601. スフィア
300年前に深海に沈んだとかいう謎の巨大物体、宇宙人の乗り物か何かですわな、を調査しに行くという、ファーストコンタクトもの。だけど実は、「もしもたった1つだけ、どんな願い事でも叶うとしたら、絶対に後悔しない願いって、一体何だろう」という、お伽話的なオハナシでもあります。そう思うと、妙に感心してしまいました。そう思わなければ、特には感心しないのですが。 深海に眠る宇宙船、これといって宇宙人チックな奇抜さもなく、いやそれどころか、これってもしかして・・・という状況。しかし一方、そこには明らかに地球上のものとは思えない謎の球体、金ピカGANTZ先生の姿が。 色々とよく分からない事態が次々に発生し、要領を得ないオハナシではあるのですが、その状態のまま、グイグイ引っ張っていく手腕というか厚かましさというか、こういうのは結構好きですね。その混乱の中に、互いへの不信感に基づくサスペンスもあって。 それにしても「爆破への秒読み」って、この手の映画には必須だと、全米映画協会か何かが決めたんでしょうか? [インターネット(字幕)] 8点(2021-07-04 09:33:04) |
602. この子の七つのお祝いに
《ネタバレ》 推理モノを映画化する厄介さ。岩下志麻がバーのママさんとして登場した時点で、「チョイ役みたいな登場の仕方だけど、後で重要な立場となるハズ」と、誰だって思いますわな。意外性もヘッタクレもあったもんじゃない。 その辺は、製作サイドも重々、承知なんでしょう。真犯人の意外性よりも、犯行に至る情念、いや怨念といったものを、クライマックスでこれでもかと描きます。 ただ。 それが岩下志麻なもんで、ちょっと浮世離れしているというか、トボけているというか。 夕焼けの赤さが部屋に立ちこめてくる中(これでカラスでも飛び込んできたら、まさにゴケミドロ)、過去が明らかになっていくのだけど、ちょっと、ノリ切れない。これは岩下志麻だけの責任ではなく、脚本も弱いのでは。愛する男を殺めてまでの復讐劇、にしては、それに対する慟哭みたいなものが、イマイチ感じられなくて。そもそもあんなハゲオヤジを、本当に愛してたのかね。とか。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-07-03 18:58:52) |
603. 最も危険な遊戯
遊戯シリーズ第1弾、なのにいきなり「最も危険」などとブチ上げると、ヒットしてシリーズ化した際に次はどのくらい危険にすればいいのか判らなくなる。という教訓が「あぶない刑事」で活かされたのかどうかはさて置き。 松田優作演じる、一見風采が上がらないものの実は凄腕の、ええと、こういうヒトを何て呼んだらいいんですかね、とにかく一種の仕事人。 そのメカニックと言ってもよい、キレのある動きは、このシリーズの象徴と言ってよいもの。とにかく凄みを感じさせます。 そして独特のカメラ長回し。動きのあるアクションは時に、カメラが写しうる範囲を超えてなお継続し、しかし映像と音は、今展開されている死闘の空気感を如実に伝え続けます。 お金なんかかけられなかったんでしょうけど、あの屋上での闘いなんて、どんな大作にも引けを取らない、名シーンじゃないでしょうか。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-07-03 18:42:57)(良:1票) |
604. 丑三つの村
いわゆる「津山三十人殺し」事件を犯人側から描いて、ちょっと青春ドラマ風に若者の鬱屈を描いたりもしてるのですが、だからといって主人公の追い詰められていく過程が説得力を持ってしっかり描かれている訳でもなく、主人公の異常性を描く訳でもなく(一部アヤシげな呟きをさせるとは言え、主人公は最後まで正気を保っている)、クライマックスの殺戮が、やや唐突に感じられます。 それに、同じく松竹映画である「八つ墓村」が、あのオドロオドロしさでもってこの殺戮を描いた後でもあり、比べてしまうと、どうもインパクトが弱くなっちゃう。 銃撃とともに血しぶき飛び散る描写などは、製作陣の意気込みを感じさせますが。 女優たちの濡れ場競演、ってのがもう一つの見所、ただしポルノ枠ではないことを意識したのか、男優がフンドシ穿いたまま、という不自然なものになってます。 それにしても池波志乃のハダカは、迫力満点ですな。もはやこれは、大艦巨砲主義とでもいいますか。そういう女性たちの、ムラの因習を伴ったような生命力に対し、古尾谷雅人の、線の細さ。石橋蓮司との小競り合いも、あまり迫力が無い。 もともと、勝てないのよね。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-07-03 11:13:19)(良:1票) |
605. スター・トレック3/ミスター・スポックを探せ!
《ネタバレ》 スタートレック映画も3作目、ここに来てすっかり低空での安定飛行に入った感があります。 3作目について、2作目のネタバレ抜きに語ることほできず、取りあえず可能な限りネタバレを回避する努力をしてみるのですが、前作で世を去ったある人物が、一種のダライ・ラマ方式で蘇る、というオハナシ。私にしてみれば、別に蘇ってくれようがくれまいがどっちでもいいのだけど(目立つ顔の割にはここまで大して活躍してないしなあ)、取りあえずそれが本作の大きなテーマ。その人物、出番が少ないもんだから、暇潰しなのか何なのか、監督も兼任してます。これも昨今よく叫ばれている「生産性向上」の一環、なんでしょうか。 うん、全くネタバレを回避できた気がしてません。ははは・・・ で、この復活劇と、宇宙海賊(という訳ではないんでしょうが、いかにもそんな雰囲気)クリンゴンとの、ジェネシスを巡る争いが描かれます。 もはや、重厚さ、みたいなものは感じられず、宇宙を舞台にした冒険モノ、ただしオッサンばかり出てくるので、あまりキレが無い、という印象。路線の大幅な逸脱も無く、変な安心感は、確かにあります。 一方で、サプライズもちゃんと準備されていて、なんと、今度は●●●●●●●●が我々の前から姿を消すことに! 正直、私にしてみれば、姿を消そうが消すまいがどっちでもいいのだけど、その最期の描かれ方が、特撮面で見所が多いとは言い難いこの作品の中で、なかなかに目を引く素晴らしいシーンになってます。 音楽は、前作に引き続きジェームズ・ホーナー。なのでテーマ曲も(1作目のゴールドスミスのものではなく)2作目を引き継ぐ形、ただし終盤には少し、あのお馴染みのテーマが(ウルトラクイズのテーマとも言う)。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-07-03 10:38:04) |
606. ハイランダー2/甦る戦士
先日はハイランダー2を見てるつもりで実はハイランダー3を見ていたことに、見終わるまで気付かなかった、という大失態を犯してしまったので、気を取り直して、今日は「これはハイランダー3なのだ」と思いながらハイランダー2を見ることにします(?)。 と思って見ると、ああ、3本目に至って、第一作から本当に遠い世界に来ちゃったなあ、と。いや実際はまだ第2作なんですが。 冒頭こそ「神々の黄昏」が鳴り響いて、いかにもソレっぽい雰囲気だけど、何程もしないうちに、スネークことカート・ラッセルがここにいないことが不思議なくらいの三流感が溢れてきて。 その割には、列車を用いたなかなか派手なアクションをやってみせたりして、手が込んでます。 ショーン・コネリーも、こんなところで一体、何やってるんでしょうね。ボンド役さえオサラバしたらもう、何でもアリ、自由を謳歌しているようです。 という訳で、滅茶苦茶で意味不明なんですが、妙に手が込んでる。カルト作になる条件は、一応、備えているかな、と。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-02 23:01:01) |
607. バスケット・ケース3
正常とは何か、異常とは何か、を我々に問いかける珠玉の名作(笑)。 明らかにマチガッた方向に突っ走ってしまった前作は、いっそ無かった事にしてくれても良かったのだけど、そうは問屋が卸さず、そのまま第2作の続きとして幕を開けるこの第3作。不幸中の幸いは、前作のオチだけは「無かった事」にしてリセットしてくれている事、でしょうか。 しかし、第2作の路線をさらにアホらしい方向に推し進めることにより、外見の奇妙さをもって本当に「アブノーマル」と言えるのか、実は正常を自認する者たちこそが異常なんじゃないのか、という永遠のテーマが、誰も予期しない形で(少なくとも製作者たちが予期しない形で)浮かび上がる。まあ要するに、どんなに下らない映画でも、3作続けりゃどこかにはたどり着く、という、そんな作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-07-01 22:46:08) |
608. ハイランダー3/超戦士大決戦
1作目を見たきり、それも随分と前。 だもんで、このハイランダー2を見てみたのだけど・・・と思ったら、ありゃ、なんだ、第3作を私は見てたのか。と言うことに見終わってしばらくしてから気づきました。まあ、気付かなかったとしても実害は無さそうな気もするけど。 という、この第3作。まさかクリストファー・ランバートとマリオ・ヴァン・ピーブルズが小競り合いするだけの作品が「超戦士大決戦」だなんて。そりゃ間違って第3作見てても気付かんぜ。 しかし映画の設定だけは何だか壮大で、様々な時代と地域を渡り歩いてきたハイランダー。一本の映画でこれだけ色んな光景を見せてくれると、それなりの見応えがあります。オハナシ自体はスカスカで、どうでもよさそうな感じですけど。でもクリストファー・ランバートが様々な絶景の中で日本刀を振り回すその姿。ちょっとした旅番組よりも風景を楽しめます。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-06-29 22:26:59) |
609. ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲
仲村トオルと清水宏次朗の不仲説(?)に信憑性を感じさせるくらい、二人があまり絡んでない気がしちゃいます。 そりゃまあ、ストーリーの都合でたまたまそう見えただけ、っていう部分もあるのでしょうけれど、二人の関係が元に戻るラストの二人の会話シーンですら、一人ずつが話す別々のカットの繋ぎ合わせ。二人が一緒に収まるショットもあるにはあるけれど、何か妙によそよそしい。 ってのはこの二人に限ったことでもなく、舎弟どももイマイチ陰が薄いのが、この作品。 ちょっと、ノレませんでした。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-06-28 23:31:53) |
610. 帰ってきたドラキュラ
1年前にドラキュラを倒したはずなのに、再び惨劇が繰り返され、司教がドラキュラ城に出向いて封印の儀式を施す。しかし結局は司教一行が足を運んだが為に、ドラキュラが蘇っちゃう皮肉。 じゃあ、ドラキュラがまだ復活してなかったんだったら、あの冒頭の犠牲者は何だったんだよ。とか言うことはこの際、どうでもよくって。この後、映画の半分くらい、何も起きずにズルズルとオハナシが進んでしまうことの方が、問題。 しかし、色彩的な映像が目を引いて、何も起きないながらも結構、惹きつけられます。いよいよドラキュラが暗躍し始めても、これまたやることいちいち、スローモーなのですが、それがドラキュラらしさでもあって。じわじわと迫ってこられて、なぜか逃げられない、という恐怖。いや、所詮はクリストファー・リーのジジ臭い顔なので大してコワくはないけれど、あの「血走り過ぎた目」の描写などで、映画の色彩が活きてます。 家々の屋根を舞台にしたシーンなども、何となく現実離れした感覚があって、なかなか悪くありません。 音楽も映像にピタリと合わせていて、キマってるし。 最期はちと、おマヌケでしたけれども。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-28 23:07:06)(良:1票) |
611. ダーティー・コップ(2016)
これ、かなりユニークな作品だとは思うんですけどね~、だけどなんか、印象が弱い。 イライジャ・ウッドが冒頭から、女性にされるがままのやる気のない性交をしていて、やはりというか、この後の展開も、ニコラス・ケイジに引きずられ流されるがままに金庫破りに手を染める。 中盤はこの金庫破りのシーンが延々と続いて、その描写における細かいディテールが、本作の面白さでもあるのですが。 ただ、彼を引っ張っていくニコラス・ケイジのキャラクターが、どうも焦点が定まり切らず、もちろんその得体の知れなさを狙ってのことだろうけれど、そのせいで最後まで加速することなく、ズルズルと終わりを迎えてしまう。 多少コミカルで、多少ブラックで、たいぶ地味な、サスペンスの小品。悪くは無いですが、このままひっそりと消えていきそうな。 何と、最晩年のジェリー・ルイスが出演してる! ってのも、言われなきゃ気づかんわな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-27 13:26:03) |
612. ちいさな独裁者
《ネタバレ》 第二次大戦末期、逃亡兵の青年が盗んだ軍服で大尉に成りすまし、プチ横暴を働く、というオハナシ。肩書ひとつで周囲が逆らえずに彼のペースに呑まれて行ってしまう、というこの設定自体は、必ずしも「ニセモノ」でなくても成立するとは思うのですが、どうやら実際に起きた事件に取材した設定らしく、そして実際、偽物であることが肩書というものの虚飾性を際立たせるとともにラストの顛末にも効いている部分となっています。 ただこの作品。映像の多くにおいて、やたらと背景のボヤかして人物のみにフォーカスを合わせ、ここまでくるとちょっと不自然さすら感じます。収容所での虐殺シーンなどではもはや、人物がどこに立っていてどこを見ているのかが曖昧でわかりづらいレベルです(前後のシーンからわかるとは言え)。あまりのボケ加減に、ちょっとイライラ。 そこまでして人物の表情にフォーカスを当てる割には、主人公の狂気みたいなものもイマイチ伝わってこず。 曖昧さは、映画を見る人に「考える余地」を提供するものかも知れないけれど、作品の弱さにもなっているように感じます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-27 10:11:44) |
613. 女囚701号 さそり
「悪いコトをした人はこういう所に入れられるんだよ」と子供を脅すための映画ですね、これは。と言いつつ、子供には見せ難いシーンも多々ありますが。それに、ここまでぶっ飛んでるとイマドキの子供はさすがに真に受けず、脅しにならないですかね。 作中の描写は「刑務所」というよりは殆ど「地獄」で、実際、女囚の一人がオニみたいなヤツに変化します。ありとあらゆる事が起こりうる世界。リンチ・流血は日常茶飯事で、脱ぐだの脱がされるだのに至ってはもはや些末事に過ぎません。さあ、頑張ってついていきましょう。 過去の経緯の描写が「回想シーン+解説」で済まされてしまっているのは、多少物足りないんですが、過激な描写でインパクトを補っており、主人公のセリフを絞ったハードボイルド調の作風にもマッチしているとも言えます。 それに何と言っても、作品の節々で登場する、梶芽衣子が長い髪越しに睨みつける、あの表情。この表情こそ、本作の代名詞と言ってもいいでしょう。終盤における、死神のごとき黒ずくめの扮装の内側にも、あの表情が潜んでいるのだ、と思わせて、ゾクリとさせます。 ところで、伊達三郎さんが出演しているのを見ると、ああ、前年に大映が倒産したんだっけ、などとも思ったり。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-06-27 09:39:26) |
614. 怪獣王ゴジラ
よく「アメリカ人は字幕が嫌いだから、外国語の映画を字幕で見るくらいなら、英語版のリメイクを作っちゃう」、などと言いますけれど、リメイク以外にもこんな裏技、荒技が。なんと、追加撮影した英語パートを継ぎ接ぎして、外国映画を英語作品へと改造してしまう、という・・・。我らがゴジラ映画がその犠牲に。 しかし、こうやって惨憺たる状態となったゴジラ映画を、こうやってわざわざ字幕で鑑賞する日本人たちって、実はとってもエライんじゃなかろうか。 一部日本語も聞こえては来るんですけどね、ただ、「追加パート」に出てくるニホンゴ、たどたどしいとか聴き取りにくいとか言うレベルではなく、意味の判らないセリフをうろ覚えのままかろうじて言い切った、という印象。もはや演技ですらありません。 という、デッチ上げ感の濃厚な作品ではありますが、そうは言っても、実は結構、芸が細かい。編集の妙、とでもいいますか、意外に手が込んでます。元映画の部分と追加撮影分とが、ごちゃ混ぜ。どこが追加分か、なまじ見当がついてしまうだけに、余計、手が込んでいるような気がしてきます。 ここまでやっちゃうんだったら、主人公のアメリカ人記者を傍観者に徹しさせたのが正解だったのかどうか。いささかまどろっこしいです。 元映画のパートも一部、順番を入れ替えたりして、工夫も見られるんですけどね。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-06-17 23:24:20) |
615. ノー・エスケープ 自由への国境
こういうの、大好き。 私も、その昔初めて『激突!』を見たときのことを思い出しました。こんな小ネタっぽい題材で映画一本分、成立するんだろうか、などと思ってたら、もう、成立し過ぎて困っちゃうほどの面白さ。シンプル故に、逃げ場もない。 その時は、「だから映画って、面白いよね」と思ったものの、だけど実際には、なかなかそういう作品にはお目にかかる機会もなく。 だもんで、はい、この作品も、貴重です。 ひたすらだだっ広い砂漠で、追う者と追われる者。どこからともなく飛んでくるライフルの弾のコワさ、なんかこう、背中が無防備な状態の姿を見ただけで、ムズムズしてきます。 数々の雄大な光景が映画に登場しますが、それが「ただキレイな光景」というだけではなく、せれがそのまま、主人公の過酷な状況も表していて。 もう一度言おう、こういうの、大好き。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-06-15 22:36:18)(良:1票) |
616. 関東テキヤ一家
「仇の一家へ殴り込みをかける主人公、その歩く姿の背景に流れるのは、主演俳優のヘタクソな演歌」というクライマックスシーンは、もう既視感バリバリなんですが、その主人公が高倉健ではなく菅原文太というのがミソ。 そんなんどっちだって大差無いわい、などと言うなかれ。いやここだけ見たら大差無いかもしれないけれど、やはりそこは菅原文太。そして監督が鈴木則文。血飛沫飛び交う殴り込みの激しさがある一方で、全体的にはユーモアが溢れてます。まず、ヤクザ映画でありながらも、あくまで「テキ屋」なもんで、少し寅さん路線も入ってます。寅さんよりガラが悪く、そして寅さんよりも、ヤセ我慢の世界。 興行のハナシが出てくるのは題材からしてもごもっとも、ではあるけれど、そこで全女が登場する、というのがなかなか貴重。かつて全女が不渡り出して倒産した時には「現存する日本最古のプロレス団体が倒産」とニュースで騒がれたけど、そう、何せこの映画の頃にはまだ新日も全日も無かったんだもんね。 アラカンの親分は、やっぱり見ててヘンなんですが、他の人では出せない味があります。そして桜町弘子姐さんの、こちらは掛け値なしのカッコ良さ。その他、例によって例のごとく多彩な登場人物たちが収まるべきところにピタリと収まって。お見事。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-06-14 23:04:27) |
617. ダーティファイター/燃えよ鉄拳
前作でいったん映画が終わったというのが信じられないくらい、フツーに前作の世界が続いてます。オランウータンと人間の相棒1名ずつ、肝っ玉母ちゃん、バイク軍団、そしてソンドラ・ロック。 とは言え前作とちょっと異なる雰囲気もあって、だいぶギャグ映画の要素が強くなってます。ややとりとめが無かった前作に比べると、一つ一つちゃんとオチがついて、笑いの点ではこちらの方が上、かな。 他にも、クライマックスの試合に向けて物語を盛り上げていくなど、作品のまとまりは確かにあるのですが、そこで気づくのは、内容がまとまっている分、印象としては映画がちょっと小さくなっちゃった、ってことなんですね。前作の方がより、大らかな味わいがあって。 しかし、「映画が小さくなる」のも、いつもそれが悪いことだという訳でもなく、本作はあれよあれよという間に楽しい時間が過ぎて、ラストのクレジットが出てきたら、ああもう終わっちゃうんだな、という一抹の寂しさを感じたり。 これはこれで、魅力的な作品だと思います。 しかしそれにしても、オランウータン君のこれほど見事な演技、どうやって演出したんでしょうかね。頑張って脚本通りに演じさせたのか、それとも彼の奔放な振る舞いに合わせて脚本の方を修正したのか? [インターネット(字幕)] 8点(2021-06-13 13:53:32) |
618. デス・ウィッシュ
ポール・カージーと言えば昔はヒゲオヤジだったけど、今作ではハゲオヤジ。まあこの際、どっちでもよろしい。 今だにこんな、銃こそが犯罪から身を守る一番の手段、みたいなノリで映画を作っちゃうのは、さすがに問題アリとは思うんですけどね。銃規制に賛成しないのはケシカラン、なんて言うつもりはない(つもり)ですけど、さすがにこの微妙さを孕むテーマがこの程度の扱いでは、あまりに浅すぎると言わざるを得ません。 しかし逆に、この浅さは、確信犯的なもののようにも思えます。私はその点で議論するつもりはありません、ただ、あのアホらしくも懐かしいデス・ウィッシュシリーズの世界を、そのまま今の語法で新たに蘇らせただけです、ってな感じ。 実際、映画の話をするのに過剰にモラルを持ち込むと、大体話がおかしくなるわけで。ここで描かれてるのは例えば、侵入し迫ってくる、敵の恐怖。こういったところは、ホラー映画の語法で、畳みかけてきます。あるいは迫力ある銃撃戦。よく映画で「一体何発撃たれたら死ぬんだよ」という場面を見かけますが、この映画ではちゃんと銃は破壊力を持って相手を打ち倒し、倒されなかったとしてもその威力は治療の細かい描写で示される。 コレ、もしシリーズごと順次リメイクしていったらそのうち間違いなくロクでもないことになりますが、この作品に関する限り、抑えるところは抑えつつ見どころもしっかり用意して、リメイクとして割と成功している部類なんじゃないかな、と。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-13 13:17:18) |
619. 生きものの記録
水爆に対する不安のあまり暴走するジイサンの話、ですが演じている三船敏郎の実年齢が役の半分くらい、巧みなメーキャップにより違和感は無いものの、やたらと迫力があります。 その迫力ジイサンが、水爆から生き延びるにはブラジルに移住するしかない、と騒ぎを起こし、振り回される家族たちは彼に対し準禁治産者手続きを取る。その騒ぎを冷静に見つめる志村喬。 このジイサンも決してホメられた人ではなく、妾を何人も抱えてたりして、お陰で家族構成がちとややこしい。本作のややわかりにくいところでもあります。ジイサンもジイサンなら家族も家族、とりあえず、全面的に「この人が正しい」っていう人は見当たらない。 しかし誰が全面的に間違ってる訳でもなくって。結局、「核兵器をどの程度怖れるのが適正か」なんてことに正解があるわけでもなく、とりあえず東西冷戦だけは乗り切った現在においてもまだ、今の我々が歩いている道がどの程度正しいかなんて、サッパリわからない。事態は今でも根本的には変わっておらず、恐らくは答えが出る日とは、「間違ってたことに気がついて後悔する日」以外にはあり得ない。それは明日なのか、それとも無限の未来なのか。 という、絶対性への信頼感を失い相対的な不安の中でしか生きられない姿が、ここでは多少コミカルに、しかし多くは辛辣に描かれてます。 雨、風といった、活劇的な要素もこの作品の中では不安をかき立てるように織り込まれており、さらにはあの煙漂う焼け跡の、廃墟感。破滅を回避しようという意志が別のカタストロフを呼んでしまうという虚しさ。 ラストシーンは、前の大戦を知る年老いた男と、まだ何も知らずに母の背中で眠る赤ん坊とがすれ違って映画の幕を閉じます。核兵器云々に限らず、我々は、次の世代に、何を約束出来るんだろうか? 後に続く、不安に満ちた音楽。このアヤしい音色は、横山ホットブラザーズでお馴染みの、ノコギリでしょうか? [インターネット(邦画)] 8点(2021-06-13 12:57:55) |
620. スター・トレック2/カーンの逆襲
第2作にして早くも予算が大幅に削減されてしまったという、この作品。そう思って見ると一部、セットが若干安っぽく思えたりもするのですが、気のせいということにいたしましょう。そもそも第1作もどこにそんなにお金がかかったのかよくわからんし。 第1作には、ドック停泊中のエンタープライズ号に着艦するポッドがその前に周りをぐるっと回ってその威容を描き出す素晴らしいシーンがありましたが、本作でも短縮版とは言え同様のシーンが。ってコレ、どう見ても前作の映像の流用ですけどね。続くエンタープライズ号発艦シーンは、これも前作のラストシーンの流用っぽい。そりゃ安上がりなワケです。 さて、この第2作。テレビシリーズに何の関心もない私にはトンとわからんのですがどうやら、今回の敵は、宿命の強敵とも言うべきカーン。らしい。 と言うわけで、今回は割と単純に宇宙戦艦同士の戦い、みたいな素朴なオハナシになってます。けど、人間の耳から体内に侵入する気味の悪い寄生生物なんかも出てきたりして、小技も(というかむしろ小技の方が)効いてます。 ジェネシス計画の描写には、スケルトンのみならず、フルの3D-CGと呼べそうなCGも登場。コレ、『トロン』と同じ製作年ですよね。大したもんです。 とにもかくにも、エンタープライズ号の未知への旅は、まだまだ続くのでありました。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-13 09:47:16)(良:1票) |