41. ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 本家版は見てないですが、世界観は保たれているような気がします。物語とロケ地、色彩を含め合っていたと思います。原作未読ですがミカエルとリズベットの合流までがちょっと引っ張りすぎなような気がします。また、最後にリズベットにツンデレ感を出すのも何か少し違和感を感じました。ストーリーはそれなりに面白く見られたので、満足感はあるのですが、「ゴーン・ガール」を見てからこっちを見たので、少し評価が辛めになってしまいました。あとオープニングの「移民の歌」は物語の雰囲気に全く合っていないと思います。MV自体は格好良くて好きだけど。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-09-21 22:31:45) |
42. 20センチュリー・ウーマン
《ネタバレ》 2000年代にこういう映画が作られるのも面白い。70年代のあるアメリカ市井を理解する一助になった。きっと監督が自分の体験をフィルムに焼き付けたかったのだろう。非常に丁寧な脚本だと思う。離婚率が70年代から今の日本以上だったアメリカ人にとって親というものは非常にとらえにくいものだったのかも。ひとり親であっても変に構えず単純に子供に対して愛情を注いであげれば(特に時間と手間をかける)思想が偏っていてもまっすぐに育つのだろうなという思いを強くした。コミューンやウーマンリブが猖獗を極めたアメリカで特に周囲にそれがモロあった家庭に育ち思春期を迎えた若者にとってはなかなかしんどい環境だろうなと同情もする。最初から中盤までは確かに盛り上がりに欠けたが、最後にドラマを持ってきて、一挙に未来からの回想でエンディングを迎えるありきたりの演出ではあったが、結果としてテンポ配分は良かったと思う。当時の米国のパンクムーブメントにマッチョ/軟弱のカテゴリーがあり、トーキング・ヘッズが軟弱一派にされるというのもトリビアで面白かった。 [地上波(字幕)] 7点(2020-09-21 22:13:49)(良:1票) |
43. ロード・オブ・ウォー
《ネタバレ》 面白かったです。一切ダレずに見ることができました。噂には聞いていた武器商人の世界を垣間見ることができましたし、どの世界でも成りあがる人には才能があるということですね。ソビエト崩壊後の武器の大量供給とアフリカ諸国の紛争との関係性などもなんか考えさせられますし、アフリカの独裁者たちをのさばらせたのも国連常任理事国たちなのだと改めて認識できました。そういう告発映画をエンターティメントにするハリウッドの人間の懐深さも日本人(あくまでエンタメ業界)と比べると大人ですね。個人的に良かったのはリベリアの大統領親子。本当にあんな感じなんだろうなと思わせてくれて、この映画の説得力を高めています。エンディングでユーリーがバレンタインに「お前の努力は徒労に終わるよ」と予言するドンデン返しもなかなかスマートでよかった。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-21 13:15:39) |
44. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
《ネタバレ》 話の中身は私大好物です。偏屈爺さんと貧しい純真な青年との心の交流。抜け殻になったと思い自殺しようとするフランクを止めるチャーリー。そこをドラマの梃子としてご存知有名なラストのフランクの一大スピーチへと流れ込みます。脚本の構造・中身は申し分なく完璧だと思うのですが、なんか演出のテンポが今一つスムーズな感じでなく、もうちょっと見易かったら1点プラスなんですが。それでもフランクのスピーチのところは感動したい時に何度も繰り返し録画したのをを見てしまいます。「俺は岐路に立った時、正しい道を選ばなかった。それは険しい道だったからだ。だが、チャーリーは正しい道を選んだ。それは品性を養う信念の道だ。彼に旅を続けさせてやろう」いいですね~。特に芸能も政治も二世とかの苦労知らずのやつらが跋扈しているこの国で生活しているとこのシーンはちょっとしたカタルシスを覚えさせてくれます。拍手。 [地上波(字幕)] 8点(2020-09-19 22:38:16) |
45. わたしは、ダニエル・ブレイク
《ネタバレ》 ケン・ローチ円熟の技。社会派だけどいわゆる彼が「社会派」監督で終わらないのはちゃんと告発だけでなくドラマを撮っているから。英国の福祉制度をリアルに描いているし、役人も機械的な人もいれば人情を持った人もいることをちゃんと等しく描いている。声高に告発をしているだけでなくリアルさを徹底しているからより凄みを増す。そしてこの映画が素晴らしいのは、ダニエルとケイティ家族の交流をしっかりと描いているから。出会いから別れまでも全く自然だし、隣人の黒人青年とかの交流もリアルだし。悲惨な中で弱者同士が互いに助け合うやさしさ、心の温かさ。それと社会制度の冷酷さの対比がよりドラマ性と告発性を相互に際立ださせる構造になっている。今の日本人監督には力量的に正面切ってリアルとドラマを共存させたこういう映画は絶対撮れないと思う。人間が幼稚だから多分ファンタジーに逃げてしまうだろう。一番笑った好きな場面はダニエルが役所の壁にスプレーで落書きをしたのを誉めたおじさんの発言のところ。ああいう市井のイギリス人もマジでいそう。あと見ていて一つ思ったのは日本の行政は英国よりも優しいなということ。デジタル弱者をバッサリ切り捨てずに紙での申請をいまだに認めているからね。だからマイナンバーカードが普及しないのよね。 [地上波(字幕)] 9点(2020-09-19 21:50:28) |
46. MUD -マッド-
《ネタバレ》 久々に重層的にドラマを噛み合わせ、回収していくいい映画を見ました。まず何がいいって、アメリカの地方都市の底辺の人々の生活をリアルに舞台設定しているところがいい。ボートハウスに住む主人公なんてめったにないじゃん。そして、少年の家庭と日常の閉塞感もきっとこの町では普通にあるのだろうし、そうしたなかで、ロビンソン・クルソー張りの生活をしているマッドとの交流。これも本当にあるように信じ込まさせられるのも監督の力量。そこから冒険譚へと物語は進んでいく。主人公エリスがマッドに怒りを爆発させるところなど非常に説得力があるし、ドラマとしての十分な推進力を持っており、終盤への流れに繋げていく演出は全く自然で、見事。最終的にほろ苦い少年の成長とマッドの逃亡をリリカルに描いて終わらすエンディングもちゃんと作品の情緒を保持して非常に素晴らしい。こういう都市部だけでないアメリカの一地方のリアルな生活を垣間見せてくれたことと、それに見合ったドラマをちゃんと提供してくれた監督に感謝。ただ唯一違和感を感じたのは主人公ちょっと暴力的すぎないか?彼の鬱屈さを表現したかったのかもしれないけど、そこだけはなんか浮いていたような気がするんだよね。あくまで個人的な感覚だけど。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-09-06 22:37:15) |
47. プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
《ネタバレ》 なんか残念な映画ですね。話は悪くないですが、構成がよくない。親子2代の話が2本分にして見せられているような感覚になってしまう。ルークとエイブリーの親子2代にわたる宿命を描きたいのならもっと脚本を練り上げないと。あと、エイブリーが名誉の負傷後の警察内部の不正に立ち向かう部分をもっと刈り込んでも良かったのでは。あそこが妙に盛り上がってしまって子供たちの代の宿命の部分が薄らいだような気がするんですね。あと演出のテンポも今一つよくない。ライアン・ゴズリングとデイン・デハーンが頑張ってました。ライアンはこの映画でカミさんと知り合ったんでしょうね。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-09-06 19:27:06) |
48. ザ・タウン
《ネタバレ》 ベン・アフレック監督の王道を行くエンタメ映画で、ダレることなく最後まで観ることができました。単なるエンタメ作品ではなく、プラスアルファを持っている標準以上の作品でありました。「タウン」の象徴のオリベスクショットを何度もはさんだり、「晴れた日には・・」の伏線回収などしっかり技を見せています。話の流れとしてはありきたり感満載で下手な人が演出したらもっとありきたりな作品に堕していたでしょうけど、最後の強盗から主人公が生き延びるエンディングまでの描き方がしっかりしていたので、やはり並みの監督ではないなと思わせてくれました。最後のエンディングロールでチャールズタウンの人から批判を浴びないように「大部分の人々は善良な市民である」って流したけど、そりゃそうでしょう!あれなかったら日本の人もチャールズタウンやべぇと普通に思っちゃうよね。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-30 23:01:36) |
49. アバウト・タイム 愛おしい時間について
《ネタバレ》 この映画はタイムリープを小道具にした人の一生をとらえたドラマと見るべきでしょう。リチャード・カーティスのあくまで創作過程の想像ですが、さえない男が意中の相手と結婚するためには・・うん、タイムリープを使おう、でもそれだと陳腐になるから、結婚後のドラマもしかっりこさえよう・・という感じなのかな。なので、タイムリープの設定はそんなにち密にしてはなく、あくまでドラマの進行を邪魔しない程度にとどめておいたというところでしょう。この映画も人生も一緒で結婚するまでのところがかなり盛り上がり、なりふり構わずのタイムリープ頻発が嘘臭さとご都合的なのをギリギリのところで抑えて、微笑ましい恋愛ドラマにしています。そして結婚後の平凡な日常を描くのに適度な頻度でタイムリープを入れ、人生のドラマを演出し、若干説教臭い人生訓を入れていますが、そこまで気に障るほどでもなく、よく抑制して描いていると思います。なので、これはSF的視点ではなく、人生ドラマとして採点してあげるべきでしょう。ティムの容姿もちょうどよく、レイチェル・マクアダムスもお相手役として釣り合っていてキャスティングも文句なしです。個人的には新婚さんや、子どもが生まれたばかりの夫婦が見ると、より感慨深さを感じる映画だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-29 22:41:33)(良:1票) |
50. アルゴ
《ネタバレ》 実話モノのエンターテイメントとしてはアメリカン・ハッスルよりこちらの方が完成度が高いかな(個人的にはあちらも好きだけど)。というかかなり優等生的で手堅すぎる。ただ、テーマと表現・演出方法は合致しているので文句を言う筋合いではない。うまいと思わせるのは偽映画の製作班たちとのエピソード。特にアカデミーにノミネートされたアラン・アーキンの描き方がこの映画に深みを与えている。単なる海千山千の映画人として描かず、家庭生活の悔恨などをベン・アフレックと語らせながら、ごり押しのプロデューサーっぶりもしっかりと見せる。終盤の空港からの脱出劇のハラハラさせ方は模範的ともいえる。CIA側からハリウッド側からと多元的に描写するところも心憎い。作戦終了後のアメリカでベン・アフレックに電話で「アルゴ、くそくらえ!」とアラン・アーキンが吠えるシーンがなんか好き。 [地上波(字幕)] 8点(2020-08-25 19:41:56) |
51. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
《ネタバレ》 いい映画です。こういう地味な人間関係のドラマで2時間見せるのって監督の地力が問われるので、サム・メンデスはやっぱいい監督です。前作のアメリカン・ビューティーもロリコンの部分がちょっと話題になりましたが、中身は結構地味な親子関係のドラマでした。ちょっとハリウッド1作目なんで少し派手目な演出もしていましたが、この作品に関してはチャカつきは一切なしで非常に素晴らしかったです。デカプリオってトム・クルーズと一緒でどんなに力演しても「デカプリオがやっている***」に私は見えちゃうのですが、この作品に関してはきれいにデカプリオが消えていましたね。ケイト・ウィンスレットといい演技合戦をしていました。この年彼女「愛を読む人」にも出ていたんですよね?まさに絶頂期ですね。見ていてこんだけ夫婦喧嘩していて子供が出てこないのっておかしくない?と意地悪な感想を持ったらすぐ次の場面で子供を預かってもらっているというセリフで回収している隙のなさ。サム・メンデスってこういう緻密さがあるなと前作の感想をふと一緒になって思い出しました。エンディングのキャシー・ベイツの旦那のズームアップもセンスあるなと感心です。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-08-16 22:57:02) |
52. シークレット・サンシャイン
《ネタバレ》 こういう映画って日本では少なく見積もっても平成以降絶対作られてないだろうと思う。創唱宗教が根付かないから、監督たちにこういう映画を撮る力もないし、そもそもモチベーションすらも湧かないだろうし。でも、別に制作サイドの問題じゃななくて受け手のレベルも低いから「○○劇場版」がしっかり産業になってしまう状況ゆえこういう映画を受け止める土壌がない。日本のエンタメレベルの低さの悲しさ。他のレビュアーさんが言っているように宗教による自縄自縛というか救いを求めたがゆえにそれ自身に傷つけられるという形而上の問いをテーマにしている。こんなテーマにしびれる日本人はまずいないとしても、導入部分はもっとテンポよくできたのではという他の方の意見に賛成。子供が殺されてからドライブがかかっていく感じだが、これも他の方が言っていたけどエンディングがちょっと肩透かしを食った感じ。このストーリー進行でどうやって最後終わらすかというのは確かに結構難しいと思う。ラストショットの象徴の提示の仕方ももう少し丁寧にした方がよかったような気がする。主人公の容姿の程度といい、都会からやってきて、無意識に地元の人を見下している描写などリアリティをしっかり追及していて非常に良かった。ベルイマンとかだとただひたすらテーマに関する問答を延々進めていく息苦しさにあふれるんだろうけど、この映画はソン・ガンホという狂言回し、ある意味主人公を見守るキリストの象徴を配置しているので、ひたすら哲学でなく、生活の中の宗教という形で描いていて疲れながら見続けるということはなかった。北欧とアジアの民族性の違いか?トータルで見ると技術的にちょっと残念なところもあるので、評価8.8点のところを繰り上げで9点にしました。 [インターネット(字幕)] 9点(2020-08-16 18:33:38) |
53. ビッグ・リボウスキ
《ネタバレ》 コーエン兄弟らしい映画ですね。ウォルターの切れっぷりといい、途中のデュードの夢のシーンとかああいいうシーンを入れるのも好きなんでしょうね。私は邪魔だと思うのですが、彼のこだわりなんでしょう。コーエンフィルムにしては全体的にあまり破綻なくきれいにまとまりすぎているので、若干物足りない感じがします。コーエン兄弟の良さは全体的な調和をあえて過剰にして崩すというかゆがませて、それでいて結構正統的に撮っているのが彼らの持ち味だと思うので。あとユダヤセンサー(?)が非常に効く私としては、彼らもユダヤ人の呪縛から抜けきれないユダヤ人クリエイターなんだなぁと改めて感じました。映画に関してユダヤ民族のアイデンティティーの作品の中への投影というテーマは結構調べると面白いと思います。個人的には。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-08-15 22:38:20)(良:1票) |
54. イコライザー2
前作がブランド品だとするとこの続編は単なる量産品という感じ。タクシードライバーだとやっぱりありきたりな設定だし、敵も今回はあまりキャラが立ってないし。つまらなくはないけど、まぁ、普通な感じ。監督も脚本も同じだけど、前作もありきたりなところを設定をギリギリとがらせたから、続編でそれを超えるのはまぁ厳しいかな。録画したけどパート1のように繰り返しは見ないかな。 [地上波(吹替)] 5点(2020-08-15 22:18:17) |
55. イコライザー
《ネタバレ》 必殺仕置人系というか甦る金狼系というか普段はホームセンターの店員、夜はダイナーで小説を読む孤独な中年黒人男性、しかしその真の姿は一人で反政府組織をつぶしたこともある腕利きの元CIAのイコライザーという設定。主人公の設定自体あまりなくてそのギャップ萌えと目の前に現れる悪党を叩き潰すエピソードをまぶしながら本筋のロシアンマフィアの用心棒との一騎打ちという王道のストーリー展開で、やはり見せ方が今までにないところを狙っているので単純に面白い。特に敵役のニコライのキャラもよく立っているので、二人のつばぜり合いをしっかり見せて最後に決闘シーンに持ってくる流れはちゃんとカタルシスをもたらす。しかも主人公圧倒的に強い。パート2が製作されたという納得の出来栄え。実際何回も懲悪シーンを見返すほどエピソードが面白い。特に好きなのはニコニコしながら東洋系のおばちゃんたちにマフィアのお金をねぎらいながら渡すシーン。絶対こんなヒーローはいないけど、会いたくなってくるほど魅力的。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-10 22:12:49) |
56. ゴーン・ガール
《ネタバレ》 よくできた脚本で、演出も落ち着いていて、最後の展開のひねりも予想できませんでした。実に面白かった。デビット・フィンチャーってこんな感じでしたっけ?非常に円熟した監督ぶりにちょっとびっくり。設定も細かくされており、親の名声に束縛されていた天才少女が、自分を受け止めてくれる夫とめぐり逢ったものの、お決まりの浮気され、プライドを傷つけられて死ぬ覚悟で用意周到な復讐劇を実行するのだが・・。うまいなと思ったのが、自分の完全犯罪ぶりに悦に入っていた妻がモーテルに潜伏中にバカップルに正体を見破られ有り金を巻き上げられる後半の急展開ぶり。なかなかよくできた脚本です。夫は自分の手に負えない妻を娶ったことを一生かけて後悔していくのでしょう。ロザムンド・パイク当たり役でしたね。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-08-01 23:03:18) |
57. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
《ネタバレ》 業界の裏話モノとして面白かった。話の内容は割とまともなドラマで、ああいう凝った手法で見せないと実に地味な映画になったと思う。あざとさはそれほど感じはしなかったが、主人公が超能力を持っている設定はあまり意味がなかったと思う。空を飛んでいるのを観客に空想と思わせようするのであれば、それであっても不要だと思う。アカデミー賞に値するかといわれると疑問だが、それでもひねりを加えてやろうという監督の意気込みはそれなりに成功していると思うので、まぁ、目くじらを立てるほどでもない。先に述べた超能力の設定の蛇足で減点1だが、エドワード・ノートンの人物造形とNYタイムズ批評家との論争が非常に良かったのでプラス1点。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-08-01 21:28:46) |
58. 愛を読むひと
《ネタバレ》 見終わって腑に落ちなかった点がヒロインが文盲を恥じる点ですが、他のレビュアーさんの原作を踏まえての評価を見て、なるほど納得はしました。演出やナラティブは非常にスムーズで静かな感動を覚える点など、さずが、スティーブン・ダルトリー才能あるなと感心しました。ただ、原作を読んでから見たほうがさらによりその描いているものの深さがわかったので、映画だけではこの点数とします。あと、不謹慎かもしれませんが、生き残った告発者がアメリカで成功し、ハンナは獄死するこのコントラストも監督は狙ったのかな?(原作を読んでないのでわかりませんが) [インターネット(字幕)] 7点(2020-07-25 22:56:23) |
59. フライト・ゲーム
《ネタバレ》 最後までダレることなく見ることはできた。リーアム・ニーソンははまり役だったし、彼の力演があればこそこの点数になった。ジュリアン・ムーアもヒロインとして老け具合からも丁度よい相手役だった。この映画はキャスティングで救われているところが大きいような気もする。ただ、みんなが言うように色々設定に粗が多すぎる。動機の弱さは許すとしても、見終わって振り返ってみて、機長と弁護士を殺したシーンは画面として映さないが、ストーリーの叙述を踏まえたとしても、あの犯人たちが実際殺せたか?という疑問が残るので、やっぱり減点幅は大きい。 [地上波(吹替)] 5点(2020-07-05 23:54:18) |
60. ドライヴ(2011)
《ネタバレ》 この監督はいろいろと狙っていると思いますが、この作品関してはその企みはすべて成功していると思います。お話自体は古いフォーマットで他のレビュアーさんがシェーンのまんまと言っていましたが、本当にそうです。この映画の魅力は色彩感覚とオフビート感だと思います。大体オフビートの映画ってあまり面白くなく、自己満足なのが多いのですが、表現方法と内容が一致しているブレッソンがまぁ、稀有な例ですが、その後の監督たちってただイキっている感しかなくて、イヤですね。それらとは違いこの作品は全体の流れの中で特に主人公とアイリーンのシーンにオフビート感を前面に出していて、後半にテンポが加速していきますが、全体的なバランスを考えれば破綻しているとも言えなくもないですが、あえて私はこれは統一感を無くして良かったと思います。かえって二人の心の交流が独特の色彩とマッチして、よりこの映画の魅力を浮き上がらせていて、非常にオリジナルなものにしています。何より監督がイキったアート系の作品に堕さずに娯楽映画として撮り切ったところが世界的にも評価された点だと思います。アイリーンの可愛さもちょうどよいという意見にも激しく同意です。キャスティングの勝利と言えるでしょう。2010年代の映画史のなかの一つの恒星にはなったのでは。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-06-21 18:17:05)(良:1票) |