4621. ボディ・ターゲット
《ネタバレ》 これ以上ないくらいシンプルでありがちな内容なのに、なぜか何回見ても飽きないという不思議な作品。冒頭、固定カメラで護送車を捉える静かなロングショット、そこから一気に脱獄課題を片付ける手際の良さといったあたりで、すでに類例アクション作とは異なってくる予感が漂う。また、この護送車の中の映像に始まり、光と影の使い方が、意外とどのシーンでも丁寧なのです。さらに、シンプルな中にも脚本も丁寧であり、言葉少なにすべてを語り尽くす主人公2人、そしてヒロインがヴァンダムと寝てしまう「ステップアップ」の自然さ(恋敵的保安官の暴走行動が、知らずして逆に後押しになっているという皮肉も込み)といった点も特筆すべきです。逆に、主人公が実は脱獄犯という要因は、ネタとして広げようとすればもっと使えたんだろうけど、あえてそのポイントは最低限に絞ることによって、流れを削がないことに成功しています。最後は冒頭に回帰する(外した手錠がまたかけられる)というラストも、運命と切なさを感じさせて、好感度アップ。そしてそして、忘れてはならない功労者は、ロザンナ・アークエットでしょう。こんな感じの、行動力も意思の強さもあるんだけど、でもちょっと疲れてきちゃった2児の母、という設定に、彼女はずばりはまっています。 [DVD(字幕)] 8点(2003-10-28 02:30:34)(良:1票) |
4622. 大逆転(1983)
《ネタバレ》 ありえない設定なんだからもっと突き抜ければいいのに、中盤までは、妙なところで演出が律儀だったりして、テンポが弱まっています。一方、終盤の大反撃の部分は、(みんなが集結するところから含めて)やたらとんとん拍子に都合よすぎで、やっぱり変です。ただ、そんな中でも、ジェイミー・リー・カーティスの堅実な仕事ぶりは素晴らしい。この人物(オフェーリア)をもっと活用してほしいところでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2003-10-27 23:47:42) |
4623. ニードフル・シングス
序盤は登場人物が錯綜していて分かりにくかった。それが筋として一体化していく中盤は良かった。ラストはあっけなかった。 3点(2003-10-27 02:59:44) |
4624. インビジブル(2000)
《ネタバレ》 視覚効果に無駄に凝っていながら、やっていることがその辺の小市民とまったく変わらない中盤までは面白かったのです。が、収束がただの単純ホラー+無意味な大爆発という凡庸なまとめ方だったのが何とも残念でした。 [DVD(字幕)] 5点(2003-10-27 00:07:15) |
4625. ティアーズ・オブ・ザ・サン
《ネタバレ》 中盤までの展開は実に感動的で、「この後は、命令違反のブルース・ウィリスは軍からも見捨てられて、ジャングルの過酷な環境と迫り来る敵軍の攻撃の中、部下を次々に失いつつも、瀕死の状態でモニカ・ベルッチを安全地帯まで送り届け、それを確認したところでひっそりと絶命するんだろうなー」と妄想に浸ってそれだけで泣きそうになっていたら、あのラストには少々拍子抜け。結局は軍隊様々なのか?と突っ込みたくなりました。大体、「彼はなぜ命令に違反したのか」が最大のテーマなのに、結局は所属する組織に助けてもらうのだったら、テーマの意味がないではないか。 [映画館(字幕)] 5点(2003-10-26 21:42:28) |
4626. アンドリューNDR114
《ネタバレ》 見ているときは冗長だと感じていたのですが、終わった後は意外なほど心に残りました。わざわざ親子二代にする必要はない(1人の相手だけでも、必要な要素は全部表現できる)と思ったのですが、よく考えると、そのように長い時間を「生きなければならなかった」(途中での退場も終了も許されなかった)ことこそが、彼の最大の哀しみだったのかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2003-10-25 02:44:28)(良:1票) |
4627. ブルーベルベット
《ネタバレ》 普通の世界を前提として異様な世界を覗き見ている前半の方が怖かった。つまり、全体が異様な世界になってしまったら、かえって怖くないのです。しかも、前半は、かっこよく忍び込んだらあっさり見つかってしまうようなところが面白かったのに、終盤はやっていることはその辺の刑事ものとあまり変わりません。唐突に仰々しいラストにもびっくり。 [DVD(字幕)] 4点(2003-10-23 01:39:41) |
4628. チョコレート(2001)
波乱も何もない淡々とした進行が、主人公2人の倦怠感、喪失感をそのまま表しているのが良い。だからこそ、2人の波長が共鳴していることが伝わってくる。恋に落ちているはずなのにハラハラもドキドキもありませんが、彼らの目には、世界はこのように映っているはずです。邦題も秀逸です。 [DVD(字幕)] 7点(2003-10-20 00:22:23) |
4629. ワーキング・ガール
前半は、内容的には大したことは言ってなさそうなのに当事者たちは異様に真剣だったので、見ていて醒めました。後半の展開も定石通りです。それでも終わった後の印象がそれほど悪くないのは、ラスト10分のおかげでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2003-10-19 04:21:53) |
4630. 赤ちゃん泥棒
ストーリーも面白くないが、登場人物が主役も脇役も含めて全員不愉快な人物だというのがいけない。 3点(2003-10-19 04:08:32) |
4631. 心の旅
これは、受傷からの立ち直りの記録でもなければ、家族の交流をテーマにしたものでもありません。1人の人生における「喪失」と「再生」の表現に挑戦した作品なのです。それに気付いたときに、この映画が一気に輝いて見えました。突っ込みが甘い部分とか、駆け足の部分もなくはないのですが、少なくとも、無駄な場面、無駄な台詞はほとんどありません。伏線が全部裏返るラスト15分にもぞくぞくしました。 [DVD(字幕)] 8点(2003-10-18 03:36:58) |
4632. ドクター・ドリトル(1998)
映像は楽しいのですが、それ以外には何もありません。 3点(2003-10-17 23:11:49) |
4633. 八月のクリスマス(1998)
《ネタバレ》 ラブシーンすら登場しない、ラブストーリーの秀作。最初に見たときは、あまりにも何も起こらない展開に少々肩すかしをくらった気分だったが、よく見ると、主人公ははじめから死を覚悟しており、そのために決して自分の恋愛感情を発展させないように強靱な意志で押さえつけていたのがよく分かる。周囲に何も悟らせずに、淡々と死を迎えるための準備を行っていた主人公の精神力が素晴らしい。そして、それを表現するために、余計な演出をすべて排して清冽な空気を醸し出してみせた制作者の姿勢にも好感。 [映画館(字幕)] 8点(2003-10-17 02:24:34) |
4634. ロープ
《ネタバレ》 最初に見たときは単なる実験的作品としか思わなかったのですが、再見しますと、まあ何ともぎちぎちにいろいろと押し込んでいるではないの。その濃密ぶりを堪能する作品です。最後に窓を開けて、外の音が入ってくる呼吸が何ともいえません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2003-10-16 02:28:49) |
4635. ザ・ペーパー
電話が何本も入ってくるとき、用事が立て込んできたときなど、まるでジェットコースターのようなスリリングな気分を味わうものですが、この作品は、それをごく自然に脚本の中で表現してしまったのが凄い。ストーリーについては、一瞬、拡散したかな?と思ったのですが、それを破綻なくまとめ上げた終盤は見事でした。真相追求型ミステリーとしても、実は良くできています。 [DVD(字幕)] 8点(2003-10-15 00:04:56)(良:1票) |
4636. ドラキュラ(1992)
《ネタバレ》 何でミーナがドラキュラに恋するのか、その過程が全然分かりません。なので、そこから後が全部説得力がありません。過去が関連しているというのならば(それだと面白いのですが)、その点をきちんと明確にすべきです。 4点(2003-10-13 23:44:59) |
4637. ジョニー・イングリッシュ
最初から最後までギャグ満載で、笑いっぱなしでした。テンポが良いだけではなくて、間を取るべき部分ではきちんと間を取っているのが素晴らしい。どんなオチが来るかは予測できるところも多いのですが、それでも笑わせられてしまうのも素晴らしい。実はスパイ・アクションとしての様式美も結構しっかりしているのも素晴らしい。「裸の銃を持つ男」を超えるのは、この作品です。 [映画館(字幕)] 7点(2003-10-13 01:04:14) |
4638. ファミリー(1983)
楔のような感動を打ち込まれる映画。不治の病の宣告を受けた母親が、10人の子供たちの引取先を探す、という出発点だけですでに胸が熱くなる。それぞれにそれを受け容れていく子供たちの純真で無邪気な反応が、切なくも眩しい。お母さんの苦悩と葛藤、そしてそれを乗り越える行動力は、ほとんど神々しいほどの輝きを放っており、すべての登場シーンに涙を浮かべさせる力がある。そして、アル中のだらしないお父さんの対応と変化が、さらなる涙を誘う。しかし、それらの涙とは、悲しみのための涙ではない。人間というものは、どんなに肉体が滅失しようとも、顔だけはしっかりと前を向いていけるということへの、限りない可能性に対する感動の涙である。最初から最後まで、まるで主人公の意志の力と同じように、鋼のような線が一本通った秀作である。 [ビデオ(字幕)] 9点(2003-10-12 01:26:39) |
4639. トーク・トゥ・ハー
《ネタバレ》 強引極まりない設定と、途中からさらに出てくる無謀な展開。しかし、これを作品として成り立たせているのは、ひとえにベニグノ役の彼の絶妙な存在感だと思う。どこまでも物腰丁寧な控えめな青年でありながら、行動自体はストーカーそのものだし、発想も根っこの部分で何かが完全に飛んでいる(が、彼自身はそれに疑問を持っていないし、当然だと思っている)。そして、他者と自分の発想の違いにも実は気づいていて、その距離感も保っている(だから、平素のコミュニケートで支障を生じていない)。これが少しずれただけでも、単なる変態に堕ちるか、あるいは犯罪者そのものとして袋叩きになっていたはず。ストーリー自体はむしろ単純でありながら、何かがじわじわ浸食されていくような感覚でした。 [映画館(字幕)] 6点(2003-10-12 00:19:46) |
4640. アダプテーション
もっと、頭が痛くなるくらいひねってくるのかと思って身構えていたのに、途中からは全く普通の展開ではないですか。あれでは設定の意味がどこにもありません。 4点(2003-10-11 23:26:00) |