401. 仕掛人梅安
とりあえず、錦之介/嘉葎雄/十三の安定した芝居だけでそこそこ楽しめます。特に十三は、悪役が楽しかったのか、大いに気合が入っています。ただ、作品としては、前半の緊張感に比べて、後半は何か登場人物(特に脇役)を使いこなせていない感じで、ちょっとぐしゃぐしゃになってしまいました。それと、元締の縄張り争いというテーマ設定も、何だかなあ。やはり仕掛人は、闇からひっそり巨悪を仕留める存在であってほしい。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-02-28 23:45:43) |
402. 帰って来た女必殺拳
《ネタバレ》 前2作とほとんど同じパターンの同じ内容で、そして中身はしょぼくなっている・・・。そもそも、私はこの人を守る!と言って立ち上がったはずのその人がことごとくまったく守れていないのですから、正義の味方にすらなっていないのですよね。それで最後は無理矢理、何か哀愁を漂わせたまとめ方をしようとしているんですけど、この終始軽い運びでそれは無理でしょ。 [DVD(邦画)] 2点(2023-02-27 22:58:26) |
403. ねこタクシー
《ネタバレ》 猫をタクシーに乗せたら、お客さんの評判も良くて、内気な主人公も外向きになって、会社も儲かってめでたしめでたし、みたいな安直な内容になるのを危惧していたのですが、そうはなっていませんでした。序盤でうまくいくと見せかけておいて、強烈な法律の壁を当てて全部シャットアウトという展開が優れています。また、猫全体をどうこうではなく、あくまでも御子神様にフォーカスしているのが、安定性を確保しています。最後を(日本映画にありがちな)愁嘆場にせず、ナレーションの一言と木の葉の揺れだけで表現しているのも良い。●と、長所はいろいろ見つかるのですが、結局、登場人物のそれぞれがやっぱり類型的で、全体としては定番の枠を脱し切れていないのですよね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-02-26 00:54:51) |
404. 渚のシンドバッド
肝心の伊藤君と吉田君のあれこれの方は、何か単調で作為的でもあり、あまり面白くない。むしろ、周辺人物の方に見るべきものがある。清水さんはいかにもクラスにいそうな優等生キャラで、画面に登場するだけでぱっと焦点を引き寄せてしまうほどの存在がありますが、この女優の高田久実さんって、もしかしてほかには出てないの?また、浜崎あゆみがきちんと演技ができているのにもびっくりしました。あと、長回しの多用はなかなか意欲的ではあるのですが、「ほーらここが重要場面ですよー」というようないかにものところでばかり使われているので、かえって効果を削いでいます。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-02-25 00:48:41) |
405. 眠狂四郎 女妖剣
《ネタバレ》 導入部分だけで次々に設定と情報が詰め込まれる。この熱さと濃さ。さらには中盤でも話を膨らませておいて、最後に全部つじつまを合わせる強引さ。しかも、ラスボスっぽく登場する菊姫は途中から完全放置という、様式無視の奔放さ。本来、もっと長い尺で見たい作品でした。切支丹牢の幻想?シーンとか、回想のバック黒一色とか、実験的ともいえる無謀演出が割り込んで来るのも楽しい。そして、多分吹き替えでしょうけど、藤村志保様を二度にわたって脱がせるという乱暴狼藉!しかも序盤だけで出番終了!いや、作中の登場人物よりも、私からしたら、制作者の方がよっぽど悪だぞ、おい。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-02-24 00:14:26) |
406. ピラニア(1978)
どこをどう切ってもB級なのは、もともと予想どおりだからいいのですが・・・それでもやはり、肝心のピラニアがほとんど「見えない」のは、モンスター・パニックとしてはいかにも不十分ではないか。せめて、どこか途中で一匹だけでも回収し、生態の観察とか何とかいう口実で、そのディテールを見せる、ということはできなかったのかな。みんなが都合よく騒いでいるだけに見えます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-02-23 00:10:16) |
407. 美しき棘
《ネタバレ》 両親と姉不在のちょっとひねくれた感じの女の子が、夜ふらふら出て行ったり、よく分からないバイクの集会に参加したり、友人(親戚?)の女の子とあれこれあったり、そしてまた家に戻ってきたりという行動を追いかけた作品。こういう設定だと、単にその光景を撮りましたという自己満足に陥りがちなのですが、案外楽しめました。それはやはり、主演のレア・セドゥの着実な存在感がもたらしているのではないかと思います。特に何かの演技をしなくても、カメラの中で自然に生きているというか。 [DVD(字幕)] 5点(2023-02-22 00:49:09) |
408. 記憶にございません!
《ネタバレ》 それまでダメダメだった一国の代表が、何かがあって突然中身が入れ替わる、となると「デーヴ」という偉大な先例があるのですが(あっちは「人そのものの入れ替わり」でしたが)、何と、その枠をまったく出ていないのにびっくりしました。何でかと思ったら、全体的に、変に真面目に作りすぎているのです。ありえないシチュエーションなんですから、もっとギャップフル活用で笑わせにかかればいいのに、本来なら「決めの一瞬」だけに出てくるべきのような真剣な場面が、全体を覆っています。つまり、「無粋」なのです。●いえ、安定はしています。見ていて楽しめはします。しかし、かつての三谷作品のヒリヒリするような集中ぶりを知った上で見ると、どう見てもこれって、本気になってない感が滲んでいるように見えてしまうのです。●あと、石田・小池・吉田の3女優が魅力的な存在感を発しているのですが、妙にキャラが被っているのが気になりました。演出のクセ、とは思いたくないですが・・・。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-02-20 01:17:20) |
409. 眠狂四郎 円月斬り
《ネタバレ》 短時間の割にいろんな登場人物を配置しているのは頑張った形跡が窺えますが、やっぱり整理しきれてないかな・・・。みんなの動きがやたら慌ただしくて、結局、誰が何をしたかったのかがよく分からない。まあ、狂四郎は常に安定の強さなので(例え牢に入れられても)、それを見ているだけで楽しめはしますが。しかし、名刀を手にした狂四郎が何をするかといえば、特に必要性もなく女の着物を切って脱がせるだなどとは、そういうアホさがさらっと紛れ込んでいるというのも、なかなか奥が深いのかも。いや違うか。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-02-19 00:55:22) |
410. 女必殺拳 危機一発
《ネタバレ》 前作とほとんど同じような作り方なんですけど、やっぱり前作よりしょぼくなっています。ほぼ全部が、「やってきた敵を悦ちゃんがやっつける」→「ぐぬぬ、あの小娘、今度こそ生かしてはおかん!」→「次にやってきた敵を悦ちゃんがやっつける」のループだし。それでも前作はサポーターで千葉ちゃんがいたりして、まだまともなストーリーっぽかったのですが、今作ではそれもありません(一応倉田さんがその役回りなんだろうけど、出番は少ない)。あと、医者っぽい敵の「腕切りシーン」で、折り曲げている本当の腕がしっかり映っているのはちょっと笑いました。誰か気づけよ。 [DVD(邦画)] 3点(2023-02-18 00:29:06) |
411. 女必殺拳
いや、うん、とりあえず悦ちゃんのアクションが最初から最後まで堪能できるのはいいんですよ。しかしやっぱり、悦ちゃんのアクションが輝くのは、日本時代劇ですよね。こんなにひたすら「キエーッ」とか叫びまくる香港流は、悦ちゃんの魅力を十分に引き出しているとはいえません。もっとも、歴史的には、悦ちゃんの存在を世に知らしめて、後の1人の名女優(この時点では演技力はほぼ感じられませんが(笑)。当時19歳ですか・・・)の存在の礎となったという偉大な功績はあります。 [DVD(邦画)] 4点(2023-02-17 00:26:53) |
412. 胸に輝く星
《ネタバレ》 最初のフォンダがやって来るところで、「ただみんなが立っているだけ」なのにもたらされる不穏な緊張感。そして、冒頭10分で人間関係と背景を全部整理してしまう手際の良さ。その後も、シンプルな話の構造ながら、凝縮された台詞の一言一言が心地よく響きます。渓谷の対決の場面などは、「ここだけであとは最後まで押し切ってしまうのか?」と不安を導くも、そんなはずはなく、実はその決着(しかもまさかの生け捕り!)の後に真の課題が待ち構えています。ヒロインの若ママとのあれこれはもう少し見たかった気もするけど、まあこんなものでしょ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-02-15 01:14:26) |
413. 幸せへのまわり道(2019)
《ネタバレ》 心に傷を負った男が、インタビュー先で出会った人物とやりとりをしている間にその奥に変化が生じてきて・・・となれば、ありがち異環境交流モノを想像するのですが、意外にしっかり作り込まれた内容でした。まず、2人のやりとりにきちんと重心を置いて、誠実にその会話に向き合っているのがよい(脚本上の言葉の一つ一つがしっかり詰められている)。また、こういう作品は目まぐるしい切り返しにもなりがちなんだけど、そうならずに腰を落ち着けているのもよい(中盤のカフェの「沈黙シーン」に顕著)。全体としては、結局は定番の枠組を出ておらず、特に終盤は物足りない気もするのですが、製作側の丁寧なスタンスは伝わってきます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-02-11 00:22:05) |
414. 新・明日に向って撃て!
「若かりし頃」なんだから主人公2人が何か未成熟なのは別にいいし、ウエスタンというよりも裏街道青春モノではないかというのもまあいい。ただ、結局は一本の筋が見えない継ぎ接ぎ感満載の内容だし、ところどころ笑わせにかかっている箇所も、かえって浮いている。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-02-10 00:10:06) |
415. 能登の花ヨメ
《ネタバレ》 主人公が能登に行って起きるあれこれの描写が、いちいち陳腐なんですよね。最初のハイヒールバキッのところで大体想像できてしまいますけど、その後も、お茶とコーヒーがどうとか、料理の捌きがどうとか、キノコの種類がどうとか。●で、クライマックスにキリコ祭りを持ってきてはいるのですが、これの描写もまったく凡庸で。大体、およそ祭りとは地域の理解なくしては成り立たないわけで、反対論圧倒的多数の中で勝手に開催前提で走るって、ありえないですよ。火事が起こって小屋ごと消失するとかいう下らない危機を出す暇があったら、どうして、汗を流して反対論の人を1人1人口説いていく過程を描かないの?チラシもポスターも電話がけも、それからの話ですよ。そして、何年ぶりかの開催であるという設定にもかかわらず、いざ始まりのときの整列の瞬間、担ぎ上げの瞬間、動き出しの瞬間も撮らない。制作側自身が祭りの表層しか見ていないことが露呈してしまっています。 [DVD(邦画)] 2点(2023-02-08 01:04:37) |
416. 風に立つライオン
《ネタバレ》 どうしてこの種の遠隔地モノって、主人公はとにかく前向きでいい人で、現地の子供たちはちょっとスネた子もいるけどみんな素直で目が輝いていて、主人公が何かすると揃ってワイワイ大喜び、みたいな定番パターンばっかりなのかな・・・。この作品も、いくらアフリカロケの風景を贅沢に入れ込んでも、そういう中身の乏しさはカバーできていません。中盤以降の時系列操作や場所飛ばしはちょっと面白かったけど、何となく全体のバランスが悪くて(日本パートにあんなに延々と時間を使う必要はないはず)、本来可能なほどには機能していません。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-02-07 22:22:56) |
417. 地獄の掟に明日はない
このもったいぶったタイトルとは裏腹に、何ともしょぼい内容です。そもそも主人公の高倉健が、ヤクザといわれても堅気といわれてもどっちでも通用しそうなのは、演出の根本がおかしいのではないでしょうか。また、高倉・十朱・三國の中心3人の演技の息も合っていませんし、佐藤慶が敵ボスというのも変な感じです。脚本自体、担当者が締切に追われて1日半くらいで適当に書き上げたようなレベルです。そういったことを総合して、進めば進むほどつまらなくなっていくのにびっくりしました。 [DVD(邦画)] 3点(2023-02-06 23:29:24) |
418. 0課の女 赤い手錠
《ネタバレ》 登場人物がことごとく全員ぶっ飛んでいる。それも、いかにもな感じでぶっ飛ぶのではなくて、真剣に前向きにネジがずれているのが怖い(特に、室田のオッサンのあの楽しそうな狂気演技!)。そして制作側は自信満々で前に進んでいく。そんな感じで、ターゲットの2人目くらいまでは、はっきりいって最高でした。ただ、その後が妙に拡散してダラダラしてしまって・・・大体この主人公、後半はほとんど何もしてないのでは?主役がほとんど郷&室田になってしまってますよ。やはりここは、当初の設定どおりに、主人公に粛々と任務を遂行していってほしいところでした。ぶっ飛び映画だからこそ、ホネは大事です。 [DVD(邦画)] 6点(2023-02-04 00:25:47) |
419. 三匹の牝蜂
《ネタバレ》 主役の3人がズベ公(←死語)設定で、「一丁やったるか!」のノリだけであれこれ突破していくという作品。という時点で予想されるとおり、何とも暑苦しくてアナーキーな内容。大体、その3人の活動のクライマックスは、「万博にやってくる客を当て込んで、女性を調達して売春管理稼業に精を出す」というものである。そして、登場人物にも制作者にも、その行動に何の迷いもない。むしろ天晴れである。もっとも、登場人物で一番安定していて、かつ一番要注意なのは、金の力で平和にお姉ちゃんを買って、満面の笑みでハッピーに去っていく左卜全爺さんだったのではという気もしないでもない。あと、和田アキ子が歌う主題歌は、隠れた名曲だと思います。 [DVD(邦画)] 6点(2023-02-03 01:16:27) |
420. リード・マイ・リップス
《ネタバレ》 それぞれちょっとずつ社会からずれている(疎外されているともいう)男女がめぐり会って、速攻で対立して終わりかと思いきや、何となくウマが合って、そして何だかんだと相互にうまいこと利用し合いながら、その後を探っていく。なかなか先を読ませない丁寧な構成でした。男が捕らわれた危地からの脱出の機転の方法も、頓智が利いています。ただし、肝心の敵ボスとやらが、怖い存在という設定の割にはあまり怖そうではなく、むしろ随所で間が抜けていたような・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-02-02 00:33:40) |