461. いま、会いにゆきます
会いに来た竹内は、本当は竹内ではないほうがよかった。なんか知らんが、神というか、幸せを運ぶ天使というか、とにかく死んだ奥さんで無い誰か。そんな赤の他人が、愛する母を失った哀れな父と子を救済に来た、という映画なのではないか。だから記憶喪失ではなく本当に知らないし、日記を読んで状況を把握した後も、中村を愛するのは、父子を救済するための芝居なんだ、そう考えていた。・・・で、それで自立していく父子の映画なんだ、良い映画やなあ、と、思っていたら、おやまあ、あの竹内は本当にタイムスリップしてきたのかいな、うそじゃなかったんだーーーと、勝手に少しさめてしまった。しかし驚きの感動があったので、僕は好きです。セカチューよりも志の高い映画。あ、思い出した、白い犬とワルツをに似てるんだ。 [DVD(字幕)] 9点(2005-10-18 02:48:21) |
462. パッチギ!
10年ぶりに再見。10年前の僕はここに、「とうぶんのあいだこれを越える邦画は現れない」などと書いていたが、今見るとそんなことないなって恥ずかしくなった。 でもこう言おう。これは相当なエネルギーのこもった監督のヘタレだ。雑な脚本も、冷静になるとややシブイ。 葬式やるおうちの、ハイオクっぷりが、彼らの生活環境や過酷な半生をしっかり表現するはずなんだけど、笹野の説明ゼリフでそれを表現するのは、ややへたくそだ。 [DVD(字幕)] 6点(2005-10-12 11:23:25) |
463. 世界の中心で、愛をさけぶ
まず、丘の上の散骨は、誰がどうみても『ビッグリボウスキ』を思い出すがそれはいいとして。 その時に婚約者の目の前で昔好きだった女の子の肉声テープを聴くことが出来る、大沢のデリカシーの無さが理解できない。逆に、そんな婚約者を見つめる女としての気持ちが見えてこない。誰を好きになるのは自由ですが、柴咲はびっこ引いた演技は余計だ、必要がない、せつめいくさい。 「未練からの解放」がこの映画のテーマだと思ったが、愛する人を失ったら、その子との思い出の肉声テープをなんのためらいもなしにイヤホンで聞くことが出来るのか?その無神経さが全く理解できない。話を進めるためにテープを聞いて回想っていう構成は映画にしやすいだろうが、そうやすやすと聞けないって!あんな愛らしい声を聴いてしまったらさ、懐かしさと、悔しさと、何もしてやれなかったことへの痛さ、若干のえろい思い出などが開闢し、精神が破綻してしまうよ。それでも聞くというならば、大沢はものすごいM野郎だ。マゾ!。とくに体育館での懐古シーンでは、Mならではのマスターベーションとしか思えない。相当快感だったでしょう。その様子を柴咲が目撃しているのもどーしょーもないね。肝心の長澤は、主人公ではないはずだが、テープの声としてナレーションぽくしゃべるじゃん。なんか話を進めているのが長澤みたいで不自然。朔太郎の「未練からの解放」の映画のはずが、長澤の死への同情お涙頂戴映画に変貌する有様は、嘆かわしい。その締めがビッグリボウスキだからもう笑ってしまうよ。 [DVD(字幕)] 3点(2005-09-30 23:17:47)(良:2票) |
464. ビッグ・フィッシュ
映画自体、作り物を撮影して入念に編集されているのだから、ある意味ホラ話。だが、この映画の中で爺さんはそのホラ話に包まれ死んでいく。映画って僕にとってワンランク上の世界、桃源郷。そこに旅立つことが出来た爺さんがとてもウレシそうだった。全てのロマンティストが望む最期であろう。 [DVD(字幕)] 9点(2005-09-30 22:56:33) |
465. ヴィタール
ただ単に解剖という一般には出来ないことをやりたかっただけで、それをえいがにするために安易なラブストーリーを絡めたというだけの映画。 [DVD(字幕)] 5点(2005-09-30 22:51:12) |
466. 下妻物語
《ネタバレ》 土屋アンナがたまらなく素晴らしかった。最初の登場の時に、ようするにあのヤンキーの人生(田舎者でイジメの過去を持ち小池栄子に憧れ、やがて男に惚れていく)をすべて背負っている。なのでベル●ーチにすげーすげーと騒ぐ姿や、喫茶店で自らの理想を語る時の目線の仰角や、利根川河川敷での「花とアリス」での鈴木杏を凌駕する失恋泣きなど、絆創膏だらけの女の子を見事に誕生させた。皮肉にもロリータファッションは深田よりも土屋のほうが格段に似合っている。その様子から見ても、この映画は土屋が主役であった。 最後の後日談は説明しすぎですよ。 [DVD(字幕)] 9点(2005-09-19 00:40:39) |
467. 聖なる嘘つき/その名はジェイコブ
《ネタバレ》 絶対悪(ドイツ兵)の前でああいうウソを描くから、聖なる嘘になるのでしょうね。ただ少なからず他人に大きな迷惑をかけてしまっていたので、贖罪は必要だった、そのため最後は撃たれたんですな。 独り言で状況を説明していくのは今ではもう時代遅れ。ですが、あのラストシーンの戦車に乗って歌うソ連の人、それを聞いて奇蹟に涙する少女、この終り方は秀逸。 [DVD(字幕)] 9点(2005-09-19 00:32:23) |
468. ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう
ばーかでー! [DVD(字幕)] 7点(2005-09-19 00:27:24) |
469. チャーリーとチョコレート工場
演出で映画館がチョコレートの香りで包まれていましたが、そんなことせずとも十分映画からチョコレートの香りが薫ってきました。昔ジョニーデップがショコラっていう映画出てましたが、チョコ好きですねえ。工場内の夢と魔法の世界と、寒々しい外界との対比。特にチャーリーの家ははやく生活保護を受けさせろって感じで、斜めってておもしろい。でも被害にあった子供たちかわいそうですよ。 [映画館(字幕)] 9点(2005-09-14 00:32:18) |
470. 花とアリス〈劇場版〉
三角関係の様相を呈してきた頃から映画の深みがぐっと増し、それに負けず劣らずハナとアリスも輝き始める。それぞれハナはドアップ泣き、アリスはバレエ披露といった山場が与えられていてこの映画がハナとアリスであったことを再びソシャクできる。話的には都合がよすぎるせいか薄い印象を受けるが、それはシンプルという言い方にすれば、いくらでも応用が利くといううこと。こういう点でとてもイマジネーションが感化される。岩井ブランドのぼやけた映像やピアノやカットや光がそれをさらに滑らかにし、極上の後味をのこす。岩井の次回作を待ってならない。 [DVD(字幕)] 9点(2005-08-28 12:33:06) |
471. ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版>
そもそもこの映画、完全版とか最終版とか、ノーマル版とかあるらしいが、全部違うのかしら?僕は最終版を見ました。ブレードランナーくらい見ておかないととおもいまして。生きたがるレプリカントの気持ちは切ないです。特になにも語らないからこそ、憂いをおびた彼らレプリカントの瞳に魅せられます。 [DVD(字幕)] 8点(2005-08-24 21:36:39) |
472. スターシップ・トゥルーパーズ
へんな戦争映画よりも、反戦的である。 [DVD(字幕)] 8点(2005-08-23 01:37:57)(良:1票) |
473. ゴダールの決別
記念すべき300レビュー!!!!その300個目にこの映画。 うー。わかんねえ、最初の3分ですでに置いてけぼりされた。これは裸の王様だ。よさが解らない。いい映画にはみえない。2点がいいだろう。 [ビデオ(字幕)] 2点(2005-08-23 01:33:12) |
474. 星になった少年 Shining Boy and Little Randy
スマトラ島沖の地震で、津波の予感を察した象たちが鎖を断ち切り人間たちを鼻でかっさらい、丘の上まで避難させたという。この話を聞いて、僕は象が大好きになりました。象っていい動物ですよ。だからこの映画も見ざるを得なかったというわけです。 で、象の活躍をもっと見たかったなあといいうのが僕にはありまして、滝から落ちかかる少年を救助するときとか、あの鼻明らかに作り物じゃねえか?そんなんじゃなく本当の象のすばらしさを見せてほしかったです。曲芸だってもっと、葬列に混ざる象はもっと観客を泣かせることができただろう。映画なんだからそれくらい象にもがんばってもらわないと。 少年が中央に描かれすぎた感じもある。かのショーシャンクの空にみたいに、客観的なモーガンフリーマンの解説みたいな感じで少年を追いかけていっても良かったと思う。少年がひとりで悩むシーンとか、見せすぎだったと思う。たとえば両親の目線で映画を進めるとか、「私のクラスメイトには、こんな男がいました・・・」とか、でもいい話。 [映画館(字幕)] 8点(2005-08-20 16:07:32) |
475. チーム★アメリカ ワールドポリス
人形でやったのは俳優に対するアンチテーゼか、確かに実在する俳優をばらばらに打ち殺しているところからして、悪の枢軸国よりも俳優達に対しての方に対する怒りを強く感じました。笑ってみていられる今の世の中、平和ですねえ。金正日を怒らせて痛い目にあうのは日本ですから、すこしハラハラしました。拉致被害者はスタンディングオーベーションですかね。ファックムービーです。 [映画館(字幕)] 9点(2005-08-11 00:36:17) |
476. ショーン・オブ・ザ・デッド
イギリス映画にでてくる人々はなんかタンパクで僕の肌に合わないのですが、やってることは面白かったです。必死さがないのがいいね! [DVD(字幕)] 9点(2005-08-11 00:26:05) |
477. ノー・マンズ・ランド(2001)
あの二人が、あの時、仲良くなれたら、きっとそんな感じで戦争はなくなり世の中は平和になっていくのでしょう。でも、ヨーク考えると、あんな状況であの二人が仲良くなれるわけない。だからこの戦争はおわらないんでしょう。それくらい平和って難しいことなんですな。報道陣が一番無関心で最前線の連中に感情移入している我々にはうっとうしい存在に見えるが、かれらがテレビで世界にブロードキャストすることによって彼ら最前線の皆さんは存在が確認できる。その網にかからない人たち(この場合地雷男)に一番の悲劇があることを知らず。くだらねえ。 [DVD(字幕)] 9点(2005-08-06 20:40:49) |
478. サスペリア(1977)
怖いには怖いですが、極彩色の照明とかはなんか高校演劇でよく使ってるへたな感じだし、死体近くで撮影するからイメージの恐怖がわかないしリアリティないし。主役の女の子、体つきはとてもホラー向きだけど声が低くて雰囲気にずれる。飽きる間延びした手際の悪い編集とか、大してたいしたことはないです。 [DVD(字幕)] 7点(2005-08-06 20:30:59) |
479. レクイエム・フォー・ドリーム
久々に10点。 これまで日本の教育のおかげで、麻薬はゼッタイ、ダメということは学んできました。でもこの映画一本見るだけで簡単に理解できます。 とにかくお母さんが酷い。孤独な老後の生活から、生きがいがテレビと食事になっていく。ある日やってきた息子に希望のかけらを感じ、ダイエットに挑む。・・・もう僕はこの辺で切なくてギブアップしたくなるんですが・・・食事制限するがうまくいかず。ついにドラッグ(本人は普通の薬だと信じているが、)に手を出してしまう。あとは加速度的に廃人になってゆくわけです。 レビューは点数で表現して、ここでは麻薬について考えてみる。ドラッグの怖さは、やめられないとかラリってしまうとか、そんな次元じゃなくて、「死にたくても死ねない」ということなんではないか。幻想にうなされ禁断症状に震えていると、もう死にたいとか死ぬべきだとか思うのではないか。でも、死ぬ前にもう一度しゃぶりたい!というのがでてくるんでしょう。「死にたい!」「自分は要らない物!」「廃人!」って思いこむんだが、やはりイキモノのサガとして、それでも生きたいと思っちゃうんですね。でも、生きる=ドラッグにいつのまにかなってるんでしょう。ドラッグは、イキモノのサガをのっとってしまう、悪魔の薬。うん、悪魔って表現しっくりくるね。 [DVD(字幕)] 10点(2005-07-29 01:41:04) |
480. 皇帝ペンギン
真っ白な南極の世界へつれてってくれるのはとても貴重な体験でした。あんな世界が地球にあるとは、一度歩いてみたいですね。寒いのは嫌ですが。 で、内容。えー、多分、「極寒の地でたくましく生きるいたいけな姿のペンギンさんたちの、生きることの残酷で不思議な真実の生態のドキュメンタリー」を伝えようと、製作者達は必死に映画を撮っていたんだと思います。 でも、実際、ペンギンたちは本当に過酷な生活を送っているのだろうか?もちろんそんなこと人間には一生わからないことなのだが、映画を観ていて僕は「こいつら、あんまり辛くないんじゃないか?」と思いました。それはおそらくペンギンの演技が下手だからです。「もっと辛そうに!」っていう監督の指示をちゃんと聞いていたのでしょうか。それと、過酷さを演出する音楽とナレーションが、逆効果だったと思います。ナレーションが「母ペンギンは、吹雪の中、凍りついた海を求め歩く・・・」とかテンション低く語っているのに、肝心の俳優は、ペタンコペタンコ愛らしく列になって歩いている。こういったなんか“温度差”があるんです。 だから例えば「何でこいつら毎年寒い時期に限ってこんなところに集まってくるんだろうね、馬鹿じゃね?」とか「おなかで滑っていけるなら最初から歩いてないで滑れピッコロ」とか「あららー、雛がカチコチですねー」といったぐあいに、逆に反転色の演出をつけていけば、伝えたかった過酷さ、生命の尊さ、ペンギンの愛らしさが出来たのではないか。せっかく映画なんだから、テレビでは出来ないような虐待的なナレーションくらい聞かせてほしい。 [映画館(字幕)] 8点(2005-07-29 01:20:23)(良:1票) |