641. 東京原発
恐らく低予算だったんだろうと予想できる作品なんですが、いやぁ、まいった。稚拙と感じる点も多々あったが、データや発想の面白さに誤魔化されたカンジでした。低予算な社会派エンタテイメントとしては、すっごい頑張ってる。エンドクレジットの「協力」に電力会社の名前が見当たらないのも、笑える所ではないでしょうか。「役所」広司が都知事なのも、加えて笑えた。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-08 00:44:42) |
642. ガキ帝国
「パッチギ」の上流に「岸和田少年愚連隊」があって、その先の源流とも呼ぶべき位置に「ガキ帝国」があったという感じ。「パッチギ」や「岸和田」に比べてちょっとアク取りをし損ねたカンジの野暮な味が引っかかるんですよね。それも味なのか。台詞のドモリ方なんかも、変にリアルで面白いというか野暮ったいというか。キャスティングは文句なし。升毅と上岡龍太郎、若! [DVD(邦画)] 6点(2007-08-08 00:27:03) |
643. Deep Love アユの物語 劇場版
《ネタバレ》 「生なら10万」と声をかける女子高生が引き起こす凄惨なパンデミック!新!感!覚!都市伝説ホラー、ここに登場…え?違う?売春ダメ!絶対ダメ!的な偏差値はちょこっと低めに設定された教育作品?え?それも違う?売春の善悪を問うなんてナンセンスでイマサラな社会派作品とも思えないし、もしや…「Deep Love 」というタイトルから考察するに…もしや、ラブストーリーだったりするのか?えー。まさかでショ。数兆歩譲ってこれが「ビッチにすらなれない出涸らし売春少女の、波乱万丈!ディープでピュアなラブストーリー」だとして、誰が感動したりウットリしたり共感したりするの? [DVD(邦画)] 1点(2007-08-08 00:13:03) |
644. 不都合な真実
《ネタバレ》 実によくできたドキュメントであり、老若男女問わずに聞き入れるエンタテイメントな講義であり、そして狡猾とも真っ当とも取れるゴア氏の政治的アピールでもある。姉や子供を襲った悲話や、エコにオヨビゴシな政治家(ブッシュ他)のコメントなどに政治家としてのアザトサなんかも見え隠れしたが、日本のどこかのキレイ事とパッシングしか能のない某政党に比べれば極々真っ当だし、至極フェア。やるなぁ、ゴア。日本の政治家もこういう作品を取ってみるのも一興ではないでしょうか。少なくとも国民の政治離れや投票率の低下に一役は買えるのでは?と考えてみたり。…気にし過ぎなのだろうが、どうも政治的な戦略を深読みしてしまう。しかし、ここは素直に警鐘の鳴りの良さに感心してイイと、思います。冷笑する程度の芸しかないニヒリストや、一部の胡散臭いナチュラリストのウザイ熱意に気後れする必要もないと、思います。 [DVD(字幕)] 8点(2007-07-31 00:06:05)(良:1票) |
645. 切腹
驚いた。勝手に「日本人が忘れてしまったアイデンティティ取り戻せ!」的な作品か、カンヌで賞取ったってんなら「オー!ニホンジン・ハラキリ・ブシドー・ファンタスティック!」的な極東文化バンザイ作品か?とタカをククっていたが(相当に失礼ながら。笑)、なんと緊張感のある上質な物語か。配役・脚本の秀逸さもさることながら、終始に衰えることのない張り詰めた緊張感が堪らない。激渋な時代劇というよりかは、これぞ真の人間性を問う本格武士道作品!といった感じ。恐れ入った。 小ネタとは言えなくも無いが、仲代達也、公開当時は30歳という事に気付き、二度驚愕。迫力あり過ぎる。 [DVD(邦画)] 9点(2007-07-29 06:05:05) |
646. DEATH NOTE デスノート the Last name
《ネタバレ》 漫画なのにウンザリするくらい台詞量と物語の尺を上手に圧縮していて、オチも好感は持てるんですが、それらを凌駕するくらいのダサい演出・キャストには、かなりツラいモンがあった。 何処のチビッコ向け特撮作品やねん!と思わせるキラ対策室(確か前作の牢獄シーンもそんなカンジだったが)や、大衆の安易な描き方、メディアのもつ醜悪さがイマイチ安っぽい。 そう、ソコハカと安っぽいのだ。チープ!この上ないのだ。 キラの持つサイコさや醜悪さ、アマネのイライラするようなイノセントさが、演じる大根の甲斐もあり見事に霧散してしまった、そこが最低なまでに安っぽい。チェスシーン、回想シーン、妹号泣シーン、総監の衣装(最大といえなくも無い失笑さ)、拷問シーン、そして何よりラスト付近のキラとアマネの隙だらけ感のトリックも安っぽい。父親を生かせてしまう事(原作では半ばで死んでしまう)で、最大に何とかしてほしかった「親子お涙」も致命的なまでに安っぽかった。 大根役者を排除して特撮出身の監督を何とかすればそれらの安っぽさも何とかなったであろうに。惜しい。 唯一、レッチリのエンディングとLの最後のトリックが美しかった。救いともいえる。 この作品を観た後に原作を読み、TV版のアニメも観た。傑作だった。至極単純な設定を、実に緊張感のある展開の複雑な心理ゲームに仕立てている。一応フォローしておこう。この映画は鬱陶しいくらいに失笑させる作品だが、この映画以外の「DEATH NOTE」は失笑する暇など無い傑作だという事を。 [DVD(邦画)] 2点(2007-07-22 23:05:14)(良:1票) |
647. ゼロの焦点(1961)
《ネタバレ》 「鬼畜」といい「砂の器」といい、野村作品の描く「海」は毎度毎度と素晴らしく、ああ、この作品の時から凄ェのか…と感じた次第デス。火曜サスペンスっぽい、かぁ…否定はしないけど、テレビの三文サスペンスが爪楊枝なら、こりゃアオダモを使ったプロ仕様の圧縮バットといった感じ。大樹の雰囲気まではないにしろ、滅多なことでは折れない気骨入り。 [DVD(邦画)] 9点(2007-07-21 04:53:23) |
648. 鉄コン筋クリート
演出・美術・音楽・脚本・キャスト諸々のすべてが完成度高く、松本大洋の世界観も大事にしてるし、それにおいての一切の粗忽さがない。ビックリした。なら満点評価なんじゃないのか?と思ったが…突出した感じがもう少し欲しかったような。ここまでのハイクオリティ作品に文句はないが、何と言うか…贅沢な事を言うようだけど、もっと無茶も出来たんじゃないか?とも、思う。一応言っておきますが、及第点は何の支障も無くクリアしているし、稀有な傑作では、あります。 [DVD(邦画)] 8点(2007-07-03 23:11:01) |
649. 三匹の侍
キャラクターやテンポのバランスが恐ろしいほどキッチリとしていて、エンタティメント性も損なっていない。佳作中の佳作。どこから切っても真っ当な時代劇。年寄り向けのノンカロリーな時代劇ばっかり作ってないで、こういう滋味や滋養のある作品を製作してくれりゃあなぁ!と、切にボヤく私だ。実に腹八分目といった感想と評価。 [DVD(邦画)] 8点(2007-06-14 01:57:36) |
650. 出口のない海
回天乗りの同士の友情や葛藤、等々の人間ドラマが説教臭くないというか。他の人もコメントしていますが、そう、丁寧な造りが印象的でした。「回天」なんてクレージー極まりない特攻兵器が軸なのに、誇大に叱責するでもなく、美化されていたわけでもなく。そこが佐々部清作品のウリなんでしょうねぇ。好印象です。しかし前作の「半落ち」でも感じたんですが、エンディングテーマの鬼のようなダサさも佐々部作品の業なんでしょうか。もしくは制作会社のダサさなのか。そこは何とかしてもらいたいな!と、強く感じました。それだけが、悪印象です。まぁ、竹内まりやなら「男たちの大和~YAMATO」の長渕剛のダサさに比べりゃ数億倍マシなんですけど。 [DVD(邦画)] 7点(2007-06-14 01:43:02) |
651. カオス(2005)
脚本は結構イイ感じで私好みなんですが、カロリー高いだけに健康的とはいえないアクションのジャンクさが正直しんどい。しかし、キャストや展開のテンポはイイ感じ。二重底ミステリとしても、うれしい誤算というか。 [DVD(字幕)] 7点(2007-06-14 01:26:37) |
652. 風を見た少年 The Boy Who Saw The Wind
《ネタバレ》 まず好印象だったのがマーケティングの勝負を捨てている点と、C・W・ニコルの思想の反映。これって、ここ最近のアニメからしてみれば大冒険だと思う。近年のアホみたいなテンションだけの子供騙し作品に比べれば数倍良心的。夢のない大人やオタクを相手にしていないという点もステキなのだが、名作だったか?と問われれば、やはり地味さが鼻につくというか。素朴さ?ナチュラルさ?それはそれで嫌味な感じがするんですよね。子供向けにしては(ゆえに、か?)説明不足な点も、誤魔化しきれていない勢いのなさ、というか。毒性は低い分だけに薬としても力量不足な気もします。まぁニコル作品「勇魚」を髣髴させたりするシーンなんかもオマケで加点かな。 [DVD(邦画)] 5点(2007-06-14 01:16:35) |
653. 虎の尾を踏む男達
大河内傳次郎の格好良さとエノケンの滑稽さは、双方ともに流石時代のカリスマ!と驚いたが、イマイチ融和してないというか。しかし、ドラマティックなツボはキッチリ押さえられていたので、ナカナカに楽しめた。白紙の勧進帳を読み上げるネタは大岡越前が元ネタだと勘違いしていたのは、私だけかの? [DVD(邦画)] 6点(2007-06-09 16:55:51) |
654. アンフェア the special コード・ブレーキング-暗号解読<TVM>
《ネタバレ》 雪平が「Y」の存在に気付かなかったというマヌケさも、まぁ無意識的にその答えに辿れなかったという言い分も立つのだが、他の誰一人もが気付かないというマヌケさは、どうなんだろう?刑事ドラマを楽しむという点では及第だったとは思うんですが、ミステリファンとしてはどうも謎もテンションもヌルイっていうか。大倉孝治の中途半端な感じ悪さや、阿部サダヲの中途半端な嫌味っぷりも、持ち味生かしきれていない感が漂う。ゴチャゴチャ文句言う割には、そこそこ楽しめたんですけど、ねぇ。 [DVD(邦画)] 6点(2007-06-09 16:48:38) |
655. PARASITE DOLLS
《ネタバレ》 う~ん。こんなに悪趣味な近未来なんてありえる?説得力に欠けるDOLLと人間の関係模様に引っ掛かりが。ついつい余計なことを考えて観てしまった。余計なことを感じた私が短慮なのか、余計なことを感じさせた製作者の間抜けな隙なのか。音楽は好みなんですけど。動きも気合入っててAICっぽくないというか。垢抜けたカンジもするんですけど。やけにこのシリーズにこだわる理由は何だ?AIC!みたいな。 [DVD(邦画)] 5点(2007-06-07 08:18:53) |
656. 天国と地獄
《ネタバレ》 凡百で野暮ったいサスペンスになってしまいそうな物語だと思うんですが、これは黒澤明の手腕ですよね。キャスティングの豪華さも、ケ程の嫌味すら持たせない。男臭く、人間臭く、硬派であるにもかかわらず、切れ味も緊張感も流石の黒澤節。文句無しの傑作誘拐サスペンス。シャッターの降りるラストシーンは、流石です。 [DVD(邦画)] 8点(2007-06-02 23:06:07) |
657. パプリカ(2006)
「千年女優」と「うる星やつら2・オンリーユー」を足して筒井スパイスを効かせたような作品。ちょっとエンタメでないのが難点か?しかし脚本の珍妙さ・映像の悪趣味さ・音楽のセンスのよさ・キャスティングの嫌味の無さなどが、好印象で楽しめた。しかし、エロは要らんと思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2007-06-02 22:51:22) |
658. 戦国自衛隊1549
エンタテイメントというには薄口だし、SF・歴史・自衛隊と、その筋マニアや元ネタファンに対しても中途半端な出来具合だし。対象年齢を小・中学生と勘違いし、ワクワク感たっぷりの夏休みムービーに仕立てたとしか思えない脚本が、特に酷い。人間描写の希薄さ、唐突さ、安易な御都合主義、幼稚な美術と安CG…等々を考慮した結果、もしや本当は子供向けだったんじゃない?と疑いたくもなる。怪獣映画出身の監督はこれだから…と舐められてもしょうがない作品。自衛官姿の生瀬勝久と鈴木京香が、妙に似合っていたのが、すこし笑えた。そのへんを加味した超激甘評価で、二点といったトコロでしょうか。 [DVD(邦画)] 2点(2007-05-21 05:47:36) |
659. トンマッコルへようこそ
《ネタバレ》 空腹を満たし、緊張をほぐし、語り合い、価値観を共有していく六者三様と村人達のやり取りが素朴でありながら素晴らしく、説教臭さも卑屈さも感じさせない展開が秀逸でした。難点と呼ぶべきか悩み所の空爆シーンでは、完全なる無血主義を貫けない理想論の限界を感じさせもした、が。ラストは何とも優しいピリオド。恐れ入った。この作品を支持することを、非現実で身勝手なユートピア思想だと笑われるかもしれないが、私は一向に構わない。秀作。 [DVD(字幕)] 9点(2007-05-19 23:02:12) |
660. ニューオーリンズ・トライアル
重く、クドく、野暮ったくなりそうな法廷サスペンスを、テンポよく、説教くさくなく、気持ちよく最後まで楽しませてもらった。キャスティングの豪華さもテーマも達成感までもが嫌味なく、イイ。ちょっとスパイムービーめいているあたりが、ギリギリやり過ぎない程度のサービス感。こういう微妙な匙加減が、個人的には好みの味付け。 [DVD(字幕)] 9点(2007-05-09 00:48:15) |