481. カラフル(2010)
《ネタバレ》 人生が一生暗い色のままでいるか、人生をカラフルに彩ることができるかは結局は自分の行動しだい。人生がつまらないと言って悲観的になる前に先ずは行動から変えてみよう、ということです。そして、姿やキャラや生き方なんて十人十色。他人の視線や評価なんかあまり気にしないで、自分らしく堂々と生きよう、といった人生を前向きに生きるためのメッセージをたくさん感じました。しかし実際には言うは易く行うは難しで、それが簡単でないから"人生"は厳しくもあり、生きていくやりがいを感じるのだと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2014-03-11 21:39:26)(良:1票) |
482. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 この映画はやはり主演二人の溌剌さがよい。本当に旅先で出会った恋人たちのように私の目には映りました。二人から溢れだす多くの言葉もほとんど即興のアドリブではないか、と思えるほど自然な感じでしたね。そして二人の別れ方が素敵です。「半年後、またこの場所で逢いましょう」なんて、一生に一度は異性と交わしてみたい言葉。この魔法のことばによって、一晩のロマンスは記憶に残り、未来が恋しくなったわけです。ストーリーは徹底的に現実感を追及しているため、他のロマンス映画とは一線を画す個性的な映画だとは思います。でも現実的にはこのような出会いは海外一人旅を100回もして1回あったらよい方でしょう。これは、恋の成熟よりは"出会い"を愛する人にとって珠玉の映画。勝手な先入観ですが、このシリーズの心酔者はいつまでも独身でいる方が多いのでは?話が逸れましたが、、、どうか多くの旅人たちに素敵な出会いがありますように。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-21 22:05:50) |
483. Dear フランキー
《ネタバレ》 少年より、むしろジェラルド父さんの方が楽しそうに見えたのは私だけだろうか?一回限りの父親役、しかも相手の少年は自分のことを本当の父親だと思っている。こんなに楽しそうな話、独り身の私からすればお願いしてでも父親役やらせてほしい(笑)。良心的で誠実な映画だと思うし、何より出演者がみんないい顔をしていました。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-17 21:15:25) |
484. 存在の耐えられない軽さ
《ネタバレ》 プラハの春という時代を、儚くも力強く生きた三人を描いた物語。権力や武力による弾圧、男女の倒錯した三角関係など、人間が持つ狂気を様々な形で見せつけられた映画でありました。題名でもある"存在の耐えられない軽さ"とは、どうやら二つの意味があります。劇中のテレーザの台詞を素直に解釈すれば、私はトマシュの人生の軽さに耐えられない、と言っています。別の解釈をするならば、それはテレーザ自身に対する自虐のようにも受け取れます。「私が愛するのはあなただけ。けれどあなたは何人も同時に愛せる。私に対する愛情はそれだけ軽くなるのよ。」というように。いずれにせよ、この物語を目撃した人によってそれぞれ違った解釈をすることができる、抽象的な表現であることは間違いありません。トマシュとテレーザ、激動の時代を力強く生き抜いた二人は、唐突に、それも拍子抜けするほどあっさりと最後を迎えます。人生とは選択の連続であり、戻って選択をやり直すことはできません。ただ、もしトマシュがサビーナを選んでいたなら、運命も全く違った形になったのではないか、と考えさせられ、何とも遣り切れない気持ちになりました。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-16 21:52:40) |
485. プラダを着た悪魔
《ネタバレ》 ミランダはいつでも一瞬のうちに、アンディの足の先から指の先までを完璧にチェックし、彼女の着こなしをよく観察していました。ファッションなどには疎い私は、ミランダのその表情から、彼女の着こなしがこの業界に相応しく洗練されていく成長を何とか確認していた次第です。エミリーに着目すると、パリコレの夢を果たすためにと絶食に近い生活を強いられ、車に跳ねられ、あげくにはそのポジションをアンディに取って代わられる。ほとんどブラックコメディのようであったが、彼女を通してこの夢のように華やかな業界の狂信的な求心力を垣間見た気がします。アンディの成長の過程には、出世や成功とともに失うものも描かれており、仕事においてキャリアを目指す女性には感じることの多い映画でもあると思います。もちろん、男の私にとっても見応えのある映画でしたが、やはりアンディは冒頭とラストの等身大の着こなしが一番よく似合い、最も素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-14 14:35:47)(良:1票) |
486. ホステル
《ネタバレ》 思ったより怖くなかった。たぶん、見せすぎなのだと思います。解体部屋などは、ある程度視聴者の想像に任せて、露出をもう少し抑えた方がより恐怖感をあおったのではないか、と感じました。お化け屋敷なんかも、たま~にワッ!と出てくるから怖いわけで・・。(よくわからん例えですな)エロに1点、グロに1点、内容に1点の計3点でございます。 [DVD(字幕)] 3点(2014-02-12 21:36:07) |
487. ファーゴ
《ネタバレ》 雪におおわれた美しい田舎町。この美しい白銀の世界で繰り広げられる、かくも恐ろしい不幸の連鎖。一つの小さな犯罪が、雪だるまが転がるように巨大化していく有り様を、この美しい白銀の世界はまるで嘲笑を浮かべて眺めているかのようだ。人間の愚かさを痛烈に描いた、コーエン流の限界ギリギリのブラックコメディであり、同時に見応えのある犯罪ドラマでもあります。以下余談、関東では珍しい大雪の今日この頃、降り積もる雪を眺めつつレビューを致しました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-08 18:34:09) |
488. アメリカン・ハッスル
《ネタバレ》 クリスチャン・ベイルがハゲを忙しく隠している。あっという間に見破られる。と言うよりは、とっくのとうにバレている。天才詐欺師が楽々と嘘を見破られる、この冗談のようなオープニングが皮肉まじりで何とも可笑しい。ハゲすら隠し通せない天才詐欺師さんよ大丈夫か、と心配に思いつつ鑑賞。 展開が矢継ぎ早で、状況の理解が難しい場面もありましたが、豪華出演者たちの演技合戦を楽しむだけでも観て損はない好作であることは間違いありません。 女優二人は本当にパワフルで、女はあれぐらいでなければ裏社会では生き抜けないということか。 デ・ニーロの登場は映画ファンには嬉しいサプライズ。演じた役柄もお得意のもので、まさに余裕綽々、貫禄の演技でありました。 人生はめくるめく騙し合い。騙すか騙されるかの世界であることはよくわかっておりますが、詐欺師になることも詐欺に合うこともご遠慮したい私は、やはり平凡な人生に価値観を見い出したい。 [映画館(字幕)] 7点(2014-02-04 20:47:41)(良:3票) |
489. トレマーズ
《ネタバレ》 トレマーズ。 これは、怖くて、楽しくて、そしてラストはショーシャンクに匹敵する爽快感 (嘘) 、、。もしかして、もしかすると、これは映画史に残る傑作「B級映画」ではなかろうか。 まず第一に、低予算だ。なんせ、ミミズのモンスターが地中を進む映像なんか、昔のウルトラマンに負けてる。 そして、全体的にかなり "テキトー" だ。 なぜなら「トレマーズ」ってキーワードが出てこない。(確か) 生死 (にかかわる選択) を、何度もジャンケンで決めるなよ。 でも、何事も無かったように、彼女とぶっちゅして空撮で終わるとこなんか最高だ。続くエンディングの歌の、底抜けにノー天気な感じがまた良いんだ。(人たくさん死んでますけど・・) ちなみに、大荒野のド真ん中にポツネンと小さな町があって、そこら中に突然モンスターが現れるあたり、まるでドラクエみたいでワクワクした。 あと、キャスティングについて。男同士のバディものでありながら、白人同士のペアってのは近年のハリウッド映画と比べると珍しいかも。そもそも、黒人の出演者が皆無、そして殺られるのが動物とジジイと中国人という、、これはディズニー製作ではできないなあ (笑) でも、もとから大ヒットとか興行収入にはこだわっていませんね、わかっていますよ。B級映画はこうじゃなきゃ。9点。 [DVD(字幕)] 9点(2014-02-04 01:20:44) |
490. サニー 永遠の仲間たち
《ネタバレ》 仲良しグループは名前があることが特に重要です。名前があることによって、仲間たちの連帯感や結束力はあきらかに倍増します。おまけに、仲間同士で秘密を共有しているような高揚感もある。だから仲間たちを繋ぎ止めているのはグループ名そのもの、と言っても過言ではありません。彼女たちのグループ抗争と、軍隊と民間人による大人の抗争の場面は楽しい。少女たちが、大人たちの世界には全く興味ないことを面白おかしく皮肉っていて、とても笑えます。笑い転げるというよりは、ニヤニヤ見てしまう感じ。子供の世界と大人の世界。それは近いようで、決して交わうことのない別世界なんです。最後、音楽にのって踊りまくる彼女たちは、まるで少女の頃に戻ったよう。男って大人になっても大きな子供みたいなものだが、なんだ女も一緒じゃん! ってちょっと安心しました (笑) スジが帰還し、大人になった「サニー」が勢ぞろいしたその瞬間、彼女たちはみな少女の顔になる。 (遺影のチュナまで!) 粋な演出だね~。友情を信じた者たちが、友情によって人生を救われる。ちょっと出来すぎな結末でしたが、やっぱり映画には希望がなければね。でも邦題はちょっと残念。「サニー」だけでいいんじゃない? [DVD(字幕)] 8点(2014-02-02 17:41:51)(良:1票) |
491. 小さいおうち
《ネタバレ》 まず、昭和初期という時代設定から、大正時代はもとより明治時代のハイカラな雰囲気を残す街並みや風景に心躍りました。赤や朱色といった艶やかな色合いを基調とした家や着物もキレイでしたし、観る者を (視覚的に) 飽きさせない映画であったと思えます。 タキが残した自叙伝が時代を越えて心をつなぐ、、とはどこかで観たようなストーリーでしたが、その一筆はその心とともに「戦争」という激動の時代を乗り越えた分、そこは単なる年数にとどまらないような、果てしない時間の経過とか、一際の感慨深さを感じた次第です。 また山田洋次監督らしい笑いの中にも、タキがこの若さにして花輪のような老人に嫁がされそうになったり、当時の女性の身分とか生き苦しさを感じさせる描写が多く散見されました。監督の作品群の系譜から見ても本作は異色作であり、同時にまだまだ創作意欲の尽きない意欲作、と言えそうです。 →2021/9/29追記。 キムリンさまの意見にとても感銘を受けました。 なるほど、確かにそう言われるとそう見えてきます。タキがその想いを心の中に封印したのは、彼女の慎み深さなのか、あるいは「時代」がそうさせたのか、、改めて色々と考えさせられます。 [映画館(邦画)] 7点(2014-01-27 19:00:54) |
492. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 この映画は「20秒の勇気」について、語らなければいけないだろう。観たところ、馴れ初めにまつわるものでパパは誇らしげだけど、、いわゆる結果オーライで、あれって単なるナンパでは? (言っちゃった) まあ、私なんぞは奥手なもので、あの行動力はホント羨ましいかぎり (笑) 勢いで動物園 (!) を買っちゃう行動力もそうだし、男は (失敗を) 考えるな、直感だけで生きろ、、冗談ぬきでそこが映画のテーマなのかも。 そのベンジャミンパパを演じるマット・デイモンはいつも通りの好青年で、子役や動物たちもかわいらしい。だから、このまま安心印のファミリー向け映画の路線でいけばよかったと思っていて、ベンジャミンとケリーのキスシーンはなくてもよかった気がします。 そして、邦題「幸せへのキセキ」ね。どうりで、「幸せのキセキ」で何度検索してもヒットしないわけだ。でも、邦題はもう少し真面目に考えようね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-01-26 22:04:15) |
493. 秋刀魚の味(1962)
《ネタバレ》 結婚後の倦怠期、娘を嫁に出した父親、嫁に行きそびれた女、そして老後の寂しい人生。登場人物たちの人生は日本人としてはむしろ平均的で、特に珍しくもないものばかりでしたが、どちらかと言えば人生のはかなさ、むなしさに趣をおいて描いている、そんな印象です。その中でも特筆すべきは、ひょうたん先生が酔いつぶれて帰った長屋の場面。杉村春子演じる娘が横で泣いている。自分の人生はこんなはずではなかったという涙であるが、人生の無情を物語る実に残酷な場面である。片や、若い嫁をもらって幸福の絶頂にある者もあれば、ゴルフクラブの購入費で頭がいっぱいという何とも呑気な者もある。人生は十人十色、様々な人生を淡々とした視点で描いており、他人の人生を少しだけ覗かせていただいたような心境になる映画でした。 [DVD(邦画)] 7点(2014-01-21 22:19:19) |
494. ヒア アフター
《ネタバレ》 死者と交信する男。臨死体験をした女。兄を事故で亡くした少年。"死" にかかわる、稀有な体験者であるこの三人の人生が、運命に導かれるように交差する物語。私はこの映画の魅力に取り憑かれ数回鑑賞したが、特に少年がジョージを介して兄と交信をする場面について気が付いたことをコメントしたい。交信中、「兄が遠のいてきた」とジョージは言った。確かに、この時点で兄との交信は途絶えたと思う。この後に少年に伝えた「僕はお前でお前は僕なんだ。一卵性は二人で一人だ」の言葉、これは実はジョージの "嘘" だ。死者にいつまでもすがりつく少年の将来を危惧し、踏ん切りをつけさせようと思いついた嘘ではないか、と私は確信している。この言葉は、迷える少年を救うためにはこれ以外は考えられない素晴らしい嘘だ。事実、この言葉によって少年は立ち直った。そして、立ち直ったのは少年だけではない。ジョージは嘘で一人の少年の人生を救ったことにより、これこそが霊視者としての自分に与えられた本当の使命だったと感じたはずだ。彼にとってその能力は重荷でしかなかったが、この時ついにその呪縛から解放されたように思う。こう解釈すると、ジョージが突然に明るい未来を思い描き、唐突に思えたラストも違和感無く繋がる。マリーの手を固く握りしめても、もうそこには死の淵も冥界も見えない。傷ついた者が傷ついた者を救う。少しの思い遣りで支え合い、助け合う。その先には、幸せな未来と希望だけがどこまでも広がるのだ。 [映画館(字幕)] 10点(2014-01-19 16:35:13)(良:1票) |
495. ブロークン・フラワーズ
《ネタバレ》 ストレンジャー・ザン・パラダイス、ダウン・バイ・ローあたりでは顕著だった、ジム・ジャームッシュの強烈な個性、作家性といったものはあまり感じられず、彼の作品群の中では、らしくない普通の映画だな、という印象です。想像力とセンスに満ち溢れたオープニングは秀逸でした。ドン・ジョンストンさんがとにかくモテます。モテる男はいくつになってもモテるということでしょうか。羨ましい限りです。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-13 14:06:10) |
496. ゆりかごを揺らす手
《ネタバレ》 ペイトンはどう考えてみても異常者で恐ろしい。だがこの映画で描かれている本当の恐怖とは、どんなに真人間でも心当たりもない誰かの強烈な逆恨みの対象になりえる、ということでしょうか。その逆恨みを"報復"という形で行動に移されたとしたら、これほど恐ろしいことはないと思う。誰にでも、この見えざる攻撃者の標的になる可能性があることを考えると現実味のある怖い映画だった。(本作の場合はペイトンの素性をよく調べもせずに家に招き入れるという、夫婦の自業自得の感もあるが・・)世の中にはあれこれ怖いものはたくさんあるが、やはり一番怖いのは人間だ。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-11 23:19:52) |
497. レッド・ライト
《ネタバレ》 このキャストを見て、デニーロとシガニーウィーバーの対決を心待ちにしていましたが、対決どころか同時に画面に映ることすら一度もなく、その点が最も残念でした。他にも突っ込みどころが多い本作ですが、「超能力者と物理学者の対決」テレビのバラエティ番組などではよく見かけるこの題材を、一度映画で本格的にやってくれないかな、、と前々から思っていたので、制作陣営に感謝を込めてこの点数であります。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-01-11 15:40:07) |
498. いとこのビニー
《ネタバレ》 アカデミー賞は、米映画界への功労賞、あるいは今後への期待を込めた新人賞の意味合いで受賞するケースもあると思っていますが、本作のマリサ・トメイはその後者ではないでしょうか。 しかし、賞云々は別にしても、彼女の証人席の場面は劇中でも切れ味鋭く際立っているのは事実で、あのカーマニア全開マシンガントークは本当にすこーんと気分爽快でした。 一本道をかっ飛ばして行くオープンカーを後ろから捕らえたラストもグッド!! [DVD(字幕)] 7点(2014-01-08 22:09:12)(良:1票) |
499. シムソンズ
《ネタバレ》 素晴らしい、、数ある青春系スポーツ映画の中でも、これほどの作品にはなかなかお目にかかれません。この映画はなんかこう、、キラキラとまぶしいのです (笑) その象徴がもちろん加藤ローサではありますが、およそ全ての登場人物たちが本当に魅力的でありました。 まず、和子 (加藤ローサ) にとってカーリングの目標であり、恋敵でもある美希 (藤井美菜) 。孤高の天才少女であり、例によって扱いづらい敵対キャラでしたが、彼女がチームメイトになるまでの心境の変化を確りと描写できているため、素人軍団のシムソンズ合流に不自然さがありません。 チームメイトのもう二人にも (もれなく) スポットを当てています。その二人が大ゲンカした後、菜摘 (高橋真唯) が家の外から大声で「ありがとう」と叫ぶあたりから、私はちょっと泣けてきて、その直後の場面、いつかの海辺でみんな結集して仲直りして、やっとこさシムソンズ結成、、ここの展開があまりにも完璧。「(五円玉の) 表? 裏? どっち!?」「・・・表!!」ここでついに涙腺が、うぅ、、(泣) また本作を語る上で、絶対にかかせないのが大泉洋さん。その存在感たるや、主演級、ですね。私はこの映画によって彼の存在自体を初めて知ったので、癖ありまくりの顔と声とキャラにかなり大きなインパクトを受けまして、以降、彼の出演作で本作の衝撃を超えるものはいまだに出会っておりません。(彼自身にとっても、意外と本作の平太がベストアクトな気がしてます) イケメン枠として田中圭、オジサン枠の松重さん、重鎮枠の夏八木勲さん、彼らも全て見事にナイスキャスティングであり、とてもカッコイイ。 あと全編に渡ってジュディマリの歌がよかったのですが、ここはBGMばかりではなくて、彼女たちが (鼻歌交じりに) 歌う、あるいはラジカセ (ラジオ) からながれてくる、、そういった映画的な試みがあってもよかったかもしれません。(実話ベースなだけに時代が合わないかな?) 周知のとおり、実在のカーリングチームをモデルとしていますが、これはこれで間違いなく映画として (彼女たちの) 一つの世界を構築していたので、オリジナルの傑作青春スポーツ映画としても評価したい。 [DVD(邦画)] 9点(2014-01-04 21:12:43) |
500. 理由(2004)
《ネタバレ》 宮部みゆき氏の原作を先に読んでいます。 高層マンションの一室で殺されていた家族は、実は住んでいたはずの家族ではなくて、しかも他人同士であった・・。 一言で言うなら、現代社会における人間関係の希薄さ、がテーマと思います。そして、こういった事件が起こりえる法律の脆弱性 (抜け穴) という、社会派の一面も持っている。原作はまさに現代ミステリーの最高峰で、必見の名作でした。 しかし映画版は、そのどちらのテーマも取り上げつつ、大林監督らしさが色濃く出た内容となっています。まず登場人物の多さから、ドキュメンタリータッチになったことは理解できます。それよりも、とりわけ印象的なのが、ノスタルジー漂う荒川区の一昔前の風景。どこか尾道を彷彿させるというか、、 とても愛情をこめて撮られていますね。対象的に事件の起きたマンションの冷たいこと。人間の生活感が感じられなくて、無機質な建造物といった感じ。風景にそぐわない億ション、遠目から見た二つの高層タワーの姿は、明らかにこの地域に歓迎されたものではなく、懐かしい風景や下町の人情味を破壊した悪しき土地開発の象徴とされています。 もちろん事件は人間がやったことですが、犯人の動機や心の闇にはさほど言及することなく、むしろ事件の「理由」として、そういった人間を生み出した時代性や環境の変化も背景にあることを見逃すことはできません。 オープニングの軽さや、視聴者に考えさせるべき問題提起を画面上に文字でナレーションしたり (ラストとか) 、やや演出面に難を感じましたが、名作「理由」の映像化としてはこれしかなかったように思えます。 [DVD(邦画)] 6点(2014-01-04 20:07:34) |