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プロフィール
コメント数 1693
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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581.  流浪の月 《ネタバレ》 
結論的には、極めてシンプルな(文字通りの)「純愛もの」なのですよね。もう、メロドラマと言っても好いヤツかと。偶然の邂逅ではあったものの相性とゆーのが何から何までドンピシャで、だからお互い相手が自分の唯一無二だとも、そして(翻って)自分が相手にとっての唯一無二だとゆーのも総て(何となく)悟っては居て、時を経てまたそれが確信に変わってゆく…と。だからコレも結論、どっからどー見ても(理性の箍など弾け飛ばしても)「そーなるしか無い」お話なのであって、ソレがそのままそーなったこの結末自体は(別に)本質的にバッド・エンドというワケでもないのでしょうし、個人的にもある程度腹には落ちたトコロでありますし、また見ように依っては美しい…と言っても好いモノなのかも知れません。加えて、単純に映画としても(好いか悪いかで言ったら)諸々と出来自体は好い方だ、ともまた確実にそー思うのです。  ただね……如何せん、前述どおり理性なんざクソ喰らえ!なお話だとは言え、それにしてもと実に感情的で非・理性的な人物しか出て来ないお話でもあり、だから個人的には中々感情移入の取っ掛かりってのが全般的に見い出せませんでしたです(終始ウンウン唸って観てましたですよ)。中でもとにかく主役の二人は、そもそもじゃあ誰が一番悪かったのか?と言えばンナモン松坂桃李に決まってるだろ!(発端は)とも思うのですし、広瀬すずちゃんだって(中盤~終盤は結構謝り通しに謝りまくってるワリには)自分の感情の在り方なんかには実に確信的で頑なでもありますし…  どだい、このお話は横浜流星があーいう極端なキャラだから多少見え方が変わってる、とも思うのですね。で、彼がもう少し真っ当なキャラだったなら、またきっと全然違うお話に見えていた…とも思うのですよ。ソレこそが、つまりどーいうお話に放り込んでもこーなったであろう…とゆーのがこの二人のある種の「本質」なのであって、だから厳しい言い方をすれば(社会の中で正道を歩んでゆけそーにないという意味では)この二人は一種「社会不適合者」だ、とすら思うのですね(あくまで個人的には)。モチロン、ソコには「理由」とゆーのがチャンと在るんですよ、でもコレも、じゃあ何かしら理由が在るのならソレがそーであっても善いのか、とゆーと、そーじゃないだろ…とゆーのがまた私の結論なのですね(まあ、別に彼らは最後に「幸せ」に為れなかった…というワケでもないのでしょーから、外野の意見なんても~関係の無いコトかも知れませんケドも)。  その意味ではやはり重ねて、個人的にはちょっと本質的な意味で主役二人への感情移入の難しいお話ではありましたし、更にその意味でゆーと(どちらかってーと私は)彼らに巻き込まれて不運な目に会った種々の人々…の方に(少しだけ)同情してしまう…という感じなのですよね。観終わっては正直、ムムム…という感じでしたかね。
[映画館(邦画)] 6点(2022-05-14 00:01:15)(良:1票)
582.  此の糸 《ネタバレ》 
非常に古典的な一方通行の三角関係を描いているが、一部に男→男のベクトルが混ざり込むってのは(今やもう古臭いという様な視点からすれば)やや「トリッキー」と言えるのかも知れない…のかね。そして本質的には完全にコメディだ…という短編でもあって、例えば告白をさせといてすぐ振っちゃう女の辺りは(個人的には)相当に爆笑してしまった(ただココとても一人だけ傷つかないのは確かにフェアとは言えないのだし、その「禊」を迫るのは一重に今後もこの関係性を続けていきたいというポジティブなモチベーションから故なのだろう、とも)。緩やかに、そして誰もが幸せになれるゴールに近付いていって欲しい、と3人を応援したくなるくらいには、全体としてもごく温かい出来映えではあったか…とも思う。  撮影(画質)・録音等、お手製感・リーズナブル感は満載だケド、役者の演技は素朴ながらまあまあ観れる出来だった様にも思う(ただし、男ふたりが殴り合う1カットのナアナア感にはふと脱力もしたけれど)。そしてこの映画で一番手間がかかったのは、ラストでただ解く為だけに編んだであろうマフラーではないか、とまた思ったりね(コレも確実にお手製だし)。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-05-10 23:22:46)
583.  tarpaulin 《ネタバレ》 
27分のワンカットだが、ソレは明確に3つのパートに分かれる。次第に不穏さを増してゆくひとつの会話⇒ただ歩く男⇒その先に(何故か)訪れるギターの弾き語り(⇒そしていつしか再び繋がれる手と手、と、そのままエンドロール)。  要するに(と言ってしまえば)、どー見ても一番重要なのは「歌」であり、率直にただコレを活かすことが主眼の短編であるとも(個人的には大いに)感じられるのだね。ただ、不自然に唐突に割り込んで来るにも関わらず、その音楽が放つ鮮烈さとそして一気にその世界観に引き込まれてゆく感覚てのは、実に意外なマデに素晴らしかったとも思います。ある種、非常に上質なミュージックビデオの類いだとも言えるかも知れないですかね(勿論、楽曲自体が上質なコトを踏まえたうえで、だケドも)。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-10 23:22:44)(良:1票)
584.  TUESDAYGIRL 《ネタバレ》 
男二人は見た目がチャラいワリには中身もダサい、とゆーか。ソレに引き換え、女二人は大人しそーな見た目のワリには感情表現がラディカルとゆーか素っ頓狂とゆーかメンヘラ気質とゆーか、結果的に男は終始圧倒され通しである。  ボンヤリ観てゆく分には突っ込みドコロが豊富⇒ごくコミカルに面白く観れるのだケド、結局ナニが言いたいのか迄はイマイチ伝わって来ない…とも言える。特になんか妙にグロテスクなラストは、コレって要りますかね?(⇒実は、エキセントリックな女に振り回されるボンクラ男、とでもゆーのが「裏テーマ」だったというコトなのでしょーかね)全体としてもちょっとノペっとしてる感じも在るかな、とも。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-05-10 23:22:41)
585.  すばらしき世界 《ネタバレ》 
世界は決してただ美しい、素晴らしいモノではないのであって、多くの不条理・不正義・不公平と残酷な運命に満ち満ちている。それは人ひとりの力で何とか出来るものばかりでは全くないのだし、そもそも人智に依っては如何ともし難いことだって今だ数多く存在する。だから残念なことに「努力は人を裏切らない」とか「人生は何度だってやり直せる」だとかいう美辞麗句というのは、言葉の使い方の問題でもあろうが確実にそこに「嘘」を孕んでいる、とも思うのだ。人生とは、この世界とは、元々全く「ままならない」ものなのだろう、と考えている。  でももし、そこにただ純粋に素晴らしいことがひとつだけ在るとしたら、人が自分の人生を少しでも、ほんの少しずつでも「前に」進めようというささやかな意志を持ったのならば、その人生はどんな時でも、ほんの少しだけはより善い・より意義深いものにきっと変わるだろうということなのだ。例え明日死ぬとしても、その明日を今日よりも少しだけ何か意味の在るものにすることはたぶん可能なのだ。それだけが、人に許されている唯一つの絶対なのだ(人生の意味とは、ただひたすらにその積み重ねでしかないのだ)。だから、それでも世界は絶対に素晴らしいのだ、と。
[DVD(邦画)] 9点(2022-05-08 18:20:35)(良:1票)
586.  ハンバーガー・ヒル 《ネタバレ》 
ベトナム戦争ものでは同時代の『プラトーン』なんかにも率直にかなり似てると思います。どちらも戦争の悲惨さを描くコトがモロ主眼、てのは間違い無いトコロかと思いますが、『プラトーン』がより総合的なその悲惨さを種々のシーンを通して描いていたのに対して今作はもう少し単純とゆーか、とある戦闘(アパッチ・スノー作戦)の苛酷な状況を通して戦争の悲惨さを描き出そう、という映画になってますね。  序盤はノンベンダラリとした暢気な戦争ものにも見えるのですケド、中盤以降その登坂作戦が開始してからはかな~り壮絶な戦闘が延々と続きます(アメリカ軍の作戦としては素人目にも相当に「無謀」に見えるのですよね)。また、味方のヘリコプターによる誤射でしこたま犠牲が出た…とかってのも印象に残るシーンだったかな、と。ただ、作戦の詳細・軍事的な意図とかも正直よー分からんし(ひたすら登れ!てなコトにしか見えん)描写も同じ様なのが続いてゆくので、後半は正直かなり単調にも感じられましたかね(『プラトーン』もそーいう感じだったかとは思うものの)。個人的には別に『プラトーン』の方が全然上、とまでは思わないのですケド、ドッチかと言えばアッチを観るかな…てのは私も同意見ですかね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-05-07 22:10:26)
587.  エル・スール 《ネタバレ》 
青春と自我の目覚め、その一つの顕れとしても、自分の知らない「親の人格」を意識し始める…とゆーのはある種普遍的な要素と言えるかも知れない(「エル・スール(南)」とはその象徴なのだろう)。その部分の分かり易さ・明解さも含め、『ミツバチのささやき』よりは多少取っ付き易い作品かとも思われるが、完成度とゆーのはこちらの方が更に上かも知れないすね。まずはとにかく、また何処も彼処もまァ~画が美しいコト!絵画的で、んで陰翳の使い方が実に絶妙なのですよね(コレは質素なよーで超・凝りまくってるってヤツだなと思えましたよ)。あと、音楽の入るシーンなんかも少ないのですがソコの選曲もまた絶妙で、その点からも要所の雰囲気は素晴らしく文芸的で心地好いモノになってましたです(まァのみならず、全体的にも雰囲気とゆーのはごく最高でしたケドね)。台詞も(字幕なのに)実に詩的で、原語で理解できたら尚感動できるというモノだろうと確信しております。(タルコフスキーを除けば)個人的には『ミツバチのささやき』『ツィゴイネルワイゼン』と今作が自分史上ベストという(文芸映画的)アート系映画になりますかね。重ねて、超ハイレベル作品でした。
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-07 18:32:08)
588.  ヴァルハラ・ライジング 《ネタバレ》 
おそらく低予算作品なのでしょーが、それ以上に秀逸でユニークな一種のアイデア作品だ、とは思うのですよ。神話系の歴史ものをオールロケ(つまり全部野外)で撮るという一種の奇想天外ながら、そのロケ地(たぶん北欧?)の雰囲気があまりにも素晴らしい故に試み自体はかなり高度に成立していると思いますし、その分浮いた予算を注ぎ込んだキャラの野卑なルックス面+凄惨なアクションシーンの出来は決して悪くなかったと思いますし、また監督一流の静かな(所々スローな)映像のクオリティもまた素晴らしかったと思いますし(特に、固定カメラで捉えた風景映像の雰囲気は結構極上だったかと)。  ただ、映像の出来という面では一点、一方で人物やアクションを撮る際の手持ちカメラ+接写⇒で結構ガシャガシャ動きまくる生々しい画ヅラ、とゆーのは、全体のやや荘厳な雰囲気とは少しそぐわないモノだった様にも(個人的には)感じられました。なんとゆーか、コレも決して悪くはない部分も在るとも思うのですが、思いの外ちょっと「チープ」に見えてしまったという感覚の方が強い…てか。そーなってくるとその所為で(=雰囲気がハイ・ソサエティ寄りにイマイチ統一され切ってない為に)ストーリーの方がコレも高度に訳ワカメ、というウィークポイントの弊害的側面もやはりより強く感じられてしまう…とでも言いますか(=もし雰囲気の方が高度に統一されているのなら、神話的雰囲気映画としてもう少しハイレベルに成立したのではないか、と)。結論的には、ちょっとこーなったったのが惜しまれるアイデア、ではあったかと。
[DVD(字幕)] 5点(2022-05-07 15:49:44)
589.  悪魔の部屋(1982) 《ネタバレ》 
一見はかな~り好くある感じの監禁調教モノに見えるのですが(とは言えまぁ最初から調教モノには見えないって感じですケドね)、序盤からそのレイプシーンはコレもかな~り生温くて、え、和姦?てな具合に大して盛り上がらないのですね。で、中盤には早くも女の子の方は完落ち状態になってもーて、コレには私もえェ…?となってしまいました(私以上に犯人の男本人がも~ドン引きしてましたですケド)。ただし、その辺の疑問点はオーラスまで観てみるとお話としてはチャンと繋がるってヤツなのです…が重ねて、サスペンスとしてはともかく(とはゆーてコレも在り来りっちゃあ在り来りなハナシだとも思いますが)エロティックものとしては序盤~中盤以降まで大部分での生温さがチョイと観ていて退屈(テンション上がらない…)という感じすかね。イマイチ。  主演の中村れい子さんは、ルックスは確かに相当な美形でもあるのですが、演技の方はコレもかな~り微妙で中盤の長台詞のシーンの棒読み大演説はだいぶ酷かったすね。濡れ場としても、基本ベッドで寝そべってる等の「安置されて動かない」シーンばっかで、つまりはその場面のややこしい動き・表情や声の大きな表現とかにもいくぶん制限(スキル的な限界)が在ったというコトにも思えます(なんか「大人の事情」的なヤツかも知れませんケドね)。男の方も、その小狡そーで陰険なルックスは序盤のキャラには好く合致するのですが、オーラスまで観ると随分とナイーブなヤツだったりもするのですよね。だったら、もっと素直そーで単純なイケメンに演らせた方がコレも好かったんとチャウかな…なんて思ったりも。
[DVD(邦画)] 4点(2022-05-07 13:27:34)
590.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
多くの方が仰る通りに、私も初見或いは(かなり以前に)二度三度と観ていくうちは「オマハ・ビーチは確かに凄いんだケド、その後のお話があんまし…」と思ってました。今回、かなり久し振りに再見した感想としても、ソレは(ある面では)確かにそーだとも今だに思ってるのも確かです。ただ今回観直すと「オマハ・ビーチは面白い⇒そっから先はイマイチ」というコトではなくて、単に「オマハ・ビーチの印象が(史上最強レベルに)鮮烈すぎる」というコトだった様にも思います(流石に何度目かの鑑賞でその部分の印象もだいぶ落ち着いてきた故、そーいう気持ちに為れた…とでもゆーか)。  コレも確かに、映画として或いは映画の「構成」としては(初っ端が最高!てのは)まぁ宜しくないコトかとも思います。でも、より大局的に例えば映画産業全体として或いは映画の「歴史上のイベント」として捉えるならば、どー考えても(アレをあの様に撮ったコトは)正しかったと確信していますし、重ねてそれ以降のお話だって(その部分の印象をニュートラルにした状態で好く見れば)相当に好く出来たモノだとも思えましたよ。コレまたこの部分は確かにテンポ重め・かつ人間ドラマも少し弱め(少なくとも一般映画と比較して「強く」はない)のもまたそーだと思うのですが、まずテンポは重く撮るしかない話だとも思いますし、そしてこれ見よがしな人間ドラマで飾り立てないコトこそが今作における「リアリティ」なのだ(=戦争とゆーのは、本当に普通の人々がやらされていたコトなのだから)とも思います。諸々と、当然の如くに徹底的に考え抜かれている映画だ、とゆーのも今回観て大いに感じ取れたと思うのですね。  10数年ぶりに5,6回目の視聴でしたが、今回が一番面白かったですね。やはり、このジャンルでは金字塔と言って好いかと。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2022-05-07 00:23:45)
591.  きみの鳥はうたえる 《ネタバレ》 
ムム…正直ほぼラスト付近まで、中々ハイレベルにグダグダとしてるこの3人にはどーにも共感とゆーのが持てなくて、ハッキリ言えばちょっと白けて観てましたね。特に柄本佑は率直に結構なクズでもありますし、それでいて諸々と妙にボヤっとしてる様子なんかにゃモ~「シャキッとしろや!」とかな~りイラついて観てたと言って過言ではねーのですわ。個人的には(思いがけなく)中盤からはかなり居心地の悪い映画だったかな、と。  ただオーラスまで観たトコロで多少、ソコについては思い直しました。ゆーて私も割と(就職した後何年かなんかは)ボヤっとしてたなぁ…とも気付いちゃったのだ、とゆーか。首尾好くレールの上に乗って居ようが居まいが、特に自分の人生に対して結構テキトーに生きてるってのは若いうちはまま在り得るコトなんだよな~とも思ってしまったのですよね(=私の柄本佑に対する感情は一種の「同族嫌悪」だったのかも知れないすね)。ラストで彼はソコに対してはある種「決別」したとゆーか、少なくともある分野(=恋愛)においては「人生を自分で前に進めよう」という意思を見せた…のだと(個人的には)思いたいのです。その兆しがささやかな(かつちょっと甚だ「信用ならない」という)モノであったとしても、その部分の本質的なポジティブさ(ダケ)は私にもとても爽やかで心地好いモノだった…というコトで、ソコでちょっと取り返してのこの評点で。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-06 18:59:18)
592.  死刑にいたる病 《ネタバレ》 
原作未読。ある種「二本立て」という感じの構成で、岡田健史自身に関わるお話と、そして阿部サダヲの「九件目の殺人」の真相を追うお話を織り交ぜて進行してゆくのだケド、結論から先にゆーと、映画全体としてはサスペンスとして十二分に面白い作品だとは思いつつ、その二つのお話の真相とゆーのはどちらも衝撃的とまで言える程のモノではなかったかな…とゆーのが正直なトコロなのだすね。特にこの映画では「九件目の殺人」の話はどーいうコトだったのかがやや判然としないまま終わってゆくのだし、示唆される「真相らしきモノ」がもし真実なのだとしたら、更にドコがどーいうコトだったのかを事細かく訊きたいゾ!という意味でも色々と少~しモヤっとしたまま終わってる…とは思うのだよね(原作ではソコもも~チョイ詳細に語られるとゆーコトらしいのですが)。  ある意味、二つの話はそれぞれが単独では映画の題材にはならない程度のレベルかな…という感じなのですね。でも、その二つを巧みに重ね合わせてかつ緻密な展開・人物造形でもって補強するコトで(一つの作品として)完成度を高めて見せている、という感じかと思うのですよ。その意味では、特に登場人物のキャラ設定の部分は諸々と好く出来ていた・各キャラも巧くリンクされていた、と思いました。中でも阿部サダヲのキャラクター・行動原理にはまま強力な説得力が在りましたね(私はなんとなくジョン・ウェイン・ゲイシーをイメージしつつ観ていましたが、今作の阿部サダヲは部分的には彼よりも更にサイコパスの度合いが深い様にも思われましたケドね)。また、その阿部サダヲの恐ろしさを常に孕む演技も、あとは岡田健史の不安定さを巧みに醸し出す演技も、どちらもまずまず優れたモノだったとは(コレも確実に)そー思うのですし。  ただね~一点だけ、オーラスは……個人的にはコレちょっと余計だった様に思えましたかね。阿部サダヲの「九件目の殺人」について、やや判然としなかった…とは先ほどそー言ったものの、彼が年貢の納め時を悟ったが故にその行動様式に変容が生じたのだろう…とか、収監されても尚心残りの「かつての標的」を害せんが為に「遠隔的に」犯行を企てていたのだろう…とか、そーいった部分は(コレも重ねて)合理的かつ説得力もある展開だったと思うのですよ。んで、確かにあの彼女の岡田健史への近付き方の不自然さ、とかだって伏線としては決しておかしいモノでもないかな…とだって思ったりね。でもやっぱり、彼女はナニがしたくて(=阿部サダヲがナニをさせたくて)あーいうコトになってるのか、という部分はソコまでの話と全く繋がらないとは思いましたし、だからやっぱコレって「意外性重視の思いつき」にしか見えなかったりするのですよね(ココは原作とは異なる展開なのでしょーかね)。コレもある種、結局は二つの話のオチがそこまで「強くない」コトの弊害でもある様に思われます(でもゆーて、個人的には岡田健史がある面で阿部サダヲに「勝った」という話として終わらせる…でナンの問題も無かった様に思われるのですケドね)。  その他、まずメイク技術ないしは修正技術の進歩なのか、阿部サダヲや中山美穂リンは若い頃のシーンもチョコチョコ入るのですケドその部分の若作りに違和感が全く無かったのは好かったなと思いました(イイ時代になりましたね)。また、本作はPG12なのですが、特に序盤にチョコチョコ入ってくる拷問シーンは(普段そーいうのばっか観てる私の感覚でも)フツーにR15+レベルだと思いましたね(苦手な方はご注意ください)。
[映画館(邦画)] 6点(2022-05-06 13:34:32)
593.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
やりたいコト自体は比較的にもシンプルとゆーか、アクション・ジャンルとしては要は「緩急」或いは「静と動」を対置して双方を際立たせる…てのがコンセプトの主要部分かと思います。かつ(のちの『ネオン・デーモン』なんかを観る限りでも)中で監督が真にやりたいのはその「緩・静」の方だ(=その部分におけるどこかハイソな映像+音楽表現の方だ)ともやはり思われるのですよ。個人的には、実は「急・動」の方は(ごく大部分を占める緩やかなシーンとの対比に依って)非常に印象的には見えているものの、片やの「緩・静」のシーンのユニークさに比べればソコのクオリティ自体はごく一般的、かつ今作では若干の「やり過ぎ」感も無くはない…てのが正直なトコロで。一方で、今作が大いに一般ウケをも取れているコトの理由は、重ねてその緩・急のバランスの好さ(つまりは「急」なシーンの質的・量的な配分の適切さ)とあと単純に尺が長すぎないコト、がソレだとも思うのですね(逆に『ネオン・デーモン』はソコをやや失敗している、と)。結論、シンプルな様で実に完成度の高い、ごく高度に練られた作品だとはまず思ったりしますね(間違い無く作家性のごく高い方の映画だとも思いますが、一方でやりたいコトをやりたい儘に只やってるダケの作品では全然ないかな、と)。  他方、尺がコンパクトで緩いシーンも(当然)多い…ので、実はお話自体は極めてシンプルかつ軽い内容にはなっていますよね。だから同じアプローチでコレ以上の完成度の作品はあまり望めないとも思いますし、俳優なんかも今作はも~奇跡的と言って好いドンピシャな配役になってたな…とはまた思うのです。ライアン・ゴズリングにせよキャリー・マリガンにせよ(表向きは)実に柔和で、彼らのつくり出すナンともマロい空気が個人的にはまず絶品だったのです、が、でもそんな中にも仄かには彼らも確実に翳や憂いを忍ばせている…という「不穏さ」がそのマロやかなシーンの中に引っ掛かるコトで、次に何か(悪いコトが)起こるのではないか…というサスペンスの感覚・醍醐味をも(ワリと高度に)維持している…てのがまた逆にも~メチャ気持ち好かったのですよね。その意味でも、オーラスなんかも私スゴい好きですねココ。眼を見開いて微動だにしないゴズリングは、結局(数えたら)35秒も瞬きすらしなかったすよ!(軽く眼ェ痛かったでしょーね)
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-06 02:03:24)(良:1票)
594.  ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス 《ネタバレ》 
アベンジャーズの中でもドクター・ストレンジは能力の「質」的な部分でいくぶん次元が違うので、コレと対等に喧嘩できそーなのを既存キャラからお手軽に(説得力込みで)引っ張って来るとなると確かにワンダくらいしか居ない…とゆーのにはまぁ納得もできるのですよね。しかし、ドラマの方でなんかどーかしちゃったらしく(ソッチは未見)今作のワンダは幾らナンでも強すぎるとゆーか、ちょっと桁違いにはなってもーてますのよね。片やのストレンジはコッチはちょっと弱すぎるとゆーか、今作では(ド初っ端含め)かなり苦戦に苦戦を重ねているコト自体は少なからずご都合主義にも思えますし、やはりそもそも今作のワンダはまた最初から最後までほぼ徹底して悪役の敵役で、かつラストもごく救いも無く終わってゆく、そのコト自体にもまま疑念の方をより強く抱くという人が決して少なくないとも思うのですね(私自身、可愛いし一途だしで結構好きなキャラだったので今作の顛末は確かに残念⇒それ以上に「可哀そう」だと思ったのが正直なトコロで)。  しかし、ソコも含めて全体の雰囲気はシリアスでキレ好く、かつ哀しみややるせなさといった(マーベルでは少し珍しい方の)質感も含ませて上手に纏め上げられており、中々「いつもの感じ」と違うヒーローものとしての新鮮味に近いモノも在ったと思いますし、また単純に筋も面白かったと思います(テンポその他もごく良好で)。そしてそれ以上に、監督に(ナンと)ライミを起用した最大の効果と言いますか、どれもごくホラー風に仕上がった個々の描写にもまたキレが在ってこちらもユニークさも感じながら非常に楽しんで観てゆけたのですね。結論、内容にせよ空気感にせよ多少好みは分かれる系統かとは思いますが、私自身はどちらもドンピシャに好みだったコトを加味して(少し甘めに)高めの評点としておきます。  ライミ御大、偶に仕事してると思ったらこのクオリティて、ファン泣かせも好いトコロですぜ旦那!大人しく次回作も監督して下さいね(別に他のホラーでもナンでもイイからも~なる早でお願いしやす)。
[映画館(字幕)] 8点(2022-05-05 14:28:25)
595.  ゾンゲリア 《ネタバレ》 
結論から言えば、確実に(邦題どおり)ゾンビ系統の映画ではあります。ただ、そのゾンビの性質はとゆーと(ロメロ後の年代ではありますケド)ロメロ的ゾンビではまずなくて、第一には古き良き戦前からのブードゥー・ゾンビ…という系統なのですね。そして更に言えば、今作におけるショック描写の質感とゆーのはそのグロさの度合い等が(コレは同時代の)フルチ・ゾンビの系統でもあるのですよ。ある種「時代の徒花」とでもゆーか、こののち結局は淘汰(=ロメロ・ゾンビに統一)されていった種々のゾンビ的要素を併せ持つハイブリッド・ゾンビ…という作品なのかも知れませんね。  ダン・オバノン渾身のシナリオではありますが、お話自体は全体として比較的シンプルで分かり易いモノかと思います。だから(殊に現代に本作を観るうえでの)一番の「ウリ」というコトになると、前述したショック描写のキレ味⇒「陰惨さ」という部分になるかと思うのですね。特に集団でのリンチ的な殺人描写がかなりドギツいが故に一部地域では上映禁止処分を喰らったというコトらしく、ソコには現代でも尚見応えとゆーのが立派に備わっているかと思います。またやはりホラー描写としても(人間性と悪意を兼ね備えた半怪物が大群でワラワラ群がって来るってのは)率直にかなり怖い・恐ろしいモノでもあります。重ねて現代では、フルチ的・イタリア的なキレキレのグログロをごく分かり易いお話の中で観てゆける…という取っ付き易くて手堅いクラシカル・ホラー、てな使い方が出来るヤツかと思いますね(だから意外とこの邦題は適切だな…と思ったりも)。加えて、ごくオーソドックスな感じで話が進行していく中でもラストの一瞬にはシナリオ上でもかなりのキレ味を誇る「仕掛け」があって、ソコで(狙い通りに)ビックリ出来ると更に楽しめる…かと思います(私はまんまとハマりました)。ネタバレ厳禁のうえ、興味のある方は是非。
[DVD(字幕)] 6点(2022-05-05 00:32:26)
596.  大頭脳 《ネタバレ》 
ベルモンド繋がりで観に来るとま~平時のベルモンドものでもあるかと思いますが、今作はキャストがなんか妙に豪華ではありますね(ゆーてまァ1・2・3本釣り!て感じですが)。イーライ・ウォラック、ブールヴィルも流石のコミカルな風情が冴え渡ってますケド、ナンと言っても出色はデヴィッド・ニーヴンでしょう(てゆーか普通に「主役」だし)。今作でもまだまだ全開に粋なイケオジでもありますが、それで居ての絶妙なコミカル具合も『カジノ・ロワイヤル』に負けず劣らずなハイ・クオリティです。アクションとしてはコレもまァクラシカルな出来(=今となってはややチープぎみ)ですケド、全編通しての楽しそうな雰囲気は(前述どおり)素晴らしいモノですし、そしてオーラスの大騒ぎは(ばら撒かれる札束の量が凄まじいコトもあって)非常に好いドタバタ・コメディに為ってたと思いますかね。結論、諸々と観る価値自体は今なお全然十ニ分な良作だと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2022-05-05 00:16:43)
597.  KKKをぶっ飛ばせ! 《ネタバレ》 
『ぶっ飛ばせ!』たァ、率直にだいぶ日和ってるな…とゆーか(コンプラ上等)どー考えても適正なのは『ぶっ殺せ!』ですケドね(双方、ハナから皆殺しにするコトしか考えてねーです)。あと実際の事件を再現した…てのも、ま~嘘八百ですね(そーいうマジメな映画では毛頭ありません)。要は、輸入品の劇場公開作としては今どき珍しいまでのコテコテのB級(未満)!てヤツですわねコレ(否、意図するトコロなのかはイザ知らず、結果的にこのレベルの質感に為り果ててる映画自体は最近でも結構見かけますケドも)。お話の内容の無さといい、演技・演出諸々の安っぽさといい、コレも今どき全くCGを使わないという漢気、あとは肝心のショック描写だって総じてどれも今まで観たことが無いとゆーコトもない根本的な二番煎じ感といい、この手のとしては意外と上映規模も大きいんだケドもアレレのレ?という「驚き」の方がまずは胸に去来した…て感じすね。  監督はイギリスの制作会社「ダーク・テンプル・モーションピクチャーズ」を自ら率いてる御仁とのコトで、かつこの会社設立もごく最近(2015)であったりと此奴めは多分けっこう若手だと思うのですね。でも、意外なまでに本作て(+この会社の他作品含めても)質感はメッチャコテコテ!とゆーか、もう30年以上前からのB級ホラー(特に80年代中盤~90年代、00年代前半までくらいのゴア作品あたり)を愛して育った世代だな…という気が大いにするのですわ(=もはや一種のシンパシー)。重ねて、本作がアメリカでは大々的に上映中止の憂き目を見た…てのは(そもそもホントのコト?=ただの宣伝文句の作り話じゃね?とも思いますが)ソレって内容が過激だからとかではなくって、単純に質感が古臭すぎて相手にされなかった…てなコトだとはコレもひしひしと感じ取れるのですよね(まあ、アメリカには今でもKKKってのが現存してるのでして、その方面のリスクも無くはなかった…てなコトなのかも知れませんケドも)。  しかし、私はこの映画を大いに存分に評価して、そしてこう言わせて欲しいのです「コレこそが、我が青春のゴアである」と。チープな質感の気楽さもそーですケド、やっぱね~CGなんかクソ喰らえっすよね~私が死ぬまでに何度だって観たいのは何処までも、吹き出る血潮(=血糊)とナンだか分からない(=ナニで出来てるのか判然としない)肉塊らしきモノが弾け飛ぶというリアル!でしかねーのですわ。前述どおりゴア描写も総じて在り来りではありましたが、クオリティ自体は(B級としては)まま頑張ってる方でしたし、何より今作は(この手のでは「違い」を生み出すのにワリと結構肝心な)カメラワークについても思った以上に達者にも見えましたよ(構図も色々とまあまあセンス有ったし、特にアクションシーンはカット割りもまずまず手が込んでいて)。あと、無駄・無用なモノも潔く削ぎ落せていてテンポも終始相当に良好・尺もごくコンパクト(加えてOPとEDの曲がノリノリ)なので、気楽に観る分には思いの外リズミカルにスピーディに楽しめる…てな気もしました(勿論、この安い質感+そこそこ高度なグロ、をおおらかに許容できるという映画的素養は必要になると思いますケド)。結論、こんな映画を映画館で観ちゃった…という物珍しさで多分に補正が掛かっている気も(少なからず)するっちゃするのですケドも、私としては是非に!とオススメしておきたい作品ですね(1点プラスしておきます)。
[映画館(字幕)] 6点(2022-05-04 22:11:23)
598.  N号棟 《ネタバレ》 
ムムム…質感はB級以上A級未満、といった感じでそこそこ予算が取れてそーな感じなのですが、脚本のレベルの方はハッキリ言って激・稚拙なのですよね(=粗が凄く目立つ)。でも「心霊現象をダシにしてカルト宗教を組織する+その舞台がボロい団地」というコンセプト自体は、シンプルにワリとありそうでもあるしホラーとしても結構怖く出来そうだし(=イヤ~な描写を色々思いつきそう)そしてどっちにしろ和ホラーならでは…という質感のモノにも為りそうだし、で確かに相当な良アイデアにも思えるのです。加えて、萩原みのりちゃんは絶賛売出中、筒井真理子さんもゆーてホラー・スリラーと親和性ごく高そうだし、で実は結構期待してたのです…ケドも……  結論、結局はナニに一番不満が在るかとゆーと、敵ってよりはむしろ味方、つまり主人公パーティの行動のチグハグさなのですよね。卒業制作の取材とゆーて別に半分遊びに近いよーなコトだってのに、明らかに状況が不穏→不審→不可解・危険と急激に悪化してゆくにも関わらず基本的には団地から逃げようともせずにノンビリ留まっては謎解きの真似事したり(乳繰り合ったり)仲間割れオッ始めてみたり、他方で団地の見るからに怪しい連中に対する態度もまるで一貫しなかったり…てな具合の支離滅裂さでありまして、ですね(終いにゃ友達2人はいつの間にやら洗脳されちゃってるし)。巷では日本版『ミッドサマー』とも言われてるよーですが、確かに(悪い意味で)終始緊迫感が無い→どーにもホラーになり切れていない、というコトではあるかと思いますね(加えて、そーなってる状況・理由のつくり込みも『ミッドサマー』よりは大いに雑で)。  また、この不自然さはある種「意図的」なモノかとも(ふと)疑ったのですが、私の見たトコロ残念ながらコレはおそらく監督(兼脚本)の力量がポンコツなダケですね。何故なら例えば、みのりちゃんは事あるごとにしきりに「カメラ回して!」と(高圧的に)叫んでくるのですが、だから多分POVのホラー描写をどっかで入れてくるんだろうな…と思って観てたのですケド結局そんなシーン一個も無くって、要はつまり、コレに関してカメラ回す意味(=必然性)なんて殆どドコにもナニも見当たらないのですよね。こんな感じで総じてどのシーンにも確固たる理由・意図とゆーのがあまり見受けられなくって、つまりは全体的に細部までの方針検討・取捨選択までは出来てない…というコトだと思われるのです。コレ、ワリと初歩的なハナシだと思いますね。  もう一個だけ、ホラーにおいては不可解さ・不自然さとゆーのが時としてスパイスとして効果し得る…とは(常々)思ってます、が、基本的にはソレは敵の行動原理や敵の能力の発揮度合(・効果範囲・発動条件)等のカテゴリー内にごく限られるモンだとも思います。殊に、味方の行動が支離滅裂とゆーのは(ソッチはソッチで)基本的には許されないし、許されるとしたらその部分には何らか合理的な理由・説明がチャンと在る…というコトでないとダメかな、と(単にバカだから、とかは論外で)。そーでないと結局は、主人公がどーなろーが(そのうち)どーでも好くなってしまう…と思いますよ。主人公がどーなろーがどーでも好い、はもうホラーとは言えないですよね。
[映画館(邦画)] 4点(2022-05-04 22:10:56)
599.  ホリック xxxHOLiC 《ネタバレ》 
ううう~~~原作漫画・アニメともに観ても読んでもいねーので(アニメは深夜に一瞬だけチラ見したかも)個人的には前提知識も作品への好悪もこだわりもナニも無いのですが、そーいったモノ全部抜きで唯々今作を単独で観たママの感想を言わせて貰うならば……… (註:映画鑑賞後にある程度、作品の中身はWikiで確認しております)  第一:キャラの性格・特性や世界観の説明はこの上無いホドに簡略で、だから全く初めてこの作品に触れる人には正直のっけからかなり辛い 第二:原作準拠のオムニバス形式ではなく、原作第一部の大筋を2時間弱に再構成して語り切っているという形式…であるが故に、終盤の展開スピードが超速&一足飛び過ぎて(コレもお初な人には)とても付いていけない  なのでまず、原作は読んでから・かアニメを観てから(=少なくとも基本設定&あらすじはナンらか把握してから)観にいった方が好さそーな映画だ…とは言っておきたいのと、あとは基本的な蜷川実花の取説としても「考えるな、(眼から)感じろ」系の映画には(また当然の如くに)なったってるので、原作は把握するその一方で細かいコトも気にしない方がたぶん好いヤツではありますね。でもある種、彼女の映画としてはごく観易い方だったとも思いますケドね。こんなコトを言うと原作ファンには殺され兼ねないのかも知れないですケド、登場人物は総じてファンタジック属性を高度に抱え込んだ「ちょっと人外ぎみ」な方々なので、お話としても高度に「人間」を描いている…というモノでも(実は)ないのかもなぁ、と(⇒だから普通の映画ほどにしっかりみっちりソレが描かれなくても然程気にはならないのかな、と)。重ねて前半は特に(ゆーて中盤・後半も)かなり「テキパキ」としてる感じ⇒トコロに寄っちゃあ場面転換とかが非常に唐突(⇒とゆーかちょっとカット数自体足りてないんじゃね?的)な感じも在る…ので、ソコで置いてかれるコトの無いよーに事前準備はやはり必要かと思いますね。私個人としては逆にひまわりチャンの話が語り始まる辺りからはスッと入り込めた…的なコトではあるのですケド(玉城ティナ大好き)。  他方、ビジュアル面は流石 or 平常通りという蜷川実花一流のクオリティでココは(控えめに言っても)まずまず以上だったかとは思うのですね。今作は特にキャラクターのビジュアル面は相当に綺麗だった&面白かった&ユニークだったと思いましたよ(原作自体のパワーてのも多分に感じられますが)。中でも柴咲コウのハマり様は出色で、正直彼女のお色直し百連発!を眺めているだけでもチケット代(の少なくとも半分)は取り返せるってレベルかとも思います。私はその他の方々も結構好みでした…が、一人だけ、吉岡里帆はちょっと雰囲気違うかな…と思っちゃったのが正直なトコロでして(別に里帆ちゃんが女優さんとしてルックスとか好みじゃない…なんてコトは毛頭ねーのですケド)。個人的に彼女は結構カジュアルで親しみやすい系のカワイイ系かなと(でかつまあまあキレイ系でもありますケドね)思ってて、それで今作みたいなちょっと「常人離れ」した系統のヤツ(役柄も実際に人外ですし)を演らせたったると、ちょっとコスプレっぽくなり過ぎたってる…という気がしてしまいましたかね。
[映画館(邦画)] 4点(2022-05-04 22:10:34)
600.  トリコロール/赤の愛 《ネタバレ》 
三作目「赤」は分かり易い「博愛(隣人愛)」のハナシですね。結論、出てくる二人の演技自体は悪くないとも思いますが、実に単純で捻りの無いハナシだったな…とも思います(取り分けこの連作の中に置かれると)。多少面白みがあるとしたらトランティニャンのキャラの背景部分かと思いますがコレだって幾らナンでも、判事成り立ての頃にトラウマが発生した⇒その結果ずっと自分の殻に閉じこもってたけれどヴァランディーヌがソレを解き解した…てハナシだとしたら、やっぱちょっと頑な過ぎ or 唐突過ぎなハナシだとやや不自然にも思うのです。無難は無難ですが、完成度はちょっと高くないハナシだとやっぱ思ってしまいますね(オーラスの全員集合!もワタシ的には蛇足でした)。  ただ、イレーヌ・ジャコブの出で立ちはとても魅力的でしたね。特にこの「博愛」に好く適合した優しく温かみのある雰囲気が素晴らしかったな…と率直に感じました。前述どおりトランティニャンの頑固そーな感じもまあまあハマってたので、二人のお蔭で映画としてのクオリティは一段上がってはいるな、と(=その部分に絞って観てゆく分にはまずまず楽しめるカモな、と)。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-05-04 12:05:55)
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