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21.  ファミリー・ツリー
複雑な心境に揺れ動く主人公を、ジョージ・クルーニーが力まず見事に演技しています。原題は「The Descendants」つまり「子孫たち」です。同名の小説に基づいた映画で、裕福な一族の末裔が、様々な問題を抱えながら等身大の生き方を選び、人との絆を再構築していく姿が感動的でした。ハワイの美しい自然を背景に、事故・不信・拒絶・絶望・妬み・不倫・憎しみなど、たたみかける人生の試練をイヤミ無く描き、「あなたならどうする?」とさりげなく視聴者に問うスタンスが見事です。
[映画館(字幕)] 8点(2012-06-09 00:41:22)
22.  メン・イン・ブラック 《ネタバレ》 
「Size Doesn't Matter」というダブル・ミーニングのテーマをコミカルに演じた作品として、非常に好感が持てる。多少グロな部分はあるが、有名人をギャグで笑い飛ばすユーモアには余裕が感じられる。エンディングのズームアウェイ画像が映画の全てを物語っており、宇宙の真理に迫るとも思われる秀逸な仕上げ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2012-05-27 21:42:37)
23.  K-20 怪人二十面相・伝
マトリックスやスパイダーマン、ヴェンデッタなど、斬新との評価を得た洋画のエッセンスを上手くコピーし取り込んだ秀逸な作品。日本のコピー技術はこうあるべき! ニコラ・テスラの肖像写真から始まり、スチームパンク風の世界観の中にテスラコイルを位置づけ発展させていく展開が面白い。「もし彼の技術が完成していたら・・・」は、もし「太平洋戦争が無かったならば・・・」と同期している。パラレルワールドでこんな世界が実在してもおかしくないと思わせるような、不思議な映像体験だ。 邦画特有の謙虚なウィットの中で展開される演出には好感が持てる。キャスティングも素晴らしく、それに十分に応えた役者陣の好演に拍手喝采! ちょっと甘いかもですが、久々に観た邦画の中でダントツの出来なので、最高点を献上!(^_-)-☆
[地上波(邦画)] 10点(2012-05-11 18:40:07)
24.  第9地区 《ネタバレ》 
低予算ながらロケも工夫し、VFXもそこそこ。興行的にも成功して上手いとは思いますが、内容があまりに希薄。人種や階層の差別を宇宙人に置き換えて表現したかったなら、ドンパチの連続ではなく、もっとダイアログが描写されるべき。 予告を観て、アーサー・C・クラークの「地球幼年期の終わり」のような壮大なテーマがあることを期待していた自分がバカでした。 あと、映像がエグいです。美しい映像ではなく、記憶から消し去りたいようなものばかり。肉片が飛び散ったり手足がもぎ取られたり・・・( ̄Д ̄;; こういうのを娯楽映画というのでしょうか? もう二度と観たくないイヤ~な感触は「娯楽」とは言えないような・・・(;^_^A いえ、決して批判している訳ではなく、監督のチャレンジ精神と制作陣の技量や努力には敬服いたします、ピリオ~ド。(^○^)
[DVD(字幕)] 4点(2012-02-29 17:04:59)(良:1票)
25.  マージン・コール 《ネタバレ》 
リーマンショックのような状況設定で、巨大組織の利権や人間操作を描いた作品。サブプライムローンやCDSを意味しているような会話もありますが、現実はどうだったかということより、雰囲気を楽しむ映画だと思います。特にCEOの存在感がうまく表現されており、権力と金を武器に部下に無理やりやらせてしまう「いやらしさ」を堪能できました。人をこれくらい使えなければトップには居座れないのだと・・・ 数時間ごとに会議を繰り返しながら徹夜で策を練るあたりは、翌朝までに解決策を見つけなければならないSEの仕事と共通した部分があり、そのプレッシャーや空が白む頃の脱力感などには、とても共感しました。 キャスティングも豪華で、それぞれの役者が、他作品とは少し違った持ち味を十分に出しているあたりが良かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2012-02-28 09:13:19)(良:1票)
26.  ラスベガスをぶっつぶせ 《ネタバレ》 
とても楽しめました。ボストンとラスベガスという、両極端な雰囲気の対比も面白いです。 実話をベースに、映画「ソーシャルネットワーク」の原作本を執筆したベン・メズリック氏の同名小説を映画化したものです。 メズリック氏は、事実を多少曲げても大衆ウケするプロットにするのが得意なようです。(;^_^A カード・カウンティング(http://en.wikipedia.org/wiki/Card_counting)という方法を使えば、確率的にプレイヤーが有利になるというのがネタですが、共謀したり補助デバイスを使わなければ、米国では今でも黙認されているようです。カウンティングが出来るプレイヤーによるカジノのロスは十分に小さいということですね。 主演のジム・スタージェスが、若い頃のスティーブ・ジョブズ氏にとても似た風貌です。目的を達成するために、自分の才能を信じ、人を操り、挫折し、再起する・・・ そんな生き方をジョブズ氏に重ねながら鑑賞していたのが気に入った理由なのかも知れません。
[DVD(字幕)] 8点(2012-01-08 18:44:18)
27.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
猿の動きと表情は見事! YouTubeのメイキング映像で、映画アバターで採用されたパフォーマンスキャプチャーの技術を大々的に使ったと知って納得。反面、人間および猿の心理描写が表面的で、ストーリー展開にも荒さが目立ったのが惜しい。人間の子供を凌駕するレベルになった猿の知性の凄さや、人間同士の争いや醜さなどがもっと丁寧に描かれても良かったはず。これでは「猿が人間に失望して反旗を翻した」という根本の部分が揺らいでしまうので最後まで納得できず、違和感が残ってしまった。むしろ予告編の方が、その部分を上手く表現していた。
[映画館(字幕)] 6点(2011-10-22 11:10:49)
28.  ウォール・ストリート 《ネタバレ》 
う~ん、ビミョ~・・・ 「ウォールストリート」とは全く関係ない内容なので、金融界のギラギラ裏舞台を期待している人は観ない方がいいでしょう。主役としては絶対不向きだと思っていた小便小僧みたいなシャイア・ラブーフが、逆に妙にハマっていた。 ただひとつの見所は、金融界の首脳陣が集まってのテレコン。迫力十分で、男臭さがムンムン・・・ できればこの路線で行って欲しかった。リーマンショックを背景に、金融核兵器と呼ばれるCDSの流行、投資銀行のバランスを欠いたポートフォリオ、グリーンスパンの失策やサブプライムローンの崩壊などなど、ドラマチックなネタはごまんとあるのに、あえてこんなつまらない、どこにでもありそうな夫婦&父娘の愛情ドラマにしてしまった意図は何か・・・????? ただし序盤でのゴードン・ゲッコーのスピーチは最高! 前作ほどの毒気は無いが、ユーモアで物事の本質を突く切れ味が見事!
[映画館(字幕)] 5点(2011-02-07 15:01:13)
29.  ベスト・キッド(2010) 《ネタバレ》 
期待を遙かに上回った久々の秀作。何といってもカメラワークが美しい。中国の町並みや自然をバックに、異国の生活と時間が子供の目線で描かれており、観客を子供時代の思い出にタイムスリップさせる。限りなくアメリカンな感性と父親を彷彿とさせる柔軟な身体能力など、ジェイデン・スミスの魅力が炸裂! あと、天然なお母さんや、ジャッキーチェン演じる渋い管理人、そして1万人からオーディション選別されたという対戦相手も、すべてがハマリ役。平凡な動作の繰り返しが実は基本の習得であったことを悟らせるシーンや、車のヘッドライトに浮かび上がる二人のシルエットなど、映像的にも見所が満載。 それにしても、中国の子供たちのカンフー能力たるや恐るべし。誰もが自身をブルースリーと思い込んでいる!
[DVD(字幕)] 9点(2011-02-02 10:14:26)
30.  ソーシャル・ネットワーク 《ネタバレ》 
原作はベン・メズリック氏の著作「The Accidental Billionaires」で、天才オタクがITを武器に既成概念や人気者や女友達を見返すという既に陳腐化したシナリオに、事実を無理やり当てはめようとした駄作。ロバート・クリンジリー氏の「Accidental Empires」を意識しすぎか? 事実は二の次で、つまらない部分にはセックスを入れるいう、大衆受けを狙ったソープドラマのような薄っぺらい作品になっている。 主題は何か? サイトのアイデアに関する訴訟問題なのか? FriendsterやMySpaceを追い越したFacebook急成長のヒミツなのか? ハイテク企業にありがちな急成長に伴う内乱なのか?・・・ これだけヒストリカルな史実を扱いながら、何一つ真正面から取り組んでおらず、映画を面白く見せようとするだけの大衆ネタになり下がっている。主人公のマークだけでなく、Facebook成長の鍵となったであろうナップスター創業者のショーンさえも「変人」として描かれている部分などは、ある種の偏見すら感じる。 まずシナリオありきで、そこに事実をねじ曲げて当てはめようとするものだから、あちこちに「きしみ」が出ている。冒頭のガールフレンドとのブレークアップ・シーンも限りなく不自然で、それを理由に顔写真サイトを立ち上げたなどは、事実と異なるどころか主人公の創造性に対する侮辱とも言いたくなる。訴訟の争点や東海岸と西海岸のカルチャーの違いなどはもっとクローズアップされるべきで、逆にビルゲイツが招待講演で Altair 8800 の昔話をするシーンなどは全く不要。本作が完全なフィクションであれば単なる駄作として片付けられるが、実在の企業と起業家を題材にしているから始末が悪い。 ただ一点、大柄なウィンクルボス兄弟の子供じみた言動をハーバードの学長が諭すシーンには大笑い!
[映画館(字幕)] 4点(2011-01-31 11:52:45)
31.  バーレスク
久々に満足のいくミュージカル映画を観た。ミュージカルには「見せるシーン」と「聴かせるシーン」が必須。それに観客が酔い痺れるからこそ、役者と一緒に映画の中のストーリーを体感できる。音楽に合わせて台詞を言うなどの従来の慣習を完全に無視し、冒頭のミュージック・パフォーマンスで観客の度肝を抜く。クラシックなセッティングを上手く活用し、小手先の編集テクニックに頼った最近の作品を嘲笑うかのように、ミュージカル映画を現代に蘇らせる秀逸な作品だ。
[映画館(字幕)] 9点(2011-01-01 19:33:14)(良:1票)
32.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 
「島に隠された秘密」なんて全然関係ない、期待とは全く異なる展開です。予告詐欺&制作側の自己満足映画です。設定をいろいろこねくりまわし作品の意義を捻出しようとしているあたりが、ビューワー無視でオタク文化の日本映画と通じるところがあります。背景をCGで合成している部分は非常に素人っぽい仕上がりで、幻滅してしまいます。途中で、いや、こんな結末であるはずはない・・・と思いながらひたすら観続けるも、イライラして早送り。結局、それで終わってしまった。(涙) 2時間18分を無駄にしたという感じですが、DVDの予告編で面白そうな映画の情報が得られたので良しとしましょう。本来は0点ですが、美少年から脱却して見事な演技派俳優に成長したディカプリオに敬意を表して、3点を献上!
[DVD(字幕)] 3点(2010-10-22 19:41:57)
33.  噂のアゲメンに恋をした!
ここでの不評ぶりをみて鑑賞をためらったが、観て正解だった。結構、面白い。アメリカのジョークは日本人には下品とうつるかも知れないが、ドライに笑い飛ばすのがミソ。登場人物もバラエティー豊かで、それぞれに人間味がある。コメントから、身勝手なプレイボーイと想像していた主人公、実は真面目で純情なあたりが微笑ましい。少しでも平均点が上がるよう、祈りを込めて9点!
[DVD(字幕)] 9点(2010-07-23 15:45:52)(良:1票)
34.  アバター(2009)
立体視による埋没効果を云々する前に、映画の制作方法において、エポックメイキングな作品であると思う。モーションキャプチャした俳優の動きや表情が、3D-CG で構築されたパンドラの世界にリアルタイムで投影されるという撮影現場は巨大なVR環境で、それ自体が現代最高峰のゲームマシンとも言える。  俳優の動きによって生命を吹き込まれるナヴィ人たちは、映画のプロットにおけるアバターそのもので、仮想世界でのシーンに合わせ動きを自在に調整しながら演技できる。個別のテクノロジーは目新しくないものの、全てをこの次元で組み合わせひとつの作品にまとめ上げた力量には頭が下がる。  ジェームズ・キャメロンは、他の作品同様、技術の限界を非常によく心得ている。俳優を排除した全編CGなどの作品に手を染めることはせず、この作品ではまず俳優とCGをシームレスに接続した。俳優はもはや容姿などの物理的制約から解放され、動きや表情や声や間合いのみで評価される時代の到来をも予感させる。  3D-CG を乱用した薄っぺらな合成 VFX に飽き飽きし始めた視聴者にとって、リアルとバーチャルのそれぞれの強みを見事に融合した本作品は、高い芸術性を感じさせる新鮮な映像体験だった。1950年代から何度も制作されては失敗してきた立体視映画が、やっと成熟してきた他の技術と融合された結果、単なる珍しさを超え初めて大衆に受け入れられたと言える。 3D-CG との混同を避けるためあえて立体視と呼ぶが、立体視でなくとも十二分に楽しめる作品に仕上がっている。
[映画館(字幕)] 9点(2010-01-02 12:59:47)
35.  ガタカ
芸術的な近未来の映像と流麗な音楽に心酔。For whatever it's worth..., I'm here to tell you that it is possible. と諭す主人公の言葉がすべてを物語っています。現実を見つめ自身の限界を超えようとする主人公に対して、過去の栄光に囚われたまま不運を呪う「もと」エリート。クールな取引で出会ったふたりの関係が、次第に尊敬と友情に発展していく様が見事です。自身の不運を呪うのではなく素直に受け入れること、そんな人生についての示唆に富んだ作品となっています。ジュード・ロウがタバコを吸うシーンが妙に美しく、ユマ・サーマンの、後の作品では見られないゴージャスな美しさも魅力です。
[DVD(字幕)] 10点(2009-11-04 06:45:09)
36.  スターリングラード(2001) 《ネタバレ》 
ジュード・ロウ vs. エド・ハリス・・・ ふたりのストイックな魅力が炸裂している作品。カッコいいです!
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-04 06:10:58)
37.  グラディエーター 《ネタバレ》 
マキシマスの迫力を見事に演じたラッセル・クロウ、コンモドゥスの卑屈な強さとシスター・コンプレックスを巧妙に演技したホアキン・フェニックス、ルッシラの高貴な美しさをそのまま体現したコニー・ニールセン・・・ その他の配役も、子役に至るまで、見事にハマっています。冒頭のシステマチックなローマ軍 vs. 根性だけの相手軍・・・ 最初から勝敗を示唆しているような雰囲気づくりが見事です。兵士たちに信頼の視線を送るマキシマスに痺れました。美しい音楽をバックに、とにかく、最初から最後までいいです!
[DVD(字幕)] 10点(2009-11-04 05:55:26)
38.  スルース(2007) 《ネタバレ》 
予告の音楽とジュードロウ主演ということに惹かれてレンタルしましたが、割とおもしろかったです。予想外なストーリー展開と、いつ登場するか期待ハラハラの「謎の奥様」が、この作品の魅力という気がします。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-04 05:39:46)
39.  僕の彼女はサイボーグ 《ネタバレ》 
この作品をSFと位置づけるなら、まさにSF映画のお手本級。CGやワイヤー技術に頼り「見せるだけ」の作品が多い中、当作品では人の心がきっちりと描かれています。  タイムパラドックスが云々、時代描写が云々、などの批判もありますが、SFの架空設定やCGは所詮作り物。無理にリアルに見せるのではなく、逆に想像力をかき立てるための道具として利用している点に、監督の映画手腕を感じます。ドキュメンタリーではないのですから、たとえ昭和三十年代に見えようが「懐かしい子供時代」を十二分に連想させる映像にも納得です。  別れた後に再会して何となくハッピーエンドかと思いきや、その後に2度も予想外の出来事が起こります。ここぞとばかりにCGを駆使した災害描写は、誇張が誇張と思えないほど綿密に計算され、無駄がありません。まだ続くの?と思わせるそのあとの展開では、最初からずうっと感じていた疑問を紐解いていき、最後は暖かい気持ちで包まれる・・・うまい作りです。  表情と動きが注目される難しい役柄を、見事に演じきった綾瀬はるかさんに乾杯!
[DVD(邦画)] 9点(2009-10-02 14:52:11)
40.  プライド(2008) 《ネタバレ》 
異質のもの同士を激しくぶつけると、これほどにまで鮮烈で不思議な魅力が生まれるものなのか。平凡なドラマ仕立ての作品と思いきや、途中からぐんぐん引き込まれていく。未熟な演技でしらける部分も多いが、役者の歌唱力と一条ゆかりによる強烈な筋書きが新鮮だ。  満島ひかりの典型的なアクターズスクール・ボイスと、単独では個性に欠ける正統派ステファニーのクリアーな声質が、互いに引き立て溶け合っていく「A Song for You」のデュエットには鳥肌が立つ。ふたりとも音程がしっかりしていて、安心して聴ける。  最後のステージは、まるでミュージカル作品の1シーンを観ているよう。ルックスのアンバランス感も含め、現実では絶対にあり得ないデュオ。この作品の中でしか聴けないハーモニーが素晴らしい。  高島礼子の名ママ役と、渡辺大の自然な演技にも拍手!
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-15 09:31:27)
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