501. 次郎長と小天狗 殴り込み甲州路
北大路欣也といえば、今や時代劇の大御所って感じだけど、このきっぷの良い若親分を威勢良く演じる欣ちゃんは、初々しくてかわゆいのお。この作品はマキノ監督と中村錦之助コンビの「若き日の次郎長」シリーズの番外編、或いは後日談みたいな感じで、本来主役だった中村が若手の北大路の引き立て役(悪い意味じゃなくてね)になっている感があり、出番は少ないのだけれど、その代わり役者としても劇中の親分としても風格が出てきた感じ。んでも最後の最後で美味しいトコ持ってっちゃうのはさすがというかズルイというか・・・。ともあれ森の石松を演じるジェリー藤尾は相変わらずイカすし、大勢を相手にするクライマックスはぐるぐる回ってワッショイワッショイだし、決め手はピストルパンパンパーンだし(我ながら頭の悪い文章だ・・・)他の「若き日の~」と同じく、観た後爽やかな気持ちにさせてくれる好編。エンディングに流れる「♪さぁさ清水の一家はイカすぜ~素敵で強くてカッコいいぜ~」というスイングジャズ風(?)のエンディングテーマもブッ飛んでてイカすぜ。 8点(2004-08-31 16:52:07) |
502. トラック野郎 爆走一番星
きっと十代後半~二十代前半だったら、楽しめなかっただろうなあ、こういうの。はっきし言ってダッサいし、ギャグもベタベタで下品だし、B級の臭いプンプンなんだけど、やたら熱くて、燃えてしまう。映画自体も登場人物もぜんぜんカッコつけてない(というか、カッコつけてはいるのだけど「ボルサリーノ2」とか、カッコつけ方が、なんか間違ってる笑)のが「直球勝負じゃあっ!」って感じでかえってカッコ良いんだわ。それに一作目もそうだったけど、サイドストーリーが泣ける。加茂さくらに想いを寄せるなべおさみの純情、警官をクビになった彼を「アンタには桜の代紋は似合わねェよ」と温かく祝福するトラック野郎たち、警官時代の横暴を悔いるやもめのジョナサン(愛川欽也)、出稼ぎの父の帰りを待つ幼い姉弟の健気さ・・・こうして並べるだけでも胸が熱くなるぜ!月並みな物言いだけど、こういう泣いて笑ってスカッと爽やかっていう映画、少なくなりましたねえ。 8点(2004-08-26 20:45:02) |
503. エヴァとステファンとすてきな家族
理屈っぽい言葉で言うと、これは「関係性の構築・再生」のドラマなんだな、つまりは。ここで描かれているのは、フラワームーブメント真っ盛りの時代で、出てくる人たちも極端なのばっかだけど、イデオロギーや性的嗜好のみに限らず人間は一人一人がそれぞれ異なった考えや規範を持っていて、それをぶつけ合い、時に傷つけ合い、時に癒し合いながらコミュニケーションしていく、しかないんだよなあ。独特の映像センスがちょっと合わない感じもしたけれど、ラストの雪の中のサッカーシーンは、とても美しいです。 8点(2004-08-26 20:23:11) |
504. 眠狂四郎 殺法帖
《ネタバレ》 【黒猫クロマティ】さんのコメントを読む前にこの作品をビデオレンタルしたのですが、結構良かったですよ。確かに狂四郎のキャラは安定してない感じがしたし、なんで短銃で撃たれて平気なんだ?とかラストの崖からの絶叫は説明的過ぎるしちょっとオマヌケだぞ、とか、色んなツッコミ所もあるにはあったけれど、狂四郎の「こういう事でもねぇと、俺はいつも自分が死んでしまったような気になるんだ・・・からっ風が、この胸板を吹き抜けていくんだ・・・」という台詞に象徴的な虚無感、そして(自分をも含めた人間、そして世の中に対する)怒りが裏に秘められた退廃的ニヒリズム(あり?虚無感とニヒリズムって、同義語か?まあいいや)に、ワタクシは強烈に惹きつけられてしまったのでした。それと、技術的なことをうまく説明するの下手なんですが、ちさ(中村玉緒)が父親と対決するシーンでカメラを斜めにして二人をとらえているカットは、えもいわれぬ迫力がありました。ともあれ二作目以降は、これよりさらにグレードアップしているようですね。「座頭市」「昭和残侠伝」シリーズに続いて、またまた観続けるのが楽しみなシリーズものを見つけてしまったぜ。嬉しい。 8点(2004-08-26 20:01:10)(良:1票) |
505. 自転車泥棒
あたしゃ、いわゆる「にわか」映画ファンなので、ネオ・レアリスモとかそーゆーのは分からん。分からんが、自転車を盗まれた者の気持ちは痛いくらい、それこそ「リアル」に、分かりすぎるくらい分かるぞ!自転車があればスイスイと走れた筈の道のりをトボトボと帰る惨めさ、自転車に乗る人々や街並を眺めながら「ああ、俺の自転車が盗まれた所で、世の中には何にも関係がないんだ・・・」と孤独感に苛まれ、怒りと絶望に包まれる感覚・・・大体、この作品のような、誰もが皆貧しく、生きていくのが精一杯という時代ならともかく、現代の日本において「ちょっと歩くのが面倒だから」とかいう理由で人の自転車を盗むなんてむしろ言語道断!窃盗罪なんて生ぬるい、いっそのこと死け・・・・・・え?論点が、ズレてる?・・・・・・スミマセン。 で、話を戻すと、子供の居ない僕にもこのお父さんの悲しさ、そして息子の健気さがヒシヒシと伝わってきて、とってもやるせない気持ちになりました。途中ブチ切れたお父さんが息子を邪険に扱って、でもすぐ後に後悔して探し回る所とか、皆さんが指摘されているラストで息子が父親にすがるシーンとか、いいやねえ。 9点(2004-08-26 19:48:14)(笑:1票) |
506. 昭和残侠伝 死んで貰います
この、シリーズ中最高傑作とも評される作品を語るのは、難しいなあ・・・っていうか、マキノ作品に関してあれこれ理屈を並べるのは、とても野暮な事だと思う。のではあるけれど、この、特に難解だったり取っ付き難い訳でもないのに「知る人ぞ知る」作品扱いされている本作の魅力を、せめてほんの少しだけでも伝えたい、と思うので(もうすぐDVDも出るしね)、書くぜ書いちゃうぜ!大体あたしゃ昔っから野暮天で、特に色恋に関しては・・・って論点がズレてきたので、気を取り直していくぜっ! さてマキノ雅弘のシリーズ監督作としては、陽気で快活な「昭和残侠伝・血染の唐獅子(四作目)」、それとは一転してハードボイルドな佇まいの「同・唐獅子仁義(五作目)」があるのだけれども、本作は、その両方とも似ていない。何というか、とても静謐(せいひつ)で、こう、ピンと張り詰めた(緊張感、というのとは少し違う)様な印象を覚える。また、ストーリーテリングもシンプルで、余計な説明を省略しているのだけれど、そのせいで良い意味での「すきま(つまりは想像力を刺激する余裕)」が生まれていて、シンプルなのに豊饒(ほうじょう)なのだ。さらに、作品全体のよどみないリズム、というか呼吸がとても「映画的(つまり、小説や演劇にはない、映画でしか味わえない魅力ってことです)」で心地好いのです。何かこむつかしい事をエンエンと書いてしまったけど、別にしかめっ面しながら観る作品ではなく、他の方も書いておられる卵焼きのエピソードや盲目の義母の肩を揉むシーン、あるいは池部良演じる重吉が秀次郎をヤクザからかばう為に殴り、後で泣きながら謝るシーン、さらにマキノ作品で重要な役割を占める味のある脇役(“ひょっとこの松”を演じる長門裕之が良い味出してます)、オットット忘れちゃならねェ藤純子(最近NHKのドラマに出てたけど、年を取ってもあの気品、凄いぜ!)などなど、見所テンコ盛りなのだあ!だから、ワタクシとしては最後にこう言うしかない。「観てチョーダイ!」 9点(2004-08-26 19:31:56)(笑:1票) |
507. シベリア超特急
いや、皆さんの仰るとおり、出来としては最低で、反戦映画としてもサスペンスとしても破綻しているし、ツッコミ所も満載。んが、あの二回目の「どんでん返し」を観ながら、僕は何故だか妙に爽快・痛快な気分になってしまったのです。ちょっと話がずれるけど、現代ってとっても「自意識過剰」の時代だと思うんですよ。多くの人が他人の目を気にしてて、カッコ悪く見られる事を極度に嫌うし、だからやりたい事があってもなかなか出来なかったり、もしくは誰かの安直なモノマネになってしまったり。そんな風潮にあって、ここまで天真爛漫(いや、傍若無人か?)にやりたい事をやってしまう水野氏の姿には、何だかとても清々しさを感じてしまうのです。ある意味水野晴郎って、現代のドン・キホーテなんじゃないかな(当然ぼんちゃんがお供のサンチョ・パンサ)。本来のドン・キホーテが当時の世相に対する風刺であったように、ニコニコ笑いながら「シベ超」シリーズを作り続ける水野氏の姿は、その存在自体が「批評」になり得てる。そりゃ、風車に闘いを挑もうとするオッサンは滑稽だし、それを嘲笑う事は簡単だけど、でも多くの人が闘おうともしてないじゃん?と僕なんかは思います。あー、それにこの作品って実は水野監督の「映画」に対する熱~い想いがこもった「恋愛」映画でもあるんじゃないかな。つまり、昔からずうっと好きだった相手に、還暦も過ぎてからやっとの思いで出したラブ・レター。確かに文章はトンデモだし字もヘッタクソだけど、そんな「老いらくの恋」を嘲笑する事は、僕には出来んです。きっと「シベ超祭り」にも参加してるファンの方々の少なくない人たちがそんな水野監督の「想い」に打たれてるんじゃないかな…ちょっと真面目に書き過ぎたかもしんないけど、マジでそう思う。 7点(2004-08-12 19:09:16)(良:12票) |
508. 昭和残侠伝 唐獅子仁義
シリーズ五作目にしてマキノ監督作としては二作目。前作がどちらかというと快活な任侠モノだったのに比べると、こちらはかなり暗くて、ニヒリスティックでハードボイルドな佇まい。ではあるのだけれど、「やくざの稼業をしていても、やくざな生き方をするな」というマキノ流任侠道が色濃く反映した作品ではあります。で、やっぱ殴り込みのシーンがカッコ良いんだよねえ。お馴染み「昭和残侠伝」主題歌をバックに、高倉健演じる花田秀次郎が夜道を歩くシーンで、短いカットを繋ぎ合わせた手法は、戦前の「血煙高田馬場」を彷彿(ほうふつ)とさせて、盛り上がる盛り上がる。前作では殴り込みにいつもの花田秀次郎・風間重吉に加え竹(津川雅彦)も参加して新鮮なグルーヴを醸し出していたけれど、今回は良い感じの脇役、イタチの藤吉(待田京介)が参加してて飽きさせないのだ・・・さて、お次はいよいよ最高傑作の呼び声高い「死んで貰います」だ。期待してまっせ、秀次郎さん。 8点(2004-08-09 20:58:27) |
509. 森の石松鬼より恐い
マキノ雅弘監督の「続清水港」を沢島忠がリメイクした、中村錦之助主演の作品。とりあえず、中村錦之助といえば時代劇しか観てなかったので、彼が普通に現代の格好をしてるだけで可笑しい(っつうか、普通にべらんめえ口調だし)。その他にも数々の東映時代劇の常連役者が現代劇で登場するので(これは褒めてるつもりで言うのだけれど、時代劇役者は時代劇の格好してる方がオーラ出てるよね)、ちょっと楽屋的な楽しみ方も出来るのだ。で、タイムスリップ(?)してしまった中村の慌てっぷりや周囲の人々の混乱ぶりも大いに笑わせてくれて、さすがは快活な時代劇を得意とした沢島監督だなあって感じでした。ただ、最後までパロディで通すのかと思いきや、後半から普通の時代劇っぽくなってしまったので、そこが残念といえば残念。 7点(2004-08-09 20:42:26) |
510. 清水港の名物男 遠州森の石松
マキノ監督が自身の「次郎長三国志 海道一の暴れん坊」をリメイクした作品だそうな。どっちかというとしっとりとした作品で、「女に惚れたことがない」石松と「惚れるということが分からずに“女”になってしまった」女郎夕顔の悲恋が泣かせる。ただ、個人的にはちょっと冷静に観てしまったところがあって、物語に入り込むことが出来なかったのでした。理由は分からないのだけれど・・・ちょっと台詞とかが説明っぽかったのがひっかかったのかなあ?女に惚れられて、「命が惜しい」「いや、死んでも惜しくない」という矛盾した考えを持った石松の気持ちはすごーく分かるのだけれど・・・出来れば森繁久彌が石松役を演じたというオリジナル版が観たいなあ。東宝さん、ゴジラや黒澤明作品も良いけれど、「次郎長三国志」シリーズもDVD出してちょーよ。<2006.5.22追記>という事でつい先日、念願の「次郎長三国志」を観たのだけれど、何でこっちのバージョンに今ひとつ感情移入できなかったか分かった気がする。「女に縁のなかった不器用な純情男」を演じるには、錦之助は二枚目過ぎてて、今ひとつ説得力に欠けるのだ。その辺本人が自覚してたかどうかは分からないけど演技も力が入りすぎちゃって、若干空回りしてた気がする。この作品が大好きな錦之助ファンの方には申し訳ないけれど、、モテない男のイチャモンと思って許して下せぇまし。 [映画館(字幕)] 7点(2004-08-09 20:23:49) |
511. 若き日の次郎長 東海の顔役
米屋の養子長五郎がどのような経緯で清水の次郎長と名乗って渡世の道に入ったか、という、いわば「清水の次郎長エピソード1」ですな。遊び人だけど、曲がった事や困っている人を見捨てる事が大嫌い、という次郎長を中村錦之助が好演。田中春男の法印大五郎や平幹二朗の仙右衛門、東千代乃介の三五郎など、脇を固める子分衆もかっちょ良いのだけれど、やっぱ見所はクライマックスの殴り込み!渡世人スタイル(なんつうの?三度笠と、縦縞のマントみたいな奴)で颯爽と駆けて行く次郎長親分と六人の子分衆(マキノ作品の走るシーンってホンットかっこ良いんだから、一度観てみてよお!)、そして大勢のやくざ達に怯むことなくカンカンカーンと威勢の良い啖呵(たんか)、んでうりゃあ、バンバンバーン!行くぜワッショイワッショイ、ぐるぐる回っちゃうぜ!ズバッ!ドスッ!イヤッホーってなもんでい!チクショー!熱いぜ。<余談>この作品が公開されたのは1960年(昭和35年)。戦後の荒廃からやっと立ち上がろうとした時期だと思うのだけれど、きっと当時の観客にとって「闇米」というのは、現代よりずっと重みのある言葉だったのだろうなあ、と思う。 8点(2004-08-09 20:10:54)(良:1票) |
512. おしどり駕篭
美空ひばり、当時は二十歳位なんだよね。確かに可愛いことは可愛いけれど、僕の場合すでに「女王」になってしまってからの彼女のイメージが強すぎて、イマイチ感情移入できなかった(どっちかって言うと中原ひとみの方が好みなんで・・・)。んでも基本的には楽しいミュージカル(っていうか、こういうのはオペレッタっていうのか?)で、若殿様が身分を隠して左官屋さんをやってるという破天荒な設定も面白かったっす。ちなみに戦前のマキノ監督の名作「鴛鴦歌合戦」は未見なのだけれど、これと似たような雰囲気の作品なんだろうか? 7点(2004-08-09 19:40:23) |
513. トンネル(2001)
正直、前半は若干かったるかったのだけれど、後半盛り上がってきて良かった。西ドイツに逃れた人々の家族や恋人に対する熱い想いには胸を打たれたし、東ドイツ当局との駆け引きのくだりもドキドキさせられる…しかし(以降映画の話から脱線)、東ドイツと西ドイツは統一されたが、もっと近くには未だ分断されたままで、しかもかつての東ドイツとは比べ物にならない程の酷い状況で暮らしている人々もいるという事を思わずにはいられない。自らの危険を顧みずに脱北者の支援活動をされている方々に、心からのエールを送ります。 8点(2004-08-09 19:34:43) |
514. リトル・ヴォイス
最初は他愛の無いシンデレラ・ストーリーかと思いきや、微妙に観客の予想を裏切るストーリー展開。それにしてもLVが可愛い(地声がアニメ声なのがちょっと引っかかるけど)。内気なビリー(ユアン・マクレガー)も可愛いし(チト出番が少ないのが残念)、脇役も良い味出してる(個人的に、あの太ったおばちゃんが良かった)。ギャグのベタさが、まるで井筒監督みたいで結構ツボでした。ただ、ハリウッド的なサクセスフルハッピーエンドを避けたのは分かるけど、LVとビリー以外の人達もハッピーになって終わって欲しかったな。レイ・セイ(マイケル・ケイン)はあの後、怖い借金取りに連れてかれちゃったんだろうか? 7点(2004-08-08 18:34:09) |
515. シュレック2
お!期待せずに観に行ったけど、面白かったですよ、結構。「招かれざる客」に良く似たシチュエーションを軸に、いわゆる御都合主義的おとぎ話のアンチテーゼとしての毒を含んだ笑い、そして各種の映画や実在の企業のパロディ(個人的に一番ツボだったのは『警察24時』のパロディ。あれを『ボウリング・フォー・コロンバイン』のマイケル・ムーアに対するオマージュと解釈するのは、いくらなんでも深読みしすぎか?)もありつつ、オタク映画ではなく間口の広いエンターテインメント作品に仕上げたのはなかなか凄いと思う。特にクライマックスのシーンは、あの曲(何だっけ?日本ではカバー曲が『スクールウォーズ』で使われていたやつ)の効果もあいまって、結構グッと来た。さらにラストのリッキー・マーティンのカバー。往年のディズニーアニメを彷彿とさせるような(でも多分今のディズニーには作れそうもない)、サービス精神満載の映画。 8点(2004-08-06 20:14:16) |
516. ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
うう~ん、原作読んでるので純粋に映画として観られなかったかもしれない。巻を追う毎にページ数が増える「ハリポタ」シリーズなので、映画化に関してある程度削られるのは仕方がないけれど、三巻で初登場し、以降も重要な役割を果たすチョウ・チャン(ハリーの初恋の相手)が出てこないのにはちょっとがっくし。んでも、あまりに原作に忠実にしようとしたあまり説明的になっていた1・2作目に比べると、映画としては良かったのかも。あと、全体的にゴスっぽくなってて、ユーモアのセンスも大人っぽくなってたのは好印象。しかし、4・5作目はどうするんだろ?四巻は一巻の倍の量だし、五巻はもっと長いのに・・・監督と脚本家は、大変だろうなあ。<追記>ありえないだろうけど、万が一日本でリメイクすることになったら「占い学」のトレローニー先生役は、是非細木数子先生にやって頂きたい。 7点(2004-08-02 21:57:46) |
517. 五月のミル
先日(2004.7/31)BSで放送されてたのを観ました。ベルトリッチ監督の新作「ドリーマーズ」も五月革命(1968年にフランスで起こった、学生と大学当局の対立に端を発し、後に労働者なども巻き込んだムーブメント、らしい)を扱っているそうだけれど、NHKの担当者はその辺も意識してこの作品を放映したのかな?ルイ・マルの作品は「地下鉄のザジ」しか観てなかったけど、大騒ぎする人々を飄々とした視点から描いている、という点でこの作品と共通するものがあるような気がしました。個人的に、ブルジョアの登場人物がマリファナ(多分)でラリラリになっちゃって「革命万歳!」とか言って浮かれている傍らで使用人のお爺さんが黙々と棺を納めるための穴を掘っていたシーンが印象的でした。何つうか、のん気なおっちゃんだなあ、ルイ・マルって(←褒めてます、一応)。 6点(2004-08-02 21:47:31) |
518. 眠る男
僕は映画の技術的な事とかには疎いのだけれど、それでもこの作品の構図がとてつもなくこだわって撮られたのはわかる。温泉の水車や「眠る男」が眠る日本家屋、そして田園風景や山の緑が、とても美しく、特に時折挿入される月や花のカットは官能的ですらある。そうした中での「生」と「死」の描かれ方は、まさに幻惑的・神秘的。また日本風俗のエキゾチックな面(能の一場面や、様々な風習など)も描かれていて、外国の各種の芸術祭・映画祭で評価されたのも納得できる。 ただ、「芸術」としての完成度の高さは分かるのだが、反面あまりにも「浮世離れ」し過ぎてる印象がある。まるで「彼岸」からモノを見ているような、現実を拒絶しているような。登場人物に活き活きとした感じが見られず、はっきり言えばあまりに「芸術」し過ぎている様に思えた。映画って確かに「芸術」の側面もあるけれど、でももっと俗っぽくても良いんじゃないかな。芸術的でなくても美しくなくても、やっぱし僕は映画で「人間」が見たいのです。ラストの、河原で戯れる母と幼い子供のシーンなんか、とっても良かっただけに、残念。 6点(2004-08-02 21:29:56) |
519. 10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス
まるで世界の一流シェフの料理を一口ずつしか食べさせてくれない、みたいな「もっと、腹一杯食わせろー!」と言いたくなる感じはあるけど、その分よ~く噛んで味わえば良いわけで(というか、最近は映画でも食べ物でも、「噛まないでも食べられる」ものが多すぎるのだ)、後からじわじわ余韻が来る感じかな。人によってどの作品が良かったかは違うと思うし、またそれを話し合ったりするのも楽しいと思う。僕としてはジム・ジャームッシュ、スパイク・リー、チェン・カイコーの作品が割と好き。でもやっぱ凄い!と思ったのはヴィクトル・エリセのかな。音と映像のリズムがまるで韻律を持った詩の様で、まさにめくるめく映像体験。ちなみにエリセというと10年に一度のペースでしか作品を発表しない作家、というイメージがあるけれど、これは意図的なものでないらしい。実際、前作「マルメロの陽光」以降にもいくつか企画があったらしいのだけれど(恐らくは予算の都合などで)、ポシャってしまったらしい。うむむ、もしどっかの企業がエリセの新作をバックアップしたら、絶対世界中の映画ファンに感謝されると思うけど・・・ライブドアの社長さん、どうかなあ?スペインの物価は分からんけど、きっと10億円くらいあれば充分だと思うし、同い年のよしみでお願いしますよお。 7点(2004-07-31 15:56:13)(笑:1票) (良:1票) |
520. パンチドランク・ラブ
うーん、一言で言えば「すまん、自分には合わなかった」。最初のピアノ(?)のシーンは割と良かったんだけど、音楽と映像(異常に照明が明るい感じとか)がサイコ・サスペンスのようで、ちょっとラブストーリーを堪能する気持ちになれなかったのです。ステレオタイプな恋愛モノと少しずらしたり、逆に敢えてベタベタなシーンを入れたりっていう試みは面白かったけど・・・あ、あとあの「He needs me,he needs me」って曲(ロバート・アルトマンの「ポパイ」でも使われているそうな)は好き。 5点(2004-07-31 15:44:49) |