な臭いを感じました。湾岸戦争の謎から始まり、副大統領選にからめたミステリアスな流れは、スリリングになるはずでしたが…いかんせん、主人公・デンゼルが魅力に乏しく、全く興味をそそられませんでした。一体デンゼルは何がしたかったのか?漠然としか伝わってこないのです。それは、この映画全体のストーリーがどこへ向かっているか、全く不明な所によるものだと思います。 湾岸戦争での部隊の謎を解明するのか、副大統領選の陰謀をあばくのか、人間をコントロールするチップを追うのか…全てが中途半端に感じました。そして、結局は「母親が息子をコントロールする」という陰謀(欲望)を核に、企業や政治家の利権がからむという、半端なスケール感の結末。あの手術を湾岸戦争の戦場で行うのに、どれほどの手間や困難、組織力が必要なのか、それを考えると観客が期待するスケールの結末には程遠いと思います。 ほとんど見所や盛り上りを感じられず、最後の30分は眠気と戦うのに疲れてしまいました。唯一良かったのは、やはり多くの方が指摘するように、メリル・ストリープの存在感だったと思います。 [DVD(字幕)] 2点(2007-09-09 22:27:26) |
36. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 期待せずに観たら、予想をやや下回る面白さで、残念な印象でした。 最大の欠点は、「子供がいなくなった世界」を全く表現できていない点だと思います。セリフやニュースで語られるだけじゃなく、もっと「子供がいないこと」に悩み、苦しみ、寂しさや絶望を感じる人々の感情や生き方を見せなくては、観客には実感をわかせることはできないと思います。 また、人類が急に(2年程度で)すべて不妊化してしまう理由に全く触れられていないのも、面白さを削いでいる原因だと感じました。なぜなら、終盤に赤ん坊が生まれたということが、未来への希望につながるかどうかはっきりしないからです。 例えば、病原菌による症状ならば、妊娠した女性から耐性を持つ薬を作り出すことができる、というように「物語」のなかでは、原因と解決策は表裏一体であると思います。原因が明らかでないために、解決もおぼろげになっているのではないでしょうか。 上記二点が、本来この映画の見せ場であるべき 1.劇中で女性が妊娠しているのを明かすシーン 2.出産のシーン 3.皆が赤ん坊を目撃し、息を呑むシーン のカタルシスをすべて奪い去っているといえるでしょう。 「×××が○○○な未来だったら…」というシチュエーションSFとしては、アイデア倒れの作品といえるのではないでしょうか。 本来のテーマと外れたところですが、緊張感のあるシーンを長回しのカットで撮影しているのは効果的で、銃撃戦はへたなアクション映画よりも迫力がありました。 [DVD(字幕)] 3点(2007-07-25 17:11:02)(良:2票) |
37. ポセイドン(2006)
《ネタバレ》 パニック映画において、絶対に失ってはいけない「魂」、それは「できるだけ多くの人々を助けようとする、主人公の姿勢」だと私は考えます。 しかし、この映画には全くそれが無い。主人公の男と元市長の二人は、脱出できそうだとわかるやいなや、周囲の人々を放り出して、すぐさま自分たちだけ逃げ出してしまう。救おうとするのは、自分の家族や好きな人だけである。そんな主人公たちに、一体どれだけの観客が声援を贈るのであろうか? 「リアルな人間の行動だ」ととらえることも出来るし、そこに観客は共感できるとの見方もあるだろう。だがそれは、この上なく「安い共感」であり、何の感動も得られるものではない。 たとえ「非リアル」でも、不可能と思える困難に立ち向かい、限界まで人道を追求する主人公の姿にこそ、観客は憧れ、感動するのではないでしょうか。 1972年作の「ポセイドン・アドベンチャー」は、まさにそんな映画であった。今回のリメイク版は、魂の抜けた「ポセイドン・アドベンチャー」であり、このような作品を製作するなら、もっと大胆にストーリー展開や設定を大きく変えても良かったのではないか。 最近の作品らしく、脱出シークエンスは派手に作ってあり、一応見どころにはなっていました。 [DVD(字幕)] 2点(2007-07-25 17:03:39)(良:1票) |
38. デジャヴ(2006)
《ネタバレ》 観賞後、時間がたつにつれて、評価が徐々に下がる作品でした。設定や展開の強引な点が、よく考えるとかなり無茶苦茶で、まったく整合性がないことに気付くからです。 良く言えば、「映画」という、一方的にストーリーが流れていくスタイル(と、主役のデンゼル・ワシントンの持つ説得力)をうまく利用しているのであるが、逆に見れば、見せ場の要素だけで作った話の、細かい部分を誤魔化しているともとれると思います。 色々気になる点は多いですが、いくつか挙げると…1.前半で女性が殺されているが、過去に行ったデンゼルが接触した形跡がいくつもある。ストーリーの伏線であるのだが、デンゼルと接触したなら、生きているはずで、過去に戻っても、救えるのか無理なのか判らなくなる。 2.レーザーポインタの光が過去の相手に届くという事は、物理的に空間がつながっているという事になる。向こう側に相手が存在していなければ、光を当てても反応しない。ということは、犯人に対して狙撃もできるはずだし、メモも投げれば届くし、人間もモニターに向かって飛び込めば、向こうに行けるはず。そうじゃなければ、なぜレーザーの光だけが届くのか?まったく説明も無いし、重要な演出にしていることの神経を疑う。 3.衛星画像のデータを処理し、4日前の特定地域の3Dヴァーチャル空間を再現していたら、本物の過去つながってしまった。という設定だが、この現象と「過去を見ることができるゴーグル」とのテクノロジー的関連性は全く無い。なぜ過去が見られるゴーグルが作れるようになったのだろうか?もちろん、説明は無い。 正直、上記の点は観賞中には、そんなに気にならなかった(というより、ゴーグルが出てきた時点で考えないようにしました)ので、映画としての勢いはあったと思います。ブラッカイマー節全開といったところでしょうか。 しかし、私がもっとも違和感を感じたのは、主人公の行動が、「女性を助けるために過去に行き、そのついでにテロをくいとめる」ように見えてしまった事です。とても感情移入しづらい行動理由であったと思います。また、登場シーンでは、知的で行動力あふれるキャラクターだった主人公が、途中より行動力のみになってしまったのも、残念に感じました。 [映画館(字幕)] 3点(2007-05-16 01:39:36)(良:3票) |
39. 墨攻
《ネタバレ》 原作は未読ですが、1エピソード・1つの城の攻防戦にしぼったドラマ作りは、成功していると思います。スペクタクルを堪能できる良作だと感じました。 迫力を支えているのは、やはり、体を張ったスタントの人員たちで、また演出も人間同士が戦うことの「痛み」を感じさせるものであり、力強い作品に結びついていると思います。特に「痛み」は、攻防戦で死んでゆく人々の悲鳴や、処刑の残酷さなどを描くことで、観客に戦いの負の面を訴えていたのではないでしょうか。 ヒロインの結末は、賛否あるようですが、私は決して無駄な死ではなかったと思います。エンディングの、主人公が戦いの虚しさを悟り、平和を訴えてゆくという、より大きく困難な目標への旅立ちは、希望を感じさせる物語であり、主人公をそこへ導いたのはヒロインの死であったからです。 攻防ののち、王が主人公を邪魔に思い始め…というストーリー展開はありきたりですが、とっつきにくい題材において、ストーリーが単純でわかりやすいのは良い方向に働いていると思いました。多くの観客を意識した、エンターテイメント作品としての製作姿勢がうかがえるのではないでしょうか。 アンディ・ラウの抑えた演技も作品に合っていて、バランスのとれた一本だと思います。そして、アジア発のスペクタクル歴史娯楽作、という作品であることを嬉しく感じました。 [映画館(字幕)] 9点(2007-04-17 23:47:38) |
40. 16ブロック
《ネタバレ》 全体的に話が薄く、最初から最後まで、展開に意外性が乏しいと思いました。 アル中役のブルース・ウィリスや汚職刑事たちの結びつきなど、既視感の強いモチーフが多かったのも、興味をそがれる点だったと思います。 主人公が冒頭で仲間の刑事を撃ちますが、そこに至るまでの彼の心境が映画の中でほとんど描かれていないのは致命的ではないでしょうか。後に彼が以前汚職刑事の仲間だったと分かりますが、なぜ汚職に手を染めたのか?なぜ仲間をやめたのか?といった、主人公を観客が理解するための重要な要素が抜け落ちているのではないでしょうか。 また、主人公と証人との関係も、話が進むに連れ、友情による結びつきに変わっていきますが、その理由はあまり描かれていないと感じました。結局、この作品を観ながら、主人公がなぜ命を賭けてまで証人を守ろうとしたのか、最後まで判りませんでした。 例えばありがちですが、汚職刑事の背後にマフィアなどの犯罪組織があり、主人公は以前恋人を彼らに殺されたなどの設定があれば、主人公が今は仲間と離れ、すさんでいるのもわかるし、証人が彼らの罪を暴くための存在なら、主人公が必死になって守ろうとするのも説得力があると思います。また、デビット・モースはマフィアなどの圧力と主人公との友情の間で揺れ動いたであろうし、襲撃のやり方にも様々な工夫が生まれたと思います。 ラストも「ケーキを送る」と何度も言っていたのだから、あの展開では当たり前過ぎて心に残らないと思います。夕食になってもケーキは届かず、「犯罪者の約束なんて当てにならない」と言ってたところに、本人がケーキを作りに来るぐらいの展開は欲しいと思います。 [DVD(字幕)] 2点(2007-02-24 23:18:15) |