461. 泥棒野郎
ウディ・アレンの初監督作とされている作品です。 (実はその前に"What's Up, Tiger Lily?"という極めて微妙な作品がありますが・・・) 多くの作品で取り入れ、彼が好むパターンの1つであるナレーションに物語を進行させる手法に、 代表作「カメレオンマン」でお馴染み、古ぼけた昔の写真や映像の挿入と もっともらしい証言者を用意してのドキュメンタリータッチのホラ話に、 自身の出自や劣等感をギャグにしてしまうセンスに、撮り方にはまだ粗削りな部分は感じますが、 もうすでに典型的アレン映画となっていることに驚きます。 ジョーク作家、スタンダップコメディアン時代に書き溜めたのであろう小噺のようなギャグが全編に散りばめられています。 アレンにしては体を張ったベタなギャグもあり、「笑える」という点においては彼の数多い監督作の中でもかなり上位にくる作品です。 アレン好きの方で、まだ未見の方には是非ともおススメしたい初期の代表作と言ってもいい作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2017-11-22 20:17:32) |
462. はじまりへの旅
《ネタバレ》 思っていたのとは違ったけど、よくできた苦味のあるコメディでした。 文明社会を拒絶するかのように家族で山奥で暮らす。 その作品の始まりはハリソン・フォードの「モスキート・コースト」のようでもあった。 しかし、崩壊に向かうのではなく、随所に描かれる親子の絆の深さがいい。 スーパーで家族で万引きするくだりなど、おいおい、と思わせることもありましたが、 世間から見ればただの変人だった父親が最後には、「悪気のない過ちだった。俺が間違っていた。」と語るに至る。 ひとつ間違えばこの家族にとって悪役にもなりそうな、フランク・ランジェラ演じる祖父の扱いも良かった。 母親の希望通りに送り出し、家族は新たな価値観の中で新生活のスタートを切る。 この旅はこの家族にとってまさに新しい生活への「はじまりへの旅」なのでした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-22 20:13:55) |
463. わたしは、ダニエル・ブレイク
《ネタバレ》 社会派の巨匠ケン・ローチが2度目のパルムドールを受賞した作品。 一度は映画界からの引退を表明した彼が、それを撤回してまでどうしても投げかけたかった問題提起。 心臓の病気で働けなくなってしまった主人公の男、ダニエル・ブレイクは40年間大工で食ってきた熟練の職人。 真面目に働き、真面目に税金を払ってきた。彼のような人を助けるべく存在する公的機関から見放されてようとしている。 もう1人、2人の幼い子どもを抱えるシングルマザーのケイティ。生活費のためにたどりついた仕事は・・・。 街の片隅で支え合い、励まし合って生きる彼らに寄り添うケン・ローチの視線は優しくも、その一方でどうしようもない現実の厳しさがある。 主人公の男の怒りの声のような役所の壁への落書きは、そのままケン・ローチの怒りの声のように思える。 そしてラストのケイティの弔辞は、引退を撤回して本作を撮ったケン・ローチのラストメッセージになるのか。 一貫してぶれることの無い労働者階級への思いと、80歳を過ぎて一度は引退を考えてもなお、 社会の理不尽に対し黙っていることはできない、そんな彼の衰えることの無い反骨精神をひしひしと感じます。 [DVD(字幕)] 9点(2017-11-17 23:19:25)(良:1票) |
464. カフェ・ソサエティ
《ネタバレ》 1930年代のハリウッドを舞台にした、アレンにしては控え目ながらもシニカルな一面も見せるロマンティックコメディ。 作中には次から次へと映画の歴史を作ってきたレジェンドの名前が出てきたり、 スペンサー・トレイシーやジョーン・クロフォードのビバリーヒルズの邸宅を見物に行くくだりなどには、 いち映画ファン、アレンの趣味が垣間見えてとても楽しい。 撮影がストラーロであることに驚きましたが、これまでにもアレンが描いてきた 過去のアメリカ、アレンの作品の色との相性も抜群でとても美しい映画でした。 近年のアレンはヨーロッパを拠点にした作品を発表する機会が多いですが、 アイゼンバーグ演じる主人公を中心としたユダヤ人のファミリーに、ギャングに、軽快な音楽に、 やはり、アメリカで撮った映画にはよそいき感が無いというか、アレンらしいテンポ、アレンらしい言い回しにほっとさせられます。 作中の台詞にもありますが、人生はラブソング。ハリウッドで一度は恋に落ちた2人が、それぞれの人生のパートナーと現実の人生を生きる一方で、 ひょっとしたら全く違った人生になっていたかもしれない、実現しなかったもうひとつの人生に思いをめぐらす。 あっさりとしたエンディングではありますが、何も語らない2人の表情で終わるラストが何とも言えない余韻を残します。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-11 22:00:24) |
465. ザ・ディープ(2012)
《ネタバレ》 めったに見る機会が無いアイスランド映画、しかもサバイバルものってどうなんだ?と見始めたのですが・・・。 90分程度の映画ですが、まず前半は漁師が漁に出る前夜の酒場の様子を、(実際に海に出るまでが結構長い) 中盤は気温は氷点下、水温は5℃程度の中を生還した男が1人漂流するさまを、後半は生還後のドラマが描かれる。 真っ暗な夜の海をたった1人で漂流する。ハリウッド製のこの手の映画とは違い、サバイバルものとしてはひたすら地味。 体温が下がりにくいということで生還した男が肥満体質だったことが幸いしたということですが、 極寒の北大西洋の大海原に放り出された人間のちっぽけさと、しかし人間の体の、現代の科学や医学をもってしても説明できない強さ。 自分1人だけが助かった幸運よりも、生還後のドラマには非常な空虚感が作品に漂う。その描写からは更に彼の辛さを感じさせられます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-11-11 00:15:02) |
466. 上海の伯爵夫人
かつては有能な外交官だった。野望を持ちながらも紳士然としている。しかし孤独な盲目の男と、 かつてはロシアの由緒正しき家柄出身の元伯爵夫人、今は上海でタクシーダンサーで生計を立てる女。 1930年代、戦火が目前に迫った上海で、それぞれの過去を手放して生きる2人が出会うロマンス。 レイフ・ファインズはこういう役が本当に良くはまるし、 ナターシャ・リチャードソンも同じく。本作の数年後には若くしてこの世を去ってしまったのが惜しまれます。 関東軍の思惑で暗躍していたのであろう日本人、マツダをスマートに演じた真田も印象的。 アメリカ、ヨーロッパの列強に日本。それぞれの思惑が入り乱れる当時の上海の雰囲気がよく出ていたし、 主要キャストもこの時代のこの世界観にうまく溶け込んでいます。中盤以降、急速に時代が風雲急を告げる。 混乱する上海で、押し寄せる戦争の時代の荒波にもまれるそれぞれの人生ドラマはなかなかの見ごたえがある作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-11-11 00:12:34) |
467. いつか晴れた日に
《ネタバレ》 ジェーン・オースティンの原作を読んだことはありませんが、 「分別と多感」を読んでいると恐らくは本作のような光景を想像するのだろう。 人々の暮らしのすぐそばにある豊かな自然、手入れされた庭園と、その先に一面に広がる緑あふれる風景。 映像も、控え目に挿入される音楽も、とても美しい。控え目で奥ゆかしく上品で、それでいて情熱的。 ラストはよくあるハッピーエンドなのかもしれません。しかし、邦題の通り晴れ渡る空の下に笑顔がはじける結婚式、 そこに至るまでの登場人物の紆余曲折、心の機微を繊細なタッチで見事に描き出す。 だからこそラストの幸せな結婚式の風景とその直前、長女エレノアが感極まり言葉にならず泣き崩れるシーンが印象的で説得力があります。 脚本も兼任し、本作で女優業以外でもアカデミー賞に輝いたエマ・トンプソン。 原作と本作、そして演じる長女エレノア役に対する彼女の思い入れの深さをひしひしと感じさせられました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-01 21:10:27) |
468. オンディーヌ 海辺の恋人
うまくいかない人生、現実の厳しさをファンタジー的要素にうまく包み込む。 母国アイルランドを舞台に様々な人生を描いてきたニール・ジョーダンですが、これも彼の好きなパターンの作品です。 突如海から現れた美しい精霊と、アイルランドの田舎の海辺の町でさえない日々を過ごす漁師のロマンス。 彼女を精霊と信じる漁師の1人娘が可愛らしく、現代のおとぎ話的世界観に欠かせない重要なピースとなっています。 アコースティックギターを基調とした素朴な音楽も海辺の田舎町の日常に自然と溶け込む。 こういう世界観の作品は嫌いではないのですが、なぜ彼女は突如海から姿を現したのか? もちろん彼女が精霊であるはずがなく、訳アリであることは容易に想像がつくのですが、 その訳アリの事情がそれまでの世界観とかけ離れすぎているのが残念。 男のことでも何でもいいのですが、もう少し普通の事情の方が本作の世界観には似合っていたと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-01 21:08:11) |
469. レイズ・ザ・タイタニック
ジェームズ・キャメロンの「タイタニック」のようにタイタニック号とその当時のドラマではなく、 沈没から数十年後に、海底に沈んだタイタニック号を引き上げるプロジェクトのドラマ。 タイタニック号を引き上げる理由がその船内に眠っているとされるある物質が欲しいためという、 製作当時の米ソを中心にした東西冷戦下の時代を感じさせるドラマではあるのですが、 作品の大きな割合を占めるこのドラマ自体は面白くない。 しかし、本作の目玉であるタイタニック号が引き上げられ海面に浮上するシーンと、 その後、もちろん自力で航行できるはずはなく他の船に曳航されてではあるのですが、 数十年の長い年月を経てタイタニック号が帰港を果たすシーンは感動的。 特にタイタニック号が引き上げられるシーンは映画館で見たら良かっただろうな。 巨匠ジョン・バリーの素晴らしい音楽も実に効果的にそれらのシーンを盛り上げていました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-29 20:20:18) |
470. ドライヴ(2011)
表情ひとつ変えず夜の街にクルマのハンドルをきるクールな主人公。その冒頭は ウォルター・ヒル&ライアン・オニールの「ザ・ドライバー」を思わせる。 原作もそうなのか、恐らくは「ザ・ドライバー」に着想を得た冒頭なのかと思いますが、 まだ幼い1人息子と暮らす隣人の女が現れて以降は予想のつかない展開が待っていました。 人妻だと分かると決して一線は越えない奥ゆかしさ。幼い1人息子からも懐かれる。 裏稼業の時に見せるクールな表情の時とは全く異なり、この母子と過ごす時の人の好さを感じさせるゴズリングの表情も印象的。 よって中盤以降のバイオレンス描写とのバランスはあまり良くなかったとは思うのですが、 それにしても本作のゴズリング、かなりのカッコよさ。そしてキャリー・マリガンが好きになった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-29 20:17:27)(良:1票) |
471. 大いなる決闘
《ネタバレ》 既に引退した元保安官にチャールトン・ヘストン、 彼に逮捕されたことを逆恨みし、脱獄し復讐に乗り出す悪役にジェームズ・コバーン。 手の内を知り尽くした2人が互いの手を読み合う中盤までの静かな展開はなかなか面白い。 愛娘が誘拐されることにより、ヘストンにも強烈な復讐心が芽生えるといった流れも、 終盤の〝大いなる決闘〝に期待感が高まるのですが、娘がレイプされるあたりから尻すぼみになってしまいます。 こういう姑息な手を使わせずに、憎みあう2人の男同士の大いなる決闘が見たい訳ですが、その結末はあっけない。 敵を倒したものの重傷を負い、「助けてくれ」と娘に助けられ手当てされているラストもカッコよくない。 やはり西部劇のラストはカッコよく決めて欲しいですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-22 22:13:17) |
472. メトロ42
《ネタバレ》 ロシア製のパニック大作。パニック映画といえばハリウッドのお家芸の1つ。 ロシアのパニック映画ってどうなんだろうと見始めたのですが、これがなかなかよく出来ている作品でした。 朝の満員の地下鉄に水が流れ込み、地下鉄構内が大洪水になったら・・・。 1つ間違えば大惨事につながる老朽化したインフラの怖さと、その保守の重要性について考えさせてくれる作品です。 名作「ポセイドン・アドベンチャー」を思い出すようなシーンもあり、怒涛の様に迫りくる水の恐怖の描写にはなかなかの迫力があるのですが、 大半の人々が命を落とす中に生き延び、迫りくる水の恐怖と闘う数名のグループの人間ドラマもしっかりと描かれています。 地上への脱出口が目の前にあっても、救助隊に発見されても、更なる水の恐怖が彼らを襲う。最後の最後まで息をつかせません。 人間だけでなく、犬もちゃんと忘れず救出されるラストにようやくホッとさせられらたのでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-19 20:19:33)(良:1票) |
473. ダンテズ・ピーク
《ネタバレ》 もう20年前の映画ですが休火山だった山が噴火し、 いい町全米第2位に選ばれた、その麓の町が壊滅していく様を見せていく特撮は迫力満点。 火山学者のピアース・ブロスナン、登場してしばらくは結構普通なのですが、 パニック状態の中、クルマに小さな子どもたちを乗せ冷静にハンドルを切る姿、その表情はやはりカッコいい。 かと言って、あの燃えたぎる溶岩帯を車で突破するのはいくらなんでもムリだとは思いますが…。 リンダ・ハミルトン演じる町長も良かったのですが、町が壊滅状態になっていく中、 町のトップの町長が行方不明状態になり、自分の子どもの救出に向かうというストーリーはどうだったのか。 救出されブロスナン博士との恋が成就し、救助隊から祝福の拍手をされている場合ではないでしょう。 少しでも犠牲を最小限におさえるべく町長として奮闘する姿を描く方が良かったと思います。 何といっても町長を演じるのは、あのサラ・コナーのハミルトンですから。 よって、2人の子どもの救出に向かって以降は4人のサバイバルがメインとなってしまうので 町長という立場も意味が無くなってしまい、 こういうパニック大作ものにしてはストーリーが小ぢんまりとしてしまった感は否めません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-16 23:07:06) |
474. 不機嫌な赤いバラ
偏屈な元大統領夫人。こういうふてぶてしい役で余裕しゃくしゃくの貫禄を見せるシャーリー・マクレーン。 その夫人のシークレット・サービス役を演じるのはニコラス・ケイジ。 同僚たちとボヤく姿も、職業柄締めるところはしっかり締める姿も、どのニコラス・ケイジもいい映画です。 シークレット・サービスものとしては銃撃戦もアクションも無く、 終盤のある事件までは元大統領夫人とその周囲にいる人々を基本的にはコメディタッチで描いていく。 だからこそ、シャーリー・マクレーンとニコラス・ケイジの2人が作品の世界観にはまっている作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-16 23:05:12) |
475. 最高の人生のつくり方
《ネタバレ》 本国アメリカではシリーズものではないんだろうけど、 日本でシリーズ化された?ロブ・ライナーの邦題「最高の人生」シリーズの3作目。 マイケル・ダグラスが演じるのは結構なひねくれ者。 ある事情から預かることになった初対面の孫娘と隣人の女(ダイアン・キートン)との交流を通して、 そんなひねくれ者の心が少しずつ変わっていく。まあ、よくあるストーリーではあるのですが、 孫娘が文句なしに可愛いし、嫌味が全く無く明るく朗らか。ダイアン・キートンの良さがよく出ています。 彼女は地元のクラブで歌う歌手でもあるのですが、歌う姿が素敵です。特に最後の歌。 あれだけひねくれ者だったダグラスが最後は一緒にいてほしいと懇願する。 こうなることは分かっているのですが、こういう映画はそれがいい。 可愛い孫娘が絡む大人のラブコメ。安心・安定のロブ・ライナー映画です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-12 20:20:56) |
476. フライト・ゲーム
《ネタバレ》 面白かった。 150人を乗せた国際線の機内で、乗客の命が危機にさらされるなか、孤立無援で捜査をしなければならない。 最初はイタズラとも思えるようなメールから少しずつ話を大きくしていく。 そして少しずつ、ニーソンを孤立化させていく。地上では自身がハイジャック犯と報じられる中、 再び乗客の信頼を勝ち得て最後の大きな賭けに。原題の通りまさしくノンストップでストーリーが展開していきます。 犯人は必ず機内の乗客の誰かなんだけど的を絞らせませんが、本作の場合はそこは大きな問題ではなかったと思う。 ニーソン航空保安官が抱える悲しい過去と現在。彼にはこういう背景を持つ役がよく似合うのですが、 心が折れそうな状況でタフなニーソンがどう危機を乗り越え立ち向かうのか。ひたすらリーアム・ニーソンを堪能できる作品です。 強さと渋さと、年齢を重ねた男の円熟味。リーアム・ニーソンという人は年を重ねるごとにいい俳優になっていますね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-10-12 20:18:18) |
477. もうひとつのラブストーリー
タフガイ、ニック・ノルティも90年代に入り老けたなあ、と思うようになってきた頃の作品。 警察や検察から行政に至るまで不正と腐敗が蔓延る町で、それを包み隠すためにある殺人事件の罪を無実の青年いかぶせようとしている。 無実の青年を救うために立ち上がった1人の女と、彼女から捜査の依頼を受けた私立探偵がニック・ノルティ。 捜査の過程で徐々に腐りきった町の実情が明らかになり、町ぐるみの不正と闘うというストーリー自体には新鮮味はありません。 それでも、こういうテーマの熱く見応えがある映画は色々あるのですが、本作は残念ながらそうではありませんでした。 この男と女が恋に落ちるというのも定番でそれはいいのですが、2人の関係はもっとシンプルにして、サスペンスの方に重点を置くべき作品だったと思います。 アクションはありませんが腐敗しきった権力に立ち向かう私立探偵、これもタフガイ、ノルティらしい役どころなだけに、 青年が釈放されたのはいいのですが、対権力という面でこの中途半端な結末は無いと思います。2人の関係もパッとしないまま終わってしまうのも残念です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-10-06 21:16:33) |
478. 黄金の指
邦題の通り、“黄金の指”を持つ、4人組のスリのチームのリーダー、ジェームズ・コバーン。 高そうなスーツをスマートに着こなすジェームズ・コバーンがクールでシブい。 でも、どこかユーモアを感じさせるこの人ならではの魅力が出まくっています。 そして金を持っていそうな人間を百発百中で見極める熟練の目を持つウォルター・ピジョン。 もっと昔の時代の人のイメージがある人ですが、ベテランスリ師を余裕しゃくしゃくの味で演じる。 ドジもやらかすまだまだ未熟なマイケル・サラザンに、こういう映画のお約束、紅一点にトリッシュ・ヴァン・ディーバー。 熟練の技を持つ2人に未熟な2人。この4人がいいバランスで、コバーンと他の3人にはならずに4人組のキャラをうまく立てていきます。 いざ仕事に取り掛かるまでが結構長くてスロースタートの作品ではありますが、結末がいかしている。最後はやはりコバーンがカッコいい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-10-06 21:13:08) |
479. 舞台恐怖症
ヒッチコック自身があれは失敗だったと反省の弁を述べたという、偽りの回想シーンで知られる作品。 しかしヒッチコックのこのミスリードが意外と本作を面白くしていたと思います。 女優を演じる大女優ディートリッヒがその貫禄を見せつけている作品でもありますが、 衣装や装飾品など、ディートリッヒを引き立てるアイテムにもかなり気を配っていることが感じられます。 それにしてもヒッチコックはサスペンスの中にユーモアやロマンスといったお楽しみを挿入するのが巧い。 もう1つ、初見のヒッチコック映画のお楽しみ、”ヒッチコックを探せ!”。 本作は今回初めての鑑賞でしたが、初見でしっかりヒッチ登場シーンが確認できたことでも嬉しい作品でした。 (結構なお顔のアップで登場するので難易度はかなり低めではありましたが・・・。) [DVD(字幕)] 7点(2017-09-29 17:59:17) |
480. 幸せはパリで
《ネタバレ》 相変わらずさえないサラリーマンをコミカルに演じれば天下一品のジャック・レモン。 一方こちらも相変わらず完璧に美しいカトリーヌ・ドヌーヴ。 それぞれの魅力を発揮すればするほど釣り合わない2人ですが、 今の生活に満たされていない2人が出会って、あっという間に恋に落ちて、パリに駆け落ちしてしまう。 90分程度の小品ですが、2人以外のキャストもなかなか豪華。そして音楽がハムリッシュとバカラックとは、なんという組み合わせ! 特にバカラック作の主題歌を歌うのは、これまで数多くのバカラックの曲を歌ってきたディオンヌ・ワーウィック。 2人の今の状況を原題の通り「エイプリル・フール」に例えた、ディオンヌが歌う主題歌に乗せて2人は飛び立っていく。 カエルが王子様になって、お姫様をさらっていく。大人のおとぎ話といったところ。 男の映画のイメージが強いローゼンバーグがほのぼの感たっぷりに描いてみせたロマンティック・コメディ。 [DVD(字幕)] 6点(2017-09-19 19:26:06) |