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プロフィール
コメント数 2133
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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641.  人生スイッチ 《ネタバレ》 
どこかで人生のスイッチを押し間違えてしまった人々。 自業自得もあり、ちょっとお気の毒なケースもありの6話からなるブラックユーモア満載のオムニバス。 10分程度にまとめられた第1話の飛行機のお話は本作の掴みとしてとてもよく出来ています。 第3話の2人のドライバーが追い越しを発端に怒りがエスカレートしていくお話も面白い。 スピルバーグの「激突!」にインスパイアされたストーリーと思われますが、 「激突!」の2人のドライバーがもし至近距離で対峙していたなら本作の2人のようになっていたのかも。 みんな何かしら不満や怒りを抱えながらも、それらを抑え込んで人々が生きている現代社会。 それでも一旦スイッチを押し間違え、間違ったスイッチが入ってしまったらこんなことになってしまうのかもしれない。 描き方はかなり極端ですが、生きづらい現代社会に皮肉を込めて。 「人生スイッチ」という邦題は本作をなかなかうまくとらえていると思います。
[DVD(字幕)] 7点(2016-04-15 23:23:22)
642.  フランシス・ハ
全く予備知識もなくそれ程期待して見たわけではなかったのですが、これが実に面白い映画でした。 夢と現実の狭間で悩みながらも日々を精一杯生きる27歳のフランシス。 少々不器用で喜怒哀楽が実に分かりやすい。何度も挿入される、彼女が走っているシーンが印象的。 フランシスの一生懸命が小細工無しにガツンと伝わってくるかのよう。 そんな躍動する彼女と一体感がある音楽もとてもいい作品です。 ちなみに本作はモノクロ映画です。僕は現代のモノクロ映画も結構好きなのですが、 彼女の衣装に部屋に、ポップでカラフルな色があっても良かったかなという気もします。 演じるグレタ・ガーウィグがとにかく魅力的。彼女を見ているだけでも飽きない。 これからももっと色んな映画で色んな個性的な役柄を演じる彼女が見てみたいですね。
[DVD(字幕)] 9点(2016-04-13 23:13:30)
643.  ディボース・ショウ
誰よりもデキる男の役が似合うジョージ・クルーニー演じる敏腕弁護士とあまりにも美しいゼタ。 立場は全く違えども結婚と離婚を”仕事”とする男と女のラブゲーム。 このラブゲームに興じる2人が時にコミカルに、時に真剣勝負を演じる。 まさに美男美女。主演の2人がとにかく豪奢で見栄えがする作品。 それゆえこの騙し合いのラブゲームに洒落た白黒をつけて欲しかったところですが 誰もが普通に考えつくような落としドコロに落ち着いてしまったのが残念です。
[DVD(字幕)] 4点(2016-04-11 21:01:20)
644.  荒野の決闘 《ネタバレ》 
ワイアット・アープとドク・ホリデイ。クレメンタインとチワワ。 復讐劇をストーリーの軸としながらも、男と男。女と女。男と女。その生きザマ、友情、ロマンス・・・。 西部の人間模様をそれぞれの感情を豊かに描き出した傑作だと思います。 本作を知らない人でも耳にしたことがあるであろう、 ”Oh,My Darling, Oh,My Darling,Oh,My Darling,Clementine♪” このメロディが流れるオープニングの古きよき雰囲気からたまりません。 弟が殺された後自らこの町の保安官になるワイアット・アープ。その後のホテルでのオールドマンとの再会。 互いの立場を自覚しながらもその感情を抑えた静かなる感情のぶつかり合い。 以降は時折銃声が轟きハッとさせられますが、特に休日の町の描写に代表されるように、復讐劇を一旦忘れそうになるような 西部の人間模様に何ともいえない味わい、この時代への郷愁のようなものを感じる作品に流れる雰囲気がたまらない。 男達だけでなく、東部から来た女クレメンタインと西部の地に生きる女チワワの人物描写も素晴らしい。 特にクレメンタインの可憐さ。 原題よりも邦題の方が圧倒的に西部劇らしいのですが、印象的な主題歌もあり、 やはり本作はリバイバル版でつけられた「いとしのクレメンタイン」が似合っているなと思うのです。
[DVD(字幕)] 9点(2016-04-09 14:27:51)
645.  鷲は舞いおりた
原作未読です。原作を読まれた皆さんのレビューを見ると、原作に触れているかどうかで評価が変わる典型的な作品でしょうか。 冒頭の連行されている途中のユダヤ人女性を助けようとするシーンが効いている。 任務遂行にあたり、ポーランド軍に偽装しているが、その下にドイツ軍の軍服を着込んでいる。 ドイツ軍将校である軍人としての誇りと、1人の人間としての高潔さを併せ持つドイツ軍将校を演じるマイケル・ケインがいいんです。 この冒頭のユダヤ人を助けようとする際の部下達のとった行動からも、シュタイナーの人間性がよく分かります。 彼らがドイツ軍であることが発覚するきっかけとなる出来事もまた、シュタイナーと彼の部隊をよく表していました。 人質を解放した時点で彼も覚悟を決めたのだろうし、彼の運命もまた見えてしまうのですが・・・。 ケイン以外のキャストも素晴らしい。IRAの活動家を演じた曲者ドナルド・サザーランドの存在感が際立っている。 出番は少ないですがドナルド・プレザンス。スタージェス監督の代表作「大脱走」では収容所の良心というべき男を演じていた彼が 何とヒムラーを演じているのですが、これが驚くほどヒムラーに似ているではありませんか。 ジェニー・アガターもまた印象的でした。「美しき冒険旅行」から5年経ち、あの少女もすっかり大人になっていました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-04-05 23:13:27)
646.  ソフィー・マルソーの愛人〈ラマン〉 《ネタバレ》 
ソフィー・マルソー演じるマリ・ドーと、彼女の夫と彼女の浮気相手の三角関係コメディ。 しかし修羅場になるようなことは全く無く、彼女をめぐる2人の男が仲良しになってしまうというほのぼのムードが漂う。 フランス映画らしい軽妙さ、洒落た雰囲気とエスプリが効いたラブコメです。 三角関係がストーリーの軸になっているので、その内の1人は残念なことになるのは仕方がないのですが、 1人息子がいることもあり、最後はサラリとユーモアを効かせながらこれしかないというハッピーエンドとなりました。  ソフィー・マルソーと言えば、彼女が一気にブレイクした「ラ・ブーム」の印象が強く、 この頃の彼女の映画を見る機会も少ないのですが、出演作が途切れることも無くコンスタントに映画に出続けているようです。 「ラ・ブーム」の頃の面影も少し残しながらいい年齢の重ね方をされていると思います。 本作もそうですが、日本では未公開の映画が多いのが残念ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-04-02 21:19:42)
647.  恐怖分子
登場する様々な人間関係に内在する不安定さ。作品はあえて説明や台詞を極力抑えていますが、 登場人物の行動を追う、作品に貫かれる冷徹な描写は時に見る者をドキッとさせるものがあります。 壁に大きく貼られた少女の写真が部屋に舞い込む風に揺られてめくられていくシーンが印象的。 芸術的でもありますが、何ともいえない脆さや危うさのようなものを感じます。 その一方で窓から差し込む強い日差しやフル作動する扇風機。台湾の気候と共にそこで生きる人間の熱も感じさせます。 個々の関係が希薄な都会。それぞれの持つ孤独、不満。それらがやがて悲劇へと結びついていく。 今の社会にも通じる日常に潜む恐怖を徐々に浮かび上がらせていく巧みな話術に驚かされた作品でした。
[DVD(字幕)] 8点(2016-03-31 22:18:59)
648.  激突! 2015 《ネタバレ》 
まず、スピルバーグ版を見ているかどうかで評価が変わると思います。 序盤の追い越しと追い越されに、ガソリンスタンドに、ランチタイムのドライブインに、2度目のガソリンスタンドと公衆電話など・・・。 トラックとのイベントはほぼスピルバーグ版をなぞっています。そういう意味では既にスピルバーグ版を見ていると面白くない。 特にドライブインはオリジナルとほぼ同じですが、オリジナルの間の取り方、 直前の緊張感がマックスに高まるカーチェイスの後、少しギアを落としたようなオリジナルの時間の使い方の素晴らしさを改めて感じます。  しかしスピルバーグ版を見ていないと、尺も短いしそれなりにハラハラドキドキはあるんじゃないかと思います。 違うのはサラリーマンのおじさんが女2人組に変わっているのと、前作に無かった夜の挿入。 前作と違うトラックとのイベントもありますが、ほぼスピルバーグ版通りに事が進むので、 最後に女の子が乗っているクルマがどうなるのかも分かるようになってしまっています。 その終盤にクルマのアクシデントがもたらす焦燥感にドライバーの恐怖の表情などもオリジナルの方がかなり上です。 あと、オリジナルと比べるとトラックがかなりショボいのも残念な感じです。
[DVD(字幕)] 4点(2016-03-29 20:11:07)
649.  バラ色の選択 《ネタバレ》 
モロにマイケルのヒット作の1つにあやかったような邦題が付いていますが、 まあ、その通りのマイケル印の安心・安定のサクセスストーリーです。 小柄なマイケルが元気いっぱいに映画の中で大活躍して、この人特有のキュートな魅力が全開です。 マイケルとガブリエル・アンウォー演じるアンディとの関係はマイケル版「アパートの鍵貸します」といったところ。 ガブリエルは魅力的ですが、それゆえ、彼女の魅力とこの役が合っていたのかは微妙ですが。 最後は夢も恋も両方手に入れるハッピーエンドなんだろうな、と思って見ていたらまさにその通りの予定調和ですが、 マイケルにはそれが嫌味無く似合うし、ある意味期待通りの作品と言えると思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-03-26 21:12:15)
650.  パラダイスの夕暮れ 《ネタバレ》 
ゴミ収集の作業員の男とスーパーのレジ係の女。不器用な2人の男女を主人公としたカウリスマキ流メロドラマ。 「労働者三部作」に「敗者三部作」に、彼が作品の中で描く対象は一貫してブレがありませんね。 恋愛をストーリーの軸とした作品でも、登場するのはいつも通りの中年の男女。 そこに変わることの無い労働者の日々、失業など、いつものカウリスマキの世界が展開されていきます。 そんな中に決して爆笑とはいかないですが、時折挿入されるカウリスマキらしいユーモアのセンスが光ります。 もう1つ、同じ職場の仲間との間に芽生える男の友情もいい。 そして突然訪れるハッピーエンド。「食べていけるの?」「毎日イモだ。」 現実感にユーモア。最後の2人のやりとりもまた可笑しさと共に何とも言えない味わいがありました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-03-25 23:47:50)
651.  真昼の決闘 《ネタバレ》 
それまでの西部劇のヒーロー像とは一線を画した、 現代の人間ドラマにも通じるような人間の強さだけでなく弱さを併せ持つ保安官と 町の人々のドラマを描いた西部劇の異色作です。 かつて自身が逮捕したならず者が釈放され、今まさに列車に乗って自分の元に復讐に向かおうとしている。 列車の到着は正午。残された時間は1時間半足らず。劇中時間と、見る者に流れる時間が同時進行していく。 度々挿入される、確実に正午への時を刻む時計が印象的。 ”真昼の決闘”の時刻となり、いつもは馬車や人が行き交うが、誰もいない静まり返った町の通り。 1人決闘に赴く、町の人々に見放されたゲイリー・クーパーの姿があまりにも孤独。 決闘が終わっても、彼の周りに歓喜の輪が出来ることも無い。 ラストで保安官のバッジをそっと捨てて町を去っていくその姿は「ダーティハリー」のラストと重なります。 孤独な保安官と孤独な刑事。「ダーティハリー」のそれは、本作へのオマージュでもあったのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-03-19 23:59:33)
652.  家族はつらいよ 《ネタバレ》 
楽しみにしていた山田監督の人情喜劇。いやいや、笑わせてもらいました。 今時珍しくなった、3世代、まだ結婚していない次男坊までもが同居する大家族。 予想以上のドタバタ喜劇でしたが、作品に流れる「昭和」の空気が心地いい。 映画の中でこんなベタベタのズッコケ久々に見たな、というような昭和的ギャグもどこか懐かしい。 このあたりは評価が分かれるかもしれませんね。 笑いに関しては家族全員が重要登場人物。全員がちゃんと笑いに絡んで貢献している。キャラクターも実に分かりやすい。 唯一、笑いにはあまり絡まないのが妻夫木演じる次男ですが、アクの強いキャラ揃いの平田家にあって、 一家の良心ともいうべき彼と婚約者。これからの時代に新たに家族を作っていこうとしている2人の価値観や存在が効いています。 天気のいい休日にも関わらず深刻な家族会議。両親の離婚問題を話し合っているはずが お約束のように話は脱線しまくり。この家族会議の役割分担もバッチリです。 また、小林稔侍演じる探偵、笹野高史演じる市民ホールの警備員のおじさん、 病院で「あんな落語家みたいな顔した先生が・・・」という後にお約束のように登場する人まで・・・。 この家族の物語にスポット参戦するおじさんたちも皆がいい味を出しまくっています。 本作のタイトルといい、登場する場末の二番館(これも昭和ですね…)のポスターにDVDに うなぎ屋の出前の男が歌う「男はつらいよ」。山田監督、やっぱり今でも寅さんが懐かしいのかな。 でも、寅さんが大好きな僕にとってはこんな寅さんの挿入がとても嬉しく感じられました。 本作は「東京家族」(未見です)のキャストがそのまま再登場ということですが、 最後には思いもしなかった、笠智衆さんまで登場されます。 平田家の前の道路を歩く近所の人がお年寄りばかりだな・・・。と思っていたら、 最後に「このあたりも空家が増えてきて・・・」と。 昭和の空気の中に現代の庶民の抱える事情がやんわりと挿入されていました。
[映画館(邦画)] 8点(2016-03-17 17:09:36)(良:2票)
653.  セッション
こんなに音楽の心地良さを感じない音楽映画を初めて見た気がする。 まさに音楽を武器に殴り合う音楽バイオレンスとでも言うべき映画。 片時も途切れない緊張感。サスペンスとしても一級品の作品だと思います。  最後の公演でフレッチャーに嵌められたニーマン。しかし、今度はニーマンが逆襲にうって出る。 その武器もやはり音楽しかない。2人の鬼気迫るバトル。 音楽モノのラストによく見られる、奏者への拍手喝采もスタンディングオベーションも無い。 しかし憎み合いながらも認め合う。複雑な感情が入り混じる見事なラスト。不思議な爽快感がありました。
[DVD(字幕)] 9点(2016-03-11 22:47:08)
654.  レジェンド・オブ・ゾロ
前作は2代に渡るゾロの物語。本作はゾロの家族愛のお話。 家を出たエレナに付きまとう前半の姿はちょっとマイナスではあるのですが、 カッコ良くも人間臭いゾロの一面がよく出ていたと思います。 ゼタの変わらないお美しさと強さ、そしてちょっと生意気だけど可愛い坊やの大活躍。 途中で坊やに正体を明かしてしまうストーリーは意外でしたが、それも終盤にうまくつなげていく。 ゾロものと言えばやはりこれ、剣劇アクションも十分に楽しめます。 「ゾロは過去の遺物」というような台詞がありましたが、 カリフォルニアがアメリカに加わり、どんどんアメリカが大きくなっていく頃のお話。 銃を持った悪党を前にしても、銃を手にすることなくあくまでも剣で闘うゾロ。 僕にとってゾロといえばやっぱり「アラン・ドロンのゾロ」なのですが、 アンソニー・ホプキンス演じる先代ゾロから受け継いだ誇りを胸に闘う、 夫であり父である本作のバンデラスのゾロも十分すぎるほどカッコ良かった。
[DVD(字幕)] 7点(2016-03-09 20:29:51)
655.  カラマリ・ユニオン 《ネタバレ》 
冒頭で何やら会合を開いているカラマリ・ユニオン(イカ墨同盟)の面々。 「愛着はあるけど息が詰まるような故郷の町を出て理想郷エイラを目指そう」 サングラスをかけたおっさんばかり十数人。名前は全員フランク。 「なあ、フランク」とある者が問いかけても、どのフランクに言ってるのか彼らには分かるらしい。 「ああ、そうだなフランク」と返すのは1人だけ。 「さあ、行こうぜフランク」「俺に言うな、フランクに言え」「分かったよ、フランク」 ううっ・・・。分からない・・・。そしてこれは一体何の同盟なんだ? 途中までは団体行動だが、それから先は各々がそれぞれに理想郷を目指す。 途中で倒れ力尽きる者、途中で方向転換する者。理想郷を目指す道はフランクそれぞれに様々。 かなりシュールで不条理なブラックユーモアもありますが、これも人生というものか。 「レニングラード・カウボーイズ」の原型のような感もありますが、彼らが理想郷を目指す旅を描く (と言ってもそれぞれのフランクのエピソードをつなぎ合せた、ストーリーはあって無いようなものですが) モノクロの世界。スタイリッシュな映像の中にあるオフビート感。そこに絡む音楽の使い方が絶妙。 ジム・ジャームッシュの映画を思わせるテイストもあります。 そしてエイラにたどり着いた2人のフランクが目にしたものは・・・。 誰かに先を越されたり、行き詰ったり。人生、山あり谷ありです。
[DVD(字幕)] 8点(2016-03-05 16:51:55)
656.  10番街の殺人 《ネタバレ》 
何という微塵の明るさも希望も無く、救いの無い映画か・・・。 実話モノであり、実際に殺人が行われた現場でロケを敢行したという実録サスペンス。 エンターテイメント性を排し音楽もほとんど使われず徹底的に地味に撮られた作品ですが、 実際の犯行現場ロケということもあり、その作風がより重さと気味の悪さを感じさせます。 その現場で快楽殺人を重ねた男を演じたのが後に名監督となるリチャード・アッテンボロー。 感情をむき出しにしたり大声を張り上げたりすることあまり無く 地味に演じていますが、それが余計に形容し難い不気味さを醸し出しています。 もう1人、無実の罪で絞首刑となった若者を演じたのがまだ若き日のジョン・ハート。 アッテンボローの静かな怪演とは対照的な終盤の熱演が印象的。 読み書きもほとんど出来ない無学の若者。妻子を養うに十分な収入を得ることができる仕事に就けない。 そこをアッテンボロー演じる真犯人にいいように利用されてしまう。 ずさんな取調べと裁判を経て殺人犯にされ死刑を宣告されてしまう。 本作が製作された頃にはイギリスではもう死刑制度は廃止されていたのでしょうか。 この青年の運命は様々な問題を提起しているように思えました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-03-03 22:12:02)
657.  96時間 レクイエム 《ネタバレ》 
3作目も変わらず娘を溺愛するあまり空気が読めないニーソンの親バカぶりからスタートです。 もうすっかりオトナの娘の誕生日プレゼントにパンダのぬいぐるみ。娘にもあきれられてしまう。 これはもはやコメディの域に入っています。しかしほのぼのムードは前2作と同じくここまで。 自宅に帰宅すると元妻が何者かに殺害され、自分が殺したと濡れ衣をきせられ警察から追われながら真犯人を追う。 これって・・・そのまんま「逃亡者」じゃありませんか。 そして愛する妻と1人娘のために復讐に立ち上がるストーリーはブロンソンの「デス・ウィッシュ」シリーズとかぶってしまいます。 相変わらず作品のテンポは非常にいいので退屈せずにそれなりに楽しめますが、見たことがあるような展開続きです。 事件の黒幕、と言うか一番の敵もあまりにも予想通りの人物でしたが、前2作には無い要素としてフォレスト・ウィテカーの存在は良かった。 さて、シリーズも3作目。そろそろ終わりになるのでしょうか。 しかし孫ができて、最強パパは最強じいじになる模様。 どうかかわいいお孫さんにまで危害が及びませんように・・・。
[DVD(字幕)] 5点(2016-03-01 21:01:17)(良:1票)
658.  ガス燈(1944)
夫との関係を軸に展開される、主人公の妻が次第に精神的に追い詰められていく様を 些細な出来事を積み重ねじっくり描くサスペンスですが、 歴史を感じさせる屋敷の佇まいや古城の中のような室内装飾の様式美にはゴシックロマンの香りも漂う。 本作の少し前に撮られたヒッチコックの「断崖」「レベッカ」あたりを思わせる作品です。 ヒッチコックなら本作の主演女優はジョーン・フォンティーンで決まりだったでしょうか。 霧が立ち込めたロンドンの夜に浮かび上がるガス燈の灯り。室内のガス燈が作り出す光と影。 モノクロの世界。そして美しい伝説の名女優イングリッド・バーグマン。 昔の映画の中にある、格調の高さを感じさせる空気もたまらなくいい。 ミステリとしては、誰が犯人なのかは前半で見当が付いてしまいますが、 本作はその上で夫妻の関係の中にあるサスペンスを堪能する映画。 本作でオスカーを手にしたのはバーグマンでしたが、シャルル・ボワイエの悪役も秀逸。 嫌な雰囲気を漂わす若いメイドの存在も効いていました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-27 21:33:14)
659.  街のあかり 《ネタバレ》 
無表情で寡黙な登場人物、踏みつけにされ底辺に生きる主人公。 本作も監督名を伏せられて見てもカウリスマキの映画だなあと思わされる世界観。 その不器用さを利用され、強盗の共犯にされ1人で罪をかぶらされ服役し出所後も過酷な展開が。 しかし控え目に挿入されるユーモアが効いている。そして最後に彼は差し伸べられた手を握り返す。 そこには確かなぬくもり、カウリスマキの優しさが感じられました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-02-25 18:33:43)
660.  クーパー家の晩餐会 《ネタバレ》 
作品の評価とは何の関係も無いのですが、配給会社! 色々事情はあるんでしょうが、この映画は12月あたりに公開しなきゃいかんでしょう。 作品の始まりは「ラブ・アクチュアリー」系のラブコメ群像劇といったところですが、 まずは序盤から描かれるクリスマスを迎えたクーパー家の人々の悲喜こもごも。 超ベテランから若手までなかなか豪華な顔ぶれです。 その序盤の展開の中のアラン・アーキンの一言。「みんなクリスマスになると必死に幸せになろうとする。」 ジョン・グッドマンとダイアン・キートンのクーパー夫妻をはじめ、 まだ幼い孫たち、そのちょっと年上の思春期の兄に、これから結婚を控える若い世代、迷える中年世代。 それぞれの世代にとってのしあわせ探しと家族とは?をクリスマス映画らしくほっこりムードで描いていく。 家族全員揃って聖歌やクリスマスソングを歌うシーンが本作の一番のお気に入りです。 クーパー夫妻のラストの仲直りなんて相当強引ですが、まあ、いいんじゃないでしょうか。 このキャストのクリスマス映画なんだから陽気なハッピーエンドになって欲しいですしね。 ナレーションの声はずっとどこかで聞いた声だなと思っていたら、スティーヴ・マーティンでした。 なるほどね。ナレーションの使い方自体は今ひとつでしたが、こういう映画にスティーヴ・マーティン、適任ですね。
[映画館(字幕)] 6点(2016-02-25 18:30:30)(良:1票)
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