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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  幻魔大戦 《ネタバレ》 
原作の壮大な設定、展開は文句なく魅力的で傑作レベル。コンセプトは信頼と愛こそが力の源であり、それこそが破壊エネルギーを倒せる唯一の力であるということ。それを一本の映画に収めるには物語を再構成する必要がある。超能力戦士が集合して幻魔と対戦するのだから、各戦士にそれなりの時間を割く必要がある。しかし本作では丈の超能力覚醒場面が長すぎてバランスが悪くなっている。各戦士の能力にさほど差はなく、ザコキャラ扱いになってしまっているのは残念。丈を中心に描くにしても、姉との関わりで、愛こそが超能力の源であることを知ることを示せば、他はもっと簡略して良いだろう。そうすればあちこちでみられる停滞感が薄まり、スピード感が生まれだろう。 ◆幻魔は宇宙のあらゆるものを破壊させる巨大な存在。それにしては幻魔の力の強大さが描けていない。最大の見せどころであるはずの最後の戦いがちゃちい。噴火する富士山で、みんなで力を合わせて「絶対零度」で終了……。そんな弱いはずがないではないか。そもそも地球人が力を合わせて何とかなる存在じゃない。そこには宇宙意識フロイやサイボーグ・ベガの仲間も加わった戦いが展開されるべきだ。つまるところ、戦闘に工夫が欲しい。 ◆そもそも幻魔の手下がいかにも小粒だし、数も少ない。もっと強そうなものを用意しないと竜頭蛇尾の印象をぬぐえない。アメリカの都市や東京が消滅するが、その見せどころのはずの「消滅」部分が背景画で処理しているだけなので、臨場感が伝わらない。明らかな「手抜き」である。それに丈以外の超能力戦士達に心の余裕がありすぎるのも問題。もっと切羽詰まった展開、表情を見せないと地球消滅の緊張感が伝わらないだろう。「レッスン1」とかは、そぐわないのでやめろ。それをするなら壮絶な修行・修練場面を用意した方がよい。 ◆石ノ森章太郎は、敬慕する姉を亡くしており、その姉をモデルとした「姉さん」が登場する。最大の理解者であった姉を失った喪失感、しかも映画を観ていて、その死に立ち会っていなかったことへの罪悪感は、その後何年も石ノ森を憔悴させ、苦しめることになる。しかし年を追うにつれて喪失感や罪悪感は薄まり、本作品では、姉は残留思念となって弟を守ってくれる崇高な存在にまで昇華されている。石ノ森にとって感慨深い作品であるのに違いない。そういう意味で、大友キャラではなく、石ノ森キャラで観たかった。 
[DVD(邦画)] 6点(2011-05-09 17:23:17)
42.  殺しのドレス 《ネタバレ》 
エレベータの惨殺シーンや最後のバスルームでの殺害シーンなど演出は素晴らしい。動きながらの長回し、大袈裟な音楽を流しながらのスローモーション、分割画面、耽美的な映像に凝るのは結構なことだが、もう少し脚本に凝るべきではと思う。バランスが悪いのだ。実に残念な作品と思う。◆サイコ殺人なのに被害者が一人では物足らない。最初と最後の殺人は夢である。最初のシャワー殺人は主婦の性的欲求不満の表れを示している。最後のは観客を喜ばせるお遊びにすぎない。蛇足である。◆犯人は大柄で女装した男とすぐにわかるが、これは意図的だろうか?だとしたら、その狙いは何だろうか?サスペンスでは考えられない。やはり分らないと思ってやっているのだろう。観客との間にズレがある。◆登場人物だが、主婦の不倫相手は再び姿を現さない。見ず知らずの不倫相手をベットに寝かせたままどこへ行ったのか?娼婦と一緒にいた目撃者もしかり。刑事も頼りない。娼婦を脅して、医者を探らせるのはどうかと思う。殺されていたら責任問題に。主婦の夫は義理の息子にも警察にも無視されている。こういう不自然さが目立つ。伏線が収束されていない。主婦は不倫相手が性病と知り、絶望に突き落されるが、すぐ殺される。どうでも良い挿話に何の意味があるのか。観客を驚かせる遊びと考えているのだろうか。本筋で驚かせて欲しい。結局男らしい男、父性が存在しない。いつまでも少年である監督のやりたい放題になっている。志◆美術館でのしつこく粘着質のカメラの長回し+スローモーションの意味は何?本筋と無関係で、男女の出会いの場としての意味しかない。どれだけ時間と労力使っているの?「手袋落としましたよ」「ありがとう」で済む話。それにアメリカじゃタクシーの中でヤッテもいいのか?娼婦がクリニックに潜入して捜査するにしても、色気じかけ。エロが全開すぎる。犯人の二重人格やトラウマよりも、被害者の悩みの方を深く描いてどうするのだろう。力の入れ方が間違ってはいないだろうか。それにい精神科医が性同一障害と多重人格者で殺人鬼という設定は安直で、ひねりがなさすぎる。◆犯人は客のホテルから出る娼婦を待ち伏せして追跡するが、どうやって娼婦の居場所を知ったのか?自宅を知っているのなら、自宅で襲えば良いのに。◆少年の隠し撮りだが、最後の客が出たあと、先生が出て来なかった事に気づかなかったのか?
[DVD(字幕)] 6点(2011-02-13 06:44:30)
43.  ミッドナイトクロス 《ネタバレ》 
撮影技師ジャックが偶然録音したテープから、大統領候補の知事の暗殺事件の真相を知るところ迄はスピーディで良かった。映像フィルムにダビングして検証するところは成るほどと唸ったものである。真相を掴んだが、仕組んだ相手は大物で、既に警察に手が回っており、ジャックの証言は揉み消されそうになる。そして近づく殺し屋の影。一庶民対巨黒組織の対決かと思って後半に期待した。が、ここからはジャックとおバカキャラ、サリーの恋物語に転落。 ◆まずあの殺し屋がだめ。中盤で顔出しして怖くない上に、間違い殺人する馬鹿だった。言い訳は「彼女から誘ったんだ」。人格障害者だったのだ。がっかり。案の定、無関係な娼婦も殺しているし。典型的な無秩序型なのに、電話を盗聴したり、TVレポーターになりすましてサリーに近づいたりする知能犯でもある。これは無理な設定。巨悪の組織の犯罪どころか、たった一人の単独行動。しかも暗殺はこいつの独断行動。その組織は対立候補で、知事のイメージダウンを狙っただけで、巨悪にはほど遠い。どんどんしょぼくなってゆく。 ◆それでも最後には期待がかかる。どう解決するのか。犯人は部屋にいる女やジャックを襲えばいいのに、駅に呼び出すんだね。ホームで殺す計画なんて最悪の部類。失敗して来た電車に乗ってニューヨークへ。まるでギャク。女はワイヤを付けてるので、ジャックに現在地や行き先を知らせるところだが知らせない。馬鹿じゃしょうがないか。女を追ったジャックが車ですっとんで行く。この場面はスリリングだったが、事故を起こしてお休み。この中断はいただけない。犯人の方もその場で女を殺せばいいものをフィルムを捨てたり、女の口と塞いで高い所へ移動したりと異常行動。とても目立つ二人なのに誰も気づかない不思議。ジャックが駆け付けるも時既に遅し。泣くジャックの背景に花火が揚がるが、その合成のしょぼいこと。その前のスローモーションもさほど効果を上げてはおらず、この監督はセンスが無い。 ◆結局事件はうやむや。「被害女性は最後の力を絞って犯人を殺しましたが、力尽きました」だと。ジャックはどんな証言をしたんだ。真相を語れ!音声はあるんだから証明できる。映像フィルムはTVで放送されたのを使えば良い。女の最後の絶叫を映画に使うなんて悪趣味。被害者遺族の感情を考えたことがあるのか。◆サリーに瓶で殴られた男はどうなったのか?
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-26 21:02:37)(良:1票)
44.  白いドレスの女(1981) 《ネタバレ》 
これでもかと畳み掛ける蒸し暑い夏の描写、汗染みの服、退廃的なジャズのメロディ、犯罪の匂いのぷんぷんする映画だ。◆遠くのホテルで火事がある。愛人との情事を楽しんでいる弁護士ラシーン。「放火らしい」と呟く。対岸の火事と思っていたが、やがてそれは自分に降りかかる厄災の火の粉だった。映画全体を象徴するうまい冒頭シーンである。音楽やカメラワークが洗練されており、質を高めている。映画作りを良く知った監督の作品と思う。◆男は人妻の色香に溺れる。独身で女性をつまみ食いするのが趣味、元々溺れやすいタイプだ。米の弁護士は数が多く、皆高所得とは限らない。仕事面でミスが多く、うだつは上がらない。◆女は男に、夫の悪口と財産の多さを強調して吹き込み、殺人へと誘う。すっかり騙された男は、殺人を実行する。だがそれは女の巧妙に仕組んだ罠だった。◆それにしても夫殺害の実行は、お粗末すぎる。自宅で殺し、廃屋に運び、発火装置で燃やす。発火装置を知人の放火マニアに作ってもらっているので、証拠も証人も残る。家に侵入しても音をたてて気づかれてしまう始末。もっと別な方法があったはずです。眼鏡の紛失も女の仕業とはいえ、気づかないのはうかつなことで、夫が外出したストーリーなのに車はそのまま。電話がかかってきたというが、記録は無い。これではきっとレンタカーの記録も残しているのだろう。弁護士にしては杜撰すぎる。◆誰が見ても証拠一つ残らない完全犯罪計画が破綻する様子を観たかったのに残念である。そこがこの手の知的犯罪映画の肝と思うがどうであろうか。計画が破綻してゆくサスペンス、犯人の焦り、犯罪を補完する次の手立てなどが無く、あっさりした印象である。あの立場で男は、ジョギングをしている暇は無い筈である。◆女が放火マニアに相談して、発火装置を作るのも解せない。告げ口されれば終わりである。そもそも二人に接点があったのか?女は身代わりのアンの死体を焼いて逃亡をするが、死後に焼かれたことは、調べればすぐに分ることである。これがわからない警察はありえないだろう。◆女の入れ替わり(名前を交換)であるアンの登場場面(男が女と誤解して卑猥な言葉をかける)や二人の情事を目撃した少女等は、徐々に綻びてゆく完全犯罪の伏線として魅力的であった。◆悪女映画としては成功している。
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-10 14:01:38)
45.  ゴジラVSビオランテ 《ネタバレ》 
ビオランテは、バイオテクノロジーの暴走が生んだ禁断の生命体。砂漠に薔薇を咲かせるのが夢だった娘がテロで亡くなる。その亡くなった娘を薔薇の細胞と融合させた父親の気持ちはわからないでもない。だがその薔薇が枯れそうになり、永遠の命を持たせるためにゴジラ細胞を融合させてしまい、大変な化け物を産んでしまった。このあたり、ゴジラ誕生を想起させる。◆あの醜い姿の中に、死んだ美しい娘の細胞と魂が宿っていると思うと切なくなる。美女と野獣の一体型怪獣だ。もっと美しい造詣であればよかったのにと思う。それにしても製作した白神博士の苦悩をより前面に出すべきではなかったか。博士は淡々とし過ぎているのだ。ビオランテが殺人をしても何とも感じていないのはどういうわけか。◆何故ビオランテは人を襲ったのか?侵入者とわかっていたわけではあるまいに。又超能力少女が薔薇の声を聞こうとしたときに何も答えなかったのは何故だろう。◆もう一方の発明品の抗核エネルギーバクテリア。ゴジラのエネルギーを無力化するのが目的だが、核兵器を無用化にする兵器として転用できる。そうすれば核のパワーバランスが崩れてしまう。単に生物学の問題にとどまらず世界平和の問題にもなってくるのだ。このあたりの展開がうまい。◆ビオランテには薔薇形と進化した怪獣形が存在するが、光となって空に消えたり現れたりするのはどう説明するのか?このあたりが科学SF映画としては失格。超能力は最小限だったので許容範囲内。【感想】兵器に魅力なし。特撮やバトルシーンには見るべきものがなくチープな仕上がりが目立つ。悪者エージェントシーンの何もかもがしょぼい。最後主人公桐島が暗殺者を追うシーンなど取ってつけたようなもので不要。白神博士は死をもって罪を贖うべきだが、暗殺されるのはいかがなものかと思う。ビオランテと共に海に沈むような展開なら納得がいく。【ツッコミ】①「火口を爆発させてゴジラを復活させる」と脅すわりには小規模な爆発でした。②白神博士が湖畔の桟橋でインタビューを受けるシーンは、途中で別の桟橋になっている。③30分に一度細胞分裂して一日で4兆個になる、といっているが、実際には2の48乗で280兆個。
[ビデオ(邦画)] 6点(2010-10-15 20:05:46)(良:1票)
46.  勝利への脱出 《ネタバレ》 
◆全体的に緊迫感が足りない。冒頭場面では脱出者が銃で撃たれた。これは厳しい収容所だなと思っていたが、あとはゆるゆる。ハッチ(スタローン)が脱出する場面はうまくいきすぎ。何度か気づかれそうになるが何とか切り抜けるという演出を何故しない。それからハッチは一度収容所に戻るように説得される。ここの葛藤も描かれていない。同じく腕を骨折させられる選手の人間性がどれだけ描かれていたか?上辺をなぞっているだけだ。そして最大のクエスチョンは、ハーフタイムで脱出するのを選手たちが拒否する場面。それまで選手たちのサッカーに対する思い入れが語られてはいない。だから彼らの思いが伝わってこないのだ。このあたりの演出の不首尾が映画全体としてのドラマ性の希薄につながっている。演出上のタメがなく、なにもかもあっさりと進みすぎる。 ◆恋愛部分にしてもしかり。子持ちの未亡人じゃヒロインにはなれない。せめて彼女の悲惨なバックグランドが語られていたら反戦映画になれたのに。女性レジスタントという魅力的なキャラがもったいない。 ◆捕虜にハングリーさが感じられないのも残念。顔や眼にぎらぎらするものがほしい。彼らはただ安穏と生活しているように見える。 ◆サッカーの試合が決まったとき、コルビーコーチは各収容所から有名選手を集める。これは明らかに間違い。あの収容所のメンバーで試合することが大切なのだ。素人が一丸となって我武者羅に練習し、チームワークにより、奇跡的に勝利するという筋書きが一番感動できる。寄せ集めチームじゃ感情移入できない。 ◆サッカー場面はそこそこ見れたが、不満要素も多い。もっと華麗なプレーが見たかったし、スローやアングルにも工夫が欲しい。実際のサッカー選手を使っているのだからもっと魅せることはできたはず。ハッチのキーパーは全くの素人で見どころがない。最後ももっとぎりぎりのところでセーブすべきだろう。ところで同点の場合は延長戦があるはずだが、アメリカ人は知らないのだろうか。 ◆最後のどんでん返しは賞賛できる。なだれこんだ観衆と共に脱出というアイデアにはしびれた。脱帽です。ドイツ軍将校が紳士的なのにも好感。同点で終わらせたのも気遣い?サッカーファン、脱出ものファンなら楽しめる作品には仕上がっています。
[DVD(字幕)] 6点(2010-07-07 03:40:49)(良:1票)
47.  うる星やつら オンリー・ユー 《ネタバレ》 
◆諸星とラム、エル、しのぶの恋愛の四角関係が描かれる。◆しのぶとは幼馴染で、元恋人同士という微妙な関係が続いている。しかし本作ではその存在が薄い。◆ラムの場合、地球征服をかけた「鬼ごっこ」で、諸星の「(しのぶと)結婚するぞ」という言葉をラムが自分へのプロポーズと勘違いして、仮の女房となった。地球を征服されるので拒絶できない。嫉妬すると電撃攻撃をする。◆エルの場合、幼少のころの「影踏み」で、諸星に影を踏まれる。影を踏まれた人と結婚しなければならないという古い伝統があり、11年後の結婚が決まった。エル星の王女。◆ラムとエルの共通点は多い。地球外生物、美少女、勘違いで結婚、背後に絶対的な権力を持ち交際を断れない、愛することに関して純真、性的には無垢。◆エルの宇宙船が現れ、諸星とエルの結婚を宣言。エルが美女と聞いて諸星は乗り気になる。それを阻止するためにラムは諸星を自分の星に拉致し、結婚式を上げようとする。しかしエルの潜入員の活躍で諸星は再び拉致されエルの星へ。エルの美少女ぶりに諸星は結婚の意思を伝える。しかしエルが大量のイケメン男性を冷凍保存していることを知り、その気持ちは一気に冷める。結婚式の最中にラムが乱入して無事救出する。脱出のワープのミスで「影踏み」の場面へ戻る。影を踏んでなかったことが判明し、婚約は無効。今度はラムの星で結婚式を挙げようとするが、またしても諸星は逃げ出す。◆「うる星やつら」は、純真無垢な思春期のラブコメ。宙ぶらりんの恋愛関係がえんえんと続く。性的関係をもった時点で終了する性質のもの。精神的には女性上位である。男性は美女(肉体)を求めるが、女性は愛(精神)を求める。男性を一途に愛する女心が共感を呼ぶが、それは母性に近いもの。ラストで諸星がラムとの結婚式から逃げ出してもそれを許すラムの偉大な包容力は母性そのものだ。男性を成長へと導くグレイトマザーにも通じる。登場する男性全員の精神がまだ幼く、女性の究極の愛を受け入れる準備が出来ていない。既に成熟している女性は男性が成長するのを待つしかない。愛の本質が見えない男性にとって女性は、あこがれの存在であると同時に自分を拘束する存在でもある。ようやく手に入れても、すぐに別の女性が気になる。まさに愛の「鬼ごっこ」であり「影踏み」。男性は追いかけるのは好きだが、捕まりたくはない。子供でいたいのだ。
[ビデオ(邦画)] 6点(2010-07-04 18:26:30)
48.  モモ 《ネタバレ》 
冒険・幻想部分が少なくファンタジーとしては物足らない。悪者がさほど悪そうではなく、哀れにおもえてきました。ホラ先生のいる時間の国の描写に華がないですね。美的センスが欠如しているというか、やっつけ仕事でしょう。時間の国に限らず、全てのセットが安っぽく、舞台の芝居を見ているよう。セットが変わるごとに時間がとぎれとぎれになってしまっているようで、ファンタジーに没頭できません。芝居もヘタですね。ジジはスターになるのですが、コンサートの様子もありません。手抜きです。人々の話をよく聞いて心を癒す不思議な少女モモの魅力もあまり伝わってきません。子供が見ても、モモと遊びたいとか、モモに話を聞いてもらいたいとはさほど思わないでしょう。演出がまずいですね。一方で、時間泥棒、時間貯蓄銀行、時間の花、時間の花を氷らす、時間の花で葉巻を作る、などの概念は斬新で面白いですね。ゆっくり歩けば速く移動する通路や、後ろ向きに歩かないと進めない通路などもひねりが効いていて面白い。亀のカシオペイアが想像以上に活躍するのには脱帽です。哲学的な内容を含んでおり、原作の勝利です。原作も理屈っぽくて少々退屈なのですが、映画ではその部分を映像の力で面白く描写すべきでした。監督の才能の無さを感じます。それはともかく、スローライフを理想と考えている人にとっては見ておくべき映画です。
[DVD(字幕)] 6点(2010-03-01 13:43:46)
49.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 
どこにでもある平凡な家庭の母と娘の愛情物語。だが、それがテーマと分かったのが開始1時間も経ってから。エマは赤ん坊から結婚まで一足飛び。スカートがまくれてパンツが見えていたり、結婚前日にマリファナ吸ってはしゃぐ姿が強烈で、おバカキャラとしか思えず、旦那と不和になろうが、エマが浮気しようが、病気になろうが感情移入できませんでした。旦那はいい人なんですが、オーロラには嫌われる。オーロラは娘を奪われたくなかったのでしょうか。いずれにせよ、二人っきりの母と娘の間に溝が出来、それが埋まったり、広がったりの展開。エマの子供たちはいつも悲しそうな顔。両親が不和の家庭の子供は不幸そのものです。興味深いのはオーロラの恋。五十路女の恋なんて想像もしていませんでしたが、隣人の宇宙飛行士ギャレットのぶっ飛びキャラが見ていて楽しい。砂浜でクレージーな車の運転シーンや、空港での風変わりな愛の告白など印象に残ります。平凡な家庭に持ち込まれた”非日常”。最大の見所ではないでしょうか。シャーリーもチャーミングでした。後半、エマが難病にかかってからは悲劇的要素が強くなります。前半のコメディっぽい展開から、まさか亡くなると思ってなかったのでびっくり。亡くなったからといってすべてが丸く収まったわけではなさそうです。子供は母を許してません。旦那は子供をオーロラに託し、生徒とロマンスを楽しむのでしょう。オーロラとギャレットは結婚で、ここはOK。エマに浮気をさせたのは脚本の最大の失敗。弱い女を演出したかったのでしょうが、旦那の浮気を責める資格がなくなり、子供たちに対する言動にも説得力が失われます。「母の恋」はいいですが、「母の浮気」はNGでしょう。
[DVD(字幕)] 6点(2009-10-04 10:29:57)
50.  ミス・マープル/予告殺人(1985)<TVM> 《ネタバレ》 
村の新聞に「殺人のお知らせ」という広告が掲載された。興味をそそられた村人たちは、予告現場の家へと集まってくる。そこへ拳銃を持った男が乱入。が、すぐに部屋の明かりが消され、拳銃の音が炸裂。明かりがつくと、乱入した男が射殺されていた。男は最近村にやってきた人物だった。この謎の設定がすべて。実際の犯人や動機にはがっかりさせられるが、十分に鑑賞に耐えれる内容になっています。 
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-15 00:54:46)
51.  ミス・マープル/牧師館の殺人(1986)<TVM> 《ネタバレ》 
犯人の二人組はミス・マープルに自分達の行動を観察させておいて殺人をおかす。そして、お互いをかばうように見せかけて自首し、その後ミス・マープルの証言によって容疑者リストから早々にはずされる。よって最後まで誰が犯人かつかめない。非常に頭のよい犯人である。気の弱い副牧師が何を告白しようとし、殺害されそうになったのかわからなかった。
[DVD(邦画)] 6点(2009-02-08 22:37:48)
52.  ミス・マープル/動く指(1985)<TVM> 《ネタバレ》 
ミステリーの登場人物のうち、いかにも怪しそうな人物、偏屈な人物、変人タイプ、これらはフェイクであり、真犯人ではない。ここではそのような人物があまり登場しないところに好感を覚えた。あらゆる場面で犯人が女性であることをミスリードさせる手法はさすがだ。犯人の意外性もぴか一。二つの恋もうまく描かれている。ミス・マープルに関して言えば、ほとんど役に立っていない。「いやがらせ手紙」の犯人探しを依頼されるという形で最初から登場するにも関わらず、これといった推理もせず、一向に成果は上がらない。第一、第二の殺人が起きても、おかしいというだけ。証拠も手がかりもなく、最終的には娘に危険をおかさせる「おとり捜査」というお粗末さ。名探偵ならば遅く登場して、名推理を披露し、ばっさり解決すべき。カタルシスが得られない。それと別人が出す「いやがらせ手紙」はやりすぎ。それにしても第二次世界大戦中でロンドンは空爆されているという設定なのに、のんびりしてますな。
[DVD(字幕)] 6点(2009-02-07 20:59:22)
53.  時代屋の女房 《ネタバレ》 
幾組かの男女の恋愛をのぞきからくりのように描く映画。 時代屋の主人、喫茶店のマスター、喫茶店のウエイトレス、クリーニング屋の主人、盛岡の女みさと、沖田演じる若者、時代屋の主人の父の妾。決して幸せではないが、目の前の小さな幸福にしがみついて生きている、そんな下町の平凡な人たちの生き様を描きたかったのだと思う。 しかし、渡瀬恒彦と夏目雅子のからみ以外は魅力がない。どこか演技がうつろなのだ。せつなさが伝わってこない。夏目雅子の明るくて、神秘的な魅力でもっているような映画。ただ、盛岡の女みさとを夏目雅子が演じる必要はなかった。一気に冷めました。 
[DVD(邦画)] 6点(2009-01-14 11:49:52)
54.  デッド・カーム/戦慄の航海 《ネタバレ》 
キッドマン、ニール・ゼイン 金持ちの夫婦の話です。海にでて三週間ぶりに船を見る…、余裕ですなあ。 最初の空飛ぶ赤ん坊のシーンは不要でしょう。 これを入れるのなら、子供をなくしたことにより、ぎこちなくなった夫婦関係が事件を通して修復されるというサブストーリーを入れるべき。 キッドマンはまだ演技開眼してないけど、まあまあ見れました。 犬は飼い主の足をひっぱってばかりで、最後には飼い主に串刺しに! ご愁傷さまです。 漂流船はどうして無線で助けを求めなかったのか? エンジン水びたしになっても無線くらい使えるでしょ。 ニールが船を調べにいったけど、別にゼインは逃げる必要なかったのでは? 殺人したわけじゃないでしょ。していたとしても証拠はすぐに海に沈むし。 キッドマンは最初から銃を使えばいいよね。 こういう密室劇では主人公が知恵をしぼってがんばる場面がないとつまらない。 この映画では無線の場面くらいしかなかった。 ニールは、雷がマストを折って船室に閉じ込められるけど、これってどうでしょ。 かろうじて許容範囲かな。 漂着船でゼインが次々と殺人をおかしてゆくというようなシーンが挿入されていれば、 もっとはらはらどきどきしたんだけどね。 漂着船での出来事があいまいのままなのが欠点。 
[DVD(字幕)] 6点(2008-04-08 17:43:40)
55.  コルドロン 《ネタバレ》 
大昔、冷酷で邪悪な王が捕まり、生きたまま溶けた鉄の中に投げ込まれると、王の悪霊は固まってブラック・コンドロン(黒い大釜)となった。邪悪な人間が大釜を所有すれば不死身の軍隊を自分のものとし世界の支配者になれる。ホーンドキングは長年それを探し求めていた。キングの野望を防ぐには大釜を破壊しなけれならない。 少年ターランの飼っている子豚には予知能力があった。それを知ったキングは子豚をさらう。ターランは城に乗り込み、何とか子豚を逃がすが、自分は捕まってしまう。ターランは偶然勇士の剣を得て、知り合いになった森の住人ガーギ、エロウィー姫、老楽士、妖精らの仲間と力を合せて脱走に成功する。大釜は三人の魔女が持っていた。ターロンは勇士の剣と交換する。 しかし大釜を破壊するのは不可能で、邪悪な力を封印するには命あるものが自らの意志で大釜の中に飛び込まなければならず、飛び込んだ者は二度と外に出ることはできないことを知る。誰も飛び込む勇気のないまま、彼等はキングに捕まってしまう。 キングは大釜から死者の軍隊を呼び出した。それを見たターランは大釜に飛び込もうとするが、友達を殺させないと、ガーギが飛び込む。すると軍隊は倒れ、キングは大釜に飲み込まれた。老楽士は巧みに三人の魔女と交渉して大釜からガーギを戻させた。 各人の個性と物語とが上手くかみあっていない。臆病で友達のいなかったガーギが、友達を得、友達の代わりに犠牲となって大釜に飛び込むのは秀逸で、唯一感動できる場面だ。 騎士に憧れるターロンは勇士の剣を得るが、大した活躍もせず、剣も失ってしまう。光を操る姫はターロンとの恋愛がある程度で影が薄い。老楽士は最後の魔女との交渉のときに力を発揮するだけ。子豚は途中でいなくなる。妖精はいないのに等しい。キングはあっけなく敗北する。 設定は遼遠で、登場人物も豊か、いくらでも面白くなりそうなのに凡庸な出来栄えでおわっている。主人公の冒険も成長もほとんどなく、脇役にも魅力がない。光の玉やハープ等の品目を活かしていない。最大の問題は、死んだ者を生き返らせるということを安直に行っていること。これは禁じ手だろう。子供向けだからいいだろうという安易な考えは改めた方がよい。本当に面白いものは、大人が観ても面白いものだ。
[地上波(吹替)] 5点(2014-06-05 20:47:15)
56.  1000年女王 《ネタバレ》 
千年周期で太陽系を巡る遊星ラーメタル星と地球が異常接近し、地球が壊滅するという危機を描く。舞台は関東地方限定で、国連、政府、軍隊は一切登場しない。ラ人は人類より高度な文明を持ち、何万年も前から地球に千年女王を送りこんで支配してきた。 現女王は雨森始の学校の教師と天文台の秘書を兼務、一般人として暮らしているが、密かに人類救済の箱舟を準備してきた。 ラ星の指導者ラーレラは地球移住計画を密計していた。ラ星は暗黒太陽に落ち込む宿命だからだ。 最接近したときに地球に橋を架け、地球人がラ星に避難した隙に移住する計画だ。 良心に則ってそれを阻むのが女王の妹で千年盗賊のセレン。セレンは移住計画を女王に洩らし、ラ星に反旗を翻す。人類はセレン等の戦いをみて、自ら武器を取る。旧式戦闘機、戦車、投石器、弩砲等だがなぜか有効だ。女王は純粋な心を持つ始に共鳴し、何とか人類を救おうとする。女王は関東平野を刳り貫いた巨大な箱舟を浮上させるが、攻撃を受ける。そこでかつて地球愛に目覚め、ラ星に帰還しなかった千年女王の骸に祈りを捧げると、数体が復活し、ラ星に戦いを挑む。ラーレラは超能力で女王を倒すが、女王の婚約者で戦闘司令官のファラに殺される。 人類の救済と愛を描いた壮大なSFだが、感動は薄い。女王が人類をどう支配してきたのか、接近まで半年もあるのに隕石群が襲来したりする等不明な点もあった。浅慮な設定には目をつぶるとしても、人物の動きや表情がぎこちなく、感情が伝わらない。見せ場であるはずの戦闘場面も進度が悪く、美的感覚もなく、ただまだるこい。他に単調な音楽、主人公の醜男ぶりも感情移入をそぐ一因となっている。始と女王の関係が疑似母子なのが惜しい。恋愛関係であれば、もっと受け入れられただろう。それにしてもあの箱舟は巨大すぎで、元に戻す発想に苦笑した。実際問題、あれほどの高度な科学知識があれば、他の星をテラフォーミングできただろう。ラ星人の考えが間違っているとしても、同胞を皆殺しにするような展開は暗すぎるし、後味が悪い。指導者の殺害程度で納めた方が物語としての座りがよい。話を壮大にすれば感動するというものではない。設定が複雑すぎて、過不足なく描くには明らかに尺が足りない。女王やセレンの自己犠牲を描くのであれば、もっと内面に焦点を当てるべきだ。
[地上波(邦画)] 5点(2014-05-28 01:45:02)
57.  さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅 《ネタバレ》 
鉄郎が再び銀河鉄道に乗り旅にでるが、その目的も目的地も不明のまま。受け身で出発する。で、それは敵の罠だった。機械化人を創り出したプルメシウム(メーテルの母)と黒騎士(鉄郎の父)の策略。で、何のために?これが分りづらい。鉄郎は放っておけば地球でくたばる宿命。彼に特殊な能力が備わっていて、それを恐れるというような秘密があるわけじゃなし。わざわざ呼び出して、父と子で殺し合って、何がしたいのか?結果は前作と同じで、ハーロックとエメラルダスが助っ人にやってきて、メーテルが母を殺し、星一個無くなる。魔女サイレンの重力に飲み込まれたわけだが、主要人物の葛藤や戦いが延々描かれた挙句に、第三者が登場して決着がつくという展開は素っ気もない。自分たちの力で決着をつけてこそ感情移入できるというもの。ところで肝心な部分、どうして人間と機械化人が戦争をするのかという、この動機部分が描かれていない。機械化人の方が人間を圧倒している状況だが、機械化人にとって補充エネルギーは人間の命。人間を滅亡させてしまっては元も子もない。それに機械化人だって元々は人間、同胞です。人間にとっても機械化人がいた方が便利ということもある。現に銀河鉄道は機械化人により運行されている。あたかも人間と機械が戦っているように見えるが、そうではないわけです。前作では母の復讐をする為に、機械の体を求めて旅をする話。主題は愛と永遠の命で、話に深みがありました。本作では、単なる戦闘ものになっている。常に銃をぶっ放す戦士になってしまった鉄郎に魅力はない。銀河鉄道999は愛の物語ではなかったか。戦闘シーンのオンパレードで、命を大切にしない映画だ。鉄郎が銀河鉄道に乗るためだけでも何人もの命が失われている。まるで西部劇。ところで、メーテルとエメラルダスは、若者にしか見えない時の流れの中を旅する時の旅人、青春の幻影で旅に終りはないという。神秘的ですね。二人が双子という察しはついているのですが。
[DVD(邦画)] 5点(2012-07-11 03:37:29)
58.  地震列島 《ネタバレ》 
いろんなことに説得力が無い駄目映画。脚本が新藤兼人じゃ仕方が無いか。特撮部分も特に見ごたえなし。◆「30日以内に東京に直下型の大地震が来る」と断言する地震学者川津。だがその根拠がさほど示されない。火山のマグマ溜まりが増えたのと、井戸の水の水位が上がったくらい。これでは単なるはったりだろう。川津の独自理論など用意すべき。◆川津は燃えない車の研究とか、トンネル内での消化方法の研究などをしているが、地震予知学者がどうしてそんなことをするのか理解しがたい。◆総理大臣に提言するのに「日本中の道路を倍に広げて、広げた部分は非常用道路として普段の使用を禁止する」とか無茶言いすぎ!◆川津は地震が来る、地震が来ると騒ぐけれど、結局自分では何の防災もしていないと思われる。それが証拠に自宅が簡単に崩れ落ちてしまったではないか。自分の家くらい耐震設計にしておけよと言いたい。それに知人などには、東京から避難すべきだと警告を発すべきだろう。1人で深刻ぶってるタイプ。◆前半で、学者仲間に理解されない川津の苦悩が描かれる。彼が地震が来ると広く一般に告知し、そしてその通り地震が来れば、彼の苦労も報われるのだが、川津が放送で発表しようとすると政府関係者に拉致されてしまう。結局川津の自説は一般に知られなかった。これでは観客がストレスを持ったままになってしまう。観客は主人公に感情移入するのだから、主人公を活躍されなければダメ。主人公はあくまで英雄タイプであるべき。そして愛する人は一人。単純な設定が望ましい。最後の自己犠牲も中途半端。◆川津には同じ地震所の研究員の富子という愛人がいる。川津の妻は家や子供を顧みない夫と離婚したがっている。富子の幼馴染でルポライターの橋詰は富子を愛している。川津は妻と離婚し、富子と結婚する決意をする。しかし地震で川津と妻の愛情が復活。富子は、命がけで救ってくれた橋詰に愛を感じはじめる。地震パニックものにこんなややこしい昼メロを持ち込んじゃだめでしょ。◆貯水漕に避雷針で雷を呼びこんで爆発させる。避雷針は導雷針なので矛盾はないが、爆発はしないだろう。タワーリング・インフェルノのぱくりだよね。◆予算の関係でパニック群像劇が見られるのはほんのわずかで、自衛隊、警察、消防隊なども一切登場しない。せめて上空から東京の全貌がどうなっているのくらい見せてほしかった。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-11 01:05:01)
59.  男はつらいよ 旅と女と寅次郎 《ネタバレ》 
【都はるみ】母子家庭で育つ。6歳頃から歌手になるべく、母親から浪曲と民謡を厳しく習わされる。本人は歌手になりたくなく、母を憎んでいたという。1964年16歳でデビュー、芸名は「京はるみ」が予定されていたが、同名歌手がいることが判明し、都はるみに変更。三曲目の「アンコ椿は恋の花」がヒット。独特のこぶしは弘田三枝子の歌い方にあこがれてあみだしたもの。1980年「大阪しぐれ」で初めて歌手になってよかったと思う。1984年に一時引退。 【感想】はるみは幼少の頃は母親の意向、芸能界入りしてからは、プロダクションの意向によって厳しく行動が制限され、自由のない生活を送ってきた。多忙さにより恋も自由にならず、好きな男とも別れる。その反動で家出を敢行。一方寅次郎の生き方は自由そのもの。風が吹く方へ旅から旅への渡り鳥。明日の計画は明日になって決まる。暇と時間はたっぷりあり、無いのは銭だけという気ままさ。 ◆男はつらいよシリーズの人気の一つは、観客が寅次郎の自由な生き方にあこがれるからだろう。誰でも人生の重しを捨てて、自由気ままに旅をして暮らしたいと思うときがある。寅次郎が代わりに旅をしてくれるのだ。そして「泣き」と「笑い」がある。誰もが安心して観れる。 ◆対照的な二人が出会って、友情のようなものが生まれる。はるみは寅次郎の優しさと人情に触れ、心を癒され歌手に復帰、良い想い出が残る。又恋人ともうまくゆく。寅次郎ははるみの前では、良いおじさんを演じているが、実は恋に落ちている。そしてお約束の恋わずらいのドタバタ劇の果ての失恋、そして再び旅へ。すべてが予定調和で了る。悪人は一人も出てこない。◆マドンナは常に「高嶺の花」だが、今回はスターなのでその感が一層強い。ただ顔が庶民的なのはご愛嬌。「京はるみ」と「都はるみ」がほぼ同一人物なのが異色。ストーリーはあって無きが如きもの。はるみの心の内面が深く描かれることはない。はるみは魅力的に撮られており、プロモーション映画としては成功。寅次郎は懲りずに恋をし、また振られる。故に観客は彼を愛し、応援する。◆監督が都はるみのファンで引退記念に映画を作りたかったのだろう。
[ビデオ(邦画)] 5点(2010-11-29 10:26:40)(良:1票)
60.  魔界転生(1981) 《ネタバレ》 
最初の戦場跡のセットで萎えた。美的センスもリアリティもなし。首だけの四郎が怨念の力で、首だけで飛んでゆく。次の登場は薪能の能役者が面を取ったら入れ替わっていた。そしてキリストを捨あと宣言、魔界の神の力を得る。ちょっと待って!すでに混乱が。魔界の力を得てから首を飛ばしましょう。四郎の転生の目的は徳川家への復讐。百姓を焚き付けて、江戸を火の海にすること。とすれば徳川家に怨念を持つ者をリクルートすればいい。だがそのような者はいない。ガラシャは夫への恨み。武蔵は宗矩、十兵衛と対決したい。宗矩は十兵衛と対決したい。胤舜は女を抱き、殺したい。霧丸は甲賀への復讐。見事にバラバラ。動機は復讐・怨念に統一すれば分かりやすかった。又ガラシャは何十年も前に死んでいるが、他は生前の契約で転生。統一感がないですね。魔界を倒すためには特殊な力が必要ですが、それが妖刀正村だけでは不足。メインストーリーが四郎による徳川打倒なのか、剣豪対決なのかはっきりしない。武蔵が対決の場所を指定して去るなど、テンポが悪いのに不満。魔界のボスが姿を現さないのも不満。四郎が十兵衛との戦いを辞め、去ってゆくのも不満。復讐を果たした霧丸が娘に恋をして悩むのも不満。四郎の怨念は晴れたのか?四代家綱を殺し、江戸城を焼き、江戸の町を火の海にしてしまってどう決着をつけるのか?破綻したストーリーと演出に不満の中、ラストの火中での剣豪対決だけは見ごたえがあった。
[DVD(邦画)] 5点(2009-10-18 14:15:24)
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