701. さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅
時代的に「スター・ウォーズ」の影響を受けた?のかどうかは分かりませんが、そんな登場人物に世界観。 その一方で冒頭、廃墟と化した地球でレジスタンスとなって機械と戦う人間。 これは後の「ターミネーター」に影響を与えた?のかどうかは分かりませんが、 999を全く知らない人に、これは「ターミネーター」のアニメ版だ、 ちょっとまだ若いけど鉄郎をジョン・コナーだと教えても信じてもらえそうな世界観。 しかし鉄郎に未来を託し死んでいく、この冒頭の地球の登場人物たちの描写がいい。 特に年老いたレジスタンス。ギリギリの所で999を元の軌道に戻す。 その時の鉄郎の表情と、鉄道マンらしく老レジスタンスに敬礼する車掌の姿、 そして老レジスタンスの鉄郎への最後の表情と言葉が泣かせる。 この冒頭の地球から終盤に至るまで、前作よりもかなりドンパチの要素が強調され、 その分終着駅に辿り着くまで、星から星を旅するという999のロードムービー的な面白味が薄れてしまっているのは残念。 前作よりアクションもこなし、色々と頑張っている車掌さんの存在感が増しているのが何だか微笑ましかったりもします。 しかし前作のラストを飾った躍動感に溢れたゴダイゴのテーマ曲と比較すると本作のラストの”SAYONARA”は淋しげ。 メーテルの姿や、前作からの鉄郎の記憶がセピア色となって蘇るエンドロールもまた、その曲と相まって前作とは全く違った余韻を残します。 [DVD(字幕)] 7点(2015-11-25 22:07:18) |
702. カウボーイ
ジャック・レモンの西部劇。はじめて見た気がする。 ゴツい風貌の男気キャラが集う西部劇にあってレモンのカウボーイ姿はハッキリ言って似合っていません。 でも、レモン演じる男は牛追いになるのが夢だったシカゴのホテルマン。それが憧れのカウボーイに転職!というお話。 そんな新米カウボーイですから似合ってなくて当たり前、きっとこの役はレモンで良かったのでしょう。 グレン・フォード、ブライアン・ドンレヴィら男臭い西部の男達に混じって、彼らとレモンの対比が面白く、 最初は違和感ありありだったレモンが次第にカウボーイらしくなっていく。 最後は元の職場のホテルに凱旋。冒頭のフォードと同じく、バスルームで銃をぶっ放すユーモアのあるラストも良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-25 22:03:19) |
703. 銀河鉄道999
毎週テレビで楽しみにしていた999も、この劇場版も見たのは小学生の時。その後1度くらいはテレビで再見しているかもしれない。 実は記憶がかなりあやふやな状態での今回の再見でした。最後に見てから30年以上は確実に経過しているのですが、 始まった瞬間から、登場人物や地名、星の名前が登場する度に、あやふやだったはずの記憶がつなぎ合わされ鮮明に蘇る。 最初の星タイタンに999が到着する。そこで出会うおばあさんが誰の母なのか?次に登場する山賊の親分の運命は? 子どもの頃の記憶が実に鮮明に蘇り、懐かしさでいっぱいであると共にそこには新たな感動も。 限りある一度きりの命の尊さ。男とは何か。星野鉄郎を通して、松本零士さんが見る者に訴え、問いかけているかのようです。 鉄郎、メーテル、クレア。エメラルダスとトチロー。そしてハーロックにアンタレス。 子どもにとっては勿論なこと、大人になって再見しても十分に堪能できる絡み合うロマンスと友情の物語としても見事です。 壮大な宇宙を舞台にしたSFであると共に西部劇を思わせるようなテイストもたまりません。 テレビでは1つの星で1話(だったと思う)と比べると足早な感はありますが、 限りある命と永遠の命。1つ1つの星での出会いや経験を経て少年はどちらを選ぶのか。 一本の映画としてそれが実にテンポ良く描かれています。 そして美しくミステリアスなメーテル(池田昌子さんの声も含めて)の存在があればこその999でもあると思います。 アニメ史上に燦然と輝く金字塔。迷わず10点満点とさせていただきます。 [DVD(字幕)] 10点(2015-11-21 00:06:59)(良:1票) |
704. 冷たい月を抱く女
《ネタバレ》 前半はとにかく後半のサスペンスへの伏線を張ることに専念し、 医療ミス事件の後はビル・プルマンがそれらの伏線を1つ1つ潰していく謎解きミステリーの一面も。 サスペンスとしての組み立ては上々の出来ではないかと思います。 しかし序盤の連続レイプ事件にストーリーを引っ張らせていく展開は不要だったと思います。 ビル・プルマン演じる夫のある事情を説明する方法はもっと別の手段があったのではないでしょうか。 その中でグウィネス・パルトロウがあっという間にいなくなってしまう。 今のグウィネスにはあり得ないキャスティングに、そんなに前の作品という感じはしないのですが、 これも20年以上前の映画なんだなと時の流れを感じたりもします。 後半は前半とは別人のような目ヂカラを見せる二コールの悪女っぷりと、 ビル・プルマンの執念がぶつかる後半の展開はサスペンスとしてなかなかの面白さ。 二コールとビル・プルマンとアレック・ボールドウィン。 この主要キャストは3人共に演じる役と見事にはまっています。 母親の家で再びその名が出る、もう1人登場する謎の医師リリアンフィールド。 しかしそれらしい登場人物は1人しかいないので、残念ながらその正体はバレバレでしたけどね・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-15 21:39:15) |
705. ピンクのルージュ
艶笑喜劇の国、イタリア映画らしい、基本的に女の強さやしたたかさと それに振り回される男のお話を8話詰め合わせた軽~いコメディ・パックといったところでしょうか。 4人の女優がそれぞれ2話ずつ登場する8話からなるオムニバスです。 エロティックというほどの作品でもなく、あえてそれらしいのはシルヴィア・クリステルの第1話くらいです。 ルイジ・ザンパという監督はなじみが無いのですが、 なぜか脚本には名だたる名監督達の作品の脚本を手がけてきたトニーノ・グエッラの名が。 グエッラさんにとっても息抜き的な作品だったのかもしれません。 4人の女優の中でも、パワフルなコメディエンヌぶりを存分に見せてくれたモニカ・ヴィッティの2話が面白い。 特にロベルト・ベニーニとしゃべくり合戦を繰り広げるお話が一番笑ったかな。 最後のラウラ・アントネッリのお話も面白かったです。軽く笑えて暇つぶしにはちょうどいい映画です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-14 16:36:25) |
706. サハラ 死の砂漠を脱出せよ
現代のアフリカに存在する様々な問題を扱ったシリアスなドラマも、 トレジャーハンター達のアドベンチャーも、アクションもコメディも、全部欲しがって共倒れになったような作品です。 おまけに彼らが敵と交戦する、あるいは敵の拠点に侵入する、敵に捕らえられそこから脱出するといったくだりでは おバカ大作戦系の映画か?と思えるほどのユルユルぶりです。 このように中途半端な内容でしかも2時間越えの作品ですが、テンポは悪くないので退屈することも無い。 硬いことを言わなければソコソコ楽しい映画です。 ただし、サバイバルもののような邦題がついていますが全然そういう映画ではないので、 そこを期待して見るとガッカリになると思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-13 22:09:53)(良:2票) |
707. 紀元1年が、こんなんだったら!?
《ネタバレ》 冒頭、毛皮を身にまとい、狩りをしたり木の実を取ったりしたりして暮らす石器人のような人々。 恐竜は登場しないまでも、「恐竜100万年」や「おかしなおかしな石器人」のようなラインにある作品か? それともジャック・ブラックの映画なのでそれらをちょっとお下劣にしたような感じか?と思って見始めたのですがさにあらず。 禁断の実を食べたJBとその相棒が村を追われて以降、旧約聖書の登場人物や地名などが次々と出てきます。 「ジャック・ブラック、旧約聖書の世界を冒険する」といったところでしょうか。 JBの映画なので聖書が分かってないと難解であるとか、そんな雰囲気は全くありません。 分かっていると、思わぬ奥の深いギャグがあったりするのかもしれませんけどね。 それでもやたら勢いがあるJBと彼の勢いに振り回される相棒、そんないつものJB映画でお馴染みの楽しさも十分にあります。 ただ、旧約聖書という本作の世界観とJBのいつものノリ、相性はあまり良くなかったと思います。 [DVD(字幕)] 4点(2015-11-13 22:03:19) |
708. ダメージ
《ネタバレ》 仕事も家庭も順調そのものに見えるイギリスの国会議員の男。とあるパーティーでのある女とのなんとも形容しがたい出会い。 しかしその女はあろうことか息子の恋人だった。しかし一旦火がついた気持ちを抑えられず禁断の恋に溺れていく。 高級感のあるスーツやコートが似合う。スマートな英国紳士然とした佇まいを見せるジェレミー・アイアンズと、 何を考えているのか分からない。感情を見せず終始無表情で少々のことでは動じない雰囲気を持つジュリエット・ビノシュ。 この本作のドラマにこの2人がピタリとはまっている。 禁断の関係の果てに、地位も家族も、この男が全てを失うまでを見せるストーリーは決して見ていて気分のいい映画ではありません。 しかし破滅に向かっているとしか思えない退廃的で危険な関係に次第に目が離せなくなる恋愛サスペンスドラマ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-09 22:35:07) |
709. はじまりのうた
《ネタバレ》 ジョン・カーニー。この名前を見るのは「ONCE ダブリンの街角で」以来久しぶりですが、 本作も「ONCE~」と同じく、都会の片隅で少し淋しさを抱えた男女が出会う。その2人に共通するのは音楽。 その時々の登場人物の心を表すかのような作中で歌われるその歌詞も、 音楽が人の心を動かし人を結び付けていく様も、飾り気の無い素朴な描写がいい。 冒頭、1人の女性がバーでギター1本で弾き語っている。この歌詞がまたいい。 それに耳を傾ける、1人の音楽プロデューサー。 今は落ちぶれてしまっているが、まだ粗削りなその弾き語りに、彼の脳内であっという間に他の楽器が加わりその曲を肉付けしていく。 弾き語りの歌詞の素晴らしさと共に、この男の音楽を愛する気持ちとその才能が見事に伝わってくる。 ニューヨークの街角でアルバムを録音していく。キーラ・ナイトレイの歌もその表情も素晴らしい。 そのハイライトがビートルズの「レット・イット・ビー」のルーフトップ・コンサートを思わせるビルの屋上での録音風景。 そこに離れて暮らす、マーク・ラファロ演じるプロデューサーの娘のギターが加わる。 キーラの魅力を随所に見ることが出来る作品ですが、 才能はあるけど生き様は少々不器用、人間臭さのあるプロデューサーを演じたマーク・ラファロの好演がこの作品を支えていると思います。 ジョン・カーニーの作品を見るのは「ONCE~」以来2度目ですが、もっともっと映画を撮って欲しいと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2015-11-08 15:21:07)(良:1票) |
710. マジック・イン・ムーンライト
お年をめされても確実に毎年新作を撮り続けてくれるアレン。ファンとしては嬉しい限りです。 前作では久々にアメリカに戻って笑いの要素を抑えたアレン節を見せてくれましたが、本作では再びヨーロッパにとんぼ返り。 南仏を舞台にアレンらしい音楽と美しい作品の色で1920年代から30年代の人間模様、恋愛模様をコミカルにノスタルジックに描いた、 これも彼が得意とするパターンの手堅い1本です。このパターンのアレン映画に漂う雰囲気は相変わらずロマンティックでいいですね。 もう50代も半ばになるコリン・ファースとまだ20代のエマ・ストーンのロマンス。 年の差がそれほど気にならない。コリンはまだまだラブコメがいけますね。 彼が演じるのはガチガチの合理主義者にして理屈っぽいインテリの皮肉屋。こういうキャラが登場するアレン映画はやはり楽しい。 コリンの持ち味がよく出ている、少々堅めにコミカルに演じた霊能力者のインチキを暴こうとするこの男、 阿部寛が「トリック」で演じた上田次郎を思い出してしまいました。 人生、時には幻想も必要。どんな合理主義者にもインテリにも、時にどうにもならないのが人の恋する気持ち。 アレンがもう少し若ければ、自ら演じて作品の中でエマと恋に落ちたかったことでしょう。 エマ・ストーンの魅力も存分に引き出された作品です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-11-07 17:34:59)(良:2票) |
711. コットンクラブ
作品の舞台は1930年頃のニューヨーク、ハーレム。 登場人物にはダッチ・シュルツやラッキー・ルチアーノといった実在のギャング、マフィアの超大物も織り交ぜ ハーレムとコットンクラブを取り巻く裏社会、ミュージシャン、ダンサー、歌手などなど様々な人物が登場します。 様々な人間模様がありましたが、核になるストーリーも作品のまとまりも非常に弱い。 本作は以前にも見ていますが、ストーリーなどはほとんど覚えていませんでした。 しかし作品に流れる雰囲気は確かに印象に残っています。 音楽、歌、タップダンス・・・とハーレムの高級クラブ、コットンクラブの華やかなステージも楽しい。 80年代のコッポラの作品としては「ワン・フロム・ザ・ハート」と同じく、 その当時、破格の製作費がつぎ込まれた作品全体の雰囲気を楽しむ映画なのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-31 19:06:00) |
712. 今宵よ永遠に
《ネタバレ》 1945年製作。戦時下のロンドンのとある劇場が作品の舞台。 幾度と無く空襲警報が鳴り響き、ロンドンの街に火の手が上がる。 時代を反映した戦意高揚映画であり、戦争の暗い影が覆う時代ですが、 リタ・ヘイワース主演でこの時代にカラーで撮られたミュージカル。 作品の背景もありミュージカル映画としては地味な印象もありますが、 テクニカラーにゴージャスなリタ・ヘイワースの魅力が映える。 歌は吹替えのようですが、ダンスの方はさすがリタ・ヘイワース、と思わせる見応えがあります。 ロンドンのとある劇場のダンサー、演出家、裏方さん、みんなが大きな家族のような劇場の人間模様がいい。 それだけに最後の最後で戦争の犠牲者が出てしまうのはやはり悲しい。 ミュージカル特有の躍動感、高揚感に包まれたハッピーエンドとはなりませんでしたが、 エンターテイメントの灯は消さず!という気丈さも感じられるラストでした。 [DVD(字幕)] 6点(2015-10-29 22:00:43) |
713. レイルウェイ 運命の旅路
第2次世界大戦が終わり、時は流れても戦争を経験した人々から戦争の記憶や心の痛みが消え去ることは無い。 経験した人、その人の傍にいた人にしか分からないであろう苦しみを描き出した、実話に基づく人間ドラマ。 特に戦後長い時を経てローマクスと永瀬が再会する終盤は見応え十分です。 それだけに、もう少し長くなってもよかったので ラストで赦し合うに至る2人の再会後のドラマにも時間をとって見せてほしかった思いも残ります。 また、これは仕方が無かったのかもしれませんが、 日本人としては戦後もかの地にとどまらせた永瀬の心の内をもう少し描いてほしかった気もします。 それでも、重い内容でしたがいい映画を見たという思いです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-10-27 23:20:37) |
714. 第2章
《ネタバレ》 ニール・サイモンが原作・脚本の大人のラブコメ。 実生活でも彼のパートナーであったマーシャ・メイスン。そして他の作品でも彼女とW主演を演じたことがあるジェームズ・カーン。 ラブコメと一口にいっても色々。10代から20代の爽やかなラブコメもいいですが、本作はそこから10年、20年と時を経た男女のラブコメ。 ニール・サイモンのこんな年代のドラマにはやはり独特の味わいがあります。 本作のマーシャ・メイスン、ジェームズ・カーン、 あるいは「グッバイガール」のリチャード・ドレイファスのような味を持つ男女が彼の作品にはよく似合います。 ニューヨークの人らしい、NYの地名や通りの名前、”ヤンキース”などの台詞の中へのさりげないNYの登場のさせ方も好きです。 洒落ていて、しかしその中に漂う人間臭さや人間の不器用さ。 40代前後、揺れ動く世代の心の機微を描き出し、ほろ苦くも最後は幸せな気分にさせてくれる。 邦題「第2章」原題”chapter two”の通り、人生まだまだこれから。 人生の第2幕の扉を今まさに開けようとするサイモンらしい男と女のドラマです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-25 13:22:56) |
715. パレードへようこそ
《ネタバレ》 80年代のイギリス。サッチャー政権下、炭鉱ストライキと炭鉱町の人々の人間ドラマ。 「ブラス!」などイギリス映画でよく見られるテーマですが、イギリス映画らしさとその誇りが随所に垣間見える作品です。 本作は実話に基づく、ウェールズの田舎町の炭鉱労働者と、 それを支援しようと立ち上がった同性愛者の活動家達の共闘の物語。 重くなりがちなテーマですが、同性愛者の若者達が作品の中心にいることもあって、いい意味で明るさや躍動感がある。 ビル・ナイ、イメルダ・スタウントンらイギリスの名優達が演じたウェールズの炭鉱町の名も無き庶民達との心の交流の軌跡に心が温まる。 80年代、第2次ブリティッシュ・インベイジョンの時代でイギリスのミュージックシーンにも勢いがあった頃の挿入曲が作品に躍動感をもたらす。 「皆さんがくれたのはお金じゃない。友情だ。」とゲイバーでスピーチする炭鉱の組合の代表者。 まさにこの精神がこの実話を生み出したんだろうなと思う。 炭鉱夫の男達と同性愛者だけでなく、炭鉱町の妻達をはじめとする女性達の心情もうまく挿入されています。 実際に行われたというラストの労働者と同性愛者達のパレード。掲げられた数々の旗が誇らしげで感動的です。 まだまだ同性愛者たちが市民権を得る前の時代のお話ですが、 イギリスで彼らが市民権を得る第一歩になったのが、今度は炭鉱の労働組合の側から差し伸べられた連帯であったという。 人のつながり、確かな心のつながりを感じる実話に基づく人間ドラマでした。 [DVD(字幕)] 8点(2015-10-25 13:11:46)(良:1票) |
716. 帰らざる河
《ネタバレ》 ゴールドラッシュに沸く西部開拓時代の人間ドラマ。 主演がマリリンでなかったら既に忘れられた映画のようになっているのかもしれませんが、 歌声も魅力的なマリリンの姿がいっぱい、それだけでも価値がある作品だと思います。 今ならバッチリCGで処理されるのでしょうが、今に見ると微笑ましさすらあるいかにもという合成の川下りシーンも、 川下りの旅の過酷さを演出するためだけに動員されたかのような先住民の登場も時代を感じさせる味があります。 冒頭の賑わいを見せる盛り場。どこを見ても男、男、男・・・。 そこにギターを持って現れ、歌い始めるマリリン。見事な冒頭の掴みです。 旅の途中から、既に少年にとって母のようなマリリンの姿もいい。これまでの彼女の映画にはなかったマリリンの姿です。 旅の途中もずっと一緒のギターもまた本作には欠かせないピースの1つ。 ”river of no return”のメロディ、マリリンの歌声、歌う表情、その全てが魅力的です。 そんな彼女が歌う酒場に現れるミッチャム。彼女を抱きかかえ、強引にさらっていく。 「家に帰ろう」という彼の言葉を受け入れたかのように、脱いだハイヒールをそっと捨てて馬車に揺られ行くラストシーンが印象的。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-10-20 22:15:29) |
717. 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花<特別篇>
《ネタバレ》 渥美清さんがこの世を去った翌年の作品。勿論本作の存在は知っていたのですが、ずっとスルーしてきた作品です。 満男の回想で始まる本作。当然一緒のシーンはありませんけど、1つの作品の中で2人の満男が共演を果たす貴重な作品?でもあるのですが、 何点をつけて何と評価すればいいのか難しい作品です。 冒頭で満男が「おじさんは色んな女の人をとらやに連れてきたけど、思い出すのはリリーさんです」という。 それには多くの寅さんファンが異議なし!と手を上げると思います。 そして序盤にはリリーが初めて登場した「忘れな草」、2度目の登場作にしてシリーズ屈指の名作「相合傘」のワンシーンも挿入されます。 寅さんとリリーと言われれば絶対「相合傘」だと思うのですが、本作で扱われるのはリリー3度目の登場となった「ハイビスカスの花」です。 本作の満男君、寅さんがいなくなってしまったせいか少々寂しげ。 満男、なに寂しそうにしてるんだよ。泉ちゃんはどうしたんだよ! 泉ちゃんと幸せになってる姿見せて、「おじさん、僕はこの通り元気で幸せにやっています。」 なんて寅さんを安心させてあげたかったなあ・・・。という思いもあったりします。 例えば、ラストで満男はとらやに帰ってきますが、マイホームに帰ってきて、泉ちゃんが「おかえりなさい!」と出迎えるとかね。 さて、僕の寅さん歴も長くなりましたが↓の3737さんの「雑記」を見て、全く同じ謎をお持ちなんだなと思いましたよ。 そう、備後屋です。一体何の店をしてるんだろうって。僕もずっと謎に思っていました。 備後屋はよく白い作業着を来て配達の帰り?らしき自転車に乗って登場してましたので、とらやとご同業の和菓子屋さんかと推測しますが・・・。 まだ他にもいる。蓬莱屋に麒麟堂に、色々出てきました。 麒麟堂は44作「寅次郎の告白」で麒麟堂のせがれが結婚したというエピソードが登場しました。 その時点で今も柴又で商いをされていることが分かりましたが、結局皆さん何の商売をされているのか全く謎のままでした・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2015-10-17 16:29:44)(良:2票) |
718. マイ・インターン
ナンシー・マイヤーズらしい良質のハートウォーミング・コメディ。笑いドコロも十分です。 この人の映画にはよく子どもたちが登場します。 本作のアン・ハサウェイ演じる主人公は1人でアパレルのネット通販の会社を興し、 あっという間に大きな会社に成長させた仕事に家庭に頑張る女性。 やはり本作でも家族や子どもとのドラマを実にうまく挿入しています。 本作のアン・ハサウェイ、「プラダを着た悪魔」を思い出します。 家庭を持ち、独立して会社を興した「プラダを着た悪魔」の女の子の数年後といった感じもしますね。 アン・ハサウェイはこういう恋に、家庭に、仕事に頑張る女性の役がよく似合います。 本作は勿論彼女が主人公なのですが、デ・ニーロが演じる、余裕と品とあたたかみを感じさせる溌剌とした70歳が実にいい。 僕は40代のおじさんですが、デ・ニーロ演じるベンには同じ会社勤めの男として見習いたいところが沢山ありました。 最近ちょっと疲れ気味ですが、人生まだまだこれからだよな。 ベンのような70歳になれるよう頑張らなきゃなって元気をもらいましたよ。 ナンシー・マイヤーズの映画では「ホリデイ」でも見られますが、 本作でもさりげなく少しだけ挿入される映画ネタにニッコリさせられます。 鑑賞後は気分良く映画館を後に出来る佳作です。 [映画館(字幕)] 8点(2015-10-15 21:30:12)(良:2票) |
719. ヒプノティスト-催眠-
叙情派の名匠ハルストレムが故郷スウェーデンに戻って撮ったのは、 これまでの彼の監督作とは全く一線を画すサイコ・スリラー。 冒頭の一家惨殺事件の描写からこれは本当にハルストレムの映画なのか?と思わされる。 その事件から生き延びた子ども、催眠療法を専門とする医師と事件を捜査する刑事。 それぞれの家族のドラマと、2人が事件の真相を追うミステリ・サスペンス。 面白くなりそうな雰囲気もあったのですが、うまく整理しきれておらず後半は非常に長く感じました。 作品を覆う陰鬱な空気、世界観に気が滅入りそうになる。ハルストレムの作品としては異色作ですが、 これまでにも彼が描いてきた家族は問題を抱えながらもそれを乗り越え、ラストにたどり着いてきました。 そういう意味では本作もやはり、彼らしい作品の締めくくり方でした。 その一歩手前の凍りついた湖、沈み行くバス、そして家族。この氷上のサスペンスはなかなかの迫力です。 時折挿入される北欧の雪景色が美しく、ハルストレムならではの美しい風景描写は健在です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-13 18:10:47) |
720. トレインスポッティング
公開当時は”オシャレ””スタイリッシュ”系映画としてもてはやされていた記憶があります。 音楽との一体感、スピード感のある作風などダニー・ボイルらしさを随所に感じる作品です。 ナレーションが作品の軸になっているところがあって、それが作品のテンポもよくしていて、その際の映像も面白い。 「これがクスリだ」ということなのかもしれませんが、こんなにスコットランドを薄汚く感じる映画も珍しいのでは。 それも含めて、取り敢えず食事をしながらの鑑賞はおススメしません。 出世。家族。大型テレビ。クルマ。健康。マイホーム・・・。 冒頭とラストで羅列される、主人公の男が言うところの一般的な人々の心のよりどころ。 そしてクスリ。それが本作に登場する連中の心のよりどころだったということか。 尺も短く退屈せず見られるのは事実だけど、(コメディならそれで十分なんですが) 結末も釈然としないし、鑑賞後は特に心に残るものはありませんでした。 独特の風貌のユエン・ブレムナーですが、本作ではその風貌が絶妙にはまっていました。 [映画館(字幕)] 4点(2015-10-06 21:16:08) |