621. コードネーム U.N.C.L.E.
往年のテレビの人気シリーズ「0011ナポレオン・ソロ」の映画化。オリジナルは東西冷戦の真っ只中の時代のスパイもの。 その作品の世界観に目新しさは無いのですが、スタイリッシュでオシャレでクール。 ちょっとしたコメディタッチのノリも良し。それでいてスパイものとしてもしっかり真面目に作られています。 少々うるさく感じられる部分もあるのですが、音楽もなかなか良かったと思います。 作品の舞台が60年代なので、イマドキのスパイ映画のようにハイテク・スパイツールも登場しませんが、 今風の作品の空気の中にある60年代が新鮮でもありました。 ラストは完全に「続編作るぞ!」と予告しているような終わり方。 60年代の人気シリーズを今の時代にどうシリーズ化していくのか楽しみでもあります。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-29 21:07:20) |
622. ターミネーター4
「ターミネーター」の面白さとは何なのか改めて考えさせられました。 生身の人間が傷つきながらも知恵と勇気を振り絞り不死身のターミネーターと戦う。 未来と現代をつなぐ様々な思い。それこそが戦う勇気。ストーリーは単純で構わないんです。 ジョン・コナーとカイル・リースの出会い。これはアリだったと思うのですが、必要以上に話を複雑にさせてしまい、 ド派手なドンパチとCGもこれまでのシリーズとかけ離れてしまう原因になってしまいました。 終盤になってようやく2人とターミネーターの接近戦が挿入されます。 このシリーズは人間とターミネーターのスピード感のある追いつ追われつと戦いを見ている内にあっという間に映画が終わる。 上映時間の長さが全く気にならないのですが、本作に関しては非常に長く感じられました。 [DVD(字幕)] 5点(2016-06-27 17:23:19)(良:1票) |
623. レッド・オクトーバーを追え!
《ネタバレ》 潜水艦内外の米ソの様々な思惑を交錯させながらの、潜水艦を舞台にした見応えのあるドラマに仕上がっています。 潜水艦モノはどうしてもキャストの動きも制限されるので、ピーンと張り詰めた緊張状態を感じさせる演技力も求められる。 いわゆるジャック・ライアンものですが、主演はショーン・コネリーと言ってもいい存在感があります。 アメリカの艦長を演じたスコット・グレンも地味ながらも見事にショーン・コネリーとの頭脳戦の相手役をつとめています。 潜水艦モノといえば魚雷ですが、その局面の緊張感をマックスに高める魚雷の使い方も的確。 ヘリを使った空からのアクションも水面下を航行する潜水艦のドラマの中のいいアクセントになっています。 唯一余計に感じられたのは終盤の銃撃戦でした。また、ソ連側の言葉が中途半端になってしまっているのも残念。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-27 17:13:22) |
624. クリード チャンプを継ぐ男
《ネタバレ》 「ロッキー」と、演じたスタローンへのリスペクトを随所に感じながらも、 「ロッキー」の新たな物語の始まりを感じさせてくれる作品でした。 今は亡きエイドリアンとポーリーが2人並んで眠っている。2人の元を訪れるロッキー。 ポーリーには酒を、エイドリアンには花を。こんなさりげない描写の1つ1つが胸にジーンとくる。 しかしロッキーとエイドリアンの不器用な2人のロマンスと比べると、ドニーとビアンカのそれはやはり今風。 卵を一気飲みすることも肉屋に吊り下げられた肉の塊をどつきまくることもない。「ロッキー」にあった泥臭さは感じられません。 そして訪れる最後の試合。ロッキーVSアポロの試合を思い出さずにはいられない。 最後の最後にあの勇気のテーマ曲が!このタイミングが絶妙でした。 ドニーはボクシングを続けるのか。ロッキーは病に打ち勝ちセコンドに立ち続けることができるのか。 ロッキー=スタローンの存在があればこその作品ではあるのですが、 この二人三脚のドラマの続きを見てみたい。そう思わせるラストの2人の姿でした。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-21 22:20:14) |
625. エベレスト 3D
《ネタバレ》 エベレスト登山に至るまで。ベースキャンプでの人間模様。隊員達の今回のチャレンジに参加するまでの事情も様々。 まるでピクニックの前の晩のような明るい表情の面々。それだけに後半の絶望的な状況が非常に辛い。 それにしても、ベースキャンプの人ごみが信じられなかった。あんなにエベレストを目指す人でごったがえしているなんて。 プロの登山家なら、またチャレンジも出来よう。瞬時にシビアな決断を下し、登頂目前でも身の危険を感じれば断念することもあるだろう。 しかし、仕事を掛け持ちして必死に資金を貯めて、2度とチャレンジ出来ないかもしれない隊員が頂上までもう少しの所まで来ている。 そこで瞬時にシビアな決断を下せなかった隊長。それが取り返しの付かない悲劇を招く。 こうした山と人間を描いた映画としては、嵐の中1箇所にとどまりひたすら耐えている時間が長く動きは少なく、 それぞれの位置関係なども分かりづらい面もありましたが、命の危険と隣り合わせのエベレスト商業登山への問題提起としては十分すぎるほど辛い映画でした。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-17 23:27:48) |
626. 映画 深夜食堂
原作もTVドラマも全く見ていない、予備知識ゼロの状態での鑑賞です。 どこか昭和の空気を感じさせる、小さな店がひしめく路地のセットや「居酒屋兆治」を思い出すような店の雰囲気がいい。 寡黙な店主と1日の仕事を終えてふらりと店に顔を出す常連たちの日々の暮らしの中にあるドラマが3話。 ナポリタン、とろろご飯、カレーライス。他にも卵焼きとかウインナーとか。凝った逸品が出てこないのも、何かいい。 3話からなるオムニバス形式ですが、3話目が釈然としないので鑑賞後の後味は微妙。 僕にも月に何度か程度ですけど顔を出すカウンターだけの小さな店があるので、こういう雰囲気はたまんないですね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-17 23:22:41) |
627. フェアリーテイル(1997)
《ネタバレ》 2人の少女が近くの森で妖精と出会ったという。 信じがたい話ですが、彼女達は妖精と戯れている写真を撮っていた。 それが本作で取り上げられたコティングリー妖精写真事件です。 第1次世界大戦の頃。当時のイギリスではこれは本当か否か。大論争になったという。 名優ピーター・オトゥールとハーヴェイ・カイテルが演じた アーサー・コナン・ドイルやハリー・フーディーニといった人物も、それぞれの立場で持論を主張しました。 この事件には長い年月を経過しての後日談がありますが、それは本作では触れられていません。 写真の真贋はともかくとして、2人は妖精を見たのは事実であると主張しています。 子どもと一緒に見るのにもいい映画ですが、さて、本作を見た大人たち。あなたはこれを信じられますか・・・? 大人たちの感性に問いかけているようにも感じられます。 人々の生活のすぐそばに豊かな自然があるイギリスの暮らし。その描写の美しさ、少女達の可愛らしさも印象的。 実話ものらしくない実話もの。可愛らしいファンタジー映画です。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-12 11:54:00) |
628. ツインズ
ダニー・デヴィートとシュワちゃんが双子の兄弟なんて、誰が考えたんだろう? 好青年シュワちゃんと、煮ても焼いても食えそうに無いいつも通りの濃いキャラのダニー・デヴィート。 なかなかの名コンビぶりでした。行動を共にする姉妹を演じたクロエ・ウェッブとケリー・プレストンも好演。 ラストも絵に描いたようなハッピーエンド。 いつも通りの持ち味発揮でチョコチョコ動き回るダニー・デヴィートのコミカルな存在があってこそのコメディですが、 シュワちゃんもとても楽しそうでしたね。シュワちゃんのベストムービーではないけど、 こういう無邪気なシュワちゃんも結構好きだったりします。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-06-08 21:09:15) |
629. Re:LIFE リライフ
ヒュー・グラントも気がつけば50代半ば。久々に見た彼の新作。年取ったなと思うけど、いい味が出てきましたね。 かつては1作だけですが、全米から絶賛された映画の脚本を書いたこともあるけど、 今ではハリウッドで完全に仕事が貰えなくなってしまったダメ脚本家。 ハリウッドを干され、聞いたこともない田舎の大学で脚本のゼミを担当することになるというのが本作の役どころ。 年齢を重ねると共にパターンが変わってきてはいますが、本作も典型的ヒュー印のラブコメとなっています。 ストーリー自体はよく見られるものでありますが、ハリウッドへの皮肉とハリウッド愛が同居するような作品の空気がいい。 ジェイン・オースティンを研究する堅物女性教授に「好きな女性作家は?」と聞かれ、 ヒュー教授は「エレイン・メイ」と。僕が割りと彼女の映画が好きなのもありますが、いいですね。こういうの。 脚本指導の中でヒュー教授に「なぜ、英語の映画にわざわざ字幕を入れる?」と聞かれた学生が 「台詞とは違う本音を表現するため」うんうん、ウディ・アレンのお好みのパターンだな、と思っていたら、 ヒュー教授、「それはアニー・ホールでウディ・アレンが使った手法だ。」映画ファンにはこんなやり取りが実に楽しかったりします。 自分の得意とする役どころでのびのびと持ち味を発揮している。ヒューさんには、50代後半になっても還暦を過ぎても、 いつもどこかフラフラとしていて、頼りなくも憎めない男を飄々と演じ続けてもらいたいなと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-06-05 12:43:03) |
630. 父/パードレ・パドローネ
《ネタバレ》 作品には終始、ネオリアリズモのような空気がありながらも、 イタリアの地方の風土やそこで厳しくも力強く生きる人々を描く。本作もタヴィアーニ兄弟らしい、いい映画です。 ストーリーが動き出すのはガビーノが大人になってからですが、学校に父が迎えに来る冒頭から 時間をとって描かれる少年時代の描写が最後まで効いています。 ガビーノにとってはパードレ(父)でありパドローネ(主人)である粗暴な父を演じた、 タヴィアーニ兄弟の映画の顔とも言える名優、オメロ・アントヌッティがあまりにも素晴らしい。 父と息子の関係でありながら主従関係のようでもあった2人。幼少期からその関係を維持してきたのは父の暴力。 学校にも通わせてもらえず、文盲であったガビーノがその境遇を乗り越えていく様が感動的。 家を出て本土に行くことを決意するが、旅支度に欠かせない鞄は父の部屋にある。 その鞄を父の部屋にとりに行くシーンが印象的です。もう父は息子を服従させることができない。 無言の地味なシーンですが、それは息子が父の支配を乗り越え、自分の人生を歩みだす瞬間でもありました。 こうして家を出た後、彼は努力の末、言語学の博士にまでなる。 彼自身の自伝に基づく作品ですが、今では再び故郷の島に戻ってきているという。 彼は実在の人ですが、彼のこんな人生もタヴィアーニ兄弟の映画の登場人物らしくていい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-06-05 12:39:46) |
631. 愛すれど心さびしく
《ネタバレ》 聾唖者で自分の思いを言葉にすることができない、若かりし頃のアラン・アーキンが演じるシンガー。 アラン・アーキンは「リトル・ミス・サンシャイン」の偏屈じいさん役でで念願のオスカー初受賞となりましたが、 何故「リトル・ミス・サンシャイン」が初受賞だったのだろう?と思わざるを得ない素晴らしい演技でした。 彼と同じ障害を抱えるギリシャ系の親友。バーで出会った、仕事もせず酒を飲んでは客に絡む事しか出来なかった男。 彼が下宿していた家の娘。南部の地で白人を恨み続けて生きてきた黒人の医師。 事情は様々ですが、みんなシンガーによって心が救われてきた人たちです。 シンガーは彼らの話に親身になって耳を傾ける。そのアラン・アーキンの表情が見る者の胸を打ちます。 しかし1人また1人、彼の元を去っていく・・・。そんな彼の孤独は親友の死でピークに達してしまう。 ギリシャ系の親友とのやり取りなど、彼の手話に一切字幕をつけない。 途中は2人の表情や手話のやり取りから何となく読み取れているような気もしていましたが 2人はどんな話をしていたのだろう・・・?彼はどんな思いで人々の言葉に耳を傾けていたのだろう・・・? 鑑賞後は様々な思いが胸の中を交錯します。手話に字幕をつけないことで見る者に何かを問いかけ訴えかけているようです。 「愛すれど心さびしく」。シンガーの胸の内を見事なまでに表した素晴らしい邦題です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-06-05 12:36:07) |
632. アレックス・ライダー
《ネタバレ》 結構な豪華キャストです。予備知識無く、このキャストに惹かれての鑑賞。 しかし主役級のユアン・マクレガーがまさかあの時点であんなことになってしまうとは・・・。 中学生が一流スパイ顔負けの大活躍をする、微妙なコメディタッチでマンガのような映画なので、 実は叔父さんは生き延びていて、ラストの大ピンチに助けにやってくる。 そんな展開もあるのか・・・?と思いましたが、さすがにそこまでは無かったですね。 この中学生を演じたアレックス・ぺティファー、この時の実年齢は分かりませんが、 美少年にしてキリッと締まった面構えもなかなか様になっていました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-05-15 20:06:13) |
633. ダーティハリー5
《ネタバレ》 ハリー・キャラハン、最後の戦い。 スクープが欲しい、いいネタになりそうなら泣き崩れる人にも平気でカメラを向ける。 過熱する報道のあり方への言及のようにも感じられましたが、メインはハリー自らも標的にされた殺人ゲーム。 ラジコンを使ったカーアクションなど楽しめる時間帯もありましたが、 このシリーズの出来としては平凡に最終作になってしまったという感じです。 最後は豪快に犯人を串刺しにしての決着でしたが、最後はやっぱりハリーの代名詞のマグナムで締めて欲しかったですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-06 15:52:01) |
634. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
このシリーズを見るのは一体いつ以来だろう?何度も見ている。でも、何度見ても面白い。 アクション、アドベンチャー、ロマンス、サスペンスに ユーモアの挿入に作品のスピード感に高揚感が増すテーマ曲まで申し分無し。 映画のお楽しみがいっぱい詰まっている。 最後はどうなるか分かっているけどやっぱり面白い。初見ならもっと楽しめる冒険活劇の傑作ですね。 鑑賞後は「面白かったなあ!」という感想が素直に出てくる。そしてこういう映画はそれだけでも十分だと思うのです。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2016-05-03 23:53:09) |
635. 冬の嵐
《ネタバレ》 邦題の通り猛吹雪の中、周りから隔絶された屋敷が作品の舞台ということもあり、 終盤までの登場人物は3人と言ってもいい、限定された空間に限定された登場人物が巧く機能する監禁系スリラー。 中でも見た目まで別人になり3役を演じきったメアリー・スティーンバージェンの熱演は見事。 他の映画でも演じていますが執事とか、そういう役が似合うロディ・マクドウォールもはまっている。 屋敷に新たな登場人物が加わる終盤までは彼女を監禁する2人の男の目的は何かというミステリに サイコサスペンス的な要素も加わる。いかにもという強面ではなく、表面上は穏やかで紳士的な2人の男と 時には正面から戦い、時には心理戦を演じる1人の女。この3人による終盤までの静かなサスペンスはなかなかの緊張感と面白さがあります。 ただ終盤からラストにかけての展開にはかなり無理があるし、最後の決着方法も残念。 全て終わってから登場するのではなく、夫をもう少し有効活用できなかったかと思います。 1987年の作品ですが、作品のテイストは70年代の映画という感じがする作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-30 13:16:14) |
636. みじかくも美しく燃え
《ネタバレ》 妻子あるスウェーデン軍の将校とサーカスの綱渡り芸人の女性の悲しき恋の逃避行のドラマ。 冒頭の字幕で本作のストーリーは1889年に実際に起こった実話であることと、バッドエンドを宣言する。 森や小川を照らすやわらかな陽光と、その中にいる2人の姿。その全てが美しくも儚げに見える。 本作にとって冒頭のこの字幕の持つ意味は大きく、これが無ければ2人の姿は全く違って見えていたでしょう。 やがて2人の逃避行は最後の時を迎える。美しくも儚げ、静かにして強烈な余韻を残すラスト。 美しいクラシック音楽の使い方もまた素晴らしい作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-29 20:22:07) |
637. 赤ちゃん泥棒
《ネタバレ》 少々シリアスな事情も含みつつ、湿っぽい方向に行ってもおかしくない内容ですが、 常に小気味いいノリの笑いドコロとアクションがあり、飽きが来ない展開となっています。 まだ若く髪もあるニコラス・ケイジ。この頃の彼の醸し出す胡散臭さ、小物感、憎めない感が絶妙にマッチしている。 彼のムショ仲間達もそうですが、この手の犯罪コメディにはこういうキャラクター設定は必須です。 最後は強引にハッピーエンドにもって行きましたが、ラストの未来の夢は良かったんじゃないでしょうか。 この夫婦のこれからの人生に希望を抱かせてくれる夢で作品を締めくくってくれたのは良かったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2016-04-26 00:31:22) |
638. デビルズ・ノット
《ネタバレ》 有名な事件のようですが、本作で初めてこの事件のことを知りました。 保守的で宗教色が濃いアメリカ南部の州アーカンソーの小さな田舎町で起こった、少年が被害者となった殺人事件。 悪魔崇拝者とされた10代の若者が容疑者とされる。異端と見なされると徹底的に偏見の目で見られ排除されてしまう。 捜査も裁判も町の人々も社会全体で結論ありきの空気が出来上がっていく恐ろしさ。 そんな空気が作られていく事件から捜査を経て中盤以降の多くの時間を占める裁判の過程が 抑揚も無く淡々としていますが、じっくりと描かれていきます。 主演コリン・ファースが演じる私立探偵。この裁判の時間帯は1人の傍聴者でしかなく、 これは仕方がないところもありますが、彼が機能していない時間帯が多くなってしまっているのは残念。 南部の閉鎖的な小さな町にあって、イギリス人俳優ファースの存在は違和感がありますが、 その彼の存在は、この状況で1人事件に正面から向き合う、孤立した探偵の姿と巧く重なり合います。 ラストの字幕で語られる、事実上真犯人を名指した事件のその後の顛末に何とも言えない恐ろしさを感じる告発映画です。 [DVD(字幕)] 6点(2016-04-23 20:20:26) |
639. オーバー・ザ・トップ
《ネタバレ》 父と、何らかの事情で離れて暮らしていた子どもが再会し、一緒に旅に出る。 定番のロードムービーの始まりですが、この息子が父と打ち解けていくのにさほど時間は必要としない。 アームレスリングで見せられた父の強さ。トレーラーを運転させてもらった時の息子のワクワクした表情。 そして「人生は向こうからはやってこない」という教えと息子自身のアームレスリングの勝利。 ベタベタではあるのですが、父とまだ幼い息子が打ち解けていく2人旅の姿がいい。単純明快なアメリカ映画の良さが出まくっています。 「ロッキー」第1作では最後にロッキーはアポロに負けてしまった。しかしエイドリアンの心をガッチリ掴んだ。 一方本作は親父の強いところを息子の目の前でしっかりと見せて勝利を掴み、息子の心もガッチリ掴んだ。 どちらも本当によく分かる。どちらのスタローンも絵になっている。 父と息子が歓喜する姿を遠巻きに眺める祖父のどこか納得したような表情で全て終わらせるのも良かった。 出来れば父と母と息子の3人で人生を再出発できれば一番良かったんだけど・・・。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-04-17 15:10:56) |
640. 黒猫・白猫
冒頭からとにかくクストリッツァ・ワールドが全開。 動物がいっぱい出てきて、人々がフィドルやギターやアコーディオンを奏で陽気に歌い踊る人生賛歌。 この人の映画は2時間を越える長いものが多いのですが、 その間ほとんど隙間が無いというか、テンションが緩まずホッと一息つく間もない。 常に登場人物が楽器を奏で歌い踊り、動物も人も常に大勢がワイワイガヤガヤとやっている。 鑑賞後は彼の映画の独特の世界観にお腹一杯になる。でも、それがこの人の映画の魅力でもあると思う。 クストリッツァの映画には彼の祖国の歴史を語る時避けて通れない内戦が背景にあるものが多いですが、 政治や内戦とは対極にあるようなドナウ川と動物達と共にあるジプシーの暮らし。 賑やかな音楽とギャグも満載に陽気にワイワイガヤガヤと描かれる彼らの暮らしからは平和の尊さも感じずにいられません。 そして時代や国にかかわらず、やっぱり「カサブランカ」のボギーは男の憧れの姿の1つなんだなあ・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2016-04-16 21:47:00)(良:1票) |