21. 映画 ビリギャル
《ネタバレ》 原作の存在は知っていましたが、際物っぽいでの敬遠してました。映画の方も見るつもりはありませんでしたが、チェックのつもりで少し見たら有村架純が主役なのでそのまま見てしまいました。彼女の芝居はなかなかいいですよね。それを支える男優がいい仕事している。塾講師、学校教師、そして父親。この父親の人物造形がすごく良くて深みがあった。それを見事に演じていたな。 受験の朝、雪が降って試験会場に行くのが難しくなる。歩いてでも行くという主人公。そこにスタッドレスを履いた、送るぞという父親。次のシーンであのずっと写っていたマイクロバスに乗っている二人。え、この車しか持ってないの?父親の野球に賭ける一途な思いが分かるところで、グッときました。もう、映画の後半はハンカチ握りしめてましたよ。ラストも良かった。あれほど鮮やかに親子関係の修復を表現できたのは奇跡としか思えません。 実話に取材しているってのがこの話のウリですが、いくら何でも最初の状況は極端でしょうね。塾講師が進める教材の量や種類にもどうじゃろ、ちょっと現実離れしてると感じる。だって、一般常識を教えるためにまず芥川から読めとか言うかなあ、普通。偏差値30ってのはガセじゃないにしても、もうちょっと下地は入ってたと思います。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2023-01-04 23:10:53) |
22. 笛吹川
《ネタバレ》 古い映画には撮影した時代の空気が映り込んでいる。この作品もそうで大変興味深く見ることが出来ました。まず、合戦シーンがいい。今時の兵種ごとに分かれて密集する陣形よりかなりルーズな感じで戦っているのがそれらしい。で、侍大将が死ぬと配下で一番優秀な者がその後を継ぐみたいな描写もあって、下級指揮官は死亡率も高いし血統なんか重視していれば戦じゃ勝てないからなるほど思わされた。 また、裕福な商家が信玄の不興を買って家族皆殺しに合うのがこの作品の大きなモチーフになっている。いくら何でもこれは乱暴すぎる事件ではないかと考えましたが、よくよく考えれば戦国の狭い領国で一人金銭をがめていれば領国経営の邪魔だし、生かしておく意味もないわけでこれはこれでありだと思いなおした。武田は清和源氏の名門で何百年も甲斐の国を支配しているわけで目に見える恩恵はなくとも治安を保っているだけで恩恵ともいえるから何とも解釈次第ですね。農民が主人公だが、年貢を取り立てる場面はなかったなあ。なんとなく村を基盤にした徴兵制度みたいなのがあるのかと思っていたけど、この映画じゃ完全志願制だな。 まあ、この映画が歴史的に正しいかどうかは分かりませんが、いろいろインスピレーションをもらったのはたしかだし、その点で観て本当に良かった。 ところで、えらい目鼻立ちの整った末娘だと思って観ていたら岩下志麻だってさ。おぼこな志麻さんも素敵ですね。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2022-12-25 17:12:54) |
23. トガニ 幼き瞳の告発
《ネタバレ》 実際の事件に取材したこの映画がきっかけで法が出来たわけですが、まあ、韓国らしいというかなんというか。映画では被告は三人で全員執行猶予付きですが、実際は六人で二人、実刑執行猶予二人、不起訴二人です。鉄道で子供や教師が轢かれて死ぬのは演出です。デモで遺影を持っていたのも演出だそうです。 トガニ法なるものも2011年にできたようですが、その年に警察が2007年の事件を再捜査して適用した可能性もあり、それならば禁断の遡及法になります。韓国は得意ですね。 子供に対する暴行の描写はリアルでそこまで必要なのか疑問です。観客の嫌悪感を引き出すための演出だったと思いますが、子役とはいえ撮影される子供たちの事を思うと納得できません。はっきり言って児童ポルノと変わらない映像です。いや、暴力シーンだからもっと悪いか。 疑念ですが、双子の室長が全く手話ができないというのもどうでしょう。聾学校の職員たるものが全く手話を理解しないなんて余りに不自然じゃありませんか。 まあ、しかしながら、実話を元に作成されているのですから実話じゃないところがあったとしても別に非難するには当たりません。しかしながら、実話通りだと思い込んでこの映画を見るのは間違いで、そこちょっと指摘してみました。 [DVD(字幕)] 4点(2022-12-18 16:56:02) |
24. すずめの戸締まり
《ネタバレ》 自分的には日本アニメを再発見した「君に名は」を超える傑作。出世作を超える作品、なかなかものにするのは大変と思われますが見事成し遂げてくれました。制作サイドも喜んでいることでしょう。小隕石の落下、異常気象に次いで再び天変地異、地震を取り上げその危機に対処する姿をボーイミーツガールに絡ませる王道展開もばっちりはまっています。更に好みのロードムービーなところも素敵です。唯一気に入らないのは彼氏が異常なまでにイケメンだってことだけですが、まあ、椅子になったりしますので、ざまあ、的にメシウマ感を味わえます。 「天気の子」で最大の失敗だと思ったのは主人公よりルックスが魅力的なサブキャラを出してしまったところですが、今回はそのようなこともなくそれぞれに魅力的ながら主人公を超えない程度のルックスがサブキャラには与えられています。そんな感じでちと主人公が美人すぎるきらいがあり逆に個性を失ってはいますが、全然、よろしいです。 いきなり猫を追ってフェリーに乗ってしまい、運賃はどうするのって心配していた自分でしたが、今時はスマホがあればそれなりの金額は使えるようになっているのですね。なるほどって感じ。でもなあ、若い女の子がヒッチハイクで移動するって事をおしゃれな冒険的に描くのは少し嫌な感じですね。それで、次の展開につながる出会いになったりするので物語的には必要なんでしょうが。あと、椅子の脚が三本だったことの説明があると思ったんですがそれはありませんでしたがこいつが走り回る姿は傑作であります。 [映画館(邦画)] 9点(2022-11-23 18:09:49) |
25. この世界の(さらにいくつもの)片隅に
《ネタバレ》 10点満点で120点付けたい作品だ。物凄く素晴らしい。昭和前期の女性の生きざまが例えようもなく新鮮。人生を前向きに懸命に生きようとする主人公の姿にいちいち感動する自分がいる。今を生きる人ならこんな環境をどう思うだろうかとつい考えてしまう。そこになんとも違和感を感じさせる軍隊と戦争の出現。異なる時代の異なる常識をここまで再現してくれたことに感謝。 この作品は120分版のロングバージョンだそうで前作では意味が分からなかった様々な事柄の事情が分かる。それはそれでうれしいわけだがなんかわからない方がよかったかもしれない。わからないことは様々な解釈が可能で物語に深みを与えるから。多分、こちらが本編として完成してから120分の標準サイズに切り詰めたのだろう。泣く泣く。よくそんなことが出来るな。自分には辛すぎて出来ないよ。アニメ作った人たちはどう思ったのかなんて想像もしたくない。だけど、切ったからこその前作の完成度だったからかもしれない。 敵機の攻撃は基本的には軍事目標に限定されるので民間人は狙われないのでそれほどの危険はないわけだが味方の発射した高射砲弾は無差別に破片が落下してくる。こりゃ怖い。知ってはいたけれど、ちゃんと表現してくれた。すごくうれしい。 [インターネット(邦画)] 10点(2022-11-03 23:31:37) |
26. 耳をすませば(1995)
絵コンテと脚本を宮崎さんがやって、監督にはどんな仕事が残るのかアニメ制作をよく知らない自分には想像がつかない。なんか割とストレートな作品で、ストレスなく仕上げるためにキャラ設定で無理している感がある。例えば、天谷君のキャラ設定ってどうなのかな。見栄えが良く医者の子供なのに、雫の事が好きでこの子の興味を惹くために図書館の本を借りまくるとかありえない行為をする。そのくせ十五歳でバイオリンを作るためにイタリア行きを希望していたりする。いないよ、そんな子。十年後に帰ってくるとかボーイミーツガールの一番いいところだけやろうって魂胆が丸見え。それでも、なんか結構ファンも多いようだから、巧まずして続編制作できたわけだ。 作画的には雫の私服がスカート短すぎですごく不自然。制服は良いのに何であそこまで短くする?大学生のお姉さんの家事能力に感嘆。昔はあんな子が実在していたのか?図書館と自宅の距離感が自分にはよく分からなかった。電車で行く距離なのか、徒歩圏内なのか。自宅を団地の一室にしたのは初めて見た。英断だと思う。ただ、カットによって雫の自室の広さが変わっているように思えるのは気のせい? とかとか、ストーリーが王道なので細部に興味が行ってしまいました。猫が案内するところがジブリらしいというか、バロンも併せて猫の恩返しに焼き直されましたね。魔女がクロネコヤマトのタイアップだったからこの作品はファミリーマートが絡んでいるのかと思ったけどそうでもないみたい。駄文で申し訳ない。機会があれば実写版の続編も見てみたいな。 [地上波(邦画)] 5点(2022-09-19 13:17:44) |
27. 河童のクゥと夏休み
《ネタバレ》 シン・ゴジラは今の日本にゴジラが出たらどうなるかを映像にしたとも取れる作品だけど、同様に河童が出たらどうなるのかを考えたのがこの作品だな。自分的には発見時に公的な機関に相談せず自宅でペットにしちゃうのはどうかなとも思ったが、もうテレビ出演時には公的機関への相談なんかあり得ない事態になってた。 もう、クゥちゃんが途轍もなくかわいいんだよね。ルックスはそうだけど、まあ、心がきれい。それと、それを囲む家族のリアリティがすごい。特に妹。他では見られない人物造形だと思ってらクレヨンしんちゃんの監督さんなのね。そういえば、作画なんかもそんな感じ。きっと、いつもリアルの子供がどんな反応をするのか観察しまくってるんだろうな。泣いている同級生の女の子を扱いきれずに逃げちゃうとこなんかなかなか描けないところだよね。徹底的にオリジナルの子供目線に拘っていますね。この辺は、クレヨンしんちゃんで鍛えたところかもしれません。クゥちゃんがマスコミに登場した後の描写もリアルを感じる。家の周りに張り付くカメラとか、見物人とか、会社からかかる圧力とか、面白いね。おっさんについては賛否あるかもそれないけど、全国のワンちゃんの尊厳の為にもよろしかったのではないのでしょうか。 人間だけが嘘をつくのなら或いは、それが為に今日の種としての繁栄があるのかもしれない。そんな風に考えるとちょっと微妙な気分になります。 [地上波(邦画)] 8点(2022-09-19 11:52:34) |
28. ブロークバック・マウンテン
なんか世界を変えた作品とか言われたので見ました。でも男女の違いがあるだけで普通に悲恋物語であることでそんなに衝撃はなかった、この部分に関しては。それよりも恐ろしさを感じたのはあの頃のアメリカのリンチ文化。こりゃ怖い。エージーライダーでも簡単に殺されてたからな。そんなリンチ文化が実は銃社会の背景になっているのではなかろうか。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-08-03 13:38:52) |
29. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 映画館で観て心の底から正解だったと思わせる作品。音が全然違う感じがしました。ストーリーは鉄板で分かりやすく誰でも楽しめる感じ。小ネタも面白い。ただ、観終わった後は感じなかったツッコミどころも多いのでいらんことを言います。 あの攻撃目標にF-18であの作戦では訓練中に部隊は事故で全滅でしょう。対空ミサイルを避けるために谷間を飛んで攻撃目標に近づいても爆撃後に撃ちまくられるようでは意味ないですよね。それなら前もって対空ミサイルも攻撃しとかないと。敵の戦闘機が心配なら別途制空任務の戦闘機を待機させるたほうが良いですよね。大体、第五世代戦闘機はステルス性が最大の武器なんですからあんなに簡単にレーダーに映るようなら第五世代なんて言えませんよ。制空権を確保してシン・ゴジラにも登場した大型爆弾バンカーバスターをB-2から投下するのがよろしいんじゃないでしょうか。あの対空ミサイルが見た目はレーダーホーミングなのにフレアで爆発とかどうなのかなとも思いましたが、「いぶき」と違って全然許せるのは何故なんでしょうか。 ただ、どうなんでしょうか。海軍に対するこだわりが少し足らないような気がします。エンジンの不調を調べにヨットに乗って帆の操作知らなかったり、空軍のマスタングいじったり。やはり海軍ならコルセアとかの方がかっこいい気がします。空軍ではなくましてナサでもないのにマッハ10に挑戦しますかね。 あー、文句ばっか言ってるようですが、結構気に入った作品なんですよ。お気になさらず。 [映画館(字幕)] 7点(2022-06-29 00:13:20)(笑:1票) |
30. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 ゴジラ映画が低迷を極めていた時見た「ガメラ」、あの衝撃に匹敵する作品でした。恐怖映画たる「シン・ゴジラ」とは全く異なる空想特撮映画として凛とそびえたっていました。二時間をかけて一匹の怪獣を見せた前作とは違い三十分番組を五つ繋げたような構成がまずウルトラマンの本質をついていました。 作品冒頭にすでに登場した五匹の怪獣を見せたあたりにウルトラQを感じ、怪獣との戦いにウルトラマンを味わい、異星人との絡みにウルトラセブンを思い出しました。CGがリアルじゃない事なんてあの頃の特撮へのオマージュとしか思えませんでした。庵野さんのとがったセンスを樋口監督が見やすくしてくれた感があり非常にナイスです。 さて、ちょっと理屈こねますが、あの頃は「しらけ」とか言って大学紛争で大騒ぎをしたにも関わらず社会を変えることが出来ずにニヒリズム(虚無主義)が問題になってたんです。この映画にもそんなシーンがあります。私個人がニヒリズムを克服するのに有効と思うのがヒロイズムです。ところが、いろんな人のいろんなヒロイズムはぶつかり合ってしまうこともあって難しんです。そんな時はどうするのか?話し合うんです。リピアもメフィスト星人やゾーフィと話してましたよね。話し合いは大事なことです。 ここまで怪獣って書きましたが、禍威獣ですね。結局、この字を当てないと「カトクタイ」って言葉が使えないんですね。まさか今時科学特捜隊なんていくら何でも使えないでしょ。そういう事だと思います。 最後、最後の戦いに赴く神永を見送る浅見はキスしませんでした。するのかなーとドキドキしながら見てましたが、しませんでした。これは、日本映画の心意気だと思いました。日本には日本の伝統と良識がある。その表明だと。ありがとう。うれしかったよ。 [映画館(邦画)] 9点(2022-05-24 01:04:54)(良:4票) |
31. 孤狼の血
《ネタバレ》 テレビで2021年の日本アカデミー賞やっててレベル2の映像が流れていた。今回は役所広司いないから頑張ったって誰かが言ってた。 ああ、また役所広司が面白い演技したのか、すごいよな、あいつ。とか思ってこの作品を探して鑑賞してみたわけだ。 そんな予想をはるかに超えてました。すげーよなー。本当に。何であんな芝居ができるんだろ。役作りの深さと広がりがすごすぎ。桁違い。そのうち、彼の名前を冠にした映画賞ができるんじゃないかな。 そりゃ、おれも真木よう子には脱いでほしいけどそれで作品の評価は落とさないよ。それから、死体のリアリティがすごいよね。次の日は一日ショックから抜けられませんでした。埋まっていた首、切られた頭、そして、何と言っても土左衛門。顔見せるかなー、やっぱ見せないかなーとハラハラさせてもらいました。 広島弁の会話とか面白いし、人のやさしさとは何かって見せてくれるし、作品に文句はないけれどここまで魅力的なグロは傑作って範疇に入れちゃいけないような心の声に従いまして8点とします。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-03-16 23:38:13) |
32. ジョーカー
《ネタバレ》 アメリカでは銃保持が自由な印象ですが、家で保管している感じで、あまり持ち歩かないのですかね。銃とかあればアジアンヘイトクライムも防止できそうですよね。しかし、それはそれでそれも恐ろしいことです。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-03-11 04:51:34) |
33. マスター・アンド・コマンダー
《ネタバレ》 Iいやあ、すごい映画だった。冒頭の戦闘シーンでの砲弾の威力、あの表現凄いよね。日本の大砲が音と煙の表現だけなのに圧倒的だよ。でも、あれだけ近接していて霧に入っただけで逃げられますかね。アケロンの方が速度出せそうなのに。海上で音というのも探知されそうでやばいですね。 首尾よく逃げられて戦死者を弔い、負傷者を治療して、船体も修理します。戦闘の厳しさを表現するには戦死より負傷でしょうね。観る側もその負傷の痛さは伝わりますから。麻酔なしで腕の切断とか観るだけでもどんだけ厳しかったか。 ホーンブロワとか読んでいれば小説の世界が実写化されているのでそれも精密に夢のようでした。騙しあいの航路選択、進級できない士官候補生の悲劇、吠えるホーン岬、そして最後の戦闘。捕鯨船に見せかけて旗を揚げなおすとかリアル。一瞬でも早く撃てなければ自分が死ぬかもしれないハラハラ感。メインマスト折った後、船尾に回って縦射しなかったのは船体になるべく傷をつけずに捕獲するつもりだったかもしれません。 ラストも含めて満点ですかね。 [インターネット(字幕)] 10点(2022-03-06 16:18:15) |
34. 決算!忠臣蔵
《ネタバレ》 これは大変面白い作品。なにをするにも金がかかる。それは今も昔も同じこと。前作「殿、利息でござる!」も面白かったですが、さらに進化して大満足です。喜劇系の役者がたくさん出て真面目な芝居を面白可笑しく演じてくれます。金勘定も大変ですが、人間関係、世間の風評、お上の意向、そして己の意地などがなんとも絡み合い討ち入りになってゆく過程が描かれています。 特に出色なのは討ち入り直前の会議の模様。道具や装束に費用が掛かるところに鎖帷子と来てはもうだめかと思われますが、急転直下何とかなっちゃうところ、素晴らしいですね。(計算は合わないような気がしますが。) [インターネット(邦画)] 9点(2022-03-06 13:21:38) |
35. ソロモンの偽証 後篇・裁判
《ネタバレ》 大体、学校内裁判って何でしょうね。裁判をやれば真実が明らかになるって何の根拠もない信仰でしょ。普通なら真実はあんな裁判をやっても明らかにならないままだと思います。それを真相が明らかになるという奇跡。それが語られて時代を変えていき、今に至るというこの話の流れ。私にはその余りの予定調和ぶりに空いた口が塞がらない感じです。 なんか、よくわからない。タイトルからいって、この話自体がつくり話の可能性もあって、上下編を見終わって虚無感しか残らない。 [インターネット(邦画)] 3点(2022-03-06 13:07:24) |
36. ソロモンの偽証 前篇・事件
《ネタバレ》 松竹120周年記念と題打ってあればそれなりに製作は力の入れたと思われますが、なんかリアリティに乏しく楽しめない。多分それはすぐ殴ったり大人の過剰な無理解だったりするところのせいかなと思って観てましたが、それはこの映画のほとんどが今から目線で20年前を撮っているからかもしれません。ここに気が付くと違和感も減少しますが、それでも血が流れすぎる気がして過剰演出じゃないかな。 死んだ子供の考え方もそういえばあの時代まであった思考で一つの時代の転換点の記録としてこの作品があるのかもしれない。でも、なんかそんな時代感が作品の中に感じられず違和感としか残らなかった。岡田斗司夫が褒めてたから観たけどヤジの入れ方なんかも変な感じ。確かに昔の映画にはそんなヤジがあったけど現実社会にはなかった。という事は20年前の社会を映さず、20年前の映画の撮り方で作った作品という事か。 [インターネット(邦画)] 3点(2022-03-06 12:53:41) |
37. 殿、利息でござる!
《ネタバレ》 時代劇の銭勘定を現代のそれに置き換えてみるという試みは非常に面白い。ただそれだけで昔の人間も現代と同じような苦労をしていたことが伝わってくる。そこに今とは違う社会秩序が絡んでくるので実に新鮮である。 この話の当初の目論見では殿さまに銭を貸して利息を取りこれで伝馬の労役の賄に充てる計画であったが、さすがに身分制社会でこんな露骨な話には無理があって「伝馬の労役、苦渋の至り。藩より賄下されれば銭5万貫献上致したい。」とまあ、話を持ってゆくわけですが姑息な百姓の大名貸しと切れ者の勘定役に見破られ一度は破談になりますが、よく分かりませんが40年もの間の苦労の果てと話が伝わりお取り上げとなります。この辺りが昔の社会的義理人情であってまた面白いところでありました。身分制というのは役柄をわきまえずに勝手なことをすると仕置きされますが、筋道を通し懸命なところを見せるとお上も動いてくださるというわけですよ。いいねえ。 しかも、下賜金も出る。肝を冷やす問答も理があると見れば粋な取り計らいも。 ただ、一つ疑問をいうと、話が持ち上がってから動き出すまですごく年月が経つんですよね。10年ぐらいやっているんじゃないかな。この辺りが昔の社会状況を反映させたところなのかもしれませんが、現代的にはすごい違和感がありました。 役者的には切れ者の勘定役と殿さまが良かったと思ってクレジット観たらすげービックリ。はーなるほど、道理で姿勢がいいと思った。あと殿さまのお付きできた二人の侍の走り方もよかった。お空に行った彼女は変わらずきれいだったな。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-03-02 01:09:25) |
38. 海街diary
《ネタバレ》 自宅で鑑賞したので5点ですが、劇場なら7点だったかも。古い家の持つ空気感は大画面の方が満喫できるかも。 美人女優を四人出して普通にその日常を撮れば映画になるのでないかという作品ですが、その通りだと思います。美人は見ているだけで楽しく時間が流れます。綾瀬はるかはうちの娘に似ているのでコメントしませんが、長澤さんは無駄にいい女で身近に居てもらうと迷惑なレベルです。夏帆さんは初めて意識してみましたが、黒い靴下がよく似合う素敵な女性です。この三人が一緒に住もうと誘う列車が発車するシーンはとてもいいです。広瀬すずは手足が伸びやかで意外でした。サッカーも普通にうまいな。さすが清水出身。 それでも、結構人物関係が複雑なのに、冒頭の山形に父親の葬式に行くと異母姉妹がいるというあたりの重要なセリフがあっさりしているのでここを上手く聞き取れないとちょっとストレスになります。あとウィキによるとシラスは仙台湾を北限とした太平洋岸でとれるとの事ですからバツイチ時代の仙台では食べていたでしょうが山形に行ってからは食べられなかったと思われます。 しかし、去勢されたリリー・フランキーというのもなんか違和感がありながらもまあ、面白かったですよ。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-02-24 23:54:08) |
39. 空母いぶき
《ネタバレ》 レビュワーにしか見られない点数評価があってその基準だと0点じゃなく2点なのかな。退屈はしない。あまりのひどさに身悶えするからである。魚雷を発射する敵潜の乗員150人を殺さないために迎撃できなかった最後の魚雷を身を挺して防ぐ護衛艦。その敵潜水艦を魚雷で攻撃しないで体当たりする自衛隊の潜水艦。味方の命より敵の命を重んじるこのメンタリティは2019年の封切り時に一般的なものだったろうか?自分の感覚では想像できないレベルの発想である。平和日本とはこれほどの奇怪な存在なのだろうか。 それと、近代兵器をなめすぎてるよな。空母から発艦したらすぐ探知されるようじゃステルス機とかじゃないだろ。対艦ミサイルだろうが、魚雷だろうが、空対空ミサイルだろうが、簡単に回避できないし、当たれば致命的損害を受けるんだよ。つまり、味方がたくさん死ぬんだよ。そいつらはみんな知り合いなんだよ。発射されたらもうそこで重大危機なんだよ。冒頭から12発ミサイル撃たれて一発当たってもうそれで戦争なんだよ。いぶきは本当はもうそこで戦闘不能なんだよ。気合で進んで敵潜が避けるとかどんな根拠でそうなるのかなー。すでにこの段階でこの映画には絶望した。でも、途中で観ないとかは作った人にさすがに失礼だから最後まで観た。 護衛艦が攻撃されたのに記者会見しないことを勧める閣僚とか、自社の記者を乗船させてるのに燃えている空母が何の船かわからない編集部の人たちとか、たくさんサンタの靴を作らなきゃいけないのに手書きカード入れてるコンビニオーナーとかほかにも綺羅星のようにわからんキャラクターが続々登場します。ツイッターのコメントなんかもセンスがないよなー。 まあ、いいや。ツッコミどころには事欠かない。しかし、楽しくはない。あまりの無理解に怒りすら感じる。採点基準なんかどうでもいい。信念を以て採点する。0点。 [インターネット(邦画)] 0点(2022-02-24 23:17:39)(良:1票) |
40. 彼らが本気で編むときは、
《ネタバレ》 可もなく不可もないというわけでもないが、5点で。 内容は悪くない。子役の女の子は素晴らしい。何通りもの泣き方をする。話の展開も自然。異様な嫌い方をする人も出てくるが、まああり得ないわけではない。母親が帰ってきて女の子の取り合いをするシーンはかなり良い。 でもなー、私がBL的な部分にどうしても違和感感じちゃう年齢だからかな。生田と桐谷のBLとか想像しちゃうとどうもダメだ。生田が結婚みたいなことを言うと桐谷が「引き受けますよ。」みたいなことを言うんだけどこれって愛情表現としてありなのかな。わからん。この後ミッドナイトスワンが日本アカデミーを受賞するわけだがトランスジェンダーを単体で扱ったか、カップルにしたのかというのも微妙に影響したかも。しかし、プロの役者というのはすごいものだ。生田は十分にこの難しい役をしっかりこなしていた。 編み物がもつストレス解消効果は面白かったが、正直このタイトルは失敗だと思う。どうしても「舟を編む」を連想してしまい、損をしたと思う。108本編むにしてもそれは本人が編むべきではないのか?「編むときは」の「ときは」も良くわからん。 映画館と書いたが実際は公民館での上映会でコロナ対策で換気のため外の明かりが入ってくるひどい状態で画面も小さかった。それを割り引いての評価です。ご了承ください。 [映画館(邦画)] 5点(2022-02-23 23:15:41) |