41. ファーナス/訣別の朝
《ネタバレ》 なかなかに豪華で渋い顔ぶれだが冒頭からインパクトのある演技を見せるウディ・ハレルソンに目が行く。他のキャストも良い演技をしているがウディ・ハレルソンの凶暴で凄みのある演技がある意味この作品を支えているように思える。 クリスチャン・ベイルが演じるラッセルは真面目な男だ。真面目すぎると言ってもいいくらいの男。ある事故を境に転落が始まっても彼は喚いたりしない。服役している間に病身の父が死に、金に困った弟が危ない仕事をしていることを知り、恋人が他の男の子を宿しても彼は感情を爆発させることはない。抑えている。抑えてはいるが彼の心の中は煮えたぎっている。タイトルのファーナスは溶鉱炉のことらしいが彼自身を指しているとも言える。いつ外に漏れ出してもおかしくないものを彼は抱えている。ウディ・ハレルソン演じるデグロートがなぜ弟とペティを殺したのかはわからない。が、「この男ならやりかねない」と思ってしまうのは冒頭のシーンがあるからだろう。この男のアクションによって主人公はやっと抱えていたものを復讐という形に変えることができるのだ。 地味でとても暗い話だ。復讐は遂げられるがカタルシスはあまり感じないし、この後の主人公のことを考えると救われた気もしない。撃たれてうつ伏すデグロートに近づくラッセル。観ている間「うつ伏している腕に銃を隠し持っているのでは…」とハラハラしてしまったのはそれほど凶暴な男だったからだが、彼の口から弟を「タフな男だった」という言葉が出たのは印象的だった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-01-28 02:29:46) |
42. ディアトロフ・インシデント
《ネタバレ》 この映画を観終わった後の自分がとった行動はディアトロフ峠事件のことをネットで調べることだった。なるほど、不可解な事件だ。映画の題材にしたがるのも分かる。最近では珍しくもなくなったPOV作品だが今作は題材の不気味さもあり飽きずに観ることができた。鑑賞時はちょうど大寒波で雪も積もり暖房をつけていても寒さを感じる時だったので雪山の寒さともシンクロできた(気がする)。 序盤で彼らが遭難したというニュース映像が挟まれるのは良い。雪山での遭難は死を連想させるがただ死ぬだけでは無いジャンルなだけに、酷い目に会ったうえでその先に何かあると予感させる。オチも荒唐無稽だがアイデアは悪くないと思う。ただああいうクリーチャーが出てくるとどうしても安っぽさを感じてしまうのが難点か。題材は良いのだからそれをリアルに感じさせるアイデアもやはり欲しかった。 低迷期に入って久しい印象のレニー・ハーリンだがなかなかの予算を使った「ザ・ヘラクレス」も興行的には失敗だった模様。浮上の時は来るのだろうか。それでもコンスタントに作品を取り続けているのは感心する。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-01-26 01:42:31) |
43. ジョーズ3
《ネタバレ》 なぜか「ジョーズ'87 復讐篇」→ 今作という順で観てしまった。3は独立した話だと思ってたが役名見ると主人公の兄弟はブロディ署長の息子たちなのね。一応シリーズは繋がっているのだ。名前だけで。 デニス・クエイド、ルイス・ゴセットJr.と当時は注目されそうなキャスト。リー・トンプソンも出てるし少々期待していたが…こりゃダメだ。全編褒めるところを探す方が難しいくらいの出来だがラストがひどい。突然仰天するキャスト(スローで)!何故か!サメが自分たちのいる海底王国に突撃してきたからだ!そりゃ仰天するのも無理は無い。しかし、こちらに向ってくるのはどう見ても合成で力なく浮遊してくるサメ…。当時は3D映画だったらしいが3Dだとしても問題がありそうな力弱さ。もうこのラストしか覚えてないよ。他で覚えているのは「浪花」水着くらい。 4作目を観た時は「酷い」と思ったが3もなかなかの酷さ。まさか4作目の方がマシという感想になるとは思いもしなかった。 [インターネット(字幕)] 2点(2016-01-15 02:36:52)(良:1票) |
44. 人生の特等席
《ネタバレ》 老いたイーストウッドの雰囲気は代えが効かない。それだけで点数を増やしてしまいそうになるが…。 オーソドックスだが分かりやすい展開は別にかまわない。だが終盤の解決はいろいろ急ぎ足過ぎないか。ピーナッツ売りが袋を指名候補に放り投げた時から「何かあるな」と感じたが終盤都合よくダイヤモンドの原石として現れるのは上手いとは言い難い。怒って去っていったジョニーがラストなんとなく戻ってくるのも腑に落ちない。わだかまりが解消する場面でも父親は過去の出来事を娘は心情をすべて台詞で説明するのもセンスを感じない。「父に捨てられたと思って心を閉ざした人間になった」なんて自分で説明するのはやめてほしい。だいたいわだかまりはあれで解消したのか?何かもやもやする。 娘がダイヤモンドを周る姿を見て思わず微笑んでしまう父親。野球を通していると距離が縮まっていくような感じは良かった。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-01-13 21:50:15)(良:1票) |
45. ブリッジ・オブ・スパイ
《ネタバレ》 マーク・ライランスの演技が素晴らしい。トム・ハンクスは安定の演技を見せるがこの作品に深みを与えているのはマーク・ライランスの存在だろう。踏み込まれても動じず坦々と動く物腰に彼の仕事の長さを感じさせる。「不安じゃないか?」と聞かれる度に「役に立つか?」と返す姿は自分に起こる全ての物事に対する覚悟ができているかのようだ。 厳しい世論に対して主人公の弁護士ドノヴァンは真摯にそして信念を持って仕事をこなす。判事さえも感情的な目を向けるがあくまで理性的に対応し、論理的にスパイを生かしておく有用性を説く。それが結果的に米国の兵士を助ける切り札になった。感情的になって目先のことを考えるのではなく理性的に人間性を持って対処することは自分を救うことにもなり得る。きっと国益にも。それは現代にも通じることだ。終盤、米兵士のパワーズは抱擁で迎えられる。ソ連のスパイアベルには抱擁はなく後部座席に乗り込む。もちろんこの対比だけで論じるのは短絡的だとは思うが冷戦の結果を暗示しているシーンに思えた。 偵察機墜落のように迫力あるシーンを入れることにも抜かりなく、スピルバーグらしいヒューマニズムもバランスが良くラストのドノヴァンとアベルのやり取りも素直に感動できた。というよりも自分でも意外な程に熱いものと寂しさを感じ涙があふれた。地味な題材だが長さを感じさせない作りはさすがと言わざるを得ない。 ドノヴァンという人物を全く知らなかった自分はラストにその後の仕事も知り更に驚かされた。 [映画館(字幕)] 8点(2016-01-12 01:59:40)(良:1票) |
46. 扉をたたく人
《ネタバレ》 妻を亡くして以来無気力気味に過ごしてきた大学教授がひょんなことから出会ったジャンベ奏者の青年との交流によって変わり始める。ありがちな友情ものかと思われた物語は青年の理不尽な逮捕により別のテーマが浮き彫りになってくる。 9.11以降のアメリカの闇に焦点を当てながらも映画は深刻になりすぎない。もちろん当事者にとっては深刻な展開だがそうなりすぎないのは音楽の存在があるからだろう。偏屈そうな主人公の顔をほころばせたのは青年タレクに教えられたジャンベ。「練習してる?」と逮捕後面会の時に聞く彼が印象的だ。タレクの母親は「あなたたちが好きなものを教えて」と彼の妻に聞き思い出を辿る。そして「オペラ座の怪人」。人は状況に関わらず楽しみや生きがいが必要なのだ。「オペラ座の怪人」の興奮の後に訪れる非情な宣告。あまりのあっけなさにどうしようもない無力感に襲われる。ラスト、主人公は青年が逮捕された地下鉄のホームでジャンベを叩く。大きくなるその音は彼の怒りだろうか。悲しみだろうか。そして日常の轟音にそれはかき消されていく。秀逸なラストだ。この音が「聞こえるか!聞いているのか!」 リチャード・ジェンキンスの演技も素晴らしいがタレクの母親を演じたヒアム・アッバスの存在感も良い。二人の関係を恋愛に発展するかしないかという微妙な塩梅に落ち着けている感じも良く、抑え気味かつ丁寧な演出も好感。しかし、タレクたちの祖国がシリアというのは物語上のこととはいえなんとも言えない気持ちになる。移民というもはやアメリカだけの問題ではなくなったテーマにしても公開当時よりリアリティーを持ってきている作品ではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-06 00:39:45) |
47. アデル、ブルーは熱い色
《ネタバレ》 この映画の原作がコミックだと知ったのは映画を観終わってからだった。コミックの主人公の名はクレモンティーヌ。映画ではタイトルにもなっているアデル。 なぜ主人公の名をタイトルにしたのかは映画を観ると察することができる。この映画が秀逸なところはアデルを演じるアデル・エグザルコプロスのいろいろな表情を自然に捉えているところだ。喜怒哀楽だけではない。恋人への視線に現れる期待や不安、近くにいるはずなのにふと感じる寂しさ、人物との距離感と彼らに向けられる様々な表情を極自然に捉えているように感じた。原作のクレモンティーヌではなく演じる女優と同じ名を主人公に与えたのはそういった演技を引き出すためだったのかも知れない。 レア・セドゥーとの激しい性描写が話題だが物語は普遍的なラブストーリーだ。一目惚れ、情熱的な恋、破局。それが運命的な恋だったとしても人生は続いていく。少女は大人の女性に変わりまた新たな恋に出会うのだろう。その過程を見事に切り取っている。きっと観る側の精神状態によってもいろいろな表情を見せる映画だと思う。もちろん多くの映画がそうだろうが特に本作はそう感じた。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-30 18:12:15) |
48. ブラックハット
《ネタバレ》 「パブリック・エネミーズ」から早や6年その間映画を監督していなかったとは知らなかった。「マイアミ・バイス」「パブリック・エネミーズ」はあまり好みではなかったが…。 中盤までは少々退屈に感じた。が、やはり銃撃戦で目が覚める。音や着弾の描写などこだわりを感じさせる銃撃戦描写はさすがだ。 この構図は何かやばいと感じた直後に訪れる轟音。親友が乗っていた車が吹き飛び、銃弾の雨が主人公たちに襲いかかる。9.11で夫を亡くしたバレットが倒れ、NSAに不正侵入した主人公に連行命令が下った時「命令に従う」と言ったジェサップが冷静に五人仕留めた後崩れ落ちる。バレットの視界が霞み彼女の命も消える。ハッカー同士の頭脳戦の様相がその瞬間変わり始め静かに熱いマイケル・マンが帰って来た気がした。 クリス・ヘムズワースが天才ハッカー?どちらかというと直情的な肉体派、熱血漢というイメージのある彼をなぜその役に据えたのか。それは終盤を観ればなんとなく分かる。復讐心を胸に一か八かの戦いをしかけるのに典型的な柔なハッカーでは絵にならない。そういう点で彼の熱は必要だったのだろう。本国では評価が伸び悩んだ本作だが個人的には今後のマイケル・マンを期待させる一作となった。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-12-30 03:17:22) |
49. 百円の恋
《ネタバレ》 かきむしる背中から見えるぜい肉。自堕落な引きこもり生活。醜い姉妹喧嘩。転んで透ける下着。働きだしてからも職場の百円ショップに集まってくるのはどうしようもない人間ばかり。同僚からはレイプされ惹かれたボクサーには逃げられる。前半に溜めるだけ溜めた膿や鬱憤を晴らすかのようにふと始めたボクシングに力が入っていく。何をするにも鈍重だった彼女の動きが変わる。目には生気が宿りシャドーの切れも増していく。その変遷を演じる安藤サクラが素晴らしい。強烈な印象を残す女優だ。俳優たちが段々小粒になっていく印象の昨今なかなか得がたい存在だと思う。 展開はわかりやすいが人物の距離感はシビア。登場人物は極端な人間が多いのにふとリアルに感じる匙加減が良い感じ。百円ショップの廃棄を飄々とかっさらっていく根岸季衣には爆笑させてもらった。あの顛末には店員じゃなくとも「マジっすか!」と言いたくなる。 「勝ちたかった。一度くらい、勝ってみたかった…」言葉を搾り出す一子。人生において勝利とは人それぞれだろうが試合に負けた彼女のこれからはきっとそんなに暗くないだろう。観客にそう思わせた彼女はもう負け犬ではない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-28 20:14:09) |
50. スター・ウォーズ/フォースの覚醒
《ネタバレ》 ネタバレが怖いので初日に観てきました。スター・ウォーズに思い入れがあまりないと言いながら全作観ていて最新作を初日に観るとかもう立派なファンだよなあ(笑)。20世紀フォックスのファンファーレが鳴らないオープニング。しかしテーマ曲と共にスター・ウォーズのタイトルがバーン!と出てくるとやはり盛り上がる。ダース・ベイダーがいない全く未知数の物語がどう描かれていくのか。 主役に抜擢されたレイ役のデイジー・リドリーが素晴らしい。若さに溢れていて活発で生命力を感じさせ新三部作の主役であったジェダイたちのように落ち着いてないところがいい。フィン役のジョン・ボイエガと共にフレッシュな印象を残す。新ドロイドのBB-8も新しいスター・ウォーズを賑やかしてくれる愛らしいキャラクターだ。そしてなんと言ってもハン・ソロが出てくると思わず声が出そうになる。個人的にはミレニアム・ファルコンが出てきたところが興奮した。ボロ船ってまさか……来たぁーーー!という感じ。その後のドッグファイトも見事だった。今作は旧三部作の雰囲気に近い作りになっていて新三部作に不満を持っていたファンにはとびきりのご馳走になったのではないだろうか。指摘が多いエピソード4の焼き直しではないかという声も分からなくもないが、スター・ウォーズはシリーズを通してデス・スター戦の焼き直しを何度もやっている感がありもはや伝統と言える。 今作で気になったところ。それはジェダイの不在というところだろうか。今回主人公たちを導いていくのはどうやらハン・ソロの役目のようだが、ハンはどちらかというと永遠の冒険者というイメージがありやはりジェダイのような支えの存在がいないのは少し寂しい。それはファースト・オーダー側にも言えることで今回ダース・ベイダーに代わる悪役と目されていたカイロ・レンが実はハンとレイアの息子でシスになりきれていない未熟な存在であることは意外だった。つまり両者共に若い世代の物語であり両者の成長の物語とすればなかなか新しい試みではないかと思う。しかし、敵方には強力な悪役の存在が欲しいと思うのも巨大ホログラムで登場する最高指導者スノーク程度では物足りないと感じるのも事実だ。 J・J・エイブラムスは新しい物語の序章をやってのけた。しかしこれは次回作を作る監督がなかなかに大変だ。ハン・ソロが息子に殺されるという衝撃の展開の後に待っているのは今後この物語を誰が支えていくのかということ。若い世代、そしてラストに登場したルーク・スカイウォーカーをどう動かすかが鍵か。しかし、こうして次回作に想いを馳せる時間が新しくもたらされたことは非常に喜ばしいことだ。 [映画館(字幕)] 7点(2015-12-27 19:11:02)(良:2票) |
51. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
《ネタバレ》 新三部作最終話。アナキン・スカイウォーカーが暗黒面に堕ちダース・ベイダーが誕生するまでを描くというのは新三部作の決定事項だがどう描かれたのか。 アナキンが暗黒面に堕ちるのは母親を守れなかったというトラウマがあり、今度はパドメをも死から守れないのではないかという不安や恐怖から来るのは分かる。そこをパルパティーンにつけ込まれたのも分かるのだがエピソード2でも思ったことだがやはりドラマの描き方が足りない気がした。アナキンの行動には説得力に欠けることが多く上記の決定事項のために無理矢理ドラマを動かしている感が否めない。アナキンに必要なのはパドメの愛でも暗黒面でもなく精神病院でのカウンセリングだ。そして結局ジェダイは最後の最後まで暗黒卿の存在に気づけず(あれだけ身近にいたというのに)、アナキンの報告を受けてやっとメイスが動く有様。新三部作の最初から最後までジェダイは暗黒卿の手の平で踊らされていたという無能ぶりも残念で、旧三部作のジェダイの神秘的なイメージを塗りつぶしていく。 さて、いろいろ文句を並べたがではエピソード3はダメなのかと言われるとそうは思わない。元々ルーカスの演出というのは良く言えばドライ悪く言えばあっさりしている感じなのだが終盤のアナキン対オビ・ワン、ヨーダ対ダース・シディアスという2つの闘いが交錯する演出は見事だ。スター・ウォーズの中でも屈指のドラマティックでエモーショナルな場面ではないだろうか。弟子との闘いを終えた後のオビ・ワンの嘆きは胸に来るものがある。こうして暗黒面に堕ちた者がジェダイへと帰還する物語が始まるのだ。 ダース・ベイダーが生まれるシーンも印象深いがジュクジュク火傷が完全に治ってから鎧やらヘルメットやらつけてあげてください。化膿しないか心配です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-27 17:28:15)(笑:1票) |
52. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
《ネタバレ》 新三部作の二作目。旧三部作は二作目が良い出来だっただけに今作も気になるところだが。エピソード1で幼くかわいかったアナキンはどう成長したのだろうか。 冒頭から師匠であるオビ・ワンに反発しまくり。もうこれ暗黒面に堕ちてるんじゃない?と思わせるようなクソガキに成長しました。パドメが恋路を拒否ってたら即若きシス卿が出来上がりそうな勢いだ。そして、そのパドメとの恋愛物語がチープ過ぎてひどい。草原を転がりあう恋人たちなんて今時少女マンガでも見られないよ。ルーカスすげえ!ヘイデン・クリステンセンはアナキンの不安定な感じに合っててよかったと思う。母親が死んでしまう過程はアナキンが暗黒面に堕ちる必要な要素なのだろうがやはり描き方の詰めが甘い気がする。だいたいひとり奴隷として残してきて今まで放置というのはどうなのか。ジェダイはそれまで何をやっていたのか。ジェダイがそういう融通の利かない組織ならパドメが女王の時にエピソード1のアナキンの活躍に対しての恩賞として母親くらい解放してあげてもよかったのではないか。アナキンが危うい存在だと思うのなら尚更ジェダイが動いてアナキンの精神を安定させる方向へ動くべきではないのか。こういういろいろな思いが浮かぶようでは上手く描いたとは言いがたい。 ドラマ部分は上手いとは言えないが終盤は多数のジェダイの戦闘、ドゥークー伯爵との戦い、ヨーダの初戦闘シーンなど見どころも多い。やはりドロイド二体のかけ合いを見ていると「スター・ウォーズだなあ」という安心感がある。まあ一番驚いたのはR2D2。あなた飛べたのね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-12-27 15:28:03)(良:1票) |
53. スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
《ネタバレ》 さてスター・ウォーズの物語の幕開け。アナキンがどのようにしてダース・ベイダーに堕ちていくのかを描く新三部作の序章。前作から16年ぶりの新作とあって世間は大盛り上がりだったのを記憶しております。 ファンの間でもあまり人気の無いエピソード1だがやはり主軸のストーリーが政治的すぎたからというのもあるのだろう。今回のタイトル「ファントム・メナス(見えざる脅威)」からわかるようにスター・ウォーズの本線から少し離れたストーリーの中にチラホラ見え隠れする暗黒面の存在をほのめかす感じ。「暗黒面は見えにくいでな」とはヨーダの言葉だがこれだけジェダイが数多くいるのだから今後シスの存在を見事に喝破してくれるに違いない(棒読み)!今回観返して気づいたことはひどく落ち着きすぎている印象がすること。ジェダイが中心になって話が進んでいくからそう感じるのだろうか。役者たちの動きもどこか遅くぎこちない印象。もしかしたらほぼCGという特殊な撮影環境に慣れなかった部分があるのかも知れない。映像が全体的に妙にツルツルしてるのも気になった。 とはいえ若きオビ・ワンや幼いアナキン、R2D2、C3POなどが出てくると思い入れの少ない自分でも「おおっ」と思ってしまう。ダース・モールとジェダイ二人の戦いもなかなか見ごたえがあるし、そこから始まるジョン・ウィリアムズの音楽も印象的だ。不人気のジャー・ジャー・ビンクスは出番が多すぎるね。多い上に思わぬ活躍をするもんだからスター・ウォーズファンの逆鱗に触れたのでしょう。スター・ウォーズの賑やかしはドロイド二体で充分です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-12-26 19:30:53) |
54. スター・ウォーズ/ジェダイの復讐<特別篇>
《ネタバレ》 スター・ウォーズ旧三部作の最終作。前作があの終わり方だったからファンには待望の作品だっただろう。 物語はハン救出から始まり一気に収束へ向っていく。惑星ダゴバに戻るとヨーダに寿命が訪れており修行完了。ファンでなくても「え?すごい中途半端に修行終わった気がするけど大丈夫?」と思ってしまう。そしてエンドアでの新デス・スターのシールド発生施設攻防戦。皇帝はわざと情報を流し罠を張っていた!!でも屈強なはずの帝国軍部隊は毛むくじゃらぬいぐるみのイウォークに蹴散らされるのでした。うーん、「帝国の逆襲」からえらく軽くなってしまいましたな。まあ観返してみると愛嬌もあって悪くない…いや、うーん。 そんなことより今作はジェダイの物語が重要だ。新旧通して描かれたアナキン・スカイウォーカーの物語が幕を閉じる。観返してみて思ったことはなんだかんだ言って新三部作は作られて良かったということ。最後のルークとダース・ベイダーの闘いがこれほど悲しい戦いだったとは初見時にはここまで感じられなかった。ライトセイバーを打ち合う度に「なぜこうなってしまったのか」という思いが交錯する。パドメが言った通りアナキンには善の心が残っており予言通りフォースにバランスをもたらす。素晴らしい。初見時に皇帝をポイ捨てした時吹いてしまったのは内緒だ。 全体的には満足の仕上がりとはいかないがルークとアナキンの「父さんを救うんだ」「もう救ってくれた」のやり取りはやはり名シーンだと思う。 ラストのルークを見守る霊体になった三人のジェダイ。DVD発売時にアナキンが新三部作のヘイデン・クリステンセンに変えられてしまったのは残念でならない。最後にアナキン・スカイウォーカーはジェダイへと戻ったのだ。“Return of the Jedi”とはルークの帰還とアナキンのジェダイへの回帰というダブルミーニングだと思われるが、なぜこういう修正になってしまうのか。だいたいルークからしたら「そこの若い兄ちゃん誰やねん」状態。え?フォースで感じる?そうですか。DVD発売時に日本では「ジェダイの帰還」と改題されたのに皮肉なことだ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-12-24 04:41:19) |
55. スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇>
《ネタバレ》 有名なインペリアル・マーチはスター・ウォーズの定番の音楽だと思っていたが初出がこの二作目だと今さらながら気づいた。「帝国の逆襲」のタイトル通り今作は帝国の存在感が増し、そしてダース・ベイダーのヘルメットのツヤツヤも増している(1作目は意外とツヤツヤしていないシーンもある)。 氷の惑星ホスの素晴らしい特撮の戦闘シーンから始まりハンとレイアたちが繰り広げる冒険活劇、ルークの惑星ダゴバでのヨーダとの出会い、修行、黒幕である皇帝の登場、そしてベイダーとの対決。1作目以上にいろいろな出来事が起こりテンポも良くなっていて一気に世界観が広がっていく印象。物語もハンとレイアの恋愛模様、ヨーダによるフォースの教え、ベイダーから告げられる衝撃の事実と飽きさせず深みを増していく。それにしてもタイトル通りとはいえ終盤はベイダーにハンは冷凍され、ルークは右手を切り落とされ命からがら脱出とやられっぱなしなのだがそれでも面白く興味がつきない作りは唸らされる。もうひとりのスカイウォーカーなど謎も残され公開当時ファンの人は相当やきもきしたに違いない。ここまで続編ありきの続編という作品も珍しかったのではないだろうか。 見返すと今後のシリーズに欠かせない要素がぎっしりで今作がなければスター・ウォーズが今も続いていたかどうか想像できない。シリーズ最高傑作の声もうなずける。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-24 03:05:38) |
56. スター・ウォーズ<特別篇>
《ネタバレ》 第1作がアメリカで公開されたのは自分が生まれた年だからリアルタイムで観ているはずもなく、子供の頃にテレビで何度も放送されていたが実は全編通して観たのは大学生になってからだった。つまりそこまで思い入れはない。 やはり今観ると映像やテンポに時代を感じる。が、やはりこの世界観を作り上げたことは称賛するしかない。ルーカスに影響を与えた作品はいくつもありそれらにインスパイアされたことは有名だが、彼が作り出したものはやはりそれまでになかったものだ。地球という概念がなく、ドロイドや獣人のような人々が当たり前のようにいる世界観。宙を浮く乗り物。そして、ジェダイ、フォース、ライトセイバー…。リアルタイムの熱狂を知らなくてもその当時の衝撃やその後の影響は完全とはいかなくても想像はできる。それがスター・ウォーズの凄さだろう。 作品自体は意外と行き当たりばったりの冒険活劇。お姫様を助けるため冒険に出るという言うなれば王道の作り。だから幅広い層に支持されたのだろうが、この作品が他のSF作品と違うのはやはりジェダイの存在。今作ではオビ・ワン・ケノービの存在が冒険活劇に神秘性をもたらしていて作品を締めている。そしてスター・ウォーズを知らなくてもこの悪役だけは聞いたことがあるであろうダース・ベイダー。やはり絵的にも強い存在感のある悪役は作品を盛り上げる。主役三人も皆若く生き生きとしているのがいい。その中でもやはりハン・ソロはハリソン・フォードのスター性もあって印象に残る。ジョン・ウィリアムズの全編に流れる映画史に残るであろう音楽も素晴らしい。 今ではCGを加えて再編集されたものが本編とされている感じなので特別篇の方にレビューを書かせてもらった。しかし、発売される度に修正が加わっていくので古いDVDも処分できないのは少々困りもの。全てのバージョンをまとめたブルーレイBOXを出して欲しいというファンは多いのではなかろうか。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-24 00:22:59) |
57. ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス
《ネタバレ》 今回は最終章を前後編に分けてあるらしく今作は前編。だからある程度中途半端に終わることも承知の上。前作の流れから体制への反逆の話になっていくことも想像できた。だからタイトルの「ハンガー・ゲーム」が行われないのもまあ仕方ない。しかし、世界中で大ヒットしているこの映画こんなに地味でいいの? 政治的な話がメインになっているからだがだからといってドラマが際立ってよくできているとも思えず、いろんな要素が実に平凡にしか感じられずこれを観て後編を早く観たい!とはとても思えなかった。WOWOWで放送したら観ます。しかし、カットニスをレジスタンスのシンボルにすべくどう演出するかとかはちょっと面白かったかも。 このシリーズを観ていつも思うことはジェニファー・ローレンスが主役じゃなかったら場が持たないかもということ。それくらい危うい印象のシリーズ。しかし、今作を含めて本国では批評家も観客も好意的な評価。優しいなあ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-12-05 17:31:41) |
58. 007/スペクター
《ネタバレ》 うーん、なんとももったいない。いや悪くはないのだが、というより途中までは最高だった。序盤の派手なアクションはいつも通り最高で全体的に高級感のある映像と雰囲気に浸れて良い気分だったし、スペクターという組織がじわじわと明るみに出てくるところはゾクゾクワクワクだったのだ。 だがその肝心のスペクターがどうもよくない。会議のシーンは最高にいい雰囲気で恐ろしいのだが、その後ボンドを追いかけてくるのは筋肉ダルマの車一台。その後度々襲撃してくるのはこの筋肉ダルマ。スペクターって人いないの?スペクターの基地に潜入して捕まったのならともかく、車でお出迎えされてその後拷問というのも少しシュールだ。拷問から抜け出してここから壮絶アクションだ!と思ったらあっさり脱出できてしまうのもどうか。スペクターの兵隊はハリボテですか。だが一番困りものなのはボスのブロフェルド。部下の三下にでもやらせておけばいい仕事を自分でやりたがる。そして、失敗する。で、逮捕(え?)。なぜわざわざ出張ってくるのかと考えたらボンドとの過去の因縁があるからなのだが、そうなるとボンドとの因縁なんて無かった方が良かったのではないかと物語の根幹すら怪しく見えてくる始末。クリストフ・ヴァルツを意外と生かせていない印象だし、終盤になればなるほどスペクターの恐怖や巨悪感が薄れていくのは非常に残念だ。 「スカイフォール」で007シリーズとしての体制が整ったのだから今までのようなシリアスな物語から痛快な娯楽作へシフトして欲しかった。とはいえ観た印象はそこまで悪くない。全体的な雰囲気は良いと思うし、長い上映時間だが観ている間は時間も気にならずそれなりに楽しんでいたのも事実。なんだかんだ言ってダニエル・クレイグのボンドは素敵でした。 [映画館(字幕)] 7点(2015-11-28 03:19:54)(良:1票) |
59. バイオ・インフェルノ
《ネタバレ》 タイトルからB級SFをイメージしていたがバイオハザードもの。バイオハザード時の緊急対応やウィルス研究への警鐘など当時にしては意外ときっちり描いている。まあ、細かいところで突っ込みどころがないこともないが。 映像的にも物語的にもひたすら地味な印象でそれが良い面でもあるが、くり返し観たいとは思わない。 [インターネット(字幕)] 5点(2015-11-27 01:01:00) |
60. ジョーズ'87/復讐篇
《ネタバレ》 なぜだ?なぜこのサメは主人公の家族ばかり狙うのか。なぜ息子は自分の家族が危険な目に合うかもしれないのにサメのことを黙っているのか。なぜ装備を整えようとせず行き当たりばったりの退治になるのか。なぜ舳先が刺さるとサメが爆発するのか。なぜ爆発した後セット撮影に切り替わっているのか。なぜマイケル・ケインが出ているのか。なぜ今作を作ったのか。 なぜが多い作品でした。海キレイ。 [DVD(字幕)] 3点(2015-11-24 01:51:43) |