41. アイアンマン
《ネタバレ》 フツ~の男の子なら、これは、ハマるでしょう! 少年心をくすぐるメカとチャレンジの連続、Apple のシネマディスプレイが並んだハイテク工房、着々と作業をこなす従順なロボットや人工知能など、大人の駆け引きや人間関係とは無縁なピュアな世界が広がります。 一方で、トニー・スタークが少年時代のビルゲイツの隣りに写っている合成写真や、オバディアがスティーブ・バルマーに妙に似ているあたりなど、大企業化したマイクロソフトをさりげなく皮肉ったあたりが笑えます。 アンチ・エスタブリッシュメントを表す冒頭の AC/DC の曲に始まり、型にはめられるのが大嫌いな主人公の子供のような心が、小気味良く描かれています。ラリった経験がないと、こんな味は出せません。まさに、ロバート・ダウニー・ジュニアのハマリ役です(^^) [DVD(字幕)] 9点(2009-09-13 20:30:45) |
42. マンマ・ミーア!
《ネタバレ》 映画館で2回観て、最近DVDまで借りて観たのですが、回を重ねるごとに魅力が薄れていきます。ミュージカルの骨格となる、聴かせるシーン/見せるシーンが著しく欠如しているからでしょう。最初観た時の感動は、ひとえにABBAの曲の素晴らしさによるもの。 ミュージカルならば歌唱力は必須のはずですが、このキャスティングは疑問だらけです。メリルストリープはそれなりに健闘しているものの、途中でぶっ倒れるんではないかとハラハラさせられます。声が出ず苦しそうに歌うブロスナンは哀れで惨め、ジェームズボンド役で築き上げた精悍なイメージが台無しです。バランスキーのみが柔軟で躍動感のあるミュージカルらしい演技をしていました。 慣れない役者の動きをカメラと編集で補おうという作戦なのか、歌の随所に煩わしいカットが数多く挿入され、気が散ってしまいます。せっかくの Voulez-Vous のダンスシーンもぶつ切れで観賞どころではありません。ただひとり、アマンダだけが歌唱力とコケティッシュな魅力をアピールしていた気がします。 名曲をベースに全世界でロングラン公演されている名作が、小手先の技術で安易にリミックスされてしまった印象で、悔やまれます。 [映画館(字幕)] 5点(2009-09-07 23:04:46)(良:2票) |
43. ウォーリー
《ネタバレ》 地球の危機は温暖化のみならず、ゴミ化&人類総肥満化である、というメッセージが面白く、ディズニーの美しい画像と共に十二分に楽しめた。未来の人間はCGで違和感があるが、中途半端にリアルさを追求するとファイナルファンタジーの二の舞となってしまう。そのあたりをちゃんと心得たピクサーの映像センスは流石と言わざるを得ない。妙にリアルな動きのロボットがとてもコミカル。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-05 21:08:31) |
44. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 父と息子の絆を扱った作品としてみると、全体構成や多くのシーンが示唆に富んでいる。モーガンフリーマンの存在感が見事。登場シーンでは痩せこけて麻薬患者かとも思わせたアンジェリーナ・ジョリーが、中盤からやけにカッコ良く美しい。 デイウォッチやナイトウォッチの影響からか、あり得ない現象やキモい映像が多いが、テーマの筋が通っている点で高く評価したい。 [DVD(字幕)] 8点(2009-09-05 05:58:05) |
45. マトリックス
公開当時の衝撃は今も忘れない。全く新しい映画が公開された感じ。ワイヤーを駆使した宙吊り映像は、人間不在のCGがSF映画を制覇するかと思われた動向に一石を投じた。オープニング間もなく、トリニティが宙に浮くところから不思議な世界が始まる。ウィリアム・ギブソンが「ニューロマンサー」で描くサイバーパンクの世界が、解り易く面白く描かれている。 マトリックスは、この初作に尽きる。10年に一度は、こういったショッキングな作品に登場して欲しい・・・ 2作目以降のリローデッドやレボリューションズなどはまるで茶番劇、アホらしくて観ていられません。 [映画館(字幕)] 10点(2009-09-02 20:50:29) |
46. それでもボクはやってない
司法、つまり法律を司るという行為が、実は真実の究明とは無縁であるという事実を、見事に表現した秀逸な作品です。日本という土壌を考慮してたまたま痴漢事件がテーマとなっていますが、映画「J.F.K.」にも匹敵する迫真の実証過程は物語としても面白く、ハリウッド映画の人気裁判ものと互角に戦えます。日本映画界を応援して10点をつけたかったのですが、新旧裁判官の演技がいかにも白々しく、マイナス1デス(^^)。 [DVD(字幕)] 9点(2009-09-02 20:25:43) |
47. ホット・スポット
どこにでもありそうな田舎町の事件を、アメリカ南部のかったるい雰囲気で描いている点が面白かったです。ドン・ジョンソンのキザさ加減は現代の感覚に馴染まないかも知れませんが。あと、ジェニファー・コネリーのファンなら必見! 本作品で初々しくもセクシーな役柄を演じる彼女はダントツの美しさです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-08-25 19:07:49) |
48. 砂と霧の家
「呪われた家」とでも形容したくなるようなストーリー展開で、ひとつの家を巡る泥臭い利害の対立を、美しい背景映像に対比させて描いた秀作です。俳優の持ち味を生かしたキャスティングも見事で、特にジェニファー・コネリーが美しい。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-25 18:40:32) |
49. エレジー(2008)
《ネタバレ》 美しい純愛モノかと期待してレンタルしてみたが、冒頭のインタビューシーンで嫌な予感・・・それが的中してしまった。スポーツクラブで老人ふたりが女について語り合うシーンなど、限りなく気持ち悪い。小さなことにウジウジと悩むキモい大学教授と、エロスのかけらもない女学生との肉愛などあり得ないと思われるが、インテリ偽善者のエロオヤジをベン・キングズレーが見事に演じきったことを評価するべきか? さも意味ありげでスローな描写は地味で主張に欠け、最初から最後までイライラの連続。せめて美しい音楽ぐらい聴かせて欲しかったが、ほとんどが暗い会話のみ。これほどにまで眠気を誘う作品は久々だった。 [DVD(字幕)] 1点(2009-08-25 17:56:52) |
50. ディボース・ショウ
離婚裁判をテーマに、「金が全て」というアメリカ常識をおもしろ可笑しく描いた秀作で、随所で思わずニヤリとさせてくれます。こんな離婚劇も超リッチ層の間では日常茶飯事なのですが、アメリカ文化に馴染んでいない人には評価が低いかもしれません^^ クルーニーが徹底的に自分の歯並びに拘るのが見事、ゼタジョーンズのファッションや犬も素敵です。「金で買えないものはない」と吹聴する日本の成金たちも、ここまでオシャレで豪快になって欲しいものです。セレブ達の優雅な生活を垣間見ながら、ゼタジョーンズとクルーニーのコミカルな駆け引きを楽しめます。 クルーニーのスピーチは最高の見せ場で、ついつい大笑い(^^)。それに対して「愛だと? We serve the law, we honor the law !」と諭す法律事務所の老社長の迫力がスゴイです! 他にもコミカルなギミック満載。最高です! [DVD(字幕)] 9点(2009-08-19 21:44:40) |
51. 復活の日
《ネタバレ》 最近、草刈正雄さんをテレビで見かけました。ちょっと頼りない中年オジさんをコミカルに演じる役柄が定着してきたなと思いながら、そう言えば「復活の日」では二枚目スターとして一世を風靡したはず・・・と、当時つい観損なってしまった映画を鑑賞すべくDVDを借りてきました。 25億円という、当時としては破格の制作費に膨れ上がってしまったせいか、興行的には必ずしも成功とは言えなかったようですが、原作がしっかりしていると映画はこれほどにまで感動的になるものでしょうか。種の存続という究極の命題を前に、祖国や人種の違いを乗り越え、過去を克服していく人々の美しい姿が描かれています。生き抜くことの尊さを、今さらながら再認識させてくれます。 美しい映像とカメラワークを背景に、ジャニス・イアンの歌声が心に響きます。今やっと、What's the time, where's the place, why the line, where's the race... の意味がわかった気がします。 報復という行為の空しさを描いた点で、戦争のみならず、私たちの人生観にも影響を与えます。冷戦が終わっても相変わらず武力抗争や戦争が各地で続いている今、復讐に執念を燃やす人間の性は変えられないものなのでしょうか。 外人豪華キャストのおかげで、日本のSF映画にありがちな「バタ臭さ」が感じられず、CGだけに頼ったB級SF映画などを遥かに凌ぐ作品に仕上がっています。欧米人と東洋人の体格の差をまじまじと見せつける点も、国際的で実にリアル。185センチの草刈さんが、まるで子供のように見えますが、二人の間の人種差別が友情に変わり、やがて信頼へと発展していく部分も作品のテーマによくリンクしており、上手い手法だと思いました。 皆さん酷評が多いですが、根本的なテーマに真剣に向き合った点を評価し、少し甘めの8点。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-15 03:31:04)(良:1票) |
52. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 脚本の95%は、1928年にロサンゼルスで起こった事件をもとに、6千ページにものぼる事件のドキュメントから書きおこされたとのこと。このような事件が実際にあったことすら信じ難いが、当時の男尊女卑や政治的腐敗を強烈に訴える。体制になびく人間の弱さが、このような悲劇をいつでもどこでも起こし得るという点で、現代の我々にも警鐘を鳴らした作品だと思う。イーストウッドとジョリー、いい仕事してます! [DVD(字幕)] 8点(2009-08-03 23:42:47) |
53. ターミネーター3
《ネタバレ》 それなりに楽しめました。常に最先端の CG を提供してくれる ILM の技術力はさすがです。 スカイネットを破壊できなかった理由も納得。ニューラルネットのような成長型知能で、中枢コンピュータを持たないネット上の分散型システムであるという設定は、本作品が公開された時代にもマッチしています。(他の作品同様、安易に「ウィルス」という言葉を多用するのには抵抗がありますが) また、最新型の T-X として、殺傷力に劣る T-1000 の弱点を克服した骨格と液体金属を組み合わせたハイブリッド型になったという設定も説得力があります。 ただ、そもそも風貌を自由に変えられるならば、なぜ常に女性である必要があるのか。断末魔のシーンにはヒステリックな怖さがあったので、そんな男性ターミネーターにはない異質な強さを強調すると面白かったかも知れません。 結末も意外にさらっと描かれているのにはがっかりしました。マシン側にも人間側にも、もっと多くの展開があって良かったはずです。 それでも、T2を受けたシュワちゃんのコミカルなシーンがいくつかあって、思わず苦笑しました。前作との繋がりを大切にする制作態度には好感が持てますが、せっかくの遺産を無駄使いしてしまった気がします。そんなシュワちゃんをもっとうまく使って、我々を人間たらしめる資質を明確に描写できれば、全く異なった展開になっていたでしょう。 評価が低い原因は、ジョン・コナーの役柄でしょう。あれはいけません。皆の期待の星が、あんなみっともないだらしない青年になってしまっていては世も末です。俳優の風貌に関しても「サル顔」というコメントが多いですが、品格を感じないのはそれが原因かも知れません。 リンダ・ハミルトンが出演していない点もがっかり。彼女あってのターミネーターです。彼女は脚本を読んで出演を断ったとのことですが、偉大なサラにあまり言及しない苦し紛れなストーリー設定は、何とかならなかったものでしょうか。 [DVD(字幕)] 5点(2009-08-02 19:48:18) |
54. ターミネーター2
《ネタバレ》 これまで観たサイエンスフィクション映画の中では、1~2を争うトップクラスの作品です。映画アビスで確立した液体のCGレンダリング技術を、本作品のプロットに合わせながら巧妙に活用したILMの技術と想像力には感服。ターミネーターが床に化けたり液体窒素で冷凍漬けにされるシーンなど、意表をつくギミックが満載です。 だが、そんな「見せ場」はあくまで脇役。観客を楽しませる映像づくりに終始せず、最初から最後までピシッと筋が通ったメッセージが見事です。メッセージを伝える道具としてビジュアルを効果的に無駄なく散りばめていくところに、制作者たちの品格を感じます。 サラ役のリンダハミルトンが実にカッコいい。鍛え上げた肉体は見事に「女戦士」を表現し、そんな母親の暴走を諭す子役のジョンも、妙に大人びたところが将来の「大物」を感じさせます。 強靭な風貌のシュワちゃんも、いくつかのコミカルなシーンが功を奏してか優しさが滲み出ています。ジョンを父親のように見守り、命を投げ出して戦う・・・マシンできるなら、人間にできないはずはない・・・そう呟くサラの言葉が身にしみる。 SF映画における架空の科学技術はあくまで道具であり、「何でもあり」ではありません。確固たる世界観を鋭く伝える綿密なプロット無くしては、単なる見せ物になってしまうでしょう。生命の価値を物語るエンディングも秀逸。全体が見事に美しくまとまった、アート作品です。 [映画館(字幕)] 10点(2009-08-02 17:47:18)(良:2票) |
55. エイリアン
《ネタバレ》 文句なしに最高のSF映画です。 斬新でリアルな設定には脱帽。それまでのピカピカ無機質な宇宙船の常識を破る、まるで戦艦のような「貨物」宇宙船ノストラモスに始まり、シグナルを受信して調査に向かうという設定も自然で、そこで出会う文明の跡と不思議な物体は、観る者をグイグイと物語に引き込んでいきます。その後に続くショッキングな事件、そして漏水がしたたり落ちる薄暗い艦内で、仲間が次々と殺され孤立していく主人公・・・ 観客の恐怖を煽り立てる数々の古典的技法が、SFの舞台を借りて実に巧妙に活用されているのです。 そしてテーマは生命力。生きるためにあらゆる無駄を削ぎ落とした究極の生物の凄さを実感させます。自己の生存と種の継承を至上の命題としたとき、生物はこういった形態をとるのではないかと納得しました。 マザーやアッシュのキャラ(^^)設定も見事。特にアッシュがエイリアンを絶賛するシーンは圧巻。「感情に流される人間どもよ、お前らは迷いのない究極の生物エイリアンには勝てるはずもない」といった強力なメッセージです。こうした凶暴な生命体を前にした時、個体としての我々人間はあまりに非力です。遠い昔、マンモスに打ち勝った人類の唯一最強の武器は組織力だったということを再確認させてくれる、不朽の名作です。 [映画館(字幕)] 10点(2009-08-02 15:05:39)(良:1票) |
56. ターミネーター4
《ネタバレ》 戦争映画は殆ど観ないのですが、最前線の凄まじさと怖さを体感できました。是非映画館で観賞してください。無数の爆弾がすぐ近くで炸裂する恐怖、爆風で吹き飛ばされた時の絶望、銃弾の嵐の中を駆け抜ける悲壮感・・・ でもそのためなら、別にターミネーターという設定を使わなくても良かった気がします。ターミネーターのテーマはマシン対人間の時空を超えた持久戦。時間軸を遡って互いに相手勢力の種子を刈り取ろうとする戦略合戦が主題のはずです。本作品では、潜入型ターミネーターの先駆けとなったマーカスが中心のようですが、ならばその戦略に至った過程とマーカス自身の葛藤をもっと丁寧に描くべきではなかったでしょうか。 全体的に「何でもあり」で欲張りすぎ。そのせいでストーリーが散漫になり、映像もパクリが多いですよね。電気ウナギ型のロボットはマトリックスでのそれに酷似していますし、人間を捕虜にする巨大ロボットは「宇宙戦争」そのもの、バイク型のモトターミネーターはスタウォーズやトロンを連想したりしました。スクリーンに大映しされた女性キャラを通じてマシンが語りかけるシーンは限りなく陳腐で、作品の品位を落としています。 キャスティングもイマイチ。クリスチャン・ベールはちょっとまだ青臭いというのでしょうか。T2の未来回想シーンで時々出てくるジョンの、頬に傷を負った壮絶な風貌から連想する強靭な精神力が表現できていない気がします。無線で各地の反行軍に指示を出す時も、単なる情報提供か感情に訴えるだけの薄っぺらい内容で、潜水艦の司令官の方がよほど指導者らしく決まっています。 それに・・・ 無線連絡の最後に ”This is John Connor." はないでしょう。テレビレポーターじゃないんだし。いっそ、"This is John Connor, Los Angeles, California." あたりで締めくくった方がサマになるかも(^^; むしろマーカスの方が大人の印象。でも殺人犯の割には「いい人」で、マスクも含めて「甘すぎる」印象を受けました。他の方もコメントされていますが、ジョンもマーカスも最近のアメリカ映画に多い似た風貌なので、最初はどっちがどっちかわからず戸惑いました。もう少し違った強烈な個性を対比させた方が面白かったと思います。 リアルな映像と迫力を評価して、6点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-08-02 09:23:44) |