581. ミュージックボックス
《ネタバレ》 非常に難しいテーマを興味深い手法で描いています。 戦争犯罪、特に罪のない市民の虐殺は絶対に許すべきものではないということは当然の事ですし、その犯罪に携わった人間は厳しく罰せられるべきであるということも十分わかっています。ただ、自分がジェシカ・ラングの立場に立ったときに同じ行動を起こせるかというと、正直なところ難しいですね。 ただ、これはホロコーストの問題に限らず、自分が生き残っていくため、仕えている国家や企業、そして自分の家族を守るため嘘を貫き通し秘密を墓場まで持っていく人間というのは確実に存在しているということは良く理解できました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-30 13:34:54)(良:1票) |
582. Endress Waltz エンドレス・ワルツ
芸術を追求する人間の苦しみ、そしてその破綻への道程を広田玲央名と町田町蔵が見事に演じています。特に町田町蔵の静かながら激しく燃える狂気の炎は前衛的なサックスの音とともに印象深かったです。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-30 13:03:43) |
583. 北京原人 Who are you?
《ネタバレ》 思ったよりはまともで鑑賞に堪えうる作品でした。ただ、丹波哲郎のキャラが突出していて、他の共演者のみならず映画の内容まで喰ってしまっているのがちょっと・・・ 原人役の演技は結構よかったなと思います。 [DVD(邦画)] 5点(2009-08-30 12:42:54) |
584. だいじょうぶマイフレンド
《ネタバレ》 ジュリエット・ビノシュのような 広田玲央名と、スーパージルバ(80年代ニューウェーブ!)は良かったですね。 ちょっと頭でっかちな若手文化人が、お金をたくさん使って、有名な俳優や音楽家なんかをいっぱい呼んで、盛大にスクリーンに自分の書きたいようにいっぱいお絵かきをした。そんな感じの映画です。 ある意味、凄く贅沢な映画ですね。当時お金を払って観ていたら確実に後悔してたでしょうけど、今ネタとして、そして80年代文化の検証資料として見ると結構楽しく観ることができました。 [DVD(邦画)] 4点(2009-08-27 18:19:18) |
585. 13デイズ
《ネタバレ》 シビリアン・コントロールの重要性を思い知らされる映画でした。あの時ホワイトハウスに冷静な判断を下すトップがいなかったら、今頃この世界はどうなっていたのかと考えると恐ろしくなりますね。 ホワイトハウス内の緊張感が最初から最後まで観ている側まで伝わってきて非常に見ごたえのある映画でした。 [地上波(吹替)] 8点(2009-08-25 09:46:04) |
586. バーダー・マインホフ 理想の果てに
《ネタバレ》 60年代から70年代にかけてのドイツ赤軍の動向がドキュメンタリータッチで淡々と描かれていて非常に興味深く観ることができました。正直、現在の感覚で観ると、疑問や嫌悪を感じる部分も多かったです(ただこの「現在の感覚」というのはこういった事実を消化した上に成り立っているのですが・・・・・)。 序盤のテロ活動のシーンなんかは妙に格好よくて、こういった集団に憧れる若者が出てくるのも無理はないなと思いましたね。それ故に、その理念よりも「格好よさ」に惹かれた第2・第3世代が暴走していくのが本当に良く理解できましたし、必要以上に神格化された第1世代の戸惑いや脆さが上手く映し出されていたと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-24 18:47:32) |
587. フレフレ少女
《ネタバレ》 何なんだろう、この物足りなさは・・・・。旬の女優を主演に据え、落ちこぼれが這い上がり成功していくというとっても前向きで爽やかな青春コメディーの王道なのだから面白いに決まっているはずなんですけどね。何か、矢口史靖作品のできそこないみたいな中途半端な印象なんですよね。まあ、嫌いじゃないですけど。 [地上波(邦画)] 6点(2009-08-24 18:05:22) |
588. KT
《ネタバレ》 なんというか、平和で平穏なように見える日本でも裏ではいろいろあるのだなということに気付かせてくれる作品でしたね(まあフィクションが含まれてはいるのですが)。事実に基づいた作品ということで、非常に興味深くそして面白い映画でした。この拉致された金大中氏が後に大統領となり、さらにはノーベル賞まで獲ってしまうのですから何とまあドラマチックな人生なんでしょうか・・・・。 残念なのは、佐藤浩市の立ち位置がもろにフィクションな感じでリアリティのあるスリリングな展開に水を差している事ですね・・・・。 個人的には、阪本監督に「日本のコスタ=ガヴラス」の称号を差し上げたいです(たぶんそんなもんいらんと言われるでしょうが・・・・)。今後も、社会派エンターテインメント作品をどんどん撮っていってもらいたいです。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-23 01:33:17) |
589. 禁じられた遊び(1952)
《ネタバレ》 テーマ曲は本当に哀愁に満ちていて素晴らしいです。ただ、映画の内容としては戦争孤児となった少女の哀しい姿を追いかけた話なのですが、正直感情移入がしづらいキャラクター(周囲を破滅させるタイプ)で評価するのが難しい作品でしたね。邦題にもなっている「禁じられた遊び」自体も遊びで済まされるような行為ではないですし、これを戦争や子供の純粋さと結び付けるのもどうかと思いました。 主人公たちよりもむしろ少女を受け入れた家族とその隣に住む家族との争いの様子が、戦争、そして戦争を引き起こしてしまう人間という生き物の愚かな実体を示しているように感じました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-08-23 00:44:36)(良:1票) |
590. やさしい嘘
《ネタバレ》 おばあちゃんの存在感のある演技に惹きこまれました。日本ではあまり知られていないグルジアという国の風景や生活の様子(水道や電気の供給がままならなかったりするようなところまで・・・)が映し出されているのも興味深かったです。 また、ある家族のエピソードが中心ではありますが、その折々にグローバル化の進む欧州において、移民を送り出す側の実情が描かれていて、いろいろと考えさせられました。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-23 00:13:07)(良:1票) |
591. 縞模様のパジャマの少年
《ネタバレ》 ネタバレになってしまうかもしれませんが、とりあえず頭をハンマーで殴られたかのような大きな衝撃を受けましたね。マーク・ハーマンが監督だとか、ポスターの雰囲気とかから、ちょっとビタースイートな少年映画かと思ってたのですが、まったく違いましたね。 この映画が伝えようとしているのは、ホロコーストはもちろんですが戦争という名の殺し合いの現実の中にファンタジーなんてものは全くもって存在しないということ、そしてその現実から目を背けても事態は決して良くはならないということではないかと感じましたね。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-23 00:12:03)(良:1票) |
592. 太白山脈
《ネタバレ》 一つの民族が2つのイデオロギーに引き裂かれ、悲惨な内戦へ進んでいく過程がある町を舞台に克明に描かれています。朝鮮戦争については、いろいろな書物やドキュメンタリー、また「ブラザーフッド」のような映画も出ていますが、そこに至るまでの時期についてはあまり知る機会が無かったので非常に興味深い作品でした。 昼間は主流派であっても夜になれば反動分子として処刑されてしまう不安定な情勢の中、日和見が許されない状況の恐ろしさはいかばかりであろうかと考えるだけで、背筋がゾッとします。 非常に見ごたえがある作品ですが、観る前に軽く予習をしておいた方が良いかと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-20 18:47:46) |
593. 私は「うつ依存症」の女
《ネタバレ》 心の病を理解することは本当に難しいですね・・・・。個人のキャラクターと病の境界があいまいで線引きが難しいんですよね。 当然社会生活を営んでいくうえで、病は治していかなければならないのですが、それによって自分のキャラクターも変わってしまう事に対する不安も良くわかります。 こういう当事者からのメッセージを伝える作品は、心の病に苦しむ人たちを理解するきっかけの一つとして貴重であると思います。そして、この病は決して他人事ではないことも教えてくれます。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-08-17 21:20:36) |
594. それから(1985)
《ネタバレ》 漱石の原作の雰囲気をそのまま映像化したような印象ですね。松田優作が高等遊民の孤高(ぶっているだけかもしれませんが)な精神や苦しみを上手く演じています。また藤谷美和子の不安定さが役柄に上手くマッチしていて良かったですね。 まあ、最後主人公は世間に放り出されてしまうわけですが、「それから」こそが本当の人生のスタートなのかもしれませんね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-17 21:19:01) |
595. グラン・トリノ
《ネタバレ》 イーストウッドが「男の生きざま」や「男の美学」を教えてくれる映画でしたね。本当に、こんな風に年をとっていきたいなと思わせるような名演技でした。 そして、どんどんおかしくなっているように思える現在のアメリカ社会の姿も映し出されていて非常に興味深かったです。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-13 16:09:52) |
596. 愛と平成の色男
石田純一の迷演技には失笑するばかりでしたが、逆にそれが楽しかったりしました。 まあ、リアルタイムで見ていたら間違いなく0~1点でしたけど、今見返すと何というかトレンディ(笑)な人たちのいじましい背伸びっぷりが見えてきて涙が出てきそうですw しかし、女優陣は豪華ですね。懐かしかったです。鈴木保奈美の大ブレーク前の姿も見れます。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-08-13 12:54:32) |
597. それでも恋するバルセロナ
《ネタバレ》 「永遠の神経衰弱症」ウディ・アレン翁もついに悟りの境地に達してしまったのか、なんというか禅問答のような展開でしたね。 ただ、普通なら「だから何なんだ」と言われかねないストーリーを、旬の女優とお得意のユーモア、そして美しいバルセロナやオビエドの風景をふんだんに使ってうまくエンターテイメントとして成立させているのは、さすがです。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-13 00:57:06)(良:1票) |
598. 潤の街
《ネタバレ》 いま、改めて観ると20年前はお隣の国ってアングラな存在だったのだなあと気付かされますね。まあ拉致問題とかいろいろあるんで、今も嫌悪感を抱いている人の方が多いことには変わりはありませんけど、少なくとも20年前よりかはマトモな関係になっているように感じます。 映画自体は、なんというか教育映画的で「歴史を知らず差別的な日本人」「逆境に負けずがんばって生きている朝鮮人」というステレオタイプな図式から抜け出しきれていない印象を受けました。物語的には良くできていると思いますけど。 まあ、このテーマを真正面から扱った映画を商業作品として製作・上映したこと自体がこの当時としては評価されるべきであるのかもしれませんね・・・・ それと、1980年前後に書かれた脚本をそのまま映像化しているからなのか、1989年の設定とは思えない社会風俗の描写のズレが気になりました。 [インターネット(字幕)] 6点(2009-08-12 18:07:52) |
599. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 イスラエルの普通の人々の日常のドラマを、幻想的な映像を時折交えて詩的に温かく描いた良い映画でした。幻想と現実の場面の組み合わせ具合が非常に絶妙でしたね。脚本や映像の構成、出演者の演技も見事でした。 また、イスラエルがさまざまな国からのユダヤ人移住者によって成り立っていることや、フィリピンなどの海外出稼ぎ労働者が多く働いていることが描かれているのも興味深かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-10 09:37:57) |
600. 戦場のレクイエム
《ネタバレ》 正直前半の戦闘シーンは生々しさや迫力は感じたもののやや退屈でした。しかし、生き残った主人公が部下たちの名誉回復に向けて動きまわる後半は本当に戦争というものの非情さを見事に描いていて見ごたえがありました。 国共内戦から朝鮮戦争への参戦といった中国の戦後史の様子が描かれているのも興味深かったです。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-10 09:07:17) |