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コメント数 895
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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541.  アデル、ブルーは熱い色 《ネタバレ》 
愛の芽生え、歓び、憂い、嫉妬、苦しみ、悲しみ、慟哭、そして愛の終焉……あらゆる感情を、ある女性の瞬間をスクリーンに焼き付けた、まさに"愛のむきだし"。初心な女子高生から大人になっていくアデルの変貌が印象的で、一人称でアップばかりの映像は彼女の見た世界の狭さを表しているようだ。すれ違いによる浮気で破局していく様は、本当にその場にいるような迫真さで熱気にあふれている。思えばエマが青い髪染めをやめてから、もう違う世界にいたのだろう。同性愛に気があるが世間体を気にするアデルとありのままの自分自身を受け入れ本能的に生きるエマ。再会して和解するもエマに新しい関係が生まれてもう元に戻ることが出来ない。アデルへの想いを絵画で表現したエマとの思い出を胸に、ロングショットで立ち去るアデル。そして彼女の人生は続く。……と、思えば良い映画かもしれない。しかし、3時間でなければならない濃度は感じられなかった。演技と演出にパワーがあった分、残念に思える。ちなみに劇場公開版がレンタルショップになかったため、R15+編集版で観賞。なるほど、濃厚な10分間の性行為がカットされており、これを見るか見ないかで評価が変わるかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-07 23:07:15)(良:1票)
542.  舟を編む
辞書作りという、長い年月の掛かる非常に地味な作業を、綿密なプロセスと堅実な演出で上手く見せる。下手にギャグに走るようなユーモアがないことも好印象。しかしながら無味無臭。淡々としているが故に際立つような余韻を感じることはできなかった。
[地上波(邦画)] 6点(2014-12-29 23:08:57)
543.  アナと雪の女王
王道を地で行きながらも"真実の愛"の正体が意外な形で浮上する。ミュージカルシーンも素晴らしく、大ヒットする理由は分かる。しかし、「お粗末な脚本が足を引っ張っている」。これだ。上記の二つのお陰で、御都合主義が際立ってしまっているというか。幾度かピクサーと共同で製作しているディズニーだが、どうやらストーリーのノウハウだけは学べなかった。
[映画館(吹替)] 6点(2014-12-21 11:16:02)
544.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 
他の方が仰ったように冒頭10分は完璧。実写映画一本分の濃厚さでここだけを長編にしても良かったくらい。つまり、本編に入ってから段々尻すぼみになってしまったということ。確かに風船で家が飛ぶファンタジックなワクワク感があったが、いざ目的地に到着してみるとあとは迷走でそのまま挽回せずに終了。登場人物も女キャラがいないのでむさ苦しい。ボーイスカウトでなければならない理由もないし、冒険家が悪役になる理由もまずないかな(『地獄の黙示録』のカーツ大佐みたいなものか)。音楽は素晴らしかった。
[地上波(吹替)] 6点(2014-12-21 10:58:51)
545.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
現代とは程遠い、30年代というノスタルジックな時代設定と同時に人種差別が色残るアラバマに深い闇が覆っている。そこで起きた奇跡と悲劇。3時間の長尺であるが飽きることはないし、モダンホラーの帝王のスティーブン・キングだけあり、ホラーなシーンがちらほら。そして心を動かされる情感と人間模様が包み込む。ただ、後に見た前作の『ショーシャンクの空に』が素晴らしすぎたことと、悲劇と感動を履き違えているところに違和感。泣きそうになっている自分自身に後ろめたさを感じてしまった。後の作品を見ても、きっとダラボンは前作で精根付き果てたのだろう。54歳の若さで亡くなってしまったマイケル・クラーク・ダンカン演じるコーフィーの人懐っこさと優しさが今でも忘れられない。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-20 22:26:44)
546.  レッド・ドラゴン(2002)
原作既読。『ハンニバル』にガッカリした人でも、ある程度満足できる作品ではないか。『羊たち~』の脚本家が担当しているためリスペクトは相当なもので、アンソニー・ホプキンスはもちろん、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズを初めとする演技派俳優の演技合戦が見物。ブレット・ラトナー監督の演出も堅実で安心して見られる。ただ、『羊たち~』のインパクトが凄すぎたせいか、焼き直し感が否めず、ただのサスペンス映画の域に留まっている。冒頭の『これって何の肉?』のくだりとラストシーンが好き。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-20 21:59:39)
547.  ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 《ネタバレ》 
グダグダだった前作に比べれば、何とか持ち直したと言ったところ。 単品で見れば魔法界の最高権力者を目論むグリンデルバルトの野望を阻止するシンプルな筋書き。 魔法生物はやや置いてけぼりながら重要シーンで盛り込み、一応は幸福なひと時で映画を締めている。  冤罪で降板させられたジョニー・デップに代わり、マッツ・ミケルセンがグリンデルバルトを演じているが、 魅力的なヴィランを上手く引き継いでいると感じた。 しかしながら、主人公のニュートの影が薄く、ダンブルドアとグリンデルバルトの愛憎劇へと脱線していくのでは、 本筋のファンタスティック・ビーストである必要がないので次回は原点回帰して欲しいものである。
[地上波(字幕)] 5点(2024-03-30 21:26:04)
548.  君たちはどう生きるか(2023) 《ネタバレ》 
アカデミー賞授賞式が迫っていたので、今まで情報をほぼシャットアウトした状態でようやく鑑賞した形だ。  「いったい何を見せられているのか?」というバッドトリップ状態。 今までの宮崎駿は水で薄めただけで、宮崎駿の原液そのまま飲み干して体感せよと言わんばかりに。 ジブリブランドだからこそ宣伝なしで行けたと言っても良い。  人工の黄泉の国を左右するジェンガみたいに積み上げられた積み木。 一瞬で崩れたら全てが終わってしまう危うい、そのバランスによって世界は成り立っている。 その世界が無くなってしまったら、自分が持っている積み木でゼロから未来を積み上げないといけない。 タイトル通り、「自分で答えを見つけろ」という宮崎駿らしい内容であるが、かつての勢いはない。 太平洋戦争を舞台にする必要もないものの、多くの命が失われ、 倫理観も価値観も危うい時代が再び訪れることを予期してのことか。  これでアカデミー賞を取れたら凄いと思うが、"宮崎駿の遺作"になるかもしれないという忖度が働いているわけで。 私がアカデミー会員だったら間違いなく『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に投票する。
[映画館(邦画)] 5点(2024-03-08 23:23:03)(良:1票)
549.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
スパイダーマン=ピーター・パーカーとは誰か?に対する一つの答え。  MCU作品というより、歴代スパイダーマン映画への気配りがされており、 トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドとの共闘だけでなく、 歴代ヴィランたちもウィレム・デフォーを始めとするオリジナルキャスト大集合でよく揃えたものだ。 一番盛り上がったのは彼ら一人ひとりが登場していき、一つに集束していくことだろう。  それ故に、マルチバース設定を使いたいがために、強引で余計な展開が際立ってしまった。 進路を理由にピーターが余計なことをしなければ何も起こらなかった話であり、メイ叔母さんはただの犬死に近い。 ヴィランの救済なんて、こちらの世界線には何の関係もありゃしない。 なので感動する展開も間延びした印象を受けてしまう。  狂いに狂った時空の歪みを修正するため、ピーターの再度の願いで彼自身、忘れ去られた存在になっていく。 アベンジャーズにいたことも誰も知らない。 自分自身に親友や恋人もいたことも誰も知らない。 孤独になったスパイダーマンは真の意味で"親愛なる隣人"としてスタートを切る。 ほろ苦さを感じさせるも重い宿命を背負う、スパイダーマンならではの完結編だった。
[地上波(字幕)] 5点(2024-01-29 21:28:33)
550.  ヴィーガンズ・ハム 《ネタバレ》 
衝動的に殺した過激派ヴィーガンの肉を勘違いで売ってしまい、繁盛してしまう肉屋の夫婦。 グロはあれど臓物系・欠損死体なし、作り物感も強く、90分未満の上映時間でテンポ良く進んでいく。 さしずめ『スウィーニー・トッド』をもっと軽くポップに仕上げたブラックコメディ。 (どちらかと言えば、『シリアル・ママ』に近い)。  …と題材は面白そうだけど、期待が大きすぎた。 笑えるシーンはあれど、後半から失速して妙にシリアスになってしまったのが原因。 元から冷めているようで次第に狂気を帯びていく妻に、殺人に葛藤していく内に戻れなくなっていく夫。 経営も結婚生活も破綻寸前で、過激派ヴィーガンの言動と嫌味な同業者夫婦に一線を越えていく説得力はあるけれど、 もっとコメディに振り切っても欲しかった気がする。  ラストの一言である「ウィニー」に全てが詰まっている。 心臓病を抱え不遇な境遇を持った善人であり、彼の死で止めるか、エスカレートしていくかの分水嶺だった。 過去の発言を悔い、価値観の異なる人たちを理解して歩み寄ろうとした娘の彼氏もいたが、 夫婦にとって肉付きの良い女子供すら食糧としか見ていない皮肉。 極端なヴィーガンも問題だが、その逆も同レベルでしかない。  カニバリズムによる食欲減退で菜食主義者になりそうなメタな構図を鮮やかに切り取る。 元々胃腸が弱く、お腹に溜まりやすいので肉は消極的だが、思想を押し付けず、黙って命を頂くとしよう。
[インターネット(吹替)] 5点(2024-01-07 00:21:26)
551.  伯爵 《ネタバレ》 
チリで悪名高い反共独裁者アウグスト・ピノチェト。 失脚した彼は2006年に死んだが実は偽装であり、250年も生きている吸血鬼だった…。 そんな大胆な設定をモノクロで綴った風刺劇がヴェネチア国際映画祭で脚本賞受賞とのことで鑑賞。  そもそもピノチェトとはどんな人物か?を理解できないと退屈な作品。 新自由主義を推し進めて、チリ国内の格差を拡大させたらしく、血肉=富の隠喩であることは確か。 意外とゴア描写が多く、モノクロだからこそのお伽感が増す。  荒涼とした土地に建つ古びた屋敷で惨めに暮らす彼は死を願っていた。 そこに妻子たちへの遺産相続問題、軍服という権力に縋り付くロシア人執事に、 会計士として忍び込んだ悪魔払いのシスターと、それぞれの思惑が働いて二進も三進もいかなくなる。 若さに執着したピノチェトから吸血鬼にされたシスターが信仰から"自由"になり、空を舞うシーンが美しい。  終盤に明かされる、英語でナレーションしていた女性の正体は、なんと英首相だったマーガレット・サッチャー。 彼女も吸血鬼でピノチェトの母親だったというトンデモ設定のおかげで一気に映画が締まる。 底なしの自由を求めることは底なしの強欲を求めること。 ラスト、二人は吸血鬼の心臓を食べて、さらに若返る。 少年になったピノチェトを小学校に送り出すサッチャーの構図に、独裁政権と新自由主義の萌芽が潜む不気味さ。  "吸血鬼"は世界中、どこかに潜んでいる。 政治の中枢を担っている増税しまくりの総理大臣もきっとそうに違いない(苦笑)。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-12-09 02:42:18)
552.  ミニオンズ
映画は見なくてもミニオンズを知っている人は多いかもしれない。 怪盗グルーによる本伝シリーズはそっちのけで本作鑑賞。  可もなく不可もなく。 ミニオンズの能天気で奔放なキャラクターだけで突っ切るので、一見張ってありそうな伏線回収はほとんどない。 ストーリーの整合性もあったものではなく、現れてはちょっと活躍して退場していくサブキャラ達。  そう言えば、『ペット』も『SING/シング』も似たような中身であり、 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』をも手掛けるイルミネーションスタジオの"作風"なのだろう。 完全に子供向け、ファミリー向けに振り切って、 意識高いメッセージ性や巧みなストーリーテリングを求めるのは筋違いにも程があるか。 見ていて何も残らないが、純粋な娯楽映画として手堅く稼ぐにはこれが正解だろうね。
[地上波(字幕)] 5点(2023-10-21 01:42:27)
553.  ベイビー・ブローカー(2022) 《ネタバレ》 
全編韓国語、韓国人俳優で構成されながらも是枝監督の底流を感じさせる。 赤子の人身売買は犯罪行為であるが善悪を二分にはできない複雑さを、 並行的に描かれるペ・ドゥナ演じる女性刑事スジンの視点も含まれていて新鮮だった。 非常に日本的な映画なので、韓国的な激しさを求めると期待外れかもしれない。 時折、話の分かりづらさもあり、訴求力が過去作ほどではない。  「捨てるくらいなら産むな」 「生まれてきてくれてありがとう」 相反する二つの台詞。 前者は正論であるがソヨンの事情を知るうちに、 キャリアのために子供を持てなかったスジンの心境に変化が起き、 後者は問題を抱えた疑似家族だからこそ己の存在を肯定できたのだろう。 自業自得で血の繋がった家族から縁を切られたサンヒョンを除いて。 この矛盾が作品に深みを増している。  僅かに繋がりかけていた二つの物語が終盤についに繋がる。 ウソンは、スジン夫婦と服役後のソヨン、最後の養子縁組の夫婦による、 たくさんの親(=社会)によって育てられていくのではないか。 サンヒョンとドンスは彼らに関わることはできないが、ウソンの未来を守ることができた。 大団円ではないにしろ、想像の余地を委ねる監督らしい綺麗な着地点だ。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-23 14:33:45)
554.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 
かなりの高評価でテレビアニメの映画化の枠を超えた名作なのは事実で、 ファミリー映画としてのエンタメを確保しつつも芯を持ったメッセージ性を放ち、 その後のクレしん映画の方向性を決めたのは周知のとおり。 だからこそ、クレヨンしんちゃんでなければならない理由があまり感じられず、 今後の作品群に息苦しさを与えた罪な作品だと思っている。  ひろしの回想からしても、'60年代~'70年代を生きていないとなかなか共感しづらい。 (本作が2001年製作で35歳とすると1966年生まれ)。 それにずっと歳を取らないサザエさん時空を生きている野原家にとって、価値観をアップデートしていかないと、 本作のメッセージが20年後30年後の視聴者に響かない可能性もあるし、 元来のギャグアニメのキャラを使っているからこその中途半端さがある。 もっとも当時のスタッフはそこまで考えていなかったと思うが。  "古き良き昭和"については意図的に悪い部分を排除したある種のディストピアとして扱っており、 ここらへんは実写映画版『ALWAYS 三丁目の夕日』よりも誠実だろう。 とは言え、自分にはあまり記憶には残らない、どっちつかずの間口の狭い作品に感じてしまった。  あれから20年以上が経ち、令和の今も閉塞感あふれるトンネルの中を我々は走り続けている。 イエスタデイ・ワンスモアのケンとチャコは令和をどう見ているのだろうか?
[地上波(邦画)] 5点(2023-08-15 01:12:43)(良:1票)
555.  8 1/2
レジェンドの映画監督たちがマイベストに挙げているように、自分事として刺さるのだろう。 傲慢で繊細な映画監督の逃げたくても逃げられない立場の重さによる現実逃避。 本人の意思とは関係なく映画製作が進み、まずます混沌に拍車がかかるあたりとか、 「映画とは何か?」を問うた草分け的存在として今後の映画史に多大な影響を与えたのは事実。  普通はこんな奇をてらう映画は観客に受けるわけがないと思いつつも、 コントみたいな結末に名作たる理由はなんとなく分かる気がした。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-15 00:25:09)
556.  アビゲイル・ハーム 《ネタバレ》 
視覚障害者と繋がりはあっても、容姿が認識されない以上、ふわふわ漂うような孤独を感じる。 "名前"という存在意義が頼り。 そんな日々を過ごす女性がある廃墟で謎の青年の浴衣を隠し、まるで猫を拾うかのように衣食住の面倒を見る。  彼女の好意に青年も愛情を感じるようになるが、どこか分かり合えない、自分でも何をしたいのか分からない。 なぜなら彼には名前がなく、どこにでもいる対等で普通の存在ではないから。 どこかへ行きたい青年と離れたくないと思いつつ、彼女は彼の想いを尊重するように浴衣を渡し、試そうとする。  そして彼は彼女の元を去る。 もしかしたら一連の物語は彼女の妄想なのかもしれない。 だから一旦は事が上手くいったのであり、厳格な父の死によって現実と向き合わないといけなくなったのか。  どう解釈するかは見る人の自由で実験的な作り。 抒情的で寂しげな空気を捉えた、透明感あふれる映像が印象的だった。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-24 02:15:39)
557.  blue(2018) 《ネタバレ》 
屋外なのか室内なのか分からない夜の静寂の中、虫の音、犬の遠吠えが遠くに聴こえ、 景色の描かれた垂れ幕が巻き上げと巻き戻しを繰り返す。 やがて女性の眠るベッドには燃え盛る炎が重なるように映し出され、映像と環境音がレイヤーのように連なって映画は完成される。  いつまでも眠れない熱帯夜に見る白昼夢を表現しているようだった。 この緩慢さが眠りに誘い、映画と同化していくことが監督の狙いかもしれない。 アピチャッポン・ウィーラセタクンの長編を覗きたければ、この短編を見て自らふるいにかければいい。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-12 23:25:01)
558.  シン・仮面ライダー
劇場公開最終日に見てきました。  「仮面ライダーファンのための映画」というより、「仮面ライダーファンが作った映画」という表現がピッタリ。 それも筋金入りの。  原典へのリスペクトを散りばめるように、古臭さを残す特撮やアクションのカット割りといい、郷愁へ誘うこだわりを感じた。 反面、令和だからこその現代的解釈が空回りしており、政府関係者を出す意味が感じられず、 基本人気のいないところでの撮影ばかりでスケールがこじんまりとした印象を受けてしまった。 これでは令和の時代に甦らせる意義が弱い。  あとは庵野監督の悪い部分が終盤はもう剝き出しで、内省的な展開がひたすら続く最終決戦はもういいやと思ってしまう。 全編説明不足で新規の仮面ライダーファンでも終始置いてけぼりではないか。 これは彼のサポートを務めていた樋口真嗣が不在で、誰も止められない暴走状態であったことが目に浮かぶ。  「熱量は感じられるが、思い入れが強すぎて客観視できず、明後日の方向へ全力で走っていった二次創作」というイメージ。 シン・シリーズ完結後、庵野監督はどこへ走っていくのだろう。
[映画館(邦画)] 5点(2023-06-04 22:36:00)(良:2票)
559.  ハリー・ポッターと炎のゴブレット 《ネタバレ》 
原作既読済みだが、上下に分かれるほどの大長編で読むのが苦行だった気が… ヴォルデモートの復活、セドリックの死、ムーディが偽者くらいしか覚えていない。  それから10数年経って映画を見る機会があり、視覚と聴覚に物語が入ってくることの有難みを感じる。  思春期に入ったので少年少女共々面倒臭いに尽きる。 それを集中して描けば良いのに心理描写が唐突すぎて、四面楚歌からのいきなりな手のひら返しと、 ただただ話をまとめるためにローテーションをこなしているように感じた。  見ている間は退屈しないかもしれないが、全体を俯瞰すると悪い意味でゴチャゴチャしていて、 原作を読んでいた頃は気にならなくても、生徒一人殺されてダンブルドアが責任取らないのは確かにモヤモヤする。 やはり原作トレースしたダイジェスト感が否めず、TVシリーズ向きな作品だろう。
[地上波(字幕)] 5点(2023-05-18 23:13:38)
560.  ピーターラビット2 バーナバスの誘惑 《ネタバレ》 
意外とレビュー数が少なすぎて驚いた。  前作の仁義なき戦いに比べると過激さは控えめ。 自分の立ち位置に悩む悪童・ピーターが かつての天敵・トーマスと街の悪党ウサギ・バーナバスのどちらを選ぶのか。 本編でもディケンズが取り上げられていたけど、『オリバー・ツイスト』を下敷きにしているね。  オリジナルの世界観を尊重せず、金のためなら原作破壊も厭わないメディアへの風刺は、 ポリコレだらけのディズニーに向けてだろうか。 並行的に展開されるそのパートを本筋へと合流させつつも、 風刺先のメディアが企画したスパイアクションみたいなことをバンバンやっちゃっているし。 製作者自身がそれに陥ってしまっているのは自虐なのか、ただ鈍感なだけなのか。  「安易に人を信じるな」という道徳的な教訓に行きつき、ピーターたちは本来の場所に帰るわけだが、 全体を俯瞰してみれば方向性が定まらず、別にピーター・ラビットでなくても成立してしまう。 つまらなくはないが、メタ発言していたように無理に続編にしなくても良かった。
[地上波(字幕)] 5点(2023-04-16 10:37:55)
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