41. 禁断の惑星
これは素晴らしい。もっと早く観ておくべきだった。ロボットの造形の古臭さで損をしているような。いや、このレトロさこそが最大の魅力でもあるのだが。なにしろ1956年ですよ。鉄腕アトム、鉄人28号のアニメが1963年。日本の漫画アニメに与えた影響はいかほどだろうか。面白い作品だったのかと問われたら正直そうではなかったのだけど(今の基準では仕方ない)、損したなんて微塵も感じなかったし、むしろちゃんとSFになっていてびっくりした。心からレスペクトしたい作品。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-18 23:48:44)(良:1票) |
42. パラサイト 半地下の家族
韓国映画を見るのは初めてでした。映画としての点数は6点くらいですが、韓国文化や低所得者層の暮らしについての興味深さでプラス1点です。もちろん映画なんでこれが全て正しい描写とは思いませんが。テンポよくダレるところもなくエンタメとしてはとても面白い作品でしたが、富裕側の人物の背景や深みがなかったところに物足りなさを感じました。黒澤明の「天国と地獄」という作品があって、テーマとしては近いと思うんですが、あれは富裕側も魅力的に描かれていた。まだ観てない人がいたらお勧めしたいです。 [地上波(吹替)] 7点(2021-04-13 17:00:17) |
43. ゴッドファーザー PART Ⅱ
とにかくデニーロに惹きつけられる。いったいどうやりゃ演技によってカリスマ性を滲み出させるなんて芸当ができるんだろう。過去と現在が交差する凝った構成で、とてもよくできた映画だとは思うが、個人的には1の方に、より得体の知れない凄みを感じされられたので1の方が好き。まあ1も2も両方とも素晴らしい作品なので、どっちが上かだなんてとてもセコイ議論なんだけど、私はセコイ人間なのでついつい比べたくなって困る。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-02-22 12:54:15) |
44. ゾンビ/ディレクターズカット完全版
怖いのやグロいのが苦手なので今まで避けてきましたが、NHK-BSPでやってたのでとうとう観てしまった。ああ!もっと早く観てりゃよかったと後悔。こりゃ面白い。語り尽くされていることですが、やっぱりシチュエーションが素晴らしい。なんだか社会学の実験みたいな。ゾンビの虚無感や、暗黒面に堕ちていく人間たちの描写も素晴らしい。なぜか観終わった後に、何か気の利いたようなことを語りたくなってしまう不思議な魔力がある。「エイリアン」程度が大丈夫なら、全然普通に観られますよ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-15 21:55:00) |
45. モスラ対ゴジラ
小学生の子供たちと一緒に鑑賞。ワイワイと楽しみながら見られました。ラストが存外にあっさりで、家族全員で「もう終わりかい!」と総ツッコミでしたが。何よりミニチュアの精巧さが素晴らしい!現代のCGでは出せない独特の質感に感動。高い点数はつけて無いですが満足度はかなり高かったです。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-01-12 15:23:23) |
46. ドグラ・マグラ(1988)
原作既読。いやぁ、頑張って最後まで読み通しましたよ。まさか映画版があるとは!そしてまさかのこの素晴らしい完成度!!!あの原作の映画化としては、限りなく満点に近い出来なのでは?とにかく丁寧に原作世界が視覚化されていることに驚き。原作を読んでいた時、だんだん頭が混乱して来たあの感覚が、この映画を見ながら同じように再現されました。原作を最後まで読み通せなかった人は、この映画見たらそれでいいんじゃないないかとすら思う。まあ、面白い映画かと言われると、そうではなかったのだけども、素直にこれはすごいと思える映画ではあった。 [インターネット(邦画)] 6点(2020-11-25 06:43:45) |
47. メイキング・オブ・モータウン
ソウルミュージックが好きなので、音楽制作の裏話的なものを期待して観たら、よくある音楽ドキュメンタリーとは違うなんだか途轍もなく凄いものを見せつけられてしまったという感じです。もちろん数々のライブシーンや、のちにビッグになっていくアーティストたちの若き日の姿も実に素晴らしく感動的なのですが、とにかくゴーディさんの人柄と生き様にひたすら圧倒されてしまいました。まさかあんなに泣かされてしまうとは思わなかった。ハンカチ必須です。 [映画館(字幕)] 8点(2020-10-27 00:04:56) |
48. イエスタデイ(2019)
《ネタバレ》 出てくる歌はほとんど一緒に歌えるし、セリフに散りばめられた小ネタには笑わされるし、ビートルズファンとしては大いに楽しまさせてもらいましたが、理屈っぽい自分としては、腑に落ちないところが色々あり、どうもすっきりしないのです。ビートルズとともに忘れ去られたcigaretteやcokeやハリポタはどうして?とか、主人公以外にもビートルズを覚えてた人たちはどうして?とか。終盤に出てくる彼は、ビートルズがなければ殺されることもなかったのだろうが、例え音楽をやってなくても一介の漁師として一生を終える人物のようには思われなかったり。細かいところで色々納得いかなくて、面白かったけど高得点はつけられない感じ。それにしても流れてくる曲がどれも素敵すぎて、いやあ、ビートルズって本当に素晴らしいですね! [インターネット(字幕)] 5点(2020-10-02 15:44:08) |
49. この世界の片隅に(2016)
序盤からもの凄い情報量で頭がパンクしそうになった。私は広島弁も広島の地名もだいたいわかるが、そうでない人には訳のわからないところもあったのではないか。そして、ただ単に情報量が多いというのでは無く、なんでもないような日常のシーンで心の機微に触れる描写が多々あり、どうしてここで感動しているのか自分でうまく説明できないけれど、何故か涙が流れてしまうところも何度かあった。作品として評価が高いことはわかっていたので、身構えてというか、ちょっとハスに構えた感じで見始めたが、まあとにかく見事に心を奪われてしまって、参りましたという感じです。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-07-07 13:09:37) |
50. 映画ドラえもん のび太の月面探査記
小学3年の娘と、年長さんの息子と共に、テレビで鑑賞。子供達はそれはもう喜んでましたよ。小3の娘は、ちゃんと正確にストーリーを理解できてました。ギャグシーンも多く、年長の息子はゲラゲラ笑いながら楽しんでました。でもね、「宝島」は劇場まで家族で観に行って、私もそれなりに楽しめましたが、今回はテレビ鑑賞だったせいか、正直、私にはイマイチだった。どこかの映画監督が、近年の映画を評して、「これは映画ではない、テーマーパークだ」みたいなことを言ってましたが、この作品にもその言葉が当てはまるような。演出はド派手で、映像も綺麗で、もしも劇場で観ていたら評価はもっと高かったのだろうけど、自宅のテレビで観ると、ちょっと引いた感じの冷めた評価になるというか。脚本は凝った伏線もあって良い点もたくさん合ったのですが、そもそも毎回ドラえもんたちが「世界を救う」みたいな大風呂敷を広げなくてもいいんじゃないかと思ったり。まあとにかく、ドラ映画は劇場に足を運んで、お祭りとして楽しむべきものなんだと思いました。 [地上波(邦画)] 5点(2020-03-09 00:29:13) |
51. ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years(2016)
《ネタバレ》 ビートルズはどのアルバムも愛聴してますが、ライブは音源も映像にも馴染みがなかったので新鮮でした。ライブの演奏と歌唱の見事さには驚嘆。個人的には後期の独創的なスタジオアルバムが好きなんですが、やっぱりライブバンドだったんだなあと改めて思い知らされました。ところで武道館ライブについてコメントしてるのが浅井慎平さんなのですが、何を言ってるのか全然意味がわからなくて、英語の字幕を見て、ああこういうことなのかと理解するという、なんでやねんという感じなんですが、まあとにかく翻訳者がすごいね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-18 16:30:50) |
52. サマーウォーズ
今更鑑賞。話題になってた時に観てれば良かったと後悔。ヴァーチャルリアリティとリアルが交差する現代的なSFですが、アラフィフのおっちゃんにはこのくらいがレヴェル的にちょうど良い(笑)未だ古びてないと思いますよ、おっちゃん的には。でも公開時に観てたらもっと衝撃受けただろうな。おばあちゃんという人物の背景をもっと知りたかったかな。 [地上波(邦画)] 7点(2019-09-21 14:01:59) |
53. ギルバート・グレイプ
地味な映画かなあと思いながら観てましたが、中盤からなんだか無性に泣けて来て、終盤の大きなイベントのシーンではカタルシスを感じながら号泣してました。どうして泣いてしまったのか、私の文章力ではうまく表現できませんが、心の奥にある感情を揺さぶる作品であることは間違いない。主人公の心の成長が上手く描けていると思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-13 13:46:00) |
54. 平成狸合戦ぽんぽこ
小学生の娘と一緒に鑑賞。娘は、すごく面白かったと言っていたし、確かに笑ったりしながら最後までしっかり集中して観ていた。しかし私は、昔一度見たはずなのに、妖怪大作戦以降の展開をほとんど覚えていなかったことに我ながらびっくり。この歳で見れば、メッセージ性や、古典、名画からの引用、下ネタなど、様々なことが分かるし、丁寧に作られた作品であることはよくわかるが、バランスが悪いというか、特に後半とてもダレてしまっていると思った。おそらく前回観たとき後半ウトウトしてしまっていたんだろうが、今回もまたウトウトしかけたところ、娘に起こされるような有様であった。だからと言って、駄作かと言われると、そうではないと言いたくなるのは、ジブリブランドの力ゆえか、何か説明できない魅力をどこかで感じているからなのか、うーん、うまく説明できませんが。 [地上波(邦画)] 4点(2019-06-02 15:37:20) |
55. カメラを止めるな!
この映画で賞賛すべきは、アイデアやストーリーよりも、キャラの立った役者たちとその演技でしょう。特に監督の奥さん役には惹きつけられるものがありました。低予算であることを考えてもなかなかの快作だと思いますが、宣伝しているほど意外性の高い作品では無く、歴史に残る傑作とまでは行かないかなと。 [地上波(邦画)] 7点(2019-03-09 08:18:05) |
56. 江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者
なんなんだ、これは。やりたい放題でないか。日活ロマンポルノを観るのは初めてなのだけど、思っていたのと違って、そんなにエロ度は高くなくて、作品としてしっかりしていて、強く作家性が感じられることにも驚いた。何よりも、石橋蓮司の演技(というよりもはや顔芸)が上手すぎて笑ってしまう。まあこれは99%くらい石橋蓮司の映画です。乱歩の原作からはだいぶ乖離しており、ラストのオチも正直なんじゃこりゃと思ったけど、作品として表現したいことは伝わってきた。私は江戸川乱歩の映像化作品は相当観てきたつもりだけど、その中でも上位に入る。エロを期待して観た人には肩透かしかも。 [DVD(邦画)] 7点(2018-10-07 01:08:59)(良:1票) |
57. カプリコン・1
《ネタバレ》 20年以上ぶりに再鑑賞。前に観たときは、まだネットが発達する前でしたが、「月面着陸はNASAの捏造」みたいな陰謀論が流行っていて、本作もそのスジでは有名な作品でした。改めて観ると、ディテールの作り込みの甘さを感じますが、ストーリーは古びていないというか、エライ人が繰り返す「みんなのためなんだ」という言葉に翻弄される登場人物たちの姿に、今もって訴えかけてくるものがあります。あと当時は終盤のチェイスシーンは別になんとも思いませんでしたが、CG全盛の今観ると、これは凄い!ちょいと古めかしいところやツッコミどころもあるものの、今でも十分に観る価値のある作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-16 16:43:00)(良:1票) |
58. 怪談(1964)
武満徹の音楽目当てで見たのだが、思わぬ収穫だった。4編とも、映像も美術も音響も独特の世界観が素晴らしく、役者の演技も見事で、緊張感があり、無駄なところは一切ないと思った。それにしても全体を通すと長過ぎるのが勿体無い。私は一編ずつ4日に分けて観たので、最後までダレることなく集中して鑑賞できたが、もしもぶっ通しで観てたら最後の方はフラフラになってたに違いないし、ここでの評価も「6」くらいに下がってたかもしれない。これから見る方には、私のように分けて観る手もあるよと言っておきたい。あと、作品を語るときに、ほかの作品を持ち出して、あれと比べて上だとか下だとか、そういう論じ方は良くないとは思いつつも、どうしても黒澤の「夢」と比較したくなって困る。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2018-04-25 03:54:26) |
59. 長靴をはいた猫 80日間世界一周
7歳と4歳の子供と一緒に鑑賞。そこそこ古い作品ですが、キャラクターは可愛いし、様々な乗り物を駆使して世界を巡るというストーリーに子供たちは夢中になってました。特に最後の時計塔のシーンは、子供たちがハラハラしている様子がよく伝わって来ました。しかし、現代の大人にとって見応えのある作品かというと、それは…。確かに「カリオストロ」より3年早いことを考えても、時計塔のシーンはまあまあ良かったとも思うのですが…。私は専門的なことはよくわかりませんが、アニメーションとしての動きや構図など全体を通してピリッとしないというか、私が子供だった80年代のテレビアニメの肌触りで、「映画」っぽい感じがあんまりしないというか。決して悪い作品ではありませんので、小さい子供のいる方にはオススメです。 [DVD(邦画)] 5点(2018-04-15 09:31:00) |
60. すばらしき映画音楽たち
私は映画音楽マニアです。監督より先に作曲家をチェックしてしまうようなタイプ。この映画にはひたすら感動。そして感謝。あの憧れの作曲家が喋ってる!、もうそれだけで感涙ものです。ざっくりとではありますが映画音楽の歴史について言及されているのも良い。ものすごい密度、情報量ですが、それでもとりこぼされている巨匠があまりに多いことが悔やまれる。ニーノ・ロータもミシェル・ルグランもフランシス・レイも出てこないのは本作がアメリカ映画だからか。しかしアメリカ映画ならばミュージカル系の映画をもっと取り上げても良かったのでは。まあ色々言いたいこともあるけど、それでも本作のようなドキュメンタリーが作られたことに感謝。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-03-19 09:46:06)(良:1票) |