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41.  ガタカ 《ネタバレ》 
SFの題材をスタイリッシュにまとめあげた傑作。手抜きかとも思えるほど抽象的なロケットの描写も、SFのガチャガチャしさを排除するための演出だと理解できる。おそらく、もしエレベータ付きの自宅や、半重力で浮かぶ車椅子などを出したりしたら、ここまで秀逸な雰囲気は出なかっただろう。その代わり、ガタカの社屋にライトの建築を使用したり、一見クラシックな外観の車が充電スロットを使った電気自動車だったりと、心をくすぐる意匠が随所に見られる。惜しむらくは、弟アントンの描写が弱いこと。違うバージョンの脚本には、兄弟間の屈折した思いや、アントンの内面描写などのエピソードが載っていたと言うが…。物議をかもしているラストシーンについて少し。ユージーンは何でも完璧にこなしてしまう自分に嫌気がさして、自殺しようとした過去を持っている。だから、不完全ながらも努力するヴィンセントに遺伝子を貸すことによって、自分を託していたのである。その分身ともいえるヴィンセントが目標を成し遂げた時、本物のジェロームはヴィンセントであり、自分は不必要となった。自分を滅ぼすことが、アイデンティティを完成させる最後の1ピースだったのだ。炎に溶けつつ銀メダルが金色に輝く…。なんとも悲しい物語だ。
9点(2003-10-13 23:52:15)(良:3票)
42.  さらば、わが愛/覇王別姫
この映画の公開後、いろいろな漫画や小説で京劇の世界(厳しい修行や因習など)が登場したように思える。中国の現代史をつづった力作であり、美しくも悲しい愛の物語。恋人同士で見るならいい映画。家族で見るにはキツいシーンあり。
8点(2003-10-13 23:51:27)
43.  チャップリンの独裁者
人類が核戦争で滅びたあと、地球にまた生命が生まれたときのために、人類の文化を伝えるべくタイムカプセルを作るとしたら、真っ先に詰め込みたい一本。
10点(2003-10-13 23:50:49)
44.  マトリックス リローデッド 《ネタバレ》 
前作に引き続き、見るものを突き放した「気づき」の映画。果たして脱落者は何人いるのか。見かけが娯楽アクション映画なので、脱落者に入ると本気でムカつき、こんなのはくだらない映画だ、酸っぱいブドウだとこきおろしたくなる、良くも悪くもそんな映画。今回は難解なストーリーがヒートアップし、システム開発の手法まで登場させてくる。そこまで突き放してしまって良いのか、別の意味で心配だ。しかも最後には入れ子構造のメタフィクションを匂わせるシーンまで出してきた。大丈夫か。大丈夫なのか。もうここまで来たらどこまでも突っ走れ、ウォシャウスキー兄弟。
10点(2003-10-13 23:49:50)
45.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
ストーリーよし、セリフよし、小ネタよし、キャラクターよし、お手本のような娯楽映画。一歩間違えればややこしくなったり、陳腐になりかねないタイムトラベルもののSFをここまで見事に面白くしたゼメキスはすごい。
9点(2003-10-13 23:49:20)
46.  プライベート・ライアン
言い尽くされたことだが、冒頭のノルマンディ上陸作戦のシーンは圧巻の一言に尽きる。じっさい、戦争映画は「プライベート・ライアン以前」と「プライベート・ライアン以後」で語られているように思える。だがやはり、スピルバーグ監督のドイツ人への人種差別は覆い隠しようもなく、醜悪。「世界の自由を守るために死んでいった米軍兵士に敬礼せよ」というメッセージも、ちょっと鼻につく(この映画は断じて反戦映画ではないことに注意していただきたい)。ちなみに題名は「ライアン二等兵」という意味で、「プライベートな空間」などの「プライベート」ではない。いい加減な邦題は誤解を招くと思うので、やめてほしいなあ…と思う。
6点(2003-10-13 23:48:01)
47.  ハリー・ポッターと賢者の石 《ネタバレ》 
原作は未読。しかし、なぜこの作品(原作)がウケたのか、わかった気がする。空を飛べるほうきや魔法のステッキ、鍋でグツグツ煮て作る秘薬など、欧米のトラディショナルな昔話や言い伝えなどの土着文化に根ざした「魔法」を現代に持ってくることに成功しているからだ。この映画はそういった匂いを映像化しようとして、これにもまた、ある程度成功している。色んなところで血統や階級が取り沙汰されるのは、やはりイギリスだからだろうか。しかし、最期のグリフィンドールの勝利はやりすぎ。意図的にスリザリンという叩かれ寮を作っているのだとしたら、あの校長は外道としか言いようがない(笑)。
7点(2003-10-13 23:46:46)(良:1票)
48.  ロード・オブ・ザ・リング
原作に親しんだ人間としては、想像した以上に想像どおりな(?)ホビット庄、モリアの坑道などの描写にため息と涙が出るようだ。ピーター・ジャクソン監督の原作と映画に対する愛の注ぎ方と割り切り方は絶妙で、奇跡のような出来栄えになっている。なんといっても三部作、腰をすえて見るつもりで身構えて鑑賞しないと、疎外感を味わって挫折してしまうので、要注意。小うるさい補足になって申し訳ないが、なぜあんなよわよわしい主人公が指輪を捨てに行かなければならないか? あの指輪は、強大なものが所有すれば所有するほど恐ろしい力を発揮する魔性の指輪なのである。ゆえに、魔王が所有すれば世界を滅ぼし、力のある魔法使いやエルフの奥方が所有すれば第二の魔王を生んでしまう。だから、非力なホビットが指輪を捨てに行くしかないのである。なんの力もない小人が、恐ろしい指輪を携えて、恐ろしい旅に出る決意をする。そこが泣き所なのだ。点数は文句なしに10点といきたいところだが、残念ながら日本人には万人向けとはいえない映画であること、ほんのわずか一部に稚拙な演出が見られたこと、珍妙な邦題と劣悪な戸田奈津子(呪われろ!)の字幕にマイナス1点。ビデオを借りるときは、字幕ではなく吹き替え版を選択しないと、ストーリーが正確に把握できない恐れがある。
9点(2003-10-13 23:45:46)
49.  シックス・センス
怖いのに感動してしまった。ラストのどんでん返しは、悔しいが読めませんでしたハイ。いろんな要素をちりばめて破綻なくまとめた良作。ビデオで借りて、家族で見てもおすすめだが、やはり怖いシーンがあるので、小さい子どもがいる家庭は注意。ハーレイ・ジョエル・オスメントは惜しくもアカデミー助演男優賞を逃したけれど、この齢でこの演技力は将来が恐ろしくすら感じる。
7点(2003-10-13 23:44:37)
50.  マトリックス 《ネタバレ》 
先々行オールナイトで見てやられ、先行オールナイトでもう一度見に行き、職場の同僚に金は払うから見ろと言って見せたりで、なんだかんだで6回は見に行った映画。派手なアクションに目を奪われがちだが、じつは高度な「気づき」の謎かけ映画である。予言者がネオは救世主ではないと告げる→あるいは後世でなら(今の人生では救世主になれない)→ネオ、スミスに射殺される→復活→つまり後世で救世主として目覚める…こういった説明のされていないカラクリが随所にちりばめられているので、派手なアクションに目を奪われて陳腐だと感じてしまった人や、そういうオタクっぽい映画探索に魅力を感じない人は見ないでいいかもしれない、言ってしまえば判らない人には判らなくていい。ゆえに評価の高い人と低い人の感じ方には、あきらかに一線を画しているように思えるのだ。私はと言えば、もちろん一線の向こう側に踏み込んでしまった人間である。
10点(2003-10-13 23:42:49)(良:1票)
51.  千と千尋の神隠し
完成度の高い映画。画面やイマジネーションは美しく、ただ動きを追っているだけで楽しい。…しかしその半面、見終わってから、またもう一度見たいと思う衝動に不思議と駆られないのはなぜだろう。伝えたいことがたくさん詰まっているのはわかるが、強く伝える力に欠けている。おそらく、この映画を見た幼い子どもたちが成長して、自分が「千尋」を見てどう思ったかを述べられるようになったとき、はじめてこの映画の評価が定まるだろうが…。しかしあえて今評価をするならば、世間やマスコミがヨイショするほどの作品とは思えない。
6点(2003-10-13 23:41:05)
52.  ショーシャンクの空に
S.キングの原作を美しく映画化した奇跡的な例。画面運びは静かだが、確実に感動を呼び起こしてくれる。ラストシーンは原作にはなかった追加部分だが、蛇足などということはなく、まさしく画竜点睛と言った風である。万人に薦められる映画だが、画面に派手なアクションや息詰まる攻防などを求める人には向かない、と思う。
9点(2003-10-13 23:38:28)
53.  U-571
史実ではイギリス軍の兵士が成し遂げた難事を、アメリカ軍のお手柄にしてしまっている。売るためにそういうことをする映画は生理的に受けつけない。
1点(2003-10-13 23:37:41)
54.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 
普通に見て楽しめて、スタートレック世代ならさらに楽しめて、オタク気質のある人間なら涙を流して楽しめる映画。チェン技術主任と結ばれたラリアリが地球で"真実"に気づいたりしないだろうか、それだけが心配。
8点(2003-10-13 23:35:28)
55.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
対象範囲がガンダムファンなので、それに限った映画だとしても、ストーリーとキャラクターが破綻しすぎている。宇宙でモビルスーツがスピードを出して宇宙飛行士の横をかすめると、その人が「風で吹っ飛ぶ」とか…。アニメ界のエド・ウッド作品のひとつ。ガンダムというノスタルジーに払う金はあっても、点数はありません。
0点(2003-10-13 23:34:22)
56.  サボテン・ブラザース
この世にはサボテン・ブラザーズを好きになれる人間と好きになれない人間がいて、自分以外の人間がみんなサボテン・ブラザーズを好きでなかったとしても、どこかにいるかもしれないサボテン・ブラザーズを好きな人間を探しに行きたい、つまりそういう映画。あとそれから、この邦題をつけた人にはいっぱい幸せになって欲しい。
8点(2003-10-13 23:32:37)(笑:3票) (良:7票)
57.  G.I.ジェーン
軍隊という男社会の中で女性は有能たりえるか、というフェミニズム的な問題に対する解答としてこの映画が作られたのなら、残念ながら根本的に失敗している。デミ・ムーア演じるジェーンがどれほど活躍しても、それはジェーンが凄いのであって女性が凄いのではないからだ。なにせ、戦闘部隊に女性が勤務することにより起きるさまざまな問題を、ジェーンは自分ひとりの根性だけで解決してしまっているのだから。実際の話、戦闘部隊に女性が配属されたとき起こりうる問題の解決を、当人の努力と根性だけに期待してしまうのはいくらなんでも無茶ではないだろうか? …さて、そういった小難しい社会的問題提起を排除して、一人の頑張り屋の女性が軍隊という非日常にチャレンジする映画、として見てみると、もう少し単純に楽しめる映画であることに気がつく。が、この手の映画には既にキューブリック監督の「フルメタルジャケット」という太刀打ちできない金字塔があるのだった。ちなみに、もし私が軍隊を指揮する立場だったら、スイスやイスラエルのような女性も動員せざるを得ない国だったり、アメリカのような民主主義という思想上の必要性を有する国でない限り、戦闘部隊には100%男性を選ぶだろう。
3点(2003-10-13 23:27:35)(良:1票)
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