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 > ザ・チャンバラ さん
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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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381.  ブレーキ(2012) 《ネタバレ》 
狭い箱に閉じ込められた主人公をひたすら映しているだけという内容であり、ハリウッドお得意の”ソリッド・シチュエーション”もここまで来たかと恐れ入りました。画面に映っているのは身動きの取れないスティーブン・ドーフのみ、金と人材を切り詰めた果てに登場した作品ではあるのですが、その代わりに監督と脚本家は徹底的に頭を使っており、アクション映画もかくやという勢いで物語は進行します。ここ10年ほどはネタギレを指摘されているハリウッドですが、本作のようにまだまだ意表を突いた映画を生み出す奥深さには侮れないものがあります。。。 と、決して出来の悪い作品ではないのですが、明らかな問題点もあります。なぜ犯人はこんなにもめんどくさい手段をとったのかという点に納得感がなく、観ている途中からバカバカしくなってしまうのです。ラスト2段のドンデン返しなんて『シベ超』並みの強引さであり、一気に脱力してしまいました。また、妻の危機にあたって生き方を反省する主人公の姿にも感動はなく、このことが、観客に対して”『フォーンブース』になり損ねた映画”という印象を与えています。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:48:18)(良:1票)
382.  ヒア アフター
イーストウッドの映画は冗長である、そんなことを思い出させられた一作でした。『クィーン』『フロスト×ニクソン』でアカデミー賞にノミネートされた経験を持つピーター・モーガンによる脚本は悪くないのですが、なんせ演出が冗長で眠くなります。『ミスティック・リバー』から『グラン・トリノ』までの6作がいかに奇跡的な完成度だったかを思い知らされました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-05 23:31:34)
383.  TIME/タイム 《ネタバレ》 
アンドリュー・ニコルの作品は、SF映画として鑑賞すると落胆させられることが多いように感じます。大成功した『トゥルーマン・ショー』や傑作と呼ばれる『ガタカ』ですら世界観の作り込みが甘く、設定に腑に落ちない点が多すぎるのです。例に漏れず本作も、基本的な設定部分はボロボロ。ニコルはこの点を取り繕う気すらなかったようで、冒頭のナレーションで主人公に「なぜこんな世界になったのかは俺にもわからない」と身も蓋もないことを言わせる始末。ニコル作品はSFではなく寓話として観るのが正解で、基本設定へのツッコミは忘れてあげるのが作法のようです。。。 一部の大金持ちが貧乏人の命を搾取してその繁栄を維持している世界。ジュード・ロウ主演の『レポゼッション・マン』と同じく、サブプライム問題で露呈した強欲なアメリカ資本主義をデフォルメした内容となっています。はたまた、人類は不老不死の夢を叶えたがその夢を享受しているのは一部の金持ちだけという構図は、マイケル・ムーアの『シッコ』でも描かれたアメリカの歪んだ医療保険制度を象徴しているとも解釈できます。つまりこの映画が描いているのは未来世界ではなく、現代のアメリカ社会なのです。。。 そんな目の付け所は面白いし、これを『人生の残り時間が通貨となった世界』という図式にまで落とし込んだアイデアには脱帽させられますが、この映画が優れているのってそこだけなんですよね。主人公の行動原理にイチイチ不明な点が多いし(身の危険を冒してまで見ず知らずの金持ちを救おうとした理由は?100万年もの時間の強奪に成功しながらそれに一切手を付けず、ヒロインともども死にかけたのはなぜ?)、キレ者に見えて実はマヌケなタイムキーパーにもガッカリさせられます。特に目を引く見せ場があるわけでもなく、主人公がやることは全てうまくいくのでスリルやサスペンスの演出にも失敗しています。娯楽映画としては赤点寸前の出来なのですが、美しい出演者達(2006年の佳作『アルファ・ドッグ/破滅へのカウントダウン』の出演者多し)は見てて飽きないので5点としておきます。
[DVD(字幕)] 5点(2012-08-05 03:29:12)(良:2票)
384.  カウボーイ&エイリアン
ダニエル・クレイグとハリソン・フォードはいつもながら男らしいし、VFXの扱いに慣れたジョン・ファブローによる見せ場作りも悪くありません。特にラストバトルはハリウッド大作らしいボリュームできっちり楽しませてくれるので、観たことを後悔する映画ではありません。。。 ただし、右往左往する脚本が本作の足を引っ張っており、”悪い映画ではないが、決して褒められた出来ではない”というレベルに落ち着いています。「カウボーイ&エイリアン」、、、男子中学生が考え付いたような適当なアイデアではありますが、西部劇とSFとを違和感なく組み合わせることは非常に困難な作業だったようです。97年の発案当初から数えると12名もの脚本家が本作の執筆に関わり、脚本家が変わる度にコミカルとシリアスのバランスは大きく変動。結局、複数人の脚本家が出してきたアイデアのうち、良いものをパッチワークするという形で決定稿が作られたために、なんだかとっ散らかった印象を受ける仕上がりとなったようです。致命的だったのが、クレイグ、フォード以外のキャラクター達の個性の薄さで、多くのキャラクターが入り乱れる物語だったはずなのに、観客に好かれる者は皆無という状態となっています。悪徳牧場主、牧場主に苦しめられる市井の人々、治安を乱す盗賊団、白人社会と敵対関係にあるインディアン、これらの人々がラストバトルを前に主人公の元に結集し、”オール西部”で侵略者に挑むという燃える展開を準備しながら、個々のキャラクターの完成度の低さゆえに不完全燃焼で終わっています。この決戦前夜がビシっと決まっていれば、映画全体が締まったはずなんですけどね。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-07 01:33:56)(良:1票)
385.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
10年も監督業をサボっていただけにカーペンターの演出力が落ちているかもという不安があったのですが、嬉しいことにB級映画の巨匠の腕前は健在でした。飛び上がりそうになるほど驚かされる場面がいくつかあるし、脱走シーンにはハラハラさせられます。舞台となるウォード(病棟)には適度なキナ臭さが漂っており、サスペンスホラーに必要な空気作りもばっちり。ここまで来ると職人芸であり、80年代にはホラー映画の先頭を走っていた御大の"技"を大いに堪能しました。 ただしこの映画、オチがバレバレだったのが苦しいところ。他作品のネタバレは禁止されているためはっきりとは言いませんが、お話は数年前のアノ映画とよく似ています。結末は10年前に公開されたサスペンス映画とまったく同じだったし、多少映画を観ている人ならば遠の昔に見飽きた題材です。復活作でなぜこの脚本を選んだのだろうかと、作品選びのセンスのなさにガッカリさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-05 00:32:31)
386.  あしたのジョー(2010) 《ネタバレ》 
「山P主演で『あしたのジョー』実写化」の一報を聞いた時には「日本映画界による原作レイプは来るところまで来たか」と思ったのですが、完成した作品は意外にも誠実な仕上がりとなっています。時代やキャラクターの再現度は非常に高く、なかなか見応えがあるのです。同時期に製作されたヤマトが「アレンジ」という便利な言葉を振り回してマンガ映画特有の難しい点や面倒な点から逃げ回っていたのに対し、本作はそんな困難に真正面から挑み、ある一定の成果を挙げてみせたという点で、非常に評価できます。懸案事項だった山Pにしても、彼は体も演技もきちっと作り込んできており、「アイドルだから」という甘えが一切ありません。おいしいところはすべて伊勢谷友介に譲っている点でも好感度が高く、彼の起用は失敗ではなかったと思います。ただし「映画として面白かったか?」と聞かれると、答えは「NO」です。ボリュームのある原作を2時間強に納めたため展開が駆け足にならざるをえず、ひとつひとつのエピソードが消化しきれていません。その一方で力石が死んだ後のエピローグが無駄に長く、本作は時間配分の面で完全に失敗しています。また、試合の場面では劇画の再現にこだわりすぎてアクション映画としてのテンポ作りが放棄されており、ひとつひとつの画は素晴らしくても、これを繋げたところで手に汗握るファイト場面にはなりえていません。監督も役者も期待通りの仕事はしたが、それ以上の映画には出来なかったというところでしょうか。
[DVD(邦画)] 5点(2012-02-12 01:44:07)
387.  グリーン・ホーネット
メカはかっこよく、カンフーアクションにはキレがあるし、物語だってそれなりに練られているのに、なぜか気持ちが乗り切らなかったのですが、その理由を考えてみると主演のセス・ローゲンを好きになれなかったことが大きな原因であるように思います。正義に目覚めたアホボンという設定なのでコメディ畑のローゲンがグリーン・ホーネット役を演じることにはそれなりの正当性があるのですが、彼はあまりにコメディ顔すぎて、ヒーローとしてのかっこよさが致命的に欠けているのです。例えば「スパイダーマン」のトビー・マグワイアや「アイアンマン」「シャーロック・ホームズ」のロバート・ダウニーJrなどには、三枚目であっても真面目な顔をした瞬間にキュっと空気を引き締めてヒーローらしい表情を見せるというメリハリがあったのですが、ローゲンにはそれがありません。笑いと男らしさの間で絶妙なバランスをとらねばならないグリーン・ホーネット役において、コメディ”しか”できないローゲンは不向きであり、キャスティングの候補に挙がっていたジョージ・クルーニーやジェイク・ギレンホールといったコメディ”も”できる普通の俳優の方が、この役には相応しかったと思います。ジェイ・チョウのカンフー、キャメロン・ディアスのいい女ぶり、クリストフ・ヴァルツの悪役ぶりはどれも悪くなかったし、ミシェル・ゴンドリーのビジュアルセンスもきちんと映画に反映されていただけに(しつこいほどにエスカレートしまくるクライマックスのアクションは必見)、主演俳優の魅力不足を惜しく思います。
[DVD(吹替)] 5点(2012-01-30 01:14:48)(良:1票)
388.  ドライブ・アングリー3D
10年前ならロバート・ロドリゲスが撮っていたような闇鍋アクション映画。個人的に好きなジャンルなのですが、本作にはイマイチ乗り切れませんでした。主人公の能力設定がとにかく曖昧なので、アクションに感情が乗らないのです。無敵の強さを見せたかと思えば、意外な場面でピンチに陥る、2時間弱見ていて手に汗握ることが一度もありませんでした。また、復讐劇ならもっとウェットであるべきだし、勧善懲悪ものならもっと爽快であるべきなのですが、本作はどっち付かずになっていることも不完全燃焼の原因です。きちんとしたお膳立てがあれば目を釘づけにするような素晴らしい見せ場が多く、役者も全員ハマっているにも関わらず、脚本や演出の手落ちのために残念な仕上がりとなっています。
[DVD(吹替)] 5点(2012-01-21 20:16:04)(良:1票)
389.  ハンナ
「赤ずきん」ミーツ「ボーン・アイデンティティ」。雪山で殺人兵器として育てられた美少女がCIAに追われるというネジの飛びまくったアクション映画なのですが、完成した作品からはそんな内容に対する照れが見られ、バカに徹しきれていないために中途半端な仕上がりとなっています。ドラマ畑のジョー・ライトを監督に起用するというサプライズ人事が脚本との間で化学反応を起こしておらず(他には、ダニー・ボイルやアルフォンソ・キュアロンが監督候補に挙がっていた)、アクション映画に必要な盛り上がりに致命的に欠けています。14年間もハンナを文明社会から隠して大事に育てながら、突如危険な一人旅に出すという父エリックの動機や目的が説明不足だし、彼女を助けるヒッピー家族も親切すぎ。それら不自然な点を誤魔化すためにグリム童話からの引用を持ち出した様子なのですが、現代アクションとグリム童話の絡ませ方も面白みに欠けていました。作品のポテンシャル自体は悪くないのですから、もっと突き抜けた内容にすべきだったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2011-12-20 15:51:58)
390.  キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー
つまらなくはないが突出して面白くもない、アメコミ実写化作品としてはものすご~く標準的な仕上がりで、「ジ・アヴェンジャーズ」のために突貫作業で製作された作品であることが丸出しとなっています。70年代からヒーローの実写化企画に挑んできたマーヴェル・コミック社が、その失敗と成功の歴史から学んできたノウハウをまんまブチ込んで作っただけの作品という印象で、本作独自のアイデンティティには乏しいと感じました。。。愛国心の強いアメリカ版のび太くんがスーパーヒーローに変身する物語なのですが、もやしっ子が突如アスリートを超える身体能力を手にしたことの爽快感がうまく表現できておらず(「スパイダーマン」第一作では表現できていたんですけどね)、変身ものの醍醐味を活かしきれていません。ロジャース少年はその善良さと正義を愛する心を評価されてスーパーソルジャー計画の被検体に選ばれたのですが、彼の人柄もうまく表現しきれていませんでした。同様に、レッドスカルの残忍さの描写も不足しているため、悪役の存在感もイマイチ。レッドスカルはヒトラーをも超える誇大妄想にとり憑かれてナチスを離脱し、独自の軍隊「ヒドラ」を率いて世界制覇に乗り出したという素晴らしい悪党なのですが、映画ではそのスケール感がうまく表現できていません。また、その戦闘能力を発揮する見せ場が少なかったことも、悪役の存在感を低下させた原因となっています。ヒューゴ・ウィービングは相変わらずよくハマっているだけに、脚本と演出の手落ちが惜しい限りです。その他のキャラクターの描写も薄く、ヒロインであるペギー・カーターはキャップの心の恋人としての魅力に欠けるし、トミー・リーは缶コーヒーのCM並のやっつけ仕事ぶりを隠しきれていないし、キャップが選抜した特殊部隊のメンバーにもこれと言った見せ場がありません。唯一素晴らしかったのはクライマックスに登場したニック・フューリーで、サミュエル自身が持つスターオーラの賜物か、「ジ・アベンジャーズ」への期待感がそうさせるのか、尋常ではない大物感が漂っていました。最後に、本作は3D上映もなされていますが、悪名高き後付け3Dであるため3D効果は薄く、それどころか3Dメガネを通して見ると画面が暗く感じるため、2Dでの観賞をお勧めします。
[映画館(字幕)] 5点(2011-10-14 17:41:30)(良:1票)
391.  ゴーストバスターズ(2016)
オリジナルは人気が絶頂に達していたサタデーナイトライブのメンバーを中心にやや脱力系の笑いを取り入れながらも、ルーカスやスピルバーグが使っているのと同等レベルのVFXがそこに同居し、コメディだからと言ってまったく手抜きはしていない、センスの良い大人達が締めるべきところはきっちりと締めながら作った楽しい娯楽作という点に特徴があったと思います。クライマックスのマシュマロマン登場なんて、笑いとテクノロジーとスペクタクルが高い次元で融合した見せ場となっており、作り手もノリノリだったことが画面越しにも伺えました。 リメイクの本作もサタデーナイトライブの人気者をメインキャストに配置しており、オリジナルと同じ方向性を意図した作品であることは分かるのですが、80年代特有のユルさのままいくのか、それとも今の感性で再構築するのかを決め切れておらず、こちらは作り手の迷いが透けて見える作りになっています。女性コメディアン達はレイティングを気にしてか毒を吐ききっておらず、本業が役者であるはずのクリス・ヘムズワースがほとんどの笑いを取りに行っているという有り様。ただしそのヘムズワースの存在も断片的な笑いをとっているに過ぎず、映画全体をパっと明るくし、全体に勢いを与えるという方向では貢献していません。 そして致命的だったのが、もはやゴーストを描いたところで観客は驚かないほど映像技術が飽和状態にあるということ。オリジナルの評価には「これだけ凄いものを見せてくれてありがとう」という感動が相当含まれていたのですが、そもそも本作はそこで勝負できない作品だったというわけです。そして案の定、スペクタクルとしては何のサプライズもない仕上がりとなっていました。21世紀の観客の度肝を抜くような何かがあれば良かったのですが。
[インターネット(吹替)] 4点(2018-05-30 02:54:40)(良:4票)
392.  GODZILLA 怪獣惑星
ゴジラをアニメ化するのであればSF設定でやるくらいの冒険は必要とした東宝の判断は間違っていないし、何を作っても批判を受けることは百も承知のうえでこの企画に挑んだクリエイター達の心意気も買いたいのですが、そんなおおらかな心をもってしても、本作はダメな映画だったと思います。 この手のチャレンジ企画はオリジナルをどれだけイジろうが面白くさえできれば勝ちなのですが、結局面白くできなかった。これが最大の問題ではないでしょうか。感情移入のできないキャラクター、作戦概要の説明がくどいほどなされる一方でイマイチ戦況の伝わってこない戦闘描写、脅威の対象が怪獣である必要をまるで感じない見せ場作りなど、ほとんどの要素で失敗しています。 また、怪獣云々以前の問題として、SF映画としてもまともに成立していません。人類の大半を怪獣に殺され、わずかな生き残りも地球を出ざるをえなくなり、しかもその過程では異星人との接触もあった。そうした大イベントを背景とした世界なのであれば人々の価値観や社会風俗も様々な影響を受けているはずなのに、その変化がまるで見て取れないために世界観は面白みに欠けたものとなっています。 さらには、人類を絶滅寸前にまで追い込んだゴジラというトラウマに再度対峙するきっかけとして、宇宙船内の飢餓や先の見えない航海への絶望感が挙げられていましたが、そうした苦しみの描写が致命的に欠けているために、地球奪還作戦の切実さが観客の側に伝わってきませんでした。また、地球奪還の急先鋒となる主人公の動機付けもイマイチで、いくら親の仇とは言え、核兵器を何発使っても傷一つ与えられなかったほどの超越的な怪獣が個人的な復讐の対象になるものだろうかと、その行動原理には疑問符しか浮かびませんでした。 本作は三部作構成とのことですが、残る2作で巻き返しが図れるのかかなり不安なスタートとなりました。
[インターネット(邦画)] 4点(2018-05-24 18:44:24)
393.  パージ:大統領令 《ネタバレ》 
密室劇の『パージ』→街全体を舞台にした『パージ:アナーキー』の繋がりには正当進化という趣があり、『アナーキー』の満足度は実に高かったのですが、舞台が拡大しきった『アナーキー』の焼き直しにならざるをえなかった本作『大統領令』は、シリーズ内における立ち位置の時点で分が悪かったと言えます。実際、ヴィジュアル面での新鮮味がなく、第三弾にしてこのシリーズは失速を始めています。 また、『アナーキー』のレビューでは政府と反政府組織の対立という要素をまるで扱いきれていない点を指摘しましたが、本作でいよいよ物語の中心にやってくるこれらの要素にほとんど魅力がなかった点も、本作の評価を下げる要因となっています。パージ制度を創設した独裁政権・これを倒そうとする野党の大統領候補・レジスタンス的な活動家という三者が登場するのですが、パージ法という独創的な着想と比較するとこれらの要素は紋切り型で面白みに欠けており、むしろ物語のテンションを下げる方向に作用しています。 また、『アナーキー』には完全武装で人殺しをレジャー化する富裕層と、満足な自衛手段を持てない貧困層という分かりやすい対立構造があって、圧倒的に不利な状況にある貧困層が富裕層を返り討ちに遭わせるという点にマンハントものの伝統的なカタルシスが宿っていたのですが、本作ではスーパーの店主vs万引き女子高生に代表されるように「貧困層vs貧困層」「有色人種vs有色人種」の図式が挿入されたり、貧困層側もある程度団結して自衛手段を講じるようになっていたりと、せっかく前作にあったカタルシスを得やすい構図がわざわざ崩されています。これは残念でした。 本作は興行的に大成功し、第4弾やテレビシリーズ化の企画もあるようなのですが、本作でこの企画のポテンシャルの限界は見えてきたかなと思います。
[インターネット(吹替)] 4点(2018-02-23 20:03:34)
394.  スプリット 《ネタバレ》 
興行成績が絶好調だった『サイン』までの初期3作品だけでなく、ラジー賞ノミネートの『レディ・イン・ザ・ウォーター』、超低予算の『ヴィジット』までを評価しており、シャマランに優しい観客を自認している私なのですが、本作は楽しめませんでした。 まず、密室スリラーとしてまったく洗練されていません。被害者3人に対して加害者側は男性とはいえたった一人。しかも線の細いジェームズ・マカヴォイなので、本気で立ち向かえば何とかなるんじゃないかというシチュエーションに見えてしまっています。3人がかりで加害者に襲い掛かるが、思いもよらぬ反撃を受けて被害者にも観客にも「こりゃ完全にダメだ」と思わせるような展開を序盤に入れておく必要があったのではないでしょうか。また、密室内の被害者の様子と、家の外での加害者の様子を順番に見せるという構成のために、緊張感が持続していません。 オチの付け方も微妙。幼少期に性的虐待を受けたという被害者側の回想シーン(本筋とはほぼ無関係)の挿入は、観客に脳内オチを連想させるというミスディレクションの目的だったと思うのですが、あまりにしつこ過ぎてその意図がバレバレになっているし、そこまでして隠してきたオチが狼人間というのもサプライズになっていません。驚くよりも「ここまで引っ張って、それ?」という落胆の方が大きかったです。 良かったのはラスト、世界中が忘れかけていたアンブレイカブルさんの登場のみでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-27 02:32:48)
395.  バーニング・オーシャン 《ネタバレ》 
オスカーノミネートの視覚効果は確かに素晴らしいし、従前より音響へのこだわりの強いピーター・バーグ作品だけあって音の迫力も充分であり、映像体験という点では充実した作品だったと思うのですが、肝心のお話の方がイマイチでした。 利益優先で安全対策を怠った元請けが悪、元請けからの圧力を受けながらも現場でギリギリ頑張る下請けを善とした単純すぎる色分けがかえって問題を軽くしているし、かといって感情移入可能な登場人物も少なく、ドラマはほぼ失敗しています。多額の資金が投じられたプロジェクトにおいて遅延したスケジュールを取り戻さねばならない元請け側の苦悩も描けば社会派ドラマとしても群像劇としても厚みが出ただろうと思うのですが、ほぼ連続で製作された『パトリオット・デイ』と並んで、脚色過程での単純化が失敗した例だと思います。 また、『パトリオット・デイ』もそうだったのですが、ピーター・バーグは現実の事故の被害者全員のドラマを盛り込もうとするものの、その構成力が追い付いておらず、画面上にたまに登場はするが観客の側で情報の整理が出来ていないキャラクターが何人かいるという事態が発生しています。こんなことならば主人公と直接かかわり合いを持つキャラクターのみに登場人物を絞るべきだと思います。 さらには、見せ場におけるスリルの醸成にも失敗しています。事故前、パイプで異常値が出ていることを示すためにいくつかのゲージが大写しにされ、その目盛が上がったり下がったりするのですが、それらが何を示しており、数字がどのレベルに達すると危険なのかという情報が観客に対して分かりやすく提示されていないため、目盛を見ながら観客もドキドキするというこの手の映画でお決まりの展開が全然決まっていません。さらには舞台となる採掘基地内部の位置関係が分かりづらく、誰がどこにいるのか、そしてどの方向を目指さなければならないのかが判然としないため事故発生後のサバイバルアクションも締まっていません。「とにかく上を目指すのだ」という明快な構図を置いた『ポセイドン・アドベンチャー』がいかに優秀な作品であったかが、本作のような出来損ないのパニック映画を見ると非常によく分かります。 真面目な風体ではあるものの、その実態は同監督作の『バトルシップ』と並ぶゆるゆる映画だったように思います。ただし『バトルシップ』は笑いながら見てあげられる映画ではありましたが、本作にはそうした可愛げもない分、評価は厳しめになってしまいます。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-16 23:19:06)
396.  わたしは生きていける 《ネタバレ》 
ルックスも演技力も存在感もあって同世代のスターのトップになってもおかしくない逸材なのに、なぜか作品に恵まれないシアーシャ・ローナンの、何作目かの残念作品でした。 原作は世界的ベストセラーになったヤングアダルト小説なのですが、同様の出自を持つ『ハンガー・ゲーム』や『ダイバージェント』と同様に、本作の監督や脚本家は思いっきり手を抜いています。雇われ仕事感全開というか、原作に書いてある事をとりあえず実写化しとけばいいんだろという姿勢が透けて見えてくるのです。 よくある少年少女の恋愛物語によくある終末SFをミックスしただけの内容であり、そのどちらの構成要素も突き抜けていません。観客が予想した通りにロマンスは進行していき、感情表現も紋切り型で特に感動を呼びません。世界観の描写の甘さは致命的なレベルに達しており、どうやら世界大戦の危機にあるようだが、その脅威の正体は外国の軍隊なのか、大規模テロなのか、国内の反乱分子なのかすら判然としません。世界観の説明に時間を割くべきタイプの作品でないし、むしろ何が起こっているのか分からないというシチュエーションこそが思春期の混乱を投影していることは分かるのですが、それでも主人公の危機を観客に伝えるためには、目の前の脅威を見分けるための最低限の情報は必要だったと思います。
[インターネット(字幕)] 4点(2018-01-16 23:17:07)
397.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 《ネタバレ》 
アウトローを主人公としているにも関わらず「毒を以て毒を制す」というそもそものコンセプトは前作以上に希薄化しているし、仲間だの家族だのと主張しすぎることもかなりめんどくさかったです。そういったキーワードをわざわざ台詞で言わなくても、見ている側にはちゃんと絆が伝わるように見せることこそが、演出の妙なのではないでしょうか。 また、殴り合いで戦ってきた主人公がラストで突然覚醒し、それまでとはレベルの違い過ぎる技を何の訓練もなくいきなり繰り出すという展開が私は大嫌いなのですが、本作はまさにそれをやっちゃってる点もマイナスでした。 さらには、スターロードが突出した能力を手にするとチーム内の持ちつ持たれつの関係が成立しなくなり、一人で事に当たればいいんじゃないのとなってしまうし、彼を神の子とした展開は完全に誤りだったと思います。なお、原作においてはエゴとスターロードの間に血縁があるという設定はなく(原作では宇宙帝国の皇子がスターロードの父親だった)、この神の子設定は映画オリジナルだったようです。 吹き替えで見ると、ゲスト出演のスタローンとハッセルホフの声優がともにささきいさおさんだった。この点だけが面白かったです。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に向けて重要なピースである以外の存在価値を感じない作品でした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2018-01-05 20:13:05)(良:2票)
398.  マギー
90年代、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に影響を与えた『地球最後の男』のリメイク企画がシュワルツェネッガー主演×リドリー・スコット監督で企画されており、当時高校生だった私は、シュワがゾンビを豪快に蹴散らす様がリドリー・スコットの美意識で描かれるこの企画に心躍ったものです。しかし、当時はシュワの興行成績に陰りが出始めた時期だったし、スコットもヒットから遠ざかっており、さらには『タイタニック』の製作費高騰に歯止めが利かなかったという経験がハリウッドの各スタジオに大作自粛ムードを作っており(『タイタニック』は結果オーライだっただけで、歴史的ヒット作がそう簡単に出るはずがない)、とんでもない製作費が計上されていたこの企画はボツにされたのでした。 その後、20年を経てついにシュワとゾンビのコラボレーションが実現したのが本作なのですが、「この企画になぜシュワが」という違和感が終始漂う90分でした。シュワがゾンビをなぎ倒すことはなく、終始無言で悩んでいるのみ。これってシュワに期待されている役柄ではないし、この役をもっとうまくやれる役者はいくらでもいます。 シュワは親友・スタローンのように枯れへの移行を目指しているのでしょうが、キャリアに低迷期はあってもブランク期はなかったスタと、俳優として完全に活動していない時期のあったシュワとでは経験に差があるし、ロッキーやランボーといったほぼ分身と言えるキャラを通して枯れへと移行したスタと比較すると、単発企画でイメージチェンジを果たさねばならないシュワは、やはりハードルが高かったと言えます。 とはいえ、2011年のブラックリストにも載った実績があるだけに、脚本自体は良かったと思います。難病もののドラマ構成をゾンビのいる世界に置き換えたアイデアは光っているし、世界観の細かな作り込みにも目を見張るものがいくつかありました。ゾンビ化という現象が特段珍しいものではなく、「あの家のお子さんもゾンビ化しちゃったのね。かわいそうに」くらいのテンションで語られるという世界観はかつてなく、ゾンビ化の過程にある人々もある程度社会的な暮らしを営んでいるという設定は面白いと感じました。主人公の娘・マギーもまたゾンビ化を隠すことなくパーティーに出るし、迎える側も「噛むようにならない内は、まだまだ友達」という付き合い方をしています。 マギーを演じるアビゲイル・ブレスリンは相変わらずの芸達者で、この珍しい世界観をほぼ一人で体現しています。ただし、その上手さによって余計にシュワが下手に見えるという別次元の問題を引き起こしてはいますが。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-12-28 14:58:10)(良:1票)
399.  SCOOP! 《ネタバレ》 
はみ出し者のベテランと真面目な若手という構図はかなり類型的ながらも、主演二人の華できちんと持ち堪えています。 問題はお話が面白くないことで、テンポ良く小ネタが繰り出される前半パートは楽しめなくもないのですが、連続殺人鬼の表情を捉えようと奮闘する中盤と、リリー・フランキー演じるチャラ源が暴走する終盤がまるで面白くないため、映画全体の印象は良くありません。 特に終盤の悲劇の取って付けた感には凄まじいものがあり、「俺一人で行くわ」と思いっきり死亡フラグがぶっ刺さった状態で現場にむかい、式次第通りに死亡する都城の姿を見て衝撃を受けた観客が一体どれほどいたのだろうかと、実に心配になってしまいました。 どうやらチャラ源と都城との間には深い深い因縁があり、周囲に止められても都城はチャラ源との付き合いを止めないという辺りに男の友情臭があったのですが、その二人の関係の根源とは何なのかがバッサリと割愛されており、「その辺はお察しください」という雑な描かれ方となっているためさほどの感情移入ができず、終盤は劇中のキャラクター達だけが勝手に盛り上がっている状態となります。都城が死んだ後のエピローグは異常なまでに長く、こちら大して感動も衝撃も受けていないのに余韻に浸らせまくられたため、大変しんどかったです。 また、後半パートでは「ジャーナリズムとは何か」という真面目な切り口を持ち出してくるのですが、彼らの奮闘が社会正義に繋がっているようには見えず、見ている側としては覗き見趣味を出ていない状態で真面目な話をされても困ってしまいます。同種の題材を扱った作品としてジェイク・ギレンホール主演の『ナイトクローラー』がありますが、そちらは「パパラッチは人間の屑である」ということを大前提としたピカレスクロマンとして作られており、ゲス野郎の活躍を冷めた視点で鑑賞するという実に安定した作風となっていました。対して本作は、前半と後半でまるで正反対の主張がなされるために、特に後半が綺麗事にしか見えませんでした。 あと、福山雅治と二階堂ふみの中途半端なベッドシーンは本当に不要でした。人間の下劣な覗き見趣味をテーマのひとつとしている作品なのに、ベッドシーンをやたら美しく撮ってどうすんの。この題材で下着を決して外さないってどういうことよ。俳優のパブリックイメージへの配慮や芸能事務所からのダメ出しが激しく垣間見えてしまい、ここで一気に冷めてしまいました。
[インターネット(邦画)] 4点(2017-11-15 23:57:51)(良:1票)
400.  完全なるチェックメイト
チェス映画という前代未聞のジャンルを切り拓いた作品ではあるのですが、何が凄いんだか観客には伝わりづらい上に、そもそも画が地味という映画としては致命的な欠点を孕んだこの題材を真正面から取り扱うことは避けており、特殊な環境に置かれた天才が精神を病んでいく物語として全体が構築されています。チェスをまったく知らなくても何ら問題がないというレベルにまでこの題材を落とし込んでみせた監督と脚本家の工夫には恐れ入りました。 ただし、映画としてはまったく面白くありませんでした。頭のおかしい人が暴言や妄言で周囲をひっかき回すだけの内容で、誰にも感情移入ができないのです。フィッシャー以上のストレス下に置かれながらも紳士的な態度を維持できていたスパスキーとの違いなどの考察があれば面白かったのですが、二人の天才の関係性もやたら淡泊で描写が不十分だったので、盛り上げるべきポイントを逃してしまっています。トビー・マグワイアが狂気の天才役を演じる自分の姿を撮らせたくて、自分で製作費を集めて作った映画なのだから仕方ないのかもしれませんが、狂人だけを描いても映画は面白くなりません。むしろ、レクター博士の如く狂人は脇役にしてしまい、狂人に振り回される人達を表面上の主役にしてしまった方が、その存在は立ったのかもしれません。
[インターネット(吹替)] 4点(2017-10-14 01:41:35)(良:1票)
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