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701.  きな子~見習い警察犬の物語~ 《ネタバレ》 
香川県に実在する見習い警察犬きな子(2011年1月 警察犬デビュー)を題材にした動物映画。一応、実話の映画化ということになるんだろうけど、ストーリー自体は見習い警察犬訓練士の成長物語となっており、きな子をネタに一本映画を作ってみたという感じ。訓練所の所長(寺脇康文)の家族はそれぞれいい味を出していて、この一家の配役はみんな適役。ドラマとしては独立寸前までいきながら家庭の事情で諦めざるを得なかった田代(山本裕典)の葛藤や、杏子(夏帆)ときな子の絆などもう少し掘り下げてもよかったのではと思う部分もあるが、ファミリー映画でもあるので限界があるのかもしれない。(それでも杏子ときな子の絆にはもう少し踏み込んだドラマがあってもよかったのではないかと思う。)クライマックスで所長一家の長女(大野百花)が危機に陥ってそれを杏子ときな子が助けるという展開はかなり予想通りでありがちではあるが、やはりちょっとほろっとさせられる。全体としては別にこの映画で実在の犬を題材にしなくてもという気持ちもないではないが、ファミリー映画としてはそこそこ楽しめたといったところか。
[DVD(邦画)] 5点(2011-03-12 13:49:18)
702.  仁義なき戦い 頂上作戦 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。いよいよ抗争が激化して最初から最後まで息つく暇もないほどなのだが、これまでなかった一般市民の犠牲や、抗争事件の取材に躍起になるマスコミ、そして暴力団一斉検挙に乗り出した警察という要素が加わったことで見ごたえが増していて4作目というのにクオリティを全く落とさないのは凄い。今回は広能(菅原文太)が前半で警察に逮捕され、後半は前回登場した武田(小林旭)が引っ張っていくあたりは「広島死闘篇」同様にこのシリーズがヤクザ社会を描いた群像劇であるということを強く感じさせられるし、次々と登場する曲者ぞろいのキャラクターたちもこのシリーズの魅力なのだろう。深作欣二監督の演出も相変わらずパワフルで魅せてくれる。最後は警察の頂上作戦によって生き残ったヤクザたちが逮捕されてしまうのにはなぜか哀れみを感じてしまった。それに最後の最後、広能と武田の会話はグッと来るものがあり、広能や武田よりも山守(金子信雄)のような卑怯者(でも、なぜか個人的には打本(加藤武)同様、なぜか嫌いにはなれない。)の方が刑期が短いというあたりに世の中の矛盾も感じさせている終わり方で印象に残る。それに完全にこの回で完結してもおかしくない空気が流れていて、実際に笠原和夫の脚本のシリーズとしては最後になった(次回以降降板)のも理解できる。菅原文太が広能を演じるのはあと一作残されていて、もちろん見るつもりでいるが、くどくならないかがちょっと心配。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-10 13:58:12)
703.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。今回は前2作ほどの派手さはないが、その分、組同士の駆け引きの面白さがあり、見ていてだんだん引き込まれていった。下にも書かれている方がおられるが、笠原和夫の脚本は実に見事で、今にも全面抗争が起きそうな中でのやりとりは緊迫感があり、飽きさせない。深作欣二監督の演出も1作目や2作目のようなエネルギッシュなパワフルさよりもこの男たちの駆け引きのドラマををじっくり描くことに重点を置いており、脚本と演出がしっかりしているからこそ、ドラマ部分に見ごたえがあり、このシリーズがただ単にヤクザ同士の殺し合いだけを描いたシリーズではないことが分かるし、なぜこのシリーズが後世に残る名作と言われているのか分かる気がする。でも、やや中だるみ感もあり、これまでの2作は単体でも見れる感じだったのに対し、本作はいよいよ全面的な抗争が始まるというところで終わるのでやや物足りない感じがするのだが、同時に次も早く見なくてはという気持ちにさせられる。その本作のラストシーンはヤクザの社会の非情さを見せつけられるとともに、死んだ渡瀬恒彦演じる若者の無念や、組長である広能(菅原文太)の思い、若者の母(荒木雅子)の悲しみなどがひしひしと伝わってきて、強く印象に残る。出演者では広能組幹部の一人を演じた川谷拓三はシリーズこれまででいちばん大きな役柄ではないだろうか。打本役の加藤武はいい人のイメージが強いだけにどぎつい方言のヤクザ役はミスキャストなのではと思ったが、(実際、「座頭市二段斬り」で演じた敵側の用心棒役はミスキャストに感じた。)金田一シリーズの刑事や、「釣りバカ日誌」シリーズの秋山専務のイメージとはまた違う雰囲気の役を見事に演じていて新鮮に感じた。物語にじゅうぶん絡む役柄ながらスチール写真だけで登場する丹波哲郎演じる明石組組長も(本当に写真だけなのに)貫ろくと存在感がたっぷりあるのは驚かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-02 23:20:33)
704.  椿三十郎(2007)
黒澤明監督の「椿三十郎」を森田芳光監督がオリジナルと同じ脚本を使ってリメイクした時代劇。さすがに同じ脚本なだけあって話は面白いし、黒澤監督の言葉どおりいい脚本さえあればどんな監督でも面白い映画は出来るんだなと実感した。しかし、話は面白いんだけど、やはり織田裕二演じる三十郎には三船敏郎のような威厳も貫ろくも感じられず、どう考えてもミスキャストで本人はそうとう頑張って演じているのは分かるのだが、かなりの違和感を感じる。森田監督の演出もチャンバラのシーンで三十郎に息切れをさせたりして違いを出そうとしているが、ラストの決闘シーン(オリジナルを初めて見た時にかなり衝撃を受けた。)をああいう風に演出したのは単に映倫規定に引っかかるのを恐れただけなのではと感じてしまった。ただ、カラーになったことで椿に色をつけるという黒澤監督のやりたかったという演出が(当たり前だけど)出来てるのは良かった。しかし、白黒作品で椿の花だけ色がついてるというのが本来の黒澤監督の意図なんだろうな。奥方役の中村玉緒は若い頃の大映の時代劇のイメージが昨今のバラエティー番組のイメージよりも自分の中では強くなってしまっているが、やはり、最近の姿を見るとバラエティータレントのイメージに戻ってしまい、演技力はあるんだけど、入江たか子と比べるとどうも何か違うのではないかと思うし、城代家老を演じる藤田まことも伊藤雄之助のインパクトに比べると普通の印象。話が面白かったのは事実だが、演じる俳優によってこうも人物の印象は変わるのかと思った。(トヨエツの室戸はこれはこれでありだと思うが、三十郎と睦田夫婦に関してはオリジナルのほうがいい。)大島ミチルの音楽はどことなく彼女が担当したゴジラ映画の音楽っぽく聴こえなくもない。これを見て若人が黒澤映画に興味を持ってくれると嬉しいが、やはり個人的には三十郎は三船と黒澤監督あってのキャラだと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-02-24 14:29:19)
705.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」シリーズ第2作。今回はシリーズ本来の主人公である広能(菅原文太)を脇に回し、元予科練志願だった山中正治(北大路欣也)の悲劇的な末路を描いていて、前作のような勢いはやや抑え気味になっているものの、山中のドラマがなかなか見ごたえがあり、集団よりも個人に焦点をあてているのもあるのだろうけど、そのおかげで前作よりも分かりやすく、ドラマとしても前作より面白かった。予科練の歌を口ずさむ山中にはどこかかつて軍国少年だった深作欣二監督自身が投影されているのではないかと感じられるし、ヒロインの靖子(梶芽衣子)が戦争未亡人というのも利いている。ラスト、警察に包囲された山中の自殺シーンと、靖子の彼を思って号泣するシーンは演じる二人の熱演もあり、印象に残る名シーンになっているし、組織に利用され、虫けらのように死んでいく男のやりきれなさがよく伝わってくる深作監督の演出も見事。しかし、深作監督が苦手としているのかこの二人の惹かれ合っていく過程の描き方がちょっと適当というか下手に思え、この部分にもっと深みがあれば良かったと思う。出演者では山中を演じた北大路欣也はもちろんだが、大友を演じる千葉真一のキレたキャラクターもいい。最初は千葉真一が山中を演じ、北大路欣也が大友を演じるはずであったらしいが、逆にして正解だったと思う。成田三樹夫も相変わらずカッコイイし、広能の舎弟として登場する前田吟は「男はつらいよ」シリーズの博役でおなじみなだけにこういうヤクザ役は新鮮に感じる。そしてやはり梶芽衣子が美しく、恋人と引き離される女性の悲しさを見事に表していて素晴らしく、山中と靖子の惹かれあっていく部分の演出が下手に感じながらも、それでも彼女の演技から靖子の女としての悲しみが伝わってくるのはすごいと思う。このシリーズは基本的には女気なんかなさそうだけど、この映画の梶芽衣子は本当にいい。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-15 14:42:54)(良:1票)
706.  恋や恋なすな恋
内田吐夢監督による大川橋蔵主演の時代劇。内田監督の時代劇は「宮本武蔵」や「大菩薩峠」で重厚なイメージがあるが、この映画は幻想的なファンタジーとなっていて正直言ってよくこんな異色作を「宮本武蔵」シリーズの真っ最中に手がけたなという思いもあるが、橋蔵と狐の嵯峨三智子の夫婦のシーンでいきなり舞台劇のようになるとか、俳優に面をかぶせたり、アニメを合成して狐を表現しているなど演出が面白い。(アニメを合成したシーンはこの当時の邦画では珍しいのではと思う。)後半は民話にありそうな展開で多少ベタに感じなくもないが、それでも見ごたえのあるものになっている。双子の姉妹と狐の化身の三役を演じている嵯峨三智子が印象的で、特に狐の化身である葛の葉の切なさをうまく演じている。山田五十鈴に似てると思ったら親子なのね。内田監督の映画ではあまり知られていない映画っぽいけど思ったより随分楽しめた。でも、やっぱりこの監督は(あんまり見てないのだが。)本作よりも「宮本武蔵」シリーズのようなリアルで重厚な作品のほうが好きかな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-02-11 13:51:57)
707.  仁義なき戦い
深作欣二監督の代名詞的な映画で昔から見たいと思っていた映画だが、東映のヤクザ映画を見るのに抵抗があり、一部のシーンはテレビの日本映画特集番組などで見ていたものの、全編見るのにはなかなか手が出なかったが、ようやく見た。冒頭のキノコ雲の写真をバックに流れる有名な音楽(実際に映画を見ていなくてもこれまで幾度となく耳にしている。)から興奮させられるし、映画が始まっても深作監督らしいテンポのいいエネルギッシュな演出で引き込まれる。しかし、登場人物の人間関係をこちらが把握する前に殺し合いが始まってしまうのでゴチャゴチャした印象があるのも事実。でも、深作監督のダイナミックな躍動感あふれる演出は見ていて飽きないし、なにより実話ベースで当時まだ問題となっていた事案を題材にし、尚且つ実在するヤクザをモデルにしているだけでも企画の日下部五朗や、深作監督、脚本の笠原和夫といったスタッフの尋常でない挑戦心を感じられる。俳優陣も濃く、ヤクザ映画、そして、深作作品でも初めて見る菅原文太が渋く、存在感を発揮しているのをはじめ、出てくる男たちがみんな熱く、これぞ男の映画という感じ。山守役の金子信雄がはまり役と言われているが、自分が生き残るためなら何でもするような男を見事に演じており、本当にはまり役だ。(個人的には金子信雄と言えば小学生の頃に風邪引いて学校を休んだ日にたまに見ていた朝日放送の料理番組の司会というイメージが未だにある人なのだが。おいおい。)ラストの葬儀場で広能が拳銃をぶっ放すシーンはなにか見ていて爽快感を覚える。ガラが悪いのでちょっとまだ抵抗はあるかもしれないが、続編も見てみようという気にさせられるような面白さはあった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-10 13:43:30)
708.  おとうと(2009) 《ネタバレ》 
山田洋次監督の「十五才 学校Ⅳ」以来の現代劇。市川崑監督の「おとうと」をモチーフにしたオリジナル脚本とのことだが、冒頭の小春(蒼井優)の結婚式で哲郎(笑福亭鶴瓶)が式を台無しにしてしまうシーンは「男はつらいよ」の一作目でのさくら(倍賞千恵子)の見合いのシーンを思い起こさせられるし、哲郎と吟子(吉永小百合)の関係はどこかさくらと寅さん(渥美清)の関係と似ているところがあり、「おとうと」というよりは「男はつらいよ」の新作を見ているような気分になり、ひょっとしたら山田監督は「男はつらいよ」の完結篇のつもりでこの映画を作ったのではないかと思う。それに山田監督は時代劇より現代劇のほうがやっぱり安心して見ていられる。吉永小百合に関しては相変わらずの演技でそれほどうまくはないし、いつもどおりの印象しかないが、「母べえ」に比べるとそれほど違和感は感じなかった。ただ、映画が「男はつらいよ」を思わせているためか、この役は倍賞千恵子のほうがよかったのではないかという気が少しする。山田監督が構想していた「男はつらいよ」完結篇のラストは、幼稚園かどこかで働き始めた寅さんが子供と遊んでいて心臓麻痺を起こすというものだったそうだが、この映画ではそうはなっておらず、モチーフとした「おとうと」をなぞっている。(リボンで二人手を結んで寝るシーンはデジャブを起こした。)これはこれでいいのだが、ここまで「男はつらいよ」っぽい話だと山田監督の頭の中にある「男はつらいよ」完結篇のラストそのままでもよかったのではという気もしないでもないが、(でも、もし「男はつらいよ」シリーズでそれが実現していたら、そのラストは悲しすぎる。)それだと「おとうと」をモチーフにする意味が無くなってしまうのかも。あと、エンドロールの最後に市川監督に対する謝辞が出てるけど、個人的には渥美清の名前も出してほしかった。
[DVD(邦画)] 6点(2011-02-05 15:56:31)(良:1票)
709.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
「ガリレオ」の劇場版。ドラマからの勢いで見たが、この映画では石神(堤真一)と花岡(松雪泰子)のドラマが主軸になっていて、ドラマであった軽いコミカルな雰囲気がなく、陰気な雰囲気となっているのに驚かされる(数式を書いて推理するというドラマではお約束となっている部分もない。)もののこの二人のドラマが見ごたえがあり、原作のせいかもしれないが、客寄せパンダ的な印象が強い(そのために普段はあまり見る気が起こらないジャンルではあるが。)最近のテレビドラマの劇場版ではわりとよく出来てると思う。主演のはずの福山雅治を差し置いて堤真一と松雪泰子が事実上の主役として描かれているが、二人ともなかなかいい演技を見せている。ただ、脚本的にはなぜ石神が無関係の人間を殺してしまったのかという部分がちょっと理解に苦しむし、よく考えればわざわざそんなことしなくてもいいのではと感じてしまう。石神と花岡のドラマがよかっただけにこのあたりの石神の心境をもう少しちゃんと描いて欲しかった。それに殺されるホームレスの扱いの軽さも気になる。一方、花岡に関しては娘を守りたい親の心情や、石神に対する心の葛藤がよく描けていて、はっきり言って石神の心情よりよほど花岡の心情のほうが理解できる。最後のシーンは連行されていく石神よりも、意を決して自首した花岡のほうに感情移入してしまい、ジーンとさせられた。しかし、その後の二人の号泣シーンはちょっとわざとらしい気もする。主題歌を「ガリレオ」のアップテンポな「KISSして」からバラード調の「最愛」に変えているのは映画の雰囲気に合わせてのことだと思うが、それならば最後の最後で福山雅治作曲の「ガリレオ」のテーマ曲を流すのは止めてほしかった。(余韻がアレでちょっと飛んでしまった。せめて流すならドラマ同様最初のほうが良かった。)面白かったというわりには褒めているのか貶しているのかよく分からない文章になってしまった気もするが、予想ではもっとつまらないだろうと思っていたのでちょっと甘めだけど7点。このシリーズはけっこう好きなのでもし続編がまた出るなら見てみたいなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-03 01:23:02)(良:1票)
710.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
加藤泰監督の伯父としても知られる山中貞雄監督の現存する三本のうちの一本。戦前の時代劇とあって見る前は少し抵抗があったが、実際見てみると全体的に76年前の映画とは感じさせないほどテンポがよく、またフィルムの保存状態もビックリするほどよくて、とても見やすくて楽しい映画だった。丹下左膳ものの映画を初めて見たのだが、見る前に得た情報から抱いていた丹下左膳の個人的なイメージというのはもっと殺伐としたものだったが、この山中監督による左膳は実に人間味あふれる人物として描かれ、好感が持てる。話はなんの値打ちもなさそうな壷が実は百万両の値打ちのある代物だったことから巻き起こる騒動を描いたコメディーだが、ちゃんとペーソスも漂わせていて、これが映画に深みを与えているし、この映画が初めて見る山中監督の映画なのだが、なにかものすごく才能を感じさせる演出で、間の取り方のうまさや、カットとカットのつなぎによってテンポよく見せていくところなどは先ほども書いたがとても1935年の映画とは思えないほどで全く古びていない。それに完成度も高く、思わず唸ってしまった。出演者も当時、左膳を当り役としていた大河内伝次郎がおそらく今まで自分が演じた左膳のイメージと違うであろう(←今まで丹下左膳を見たことがないのでこういうことを言うのも失礼かもしれないが。)山中監督の描く左膳を見事に演じており、お藤(喜代三)との夫婦漫才のようなやりとりに笑わされ、またいなくなったちょび安を探しにいくシーンでは左膳の父性のようなものも感じさせていて素晴らしく、大河内伝次郎をこんなにいいと思ったのは初めてかもしれない。沢村国太郎も本当にいい味を出している。原作者の林不忘が左膳のイメージのあまりの違いにクレームをつけたというエピソードもある映画だが、立派に後世に残るに相応しい人情時代劇の傑作だと思う。本当に面白かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-29 15:35:48)
711.  サード 《ネタバレ》 
少年院を舞台にしたATGの青春映画。ドキュメンタリータッチの構成で最初からけっこう淡々と展開する映画なのだが、なかなか見ごたえのあるいい映画だった。永島敏行演じる殺人罪で少年院送りとなったサードと呼ばれる主人公。彼がひたすら走る姿はなにかやり場の無い自分自身の存在を確認する行為のように思える。この時代の若者のやり場のなさはほかにも回想シーンにおいてこの町を出るために金を稼ごうというシーンにも表れている。その金のために男を騙して肉体関係を結ぶ新聞部の少女(森下愛子)のやるせなさや、本当は新聞部に恋をしていながらそれにじっと耐えるサードのやりきれなさなどがじゅうぶんに感じ取れるし、だからこそ、サードがヤクザの男(峰岸徹)を殺してしまう気持ちが理解できるような気がする。ラストの「もっとゆっくり走ってくださいよ。」という新しく入ってきた少年に対し、「走れよ、自分の速さで。」と返すシーンはマラソンじゃなくて人生を自分の速さで走れという意味に聞こえ、なんだか見ている自分が勇気づけられた気がした。全体的に見ると完成度はそれほど高くないと思うし、今見ると時代を感じてしまう部分も当然あるのだが、当時の若者たちがとてもよく描けていて、この時代だからこそ出来た青春映画の佳作だと思う。脚本は寺山修司。短歌を作っている少年が登場するあたりはこの人らしい。(「時には母のない子のように」という歌もありますというセリフには思わず笑ってしまったが。)森下愛子が初々しくて可愛い。それにしてもこの映画のサードと新聞部の図書館でのシーンのあのいやらしさは大胆でビックリしたなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2011-01-26 20:56:10)(良:1票)
712.  ガリレオΦ(エピソードゼロ)<TVM> 《ネタバレ》 
栗林(渡辺いっけい)を語り部に連ドラの三年前を描く「ガリレオ」の前日談。再放送で見た連ドラが面白く、続けて再放送されたこのスペシャルも見たのだが、連ドラ同様にコミカルな雰囲気も漂わせながらシリアスさもある展開で楽しめた。ただ、連ドラでは湯川(福山雅治)と内海(柴咲コウ)の主人公コンビのかけあいが好きだったのだが、今回は前日譚ということで内海がいないのがちょっと残念。代わりに長澤まさみ演じるゼミの学生が登場しているが、連ドラを見た直後なだけに少しこの部分に物足りなさを感じる。今回、回想シーンで湯川と草薙(北村一輝)の大学時代のエピソードも描かれているが、福山雅治が湯川を自然に演じているのに対し、大学時代を演じる三浦春馬はそうとう無理をして演じているのではと感じた。ドラマとしては最後の幸正(蟹江敬三)の奈美恵(香里奈)に対する思いにグッと来るものがある。
[地上波(邦画)] 6点(2011-01-25 14:11:03)
713.  月曜日のユカ 《ネタバレ》 
のっけからこの時代の邦画っぽくないお洒落な感じで、映像も長回しの多用やストップモーション、それに突然サイレント喜劇のような映像になるなど凝りに凝っていて飽きさせず、古さも全く感じさせないスタイリッシュな演出に思わず引き込まれた。中平康監督は、今まで見た映画では正直そんなに評価されてる理由が分からなかったのだけどコレを見ればその理由が分かる気がする。とにかく今見てもじゅうぶんに新鮮に感じられる映画で、ひょっとしたら今の方がもっと評価されるのではないかと思った。主演の加賀まりこが今となっては信じられないほどとても可愛く、この頃の出演作は松竹の「雪国」くらいしか見ていないと思うのだが、本作の方が魅力的に思える。共演の中尾彬も若い。(ついこの間見た「新極道の妻たち 覚悟しいや」でもこの二人は出ていたが、それと比べると二人ともまるで別人のよう。)ストーリー自体は正直それほど印象に残るものではないかも知れないが、ラストはちょっと衝撃的だった。今見ても全体的にお洒落で日本映画というよりはヨーロッパ映画のような雰囲気を漂わせる中平監督のモダンな演出と加賀まりこの魅力。これだけでじゅうぶんに見て良かったと感じさせてくれる映画だった。黛敏郎の音楽もいかにもモダンな感じでこの映画にとてもよく合っていて素敵。
[DVD(邦画)] 7点(2011-01-19 02:51:06)
714.  犬と私の10の約束 《ネタバレ》 
「犬の十戎」をモチーフとした本木克英監督による映画。ありがちなファミリー映画で毒気がなく安心して見ていられる反面、やはりあっさりしすぎていて物足りなさもある。「犬の十戎」そのものは泣けるのだが、子供が見る事を意識しているのか、福田麻由子に「犬の十戎」を説明する高島礼子のセリフを吹き出しで画面に出していたり、ソックスが死ぬシーンでもそれを反復していたりして少々あざとさを感じた。でも、自分も今年10歳になる犬を飼っているのでソックスが死ぬシーンではそういったあざとさを感じながらも「うちの犬はあとどれくらい生きるのだろう」ということを考えてしまった。トヨエツにこういうお父さん役のイメージがないので、最初は少し違和感を感じたが、慣れると気にならなくなった。(最初は犬嫌いというのが犬を飼い始めた当時の自分と同じで共感できる。)福田麻由子が後半田中麗奈になるというキャスティングも自然。加瀬亮はドラマ「SPEC」の瀬文役よりもこういう役のほうがはまり役だと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-01-17 18:36:00)
715.  新・極道の妻たち 覚悟しいや 《ネタバレ》 
「極道の妻たち」シリーズ6作目。このシリーズを最初から最後まで見るのは同じ山下耕作監督が手がけた「極道の妻たち 最後の戦い」に次いで2本目となる(ちなみに山下監督の映画も見るのは2本目。)のだが、今回はかたせ梨乃に裏切られた岩下志麻が北大路欣也とともに、彼女と愛人である中尾彬を仕留めるまでが描かれていて、役柄が違うとはいえ、前回見た「最後の戦い」と比べると違和感を感じる展開で、ドラマ的にもなにか物足りないが、それでもけっこう楽しめた。しかし、山下監督にとって最後の東映での映画になる作品でもあり、前作で印象的だった映像美がかげを潜めているような気がするし、音楽もなにかコミカルに感じる。刑務所の面会シーンからいきなりシーンが香港に飛ぶのはちょっとビックリ。岩下志麻はどぎつい関西弁で、眼力が鋭く、貫ろく充分に主人公を演じていて、とても若い頃に見せていた清純派の面影などどこにもない演技で、本当に別人のよう。それでいてカッコよく、「覚悟しいや」と啖呵を切るクライマックスは思わず唸ってしまう。 それにしても松竹のスター時代を知っているとよくここまでキャラが変わったものだと不思議に感じてしまうのだが。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-15 02:59:34)
716.  L change the WorLd 《ネタバレ》 
「デスノート」のヒットに気をよくした制作陣がL(松山ケンイチ)を主役にもう一本作って儲けようと企画したであろうスピンオフ映画。監督が変わったというのがすぐに分かり、やたらグロイ映像がかなり気持ち悪い。中田秀夫監督はホラー映画の監督というイメージ(これまでに見てるのは「リング」と「女優霊」。)だが、これはちょっとやりすぎだろう。(特に鶴見辰吾が死ぬシーンはくどすぎる。)ハリウッドから凱旋したというのもあるのかもしれないが、細菌パニック映画というのは見ていてもろに「アウトブレイク」を思い起こさせているし、ラストの飛行機のシーンにいたってはハリウッドのアクション映画のクライマックスそのままのような印象。また、ワタリ(藤村俊二)に変わってLのパートナーとして登場するFBI捜査官を演じる南原は真面目に演じているのかもしれないが、完全にお笑い担当でしかなく、見ていてついつい爆笑してしまった。ほかにもLが子連れで電車や自転車で逃げ回るというのは緊迫してるのにしょぼすぎて笑いをこらえることが出来なかった。それでも原作は未読だし、前2作にも思い入れはなく、Lというキャラクターにも思い入れはないからか、まあこれでも見る前の想像よりは面白かったと思うが、この話でLを主役にする必然性を感じられず、Lが主役なら後はなんでもいいぜみたいなスタッフの志の低さをまじまじと感じる映画であることは間違いない。
[DVD(邦画)] 4点(2011-01-11 13:06:03)(良:1票)
717.  君よ憤怒の河を渉れ 《ネタバレ》 
「単騎、千里を走る。」で健さんを主役に起用したチャン・イーモウ監督が健さんのファンとなったきっかけになった作品として挙げている映画。「逃亡者」を思わせるストーリーでそこそこ面白かったが、緊迫してるシーンのハズなのに妙に音楽が明るいのはかなりのミスマッチを感じるし、着ぐるみまる出しの熊はまだしも、新宿を疾走する馬はいくらなんでもやり過ぎに思う。(一瞬「トゥルーライズ」を思い出してしまった。)健さんは無実の罪を着せられた主人公をシリアスに演じているのだが、後半、薬を飲まされ、それをトイレに吐くシーンはどう見てもギャグにしか思えず、のどかで明るいBGMとも相まってつい脱力して大笑いしてしまった。それでも健さんと原田芳雄のツーショットはカッコよかったし、なんだかんだ言って突っ込み所の多いバカっぽい映画ではあるが、娯楽映画としてはそれなりに見ごたえのある映画にはなっていると思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-01-06 14:36:48)
718.  DEATH NOTE デスノート the Last name 《ネタバレ》 
前編に比べて映画オリジナル要素が多いとは聞いていたが、とくに後半のクライマックスシーンはなかなか見ごたえのあるものになっていたと思うし、ラストシーンも月(藤原竜也)の家族の月に対する思いがちゃんと描かれていたのが良かった。本作の前半部分の「さくらTV」のくだりなどであるオカルト的なシーンはやっぱり少しひいてしまうところもあるが、レム(ピーター)のデスノートを手に入れた高田清美(片瀬那奈)が看板ニュースキャスターの西山冴子(上原さくら=この人をキャスティングしたのはテレビ局の名前が「さくらTV」だからか。)を殺して自分が後釜になる展開がちょっとドロドロしてて驚いた。前編でちょっと出ていた弥海砂(戸田恵梨香)が本格的に物語に絡みはじめるのだが、彼女が月の家にくるシーンはなんか笑える。今時のアイドルを知らない月に変なところで共感してしまった。絶対に共感なんかしたくないキャラなのに。L(松山ケンイチ)の存在感も良かったが、総一郎(鹿賀丈史)の心中を察するとちょっと辛いものがあって彼の気持ちがよく分かる。前編と合わせて全体的に考えると見る前の想像よりはずっと楽しめる映画だった。ただやはりこの内容で2部作5時間近くも使うのはちょっと長いような気もする。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-29 14:55:59)
719.  ウォレスとグルミット/ベーカリー街の悪夢<TVM>
「ウォレスとグルミット」シリーズの最新作。今回はパン屋を開業したウォレスとグルミットの前に現れた女性が実は・・・というサスペンス要素も盛り込んだ内容で、もちろん笑いもたくさんあって面白かった。相変わらずクレイアニメでここまで出来るというのにも凄さを感じる。しかし、シリーズとしてはここまで来るとややマンネリ傾向があるのも事実か。でも、今回新しく登場した犬のフラフルスがかわいい。ウォレスの日本語版声優が萩本欽一から津川雅彦に変更されていて、最初は「なんで変えたんよー」と思っていたが、実際見てみるとそんなに悪くなかったかな。でも、なにか妙に落ち着いた印象になってしまっていてちょっと違和感が。オリジナルである英語版は見ていないのでひょっとしたら津川雅彦の方がオリジナルに近いのかもしれないが、出来れば萩本欽一のままがよかったなあ。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-12-28 02:31:35)
720.  DEATH NOTE デスノート(2006) 《ネタバレ》 
原作の漫画は未読で少年ジャンプももう10年以上読んでいないのだが、ジャンプに載っている漫画が原作にしてはちょっとブラックでカルト的な感じ。2部作の前編ということもあってか冗長な部分もあるのではないかと思っていたのだが、冒頭から最後まで飽きることなく見れたし漫画原作だからかリアリティのない展開でもさほど気にならない。主演の藤原竜也は未だに七原のイメージが強いせいかこういうアンチヒーロー的な役はピッタリだと思う。松山ケンイチは初めて見るけど、はまり役でなかなかの存在感を放っている。金子修介監督らしさは夜の街中での群衆の描写が「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」でもこんな感じだったなあという気がしてなんだか嬉しい。(思わず怪獣でも空から降ってくるのではと思った。)リュークのCGも思ったほどしょぼくなかったのがいい。しかし、結末は後編に持ち越されるのは分かっているが、この前編でももうちょっとすっきりしたエンディングで終わって欲しかった気もする。月の妹を演じた満島ひかりは金子監督が参加していた「ウルトラマンマックス」でのアンドロイド・エリー役の印象が強いのだが、ここでは普通の女の子を違和感なく演じていてちょっとビックリした。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-21 17:54:22)
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