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41.  ジャガーノート
TSUTAYAの「発掘良品」の棚から借りてきたのだけれど、カット割りも絵作りも、まるでテレビ映画か、と思うようなチープな作りで、話の進みも退屈。どこが「良品」なのだろうか。
[DVD(字幕)] 3点(2010-11-18 05:23:59)
42.  未知への飛行
キューバ危機(1962)の2年後の作だけあって、当時の一触即発の、ピリピリした、いつ核戦争が勃発してもおかしくない世界状況の雰囲気が、よく伝わってくる。この頃と比べると、今はずいぶんと世界破滅危機の不安を感じなくなったものだ。ソ連が崩壊して、冷戦がいちおう終了した、ということになっているからなのだろうが、はたしてフェイルセーフは万全になったものやら。それに、中国・北朝鮮は......。と思うと、ひょっとするとわれわれは、明日のことも知らず、のほほんと暮らしているだけなのかも......。そんな気に十分させる映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-18 05:16:50)
43.  宗方姉妹
制作年でいうと、あの大傑作『晩春』と『麦秋』の間にはさまれた一作だけれども、松竹でなくて新東宝で撮ったためなのか、いまイチ、いまニ。第一にキャスティング。田中絹代は実力抜群だし、上原謙はいいとして、他の方々も指摘されるように、高峰秀子がひっかかる。あの芯の強い、ちょっと意地の悪い、どこか斜に構えて、世の中に対して批判精神を忘れない、高峰秀子のあの個性は、小津さんの世界にはなじまず、やはり成瀬巳喜男の映画にこそふさわしい。それでも、『麦秋』などとよく似たカットや台詞の言い回しが多数あったりして、確立された小津スタイルの様式美を再認識するには、いいかもしれない。
[DVD(邦画)] 5点(2010-11-13 00:58:06)
44.  ニック・オブ・タイム
「劇の時間が観ているリアルタイムと一緒」というふれこみで、TSUTAYAがおススメ「発掘良品」の棚に、「知る人ぞ知るこの2本」のうちの一本として並べていたので借りてきたところ、なんだ昔一度観たことのあるものだった。それくらい印象の薄い作品。いかんせん、根本的にプロットに無理がある。もし自分が暗殺側だったら、こんな面倒で、危険の多いやり方は絶対しない。観客にハラハラさせてやろうという、はじめの企画段階からの意図が見え見え。なるほどハラハラはさせるだろうが、薄っぺらな作品。
[DVD(字幕)] 3点(2010-11-12 03:48:24)
45.  洲崎パラダイス 赤信号
大人がつくった大人の映画。これなんかを観ると、日本映画もガキンチョになっちまったなあ、とつくづく思う。見ごたえあり。
[DVD(邦画)] 9点(2010-11-02 13:10:58)
46.  ICHI 《ネタバレ》 
 『座頭市』かと思えば、『はなれ瞽女おりん 』、見おぼえのあるシーンは、黒澤明の『用心棒』に『七人の侍』の砦のシーン、ラストは『シェーン』じゃないかいな。期待せずに観たわりには、しっかり作っていたし、撮影がけっこうよかったけれども、あまりにパクリが多く、そのぶん話が散漫。綾瀬はるかの可憐さがなければ、ひどい点数になるところ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-11-01 18:17:08)
47.  ウエスト・サイド物語(1961) 《ネタバレ》 
 一言でいえば、「くっさい」映画(「くっさい」は関西弁で、「臭い」の強調形)。公開当時の日本の若者は、これに胸躍らせたのかもしれないが、今観ると、くさいだけ。これぞサブカルチャーとばかりに、WASP(白人・アングロサクソン・プロテスタント)以外の移民の子弟たちが登場するのだけれど、ここでは中流以上のこぎれいな若者たちにしかみえない。しょせん、ニューヨーク版ロミオとジュリエットがやりたかっただけ。音楽のレナード・バーンスタインは、これで一世を風靡したわけだが、家族と自分のより良い生活のために、商業主義とわりきって仕事したのは見え見えで、これをいつまでも代表作扱いされては、バーンスタインもさぞかし不本意だったろう。ついでながら、黒澤明の『用心棒』や『椿三十郎』の、あの軽薄な佐藤勝の音楽は、これが元ネタだったんだ、とわかりました。 
[DVD(字幕)] 4点(2010-10-30 12:19:30)(笑:1票)
48.  GOEMON
 わざとらしいが、スタイリッシュな映像美、95点。ドラマ性、薄っぺらくて、20点。メッセージ性、これがおそまつで、5点。足して割って、40点。
[DVD(邦画)] 4点(2010-10-29 01:35:35)
49.  わが谷は緑なりき
ひさしぶりで観た。4、5回は観てると思うが、やっぱり素晴らしい。ジョン・フォードというと西武劇が有名だけれども、最高傑作はこれにまちがいない。ジョン・フォードの映画は、なんとも男っぽいが、笑いの要素もあって、どこか黒澤明と通じるところがたしかにある。それから、モーリン・オハラの凛とした美しさが素敵だった。
[地上波(字幕)] 10点(2010-10-19 15:10:10)
50.  山形スクリーム
よくもまあ、こんな映画に制作費をかけたものだ。恐怖もなければスリルもなく、肝心の笑いもほとんどわいてこない。そのうえ、無駄に長い。話がおそろしくつまらないからだ。いったい何を描き、何を伝えたかったのか?ひょっとすると、その場のノリだけで作ってしまったのでは?
[DVD(邦画)] 1点(2010-10-09 07:44:21)
51.  からっ風野郎 《ネタバレ》 
 おそらく脚本(菊島隆三)が良かったのと、ヨーロッパで時代のヌーベル・ヴァーグを学んできた監督(増村保造)の新感覚があいまって、実録ものかと思わせるような、リアリティのあるヤクザ映画となった。三島由紀夫の稚拙なところのある演技がかえって、リアリティを増す効果があった。案外ミシマは猫背だったんだ(役作りでなければ)とわかったし、カッコづけ人生は役と共通するとしても、あんな頭の悪い粗暴な男がよく似合うとは意外だった。ところで、志村喬の親分は、さすがにどっしりした迫力があったし、脚本の菊島隆三がクロサワ組だっただけあってか、黒澤明の『酔いどれ天使』などの影響がちらほら見えた。しかし、なんといってもこの映画のピカイチは、ラストの三島の死ぬ姿で、あの写真集『薔薇刑』の、槍が刺さって殺されている絵柄を彷彿とさせるではないか。三島も、これが演りたかったにちがいない。ただ、話は観るほうになんのカタルシスもなく、あっけなく終わる。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-07 14:21:03)
52.  モスラ(1961)
 これ以後東宝特撮映画は、関沢新一の脚本をしだいにメインにしてゆくわけだが、これには得失があったように思う。関沢新一脚本は、落語調の掛け合いによる笑いの要素を怪獣映画にもたらした。けれどもその一方、それはないだろうと思わせるような、御都合主義のあまりに荒唐無稽な展開をしばしばみせるようになった。これは、この脚本作家の信条、つまり娯楽性を優先して、リアルさは二の次、という行き方の反映だったように思う。  私見では、これはけっして褒められたことでなく、子供だましといわれてもしかたのないところが増えて、結局東宝特撮ものの堕落をまねいた。私としては、これ以前の時期を中心とする木村武(馬淵薫)脚本ものの方を高く評価する。
[DVD(邦画)] 7点(2010-09-29 20:21:50)
53.  おっぱいバレー 《ネタバレ》 
 脚本の岡田惠和といえば、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』を思い出す。あれもそうだったが、この脚本家は、話はベタだが、ときに泣かせるはなしが実にうまい。くだらんチャラばなしかと軽くみていたら、またやられてしまいました。今回は、昭和の40年代頃か、まだ児童に素朴さのあった、世間一般に性的刺激のまだ乏しかった頃の話。予想に反して、なかなか結構でしたが、しかし題名はもうちょっとならんかったのか?
[DVD(邦画)] 8点(2010-02-26 04:54:36)
54.  ガマの油 《ネタバレ》 
 ときにファンタジー、ときにスラップスティック、ときにアングラ演劇風、ときにリアリスティック。これまで役所広司が演じてきた色々の集大成なのか、いろんな要素が盛り込まれているようだけれども、全体のテーマとしては、人の死というものについて、一編の現代風仏教説話のようなものとなっていて、ときに心にぐっと迫る、いい映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-02-14 18:58:32)
55.  純喫茶磯辺 《ネタバレ》 
 どうせおふざけの、ウジャジャけた映画なのだろうと、あまり期待もせず観たのだったが、意外にもしっかりした、良質の映画だった。宮迫博之の変質的演技は、おそらく定評のあるところなのだろう(角川春樹は、宮迫を自作の主演に抜擢するのに際して、てっきり彼を俳優だと思っていたという)から、いまさらなのだろうが、それより、娘役の仲里依紗が出色だった。今後に期待できます。ところで、麻生久美子扮する女が、宮迫扮するオッサンとその娘を前にして、変態客とヤッたといい、「わたしヤリマンだから」といったのは、逆説ながら、善人ぶった即興のウソだったように思えた。再婚なんて、と抗う娘に対し、父親がこれ以上のぼせあがらないように、これで冷めて引いてしまうように、という機転だったように思うが、いかがか。
[DVD(邦画)] 8点(2009-12-21 09:40:44)(良:1票)
56.  252 生存者あり
しょせん観客大衆には、この程度の安直な作りでいいのだ、といわんばかりの二級、三級の映画。観る者を侮辱された気分にしてくれる。安っぽい人間ドラマなどいっさい省いて、せめて最初から最後までディザスター・シーンだけで通してくれれば、まだなんぼかましだったろうに......。
[DVD(邦画)] 3点(2009-12-21 06:38:08)
57.  闇の子供たち
 阪本順治といえば、昔はけっこうおもしろい映画の作り手だったはずだが、『KT』あたりから、どうも.....。今度はまた悪趣味きわまりない。社会派として現実に起きていることを告発したいのなら、ドキュメンタリーを撮ればいいので、こんなゲロゲロな劇映画にする必要などないじゃないか。いったい何が描きたかったのか? 臓器を買う者がいれば、子供を売る者もいる。そこには貧困と経済格差と民族の問題がある。そうした背景にはつっこまないで、ただ世の中には善人と悪人の二種類がいる、というだけの描き方。ひょっとすると原作がそうなのかもしれないが、社会派というより、政治的プロパガンダの匂いさえする。はっきりいって、この監督には幻滅した。
[DVD(邦画)] 2点(2009-12-06 06:31:37)(良:1票)
58.  Mishima: A Life In Four Chapters 《ネタバレ》 
 三島由起夫はなぜあのような自決を遂げたのか。実際の伝記からの、いわば疑似ドキュメンタリーとでもいうような再現シーン(写真グラフで見たことのあるような場面を、忠実に再現している)と、代表作の小説から、ヒントとなるような内面の告白をいくつか抜粋する形で映画化し、この二つの軸をないまぜにして描く。これは三島という人間とその文学への、オマージュとでもいうべき入門編となっている。外国の映画監督が日本を舞台にするときにままあるような、とんちんかんなズレが少しもないところが、まず出色だし、なにより主演の緒形拳の、三島がのりうつったか、と思えるような、まさに鬼気迫る迫真の演技がすばらしい。そのほか、『金閣寺』の「どもり」の主役、坂東八十助が絶品だったし、『鏡子の家』の沢田研二もはまっていたし、どうゆうわけか演技陣が皆しっかりしていたのは、はたしてこの監督の手腕だったのだろうか。小説シーンの、日本画風に背景をアレンジした石岡瑛子の美術も斬新だった。ところで、今回アメリカからネット通販で取り寄せて観たのだけれども、このように誠実な作りの映画を、どうして未亡人が日本公開を許さなかったのか、理解できない。亡き夫だって、他人の人生をモデルに小説を発表し、裁判沙汰にまでなっているわけだし、三島自ら映画を製作・主演しているわけだし、たかが肉親だというだけの些細で偶発的なことで、この世界的に知られた日本人の伝記映画を、この日本に暮らす者には容易に鑑賞させないというのは、はっきりいって暴挙というものだ。このことひとつだけでも、未亡人は三島を理解していなかったということがわかる。今からからでもいいから、子孫はこの非をかえりみて、進んで公開を許可すべきだと思うが、いかがか。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-12-01 01:47:49)
59.  刑事(1959) 《ネタバレ》 
 たまたま衛星放送テレビで観たのだったが、これはたしかに名作。久しぶりにぐっとくる映画を観た気がする。ピエトロ・ジェルミといえば、『鉄道員』があまりに有名で、これしか知らなかったけれども、ひょっとするとこちらのほうが良いかもしれん。それにしても、ピエトロ・ジェルミの刑事は渋くて、なんともカッコいい。観ていてわかった、あの黒澤の『天国と地獄』の仲代達矢扮する警部のモトネタが、これにちがいない。あの刑事ボースン石山健二郎も、刑事たちの自動車内のシーンも、モトネタがここにある。ひょっとすると、捜査に忙しくて愛人に見放されているところなど、『ダイハード』のモトネタでもあるかもしれん。
[地上波(字幕)] 9点(2009-11-05 18:33:04)
60.  私は貝になりたい(2008) 《ネタバレ》 
しっかりと良心的に作られていて、出演者たちに別に浮ついたところもない。これにそうとう低い評価を与えるのは、観る前からなにか別のものを求めていたのじゃないか、としか思えない。戦中も戦後も、理不尽さに翻弄される一介の庶民。調べてみると、話の結末は脚本家の創作で、実際に処刑された二等兵はいなかった、というのが唯一の救い。焼け跡の都市のCGが巧みでした。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-19 04:05:44)
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