461. 恐怖の報酬【オリジナル完全版】
他の方も指摘しているとおり、前半はオムニバス形式で落ち着きません。後半からようやく筋が見えてくるわけですが、最後に加わった殺し屋風の男の参加理由は今でもわかりません。セリフをギリギリまで削ぎ落としたようで、このあたりは勝手に想像しろということでしょうか。 しかし運搬が始まってからは、いろいろどうでもよくなります。とにかく生きるか死ぬかの瀬戸際の連続なので。CGでも特撮でもなく、よくこんなシーンを撮れたなと驚くばかり。このあたりは十分に堪能させてもらいました。終盤はなぜかホラー的になったし。 で、最後の最後に出てきたオッサンは何者でしたっけ? ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、見る側の集中力と記憶力を試すような終わり方でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-25 01:47:31) |
462. ハンバーガー・ヒル
超久しぶりに再見。以前見たときは「とにかく戦闘シーンばかり」という印象だったのですが、今回はその合間の会話シーンが滲みました。主役はドン・チードルと軍曹とドク、といったところでしょうが、誰かが特別に目立つとか、活躍するということもなく、なんともリアルな感じです。 もっとも印象に残っているのは、軍曹がテレビクルーに向かって「ベトコン以下」と吐き捨てるように言うところ。戦争映画の定番シーンながら、本当にそうだったんだろうなという気がします。時代を越え、洋の東西を越え、こういう価値観は共通するようで。当のテレビ関係者は、こういうシーンを見てどう思うのかな。ぜひ聞いてみたいところです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-21 05:33:46) |
463. ニコライとアレクサンドラ
多くの方がつけているように、まさに「7点」の映画。まずニコライとか、レーニンとか、スターリンとか、トロツキーとか、ラスプーチンとか、かつて教科書で見た通りの風貌で楽しめます。ロシア革命前後に何があったのかを知るにはちょうどいい、内容も教科書的な作品です。 しかしそうであるがゆえに、教科書を読んでいるような退屈感もあります。レーニンが何をして支持を集めたのか、逆にラスプーチンやアレクサンドラが何をして嫌われ者になったのか、もう少し具体的に見たかった気が。それから4姉妹、顔立ちは若干違いますが、個体差はほとんどありません。 とはいえ、特定の人物を露悪的に描かないところは格調の高さを感じます。強いて挙げるなら、大義名分を得た一般大衆はかくも残酷になれるというお話ですね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-14 18:27:04) |
464. テキサス
なんともユルい作品。あのアラン・ドロンがアメリカに来て西部劇風のコメディをやるという、ただその1点だけを売りにして企画された感じ。しかし開拓民も先住民も騎兵隊も仲良くケンカしているようで、きっとこれがアメリカの理想像なのでしょう。バイデンに票が集まったのも、こんな世界にしてくれという思いがあるのかもしれません。 ただしテレビ版「スパイ大作戦」の大ファンの私にとって、マヌケなフェルプス君を見るのはなかなか辛いものがあります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-10 01:57:12) |
465. ロスト・バケーション
痛そうなシーンを除き、なーんにも考えずに楽しめました。損得とか名誉とか恥とか怒りとか色恋とかという社会性から切り離され、1体の動物として生還するか食われるかという話なので、おそらく万人が感情移入しやすいのではないでしょうか。 しかしサメの生態はよく知りませんが、本当にあんなにしつこいんですかね。もう人体ばかり3体も食っているんだから、そろそろ飽きそうなものですが。まるで悪意を持っているかのように周回するサメと、終盤の〝決着〟のシーンはいささか作為的な感じ。 とはいえ主人公が女性で良かった。たまたま少し前に「キャスト・アウェイ」を見たのですが、もし本作の主役が海パン一丁のトム・ハンクスだったとしたら、興味は大幅に削がれていたことでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-03 23:38:50) |
466. 大殺陣
モノクロのせいもあるでしょうが、家屋の様子がすごくリアル。とにかくボロボロで薄汚れていて湿っぽくて、たしかに江戸時代はこんな感じだったんだろうと思わせてくれます。昨今のやたらと小綺麗な時代劇にも見習ってほしいくらい。 しかし物語はムダに悲惨。ブサイクなヒロインの扱いもひどいものです。そこまでリアルを追求しなくても…。唯一顔がわかる平幹二朗の終盤の行動は面白かったけれど、最後まで見ても爽快感や納得感はありません。やはり家屋のように、ボロボロで薄汚れて湿っぽい徒労感が残るだけです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-10-31 19:10:44) |
467. グリーン・デスティニー
人間というのは、ぶら下げるとどんなアクションが可能になるのか。その見本市のような作品でした。特に終盤、白昼に竹藪の〝上〟で剣を交えるシーンはなかなか見事。私の脳内では、「君と出会った奇跡が~」という有名な曲の一節が何度もリフレインされるばかり。いや見事見事。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2020-10-29 02:22:35) |
468. ロープ 戦場の生命線
これは傑作。いわゆる戦争もの風のヒヤヒヤするシーンはなく、むしろ全編にわたってユーモアと皮肉が散りばめられています。しかし締めるところはピシッと締めて、特に少年にまつわる数々のエピソードはグッと来ます。 「ボーダーライン」におけるニコリともしないベニチオ・デル・トロもカッコいいですが、本作のように硬軟いろいろあって表情豊かな様子も魅力的。またその他全員のキャラもしっかり立っているところがすばらしい。それぞれに見せ場があって、1人欠けてもダメという感じがします。 そして圧巻はラスト。ここまでのストーリーをすべて回収する「雨」と、「花はどこへ行った」がきわめて印象的。見ている人は多くないようですが、ぜひ誰かに勧めたい。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-10-26 01:19:28)(良:1票) |
469. 座頭市海を渡る
《ネタバレ》 シリーズをすべて見たわけではありませんが、本作はちょっと毛色が違う感じ。いつもは被害者になるはずの村民・農民が曲者だったり、悪代官が登場しなかったり、ヒロインと恋愛に発展しそうになったり。しかし例によって座頭市は無双だし、寂寥感漂う夕暮れのラストシーンも健在。 結局、いかにも悪そうな山形勲一派はあっさり全滅させられ、ずる賢く立ち回った小市民が最大の恩恵を受けるというのは、なんともひねくれています。世の中なんてそんなもの、ということでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-10-23 02:30:31) |
470. ラ・ラ・ランド
《ネタバレ》 ド定番なストーリーで、主な登場人物は2人だけ。しかもその2人も、どこにでもいそうな平々凡々な人物。ところが、最後まですっかり惹き込まれてしまいました。ミュージカル的なシーンにありがちな違和感もまったく感じないほど。 おそらくそれは、スタバ風に言えば「手の届く贅沢」を描いているからかなと。もともと才能のある人物ががむしゃらに頑張って成功を掴み取るというのではなく、凡人が「こうなったらいいなぁ」と夢想しつつちょっとだけ頑張ったら、幸運に恵まれましたという感じ。そこに悲壮感はないし、貧困とか格差とかややこしい問題も描かれません。凡人代表の私としては、登場人物を応援するというより、「こういうこともあるよね」と共感するばかり。 そして話は突然5年後に飛び、2人とも「手の届く贅沢」を手に入れますが、「手に届いていたはずの贅沢」は手放してしまいます。その描き方がまたせつなくて、心を揺さぶられます。やはり、「こういうこともあるよね」と共感するばかりです。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-22 02:30:55)(良:1票) |
471. キャスト・アウェイ
《ネタバレ》 非日常を堪能させてもらいました。しかし悪魔的なことを言えば、「でもフィクションでしょ?」という冷めた感覚も終始付きまといます。わざわざ実在の物流企業を登場させてリアリティを出そうとしているようですが、あの状況下で4年も生き永らえることは本当に可能なのか。「すごい」と言ってしまえばそれまでですが、脚本家の指先1つで1年でも10年でも書き換え可能なので、今ひとつ信憑性がありません。 むしろ興味深かったのは、帰還後の浦島太郎状態。ここはものすごくリアリティがありました。しかしさんざんステーキを食った後に天丼が出てきたようなもので、胸焼け感も否めず。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-19 01:37:21)(良:1票) |
472. きっと、うまくいく
《ネタバレ》 深刻な問題も含みつつ、終始明るい雰囲気なのがいい。大方予想できるオチも、雄大な景色と相まって爽やか。突然始まる妙なダンスも、なぜか違和感のない不思議。これが歴史と伝統を誇るインド映画の実力でしょう。 しかし超カッコいい主人公に親友がいて、彼女がいて、イヤミな同級生がいて、頭の古い教師がいるという設定は、日本の「学園モノ」の定番でもあります。日本人が日本語で演じるとクサくて見ていられない感じになりますが、外国人が外国語で演じると魅力的に映るのはなぜなんでしょうか。このあたり、ぜひそのへんの文化人様に研究論文など書いていただきたいものです。 ついでに言うと、ヒロインがもう少し美人ならよかったなと。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-17 02:04:58) |
473. ペイルライダー
全登場人物の中で自分だけがめっぽう強くて、自分だけがひたすらモテで、自分だけがやたらとカッコいい役を自分で監督するというのは、どういう心境なんでしょうか。少なくとも私には無理です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-12 02:07:30)(笑:1票) |
474. ヴァン・ヘルシング
要するに他人の格ゲーをずっと見ている見ているようなもの。それにしては妙にストーリーがゴチャついていますが、そのあたりはどうでもいい感じ。 しかしこれほど背景も人物もCGを多用するなら、いっそ役者など使わず全編CGにすればいいのに。少なくとも、そのほうがずっと安上がりに作れるはずです。ま、個人的にはあまり合わなかったということで。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-10-05 01:17:53) |
475. ティアーズ・オブ・ザ・サン
アメリカさん、これからも世界平和がんばってね! [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-09-26 22:41:35) |
476. 探偵物語(1983)
《ネタバレ》 薬師丸ひろ子が松田優作に惚れるのはわかるが、松田優作が薬師丸ひろ子に惚れる理由がまったくわからない。 それと、そもそも誰からの依頼で尾行してたんでしたっけ? 見どころはそれぐらいですかね。 同じ「探偵物語」ならテレビの圧勝です。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2020-09-24 23:39:17) |
477. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
リュック・ベッソンって、息もつかせぬハイテンポな映画の名手だと思っていたのですが、この作品はずいぶん印象が違います。まるで意図的かのようにダラダラ長く、散漫な感じ。ジャン・レノのキャラクターは面白いし、ヒロインの言動にはけっこうグッと来るんですけどね。 要するに、人間として生まれてくるべきではなかった男を愛してしまった、ごくふつうの都会の女性の悲劇、といったところでしょうか。封切り当時は大ヒットしたらしいですが、どのへんがいいのかよくわかりません。 あと、ヨーロッパの海にはイルカしか棲息していないなんて驚きです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-09-21 15:41:26) |
478. 追想(1956)
《ネタバレ》 前半はモヤモヤしながら進行します。ユル・ブリンナーは単純にカネ目当て? バーグマンは本物or偽物? その霧はなかなか晴れないのですが、軽妙なやりとりや細かなユーモアが魅力的で飽きません。 で、中盤以降はモヤモヤ自体がどうでもいいのだと気付かされます。圧巻はやはり、バーグマンと皇太后の謁見シーンでしょう。半世紀以上も前の映画なのに、バキバキと緊張感が伝わってきました。その後に来る弛緩シーンでは、こちらまで泣き崩れそうになります。 それにしても、終盤の皇太后による「私は過去に生きる、未来はあなたのものよ」とかいうセリフはグッと来ます。それは年齢差の問題だけではなく、背負っている肩書や、革命によって失った祖国をなお愛する気持ちが込められているのでしょう。潰れかかった会社が、若い社員をリストラするときに使えそうです。 そして最後の演出も見事。主役2人を登場させないことで、ハッピーエンドでめでたしめでたしという思いと、もうこのドラマも終わりだなあという一抹の寂しさを感じさせてくれます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-14 23:52:17)(良:2票) |
479. 座頭市関所破り
見どころは平幹二朗との一騎打ちのシーンでしょうか。勝負自体はあっさり終わりますが、さすがに空気がピンと張り詰めて迫力がありました。除夜の鐘を聞きながら、というのがまた渋い。 他は相変わらず。悪代官と悪名主みたいなヤツが結託して庶民をいじめ、悪党一派が賭場を開き、結局は座頭市にすべて掃除されて終わり。やっていることは毎回同じです。 しかし、同シリーズを何本か見て思いました。最大の見どころはオーラスのワンカット、夕暮れに1人で佇む座頭市の姿なんじゃないかと。大勢を救っているのに誰からも見送られず、ヒロインさえも登場せず、ただ消え去るのみ。その寂寥感が心に沁みます。ほぼ同時代に観客動員数を競ったであろう「男はつらいよ」の場合、オーラスは常にハレの日の明るい昼間、威勢のいいテキ屋のシーンでした。この対照性がなかなか面白いかなと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-11 04:47:52) |
480. アルゲリッチ 私こそ、音楽!
アルゲリッチに関する予備知識はほぼゼロ。かなり昔、「美人天才ピアニスト」として雑誌やポスター等で何度か見た程度。だから「老けたなぁ」というのが第一印象で、最後までそれ以上でも以下でもありません。3度の結婚と3度の離婚というのは、世間一般的には珍しいでしょうが、芸術家の世界ならありがちな気がします。だから映像にするほどのドラマがどこにあったのか、結局わかりませんでした。 それにしてもこの邦題、「私こそ音楽」とは、ずいぶん大きく出ましたね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-09-09 00:44:02) |