561. 雲 息子への手紙
とりあえずこの監督が、様々な雲の映像を収めるとともに、息子に宛てた形でのメッセージを朗読していくという作品なのですが・・・雲の映像と言っても、それこそ単に雲を撮影しているだけで、何か際立った表現があるわけではない。超速回しと思われるダイナミックな動きが見られる部分は、それなりの迫力ですけどね。後半になるとネタ切れしたのか、雲というよりも煙とか湯気みたいなもの、さらには単なる風景映像みたいなものまで紛れ込んできます。また、息子へのメッセージなるものも、単なるポエムの域を脱していません。結果、ぼーっと眺める環境BGV以上のものではありませんでした。 [DVD(字幕)] 3点(2022-07-20 02:37:29) |
562. VR ミッション:25
《ネタバレ》 いきなり集められた8人が、ビルの一室でVRアクションゲームを開始させられる。ただしそれはバーチャルでないことが分かって・・・と、密室不条理系の、つまりは「CUBE」の流れの作品です。この滅茶苦茶な状況をどうやって突破するのか、という設定は悪くないし、そのゲーム内に一点集中した制作態度も潔い。ただ、前半のひねりはまだしも、途中からはほとんどがひたすら敵を撃って突破するだけだし、またせっかく8人集めていながら、個性や特技も見当たらない。結局、そうなると数多の銃撃アクション映画とあまり変わらなくなっているのです。結末までダレずに一直線な作り方はそれなりに良かったのですが、もっと何とかできたのではと思ってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-07-18 22:32:20) |
563. アレキサンダー大王
やはり、こういう特定の主人公にスポットを当てた歴史系大作でありながら、主人公が少しも格好良くないというのは致命的なのではないか。大半のシーンではうじうじとモラトリアム的に悩んでいるだけだし、合戦だの征服だののシーンでも、何かしているわけではない。そうすると、作品も必然的に焦点を失っていくことになります。それと、美術とか衣装とかエキストラとかも、終始何か安っぽいのですが・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-16 01:08:25) |
564. ガン・ホー
《ネタバレ》 世にトンデモ日本映画は数あれど、これはかなり凄いというか、いっちゃってるレベルですね。まさに日本がアメリカの国土まで買い漁ろうという勢いだった80年代の一面を反映しています。しかも監督がロン・ハワードというのも驚きです。ただ、コメディ演技をどこまでも真剣にできるマイケル・キートンのおかげで、なぜか破綻を免れているという不思議な作品でもあります。エンディングのジミー・バーンズ"Working Class Man"(作曲はジョナサン・ケイン!)に3点。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-07-15 00:39:01) |
565. キャッチ22
常道を外した路線コメディを狙ったのかもしれませんが、各登場人物がわーわー騒いでいるようにしか見えず、結局面白くない。つまり、型があってそこから外すから笑いになるのであって、すべてについて外しっぱなしだったら、意図的なものしか感じません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-07-14 01:55:16) |
566. ちょっと今から仕事やめてくる
《ネタバレ》 パワハラに遭っている社員が、変な兄ちゃんと出会って変化し、会社を見返していく系かな・・・と思いながら見ていたら、序盤の進行がえらく速い。いったん成功する(新規大口契約ゲット)→そこで予想外のピンチが起こる、といういわば定番の流れも、早々に登場する。これからどうするのかな、と思っていたら、そこからの展開はなかなかいい方向に予想を裏切ってくれました。良かった点は、田舎の両親というクッションのアクセント、メインの退職のシーンで啖呵の一つも切らずにやっぱり腰低いこと(でも表情が違う)、そして退職後は会社を一切映さないこと。バヌアツ云々はやっぱり唐突なんだけど、それまでは世界のすべてだったオフィスの狭苦しさ(物心両面の意味で)を事後的に強調する手法としては、やっぱり必要だったのかな。ちょっと余計なモノローグとか台詞も一部目にはつきましたが、許容範囲内でした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-07-12 00:44:19) |
567. キラー・エリート(2011)
設定から進行から人物関係から、もうすべてがぐちゃぐちゃで行き当たりばったりなのですが・・・。ただし、ジェイソン・ステイサムの身のこなしの美しさだけはどこまで行ってもさすがであって、それを鑑賞するというだけの目的と割り切れば、そこそこ楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-11 02:36:13)(良:1票) |
568. ドリフト(2001)
しかし、一体何がしたかったのか、最初から最後までさっぱり理解できない作品でした・・・。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2022-07-08 02:02:02) |
569. 笛吹川
《ネタバレ》 あれ、この映画デコちゃんが主演じゃなかったっけ?と中盤でふと思い出して、そこから映像を注視してやっと分かりました。しかし、意図的かと思うくらい役者には画面の焦点が当たらないし、しかも各シーンはやたらブツ切りで、なぜそんな方向性を目指したのかがまったく分かりません。また、作中では数十年くらい経過しているはずなのですが、その時の移りも表現されていません。その割に、やたらと「お館様」だけは連呼されているので、結局構想が宙に浮いたままになっています。終盤、染五郎の若い頃が存分に堪能できるところに3点。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-07-06 22:32:05) |
570. マリス・イン・ワンダーランド
《ネタバレ》 現代設定の中で展開する「不思議の国のアリス」という趣なのですが、何ともそれだけというか、企画倒れというか・・・。せっかく元の世界を逸脱しているのだから、もっと思い切って現代劇の方向に振ってしまい、アリスのネタはエッセンス程度、にしてしまった方が面白かったと思うけどなあ。風景が現代に変わっているだけで、やっていることがほとんど童話の世界そのものなので、かえって中途半端感がむき出しになってしまっています。最後の多視点ネタはちょっと面白かったので、点数はそこに対して。 [DVD(字幕)] 3点(2022-07-05 23:55:44) |
571. タイタニックの最期
《ネタバレ》 タイタニックの作品と思っていたら、随分とのんびりした描写が続く。場所が船室内というだけの別の話と錯覚しそうです。全体が100分のはずなのに、1時間を超えても沈没の気配が見えません。そして残り30分であっという間に結論に至るわけですが、これはこれで、それまであった個々の生活が遮断される容赦なさを表現しているといえなくもありません。主人公夫婦の描写については妙にメロドラマチックなのですが、これも時代でしょうか。一方で、逃げまどうエキストラ、一つ一つ降ろされる救命ボート、沈没を悟る船長の描写、やっぱり出てくる卑怯な脱出客など、頑張った映像表現も見られます。タイタニック号の史実については、この5年後に「SOSタイタニック」という傑作が世に放たれ、さらに約40年後にキャメロン版に継承されるわけですが、その基礎を固めた作品としては、今に至る歴史的意義を有しています。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-05 03:11:01) |
572. EAST MEETS WEST
《ネタバレ》 発想はすごく面白そうなのに、あれこれ盛り込みすぎて超消化不良なままに終わってしまいました。とりあえず、あの子供の関係はまったくいらなかったのではないでしょうか。竹中直人が邪魔なのはいうまでもなし。大体、忍者という設定なのに、忍者の技術が何一つ発揮されていないし、元忍者であるようにも見えない。加えて、最初に、出航までのタイムリミットという課題設定があったはずなのに、それはどこに行ったの?とか、途中から出てくる教師とやらが物語を乗っ取っている時点で、もとの構築の弱さが露呈してない?とか、突っ込みどころは満載でした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-07-03 23:38:52) |
573. 雨のニューオリンズ
《ネタバレ》 導入部分で、いわくありげなプロローグ、そしてレッドフォードの登場からその一夜を30分以上かけて描く丁寧さと、なかなか期待を感じさせる。ところがその後もずっと同じような感じで、そこまでいくと丁寧というよりは、単に進行が遅いだけなのです。ヒロインが街を出てからは(そのためにブロンソンを引っかけるというのはなかなかトリッキーだが)、さらに何か空気が落ち着いてしまって物語が沈滞しています。母親が再登場してからはやや持ち直しますが、そこまででした。あと、語り部のあの少女も、作中でもう少し有効に使えなかったのかな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-07-02 01:57:57) |
574. WASABI
とりあえず広末ちゃんの衣装と人物設定のひどさに、その登場の時点でああこれは駄作決定かな、と思ったのですが、意外に最後までそこそこ楽しめました。広末ちゃんの扱いはとにかくひどいのですが、そんな中でも、あの表情の豊かさや動きの滑らかさ、そして国際俳優のジャン・レノ相手にも臆することのない肝の太さは、今見ても威力十分です。やはりこの人は、生まれついてのスターだったのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-02 01:51:21) |
575. 母の旅路(1965)
《ネタバレ》 導入部では割とのんびりしたメロドラマという趣なのだが、愛人?とどうのこうのなってからは徐々に水位が上がり、決壊して(家を追い出されて)からは別世界に飛翔していく。その中でも、一気に何かが押し寄せるのではなく、じわじわと主人公が絡め取られていく持って行き方が良い感じ。それは脅迫者との対決で臨界点に達するのだが、そこからなだれ込む法廷シーンの心理の綾の応酬ぶりは、ただごとではない。しかも、世によくある法廷メインの作品よりも、尋問や弁論の台詞もきちんと作られていて、ここが付け足しではないどころか、むしろ各登場人物の終着点として明確に機能していることがよく分かる。よく考えると、作中では20年くらい経過しているはずなので、その表現はきちんとしてほしかったとか、あるいは主人公が堕ちる過程はもう少しあった方が終盤も説得的になっただろうとかいう点は気にならなくはないのだが、あの法廷シーンからラストに至る充実ぶりには、あまり文句は言えない。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-01 00:46:57) |
576. 下衆の愛
とりあえず品性もなければ希望もない(そして才能もなさそうな)映画監督が、作品撮影を夢見て何とか前へ進もうとする・・・という構想であるのは分かるのですが、やっぱりそこで終わってます。まず、こういう内容なら、格好悪いなりに主人公に何らかの魅力を感じさせてくれないといけないのですが、それがありません。それと、この展開なら、キーパーソンの女優が主人公にそれなりの光を当てていくのでないと、後々の着地が生かされないと思うけどな・・・。何回か出てくる演技指導のシーンは一定の緊張感はありましたが、そこも、結局はただ怒っているようにしか見えませんでした。 [DVD(邦画)] 4点(2022-06-29 00:35:12) |
577. アラベスク
真面目に作っていることは分かりますし、ペックもローレンも頑張ってはいるのですが、なぜかそれが面白さにつながらないのですね。なぜかというと、やっぱり脚本がつまらないのです。逃げているときでも追っているときでも心理戦の場面でも、説明がやたら多いです。そうすると、役者の芝居の余地は削がれてしまいますし、そんなに説明する余裕があるということは、その場面にはスリルがない、ということにもなってしまいます。原作を映像的に再現するだけで手一杯だったのかな、と思ってしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-06-28 01:59:13) |
578. スマート・チェイス
かつてLOTRで世界的スターとなり、そしてPOCシリーズをはじめとして2000年代を華麗に駆け抜けたオーランド・ブルームが、こんなC級作品に堂々と出ているのを目にするだけで軽くショックです。もっとも、コスプレのないときの彼は実は演技力が低いということも、作品によっては当時から判明していたりしましたが・・・。さてこの作品ですが、危険な(あるいは訳ありの)ブツを運搬しますという「トランスポーター」的設定からスタートしているようなのですが、肝心の運搬があまりにもノーガードで、いやそれなら大した敵ではなくても、その辺のギャングでも襲撃できるでしょ、になってしまいます。また、一応仲間設定の何人かが団結して危機を乗り切る的な展開にしたいようなのですが、主人公を含めて全員に、そもそも実力が感じられません。よって、いろんな盛り上げ工作も空回りしまくっています。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2022-06-28 01:49:36) |
579. シェラマドレの決斗
《ネタバレ》 世にウエスタン映画は数あれど、この作品ほど対象がごく僅かな範囲に限定されているものも珍しいのではないでしょうか。つまり、主人公が悪役に馬一頭を盗まれて、それを取り返すというだけです。本当にたったそれだけです。ただ、それ自体は発想として悪くはないのですが、そのように軸を限定するのであれば、枝葉をもっとつけてもらわないといけないのですけどね。特に、主人公が特に強くもなければ技術や知能があるわけでもなく、ただ思いつくままにうろうろしているだけなのは致命的です。またそれ以前に、やっぱりマーロン・ブランドとウエスタンは合わんだろ、という自然な結論が確認できる作品でもあります。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-06-28 01:37:08) |
580. トンネル 闇に鎖(とざ)された男
《ネタバレ》 導入部の手際のよい状況設定の腕はなかなか。またその後も、閉塞した空間という限定の中で、的確な展開と課題を見せつけてくれる。しかし着地部分が、さらにもう一段盛り上げようとして失敗したかな・・・。第2トンネルの工事の遅れが数週間スパンくらいで、再開要望が60%以上だとかあるわけないし、現場作業員の死亡事故は、工事会社の安全確認怠慢以外の何物でもないでしょうに。むしろ、救出側がいかに技術を駆使してこの難関の現場を突破したとか、その中で電話越しにどういう関係が形成されていったかとか、そういう部分を見たかったところでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-06-26 00:35:36)(良:1票) |