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41.  ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
「ゴジラ」映画と言えば真っ先に本多猪四郎監督とあの恐ろしい音楽が頭に浮かぶ。どう考えたって1954年に公開された一番最初の作品に敵うばずはないし、あんな凄い怪獣映画は他には存在しない。そのぐらい全てにおいて完璧だ。以降、どんどんと撮られてきた「ゴジラ」映画だがそのほとんどは駄作に近い。ゴジラを見世物のように仕立てるだけで怖さもなければストーリーも滅茶苦茶だし、色んな意味でもう止めて欲しいと思っていた中でのこの平成「ゴジラ」の登場である。監督は平成「ガメラ」の金子修介監督てことで期待して良いのか?しかし、今更また「ゴジラ」はどうか?と感じつつもこの映画はこれは私の最初の「ゴジラ」で感じた怖さ、ゴジラの登場シーンにおける恐ろしさの両方を感じることが出来た。久しぶりに面白い「ゴジラ」映画の登場である。箱根山での最初に首だけ出して現れる場面、最初の「ゴジラ」と同じだ。あの怖さがまさか平成になってから観れるなんて思ってもいなかった。本当はもっと高い点数でも良いのかな?とも思う。でもあのモノクロの大傑作に比べると劣る気がするし、それにどうせなら「ゴジラ」だけは白黒でお願いしたい。その方がもっと不気味さが感じられると思う。最後に天本英世が見られる「ゴジラ」映画は久しぶりのようにも思えて嬉しい。金子修介監督、もう駄目だと思っていた「ゴジラ」映画らしい作品を撮ってくれたことに感謝したいと共に子供の頃に好きで今でも好きな「ウルトラマン」や「仮面ライダー」シリーズも是非復活させてください。この監督さんだったら期待して良いし、期待出来る。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-12 22:17:07)(良:1票)
42.  シムソンズ 《ネタバレ》 
ベタ、思い切りベタである。何のひねりもない。至ってシンプル。この映画の主人公、四人の女の子達の姿は世の中の落ちこぼれと言われている人達、勉強も出来ない。だからと言ってスポーツもけして出来るわけでもなく、ドラえもんの「のび太」みたいな存在、コンプレックスの固まりである彼女達への応援であり、どんな理由であれ、何かに対して目標を持って頑張る姿は観ていて応援したくなるし、応援せずにはいられなくなる。和子と美希との衝突や同じように和子と史江との衝突、そんな間に入って何かしたくても不器用で上手く持っていくことの出来ない菜摘、コーチの過去の出来事、嘘付いてまで勝ちたくなかった為に正直に申し出て負けたという過去を知った彼女達がその後、絶対に嘘は言わないと約束し、衝突しあっていた四人が仲直りするシーンでの最後の嘘(史江の投げた五円玉が表なら続ける。裏ならカーリングを辞める。)はこれで嘘は最後にしようという現れであると感じることが出来るし、エンジェルスとの優勝決定戦で美希が和子に対して「このチームでオリンピックに行きたい。」と言う場面で本当の仲間になれた喜びを四人は感じることも出来た。最後の一投を和子の思うように託した他の三人の仲間意識、試合には負けたけど彼女達は試合で勝つこと以上に幸せな何かを掴んだに違いない。四人揃って観客、最後まで戦った相手チームに対しても精一杯戦った喜びを噛み締めて歓声、拍手に応える姿はこれこそスポーツマンに相応しい。0から始まる物語、たった1点だけどその1点取ることがどんなに嬉しいかよく解る。そういう喜びを味あわせてくれる映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2011-12-15 21:40:35)(良:1票)
43.  川の底からこんにちは
何だか最初のうちはかったるいなあ!借りてきて失敗したかも?と思っていたものの観ているうちに段々と面白くなっていくし、人間なんて所詮は馬鹿な生きものなのさ!自分の欠点を全てさらけ出す佐和子(満島ひかり)にそうだよね。自分では解っていても他人に言われると腹が立つけど、それでも自分の気持ちを恥ずかしいとは思わずにさらけ出すことがどれだけ勇気が必要か?思い切って開き直る主人公の姿は全ての人への応援のように感じられて共感を覚えずにはいられなくなる。満島ひかりの泣き顔と怒りに満ちた表情の素晴らしさ、今の日本の若手の俳優(女優だけでなく、男優も含めて)ここまで観る者に表情だけで惹き付ける魅力的な人は他にどれだけいるだろう?
[DVD(邦画)] 8点(2011-10-05 21:10:57)(良:1票)
44.  キューティ・ブロンド 《ネタバレ》 
エル、かっこ良いねえ!ブロンドでおっぱいが大きいからという訳の解らない理由で付き合っていた男に捨てられ(男からしたらブロンド、美人、しかもおっぱいは大きい。最高じゃねえか!)なのに、なんでだよ?あのエルを捨てた大馬鹿野郎を最後は奴の方から自分へともう一度、振り向かせておいて「さようなら」て、やったぜ!ざまあみろ!良い気分だ!しつこいようだけど、あれだけの美人でプロンドでおっぱい大きい彼女を持ちながら捨てるなんて、罰が当ったのさ!それにてもエル演じるリース・ウィザースプーンがとにかくかっこ良過ぎる。彼女のかっこ良さで楽しませる映画と言って良いかもしれない。最後の裁判シーンの登場シーンでのピンク姿のエル、女であるからこそ解る解決の仕方!とにかくかっこ良い。そして、可愛い。タイトルに偽りなし!今度こそ本当に最後になるけど、本当にしつこくて申し訳ないけど、私はブロンドヘアーで美人でおっぱい大きな女性が好きです。好きで何が悪い?男ならこんな私の気持ちが絶対に解るはずである。
[DVD(字幕)] 8点(2011-03-13 15:00:43)
45.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
ドリュー・バルモアが監督だって?凄く不安だったけど、ここでの評価の高さに見て納得しました。勝負の世界、確かに勝つものと負けるものとがいる。けど、勝ったものだけが全てでない。負けたものにも勝者と同じく送られる拍手の大きさ、この映画は負けたものにも優しい眼差しが感じられるところが良い。そんなこの映画の中で私が最も感動したのは母親が娘を美人コンテストに出場させたいが為にローラースケートをすることを拒む。それに対して初めは同じく拒んでいた父親が「お金よりも娘の幸せを見たい。」と言ったこと。お金よりも娘の幸せを大事にして応援に駆けつけたことが娘にも伝わってきたと思えるそんなこの映画、そして、やはり女の子たちが主人公であることも男である私からしてみたら気持ち良く見られる。ローラーガールズ、ここが重要である。傷だらけになっても頑張るローラーガールズ達の熱い戦い、スピード感あるカメラ、躍動感のある映画的なシーン満載、ドリュー・バルモア初監督にして見事である。どうすれば観客が楽しめるのかってことがよく解ってる。凄い映像なんて映画にはなくても、これだけ楽しめるってことを知っている。何度もしつこいようだけど、ローラーガールズって所が大きい。例え負けても最後まで笑っていられる彼女達、勝者も敗者も皆、良い顔している。だから最後まで気持ち良く観ることが出来た。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-07 20:16:49)(良:1票)
46.  ミス・ポター 《ネタバレ》 
冒頭のあの湖の映し出されるシーンの息を呑むほどの美しさ、まずは映像の美しさに眼を奪われる。ピーター・ラビットの話そのものも興味深く見られる上にとにかくどの場面も映像が素晴らしく美しい。それだけで見ていても楽しめる。更にポターが描く世界、所々で本の中の動物が動いて見せたりするのも楽しい。やたらうるさくてリアルな描写を売りにしているようなものがよく見られる最近の映画とは違う落ち着いた感じ、上品さも感じられるのも良い。ポターが愛した土地の景色、湖の美しさ、19世紀のイギリスの町並みの美しさ、この映画は全てが美しい。ちょっと切ない感じのするドラマ的な中でのラストも心温まる。全く期待してなかっただけに余計、楽しく観ることが出来た。そうか!なるほど。この映画の監督さん、あの「ベイブ」の監督か!どうりで映像も美しわけだ。更に動物の画き方も見事である。納得である。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-17 21:44:57)(良:1票)
47.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
「歩いても 歩いても」とこのタイトルにあるように歩くことは素晴らしいと教えてくれているような気がする。私のように田舎で暮らしているとどうしたって、歩かなくなる。ほんのちょっとした距離の所でさえも、ついつい自動車で移動してしまう。歩くという行為によって生まれる距離感、歩きながらでなければ離せない会話、空間というものをこの映画はよく表しているし、家族のあり方、じいちゃんとばあちゃんにとっての息子とその子供、孫に対する態度の違い、また息子の嫁への態度の違い、医者である親父とその息子との会話、母親との会話、色んな意味でこれが現実、息子に対しても嫁に対しても冷たくあたったりするのにその子供、孫には優しく接するじいちゃんとばあちゃんの態度などは人間の本質を見せ付けられているようである。全く血の繋がりのない嫁にとっての居場所はやはり夫の両親との時間よりも夫と子供との間であるし、そういう意味では嫁って立場は色んな辛さを感じさせるものであるという事を考えると男よりも女の方が大変なのかもしれないと考えたりもする。ところでやっと思い出してもらったのに、最後は語られることなく終わってしまったお相撲さんの黒姫山、凄く可哀想でならない。ある意味、一番、可哀想なのは黒姫山かもしれない。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-29 11:39:53)
48.  インスタント沼 《ネタバレ》 
何だろう?この不思議な面白さはどこから来るのだろう?「転々」と同じ監督による相変わらずなストーリーの面白さよりも変な人間ばかりの変な人達による変な行動やら変な生き物やら変なセットに変な小道具など色んな意味での変な面白さこそこの三木聡監督作品の特徴なのかもしれないが、ここで描かれている世界は単なる変人だけの話ではない面白さがある。この映画は主人公ハナメの魅力、麻生久美子を主役に持ってきたことが一番の要因である。自分に見えるものだけを信じ、見えないものは信じない。そんなハナメが竜の存在を信じ、かつて好きだったあまや君の後頭部を見て、あっ!河童だ!一言言う。物事、疑ってばかりいるよりも信じて生きることの方がどれだけ楽しいことか!この映画は教えてくれている。最後のハナメのあの気持ちの良さそうな顔付き、麻生久美子の魅力でここまで楽しい映画になっていることだけは間違いない。人間、泣いてる時間よりも笑ってる時間のが圧倒的に多い。この台詞がこの映画の良さのような気がするし、まあ、とにかくこの映画は予想以上に奥が深い。最後にもう少し!水道の蛇口をひねって走る麻生久美子、インスタント沼を作ろうとする麻生久美子、色んな麻生久美子の面白さと可愛さ、コメディエンヌぶり、最近の邦画に欠けている笑いを魅力的に表現出来る数少ない女優として貴重な存在である。間違ってもつまらない映画になど出て欲しくない。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-21 07:23:40)(良:2票)
49.  死に花 《ネタバレ》 
凄まじき老人達のパワーに見ていてようし、俺も頑張るぞ!人間、どんなに辛いことがあっても生きていなけりゃ楽しいことも嬉しいことも喜びも全て味わうことなんて出来ないんだ!青島幸男の「生きていて良かった。長生きすれば良いことがあるんだ」という台詞に全てが凝縮されているような気がする。皆で計画を立てた十七億三千万というとんでもない大金を奪うという目的の中で倒れ、死にそうになっても老人だらけの中で一人、若者として計画に参加することとなった少女、星野真理演じる和子とのキスシーンも生きているからこそ、こうして長く生きてきたからこそ味わえる楽しさであったりする訳で、長生きは良いことだというものがあの二人のキスシーンから感じられた。この映画は皆が泥だらけになって、例えビルが壊れ、崩れかけようが、死にそうになるほど苦労しようが、全員が同じ目的に向って突き進むことの素晴らしさを教えてくれている映画という意味でも映画としての存在価値は高い。存在という事に眼を向ければほんの少しの登場でありながらも最後まで存在感の大きさを見せてくれている森繁久彌の凄さ、存在そのものが正しく映画スターである。映画の中で演じていた99歳という年齢よりも実際は若くして亡くなってしまったことが何とも心が痛む。日本映画界を長く支えてきたこの偉大なる名優の遺作であるが、遺作という意味では青島幸男も藤岡琢也もこれが遺作となってしまった。その他の俳優陣の中では何と言っても長門勇が良い。舞台は東京なのに東京の川で桃を獲ろうなんて考えてる。岡山県出身の俳優らしくここでも桃に拘る姿が可笑しくて、また哀愁めいたものを感じさせる。岡山=桃で長門勇と言うと他にも「男はつらいよ口笛を吹く寅次郎」でも存在感ある演技が印象的だし、岡山と言えばそうそう、朝の連続テレビ小説「あぐり」を想像させる松原千恵子もいたり、そんな松原千恵子が皆で盗んだ大金をどうするか?の使い道を語る場面、その後の山崎努の一言「これからもう一花、咲かせるんだぜ」という台詞が正に「死に花」死ぬ前にもう一花、咲かせよう」というタイトルの如く映画て気がして、とにかくこの映画は人生においての色んなものが詰まっている。傑作とかそういう映画というよりも愛しくなるようなそんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-02 21:05:42)(良:1票)
50.  風花(2000) 《ネタバレ》 
人は誰しも挫折を一度は経験し、それによって成長していく。この映画の主人公の二人、男も女もお互い挫折しながらも相手を思い、そして、人として必ずいつかは直面する「死」という大きな問題について考えながら生きている。娘を置き去りにしたまま出逢った自分と同じような落ち零れ状態の男と旅に出る小泉今日子演じるゆり子が雪の中で「死」に向おうとする時、川の向こうから走って助けにやって来る簾司(浅野忠信)の姿にはそれまで二人で旅してきた者としての男の優しさ、かっこ良さが見られる。そういう場面をきちんと描き、見せてくれている相米慎二監督の優しさが感じられて「ありがとう!相米慎二監督」と言いたくなった。遺作にしてもこの何とも張り詰めた重たい空気の中でこんな優しさを見せてくれる相米慎二監督、監督自身が既に「死」について自分の命が短いということを察していながらもこの映画における小泉今日子と浅野忠信の二人だけには自分の分までも長生きして欲しいという何かそんな願いが感じられる。娘との再会で娘の手から飛び出して去っていく蛙の姿が親子ともう一人、浅野忠信の未来を託している象徴であるようにも思えるし、それを離れた所から見ている浅野忠信を映すシーンなど良い場面が多いのもこれまた相米慎二監督の他の映画に共通して言えるし、そして、私が一番のお気に入りの場面は旅先での宴会の場面での柄本明の「座頭市」の物真似をする所!勝新「座頭市」ファンの私にはあの場面を見て、時代こそ違えども同じ日本人として、日本映画を支えてきた者同士、あの場面、勝新がもっと長生きしていれば見せてあげたかった。相米慎二監督もきっと同じである。相米映画における空気、季節感、美しい映像美、話としての面白さよりもこの映画を観て、相米映画とは何か?物語だけが映画ではないということを教えられた思いでいっぱいです。
[DVD(邦画)] 8点(2010-07-17 10:20:32)(良:1票)
51.  助太刀屋助六 《ネタバレ》 
真田広之主演による時代劇と言えばおそらく世の多くの映画ファンは「たそがれ清兵衛」かもしれないが、私は違う。「たそがれ清兵衛」より早く作られ、公開した年は同じ2002年である。「たそがれ清兵衛」がやたら高評で多くの賞を獲得した中であまり取り上げられることもなく、その年のキネマ旬報でも無視されているような結果になっていたが、映画としの面白さ、時代劇としての面白さで完全にこっちのが上だと私は思う。何しろ主演の真田広之が活き活きとしていて演じている本人が物凄く楽しそうであるのが良い。やはり役者、特に主役が楽しそうに演じている映画はそれだけで観ていても気持ち良くなれるので私は好きです。冒頭のあの砂煙りの中、一人刀を振り回しまるで子供のように楽しそうにしている姿、そして、そこに現れる大勢の子供達、このシーンだけでも真田広之同様、監督である岡本喜八監督もこれから面白いものを見せてあげようではないかという心意気が伝わってくる。脇を固める俳優陣にしても芸達者な顔ぶれが揃い、その中で伸び伸びとしている真田広之、そんな真田広之が仇討に乗り込む時に言う台詞「これから二人ほど斬るが他の人は邪魔になってはならない」とか「ここら辺でお開きにしよう」とか何だか寅さんみたいで笑ってしまう。ラスト、馬に乗って去っていく真田広之と鈴木京香のツーショットなどは岡本喜八監督が西部劇ファンであることの証であり、遺作にして最後まで娯楽映画に徹しようとして遊び心を忘れなかったこの岡本喜八監督という監督の素晴らしさ、多くの映画監督は晩年、特に遺作ともなると娯楽よりも芸術志向に走るものだが、最後まで娯楽に徹して楽しませようと言う監督の心意気を私は評価したいと思います。最後にあのジャズの音楽も時代劇とよくマッチしていて良い雰囲気を醸し出していることを言わせてもらいこの映画についてのコメントを終えたいと思います。
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-08-23 10:08:28)(良:3票)
52.  かあちゃん 《ネタバレ》 
市川崑監督と岸恵子というこの名コンビは溝口健二監督若しくは成瀬巳喜男監督と田中絹代の名コンビを見ているようです。日本人が今、忘れている何かが岸恵子演じるかちゃんことおかつさんの優しさ、人を疑って生きるよりも人を信じて生きて行くことの方がどれだけ難しいかということをこの映画の岸恵子のかあちゃんから教えてもらっている気がします。貧乏長屋での貧しい生活にもけして、貧乏であるということを強調しない。泥棒に入った男までも自分の5人の子供達と同等に扱う優しさ、それに心を打たれる泥棒、他の人たちにしても出てくる人物に一人足りとも悪人はいない。この映画には人間ってお金よりももっと大切なもの、赤の他人であろうとも同じ人間であるという市川崑監督の優しさ、山本周五郎という人の原作もそんな優しさに満ち溢れている。ラストの「勇吉」の「かあちゃん」の一言!それを映し出す岸恵子のかあちゃんの表情には本当の子ではない勇吉も五人の子供と同じ本当の子になれた本物の瞬間であると見ることが出来る。市川崑監督がまだ健在であった時、しかも、2001年という二十一世紀にこの映画が撮られたことが、それも岸恵子で撮られたことがとても嬉しく思います。この映画の岸恵子の表情はどれもこれも女優という枠を超えて一人の人間、かあちゃんとしての姿として観ることが出来る。脇を固める俳優陣の中では大家の小沢昭一、この人の存在感、インパクトの強さは凄い。私の大好きな日本の監督の一人、川島雄三監督作品の常連である小沢昭一、この人が画面の中にいるだけで何だか嬉しく思えてしまいます。色んな意味で見ていて、気持ちの良い映画、傑作とかいう評価よりも心温まる佳作としてまた、落語的なユーモアも交えて楽しむことが出来た。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-07 21:05:16)(良:1票)
53.  once ダブリンの街角で
男と女の話となると直ぐに男も女も馬鹿の一つ覚えみたいに脱いで、抱合ってとそういう作品が多過ぎる。特にハリウッド映画にはその傾向が見られる。そんな中でこの映画にはそういうものが何一つない。それがこの映画の良いところである。全編に流れる音楽の美しさ、素晴らしさは言うまでもない。話そのものは特に何か凄いものを感じることは出来ないけれど、至ってシンプル、うるさい音楽とは違う音楽の良さと心地の良い映像美に、そして、何よりも主演の二人が良い。特にあの男優が二枚目じゃないのが良い。どこにでもいそうな感じの男と女だから最後まで安心して、楽しむことが出来た。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-25 19:24:26)
54.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
冒頭の溝口健二監督の名作「近松物語」のパロディ、ここで溝口健二監督のファンを誘い込むことに成功している。あとは難しく考えずに楽しめば良いのである。笑えるシーンが多く中でも柄本明が笑える。笑える。歌舞伎のシーンや首吊りのシーン、中村勘三郎と小泉今日子を交えて、あれやこれやと楽しませてくれます。溝口健二監督の映画と歌舞伎、落語が好きな人は間違いなく楽しめるはずです。 
[映画館(邦画)] 8点(2007-12-01 22:01:38)
55.  なごり雪 《ネタバレ》 
うわぁ~平均点低いなあ!これははっきり言って駄目な人には全く受け入られない世界だろうけど、大林宣彦監督作品が好きな人には受け入れるだけの力を持った作品だと思う。確かに皆さん、指摘の通り、台詞回しも変だし、棒読みではある。しかし、これはそんなことをああだこうだと文句を言うような作品ではないと声に出して言いたい。甘くて切ない大人のためのファンタジー映画なのだ!大林監督らしい美しい映像、昔の日本映画にある匂いとでも言うのか?作品全体に漂う甘い雰囲気、その甘さこそ大林宣彦ワールドなのだ!そして、単なる甘いだけの作品ではない。甘さの中にある緊張感、サスペンス映画のような雰囲気と狂気が入り混じった。更には大林映画を語る上で絶対に欠かすことの出来ない少女の魅力、見ている私でさえも何だか恥ずかしくなるような少女趣味、そう、その少女趣味的、何と言うのが正しいのか?大林監督のロリコン的要素がずしりと詰まった危ない雰囲気、ここにどういう訳かいつも観ていて不思議と惹かれるものがある。この映画では主人公の昔の恋人で親友の奥さんでもある雪子の若き頃を演じている新人須藤温子という女優が素晴らしい。彼女の見せる一つ一つの仕草、笑顔に涙、この映画を支えているのは間違いなく彼女(須藤温子)である。タイトルの「なごり雪」にもある「雪」がこの映画の大きなキーワードでもあり、三浦友和演じる主人公とその友人ベンガルの少年時代の回想シーンの中で二人に雪を降らせてみせるシーンはこの映画の中でも一番の名場面!同じ伊勢正三の名曲を映画化した「22才の別れ」はいまひとつ乗れなかったけど、こちらは乗れた。やはりその最大の理由はやっぱりこの映画の中の須藤温子というこの当時の新人が素晴らしいから!こんなにも素晴らしい若手の女優さんをその後、生かしきれずにいる現在の日本映画に一言、言いたい。ただ可愛いだけじゃ駄目だと!この女優さんは可愛いだけでなくきちんとした芝居を出来る素晴らしい女優だ!そういう女優を見事に抜擢して見せた大林宣彦監督はやはり素晴らしい監督さんです。誰が何と言おうとこれも私の中では大林宣彦監督の代表作として評価したい。
[映画館(邦画)] 8点(2007-11-17 23:26:18)(良:1票)
56.  いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 
以前に一度だけ見た時は、無理矢理泣かせよう!としている感じがしていたが、再び見ることにしたのは竹内結子の生前の輝いてる姿をもう一度見たくて見ることにしました。竹内結子演じる澪と少年祐司のやり取り、祐司が放つ台詞「ママは僕のせいで亡くなったの?」を聞くたびに切なくなって泣けてくる。この映画の少年祐司の様に実際の竹内結子の長男が思わなければ良いなと思えば思うほど、竹内結子の死という現実が重なって来て泣けて仕方ない。竹内結子の実の長男、そして2人目の子供にも強く生きて行って欲しい。そう思う。竹内結子の白、ひまわりの花の様な輝きは一生残り続ける筈です。それと見ていて中村獅童演じる巧の高校時代を演じている浅利陽介を見ていたら私が竹内結子という女優を初めて知った朝ドラあすかが見たくなってたまらない。最近の朝ドラきりやたらレンタルコーナーで見かけるけど、あすかもレンタル屋さんに並べてほしい。あすかでも白がよく似合っていた竹内結子、この映画でも白が本当によく似合ってました。竹内結子演じる澪に高校時代もどうせなら榎園実穂さんで見たかった。それだとまんまあすかだな!それよりあのエンディング曲は何なんだ?あのエンディング曲は最悪でした。映画自体は良い映画でした。竹内結子も最高でした。間違いなく竹内結子の代表作品でしょう! 訂正2020年10月9日
[インターネット(邦画)] 8点(2007-11-08 23:17:07)(良:1票)
57.  父と暮せば 《ネタバレ》 
全編のほとんどが宮沢りえと原田芳雄の二人による芝居と会話によって進行していく。広島に落とされた原爆の被害によって亡くなってしまった父が娘のそばで幽霊となって娘との淡々とした会話を見せつつも戦争の恐ろしさ、惨酷さを教える。二人の素晴らしい演技にどんどんと引き込まれていきます。宮沢りえ演じる娘の父親である原田芳雄に対する言葉使い、父親のことを「おとったん」というのを聞いて、なんて良い娘なんだ!あんな呼び方されたら男はたまりませんよ。宮沢りえは女優を続けていて本当に良かったとこの作品を観て思いました。貴乃花と一緒になどならなくて本当に良かった。心からそう思う。おかみさんになるより女優としてこれからも素晴らしい演技を見せてくれることの方がどれだけ良いか!まだまだ若いのにこれだけの演技が出来るなんて素晴らしい。二人が最後の方でジャンケンをして遊ぶシーン、私はこのシーンが最も好きです。このシーンに込められた父と娘の関係、親子愛に父と娘との深い絆を感じることが出来て良かったと思ってます。
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-04 10:40:41)
58.  恋人はゴースト 《ネタバレ》 
おう!これは面白い。ここの皆さんのコメントを信じて借りてきましたが、いやあ、観る前は正直、かなり不安だったんですよ。もしかしたら大嫌いな「ゴースト・ニューヨークの幻」みたいに恋愛ものの中に犯罪ものを取り入れ、主人公にも魅力を感じない嫌なタイプのものかと思っていたら全然、違っていた。これは良い。予想していたよりもずっと良い。まず、何と言っても話が面白い。時間も長くないし、丁度良いぐらいのテンポの良さ、そして、主演の二人、リース・ウィザー・スプーンと相手役の男優、マーク・ラファロが良い。二人のやりとりと会話が楽しい。ある日の晩、雨の中、交通事故を起こしてしまい、死んだことを認めようとしないエリザベス、そんな女に振り回される男達(主人公の親友も良い味、出してる)マーク・ラファロ演じる男が造った庭の美しさ、花いっぱいの美しさ、良いなあ!あんな素敵な風景を眺めながら生活出来たら本当に良いなあ!そう思えるぐらいこの映画は映像も美しくて観ていて気持ちが良い。話としては確かにベタベタのベタベタな展開ではあるけれど、これだけテンポ良く、見せてくれたら文句は言えません。それにしてもこの映画、これだけ面白いのになんでたった七人しかコメントがないの?もっと多くの人に観て欲しいと思える拾い物の一本を見た。そんな気が致します。
[DVD(字幕)] 8点(2007-04-02 21:49:17)(良:2票)
59.  リタ・ヘイワースの軌跡 《ネタバレ》 
冒頭あの有名な「ショーシャンクの空に」の中でリタ・ヘイワースが登場する映画「ギルダ」のワンシーンが映し出される。そして、今度は女優ニコール・キッドマンのリタ・ヘイワースへの思いが語られる。「リタを見るとうっとりするわ」本当にその通りである。彼女の魅力とは何か?ただ単に美しいだけではない。ただ美しいだけならこれほどまでに同姓にも好かれる事など絶対にないと思う。そして、勿論、スタイルが良いからだけでもないのだ。リタ・ヘイワースの魅力は美しさと上品さの両方を持っているからである。そんなリタ・ヘイワースというハリウッド映画史上最高のセックスシンボルである彼女の波乱万丈の生涯を生前、親しくした親友や映画関係者、更には娘のインタビューを交え語られる。4歳から早くもダンスを習い、13歳にしてスペイン生まれでダンサーだった父と舞台を中心に踊るようになる。その後、15歳で映画界にデビューする。そんなリタ・ヘイワースが舞台に出ていた時も映画に出演している時も誰もが見て思う元気でいつでも輝いていたのとは裏腹に内気な性格で寂しがりやだったというこのドキュメントフィルムを観るまで私は知りませんでした。リタ・ヘイワースが五回も結婚し、その度に上手く行かずに離婚していたという事も知らなかった。映画界で華々しく活躍する一方で人には言えない苦しみと1人の女性としての幸せを願いつつも最後まで苦しんでいたこと、アルコール中毒となってアルツハイマーによって亡くなったことも知りませんでした。僅か58分という短い時間のフィルムの中にこれほどの波乱にとんだ人生を送っていたことを包み隠さずありのままに残しているこの貴重なフィルムを見てリタ・ヘイワースという1人の女優が女優である以上に1人の女性として生きてきた多くの経験に人生そのものを見たそんな気がします。これまた一つ見応えのある貴重なドキュメンタリー作品を観ることが出来て本当に良かったのと私自身、まだ観てないリタ・ヘイワースの出ている映画を観たくなった。
[DVD(字幕)] 8点(2007-03-13 20:30:13)(良:1票)
60.  世界最速のインディアン 《ネタバレ》 
これは良い。大して期待もせずに観て来たけど期待してなかった分、面白く観られた。まずは何と言ってもアンソニー・ホプキンスが良いんです。年老いてもけして夢を諦めないその姿勢、夢にかける情熱、その全てが観ていて本当に「頑張れ!」て応援したくなるし、応援せずにはいられなかった。ニュージーランドから世界最速の記録更新を目指してアメリカというまるで反対側の世界に乗り込み、その途中で色々ハプニングが発生したり、自分の命の如く大切なマシーンが壊れたり、警察には捕まりそうになるし、それでも街行く人達の協力の下、夢を掴む。これは一人の男の夢にかける夢物語であって、ロードムービーとしても見応え十分、こういうお年よりが頑張る姿に私はやはり弱い。それとアンソニー・ホプキンスに関してはレクター博士のような役よりもこういった感じの役の方が私は合ってると感じるし、好感が持てて好きです。
[映画館(字幕)] 8点(2007-02-25 11:32:48)
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