21. シャークボーイ&マグマガール 3-D
ディズニーランドのように専用の劇場ならともかく、ふつうの映画館で 3D は、よっぽど特別のアイデアでもないと、やめたほうがいいかもしれない。むかしときどき小学生向けの学習雑誌などに 赤青のセロハンを貼った 3D メガネと、赤青の色をずらして印刷した「飛び出して見える」ページがあったが、技術的にはまったくそれと同じ。つまり、3D の場面だと、色合いが紫がかったモノクロに近い、なんともわびしいものになってしまう。どうせ夢の世界なら、ちょこっと飛び出して見える効果より、色彩で見せる効果のほうが大きかったのではないか。 また、「よだれ惑星」のセットが、あまりにも凡庸でつまらない。一貫した趣味なり、美学なり、そういうものがなく、ただ散漫な印象。 まあ、子供は喜んでいたので、子供向けとして見れば悪くないんだろうけど。 [映画館(吹替)] 4点(2007-08-20 00:01:34) |
22. キング・コング(2005)
「髑髏島」で、もうこれでもかっっと、あーんなものやこーんなものに襲われるシーンがテンポがよくて楽しめた。ナオミ・ワッツは、スクリーミング・ヒロインにしちゃ、年がいきすぎなんじゃないかい?と最初思ったが、ただきゃーきゃーと叫ぶだけではなく、すばらしい身体能力で、走りっぷりが実によかった。 実はこの映画は、ジャック・ブラックが見たくて出かけたようなものだが、彼の濃さが役にあっていて、クローズアップが多用される演出も、プラスになっていたと思う。ほかにもなかなか曲者の多い配役だったが、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルには、見たことある顔だなぁ、と思いつつ、最後まで気づかなかった。こんなに大きくなったのね。 島の住民を「凶暴な土人」として描いていることも含めて、1930年代アメリカの雰囲気はよく出ていたと思う。ヒロインの勇気だけが現代的。 [映画館(吹替)] 7点(2007-08-19 23:59:56) |
23. ブラザーズ・グリム
テリー・ギリアムだから、もう少し小昏い世界が展開しているかと思いきや、案外単純明快だった。多少残酷というか悪趣味なシーンもあるが、そういうところも含めて、子供に受けそうな作りである。 グリム兄弟の話だから当然ドイツが舞台なのだが、アメリカ映画なので、登場人物は英語を話す。フランス人やイタリア人役の役者は、それぞれわざとらしくなまった英語を話す。この時点で、かなりマンガぽい印象を受けた。森に入るまでの導入部も、わかりきっている内容を順序どおりに見せているだけという感じで、少しだるい。 美術がこの映画の見所だろうし、決して悪くないんだが、つい『狼の血族』と比べてしまうわけで、ああいう森の薄暗さが心の奥の暗いところに通じている、みたいな凄みがないので、なんとなく物足りなく感じる。そういえば、あの映画もイギリス製作だし、原作もイギリスなんだけど、ドイツじゃないことには、そんなに違和感感じなかったんだけどなぁ。万国共通の少女の心理を題材にとっていて、「グリム」という固有名詞が出てこないせいか。 モニカ・ベルッチが美しくてこわい。64年生まれと知ってびっくり。レナ・ヘディの骨太な感じがよかった。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-19 23:57:50) |
24. 四月の雪
ペ・ヨンジュンの新作の監督がホ・ジノだと聞いて、「そんなの、一般受けするような作品が出てくるわけないだろ」と思ったのだが、予想よりはるかに遊びのない、突き詰めるような作品だった。これで、これだけの動員なら御の字じゃないの。 しかし、ふつうの男性が脱ぐと腹筋割れてるってどうよ。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-19 23:55:53) |
25. TUBE/チューブ
サスペンスの盛り上げ方はけっこうよかったんだけどなー。なにせ登場人物もストーリーも詰め込みすぎで、説明不足、消化不良。 パク・サンミンの無表情な悪役ぶりは最初はよかったんだけど、なんで追っかけてくる刑事をさっさと拳銃や刃物で始末せずに、素手の戦いに固執するかな。だいたい、指名手配されてるのに、ふつうに顔をさらして行動してるのも不可解だし。 ペ・ドゥナは、この映画でもとても魅力的だが、なぜ命をかけてまでキム・ソックンに肩入れするのか、よくわからん。事件が起こるまでのエピソードでは、「ちょっと片想い」程度の感情にしか見えない。背中のギターケースもなんの説明もなく、ストーリーになんの役割も果たさない。 ストーリーにからんでこないといえば、クォン・オジュンが最後まで賑やかし役という程度だったのも、残念。ポン・テギュも出てたけど、ほとんど見せ場なし。 まあ書くときりがないのだが、脚本の段階でもっと整理するべきだったろうなぁ。 思わせぶりな音楽が多用されていて、うるさいくらいだったが、映像の雰囲気とはよくあっていて、これはこれで正解だったと思う。 ソウルの地下鉄って、有事の際の退避場所になってるんだ。。。高速道路がいざとなったら滑走路として使えるという話はよく聞いていたのだが、軍事境界線からの距離を考えれば当然のことなのかもしれない。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-19 23:52:27) |
26. ザスーラ
よきパパたらんと努力しているティム・ロビンスが、涙ぐましいオープニング。妻と離婚して子供たちは両方の家を行ったり来たりしている。これじゃあ、両親を比較しろと言っているようなもので、子供が王様になりそうだ。兄弟ゲンカで出てくるセリフや、思春期のお姉ちゃんが、まだ子供っぽい弟ふたりを邪魔にする様子がリアル。 冒険あり、感動ありと、よくまとまった映画で、家族そろって見るには最適だろう。怖がりのうちの小学生は、トカゲ宇宙人に襲われる場面で泣きそうになっていたが。 個人的には、家がぼっこぼこに壊されていくのが、見ていてけっこう快感だったりして。なんで宇宙空間でソファが燃えるんだとか、そういうことを言ってはいけない。DVD だと、ついそういう野暮をいいたくなるだろうから、劇場の大スクリーンと大音響に身をゆだねて頭をからっぽにするのが吉。 [映画館(吹替)] 6点(2007-08-19 23:50:21) |
27. MUSA-武士-
砂また砂の中で、のた打ち回るような戦いが続く。バックが単調なせいか、ストーリーも若干単調な感が否めない。 「こんな小娘ひとりのために。。。地獄だ」元の将軍(ユー・ロングァン)のこの言葉がすべてを物語っていますな。セリフはちょっとうろおぼえだけども。 チャン・ツィイーは権力者の娘、というところに価値があるので、別に美貌である必要はないのだけれど、たくさんの男が命をかける対象としては、やはり傾国の美姫を期待するところ。きれいはきれいなんだけど、要するに「小娘」なんだよね。まあそのほうが、戦いのむなしさが強調されてよかったかもしれない。 チュ・ジンモとチョン・ウソンは演技にとくに難はないのだが、2枚目過ぎて重みにかける。美男俳優というのも、こうなるとつらいものである。ユー・ロングァンや別将役のパク・チョンハクみたいなのが、「男」の顔でしょう。 アン・ソンギの哀愁ただよう芝居に1点追加。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-19 23:44:57)(良:1票) |
28. 嗤う伊右衛門
とにかく画面が暗く、部屋の照明を落として見ないと、なにがなんだかわからない。セリフも聞き取りづらいので、できればヘッドホンを使ったほうがよい。一部グロいシーンもあるので、子供といっしょに見ようなどとは思わないこと。 しかし、なんでこんなに水にはまるシーンが多いのだろう。蚊帳が象徴的に使われていたが、これもなにかそういう意味があるのかしらん。汗で光る、下帯ひとつの暑苦しい男もてんこ盛りだし、気分までぐっしょりげんなりという感じである。まあそれも、汗ひとつかかず、血が冷たいような唐沢寿明と小雪との対比と考えて、がまんすべきだろうか。 小雪のような大柄な女優を時代劇に使う、というのが、いまいち理解できなかったのだが、美しいが性格は野暮の極みのような役柄なので、実際に見てみると、よく合っていた。肌の透明感はすばらしく、特殊メイクで異形に作ってあるのが、かえって退廃的な美を感じさせる。しかし、セリフまわしは生硬で早口すぎ、演技力は今一歩だろう。 小雪が素人っぽいので、きちんと発声のできている唐沢がだいぶ得をしたかもしれない。 椎名桔平は色悪といいたいが、かなり迫力不足。整った二枚目のほうが、狂気の表現にうまくはまるはずなのだが、決してヘタじゃないのに、いったい何が足りないんだか、見ていてちょっと不思議だった。 池内博之のオーバーアクトは、単にヘタなのよね、という感じだったが。 長持の上に座っている相手と、マジメに言葉を交わしているシーンで失笑してしまった。 [DVD(邦画)] 4点(2007-08-19 23:40:15) |
29. たそがれ清兵衛
着物はいつもぱりっとおろしたて、足袋はさんざん歩いても真っ白、髪は後れ毛の一本もない、というテレビの時代劇を一方の極とすると、この映画はその対極にある。舗装してない道路を足袋に草履で歩くとどうなるか。当然真っ黒である。そのまま座敷に上がったりしたら、ざらざらだろう。そういう生活のディテイルがきちんと表現されているのが、新鮮だった。 ラスト近く、宮沢りえが、果し合いに赴く真田広之に呼びだれて、急いで座敷に上がるシーン。あがる瞬間にさっと足袋の裏を手ではたくのである。ほんの一挙動だが、日常の生活の裏打ちのある動作で、リアルさに感心した。 真田広之は、アップに耐えうる、いい役者になったものである。どうしたっていい人に見えるので、『陰陽師』の悪役はちょっとつらかったが、これははまり役。宮沢りえも、ただ運命に流されていくのではない、自分の意思を持った女性を好演している。 ナレーションと、ラストシーンに出演の岸恵子は、いくら大女優とはいえ、雰囲気がモダンすぎて、あまりむかしの女性という感じがしないのだが、彼女を使った理由はなんなんだろう。 中村梅雀がワンシーンだけの出演で、ずいぶんもったいない使い方だったが、さすがにうまい。同じシーンに出てくる家老が露骨に悪相だったのには、若干興ざめだった。 自分が殺しに行った相手と、貧乏話で意気投合するのがおかしくもあり、切なくもあり。 [映画館(邦画)] 7点(2007-08-19 23:37:16)(良:1票) |
30. マラソン(2005)
チョ・スンウの演技のすばらしさは、まず最初に言っておかなければならないだろう。わたしは、身近に自閉症の人や知的障害を持った人と接したことはないので、ほんとうにそれらしいのか、ということは断言できないのだが、ほかの映画の少しクールな印象のチョ・スンウとは、まるで別人だったということは、はっきりいえる。 母親役のキム・ミスクもほとんどノーメイクで、生活感がよく出ていた。まあ、生まれついた美貌はそれでも隠せないが。息子のために必死で生きていながら、孤独にさいなまれている様子がひしひしと感じられたのはさすが。 雨が降りしきる中、幼い息子の手をかざし、ふたりともびしょぬれになりながら、「雨がざーざー降ります」という言葉と、手のひらに受ける雨の感覚とを結び付けようとする母。『奇跡の人』かよ、と思ったのだが、その後何度も出てくる、手のひらに雨を受ける、手のひらに風を受けるシーンを見ると、言葉を使うことによって、社会の側に障害のある子を引き寄せる、という以上の意味があることがわかる。 「がんばる障害者」をほめたたえる、みたいなのは好きじゃないのだが、そういう「美談」が持つ臭さを、母親のエゴを描くことによって、うまく回避している。音楽がちょっと狙いすぎのような気もしたが、まあ「感動作」には違いないんで、そのへんはしょうがないかな。 人にものをあげる、もらう、というやり取りの中で、相手との距離や好意を計る、という、この社会のお約束の外にいる主人公。決して他人から食べ物をもらわない、という母親のしつけが痛々しい。それだけに、主人公の練習に伴走して、いっしょに倒れこんだコーチに、水をわたす、という行動が、大きな意味を持つのである。 映画というのは、登場人物の心情を言葉以外の方法で見せるものだ。言葉で心情を表現することがむずかしい主人公だからこそ、走る主人公の目から見た、すぎさっていく風景を輝かしく描くことで、彼の喜びが伝わってくることこそが、この映画の最大の成功だと思う。 ラスト近くのファンタジックなシーンは、『ビッグフィッシュ』のラストを彷彿とさせた。全体に笑いも多く、歓喜を描いて終わる映画である。泣けるシーンもあるのだが、それを期待していくと、肩透かしかもしれない。 脇もみなよかったが、弟役のペク・ソンヒョンのみずみずしい演技が印象的だった。 [映画館(字幕)] 8点(2007-08-19 23:33:53) |
31. 純愛中毒
《ネタバレ》 決して退屈な映画ではないし、俳優の演技もよかったのだが、なんとも納得いかないのが「世間」との関わりがまったく描かれていないこと。 兄の死後、弟が兄嫁といっしょになる、というのは、韓国社会では道徳的な非難は免れないと思うのだが、その部分はまったく切り捨て。兄は家具作家としてそこそこ名のある人物のようだし、弟のほうも、カーレーサーで、世間的に無名の人物ではないようなのだが、兄の死後、それまでまったく別の職業についていた弟が、兄とそっくりの作品で展示会をやるという不思議に対して、なんの反応もないのである。 親類縁者、友人はまったく出てこない。彼ら3人の世界に割り込んでくるのは、弟を慕っていた女性だけで、彼女も弟との愛しか眼中になく、「世間」の役割は果たしてない。ドラマだと、そのネタで20話くらいは簡単にひっぱれそうだけどなー、なんて思うのは、わたしが韓国ドラマを見すぎなのか。 メイクなどの助けをまったく借りず、別の人物を表現するというのは、俳優にとって腕の見せ所だと思うが、イ・ビョンホンはらくらく合格。色男なだけじゃなく、うまいねー。イ・ミヨンは前半の幸せいっぱいの表情と、後半のすがりつくような瞳の対照が印象的。イ・オルの包容力の表現もすばらしかったし、俳優陣がいいだけに、設定の甘さがつらい。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-19 23:31:03) |
32. CODE46
《ネタバレ》 上海を舞台にした映像は美しく、ティム・ロビンスもかっこいい中年振りをご披露している。音楽もよい。だが、アジアと近未来というと、どうしたって『ブレードランナー』を思い出してしまうわけで、映像にあれほどの破壊力はなく、ただきれいなだけ。 出張先で、若い女の子をツマミ食いしたオヤジが、DNA という言い訳を見出して暴走、なんていっちゃ、ミもフタもないな。 妻と子への愛情たっぷりのシーンは何度も出てくるのだが、家族を捨てて恋人と逃避行に走る以前に、葛藤はまったく描かれない。パペル(滞在許可証というかパスポートというか、この映画の中の重要な設定)の期限が迫っているのは本人もわかっているはずなのに、それ以前は時計を気にする風もなく、切れちゃったの? あっそう? みたいな対応も拍子抜け。そもそも、最初から、犯罪を犯している相手をかばうために、罪もない他人になすりつけて平然としてるし。 遺伝子的一致による許されない愛、というSF的なテーマと、既婚者の恋愛という十年一日なテーマがうまくかみあってないのが残念でした。 しかし、これほど医療技術が発達していて、完璧な避妊技術はないのかね? 性行為じゃなくて、生殖が問題なわけでしょ? などといってしまうと、この映画自体がなりたたなくなってしまうが。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-19 23:27:21) |
33. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 重い、後味悪い、と、どこを見ても書いてある。確かにそのとおり。だが、わたしにはそれ以上に、画面を支配している静かな緊張感が印象に残った。ダレ場がなく、全編かっちりとまとまっている。 もちろん、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンと、演技者としての評価が定まった主役級の俳優を3人もすえ、ワキも芸達者ぞろいときては、だらだらした映画にはなりようがない。また、派手なカメラワークがなく、ミドルショットが多用されていること、外は明るく、家の中は薄暗いという、自然な感じの照明が、その印象を強めているのかもしれない。 種明かしは、ティム・ロビンスとケヴィン・ベーコンが解説しているボーナス映像の中にあった。彼らの解説があまりにおもしろかったので、つい同じ映画を2度も続けてみてしまったのだが、その中で繰り返し語られているのは、イーストウッド映画では、撮影はテイク1で終わり。テイク2までいけば、ぜいたくだ、ということなのだ。もちろん、俳優、スタッフの技量、また監督の彼らへの信頼感がなければ、できないことである。映画本来の力にあふれた映画が、そのような舞台演劇的とも言える手法で作られているというのは、実に興味深い話だ。 で、ストーリーのほうなのだが、主人公3人のそれぞれの夫婦関係の対比がおもしろかった。映画から教訓を読み取るのはばかばかしいが、怪しい見知らぬおじさんにはウソをついてもかまわないが、長年連れ添った妻には、やっぱりウソつくのはまずいでしょ、という話。 ティム・ロビンスの妻は、自分の夫を信じられず、自分自身の心の重荷に耐えかねて、よりによって一番しゃべってはならない相手に、その疑いをしゃべってしまう。ひどい女房だ、ではなく、それ以前の結婚生活の中で、夫が撒き散らした小さなウソが、彼女をむしばんでいたのだろう。そして、どうでもいいことでも、とりあえずウソをついてしまう習性が、子供のころ、ふたりの友達はウソをついて難を逃れたのに、自分だけ正直に話して、性的虐待という最悪の結果を招いてしまった経験によるのだから、確かに救われない話だ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 23:25:45) |
34. 英語完全征服
完全にマンガ、というか、実際にアニメとの合成シーンもちょこちょこ出てくるのだが、勢いのある少女マンガみたいで、けっこう好きだなー、これ。 イ・ナヨンのコメディ演技もいいし、チャン・ヒョクの軽いにーちゃんぶりも、実によく似合っていた。ケンカするときは、女の子でも、やっぱりパッチギらしい。 アメリカ人の先生が、まだ韓国語がヘタでパンマル(ぞんざいな言葉)しか話せないのだが、きれいな若い女性が、まったく場違いな乱暴な言葉を使うおかしさとか、韓国語なまりまくりのおじさんが、丁寧語を方言で指導しちゃうおかしさ、かわいらしさが、字幕じゃちょっと伝わらないかなー。「言葉は人格なんだからていねいな言葉を学びなさい」というのは、アホなシーンの連続の中で、とても感じが良かった。このへんが、ラストの告白シーンにもつながるわけよね。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-17 22:42:34) |
35. 幸せのちから
いつおもしろくなるんだろう、と待っていたら、終わってしまいました。 ウィル・スミスは熱演だし、子供もかわいいが、どうして感情移入できなかったのかなぁ。 医療機器を売っていたときはだめだったのに、証券会社に入ったら頭角を現した理由が見えない。ルービックキューブを解ける人はたくさんいるし、寸暇を惜しんで仕事したり、ピンチのときでも機転と愛嬌で切り抜ける人も別に珍しくないだろう。細かい描写はあるのだが、「なぜ彼は人と違うのか」という点は、最後までわからずじまい。 それにしても、大都会でそう何度も自分の機械を持ち逃げした人間と出会うかね? 全力疾走するシーンを作るため、という感じ。 [DVD(字幕)] 4点(2007-08-09 20:52:00) |
36. レミーのおいしいレストラン
息子二人を連れて見に行く。 映像的には、なにもいうことはないんだが、脚本はかなりアラがあり、おとなの鑑賞にたえるかというと、びみょーなラインだよなぁ。 ネズミの世界に対して、人間の世界が薄っぺらい。レミーの相棒であるリングイニが、絵的にもキャラクター的にも魅力がない。とってつけたような恋愛話などなど。 子供達は、とりあえず喜んで見ていたし、たいくつするほど悪くはなく、夏休みの家族映画としては、及第点といったところか。 [映画館(字幕)] 6点(2007-08-02 09:50:33) |
37. オレンジカウンティ
リリー・トムリン(進路指導員)、キャサリン・オハラ(主人公の母)、ジョン・リスゴー(父)、ケヴィン・クライン(あこがれの小説家/大学教授)など、助演陣がとにかく豪華。リリー・トムリンって、60をはるかに超えているはずだが、むかしからこういう骨ばった感じだったから、年取ってもそんなに印象がかわらないよな。フットワークの軽さはさすが。 ジャック・ブラックの怪演に拍手、といいたいのだが、ロクデナシぶりがあまりに真に迫っていて、笑えなかった。とにかく、パンツ一丁でうろうろするのはやめてー、という感じ。 ストーリーは「青い鳥 青春編」といってしまえば終わりなのだが、コリン・ハンクスの希望を次々と打ち砕く家族のとっぴな行動の数々に、次はなにをするやら、と、げんなり。スタンフォードに舞台を移した後半に比べて、前半はもたもたしていた印象。 スカイラー・フィスクは、度の超えた動物好きの描写があっても、全体に誠実な印象が消えず、好演だったと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:36:53)(良:1票) |
38. ナッシング・トゥ・ルーズ
ティム・ロビンスとマーティン・ローレンスの芸達者ぶりが見所。あははと笑って楽しめばよく、ごちゃごちゃいってもしょうがないので、下記は蛇足だが。 小心者ほどキレるとヤバイ、というか、小心者だからこそ歯止めがきかなくなり暴走してしまう、というのを、ティム・ロビンスが楽しそうに演じている。最初の車の暴走にはじまって、そこまでやるか、の連続。しかも、悪漢にライフルをのど元につきつけられても平然としてるのに、その直後、相棒が撃った流れ弾にあたり、かすり傷を負うと、ひーひーと泣かんばかりの大騒ぎ。豹変振りがおかしい。 マーティン・ローレンスのほうも、ホールドアップするような人間だから、さぞすさんだ暮らしをしているのかと思いきや、家に行ってみると、貧しいながらも居心地よくしつらえられた部屋、しっかり者の妻、かわいい子供たち、ついでに、息子をすぐにひっぱたく肝っ玉かあちゃん、とぞろぞろ出てくる。 このあたりから、映画は前半のドタバタから人情話に変わってくるのだが、手堅くまとめた、という感じ。いくらでも社会派になりそうなネタだが、その部分は徹底的に切り捨てて、コメディに徹したのが、まとまった理由でもあるだろうし、小粒に終わった理由でもあるのだろう。 踊る警備員は監督だそうだ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-07-27 18:35:24)(良:2票) |
39. 星に想いを
1994年の映画で、メグ・ライアンが主演、さらにこのクサイ邦題、とくれば、見なくても内容はわかりそうなもんである。だが、ティム・ロビンス強化中なので、やっぱり見る。 舞台は1950年代前半で、映像もまた、そのころの映画をほうふつとさせる。ぺったりとなにもかも均等に照らし出す照明、花は咲き乱れ、芝生は緑、プラネタリウム真っ青の星空、まるで書割である。そしてヒロインはブロンドで、世間知らずでキュート。 ティム・ロビンスの立派なオデコについ目を奪われてしまうが、それ以上におもしろかったのが、アインシュタインに扮したウォルター・マッソー。往年の名脇役で、けっこう強面のイメージがあったのだが、この映画では、とぼけた味がとてもいい。実在の人物はアインシュタインだけでなく、アイゼンハワーのそっくりさんまで出てきて、「ソ連に対抗するために、宇宙船の開発を!」とくる。繁栄のただなかにある、能天気なアメリカの50年代は、また冷戦の時代でもあったことを、ちらりと見せるのが隠し味である。 しかし、メグ・ライアンはやっぱり優秀な数学者には見えないよな。頭脳と美貌は両立しない、なんて俗説に毒されてるのかしらん。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:33:44) |
40. スクール・オブ・ロック
《ネタバレ》 ジャック・ブラックの暑苦しさ全開。息子たちといっしょに見たのだが、とくに高校生に大うけであった。 ストーリーは予定調和的に進んでいき、予想を裏切る展開はほとんどない。だが、見ていてとても楽しい。いっしょに歌いたくなる。 ロックが好きだというだけがとりえ?で、人格的にも経済的にも破綻寸前という男が、ニセ教師になると、なぜか子供たちの自尊心をきちんと尊重して、ロックバンドという目的のために、クラス全員が夢中になり、自分から動くように、うまく誘導していく。もちろん全員がバンドのメンバーになれるわけはないから、裏方の仕事に回る子供も出てくるのだが、スタッフあってこそのバンド、ということを何度も強調して、それぞれの実力を引き出していく。いくら子供相手とはいえ、これだけ対人関係をコントロールできる人間が、こんなダメダメな境遇にいるわけないだろう、と思うのだが、これはほら、『ギャラクシー・クエスト』のロック版なんだよね。現実的なことにはまったく役に立たないオタクでも、それなりの場を与えれば、ちゃんと人並み以上のことができるんだよ、という。 ジョーン・キューザックの校長先生がキュートだった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-07-27 18:32:07)(良:1票) |