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 > tottoko さん
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プロフィール
コメント数 2074
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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481.  デッドプール2 《ネタバレ》 
前作より馬鹿度は2割増し、演出のキレは3割増しで1作目より面白かったです。ストーリーが太った男の子を救うってだけのシンプルさも観やすい。アメコミに詳しくないと矢継ぎ早に入れてくる小ネタに気付かないけど、それを差し引いてもかなりちょくちょく「ふふっ」と笑わせてもらいました。監督=「ジョン・ウィックで犬を殺した奴」のところで冒頭からいやいや(笑)となっちゃった。あとねラストらへんの、暗証NO必要→「7じゃない?」「まさかひとケタってことは」カチッ「ひでえ脚本だ」のくだりがツボでした。 ライアン・レイノルズが本気でこのおバカ映画に取り組んでいるのが伝わってきますよね。このひと「名探偵ピカチュウ」のオファーが入った時、お子さんを園に迎えに行く途中だったんですって。そして仕事熱心な彼は即役柄に入れ込むべく、「自分は今からピカチュウだ」→ピカチュウはうちの子を知らない→ので、迎えに行けない。という恐るべき強引阿呆思考でお迎えを放棄したそうで、それを記者に語るレイノルズと横で呆れ果てている妻ブレイク・ライブリー、というエピソードがしみじみ感慨深かったです。いやさすがだライアン・レイノルズ。デップーには貴方しかいないよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-26 23:08:59)
482.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 
ワタクシ史上、これまで観てきたアクション映画での死者数を大幅に更新しました。死にすぎ。しかも今回も念入りに殺すなあ。二発目三発目と撃ち込んで。これはサバイバルゲームの世界観まんまですよね。近年は(仮想空間で)人がばたばたと斃れるシーンに皆脳が慣れてしまってるんですね。映画の脚本に影響が及ぶのもむべなるかな。 現実にはもちろんのこと、ゲームであってもまあキアヌのようにやってのけるのはほぼ無理。互いに撃ち合っても仕留めるのはキアヌの方。彼の銃だけ連射速度がずば抜けて速いとしか思えません。あと体力がハンパなさ過ぎ。なにせ撃ち合いながら500mは走った後に揉みあって階段を200段近く転げ落ちたのち、取っ組み合いなどできましょうか。プロアスリートだってこの状況なら猫パンチを繰り出すのが精一杯ではないですかね。 しかしそこは伝説の殺し屋キアヌは出血を抑えながら次々襲い掛かる刺客らの腕を折り、首を鉛筆貫通させ死体の山を築くのだった。ああ痛たたた。 1作目よりドラマ性はぐっと減り、より「スタイリッシュに人を殺す」画ヅラとなっております。良くも悪くもすごく今風。数十年後にはどういう評価をされるのかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-22 15:15:18)
483.  友だちの恋人 《ネタバレ》 
レアとブランシュ、性格全然似てないけど友だち関係が成立しちゃうことはあるよね。ハッキリしてて恋愛偏差値の高いレアと、容姿に自信が無くて不器用なブランシュ。 現彼に飽きたので「アナタの方が合いそう。付き合っちゃいなさいよ」と堂々譲渡宣言するレアに対し、「エーでもあなたの彼氏だし・・」と尻込み気味のブランシュ。で、結局ファビアンと良い仲になっても「やっぱりレアに悪いし」と気兼ねしてばかりなのですね。その一方でレアはのびのび他の男探し、で挙句ファビとヨリを戻しちゃったりでいやーなんかもう・・。 個人的にはブランシュのうじうじぶりは身につまされるものがありますわ。せっかく全仏オープンのチケットを譲ってもらっても、想う相手に近づくことはできずにそそくさと帰路についてしまう。すごくわかる。かたやレアは堂々として美人で傲慢なまでの自信家ぶりが、眩しくもあります。 リアルな等身大の女の子を描くロメールのタクトは本作でもキレが良くて、ずっとうんうんと頷きながらの鑑賞となりました。男性陣が皆受け身なのがちょっと笑えます。 昔の映画だけどファッションが今回も素敵なロメール映画。黄や青といった原色をさらっと着こなし、合わせるアクセサリーも大ぶりなイヤリングやベルトがとてもおしゃれ。さすがパリジェンヌ、と言いたいとこだけど彼女らはパリ郊外に住んでるんでした。 青とグリーンが交差してベストカップルに落ち着くラストシーンは、互いの勘違いがほどけてゆく爽快さと合わせて目にも鮮やか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-19 23:22:58)
484.  12人の優しい日本人 《ネタバレ》 
名作「十二人の怒れる男」を日本人バージョンでやったらどうなるか。全般のトーンをコメディ調にアレンジして、陪審員一人一人を‶いかにも”日本人として描写。この辺がね、上手いですよねやっぱり。米国人と違ってディベート慣れしていない日本人ですから、初対面同士で議論しろと言われてももじもじして意見の出ない人の方が多い。本作でも自らはっきり自分の意見を語る人って3人しかいなかった。でも冒頭の飲み物オーダーをまとめるくだりに見るように、「作業」ならば自発的にせっせと取りまとめる人って、どんな会合でも必ずいるんですよね日本人。うーん上手い。 オリジナルでは「早く帰りたがる人」は野球の試合を見に行きたいと主張していたのですが、本作では「仕事に戻りたいから」となっています。ここもね、公的な責務の場で「巨人戦を見たいから」と言っちゃう日本人は考えづらいもんね。(「阪神戦を見たいから」はいるかもしれない) 中盤までだんまりを決め込んでいた豊川が場を仕切り出してからは、がぜんテンポが良くなりました。 事件状況の推理や証言のあやふやさを見出してゆく展開はオリジナルに沿っていますが、米国版に比べて一件一件の精度が低いのは残念でした。ピザの件しかり、料理の美味い居酒屋だから酔っていないのでは、という理屈もしかり。やっぱり「ジンジャーエール」→「死んじゃえ」は無理だと思うな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-18 23:24:09)
485.  シンプル・フェイバー 《ネタバレ》 
ちょっとライトめの「ゴーン・ガール」といった感じで、アナ・ケンドリックが主婦探偵よろしく真相に迫るまでは面白かったんですがねえ。これまでたいてい‶健康的な優等生美人”を演ってきたブレイク・ライブリーのやさぐれ具合も目新しかったですし。 双子で保険金絡みとネタバレした後の雑な処理はちょっと呆気にとられちゃう。ヤマ場はなんと三者立ち話。事件と直接関係ないステファニーがなぜだかキレて銃を持ち出し、狂言芝居でエレンの自白を引き出そうとするも失敗→旦那ショーンはエレンに撃たれ、(ところでこの男はどっちの味方なんだ)生配信を知ったエレン外に飛び出す→ジャストタイミングで駆け付けたママ(パパ)友の車にはねられ、都合よく到着したパトカーにより逮捕。・・と書いててもぐだぐだ感が否めません。なんだかなあ。初めのうちこそ子どもの存在を大きく扱い、母親キャラを堅持してたのが、どんどんキャラブレしていって後半は子の存在がすっかり消えてんのも頂けない。 野暮ったい母さんファッションだったアナが、強気になるにつれ服装が垢ぬけていくのも見どころのひとつにしてるんでしょうが、そもそもアナ・ケンドリックは身長低く腕や脚も長くないため服を着こなせるタイプでないのです。よってあまり映えません。 前半の引きの良さに比べ、後半の安い展開で大きく評価が下がってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-17 22:51:19)
486.  バツイチは恋のはじまり 《ネタバレ》 
うーん、ユーモアの許容度が人によって試されるといいますか、ヒロインの行動が笑えるか笑えないか評価が二分しているラブコメですね。わたしはビミョーかな。そんなあー、と苦笑する感じ。イザベルは残酷だしジャン=イヴはお人好し過ぎるし、演者が違っていたら目も当てられない不快作になったかもしれません。 そう、ちょっとやり過ぎな話をも「これはコメディなんですよ」と発信し続けられているのはダイアン・クルーガーとダニー・ブーンが好感されているから。クルーガーは綺麗なので見てるだけで眼福ですし、今作は必死に目標を完遂しようとするおバカぶりが悪意の無いものに感じられるので、観てる側はギリギリイザベルを嫌いにならずにいられるのだと思います。 ダニー・ブーンも散々な目に遭いながら、話を重たくせずにする芝居をしています。傷ついてもそうは見えないように振る舞う彼の懐の深さにはこちらが救われる思い。ほんと、男性陣には現恋人のフィリップ含め、酷い脚本だものなあ。イザベルがジャンに心惹かれる説明描写も少ないですし。ラブコメだけど、誰もが楽しいハートウォーミング系ではないです全然。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-13 23:21:27)
487.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 
ラースが意気揚々とビアンカを兄夫婦に紹介した時はこれはヤバい、とわたしも夫妻同様大いに焦ったのですが、ストーリーはほとんどファンタジーのような優しさと親切で展開しました。 街の人たちがほぼ皆ビアンカを「そういうこと」として受け入れ、助けてくれる。まあ、ラースが迫害される(こっちの方が現実的)のを見るよりはこちらも心が安らぐのでやや現実離れした話でもアリかな。 甘々な話ではあるけれど、兄夫婦のショックや戸惑いといった感情描写なんかはとてもリアル。特に優しい義姉が唯一爆発したシーンは心に残ります。「皆気を使っているのに。だってビアンカは大人なんだから」ここ、よく「人形」と言わずにこらえましたねえ。お義姉さん、エライ。 ちょっと注文をつけるとするなら、ラースが人々にこうも受け入れられるほどの‶善良なやつ”として好かれているという描写が前段のうちにもっと欲しかったです。ぱっと見陰気なコミュ障、で切り捨てられかねないキャラクターですから。あと、人形を搬送するのに難を示さない救急車てのもなんかびっくりするなあ。そこそこ大きめな街だったように思ったのですが。もっと小さい村単位の話なら、隅々までビアンカの話が行き渡っていても無理はないかなと思いますけども。いや、些末なコトですね・・。 ライアン・ゴズリングには驚きました。これまで彼の役は「イケてる自信家」的な仕事しか観ていなかったので。彼の器用なことには目からウロコです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-12 22:56:03)
488.  パラサイト 《ネタバレ》 
今頃になって初めて観たのだけど、色々発見があって面白かった。ジョシュ・ハートネットのブレイク作だけあって、なるほどかなり魅力的。‶パール・ハーバー”なんかよりずっと良い。おお、ターミネーター氏がちゃんと人間の先生をやっている!途中から人間じゃなくなっちゃうけど。どうしても指輪を壊しに行くイメージのイライジャ・ウッドが普通の高校生をしていたり、「今さら」な驚きが楽しい。 気色悪さに特化したエイリアンの姿にもいろんな工夫が見られます。イヤだったのは赤細い触手がしゅっと出てくるトコ。あれはグロテスクだなー。CG作業してて吐きたくならなかっただろうか。 よくある乗っ取られ話ながら、一人また一人と「混じっている」ことが判明する流れにびっくりさせられ、大ボスにはさらに驚かされ(全然わかんなかった)。 皆元に戻ってめでたしめでたし、と思いたかったところだけど、あのけちんぼ校長も元通りになったんだよね?じゃあまたエアコン禁止の職員室と、パソコン予算も下りないのね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-11 23:19:50)
489.  ジョン・ウィック 《ネタバレ》 
ストーリーは勧善(でもないか)懲悪、主人公がばったばったと敵をやっつける姿がみどころ、というほぼ時代劇コンセプトな殺し屋モノ。殺陣の美学をとことん追求している本作はキアヌの身のかわし方や銃さばきの華麗さに作品の成功がかかっているわけで、中年キアヌ頑張りましたねえ。 裏切るかと思われた親友W・デフォーの男気溢れる生き様はちょっとしたアクセントになってますが、基本 話はびっくりするほどシンプル。もっとも話が複雑になって深度を増すとキアヌの棒演技が目立ちますので、彼のための映画はこんなもんでいいのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-10-10 23:04:14)
490.  バッド・ジーニアス 危険な天才たち 《ネタバレ》 
タイ映画と聞いて抱いた先入観を吹っ飛ばすほど垢ぬけていて、大変面白いので失礼ながらびっくりしました。 実話ベースとはいっても、そこから広げたカンニングのアイデアが秀逸で、目が真ん丸になるばかり。企みがバレそうになる、ギリギリの際のドキドキ感を煽る演出も巧い。STIC本番で独り荷を背負うことになったリンの汗だく&手の震え場面は観てるこっちも冷や汗をかきますし、本国で待機する鉛筆待ちのバイク集団の時間との闘いなんかは大仰なのだけど、観てる間は「そんな馬鹿な」という気持ちを忘れます。 単純に「カンニング大作戦!」的なコメディにするのではなく、格差社会の青春を生きる若者らのドラマに仕立てたのも味わいを深くしました。清廉だったクリーニング屋の息子が金銭欲に呑まれてしまうラストは苦く、リンの抱いたほのかな恋情の終わりでもあるので切なくもありました。 スピーディな展開、暴走する子へのストッパーとなるリンの父の存在といったキャラクター配置の巧みなこと等、一流の脚本であります。近年のアジア映画は凄い。日本はうすぼんやりしたアイドル主演の青春映画を作っている場合ではありません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-10-09 23:13:37)(良:2票)
491.  グラン・プリ(1966) 《ネタバレ》 
66年制作作品の超一級の映像技術には目を瞠ります。疾走するマシンの速さ、揺れ、特撮ゼロのリアルな臨場感は逆に今では不可能なのではと思います。直に搭載されたカメラが捉えるドライバー目線の圧巻の映像。びゅんびゅん後ろに吹っ飛んでゆく観客や家並、あっという間に眼前に迫るカーブ。時には上空から俯瞰するショットは、公道をなめらかに流れてゆくマシンがヨーロッパの街の緑と合わさってとても美しいです。 現在とはだいぶ具合の違うマシンの造りや、ピットインの様子などはF1の歴史を映像保存している意味で価値ありですし、当時の現役レーサーの出演などはF1好きにとっては嬉しいことでしょう。 監督のF1愛は充分伝わるのですが、張り切り過ぎて各レーサーの人間ドラマを盛り込んだのがちょっと余計でした。話を掘り下げる尺も無く、各人のどのエピソードも全部中途半端です。この(いらん)痴話沙汰に時間を取られ、なんと3時間もの長尺に。結果たるみを生むだけになりましたし、脚本としては褒められたものではないでしょう。 なにしろ夜中にかかるタイミングで観始めたものですから、終盤はぬおお~んというマシン音に眠気を何度も誘われ、気づけばイブ・モンタンのマシン炎上のとこまで巻き戻す、ということを三度も繰り返すことになってしまいました。 あ、あと三船敏郎のキレイな顔には同胞として喜びを感じた次第です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-03 22:55:16)
492.  キングダム/見えざる敵 《ネタバレ》 
‶(イスラム)テロと戦う米国”モノジャンルとしてオーソドックスな作りです。イスラム教徒としてひとくくりにすることを避け、テロリストと一般のサウジ国民(この場合はサウジ警察)を線分けして描くことに注力している姿勢はまだ品があると言えるでしょう。 何故アメリカがかくも憎悪の標的になるのかといった「そもそも論」には一切踏み込まず、現場のCIA職員と「敵」との対決及び銃撃戦が見どころであるという問題提起無しの娯楽作品ですね。 カメラがブレて見づらいなあ、というのが難点ですが「青いビー玉」が伏線として効いていたり、背広組の印象が強いC・クーパーが現場で穴を掘る姿もすごくハマるなあという発見があったりと、数多の類似作の中でも印象に残る作品ではありました。 それにしても゛互いが憎悪を抱き続ける”バッドエンドにしたのはどういう意図なのかしら。娯楽作テイストなのに急に社会派なメッセージが入ってきたようで唐突に感じました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-01 22:54:24)
493.  ワンダー 君は太陽 《ネタバレ》 
この手の「いい話」を観ると実際当該の難病や障がいを抱える人が観たらどう思うんだろうと考えてしまいます。なにしろ徹底してキレイに仕上げた物語です。オギーの家族は愛に溢れ、両親はちょっと非現実的なほどに強くて優しく正しい。実際にハンデを負った子を育てるのは並大抵のことではないでしょう。ジュリアとオーウェン演じる両親はここに至るまでの傷跡が一切見られない演技で、つるんと明るく屈託が無さ過ぎに感じました。 と、鑑賞直後はかなりの低評価だったのですが、後に原作が児童文学だと知り見方が変わりました。なるほど子供向けであるなら、現実社会のキツさをリアルに描く必要はないですね。彼らの柔らかな感受性にすんなりと溶け込むような優しいタッチが必要になりますから、この映画は子どもが観るには適していると思います。 あと、複数の人物の視点から語りを入れるやり方。話が多角的に観られるかな、と期待したのですがあまり成功してないみたい。姉の‟ほっとかれた長女”エピソードも、ちと掘り下げ不足。ママが弟ばかり構って寂しいけど彼氏ができてハッピー、てだけ?友人ミランダのパートに至っては彼女の心理は100%理解不能ですし、必要なかったのでは。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-30 23:38:01)
494.  ラスト・ターゲット(2010)
とても寡黙なので観る者が細部を想像力で補わなければならないストーリーは親切ではないのですが、話の流れを追うより画の余韻を味わうべき作品です。元カメラマンという肩書も納得の監督の美的センスが1シーン1シーンに反映され、女優の裸体の美しさや机の前にただ座っているだけのG・クルーニーのショットすら西洋絵画のようです。 小高い丘に石造りの建物が並ぶイタリアはカステル・デル・モンテのロケーション力は抜群ですし、銃を改造あるいは組み立てる時の手さばきは熟練の技術の粋とも言え、もう「画のチカラ」で引っ張ってくれます。 ただキャスティング。ジョージ・クルーニーは評価しづらいです。どこまでもヨーロピアンな香りの本作に、いつも歯痛をかかえていそうな単なる仏頂面のクルーニー。もともと表情に奥行きの無い表層タイプの彼はあからさまに「アメリカ人」なのですが、考えてみれば原題はThe Americanですし、ここはクルーニーで正解なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-29 22:57:58)
495.  ベガスの恋に勝つルール
主演の女優が35才、男優が30才ですか。他愛もないラブコメにしてはやや年齢高めの役者を起用したものです。それだけキャメロン・ディアスのコメディエンヌの才に対しての信頼の高さを感じますが・・さてどうでしょう。 結論から言うとまあまあ面白かったです。序盤はうるさ過ぎに感じましたが、リアルなキャラ作りが功を奏してだんだんとこちらもノセられてゆく。こういう引きの強さはさすがにベテランの仕事だと感じます。 でもね、やっぱりこれが10年前のキャメロンならもっと快作になっていたと思うんですよ。彼女のコメディ演技は若い頃と何も変わっていない。昔みたく顔全体でパッと明るく笑ってみせても目尻のシワが気になってしまうし、やっぱり年相応の演技をしなければ特にコメディはキツイ。これは未だに20代仕様の脚本をキャメロンに強いた制作が悪いのです。ラスベガスでのバカ騒ぎの場面なんか若さの勢いがあればこそ。分別のある大人がやると痛さが先に立ちます。 かつては輝くばかりのコメディエンヌだったキャメロン。どうかメグ・ライアンの二の轍を踏まぬようにと誰もが願っていたところ、女優引退してしまいました。メグとは全く違った決断をした彼女。いくつかあるシリアス系のお芝居も(メグと違って)そんなに悪くないなあと思っていたのですが。もう観られないと思うと寂しいです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-09-28 22:59:47)(良:1票)
496.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
トミー・ウィソーは幸福な方へ倒れたエド・ウッドですね。共通してるのはあふれんばかりの映画創作愛と、それがハイスピードで空回りしちまってるトコ。 ラストで「ザ・ルーム」とのカットが並行して流れるのだけど、J・フランコがトミーを完コピしているのに驚きます。ひえ、つまりホントに実在したんだ、こんな奴が。 ホンは書けない、台詞は覚えられない、演出は無意味、と創作のセンスの欠片もないトミーにいかに周りが振り回されたか、が本作の見どころではありますけど、エドの時と同じように役者もスタッフも最後まで投げ出さずなんだかんだで駄作を作り上げたことに、ある種の愛すら感じてしまうのでした。おばあさん役の役者に問うシーンがあります。「なんでこんな仕事を引き受けたの?毎日80キロも運転してまで」に答えた彼女曰く「だって私は役者なんだもの」・・人は突き動かされてどうしてもそれをやる、止めがたい情熱があるのですねえ。 トミー・ウィソーはラッキーな人です。お金には不自由しないし、生きているうちに本作のような裏話映画まで作られて称賛されている。エド・ウッドにも同じ感動を与えてあげたかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-26 23:44:41)
497.  こわれゆく女 《ネタバレ》 
G・ローランズの神経症演技が鬼気迫るコワさなので世間は大いにどよめいたわけですが。わたしはメイベルを見ている間、既視感でいっぱいでした。この手の女の人は50年前に限らず、いつでもどこにでもけっこう居ますよね。ざっと思い出してみても、法事の場で突然小学生レベルの発言をして場を冷やす親戚のオバサン、役員会で反対意見を出されたら忽ち興奮して絶叫調になる園ママ、スーパーでカートを押しながらずっと自らの信条を大きめの声で独り言ちている中年女性、等々平均からズレている人にはけっこう遭遇してきました。だからメイベルは普遍的な社会の1ピース。そんなに特殊ではないと思うけれど、まあ周囲を困惑はさせますよね。 P・フォーク演じる夫は一般的あるいはそれ以上の「嫁には普通であってほしい」という願望の強い性格であったので、この二人ベストマッチではないと思います。もっと彼女に心を寄せて物事を見ていれば、子どもが裸で走っているのを見てもカッとならずに事態を正しく把握することもできたのです。実際子どもらは扮装ごっこの最中で楽しそうでしたよね?相手の親御さんはメイベルのノリについてゆけず迷惑してましたけど・・。 「なんでそんなに尻が大きいの?」などと言って人間社会を困惑させる人格。でも子どもらはママが好き。メイベルは生き辛さを抱えていても虐待親じゃないし、反社会的でもない。ゆるりと一息つけるラストが象徴するのは、メイベル「たち」のことを生暖かく見守る社会であれかし、という監督のメッセージにも思えました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-21 23:50:37)
498.  東京オリンピック 《ネタバレ》 
記録か芸術か。監督の感性ほとばしる本作はもちろん後者の趣が強いでしょう。監督のタクトは勝ち負けに拘らずに、勝負に挑む人間の横顔をクローズアップし筋肉の躍動感を余すところなく伝えます。よくこんな近距離の画が撮れたなあ、と望遠レンズの威力に驚かされる映像であります。着地した時に跳ね上がる土と草、アベベの精悍な横顔。 構図も素晴らしいですよね。聖火が通る住宅地を上空から俯瞰したショット。民家の庭から見るロードレースの自転車の波は、あるいは森の奥からと視点を鮮やかに変えて、その色彩も相まって美しいです。 美しいといえばベラ・チャスラフスカ。彼女のあからさまな特別扱いにはちょっと笑ってしまいました。まあ彼女は別格、「世界の名花」ですもんね。 古い怪奇映画みたいな音楽や、デリカシーの置き所が今とちょっとズレてるナレーションはご愛敬。 大会関係者や観客らの様子もつぶさに拾っており、昭和当時の雰囲気を知るのにとても有意義でした。和服姿はもうほとんど見られず、でもかっぽう着は生き残ってる。制服制帽の小学生ら。一張羅と思われるワンピースを着た女の子。なにより、あの戦争の焼け野原から立ち上がり、アジアで初のオリンピック開催にこぎ着けるほどに復興を遂げた誇りや喜びといった熱を感じます。一人一人の表情の輝きはどうでしょう。 芸術作品の看板ではあっても時が経った今、本作はまごうことなき一級の、当時世相の「記録」であると思いました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-20 23:20:53)(良:1票)
499.  カーリー・スー 《ネタバレ》 
この手の"子ども上位モノ”は子役の出来いかんにかかります。賢さも器量も「大人顔負け」でなければならないし、かつ愛され要素として‟幼さ”も併せ持っていなければならない。さすがにハリウッドです 汲めども尽きぬ天才子役。次々輩出してきますねえ。その後のキャリアが大成したかどうかは別として、本作のアリサン・ポーターも見事な主演ぶりです。 演技論などを超えた彼らの天然演技は表情に嘘が無く、こましゃくれたトコも困った顔も寂しそうな様子も、全部素に見えてしまう。しかも本作は「コメディ」である、ということは押さえているみたい。恐るべし子役です。 そして今作大きく割を食っているのが大人たちで、造形の凡庸なことったら無いです。気ままだけど人の好い父親としっかり者のキャリアウーマン。この二人がくっつくであろうことは、しょてから100%分かっちゃってるわけで、展開にもヒネリがありません。心情描写も大雑把、出会って気に入ってくっつくだけ。子役のアリサンにおんぶにだっこの手抜き脚本はちょっと頂けないです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-09-19 23:15:06)
500.  ワンダラーズ 《ネタバレ》 
つるんでケンカして馬鹿をやる。いつの時代も共通の、男の子たちの青春が眩しく描かれます。一人一人皆キャラが立っているのでとても見やすい。女好きで仲間想いのリッチー、腕っぷしの強い正義感ペリー、口だけ達者の逃げ切りタイプのジョーイ。裏切者のターキーは最後まで惨めなまま。敵対チームもスキンヘッド系、チャイナ系、黒人グループとまあ色彩豊か。たくさんいるけどちゃんと見分けつきますね。ユニフォームがあるし、そんなものないアイリッシュ系は顔つきがすでに殺人者ぽくて、他グループとは次元の違うヤバさがあったり。 ケンカとパーティ、女の子へのイタズラ、彼女をめぐる諍い。若くて青くて、日々勢いで元気に生息しているように見える彼らにも複雑な家庭事情があったりとビターな差し味が効いています。 映画の終わりは青春の終わり。アメリカ社会はこの先ベトナム戦争が泥沼化して行くのです。ほとんど騙されて兵隊にとられたボールディーズの連中のこれからも、家から逃れて独立を目指すペリーとジョーイの将来も明るい展望を抱けそうにありません。リッチーは間違いなく嫁の尻に敷かれる人生が待ってるし。さらば青春。 フォーシーズンズの歌がぴったりハマる60年代の息吹がリアルに伝わりました。彼らがもっと不良化すると「ウォリアーズ」になるのね。(こちらも好き)対で印象に残る二作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-09-14 23:25:49)(良:1票)
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