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381.  EVE/イヴ 《ネタバレ》 
女ターミネーターってな宣伝してたけど、ジキルとハイドだな。自分の抑圧されてた部分がロボットとなって動き出してしまう。兵器がわりのロボットになんでこんな精密さが必要なのか、と思うけど、派手な衣装で酒場で男を誘うの。後半になると子への妄執が前面に出てきて、子を求めてさすらう生霊ってな感じになっていく。一般人をあれだけ死傷してるんだから、自分の子どもが助かったからって、科学者ラストで笑わないでほしい。音楽フィリップ・サルドがちょっといい。リズムに乗って弦が切れ目を入れる大きな三拍子で、パラパラと木琴が入る。そうか、『最後の晩餐』の人か。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-28 09:42:57)
382.  君の名は 第三部
短期間築地のほうにあった松竹直営の名画座「松竹シネサロン」ってので、総集編で見たんだけど(500円)、わざわざ新規登録しないでも、ここに書いていいですよね。ハモンドオルガンの響きが、たまらん。日本のメロドラマに合ってる。宗教性のない非日常の賛美歌と言うか、普通の人なら一生のうちに一度訪れるか訪れないかという「人生の緊迫した充実」を、みなで協力し合って長引かせようとしてる世界。メロドラマとはそういった「純粋」の持続競争なんだ。この二人、みなに愛されるのに、不可能なお互いの愛だけに賭けていく。当人自身が不可能へ不可能へと追い込んでいく、その凄絶さ。家族崩壊劇として、まさに戦後の物語でもあった。主人公二人はただただ愛に殉じ透明になっていき、そのぶん旦那の浜口が、いい人からネチっこいコンプレックスだらけの人物に変容していくのがメロドラマの技法。「黒百合の歌」ってのは、これの第二部の挿入歌だったのね。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-27 09:46:34)
383.  あなたに恋のリフレイン 《ネタバレ》 
アレック・ボールドウィンのラヴストーリーなんて、あんまり期待しないで見たんだけど、これがいいの。ボールドウィン君は「遅れてきた二枚目」って感じで、先はないなあと思ってたが、こういう活路があったのか。プレイボーイのお坊ちゃんで、ラスト落ちぶれてぼんやりと・しかし夢心地でキム・ベイシンガーを見てるとこなんか、いい感じ出てました。粋な小噺。結婚離婚を繰り返す腐れ縁の話。上り坂下り坂ですれ違い続ける。けっきょくこの二人は「合ってるんだ」。愛って不思議。ニール・サイモンの本は練れていて、「銃で脅されたもんで」というせりふが後で「今度は大砲で脅されたのかね」と生きたり、病床の父にキムが会いに行ったところはかなり笑った。キムがちょっとトイレに立ったすきに意識を戻して「嫁は、嫁は」と言って、彼女が戻ったと途端にパタンと死んじゃうの。ラヴストーリーは二人の間のいい感じを描くのが大事で、それがちゃんと出来てました。小道具としての指輪もいい。歌詞の訳が付かなかったのが残念。
[映画館(字幕)] 8点(2013-02-26 09:38:57)
384.  夕陽に赤い俺の顔
「殺し屋」というイメージが持っているある種の情緒(ニヒルで・孤独で・斜に構えた)を、無効にしたい思いが感じられる。ちょうどヨーロッパ映画などでもポップな風潮が流行ってきたころで、その流れに乗ったのか。本来なら背反されるものが一緒にあることの「肩透かし感」みたいなもの。ドクターは医者と殺し屋を両立させていて、殺された人物に「ご臨終です」と宣告する。(当時の)近代的な団地をそれぞれの変装で行くおかしさ(殺し屋たちの個性が弱いのが残念、和風やくざの三井弘次なんかもっとうまく使えなかったか)。寺山の特徴は、情緒を排斥したい気分と、情緒にひたりたいウェットな志向とが重なっているポップ感で、殺し屋たちはドライにコンクールで腕を見極めようとするが、彼らが歌う歌は船頭小唄の替え歌で「俺は下町殺し屋さ~」となる。もちろんこの対比のおかしさがポップでもあるんだけど、情緒纏綿とした大正歌謡や下町という風土の肌合いへの志向は、ただ対比のために持ち出されたものでなく、彼の好みでもあったはずだ。監督篠田は松竹ヌーベルバーグとして括るのとは別に、鈴木清順と同時代人という(今まで考えたこともなかったが)世界的なポップの風潮での括りもあるんだなあ、と発見した。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-02-25 09:58:21)
385.  探偵物語(1983)
なんとなくつけている松田優作がまず楽しい。望遠で縦の動き。薬師丸と先輩とガールフレンドと探偵が縦にいる。ジェスチャーでのやりとり、鏡を使ったドタバタなどなど、いろいろ工夫の跡は認められる。クレジットの間、松田優作はずっと立っていた。積極的に褒める映画じゃないけど、語り口は『遠雷』のときより上達してて、ちょっと藤田敏八を思わせる軽快さ。尾行したり尾行されたりするってのは、一つになりたいという願望でもあるということか。薬師丸嬢は思い入れを込めない表情のときのほうがいい。ラストの松田君の表情が難しい、本人も困ったんじゃないか。へんに深刻ぶっちゃってないか、などと。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-24 08:57:23)
386.  掠奪された七人の花嫁
祭りの日の娘を獲りっこするダンスシーンの素晴らしさ。虹の七色のスカートがふわっとするのも美しい。動き続けること。奪い合うというモチーフを、様式化させ、しかも止まらず動き続ける。そのあとの斧の音を入れたナンバーも印象的。ミュージカルではどういうときに歌うかというと、モノローグ、会話、などあるけど、説教するようなのもあってそれも面白く、なかなか「こういうときになると歌う」と定式化できない(『雨に唄えば』では発音教室の早口言葉の練習から踊りだし、あれには興奮させられた)。歌いだす瞬間・踊りだす瞬間のときめきにこそ映画の秘密があるように思える。冒頭の無骨さを大袈裟にやるところもいい。大袈裟ってことと様式ってことが関係していよう。大袈裟・様式を通して、日常を離れた高みに上っていくこと、それがミュージカルか。
[映画館(字幕)] 8点(2013-02-23 10:14:48)
387.  御誂治郎吉格子 《ネタバレ》 
娘がお百度参りしているあたりから後半に、映画に濃密な空気を感じだす。特別構図が凝っているわけでもなく、ろうそくなどもっと装飾的に使う監督もいるだろうが、一つ一つの図柄の的確さが濃密な空気を醸している。理屈をつければ、治郎吉が彼女への同情を決定的にした瞬間で、つまりこの場にいないお仙のラストの悲劇がカチリと始動した瞬間だった、という運命的な見方をすることも出来る(もちろん観客はまだ知らないんだけど)。このあと彼女の不幸が自分のせいだと知る治郎吉、だから自分で自分の始末を付けるということでもあるんだが、そも「輪」からはみ出されていくお仙の意地っていうのが絡んできて、重厚。「あたしを忘れさせないからね」っていうのは、怖い。
[映画館(邦画)] 7点(2013-02-22 09:55:13)
388.  番場の忠太郎 瞼の母
母と抱き合うので驚かされる。もともと長谷川伸も二通りの結末を考えてたらしいんだけど、いろいろ手を加えても本筋の“身内に対して構えてしまう世の中の酷薄さ”が残っていれば、「瞼の母」である。実際、大衆演劇で演じられやすいように著作権も自由にしていたらしく、そうやって大衆に揉まれて伝説のように変貌していくのを許していたんだろう。加藤版でもホロッとさせる、違う母の手に重ねて筆をとるところなんか、リアリズムじゃない。もう様式であって、わざとらしいなんて感じちゃいけない。様式ってのは、一つの感情を大袈裟に・意識的に誇張して高い次元に持っていくことだ。吹雪の中で刀を構える千恵蔵のかっこよさなど、様式が練り上げた姿。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-21 09:54:01)
389.  竜二
後半締まってくる。友人がヤク中で死んだあたりからか。この男辛抱が出来ないの。「辛抱したって一度の人生、つまんないじゃない」という人生観にはもっともなところがあり、でもそういう男のために周りが迷惑するのも事実。やくざもかたぎも同じように空虚感は持ってるわけで、それを自分だけの不機嫌と思ってるとこにこの男の馬鹿さ加減があるんだろうが、でもこういう男は確実にいる、というリアリティはびんびん伝わってくるし、そういうのを見下す感じにはしていない。そこがこの映画のいいところ。かたぎの生活してみても、同じ空虚感が残っていることから来る焦り、みたいなものがよく出ていた。ゲートボールしているオッサンみたいになっていっちゃうんだなあ、って。
[映画館(邦画)] 7点(2013-02-20 10:34:29)
390.  マルタの鷹(1941) 《ネタバレ》 
ハードボイルド映画では、事件をクリアに理解できたことがない。ボーッと見てるわけでもないつもりだが、途中で理解困難になる。なんでだろう。本格推理ものよりは映画に向いてると思うんだけど、せりふの洪水に溺れてしまう。謎の女性の依頼によって始まる探偵の捜査、って導入は大丈夫だった。その後の展開もしばらくはキビキビと快調、P・ローレの怪しさも申し分なく、今回は大丈夫そうだと思えてたんだけど、「太った男」の登場あたりからかなあ、また不必要に膨張してきて、ラ・パロマ号の火災シーンでは、ああいつもの「渾沌」に突入してる、と肩を落とした。船長が鷹の像を持って瀕死でやってくると、もう寂しく笑うしかなかった。ただ終盤の「全員悪人」的な室内の緊張は分かる。若造がいるんで状況が立体的に膨らむ。自分を犯人に仕立てる相談の脇でじっと佇立している彼、おそらく内心ではカッカしてるその無表情ぶりがなかなかハードボイルドである。その若造とサムのクールぶり(「まったく度胸のいい男だ」)が呼応し合っているようで、サムのクールも、同僚を殺した奴は許すことが出来ない、という内心の熱を最後の最後に感じさせる趣向があり、ここらへん一番ハードボイルドの芯に触れた気がした。中の熱をくるむ外のクール。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-02-19 09:33:41)
391.  戦争と青春
実に正しい作品ではあるんだけど、同じことを反復してるだけでいいのか、という苛立ちも感じる。そりゃもちろん「何度も語らねばならない」と言われればそれまでだし、製作者たち一人一人の熱意をからかう気はなく尊重したいが、繰り返すごとに「津波警報」と同じで、緊迫が薄れていってしまい、かえってこういう反復が「戦争の記憶」を遠くへ押しやる加速度を付けてるんじゃないか、いう気もするんだ。このちょっと前に日本で公開されたドイツの『ナスティ・ガール』なんてのと比べても、日本の風土の甘さを感じた。ちょっと視点を工夫して、国防婦人会のおばさんたちの心なんかをこそ見詰めるべきなんじゃないか。弟が赤ん坊を渡されたときに「非国民の子ども」と思ったあたりをもっと突き詰めるべきだったんじゃないか。とは言え、この遺作が今井監督で唯一封切り時に観た作品でした。
[映画館(邦画)] 5点(2013-02-18 09:51:05)
392.  ラジオタウンで恋をして 《ネタバレ》 
原作がバルガス・リョサ(いまではノーベル賞作家)だっていうんだけど、特別南米文学の雰囲気はない。アメリカ南部の話。ラジオでソープオペラ(まあ昼メロと思えばいいんでしょ)が流行っていた時代で、それのパロディになってるらしいけど、もとを知らなくても、まあ笑える。大袈裟な音楽、ご都合主義的なラストの畳み込み、「兄妹じゃなくてイトコだった、いやイトコでさえなかった」、と「実は」「実は」が続くあたり。アルバニア人への悪口のくすぐりもあり、ちょっとくどかったけど、笑った。ドラマの中の近親相姦、現実のなかでの叔母甥の恋、15歳の年の差、と「常識に逆らう愛の物語」というのが芯になってはいる(「愛とは常識に逆らうもの」というか)。ただ一本の映画として見どころが焦点を結んでくれないんだ。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-17 09:50:18)
393.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 
でんでんは最初ピン芸人で、サングラス掛けてハードボイルド風にクールに登場し、それを外すとあの顔で、その落差で笑いを取るという、いたって単純な・しかしそこでは必ず笑える「芸風」だった(趣味は卓球と知って凄く納得)。その落差を本作では裏返しに使ったわけで、この映画に価値があるとすれば、彼にやっと助演賞を与えられたということ。最近でも印象に残っているのは『クライマーズ・ハイ』の、地方新聞はこういう人物によって支えられてるんだなあ、と思わせた部長、『母べえ』の、日本のファシズムはこういう善良さによって支えられてたんだなあ、と納得させた隣組の組長、など素晴らしかった。本作のようなアクの強い役でないと賞を貰えないのが悲しいところだが、ファンとしては嬉しい。園監督は映画作りより、役者起用に才能があると思っている。本作でのでんでんの前にも、安藤サクラ、満島ひかり、吉高由里子、と幾多の才能にスポットを当ててきた。もう当時から評価はあったが『気球クラブ、その後』の永作博美も素晴らしかった。本作で気合いが感じられたシーンは、落語の「らくだ」を思わせる逆転の前のでんでんの言い募りの場で、インテリが非インテリに対して抱いている根源的な不安を、彼がズバズバと突いてくる、その滑らかでない喋りの鈍痛感。
[DVD(邦画)] 5点(2013-02-16 09:55:58)(良:1票)
394.  無秩序な少女
すさんでいた少女が表現すること(劇団に入る)によって解放されていく話。障害者と一緒にするのはまずいかもしれないけど、宮城まり子の一連の『ねむの木』ものの映画をちょっと思い出した。市民社会から排除された者が「表現すること」で元気をつけていくという点では似た力学。ドキュメンタリーの強みもあって、あっちは優れた映画になったが、こっちは劇団仲間に魅力がなく、ストーリーがヒロイン一本だけで細く、話が拡がらなかった。ヒロインは自分から劇団に来たのに(ま、行くところがほかになかったし、ここも半分そういう更正施設を兼ねてるらしいけど)それにしちゃ、愛想がなさすぎる。秘書の応募に来たところを演じよと命ぜられ「私は働いたことがない」と爆発するが、あれは「市民社会ってのがどんなもんだか、まったくわからないので不安なんです」って裏打ちのある叫びに聞こえなくちゃいけないとこだろう。ただの「困った少女」でしかなかった。原案・脚本・監督ヤニック・ベロンって女性。
[映画館(字幕)] 5点(2013-02-15 09:46:06)
395.  昼間から呑む 《ネタバレ》 
豪放磊落なヒゲ面の漁師がこの世を謳歌するような題で、「なんか文句あるかっ」と凄んでるみたいな迫力があるが、そういう人生を励ましてくれる映画ではなく、「NOと言えない若者」のトホホコメディだった。それも人生、これも人生。呑んだ勢いでの友だち間の約束を、彼だけ守ってひなびた・寒い・虎が出る地方のペンションを訪れた主人公の苦難の旅路。市が立つ、と言っていたのは昨日のことだった。出会う人々につつがなく対応しようとして、窮地におちいり続ける。自分が年上だったらおだてられ、自分が年下だったら焼酎を呑まされ、儒教の国もつらい。韓国の地方の風物、小さな「なんでも屋」のおばさんなぞ実感ある。すけべ心というか、恋愛願望だけは挫けないのが若者の特権、いう話。ラストが秀逸。後半ちょっと分からなかったところがあり(公衆電話の外での財布回収?)、物語として何か理解し損なってるんだが、コメディとしてのノリは掴めたつもり。悪くない。
[DVD(字幕)] 6点(2013-02-14 09:47:32)
396.  息子(1991)
寅チームの役者が出ないことに気分一新の気合いを感じる。渥美清が全然出ない山田作品は二十数年ぶりだろう。原作ものだが、今でも『下町の太陽』は可能だ、という思いを感じ、この浮き足だった時代に、いや、そういう時代だからこそ、地道のほうが「いいではないか」と言っている。岩手での一周忌は『東京物語』や『寅』でのヒロシの母の死の記憶が湧き上がるが、いいのは尾久。夕方の都電沿いの風物の美しいこと。岩手の田舎の場はやや観念が先行してたようだが、こちらはフィルムにくっついちゃってる懐かしさがある。山田さんの下町のエッセンスを随所に感じた。そして繰り返される「いいではないか」。方言が出ないように気を張ってるとつい文章語になってしまうのか。この言葉の硬さが気持ちよい。
[映画館(邦画)] 7点(2013-02-13 10:30:39)
397.  アリス(1990)
おばさんのアリスにとっても、この世は不思議の国。カメラはいつものニクヴィストではないが、室内の光線などタッチは似てる(冒頭の室内の長回し、奥深い廊下)。現実は退屈だけど、それを覆す形式として「不思議」というものが必要になってしまう。浮気をするにも、媚薬の調合にラ・クンパルシータのBGMで促されなければならない。テレビドラマの作家になる才能もなく、自力で浮気をする勇気もなく、でもカトリック少女だった夢が、ラストで生きてくる。マザー・テレサになるんだ、カルカッタだ、って。秋の動物園、記憶の中の実家、家の前に懺悔室があって、ここらへんの秋の雰囲気が美しかった。常に平均点以上の作品を作ってるんだけど、なんかこのころから、新展開の驚きのない枠が窮屈に感じられ出した。この退屈世界では吹っ飛んだところまでいかないと、手応えを得るのは難しいよ、あたしたち現実のニューヨーカーには難しいでしょ、って嘲ってるようなところもあり。
[映画館(字幕)] 7点(2013-02-12 09:54:55)
398.  女と男のいる舗道
あっけなさというのがこの監督の重要な要素。ラストもそうだけど、初めて客をとってしまうところも、それらしい逡巡や決意の表情やらを見せず、出来事は不意に訪れる。街頭でのドンパチも、観客が「なんだなんだ」と戸惑ってしまうような仕掛け。観客に対する親切が紋切り型を作ってしまい、出来事を遠ざけてしまう、ということなんだろう。出来事は常に隣り合わせに起こり、ある種の自由の感覚がある。流動していくものを肯定する気持ち。人はいつも不意に状況の中にいるんだ、って。冒頭ヒロインのシルエットにタイトルが被さってるんだけど、音楽が中断しつつ流れる。音楽の中にゆったりと浸れない、沈黙が緊張を強いる。出来事が不意に起こるように、今続いているものが不意に消えることもあるってことか。
[映画館(字幕)] 7点(2013-02-11 10:25:06)
399.  里見八犬伝(1983)
敵の城に乗り込んでからは、けっこう楽しめた。巻きものがひゅるひゅる飛ぶのも良かった。ただ薬師丸ひろ子はミスキャストだな。彼女がいて作られる映画なんだろうから企画のミス。お姫様役者じゃないんだ。人気が出た若い娘だとすぐお姫様って、せいぜい60年代までの発想じゃないか。真剣に叫ぶシーンが向かないんだ。彼女は「一途な少女」がいいんだけど、それが内に秘められてる感じが魅力なんで、その点けっこう陰性なの。澄明な冷たさ。そういうところを生かす企画を立てるべきじゃないか(と当時の感想)。終わりのほうで真田君の周りで刀持ってうろうろしてたところなんか、滑稽というか可哀想というか。
[映画館(邦画)] 6点(2013-02-10 09:44:10)
400.  モンスターズ/地球外生命体 《ネタバレ》 
主観映像ものもそろそろ新鮮さが薄れてきたなと思われだした今日このごろ、これでは力のいれどころを「非日常の日常を記録していく視線」に傾注した。映画としては、こっちのほうが本道かもしれない。映像はすでにモンスターが暴威を振るったあとが主になり、それが「記録映像」のリアリティを生んでいる。廃墟となったビル、転覆している貨車、木に刺さった車、などが描かれ、それに壁の落書きやテレビのアニメなどが補強する。戦闘機の残骸を運んでいる地元民、おそらく貴重な金属資源なのだろう。非日常が日常になっている環境を丁寧に作り上げていく前半に唸った。地元の人たちの顔もいい、地図を見せてくれた太ったおばさん、フェリーの切符売り、などなど。戦時下の日常を記録していくジャーナリストの視線に徹する。でもそれだけで通すのは冒険すぎ、ラストにはいかにもモンスターものの場面を置くが、それはサービスと思おう。「宇宙戦争」の火星人に東宝のドゴラが混ざったような造形で美しい。サスペンスよりミステリアスな雰囲気狙いのシーン、スローテンポの緊張がいい。その後の結末は実は冒頭に提示されていたことが、口ずさまれる「ワルキューレの騎行」によって知らされる。アメリカの国境に「万里の長城」を建設しているのは、あれは「テロへの備え」を強調してはよそへのミサイル攻撃を繰り返していることへの皮肉か、ふわふわ漂う今回の宇宙生物に無効なのは分かってそうなものだ、と自己分析してるのかと思ったら、これイギリス映画なのか。なーるほど。
[DVD(字幕)] 7点(2013-02-09 10:04:29)(良:1票)
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