41. トイ・ストーリー
《ネタバレ》 録画されていたので約30年ぶりに見ました。おそらく絵を修正してあるようで、新作(3や4)と比べても遜色ありませんでした。 そもそも論、おもちゃが生きているなんてことは絶対にないのですが、それをさも有りそうな感じで見せてくれた本作は本当素晴らしかったです。更にはおもちゃの持ち主の気持ちまでをも反映させた演出の数々も心底うまいし夢があって素敵でした。この、おもちゃが生きているというあり得ない設定と、人に見られてはならないというルール、そしておもちゃが大好きでたまらない持ち主(子供)の心情を上手くシンクロさせた話の運び方はウマいを通り越して世界中で共感をも勝ち取ったと思います。 箱から出たばかりのバズライトイヤーは自分の設定に従順だったり、誰がアンディのお気に入りなのか議論したり、引っ越しで誰が捨てられるのか問題だったり、隣人のガサツなパンク野郎(ご丁寧に名前もシド)との対峙も面白く・・ とにかくアイデアと演出が冴えまくっています。 脚本もやたらと素晴らしく、ウッディの嫉妬心のせいで部屋の外へ出てしまったウッディとバズが協力して引っ越しに遅れないように部屋へ戻る過程で仲良くなる。このシンプルかつ王道な流れは文句なしに面白い。この超安定のストーリーに花を添えるクレーンゲームでの演出、シド宅の狂暴なワンっちゃん(スカッド)に食べられる演出、イジメられて魔改造されたおもちゃの数々、花火、マッチなどなど、これらの巧みな演出に彩られて物語が何倍にも面白いものに昇華しています。脚本や演出は巧みなだけでなく深く考えられているので、大人が見ても安っぽくなっていないのは本当に素晴らしいと感じました。 シド撃退からトラックを追いかける流れも子供向けの派手な演出を挟みつつ、ラストに子犬のバスターが出てきて綺麗にまとまります。本作には大人が見て感銘を受けるほどの教訓は無いものの、文句なしの娯楽作品としての完成度です。(純粋な気持ちでは10点ですが、オッサンなのであえて8点に) [地上波(吹替)] 8点(2024-08-05 14:04:46) |
42. リバー・ランズ・スルー・イット
下の【ゆき】さんの素晴らしいレビューの後に書き込むのは酷く残念な気持ちになりますが仕方ありません。 録画再鑑賞。昔見た時は若かったせいもあり、ひどく退屈な映画に思えました。ほぼ30年、大人になって見返してみてもやっぱりひどく退屈な映画でした。これは私が未熟なせいもありますが、私が日本人的過ぎて生き方とフライフィッシングに関連性を見つけられないせいもあるかもしれません。 この作品は映像や音で気持ちを表現することが多く、そういった意味ではモンタナの雄大な風景とダイナミックなフライフィッシングの動きがよくマッチしていて美しいです。しかしその反面「本当に助けが必要な人に限って助けを拒む」というセリフに代表されるように、全体的に洗練されたセリフが散りばめられていて、当たり前の事象を正確な言葉として表すあたりにもこの脚本には深い知性を感じます。 知的で真面目な兄と、知的なのに破滅的な生き方を選択する弟のコントラストは素晴らしいものの、私にはイマイチよく響かず、終盤も何となくわかったようなわからないようなふんわかした感情に包まれます。純粋なアメリカ人が見たらもっと感銘を受けるタイプの映画なのかもしれませんが、(日本人の)私には少し難しい感覚がある作品だと感じました。 名作といわれる作品ですが見る人を選ぶかもしれません。しかし風景はとても美しく、釣りのシーンもリアルで素敵ですので1920年代前後、世界恐慌前後のアメリカが好きな人には何とも素敵な時間が楽しめる重厚な作品です。 [地上波(字幕)] 6点(2024-07-30 17:33:27)(良:1票) |
43. かがみの孤城
《ネタバレ》 興味のない作品でしたが録画されていたので見ることにしました。色々言いたい部分はあるものの概ね素晴らしく、最後まで飽きることなく見ることができました。(感動するほどのことはなかったが及第点以上は十分に評価できる作品だったと思います) 序盤の物語の流れが日本的で暗くイマイチと感じました。このあたりの流れはやはり小説で読みたかったかもしれません。そもそも、中学一年生くらいだったら内気な子は皆同じような悩みを持つもの。これをポジティブ路線で打開していくにはやはり他人と関わることが大切で、この城でそれを実践していくことになるのは興味深い。というか日本的で優し過ぎる感じすらあります。 鏡が光ってからは急に面白くなります。城の中でのみ発動するというルールの数々も面白いし、連帯責任で城に居た全員が食べられるという設定も上手く抜け道を作ってあって面白い。とにかくこの、謎が謎を呼ぶ展開は素晴らしいです。 結末のつけ方も意外性はほどほどに異世界と時間のトリックを上手く融合させてあって素晴らしかったです。こころちゃんの願いも日本的で優しく、アキの今後の心情変化につながる説明にもなっていてスマートです。 少々的外れにはなってしまいますがこのアニメを見て、、根本的に「自分自身は自分が助ける」「自分自身の理解者は自分以外には居ない」という鉄則(強い心)、これを育む教育をしていくことが日本には急務なんじゃないかなあと、漠然と感じてしまいました。 [地上波(邦画)] 7点(2024-07-30 17:17:18) |
44. 座頭市兇状旅
《ネタバレ》 4作目となる本作「座頭市兇状旅」は市が相撲大会に飛び入り参加したり、自分が斬った相手の親に詫びに行ったりと、色々と意欲的で珍しいシーンが多い作品です。明らかに前1-2-3作品とは作風が異なりますが、物語として1-2-3-本作で一区切りになります。本作風はむしろ5作目以降、安定的にシリーズ化するきっかけになった試験的な回だったのかもしれません。 気になる点としては、北城寿太郎扮する(棚倉蛾十郎)が最後までとことん嫌な奴で、なぜおたね(万里昌代)が再婚したのかよく判りませんでした。単に男を見る目がないのか、それとも不運なだけなのか・・ でも一作目では積極的に座頭市にアプローチしてて、聡明で綺麗、かわいいおたねさんにいったい何があったのか大いに興味が湧きます。しかし観客の心情とは裏腹におたねの斬られ方はかなり雑で、誰が斬られたのか判らない遠アングルでアッサリ終わります。更に不思議なのは目が見えないハズの座頭市が観客よりも先におたねに駆け寄る違和感は凄いです。 このおたねさんは非常に興味深いキャラだったので、もう少し市との絡みを見せていただきたかったところです。この美貌もありますから、今の時代ならおたねさんだけでスピンオフも作ることが出来たハズです。 色々意欲的な試みもありますが、少々無理がある演出も多くて賛否が別れそうな回です。個人的には1-2-3-4の流れ上外すわけにいかない要の回だと思っています。 [地上波(邦画)] 7点(2024-07-30 17:14:42) |
45. 座頭市物語
《ネタバレ》 座頭市の記念すべき第一作目。久しぶりに再鑑賞しましたがやはり素晴らしかった。とにかく説明しすぎず・押し付けすぎず・見せすぎずの三拍子そろった日本古来の奥ゆかしさ。二作目以降は妙に見せすぎるところがあって、座頭市という切り札が少々軽くなってしまっていますが、本作はなかなか見せてくれません(笑) 皆さん同様、おたね(万里昌代)の艶っぽさ、平手造酒(天知茂)の人間臭さ、座頭市(勝新太郎)の苦悩がよく描かれた作品です。また、目クラ(今では禁止用語)の座頭市の人間離れした凄い感覚が判る唯一の回といってもいいかもしれません。とにかく見せ方がいちいちうまいです。更には美しいおたねさんが積極的で驚きます。あの時代でもあれくらい積極的な女性が居たのでしょうか?私自身の偏見もありますが、この点は妙に気になってしまいました。 座頭市シリーズではやはり文句なしの最高傑作ですので、これから見る方にはぜひ本作から4作目までは頑張って順を追って連続鑑賞してみてください。(二作目は微妙ですが1~4の流れ上はやはり本家座頭市としては絶対に外せない流れです) 個人的には3、1、4、2の順番で大好きです。2はかなりの駄作だと思いますが、どうしても1とのつながりがあるので外すわけにいきませんもの。。 [地上波(邦画)] 9点(2024-07-30 17:01:46) |
46. マーキュリー・ライジング
《ネタバレ》 おそらく20年以上前にTVかレンタルビデオで見た映画だと思いましたが、録画されていたので大画面で再鑑賞。「なんだ意外と面白いじゃないか」と思って、、シネマレビューに来てみたら酷評されてて笑いました。冷静に考えたら確かに皆さんご指摘のようにご都合主義が過ぎるし、色々と無理が多い映画です。でも最後のサイモン(マイコ・ヒューズ)との抱擁を見たら全部帳消しにできませんかね?(笑) とにかくサイモン役のマイコ・ヒューズの演技が素晴らしいです。また父と母も素敵な人物だっただけに前半のアノ流れには驚きました。アート(ブルース・ウィリス)が捜査官の勘で子供を見つけるのは理解できますが、結局潜入捜査官という特殊な状況は特に生かされませんでした。また、突然列車内に現れるピーター・ストーメア扮する殺し屋もよく判りませんし、クドロー(アレック・ボールドウィン)の短絡的であまりにも稚拙な動機もかなり無理がありました。。後半出てくるステイシー(キム・ディケンズ)も、劇中二度も「いい人そうだから」とセリフがでますが、こちらもあまりにもご都合主義丸出しでサイモンの保護者を任すには不安要素が多いすぎるキャラクターでした。 確かに・・ 皆さんおっしゃるようにかなり酷い映画だったかもしれないという気になってきました。でもサイモン(マイコ・ヒューズ)の演技に免じて少し甘めの点数です! [地上波(字幕)] 6点(2024-07-30 16:52:52) |
47. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 前から見たかった映画が丁度録画されていたので勇んで鑑賞。今まで未見だった理由は「バンパイアにインタビューする」という題名が気に入らなかったから。冷静に考えたら結構シャレオツだし、吸血鬼という設定上は十分にあり得る流れなのでこれはこれで結構アリだなぁとは感じます。うん、むしろ結構良いタイトルではないかと思い直しています。 レスタト(トム・クルーズ)が非常に良くて、相方のルイス(ブラッド・ピット)は微妙。でもおそらくこの判りやすいほどのアンバランス感が映画を深いものにしているのでしょう(深いか?)。皆さんから評判が良いクローディア(キルスティン・ダンスト:撮影時11歳前後)は個人的には少し若すぎて萌えませんでした。まあ確かにレスタトをいたぶる演技は最高に素晴らしかったものの、やはりロリ過ぎて萌えないのはいけません。(でもキルスティン・ダンストは非常に好きな女優さんです) あと何気に天下のアントニオ・バンデラス(アーマンド)、クリスチャン・スレーター(ダニエル)も特筆すべき見せ場もなく淡々と過ぎてしまいましたね。 点数が低い理由はシンプルに物語が面白くなかったから。タイトルから想像できる「何百年も生きてきたバンパイアの苦悩」が聞けるのは面白い発想ではあるものの、肝心の現代を舞台にした利点がラスト以外ほとんど生かされていませんでした。インタビュアー無しでルイスの回想だけでも成り立つ流れはいかがなものかと。個人的にツボだったのはやはりレスタト。「あいつ(ルイス)ま~だグズグズ言ってんのかよ~」というラストのセリフは最高に素敵でした。やはりトム・クルーズには何をやらせても板についてしまう”持ってる気質”は本当に凄いと思います。 [地上波(字幕)] 6点(2024-07-30 16:46:39) |
48. ある愛の詩(1970)
《ネタバレ》 ライアン・オニールが昨年亡くなったということで彼を取り上げることが増えているように思います。私も彼が好きなので未見の本作を見ることにしました。余談ですがキューブリックの「バリー・リンドン」のレドモンド・バリー役のライアン・オニールは大根役者っぽい雰囲気でしたが、1960年代にはTVシリーズで大人気の役者だったそうで、本作は彼が最も油が乗っていたであろう29歳の時の作品です。(更にいえばバリーリンドンでは円熟期の34歳。そんな彼が10代のレドモンドから全てを演じていたという事実には少々驚きます) 本作「Love Story」という題名は凄いです。よほどの自信が無ければラブストーリーにLove Storyとは付けられません。期待して見始めるとまず第一にアノ音楽に気付きます。この映画の音楽だったのか!次にジェニー(アリ・マッグロー)の眉毛や鼻の穴が気になります。前述の通り、当時ハンサムの代名詞であったライアン・オニールが主役であることを考えると、客層は若い女性でしょうか。オニールの相手役にブロンド美女をもってこなかったのは意図的なのでしょうねきっと。 内容的には2024年に見るには少し陳腐すぎるところがありますが、貧富の差や育ちの差を決定的なものとして見せつけつつもそれを跳ねのける若い二人(オニールは若くないけど)という、王道の流れは時代を超えて不変のテーマでしょうか。ただし、オリバー(オニール)の貧乏生活への覚悟が少し弱くて不治の病が発覚した後、彼の父親への金の無心のシーンは全く良くありませんでした。このシーンは実質的にほぼクライマックスなので、意地を張るのではなく土下座でも何でもして父に頼み込むべきだったと思いました。やはり色んな意味で少し決心の甘いオリバー君かなといった印象です。 ラストはとても静かで素晴らしいです。ジェニー(アリ・マッグロー)はイマイチと書きましたが、演技は非常に良かったです。54年も前の映画なので少々点数が低いのはお許しください。。(彼女のツンデレが過ぎる点も少々気になりました) [地上波(字幕)] 5点(2024-07-30 16:42:38) |
49. スリー・リバーズ
《ネタバレ》 ブルース・ウィリスといえばダイハードのヒット以降、彼自身も苦悶したと思いますが周りの持ち上げ方も悪かったのかもしれません。ブルースの代表作といえば「ダイハード」「シックス・センス」「パルプ・フィクション」だけ見ておけば網羅できそうです。本作はそんな微妙な時期いわば彼の低迷期の作品で、キャスティングはそれなりに豪華ですがいかんせん脚本が良くない。いや、いい線はいってるのですが作りこみが浅いといったほうが適切でしょうか。 違和感しか感じない新パートナーの女、死体が上がらなかった従弟、意見の合わない叔父、久しぶりに帰ってきた無能な従弟、パトカーのおもちゃと犯行時の音楽、元カノばかり殺される主人公、誰も味方がいない警察署・・ 面白い要素がてんこ盛りなのに全体的に非常に浅いです。浅い要素としては、あっさりパートナーと寝てしまうグダグダ感だったり、主人公がのけ者にされるきっかけになった正義の事件の内容がよく判らなかったり、そもそも主人公の人と成りがよく判らないまま話が流れます。 最後まで見ればそれなりにきちんと作られてはいますが、寝んごろの相棒がまさかの内部調査官(ありえない)だったり、真犯人に関しても有能な主人公を陥れるほどの知能や度胸を持った切れ者には全く見えません。そしてそのアホっぽい彼との死闘もまあかなりグダグダで・・ 皆さんの言葉を借りれば何となくよくまとまってはいますが、昼ドラの域を超えない凡作でした。鑑賞して損も得もなく、まさに何も得るものがないという極めて致命的な映画です。サラ・ジェシカ・パーカーに免じて少し甘めに。 [地上波(字幕)] 4点(2024-07-30 16:38:04) |
50. レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い
《ネタバレ》 全体の雰囲気は最高に良かった。しかし個別にプロットをバラすと途端にダメな部分が目立つ少々難しい映画でもありました。とにかく予定調和やご都合主義が多くていけません。 いきなり破綻しているのが三兄弟が全員で第一次大戦に行ってしまう流れ。WWIといえばヨーロッパの戦争で、アメリカとしてはあくまで理想や建前、立場として参戦したに過ぎなかったハズです。本国の田舎モンの三兄弟が志願し、全員でヨーロッパに行ってしまうのにはかなりの違和感を覚えてしまいました。(まあ、彼らはそれだけ純粋だったのかもしれませんが) 三男の婚約者(ジュリア・オーモンド)がふらふらしすぎるのも問題で、これではあまりにも貞節が無さすぎる。せめてブレずに一目見た時から次男に心を寄せていただけのいけない女を貫いたほうが彼女の品格が保たれたように思います。本作の彼女はまるで「あっちがダメならこっち」という都合が良い女に成り下がってしまっていて、感情移入しにくいキャラクターに仕上がってしまっています。まあ確かに、あの時代に同じような状況に陥ってしまったら、、女としては無理もないのかもしれませんが・・ それにしてもあまりにもメロドラマすぎました。 モンタナの風景や暮らしは美しく雄大で、インディアンの生き様を見せるロン毛のブラピは最高にカッコいいです。「熊」が彼の生涯のライフスタイルとなっていて、ラストももうこれしかないよね!というカッコよさ。ただしこちらのキャラクターも三男を自分の腕の中で死なせてしまった十字架を背負っている割に、その嫁を横取りしつつも途中でほっぽり出してみたりと難しいキャラクターに仕上がっています。(それも含めてカッコいいのかな?) ブラピメインで鑑賞できる人には結構良い映画ですが、そうじゃない人にはイマイチ何が伝えたかったのかよく判らない映画だったりもします。ブラピのカッコよさと素晴らしい雰囲気に免じてこの点数を! [地上波(字幕)] 6点(2024-07-30 16:29:34) |
51. ミッドナイト・ラン
《ネタバレ》 興味ありませんでしたが録画されていたので見てみたらコレが非常に面白かった!デニーロ(ウォルシュ)の自然な演技がとても良かった。脚本もとてもよく練られていて、序盤から複雑なバウンティ・ハンターの話を観客にシンプルに伝える流れも上手いし、ヤフェット・コットー扮するFBI捜査官も良い雰囲気。サングラスや身分証のネタも非常に面白いものでした。 この映画でデニーロを食ってしまったのが”公爵(デューク)”と呼ばれるマデューカス(チャールズ・グローディン)です。マフィアの金を横領した会計士と聞かされたらどんなペテン師がくるのかと思いますが、まさかの彼。穏やかで非常にいい人なのが笑えました。結局最後までマイペースで終始イイ人・終始育ちが良さそうな香りが漂っていてさすがの演技力でした。 「ウォルシュ&デューク」ペアはいちいち運が良く難を逃れつつも、その彼らに振り回される周りの図式が定番ながら面白いです。元嫁や娘との再会もちょっとシリアスで素敵だったし、ダイナーでの一芝居も面白い。とにかく全体の流れの中での緩急のつけ方が上手くて長さや複雑さを感じさせません。(個人的には貨物列車のコンテナの中での語らいが最高だった。きっと彼らはあの時点で真の友人になったと思います) 終盤になるとさすがにマフィア組、バウンティ・ハンター組、FBI組、ウォルシュ&デューク組と話が立て込んできますが、元刑事ウォルシュが絶妙な塩梅での判断・決断をしますので見ていて気持ちが良い。ラストの別れや1000ドル札のネタも面白く、あまり文句の出ない作品だったと思います。 [地上波(字幕)] 8点(2024-07-30 16:16:03) |
52. TINA ティナ
《ネタバレ》 期待せずに見たせいか非常に良かったです。数あるコレ系の映画(音楽の伝記系)の中では群を抜いて良くできた作品だったと思います。特筆すべきはアイク・ターナー(ローレンス・フィッシュバーン)の見事なまでのいやらしい演技でしょうか。いえ、厳密にはティナ(アンジェラ・バセット)の演技が良かったおかげで彼の良さも引き出されたのかもしれませんが、ティナの自信の無さと対比されるようにアイクの自意識過剰気味で嫌味な雰囲気が、、別の意味で本当に素晴らしかったです。とにかく本作が彼のベストアクトといえそうですが、超絶DV嫌味夫の役なのでローレンスとしては複雑な心境でしょう。マッシュルームカットや変なベルトやサングラスなども最高に良い雰囲気を醸し出していました。 ティナ・ターナーがまさかの仏教徒(創価学会)だったとは驚きました。まあそれだけ切羽詰まって精神の逃げ場を求めた結果でしょうから壮絶人生なのは間違いないです。また、芸名としてターナーという名前を使いたがったのも驚きました。あの世界では芸名が命とはいえ、この夫の名前を一生使う=生涯忘れることができないトラウマと共に生きるというのは本当に辛いことだと思う訳ですが。 私自身、世代的に少し若かったせいもあり、プラウドメアリーと愛の魔力しか知りませんでした。私の時代といえばやはり「マッド・マックス/サンダードーム」の準主役で強烈な印象を残したティナ・ターナーです。マッドマックスのせいで馬鹿にされがちな彼女ですが、本作を見ると違う感情が芽生えます。皆さん「ロックンロールの女王(半笑)」じゃないんですよ、ティナ・ターナーは敬うべき本物のロックシンガーなのです。 [地上波(字幕)] 8点(2024-07-30 16:09:18) |
53. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
《ネタバレ》 マイケル・ジャクソンのコンサート的にTHIS IS ITを訳すと「これだよコレ!(これしかないでしょ!)」的な意味になると思いますが、、これが結構クールな題名です。 メイキングビデオのマイケル・ジャクソンは非常に物腰が柔らかく誰にでも優しくて驚きました。この映画のおかげで彼の普段の雰囲気を感じることができて素敵でした。反面「キング・オブ・ポップ」としての重圧や苦悩、クリエィティブな部分も含めたった一人で全てを背負っていたという物悲しい一面も垣間見えました。もしも自分が彼の立場だったら南極基地か宇宙ステーションに逃げこむと思います。。 この重圧、プレッシャーの中でも彼自身は自分に天才的な才能があることを知っていただろうし、それを表現する生き方を選んだのだと考えると素直に「偉い!」と感じてしまいました。印象的だったのが、リハーサルではあっても場の中心にいるMJ本人が一番忙しくて大変なハズですが、周りのどのダンサーよりも息が上がっていない、ブレイク中には本当に微動だにしないのです。この点は心底驚きました。 他のレビュアーも指摘しているように映画としてはイマイチですが、完璧主義のマイケル・ジャクソンがおそらく見せたくなかったであろう、コンサートの裏側(メイキング)が見られたという意味では価値があったと思います。また、マイケル・ジャクソンに関わる全ての人達が本当に一流の人達ばかりで、そしてその彼らがマイケル・ジャクソンと関われただけでもう何もいらないという趣旨の話をしているのには感動を覚えます。やはりMJは本物の「キング・オブ・ポップ」なのを痛感しました。 [地上波(字幕)] 7点(2024-07-30 16:01:16) |
54. 新・座頭市物語
《ネタバレ》 20年以上前に10作品以上見た記憶だけは残っていて、私のイメージでは「関所破り」が最高傑作だと思っていましたが、初カラー作品である本作3作目はやたらと素敵でした。続けて見た4作目(座頭市兇状旅)もなかなか良かったのですが、本作「新・座頭市物語」のほうが頭一つ抜き出ていたと思いました。 深い感銘を受けたのはきっと私自身が年齢を重ねて感受性が変わったためだと思われますが、しかし大人になって冷静に見返してみると、本作や次作(座頭市兇状旅)ではやたらと市の心情を表現したシーンが多いことに気づきます。勝新が監督した89年版のメイキングでも女の子にしきりに感情指導していましたので、おそらく勝自身が”哀しき孤高の盲目ヤクザ”の内面を演じたかったのでしょうか。とにかくこの心情表現が素晴らしい。 ベタな展開ながら師弟関係(河津清三郎)と天狗党の一件も非常に面白いし、師の妹(坪内ミキ子)に惚れられる展開もシンプルで良いです。なんだかんだと市はよくモテます。因果応報で安彦の島吉(須賀不二男)に執拗に追われる展開も綺麗な結末を見せるし、その後の市の心情を揺さぶる流れもよく出来た展開でした。兄の本当の姿を目撃して見せる弥生の表情も素晴らしかったのですが、極悪人である兄が死に、その兄を斬った市も去って行く流れは少し可哀そうではありましたね。 さりげないシーンですが、幼馴染みに「イチタさん」と呼び止められます。おそらく座頭市の本名が判明する唯一の回ではないでしょうか。 [地上波(邦画)] 8点(2024-03-21 17:26:22) |
55. 七人の侍
《ネタバレ》 一生に一度は見るべき名作ですが、人生の後半に差し掛かってようやく鑑賞できました。かなりの長時間作品でしたので見る前は腰が重たかったのですが、一度見始めるてみるとあっという間、噂通りの素敵な作品でした。(4KTV録画にて) 字幕必須ではありますが、導入部も非常にスマートで分かりやすい。もちろん中盤の人集めも楽しくてワクワクさせられますが、「7人」は少々多すぎてキャラ渋滞が発生していたように感じました。勘兵衛(志村喬)、菊千代(三船敏郎)、久蔵(宮口精二)、勝四郎(木村功)、七郎次(加東大介)の5人で十分で、五郎兵衛が平八を見つけてくるという、無駄な人物が無駄な人物をつれてきた感はぬぐえませんでした。 菊千代の演技が少々鼻につきますが、でも彼のおかげで緩急のバランスが良くなっていたのもまた事実。また彼が実質的な主人公で、最後の最後で壮絶な見せ場が待っています。「絶対何か問題が起きるだろうなぁ」という、志乃(津島恵子)と勝四郎のパートも面白くて目が離せませんが、何となく最後は適当に終わってしまいました。(まあ男と女ってこういうものなのかもしれない) 終盤の戦いパートも非常に丁寧に描かれていて、順に墨で×をつける流れや大雨の流れは心底胸アツでした。 オチのつけ方が賛否ありそうな流れでしたが、まあ・・「侍ってカッコいいよね」で終わらせてもいい映画じゃないでしょうか。定年したらもう一度ゆっくり見たい名作でした。 [地上波(邦画)] 8点(2024-03-21 17:20:26) |
56. 極道の妻たち 三代目姐
《ネタバレ》 三田佳子の極妻はなかなか趣きがあって良かったです。しかしこちらも一作目の岩下志麻の迫力には及ばず、天下の坂西組長(丹波哲郎)と二人で並んだ絵面はちょっと優しすぎる印象でした。ただ、リアルはこんなものなのかもしれないとは感じましたけど。。 本作の一番の問題児はショーケン(赤松)です。彼の何考えているか判らない雰囲気が良いといえば良いのですが、一歩間違えればただのチンピラにも見える落ち着きのなさはチョットいただけませんでした。ある意味このキャラ設定のまま犬死したラストは彼らしいといえば彼らしいのですが、その彼に振り回されっぱなしだった主要人物三名(三田佳子、成田三樹夫、かたせ梨乃)はいい迷惑。結局はいまいちドラマにしまりが感じられなくてグダグダになった印象を受けました。 寺田(成田三樹夫)の最後のセリフ、「あんた(坂西葉月=三田佳子)がワヤくちゃにしたんや、あんたのせいや」というセリフが結構深くて好きでした。三田佳子に岩下志麻の根性と理念があれば女大親分になれただけに、「当面は私が跡目を継ぎます、ニヤリ」としても寒々しい感じでした。色んな意味で哀しいラスト。(現:君島十和子(旧:吉川)がメチャカワっす) [地上波(邦画)] 6点(2024-01-19 14:59:51) |
57. 極道の妻たちⅡ
《ネタバレ》 以前二作目だと思って見た作品は別の物で、正しくは本作が極妻の二作目でした。勘違いしていました。 十朱幸代の極妻は素敵なのですが、前作岩下志麻と比べると少々迫力不足の感は否めません。しかしそこは演技力でカバーしてくれていて見ごたえは十分なのですが、木本燎二(村上弘明)が妙な眼力で幅を利かせてくるもんだから天下の十朱幸代も霞んでしまっています。全体を見渡した場合、かたせ梨乃、藤岡琢也、神山繁、綿引勝彦、草笛光子ら出演者はなかなか豪華なので、基本的にはどの時間帯を切り取っても退屈はしません。 問題はストーリー展開。最後まで木本頼り&バレバレのいかさま賭博という、何だかよく判らない映画に成り下がってしまっていて、「極妻の続編でやる内容だったの?バカなの?死ぬの?」という違和感が最後まで付きまといましたが、日本アカデミー賞をいくつか取っているようです。 豪華出演陣に免じてこの点数ですが、ラストの船の流れとか雨の流れとかも要らないシーンだったような気がします。ちょっとにわかには信じられないくらいとっ散らかったストーリー展開の作品でした。(いい意味で80年代かな) [地上波(邦画)] 4点(2024-01-19 14:55:51) |
58. コン・エアー
《ネタバレ》 「ザ・ロック」と併せてTV録画されていましたので、今年の正月はニコラス・ケイジ祭りでした。ザ・ロックと比較すると若干評価が低いようですが、本作「コン・エアー」もかなり完成された娯楽作品として文句なしで楽しめました。個人的には本作のほうが単純に笑い要素が多くて楽しかったです。 また、本作では今や一流の俳優がてんこ盛りで、ジョンキューザック、ジョンマルコヴィッチ、ヴィングレイムス、スティーヴブシェミ、ダニートレホら、主役級ばかりでおしっこ漏れそうでした。これだけ最高に濃いキャラが集まっているのに誰一人バッティングしていないのは本当に凄いです。(猛毒のサイラス)とか(ジョニー・23)とかもうワクワクしかありませんでしたね真面目な話。。 ストーリーもよく考えられていてテンポよくハイジャックが成功してサクッと飛び立ちます。砂漠での一悶着もよく出来ていて中だるみなくラストのラスベガスでの大暴れは娯楽作品としては文句なしに楽しめました。まあ確かに細かい所はかなりご都合主義でしたが、コルベットもぶっ壊してくれるし、「ラモン・マルチネス(レノリー・サンチャゴ)」がオネエ姿で走り抜けるシーンも最高にイケてて文句なし。 皆さんご指摘の通り、ラストのリアルバービー(モニカ・ポッター=ハミングバード)とのイチャイチャはウザいだけでした。ほとんど80年代のB級映画的で、そいういった意味では笑えましたがもう少しアッサリして欲しかったです。(アメリカ的すぎるだろと・・) [地上波(字幕)] 7点(2024-01-12 17:45:17) |
59. ザ・ロック
《ネタバレ》 久しぶりに鑑賞しましたがオープニングから無駄が無く非常にスマートな作品。情報量が多い割りにスッキリしていて、全体的にとても洗練されています。ただ、フェラーリ(F355?)をぶっ壊す派手なカーアクションっている?って感じはしました。 大根役者っぽいニコラス・ケイジの代表作といえば「フェイス/オフ」「コン・エアー」、そして本作「ザ・ロック」だと思いますが、捨てられた子猫のような目つきとこのガチムチ具合は、そりゃ人気も出るわな~と、いった感じですが、、でもすぐにアクション路線から離脱しちゃったんですよねこの人。 序盤から善人がやむなく悪事に手を染める理由を明確に描いている点は少しあざといというかズルいです。しかしエド・ハリスにはこういう役が本当によく似合っていて、ズルいんだけど素晴らしいという流れがきちんと出来上がっていた点は流石でした。 また”元英凄腕諜報員”という大いに笑える設定のショーン・コネリーがカッコ良すぎで震えるくらいです。本作公開当時66歳であることを考えると奇跡の渋さ&身のこなしで文句のつけようがありませんでした。ちなみにウォマックFBI長官(ジョン・スペンサー)はまさかの50歳ってのがまた笑えます。大分年上に見えますよね彼(笑) ラストまで文句なしの娯楽作品の王道でした! [地上波(字幕)] 8点(2024-01-12 17:42:51) |
60. Dr.コトー診療所
《ネタバレ》 これは酷かった。大好きなドラマシリーズなのでかなり甘めに評価してもこの点数が精一杯でした。失礼ですが、監督の中江功と脚本の吉田紀子は2004年のスペシャル版からの続投とのことですが、あれから20年、明らかにキャリアや肩書に胡坐をかいていたかのような悲惨な状況には、、つい目を背けてしまいました。キャスティングやキャストの演技力は最高でした。天皇家が見に行きたいと感じるドラマシリーズなのも事実です。でも心底、演出や脚本が悪すぎて本当に残念な出来映えでした。国民を代表して私が天皇家にお詫びしたいくらい。 皆さんご指摘の通り、明らかに話を詰め込み過ぎです。シンプルに「コト―の病気」「コト―の子供」「剛洋の落第」「みどりおばあちゃん(藤田弓子)の顛末」「中丸新将演じる心臓止まったじいさん(役名誰だっけ?)の顛末」を新キャストを絡めてじっくり見せるだけで十分ドラマチックでした。 時任三郎の足の件、剛洋の東京での事件、台風&土砂災害、僻地医療の現実、これらがドラマに花を添えず観客の集中力を削ぐ結果になってしまっています。ファンが見たかったのは島民やコト―先生の今(2022年)。見たいのは決してパニック映画ではない。ラストもあざとすぎて苦笑いしかでませんでした。(パニック映画だったとしても演出が稚拙すぎて見るのが嫌になるレベルだったし、ラストもコト―がどうなったのかよく判らない) 監督と脚本家はもう少し勉強したほうがいい。できればアメリカのERでも見返してみるべきかと。これ以上続編は作らないほうが良さそうです。そっとしておくべき。かなり辛口ですが好きな作品だっただけに落胆も大きいです。心底、色んな意味でかなり残念な作品でした。 [地上波(邦画)] 4点(2024-01-05 12:33:46) |