41. 馬鹿まるだし
困っている人がいたら放っておけない。頼まれたら断れない。恩義には忠誠で報いる。正しいと思ったことは相手が誰であろうとぶつかっていく。でも惚れた女は口説けない。男気を感じさせる安五郎の七転八倒ぶりに拍手を送る。 こんな馬鹿なら町内に一人ぐらい居て欲しい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-16 11:34:19) |
42. 南の島に雪が降る(1961)
いささか個人芸の競演大会の様相を呈しているが、さすがにどの役者の名人芸にも感服し、唸らされるばかりだ。特に深夜に自らを叱咤しながら練習する伴淳と五木の子守唄をしみじみ聞かせるは森繁は堪らない。積年の賜物芸というか今のテレビ芸人など足元にも及ばない力の差を見た気がする。舞台の雪景色を見て内地を想い涙を流す兵隊たちの顔が実に悲しい。部隊によって待遇に雲泥の差があり、かなり裕福な演芸部隊と戦死と発表されたらたとえ生き残りがいても訂正されないという瀕死の部隊との対比で戦争の残酷な部分をしっかり描いて見せている。「リアル、リアリティ」と敵国語の台詞が気になったが、忘れてはいけない日本映画の一作に間違いない。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-16 11:24:03) |
43. シャンハイ・ヌーン
最近のジャッキー作品としてはよく出来ている方だと思う。アメリカ資本だけど製作総指揮まで任されているからジャッキーの意見がかなり反映されていてアクションもストーリーも何とか満足できる。目新しいものはないけれどラストの教会ではちゃんと落下もしているし。またオーウェン・ウィルソンとのコンビはクリス・タッカーよりも相性が良かったようだ。いろんな場面で感じるんですがこの監督は強く当たる光がお好きなようで、必要以上に映像が綺麗過ぎるのもいい。 [地上波(吹替)] 7点(2005-08-14 21:33:31) |
44. 火垂るの墓(1988)
幼い子供が死んでいくお話には涙を抑えることが出来ない。確かに清太のとった行動は正しかったとは言えないが、この戦争が終わって将校である父が帰って来さえすればまた元の幸せな暮らしに戻れるんだという信念が疎開先のおばさんに迎合するのを拒んだのだと思う。子供らしく天真爛漫に振る舞う数々の描写、兄に全信頼を寄せて疑うことのない節子が徐々に弱っていく姿に、次第に観ている自分が清太と重なり責任を感じていく。何とかしなければの思い。でももう助けてやれない。ごめんよ、節子ごめんよ。死んだ後、防空壕の前で戯れる節子の残像と亡き骸を荼毘に付す清太に涙は止め処なく溢れる。反戦映画と言うよりも戦時中に起こった不幸な兄妹の話として感動です。 [地上波(字幕)] 8点(2005-08-14 09:41:02)(良:3票) |
45. 小さな中国のお針子
苦労して集めた良質の素材を用い、綺麗な器に盛り付けたその料理は残念な事にあまり美味しいとは言えず、総料理長であるダイ・シージエ氏の狙いほどの強いテーマは感じられなかった。中華とフランス料理は違うんですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-23 15:48:19) |
46. ガタカ
偽装工作ばかりに一生懸命で何か努力をしていただろうか。頑張れば夢を実現できるという映画とは全く違うと思う。ビンセントの家まで調べに来たとき顔が違うのになぜ分からなかったのか。バレていたのにわざと黙っていたのだろうか。また「なんだ弟だったのかあ、気づかなかったよ」とは明らかにおかしい。物語にやや矛盾を感じるが、ワイド画面での凝った構図は最近の映画では群を抜いて美しい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-17 21:11:27)(良:1票) |
47. バティニョールおじさん
主役は全く冴えない風貌のどこにでも居るような「おじさん」というよりおっちゃん。正義感に燃えるヒーローでもなんでもない。些細なきっかけから子供を匿ってしまったばっかりに、次第に取り返しの付かない大きな嘘に変わっていく様とドタバタ喜劇のようなバティニョールの東奔西走ぶりが面白おかしい。またペーソスあふれる主人公の一喜一憂・喜怒哀楽にしみじみとした生の人間味を感じさせ魅力的に上手く描かれています。隠れる逃げるという程よい緊迫感も加味されてなかなか見応えのある作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-16 10:12:25) |
48. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
この時期盛んにこのシリーズをテレビで放映しているのを観て、新作を観るたびに映画の質が落ちていくなあと感じているのは私だけでしょうか。ほんとCGに頼りすぎでしかも完成度が低く使い方が下手です。技術的には劣るはずなのに初期の作品の方が本物らしく見えるし違和感がない。ジョージ・ルーカス監督はこんな出来で満足なんでしょうか。キャラクター商品のロイヤリティだけで年に1000億円も稼げるから映画は副業になってしまったヨーダ。物語にしても過去の作品の設定に余分な贅肉をつけて膨らませただけです。エピソード1・2はスターウォーズに似た別の映画です。 [地上波(吹替)] 5点(2005-07-11 00:18:15)(笑:1票) |
49. スパイ・ハード
今度こそと思って観るけど彼の映画には毎回裏切られる。センスも何の脈絡もないデタラメなギャグのオンパレードで何が面白いのかさっぱり分からない。アル・ヤンコヴィックを知らない人がいるのも仕方ないか。レイ・チャールズに3点、以上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-06-19 18:05:30) |
50. スクールウォーズ HERO
感動は時代を超えた。どんな相手にも対こころで本気でぶつかって一人また一人と生徒の心をつかんでいくそれぞれのエピソードはどれも胸を打つ。いまどきスポ根なんてという考えは見事に吹っ飛ばされ、くささは微塵もない。とにかく熱い。本気で泣ける。ここ数年の間に観た邦画では最高の作品だ。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-06-11 21:31:57) |
51. 八月のクリスマス(1998)
「酒飲んで死のう」の気持ちはよく分かる。全体の色調やガラスに映す技法等の凝った演出、また無理やり泣かせようとしていない点は好感を持つが、主人公と彼女の本気度が不透明であまりにも淡々としすぎた進め方がドラマとしてやや物足りなさを感じる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-06-11 21:11:57)(良:1票) |
52. ザ・コア
WMPの視覚エフェクトのように美しいマントルの姿や都合の悪い場所には全く影響しない磁場の力は本物の物理学の権威者が見ればきっと腹を抱えて笑うだろう。最初は一生懸命説明してくれていたのに次第に設定がデタラメになってくるが気にしてはいけない。自己犠牲によるお涙頂戴も一つに絞って凄いのを魅せて欲しかった。水晶の杜はスーパーマンを思い出させ、ヒラリー・スワンクは時々シガニー・ウィーバーに見えた。でも予想よりも面白かったので二番煎じ三番煎じにしては結構がんばったで賞くらいはあげてもいいな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-06-05 17:55:37) |
53. ウェディング・シンガー
先の読める展開と分かり易過ぎる配役の性格付けはB級一直線なのに、嬉しそうにはしゃぐジュリアの姿を窓越しに見て引き返すロビーの場面など所々にあるとても上手く出来ているシーン、そしてロビーの歌声や古臭く感じさせない80年代音楽の使い方がこの映画を楽しめるミュージカル映画として良い結果に結びづけている。ラストの機内での告白場面は出来すぎだが、素直に感動した。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-28 21:53:19)(良:1票) |
54. グリーンマイル
うちのばあさんのボケも治してほしい。 この映画またやってるよ、と思いながらも何故か毎回観てしまいます。そしてコーフィの不思議な能力を利用するだけ利用して置きながら、彼の無実を知った後も救おうとせずに命令通りに処刑してしまう残酷な看守たちの非道いお話だなと毎回思うのです。人間としてやってはいけない事とやらなくてはいけない事が全く逆です。 [地上波(吹替)] 8点(2005-05-22 14:50:57) |
55. イン&アウト
ゲイかどうか本人もよく分かっていないなんてことが有るのか。優しい物腰ではあるけれどゲイらしい行いは全くしていない主人公に突然「アイ・アム・ゲイ」と言わせて「ゲイでええじゃないか、ええじゃないか」と騒いで終わるだけの中身の無いこんな脚本でよく映画にする気になったもんだ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2005-05-18 21:47:22) |
56. 過去のない男
台詞や演技よりも画面に映っている絵で物語を理解させる作りは好感が持てる。 みんなタバコ吸い過ぎです。空調の効かない金庫室の中で吸うのだけは遠慮して欲しかった。 過去のない男を何とか拘留しようとする警察に法律を空(そら)で唱えて言い負かす弁護人が一番かっこいい。そして、救世軍の淡谷のり子が毎夜夢に出てきてブルースを切なく歌う。思い出すとまた今夜も眠れない。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-05-15 08:27:55) |
57. ベルリン・天使の詩
冒頭から8割方進んだところまで観ても物語はいつ始まるのかなと感じていた。小難しい言葉を並べて知的に見せてるけど実は大した事を語っていないんじゃないのとしか思えなくてこういう映画を観るとつくづく自分の頭の悪さを思い知らされる。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-05-08 10:56:53) |
58. 世界の中心で、愛をさけぶ
現在と過去を同時進行させながら物語の全体像を次第に明らかにしていくという難しい構成を上手く纏め上げた手腕は中々のもの。普段は心の奥底に忘れ去られている青春時代の甘酸っぱい記憶が、ある時鮮明に甦り心が癒されることがある。それは何故か良い思い出よりも失敗や苦しみ、傷心の想いの方が印象の強いものが多いのです。そして観る者をタイムマシンに乗せそれぞれの過去の恋愛を再体験させてくれるような色調とテンポがとてもよい。こういった点で森山未來よりも大沢たかお演じるサクの年代以上の人が観ればより感じる物があるのではないでしょうか。17年前の彼女の遺灰を撒きに付いて来た律子がかわいそうだ。オーストラリアまで来てサクは誰に対する愛を叫ぶつもりだ。今は律子だろ。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2005-05-02 21:34:53) |
59. デイ・アフター・トゥモロー
「パパ、ぼくねパパの言いつけ通り図書館から出ずにパパが助けに来てくれるのをいい子にしてずっと待ってるよ。仲間もいるし彼女も出来たから退屈はしていないよ。オオカミにも襲われかけたけど大丈夫だったんだ。うん寒くはないよ、だって燃やすものはいっぱいあるからね。」「おお息子よ、パパはお前のことが心配だから大統領への報告もそこそこにお前を助けるために図書館に向かっているよ。道連れにした同僚は一人死んじゃったけど気にするもんか。彼の家族?実はよく知らないんだ。マイナス100度だって愛があれば耐えられるんだ。心配するんじゃないよ、この氷河期もすぐに終わるからもう少しの我慢だよ。ホラもう青空が見えてきただろ。」 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-04-17 00:31:55)(良:1票) |
60. 夏休みのレモネード
親子の確執、宗教問題、少年同士の友情などいくつもの題材を取り上げながら煩雑にも散漫にも陥ることなくバランスよくサラリと描ききった感動作品。いかにも子供らしい発想と疑問に「いいから早く寝ろ」と威厳だけで押さえ込もうとする父親と、優しく的確な言葉で子供にも納得できる答えを導き出して諭す二人の神父の対照が面白い。祈りの言葉は違えども神はひとつ天国もひとつと、信教や人種の違いに起因する争いを柔らかい表現で批判している点も評価できる。まるでレモネードを飲んだ時のように心地よい清涼感と潤いを感じすっきりとした後味の良さが残る。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-13 21:21:09) |