541. ルビー&カンタン
《ネタバレ》 復讐に燃えるクールな一匹狼の男と力は強いがひたすら能天気な男の噛み合わないコンビをジャン・レノとジェラール・ドパルデューが楽しく演じています。ドパルデューの道化がうまくジャン・レノの持ち味を引き出していますね。 まあこういう作品はあまり深く考えずに楽しむのが一番ですね。 [地上波(字幕)] 7点(2009-11-17 23:20:53) |
542. 暗殺・リトビネンコ事件(ケース)
《ネタバレ》 この作品はリトビネンコ事件の追求のみならず、先進国とは到底思えないロシアの権力体制の異常とも思える姿を告発していて非常に興味深かったです。そういう国家が隣に存在することが恐ろしいですね。 権力維持のために反抗するものに対し手段を選ばず抑え付けようとし、しかも国民に対する見せしめの意味もこめているのか露骨な報復手法をあえてとる姿勢を見ると、この国は民主主義・自由主義の皮をかぶった全体主義の独裁国家なのではないかと感じてしまいます。 まあ、政商が「ロシア人の精神性には隷属志向がある」と語るシーンがあったり、プーチンの過去の犯罪に言及したりとかなり過激な内容で、監督の身の安全を心配してしまいます・・・・・(家は荒らされたようですが)。 [DVD(字幕)] 7点(2009-11-15 23:39:41) |
543. パール・ハーバー
《ネタバレ》 日本が完全に悪役として描かれているので、観ていて気分は良くなかったですね。まあ、戦闘シーンは迫力があったとは思いますけど。 ただ日本人としてのバイアスを除いたとしても、この映画の物語の核となる主人公たちが繰り広げる三角関係に全く感情移入ができませんでした。どうみても身勝手でドロドロなのに、なんかあっさりとしたタッチで美しくまとめているのがどうなんだという感じです(まあ、真珠湾攻撃でそれどころではなかったということなのかも知れませんが)。戦闘シーンと恋愛シーンのアンバランスさが気になりましたね。 しかし、戦艦アリゾナが今もまだ1000人以上の遺体とともに真珠湾に沈んだままになっているんですね・・・・ [地上波(吹替)] 4点(2009-11-11 23:16:45) |
544. パンドラの箱(2008)
《ネタバレ》 親子関係・兄弟関係そして介護問題という、トルコだけでなく我々にとっても他人事では無い普遍的なテーマを扱っているので見入ってしまいました。 しかし、この問題は難しいですね。ラストの一人で山に入っていくアルツハイマーの祖母をただ見つめるしか術のない孫の心境が非常に良くわかります。 緻密に計算された映像美と演出、そしておばあちゃん役の演技が素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-08 11:28:15) |
545. 人間の証明
《ネタバレ》 豪華なキャスティングや本格的なNYロケ、派手なファッションショーととにかく威勢は良いものの、どことなくハリボテのような薄っぺらさが目に付きましたね。まあ、娯楽作品だといってしまえばそれまでなんですけどね。 戦後日本の復興の裏に隠された悲劇(おそらく実際に同じようなことはあったと思います)をこういう風に使うのはどうなのかなと思いましたね。もう少し深みのある作品にしてもらいたかったですね。 ただ、松田優作の存在感はさすがでしたね。何というか、「ブラックレイン」の原点を見たような気がしました。 [地上波(邦画)] 6点(2009-11-07 00:19:54) |
546. 明日の記憶
《ネタバレ》 主人公と同じサラリーマンの身としては、感動や感銘よりも恐怖心を強く感じてしまいましたね。何というか、他人事とは思えませんでした。 ただ、こういう事例を小説や映画という形で我々に提示してくれたことには感謝したいですね。人生何があるかわからない中で、予備知識があるかないかでは大きな違いがありますから。 暖かな雰囲気が、逆に悲劇性を強調していて非常に哀しい作品でした。まあ、大滝秀治じゃないですけど「生きてりゃいいんだよ!」というポジティブシンキングは大事だなと思いました。 [地上波(邦画)] 8点(2009-11-06 00:27:15) |
547. 灯台守の恋
《ネタバレ》 観終わった後、何度も思い返す度にじわじわと心に響いてくる作品ですね。荒れた海に聳え立つ灯台の姿、いろいろな意味で荒涼としたブルターニュの風景、いろいろな愛情の姿、アルジェリア戦争の傷跡・・・・いろいろな要素がさりげなくストーリーの中に置かれていて、それらがうまく混じりあって素晴らしい作品に仕上がっています。 ブルターニュ地方にケルト文化が息づいていることとか、灯台守の仕事の様子などいろいろ知ることができたのも良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-05 21:24:01)(良:2票) |
548. レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち
《ネタバレ》 この作品が面白いことは確かです。118分間まったく飽きることなく観賞できましたし、「D-DAY」の成功の裏にはこんなことがあったんだと非常に興味深かったことも確かです。 ただ、あまりにも主人公たちが戦争アクションの英雄としては悲惨すぎるんですよね、「死して屍拾う者なし」というどっかの時代劇に出てくる文句が浮かんできました。何というか、結果としてナチスに勝ったことは勝ったのですが、戦争という愚かな行為が産み出した虚しさしか感じませんでした。ナチス側の方がよっぽど人間的に描かれていますし。 [DVD(吹替)] 7点(2009-11-03 21:41:01) |
549. スコットランド・カップの奇跡/栄光のストライカー
《ネタバレ》 これは、贔屓のサッカーチーム(しかも強豪ではない)を持っている者にとってはたまらなく魅力的な映画ですね。元スター選手役を演じたアリー・マコイストは、実際にレンジャーズ等で活躍していたストライカーだけあって試合のシーンもリアルな感じでした。 小さなチームがジャイアントキリングを続けて遂にカップ戦の決勝まで・・・という流れは、どうしても自分の応援するチームと置き換わってしまうのか感情移入してしまいますね。話の締め方もイギリス映画らしく甘くはないのですが、心温まる感じで良かったです。 スコットランドのサッカー事情も垣間見れて興味深かったです。見る前にちょっとスコットランドサッカーについて予備知識を仕入れておくと良いかもしれません。 [地上波(字幕)] 8点(2009-11-03 21:39:29) |
550. コルチャック先生
《ネタバレ》 多くの人から尊敬されており、一人生き延びることも可能な立場でありながら、自分を頼っている孤児たちのために運命を共にしたコルチャックという人間の生き様そして人間が人間を選別する行為を愚かなものとして否定する彼の信念に感銘を受けました。それだけに、ラストの字幕が胸に突き刺さってきますね・・・・。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-30 00:14:06) |
551. ウェディング・ベルを鳴らせ!
《ネタバレ》 クストリッツァがとにかく暴走しまくっている「怪作」ですね。エネルギッシュで危険で猥雑なギャグの連発ぶりは「マカロニほうれん荘」のようであり、そこにかぶさるシュールな雰囲気はフェリーニのようであり、そこにクストリッツァ映画に欠かせないジプシーサウンドや動物たちが加わって、口があんぐりと開いてしまうようなカオスな世界が広がっていました。 正直言って評価は難しいです。万人にお勧めできる作品ではないですし、他のクストリッツァ作品に較べて「哀しみ」の要素が余り感じられなかったのもちょっと物足りなかったですね。 [映画館(字幕)] 6点(2009-10-28 00:04:53) |
552. 巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)
《ネタバレ》 2003年の作品ではありますが、昔の洋画を見ているような懐かしい雰囲気が漂うミュージカル映画でした。まあ、1920年代にヒットした作品の映画化で舞台劇をそのまま映像化したような感じでしたけど、それがまたレトロな感じで良かったと思います。 ストーリーもちょっと下世話な男女の物語をユーモアを交えて軽妙で小粋な感じに仕上げていて面白かったです。ラストも上手くハッピーな感じになっているのもいいですね。料理で言えばメインディッシュではなく前菜といった感じの作品です。 [地上波(字幕)] 7点(2009-10-27 23:37:22) |
553. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 夜更けのスナックで訳ありな美人ママの身の上話を聴いているような気分に浸りながら観賞してました。 急激に経済成長していく中国の中で、さまざまなものが変わっていく中でたくましく生きていく主人公の姿に共感を覚えました。 鴨の首は一回食べてみたいですね。あと、重慶のロープウェイも一度乗ってみたいと思いました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-26 23:48:56) |
554. ライブテープ
《ネタバレ》 吉祥寺の町が舞台の74分間のロード・ムービー。素晴らしい映像作品でした。 舞台は吉祥寺でなければならなかったし、日時は元日の夕暮れ時でなければならなかったし、ミュージシャンは前野健太(とその仲間たち)でなければならなかったし、作り手は松江哲明(と彼のスタッフたち)でなければならなかった・・・・。この全ての要素が混ざり合った瞬間に生まれた奇跡を大スクリーンと大音量で体験できて良かったです。 多分、作り手側が思っている以上に人々に感銘を与える作品になっていると思います。これは、世界で勝負できる、日本の日常を切り取ったドキュメンタリーでありロードムービーでありライブテープであると断言できます。 あの、元日の夕暮れ時の美しさの中で奏でられる「天気予報」の格好よさが今も頭の中に残っています。多くの人に見てもらいたい作品です。 [映画館(邦画)] 9点(2009-10-25 09:20:53) |
555. D.I.
《ネタバレ》 同じようなシーンの反復とそこに生じる微妙なズレを効果的に用いて、イスラエルに暮らすパレスチナ人たちの日常をユーモラスに描いた前半、突如として突飛な展開の飛躍が駆け巡る後半で構成されるこの映画ですが、本当に掴みどころがなく、はっきり言って訳がわかりません。 ただ、それは映画が訳がわからないのか、テーマとなっているパレスチナ問題が訳がわからないのか・・・考えさせられます。 日本で言えば北野武のシュールな空虚感の下で鈴木清順の自由奔放な表現を展開しているような、この監督のセンスは非常に興味深かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-10-22 10:15:22) |
556. THE WAVE ウェイヴ
《ネタバレ》 ファシズムを推進していくことは非常に魅力的で楽しいことである・・・・・。非常に興味深いテーマを取り扱っているのであっという間に時間が過ぎていきました。 集団の中で一致団結すること自体は悪いことではなくむしろ良いことであると思うのですが、それを扇動し一つの方向を定めてそれ以外については排除してしまうことが問題なんですよね。特に、疎外された人間の劣等感を逆手にとって利用するような行為は絶対に許されるものではないと思います。 まあ、人間の心なんて本当に弱いものですからこういう映画をどんどん製作してもらって、絶えず警鐘を鳴らしていってもらいたいものです。 [映画館(字幕)] 9点(2009-10-15 09:08:39) |
557. ゼイリブ
《ネタバレ》 この発想力には脱帽ですね。現在の日本にもはびこっている商業主義、競争社会、経済格差等々の問題を見事に戯画化していて興味深く観ることができましたし、いろいろと考えさせられました。実際、広告なんて商品を購入させたいという目的に、われわれ消費者を従わせるための手段なわけですからね。 社会の中で当たり前のように為されていることに疑問を感じたり、変えようとすることは確かに面倒臭いし、抵抗感すら感じることかもしれませんが、ただ流されるばかりではいけないのだなと思ったりしました。 まあ、この作品の世界観も突き詰めていくと、ナチスのユダヤ人政策の根底にあった思想を思いおこさせるような面もあって危険さも感じましたので、あくまでも娯楽SF作品として楽しむのがいいのかもしれませんね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-13 23:57:44) |
558. パリ空港の人々
《ネタバレ》 トム・ハンクス主演の「ターミナル」に感じが似ているなと思ったら、モデルとなった人が一緒なんですね。ただ、こちらの作品のほうが現実的なストーリーですね。 玄関まで辿りついたはいいもののドアを開けてもらえない宙ぶらりんな状況に置かれている人々のドラマがユーモラスにそしてハートフルに描かれています。夜のパリの華麗な美しさも印象的でした。 しかし、空港内の「ファーストクラスホテル」には一度泊まってみたいですね。どこがファーストクラスなんだw [DVD(字幕)] 7点(2009-10-13 18:46:10) |
559. 裸足の1500マイル
《ネタバレ》 人間が自分たちと異なる文化を持つ人間を動物扱いしている。そして、それがさも当然であるとその人間たちは疑いを持つことなく考えている・・・・・。あまりに愚かな政策で唖然としてしまいました。いろいろ考えさせられました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-11 10:36:05) |
560. SING FOR DARFUR
《ネタバレ》 非常に評価が難しい作品ですね。観終わった後は、「ナイト・オン・ザ・プラネット」のバルセロナバージョンみたいだなというのが率直な感想でした。リレー方式で主役が入れ替わっていく手法は中々面白い試みだと思いました。 ちょっと日本人夫婦の会話には違和感を感じましたが。 この作品が伝えようとするメッセージは、「ダルフール」の問題は対岸の火事ではなく人類として脅威となる問題なのだから関心を持ちましょうということだと思います。ただ、皆それぞれ何らかの問題を抱えていますからね・・・・生活に余裕のある人ならともかく、殆どの人はそこまで頭が回らないのは仕方ないでしょうね。まあ、それ故に人類は過ちを繰り返していると言われてしまうと何も言えませんが・・・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2009-10-07 17:40:00) |