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プロフィール
コメント数 92
性別 男性
自己紹介 基本的に点数が甘めになりがち。
あまりジャンルに好き嫌いはありませんが、やはり娯楽映画が好きです。
密度の濃い映画が好みですね。

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21.  アサシン クリード 《ネタバレ》 
久々にひどい映画を観た。役者は主役脇役共に中々に豪華。スタッフの顔ぶれを見ても映画ファンなら見たこともある名前がちらほら。金もかかってそうだし映像やアクションもそれなりに作っているのに恐ろしいくらいつまらない。  90分以下の映画の内容を引き伸ばして見せられているような感覚が続き、思わせぶりなセリフやアクションの決めポーズにすら段々とイラついてくるのが自分で分かってくる。ゲームの方は以前プレイしたことがあるが経験者に「で、こいつら何やってるんだ?」と思わせたら終わりでしょう。ストーリーが進んでいるのかもよく分からず終盤には「早く終わってくれ」「え?これで終わり?」と観る側に妙な葛藤をもたらす。葛藤は映画のドラマの中で産んでくれ。  こんな妙な作りなら現代のシーンはバッサリ捨てて暗殺者集団のドラマを娯楽活劇として描いた方が全然マシだったのではないだろうか。
[ブルーレイ(字幕)] 2点(2017-09-07 23:09:33)
22.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
原作漫画は未読で年末に観に行った。観終わった後すぐに原作を注文していた。年が明けてから近くの劇場に監督が舞台挨拶に来ると知りまた観に行ってしまった。舞台挨拶なんて地方に住んでいる自分にとっては初めての経験だった。まさかパンフレットにサインまでもらってしまうことになるとは思いもしなかった…。  淡々と紡がれていく日常。しかしテンポは異常な程に良い。すずという少女の虜になった観客は食い入るようにスクリーンを見ることになるだろう。この作品は完成まで7年を要したという。資金不足という面もあっただろうがそれだけの膨大で緻密な調査が行われている。すずという女性をリアルに身近にいるように描くにはどうすればいいか。この一点に監督の力が注がれている。一人の女性の日常をそのように描くことができればその日常を歪にしていく戦争をも描き出すことができる。その信念や姿勢が作品から伝わってくる。  タンポポのように流されるがまま生きてきたすず。絵を描くことが好きで得意の彼女は言葉ではあまり語らず絵で想いを発しているように思える。しかし、戦禍で右手を失った彼女は次第に言葉を紡ぎ始める。そして多くの葛藤の末に自分の居場所を確認する。「やっぱりここへ居らして貰えますか…。」その直前の義姉との和解の瞬間、訪れる閃光に息を吞む。直接的な惨状は描かないが強い印象を残す。「治るよ。治らんとおかしいよ。」妹の腕にできたしみ。それだけで我々には伝わる。終戦の日のすずの怒り。自分たちがいつの間にかなんとか適応してしまっていた戦争が、たった一つのラジオ放送で終わりを告げるようなものだったことを知り憤る。放送が終わった時には涼しい顔をしていた義姉の径子が隠れて失った娘の名を呼び慟哭する姿はとても堪えた。戦争が終わっても日常は続く。白い米が見えんと灯火管制の布をはがした時本当の日常が戻ってくる。たったこれだけの当たり前のことができないのが戦争というもの。日常を丹念に描くことで戦争というものを浮かび上がらせ突きつけてくるのだ。何度も。  この作品を見終わった後に感じたもの。反戦、何気ない日常の大切さはもちろん感じる。だがそれ以上に感じたのは人間というものがなんとも健気で、したたかでしぶとく、そして愛おしいものか。何か知らない行列に並び占領軍の残飯雑炊をすすり「うま~」と思わず口に出してしまうシーンは庶民のたくましさと愛らしさが同居しているシーンだ。その人間たちに命を吹き込んだ声優陣も素晴らしかった。コトリンゴが紡ぎ出す音楽、歌もこれ以上にないくらいこの作品に寄り添っている。彼女の歌とともに描かれるラストの孤児のエピソードに圧倒された。戦争によって失った右手が引き寄せる新たな縁。「どこにでも宿る愛-。」新たな居場所を見つけ出した少女が北條家に何をもたらすか。観客は希望を持ってそれを想像するに違いない。  もちろん原作漫画が傑作であったのは大きかったと思う。しかし、それに惚れ込んで長い時間をかけ作品を育てていった監督やスタッフには敬意払わずにはいられない。アニメーションだからこそ作り出せた人間賛歌。堪能させていただきました。
[映画館(邦画)] 10点(2017-02-11 03:07:22)(良:4票)
23.  狼の死刑宣告 《ネタバレ》 
復讐モノというジャンルは映画の中でも盛り上がるジャンルだ。復讐というものがドラマティックになる要素だし、ケヴィン・ベーコン主演でジェームズ・ワン監督の復讐モノというのが興味を惹いた。  テイストはB級なのだがアクションはなかなか冴えている。ギャングとのチェイスシーンも緊張感があるし駐車場のアクションも「ワイルドスピード」の新作で見たようなアクションが。あ、同じ監督か。なるほどね。終盤の銃撃戦も父親の怒りがぶつけられていくような銃での破壊描写も痛々しくて良い。  「つりあわない」と父親がつぶやく。自分が復讐したことによって息子だけでなくさらに妻も失いもう一人の息子も重体。無能の警察に説教されようが戦争を起こしたのは自分ではない。理不尽に始めたのは奴らだ。だから「つりあわない」のだ。司法では完璧に裁きを下せないことは現実でもある。そういう怒りを抱えた人がいることを知っているからこのジャンルは人気があるのだろう。復讐を遂げる父に対してギャングのリーダーが「俺達と同じだぜ」と言い放つ。もちろんそこまで堕ちる覚悟がなければ復讐なんてできないのだが、姿を似せただけで同じと言われるのも理不尽な話だ。まったく「つりあわない」。  それにしても警察の対応がひどい。ギャングが襲ってくる可能性が高いというのにあの程度の人員配置。しかも彼らが殺されてから「あなたに対しての見張り」と言い放つ。配置された警官を殺したのはお前だ、まったく。さらに家族が犠牲になった主人公に対して説教を始めるとか鬼ですか。一番ひどいのはギャングなのだが本編で一番むかつくのは警察とかひどい話だ。まあ警察が無能で隙だらけだから主人公も復讐を遂げられるとは言える。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-12-18 01:41:02)(良:2票)
24.  君の名は。(2016)
相当遅ればせながらだが鑑賞した。いまだに地方の映画館でもそれなりに席を埋めるのだからたいしたものだ。ちなみに新海作品に触れるのはこれが初めて。  観終わった後元ネタになってそうないくつかの映画が思い浮かんだが、それらの影響があろうと上手くまとめているのは間違いない。物語的には極端なほどのすれ違いのくり返しというラブストーリーの王道だが、この作品が見事なのはやはり若さというものの瑞々しさ、美しさを躍動感たっぷりに描いているというところだろうか。彼に、彼女に会いたい!という一心で走り続けられるエネルギーというものに羨望すら覚える。それを彩るかのような映像美。SF要素も入ったスケールの作品には美しい映像はとても映える。声優陣の演技も良かった。  もちろん突っ込みどころがない訳ではない。強引に感じられる部分だってある。だがいちいち羅列するのも野暮だとも思った。度々流れる歌がちょっとうるせえなとも思ったがこの監督はきっと落ち着いた作品にはしたくなかったのだろう。そしてきっとその狙いは間違っていない。十代の頃に観ていたらこの作品はもしかしたら宝物になっていたかもしれない。ということは多くの若い人たちの宝物になったに違いない。そういう作品がもっともっと増えたらいいと思う。青臭くても一途な想いというものは胸を熱くさせるのです。…こういうことを書いていると老けこんでいきそうなのでこれくらいに…。
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-17 20:11:52)
25.  草原の実験 《ネタバレ》 
冒頭のシーンから何かが起こる作品だと感じ取れる。それも良くないことが。映画が始まってしばらくして台詞のない映画だと気づいた。  台詞はないが可憐な少女がいる。美しい映像がある。父親との暮らしがあり、申し訳程度の恋模様もある。それだけで映画という形になる。それを面白いと思うかどうかがこういう映画は評価が分かれると思うが自分はそんなに退屈せずに観ることができた。穏やかな生活の中に次第に不穏な空気が流れだす。美しい自然の映像の中にそぐわないものが顔を出し始める。そしてラストに起こってはいけないことが起こる。  ラストのインパクトはためにためただけあって効果的。が、少々狙いすぎの感もある。一見してもいい映画ではないかと思うがあくまで一見の映画だとも思った。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2016-12-16 03:01:10)
26.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
ボーンシリーズの新作がやると聞いて喜びがある反面今やる必要性があるのかとも思った。ボーンは三部作で綺麗に終わっている作品であり(レガシー?悪いけど思い出せないな)、新作を作るなら何か新しい要素がいるだろう。基本的にボーンシリーズは彼の過去を探る物語だ。三作目でそれも終えた。ではボーンの新作があるとしたらボーンは何のために戦うのか?  というわけで結局はまた過去をほじくる物語でした。うーん、正直ボーンの過去にはもうそこまで興味はない。個人的には「アイデンティティ」で発覚する「実はCIAが作り出した人間兵器だった」この一点だけで十分。今回ボーンを取り込もうとする女性局員やボーンに恨みを持つエージェント等からは新しいことを試みる姿勢が見えないこともないが、いずれも今作を押し上げるパワーにはなっていない。「スプレマシー」以降も評価が上がっていき、また自分が面白く観たのもストーリーよりもボーンが咄嗟の機転で窮地を打開していくアイディアが秀逸だったからだ。今作もボーンは自分の能力を発揮して行動していくが前シリーズを上回るアイディアはない。焼き直し的な動きも目立つ。新作を作るなら「これは新しいし面白い」というシーンを用意するべきだ。「アルティメイタム」は越えられないと思っても、でも心のどこかで「上回ってほしい」と期待するのが観客なのだから。  作りは想像以上に「ボーン映画」になっていると思う。臨場感のあるカメラワークに細かいカット割り。昨今のアクション映画ではもはや主流ではない撮り方に感じるが、この監督の作風でもあるしボーンといえばこれ!みたいな観念もあるのだろう。普通に観ればそれなりの作品だと思う。でも前三作を越える出来とは思えなかった。ボーンシリーズのファンからすればマット・デイモンとグリーングラスの復帰は朗報だったはずだが「アルティメイタム」からはや9年も経つのにマンネリ感が拭えないのは残念だ。
[映画館(字幕)] 6点(2016-10-08 18:43:03)(良:1票)
27.  アメリカン・サイコ 《ネタバレ》 
当時は若手だった俳優たちが次々と現れる。今こうして観るとなかなか豪華だ。  もっと衝撃的な内容かと思ったが意外と笑えるシーンが多い。名刺バトルに始まり、音楽のうんちくを垂れながら3P撮影、全裸チェーンソー等々。特に名刺バトルは秀逸で名刺のデザインにいちいち敗北感を覚えるところが実に滑稽でいい。  現実味に欠けたシーンも多くどこからどこまでが現実なのか。主人公はところどころで自分が人を殺しているという主旨の発言をしているが誰も気にせず流している。薄っぺらい人間関係の中で生きていて中には名前を勘違いしている人間もいる。要するに彼らは無関心なのだ。主人公ももちろんそうで結局は自分のことしか考えていない。「サイコ」というのは主人公だけのことではなくこの世界に生きている人間のことだと作り手は言いたかったのだろうか。  ラストの締め方が少し弱い気もするが一見の価値はあるかと。クリスチャン・ベイルも熱演している。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-10-03 19:19:04)
28.  グッド・ドクター 禁断のカルテ 《ネタバレ》 
看護師は辛辣だしなんとなく病院に居場所がない研修医。そんな中自分を評価してくれ好意を寄せてくれる女性患者を担当する。彼女が退院した頃から彼のサイコぶりが現れ始める。  「うわあ」と思いながらもサイコぶりは控え目。ただ患者が死んだりするので控え目とは言えないか。彼のサイコぶりは自作自演をした挙句その結果が発覚するのを恐れて必要以上に右往左往するという全て自分の中で納まっていてとても地味。どこにでもいそうな危ない人間を描きたかったのか。もっと恐怖を煽る作品にできそうだが作り手はそこを目指しているのではない雰囲気。  ラストも結局発覚せず日常のままで終わる。こういう人間が日常に溶け込んで生活しているのは恐怖と言えば恐怖なのだろうが、なんとも中途半端な作品という印象しかない。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-09-27 00:17:45)
29.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
公開時見に行こうか迷った作品だが結局観ないまま今まで来てしまった。ずば抜けた嗅覚の持ち主のかなり変な物語で興味がわく題材だ。  前レビューの方も言及されている通り人外のものと見た方がしっくりくる程の異様な主人公。彼の生い立ちから香水作りを始めるくらいまではテンポよく語られ面白い。中盤は少し中だるみを感じた。だが全体的にはきれいにまとまった作品だと思う。終盤は驚かせる展開だが大乱交が行われていても少しもやらしさを感じないのは監督の感覚なのだろうか。女性の裸は殺される娘たちを含めて多く出てくるがきれいではあっても官能的とは感じなかった。題材のわりに意外とまともに作られすぎている感もあり違う監督で観たかった気がしないでもない。  ベン・ウィショーのナイーブそうな顔。変態性、罪の意識の無さ、汚いなりをしていてもどこか浮世ばなれしている感覚はとても良かった。楽しめたがちょっと尺が長いとは思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-09-21 03:08:08)
30.  ファイナル・デッドサーキット 3D 《ネタバレ》 
3Dで観れてないからわからないけど肉片や内臓やらも飛び出して見えたんですかね。飽きてきた感はあるがサクッと観れちゃうから観ちゃった。友達とワイワイ言いながら観るのに適してるしね。  冒頭のサーキットのシーンが一番印象に残ってるかな。やっぱり勢いが違うね。タイヤで頭も吹っ飛ばしちゃうんだから。まさかサーキットに来てる人も真っ二つになったり、ベンチの木片が口を貫いたりするとは思ってなかっただろうなあ。まあそこは回避されちゃうんだけど。でも惨事より耳栓代わりにタンポンを子供の耳に入れるシーンが一番のインパクトだった気がする。今回も「ヒトコロスイッチ」ぶりがすごいんだけどギャグスレスレというかもうギャグだこれ。今さらか。洗車場で車の屋根から頭を出して進んでいくシーンは「ひええ」となりながらもちょっとシュールな絵で笑ってしまう。  今回も助かった人たちはラストでまとめて始末。死に様はCG骸骨でマイルドにしたから許してね。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-09-21 02:18:17)
31.  ファイナル・デッドコースター 《ネタバレ》 
3作目ともなるとさすがに新鮮さはない。結局のところこのシリーズは理不尽に死ぬスプラッターものでありどういう風に登場人物が死んでいくかを楽しむ映画だ。悪趣味と言えば悪趣味なのだが尺も短くサクッと手軽に楽しめるのがこのシリーズの良いところ。  冒頭はジェットコースターで始まるがただでさえ怖い乗り物でさらに死がついてくるなんて最悪だ。一番えぐい死に方は日焼けサロンかな。ああいう長く苦しむ死に方は勘弁。自分が同じ立場だったら即死する死に方でお願いしたい。ホームセンターの釘打ち機で何本も釘が頭を貫いていく死に方もやだなあ。イコライザーなら回避できただろうに。それにしてもこの映画に出てくる施設は危険がいっぱい。老朽化してたり、いろんなものがグラグラしてたり、電化製品を平気で水に近づけたり、死は日常に潜んでいるのだ。みなさん気をつけましょう。  回避した人たちはまとめて電車で始末。死神からは逃れられないのが今作のルールみたいだがそろそろひと工夫欲しい。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-09-21 01:57:37)
32.  インシディアス 第2章 《ネタバレ》 
全作のラストを見せられたら続きを観ない訳にはいかない。ということで間を置かずに観た。  前作から三年の間を置いて作られている作品だが完全に1作目とセットの作品になっている。1作目の謎が今作で解き明かされているシーンもあり、続けて鑑賞したのは正解だったようだ。幽霊の仕業の一言で済ませられるシーンを時間をも超越した形で意味を持たせて来るのはなかなか上手い。 だが終盤では、あれ?この人も「彼方」に来たのか。あ、死んだエリーズもいる。「僕が父さんを迎えに行くよ!」とそんなにみんながホイホイ来られてもなあ。少し笑ってしまう。良くも悪くも家族愛を絡めたハリウッドホラーになっていて安心して観ていられるのだが少し物足りないのも確かだ。  ラスト本当に夫が帰って来たのか半信半疑の表情の妻にピアノを弾いたのは自分だと言うことで信頼させる流れは良い。この作品がドラマにも重点を置いていることが分かる。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-08-23 23:51:30)(良:1票)
33.  インシディアス 《ネタバレ》 
最近はホラーで突出した作品が少ない印象だったが「死霊館」で感心したので同監督の今作を期待して観た。  夫の写真が無いというところから異様な雰囲気。昼間でも霊が走り回ったりなかなか良い感じだ。ゾクッっとくるシーンも何箇所かあるしドラマも丁寧な方で好感が持てた。大筋はすでに指摘されてる方もおられるが、なるほど「ポルターガイスト」だ。霊能力者たちの協力を拒んだ後息子が描いた壁に貼られた絵を観て翻すシーンは怖くもあるが心の動きが台詞なしできちんと描かれていて良いシーンだと思う。終盤、霊と格闘し始めるところはちょっと笑ってしまうが、あのダークファンタジー的世界観はこの作品の毛色から外れてるとも思わないしすんなり受け入れてしまった。  展開が予想できない作品ではないし既視感もあるのだが作りが上手いので楽しめる。音で怖がらせるタイプの映画であることがちと気になるが…。まああのラストを見せられたら続編を観ない訳にはいかないな。全然関係ないがバーバラ・ハーシーで霊的な映画ということで「エンティティー 霊体」が頭に浮かんできた。もう地上波では放送できないだろうなあ。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-08-22 02:44:03)(良:1票)
34.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
動物園での田宮良子とのやり取りと市役所の掃討作戦を交互に描写し一気に見せたのは良かった。尺の節約にもなる。  今回褒められるのはそこくらいか。4点くらいにしようかと思ったが深津絵里の演技も良かったので5点にした。原作の重要なイベントを全て入れようという努力は買う。だが市役所で後藤が特殊部隊を圧倒する描写を丸々切り捨てたのはどうか。尺の問題か。製作費の問題か。いつもの邦画の言い訳のように感じてやはり寂しい。村野とのラブシーンは原作にもあるがあの流れなら不要だろう。唐突だし後藤と戦ったところからそんなに離れていないであろう場所で乳繰り合っとる場合か。映画では主人公が浦上と面識がないのでラストシーンもあまり効果的ではない。村野を助け出してからラストまでの絵も完全に原作に負けている。言葉は十分過ぎるほどあるのに絵が足りてないという邦画の印象をこういう作品でこそ覆して欲しかった。  勉強の休憩中にミギーから別れを告げられるのもなんだか締まらないなあという印象。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-08-16 03:40:11)
35.  寄生獣 《ネタバレ》 
原作漫画を所持しているファンである。上手く映画化すれば傑作になる!と昔から期待していた作品ではあるが、原作の出来が良ければ良いほど逆に傑作は生まれにくいとも思えてきた昨今。だからあまり期待せずに観たというのが本当のところ。  意外とそれなりに観られる。原作からカットしたところや改変したところはあるがあまり違和感なく物語になっていると思えた。原作の設定が秀逸だからとも言えなくもないが上手いこと処理している方ではないだろうか。 ただ褒められるのもそこくらいで後の要素は平凡な出来とも言える。パラサイトたちの演技が感情を殺したような演技が多くなるから、対比としてのアクションシーンはもう少しメリハリがあってもいい。ラストのAとの対決はそれが多少はできているし頑張っているが香港映画のようなアクロバティックな動きはいらなかったように思う。最小限の動きで攻撃をかわし標的に接近していく方が説得力があるしこの作品には合っている。  あとは原作ファンから見て気になった細かいところ。 ・母子家庭にしたことは物語上ではそこまで支障はないのだがやはり母を失った後の生活が気になってしまう。蓄えがあるからと言ってもそこまで裕福には見えないしパラサイトの脅威よりもある意味心配になってしまう。 ・ミギーの声はもうちょっと無機質寄りでもいい。まあ声は慣れるのだがCGの動きが少し芝居がかりすぎだと思う。寄生生物はそういう無駄な動きや演出はしないだろう。  いろいろ苦言も書いたが物語を追うだけなら普通に楽しめる作品だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-08-16 02:41:37)(良:2票)
36.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
庵野秀明と樋口真嗣がゴジラの新作を撮ると聞いてあまり不安に感じなかった。ビジュアルはそれなりに見せてくれるだろうと思ったし、特撮オタクの彼らが作ってもダメならこれからもきっとダメだろうという思いがあった。いわゆる最後の砦のような感があった。  不安要素は人間ドラマの方だったが今回のゴジラは人間ドラマと呼べるものはない。ゴジラという脅威に対応しようとする人間は数多く登場するが彼らの間にドラマはほぼない。高速で早口で行われる政治家、官僚、専門家の会議ややり取りがただただ積み上げられる。一人一人が積み上げていったものが最終的にゴジラを倒す力になりうるという構成は人間ドラマとしては乏しいが非常にドラマティックに感じられた。偏った作り方だがこれしかないと思えるほど今作にはマッチしていると思う。  「あれ?ゴジラ以外にも怪獣が出てくるの?」とは初めて現れるキモいクリーチャーを目にして思ったこと。進化していくゴジラとは思いもしなかったが今作のゴジラはただただ「異形」。ギョロっとしているが小さな目は何を見ているのか分からない。何をしようとしてるのかも分からない。ゴジラが動く度に緊張感がある。安い人間ドラマが入り込む余地が無い。これは本当にゴジラなのか?使途じゃないのか?いやイデオンじゃね?ゴジラが炎を吐き出す前の動作が良い。吐き出した炎が収束してレーザー状になっていき大惨事を巻き起こす。あのシーンだけでハリウッドのゴジラを吹き飛ばすくらいのインパクトがある。ビジュアルはそれなりに見せてくれるという予想は覆された。見事に期待以上のものを見せてくれた。  石原さとみが浮いているだの、エヴァをゴジラに持ち込んだ感、この音楽まんまエヴァ!等言いたいことがないわけではない。会議シーンの多さに辟易する人もきっといるだろう。だが今の日本でこの作品を作った意味は大きいと感じる。日本に大災害や脅威が起こった場合のシミュレーションとしても楽しめるが、積み上げていくことを否定しない物語は現代日本にとっては希望ある物語だと言える。それと同時に現代日本への問題提起をしている作品にもなっており意外と懐の広い作品になっているのではないだろうか。今作のゴジラは何のモチーフかを考えるだけでも人の心に何かは残るでしょう。今という時代を切り取ったまさに日本にしか作れない「ゴジラ対日本」お見事でした。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-04 01:21:40)(良:4票)
37.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
「バードマン」で見せたユーモアを封印しまた重く暗い世界へ戻ってきたイニャリトゥ。しかし、今作は一見して圧倒される映像がある時点で億劫にならずに観られそうだと思った。  やはり一番の見どころは映像だろう。序盤の襲撃シーンから始まり全編にわたって迫力のある映像美で楽しませてくれる。熊に襲われるシーンもCGとわかっていても思わず目を背けたくなるような痛々しさ。フィッツジェラルドじゃなくても「助からない」と思ってしまいそうになる。瀕死の状態で取り残された主人公が、美しさとは裏腹の過酷さを持った環境で徐々に回復していく過程を丹念に描いていて惹き込まれる。それを演じたディカプリオも素晴らしかった。元々熱演タイプの彼にはうってつけの役だったように思える。どんなにボロボロになっても泥臭い汚れた姿になろうと観客を惹きつける彼はやはり映画スターだ。仇を演じたトム・ハーディもギョロっとした目と低い声が印象的な一癖も二癖もありそうな不敵な役を好演していて、やはり今後も楽しみな俳優だ。  ただこの映画は物語はシンプルだが上映時間が長い。観念的なシーンも所々挟み込まれていてそれらを許容できるかどうかで評価も変わりそうな作品だ。自分は許容できた方だとは思うがそういったシーンが面白いとは思えなかったのかも知れない。圧倒的な映像で見せきる作品には弱いタイプの自分が8点に留めた理由は多分そこにある。監督や撮影監督、役者皆がすばらしい仕事をしていると思うのに何かが足りないという感じが拭えなかった。  息づかいで始まり息づかいで終わる作品。全編にわたって描かれたのは「生命」ということなのだろうか。音楽もそれを表現しているかのようで、そう感じられる場面も随所に見られた。まあいろいろ考えるよりもその素晴らしい映像に浸って感じ取る作品のように思える。夜はまだ肌寒い季節。観終わった後自分の体が芯から冷えたように感じ熱いコーヒーが飲みたくなった。
[映画館(字幕)] 8点(2016-04-28 03:09:20)
38.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》 
想像していたよりも雑な映画だった。まるで思いつきだけで映画化したような作品だ。  予告編で見た時にレトロゲームが街を大暴れする絵はちょっと面白そうとは思いながらも、一方で「でも体を使って戦うならゲーマーである必然性が無いよなあ」とも思った。結局見終わった後もその印象が覆ることはなかった。ストーリーはオタクをヒーローにする方向に動いているのに映画自体がそれを構築できていなくてチグハグだ。戦争がまだ終わっていないのに祝勝会をしたりとテンポがいまいち良くないのも気になった。  レトロゲームを題材にするのは悪くないと思う。が、お気楽に笑って見ていられるレベルくらいにはしてほしかった。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2016-04-08 21:47:23)
39.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
オープニングから火星で始まりすぐに事故が起こる。こういう作品は案外前置きが長いものが多い印象だがこの作品はそういうものとは無縁だ。その後もテンポよく話が進む。絶望的な状況だし次々に問題が起こるが主人公は淡々とその問題に向き合いひとつひとつ解決していく。彼は立ち止まらない。立ち止まったら待っているのは「死」だ。  改めてマット・デイモンが良い役者だということに気づかされる。彼に共演者がいるのは初めと終わりのみ。NASAとやり取りをしていても一人芝居だ。ワトニーは前向きでユーモアを絶やさないキャラだがこういうキャラにありそうなあざとさやうざったさを感じないのは彼の資質に思える。完璧な美男子ではないし控えめだが惹きつけるスター性を感じた。 終盤ワトニーは長らく聴いていなかった人間の声を聴く。NASAと通信していても肉声は聴いていないのだ。救いに来た船長の声を聴き思わず涙ぐむ彼の姿に彼が見せてこなかった絶望の影を見る。ユーモアもポジティブさも彼が生き残るために必要だったのだ。多くの知識も知恵も、そして船長が残したディスコナンバーも。  観終わった後自分でも驚くほどさわやかな余韻が残ったのは出てくる登場人物が皆一つの目的に動いた姿を見たからだろうか。主人公のワトニーと同じようにこの作品がポジティブな性質の作品だからだろうか。最近は宇宙を舞台にした大作が少なくないがそれらとまた違ったタイプのドラマでとても新鮮に感じられた。  これ見よがしに派手なシーンは無いがリドリー・スコットの作品だけあって映像の完成度は高い。それにしてもリドリー・スコットもすでに78歳。第一線でコンスタントに作品を作り続ける彼には頭が下がる思いだ。
[映画館(字幕)] 8点(2016-02-17 01:21:16)
40.  ブラック・スキャンダル 《ネタバレ》 
ジョニー・デップが久々に好演している。この人はどんな役をやっても熱が入らないイメージだが今回はそれが良い方向に作用している印象。 何十人も殺したと噂される人物。いつ暴発するかわからないこの“ホワイティ”という人物が持つ緊張感が作品を引っ張る。  ギャングとFBI。同郷の人間がいるために生まれるお互いを利用しようという関係。その関係の中バルジャーもコノリーも栄えてきたが気づいた時には身動きが取れないような状態に。こういうジャンルの作品ではよくある展開であり結末だとも言えるが何かもう一つ物足りない。この監督の前作を観た時にも感じたことだ。役者や作品の雰囲気は悪くないのに何かもったいない。  とはいえこういう関係が長く続きその間に小悪党だったバルジャーがビンラディンに続く危険人物とされるような怪物になっていった事実には驚かされる。身内には優しそうな人物だがこの人と一緒に食事はしたくないなあ。
[映画館(字幕)] 7点(2016-02-15 20:49:03)
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