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 > アラジン2014 さん
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プロフィール
コメント数 731
性別 男性
自己紹介 ソフト化されたタイミングでのレビューが中心です。2008年、子供の頃から夢だった自宅シアタールームがついに実現しました。(100~110インチ程度、音響2.1ch)できるだけネタバレせずに書いていますので文章がおかしい場合もあると思いますが、暖かい目で見守ってやってください。(2014初登録)

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721.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
ノルマンディ上陸前、一方は神に命乞いし、もう一方はスナイパーとして成果を出したい祈るシーンは印象的です。このシーンだけでもうただの戦争映画ではないという雰囲気がひしひしと伝わってきます。冒頭30分の激戦シーンばかりが話題になりますが、丁寧なオープニングとエンディングを織り込むことで、メッセージ性が高くなっていて、間に挟まれたオマハビーチ以降の探索パートがロードムービーとしても非常に高い完成度に達しています。 大まかなストーリーとしては単にライアン二等兵を捜しにいくだけというシンプルなものですが、本意はそこになく、政府の考える世間体を重視したプロパガンダに逆らうことができない末端の戦士たちの苦悩と葛藤がメインに描かれます。また、オープニングとエンディングからも判るように、無意味だと思われた政府のプロパガンダも一定の効果を上げていることがなんとも悩ましい流れとなっています。  ミラー大尉(トム・ハンクス)を筆頭に、登場人物が魅力的で早い段階から感情移入させられますが、その彼らが次々と戦死していきますので、なぜ(プロパガンダとはいえ)そこまでして二等兵を探しに行かなくてはならないのか?と虚しさが募ります。 この「なぜ?」が焦点になりますが、割と早めに見つかるライアン二等兵(マット・デイモン)がまた非常に良くできた人物で、誰もがライアンを否定(責める)することができない空気感がもどかしくも素晴らしいです。ライアンの人柄のせいか、観客含め画面内の誰もがアパム伍長(ジェレミー・デイビス)にイライラし始める後半、敵を迎え撃つラストに向かって感動のドラマへシフトさせる展開はあざとくも上手く機能しており、そして劇的な結末へ。オープニングとエンディングのおじいさんが誰であったのかの種明かしと同時に、彼の人生の意味が語られるラストは思ったよりも奥深いです。  戦争という過酷な現実の中で無意味だと判っていても一生懸命生きた人たちの気持ちが少しだけ判るような映画です。見せ方やカメラワークも超一級品で、明らかに他の戦争映画とは一線を画する名作です。シンドラーのリストと共に後世に残すべき名作。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-11 17:12:31)
722.  バリー・リンドン 《ネタバレ》 
バリーという男はどうしようもないクズ男ですが、人懐っこい性格からかトントン拍子に人生が進みます。ジョークだろ?と思える従姉妹との濡れ場、森の強盗団とのやり取り、ホモの逢引、行きずりの人妻etc、下手な演技と軽い雰囲気のナレーションも相まってコメディとも思える無駄な展開が続きますが、実はロウソクの光でいかに美しく映像を記録するか新開発のカメラで試行錯誤したり、時代考証や衣装を徹底したりとリアリティのほうもかなり追求された真面目な映画だったりもします。  コメディタッチ&無駄な展開も多いですが、随所でターニングポイントとなる出会いもしっかり描かれています。グローガン大尉との再会、ポツドルフ大尉との意図しない出会い、シュバリエとの突然の絆、そしてレディリンドンとの出会い、人生は人との出会いが大切だと痛感します。 決闘に始まり決闘で終わるバッドな脚本も素晴らしく、やはり人生は忖度ではなく心の声に従ったほうが悔いが無いという教訓なのでしょうか。せっかくの出会いをぞんざいに扱う場合と丁寧に扱う場合など様々ですが、人生とはこうもドラマチックで残酷なものなのかと痛感させられる展開は見ていて飽きません。  全編にわたって取り留めないエピソードの寄せ集めですが不思議とそれらが上手く融合していて、正しく計算されつくしたキューブリックの芸術映画の最高峰と感じます。他のキューブリック作品は苦手ですが唯一この映画だけは古典として絶対に外せない至高の作品だと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-11 16:42:52)
723.  コンスタンティン
ジャンル的に興味なしと判断し、長らく鑑賞することがありませんでしたがついに鑑賞。「なんだこの面白さは!」鑑賞しなかったことを後悔する完成度の高さでした。全体的に厨ニ病全開でメルヘンチックな内容ではありますが、ウマいこと現実世界(人間世界)との整合性を持たせてある天国と地獄の設定が素晴らしいです。キリスト教に詳しくなくても判りやすいよう説明が入るので、この世界観に興味がない素人でも違和感を感じることなく、この物語世界に熱中できるようになっています。むしろ現実世界との整合性など「ウマイ!」と感じる部分が多かったです。  虫をつなぎ合わせた怪人、黒猫を連れて洗面器の水に浸かって地獄へ行ってくる描写も素晴らしすぎますが、ハーフブリードたちが至るとこに居て、いつでも人間を陥れようとしている描写も素晴らしいです。個人的にはピーター・ストーメア(悪魔)とティルダ・スウィントン(天使)の掛け合いが素晴らしいかったのでもう少し長く見たかったのですが、そうなると主人公(コンスタンティン=キアヌ・リーブス)が置いてけぼりになるので映画が変わってしまいますね。  複数回の鑑賞に耐える丁寧な脚本と素晴らしい映像美ですので、悪魔とか天使に違和感を感じない人には超お勧めの映画です。(シャイア・ラブーフ、ジャイモン・フンスー、プルート・テイラー・ヴィンスら、有名人も多数出演しております)
[インターネット(字幕)] 9点(2014-04-11 16:30:56)
724.  アンドリューNDR114
全く意識せずにTV放送を見始めましたが木彫り馬のシーン以降は釘付けになってしまいました。200年という時をロボット目線で駆け足で見せた訳ですが、後半はまるで早回しのようになってしまいます。ラストにあの結末を持ってくる為には仕方が無かったのだろうと思いますが、終盤はもう少し丁寧に描いて欲しかったです。仮に脚本が違っていたのならば、思い切ってリトルミスとの一生だけを描いてくれたらそれはそれで良かったようにも思います。もちろんロビン・ウィリアムスの出番はなくなってしまいますけど。 個人的にはもっと売れて欲しい映画ですが、しかし無名具合(B級感)も含めてこの映画の良さのような気もします。泣き映画が好きな方にも結構お勧めな作品です。  2018/8再見 久しぶりに見ましたが全く色褪せません。いろんな部分がチープですがやはり人間の本質に訴えかけるドラマはいつ見ても感動できます。ロボットが主人公であるからこそ、人間特有の感情の素晴らしさが際立っています。悪人が出てこない点も映画から幸せな雰囲気が伝わってきてよいです。
[地上波(吹替)] 7点(2014-04-10 16:56:18)
725.  ぼくのエリ 200歳の少女 《ネタバレ》 
暗闇で静かに雪が吹雪くオープニングシーンから素晴らしかったです。派手な音楽を排除し雪に閉ざされた北欧の寒くて暗い雰囲気は、失敗するとやたらと暗い映画になりがちですがこの映画はそうなっていません。配役、演出、カメラワーク、80年代風な共産的色の少なさ等、とにかく全てが素晴らしい映画でした。プールのシーンは本当に素敵で、描き過ぎない美学というものを感じました。でもオスカーが頭を押さえられて沈められている前を何かが横切るシーンは物理的に?ですね、、まあそこ突っ込むのは野暮というものでしょうか。  エリにとっては打算もあろうかと思いますがラストの電車のシーンでは色んな想いがよぎります。大人の男女であっても色々あるのに、この子達ったら・・(泣) ただ、映画では12歳で頭脳も成長も止まっているのか、頭脳はずっと成長を続けているのかの説明がありませんでしたので、場合によっては200歳の年増でやり手ババアな可能性もありますが・・ エリやオスカーの気の毒具合が理解できてこその映画だと思いますので、彼らの立場に立つことができなかった人にはあまり感動がない映画かもしれません。ハリウッド版リメイクの「モールス」しか見ていない方は是非オリジナルであるこちらも見てほしいです。  2020/11追記 原作小説を読みました。非常に良かった。あまりに面白くて3日で上下巻とも読破しました。原作小説の出来栄えが非常に良いので先に小説を読んでしまうと映画が面白くなかった可能性が高いです。もちろん映画のほうも2時間弱という短い時間で原作小説の大切な部分を上手にかいつまんでありますが、悪くいってしまうとあまりにもダイジェスト的でした。絶対に映画を見てから原作小説で情報補完するのが正解だと思われます。 小説ではエリの過去・ホーカンの気持ち・中年カップルたちの状況・オスカー(オスカル)を取り巻く詳細な事情・唯一オスカーの友人トンミのことなどが詳細に描かれています。およそ映画と小説は同じ結末を迎えますが、映画にはトンミは出てきませんし、ホーカンの結末もかなり違います。ラストの締めくくり方としては小説のほうがキレイでしたが、よくぞここまで小説の世界観を壊さずに上手に映画化したものだと感心します。  映画を見た段階ではエリはしたたかな200歳のババアかもしれないと思っていましたが、小説を読むと違っていました。エリ(エライアス)は身体も心も頭脳も全てが12歳のままで止まっている可哀そうな子なのです。そういう前提で考えるとオスカルとのラストはとても美しいです。(ただし極めて破滅的ではありますが)映画も本もどちらも本当に素晴らしい作品でした!  【追伸】 他の方もおっしゃっていますが、日本版のボカシとタイトルのせいで映画の基本かつ根底部が捻じ曲げられています。監督のトーマス・アルフレッドソンは日本の配給会社や映倫を訴えてもいいレベルです。今からでも撤廃すべき由々しき問題、心底残念でならない。(いや、大真面目に)
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 16:46:01)
726.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
興味なしと判断しロードショーは無視、レンタル開始時に前知識なしで鑑賞して大当たりだった映画です。題名も妙だったし、噂ではスピルバーグがたまたま暇だったから監督したんだとかなんとか、そんな風にいわれていた映画でした。 しかし鑑賞し始めて数分、冒頭のフランクの父(クリストファー・ウォーケン)の演技で一気に引き込まれます。彼の雰囲気を一番に持ってきたのは正解だと思います。反面、フランク・W・アバグネイル・Jr(レオナルド・ディカプリオ)は16歳には見えず、ちょっと辛いかなと思ったものの、パンナムのパイロットの制服を着てからは俄然面白くなります。  本作は70年代の話なのですが、スピルバーグ監督は70年代の雰囲気を今風かつオシャレに表現していて、画面のどの部分を切り取っても美しい。ハンサムガイのディカプリオ氏の七変化も見どころの一つで、パイロットはもちろん、医者のシーン、ジェームズボンドのシーン、裁判のシーンなど、どこを見渡しても見栄えが良く素晴らしいです。カール・ハンラティ捜査官(トム・ハンクス)との電話のやり取りではフランクの心のすき間まで垣間見え、終盤のブレンダの両親(マーティン・シーンら)との描写などのドラマパートもしっかり抜け目なく作り込まれています。味わい深いドラマ作品に仕上がっていて、さすがスピルバーグといった仕上がりです。  ラストのスチュワーデスの一件は少々鼻に付きますが、70年代の雰囲気をとても良く表していてアッパレなラストでした。某番組で「実話の再現ドラマ」としてTVでもやっていましたが、やはりスピルバーグ×ディカプリオ×ハンクスが作った映画版のほうが圧倒的に完成度が高く楽しめます。予想外にTOP10に入るほど大好きな映画になってしまいました!
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-10 16:28:47)
727.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
あるがままを淡々と描いてくれたストーリーには好感が持てました。内容的にはかなり重たいテーマやメッセージが多く、ライトな部分をフォレスト(トム・ハンクス)が担当し、ヘビーな部分をジェニー(ロビン・ライト)が担当する形で明暗をつけていますが、フォレストも決して良いことばかりではなく、やはり人生とは「物事の捉え方や取り組み方で結果が変わるのである」ということを最後には教えてくれます。 フォレストの人生がちょっと都合良過ぎな感じはありますが、そこんところはフィクションということで華麗にスルーしたいです。淡々と描いた歴史の中で「こうなったらイイよね」という部分、アメリカ的理想像をフォレストが体現してくれています。世界的事実・大事件などと絶妙に整合性を持たせ、なんとなくフォレストが関係していく点も見ていて笑えます。ウォーターゲート事件、アップルコンピューターの株、ファッキンベトナムの演説を省く部分など超ハイセンスで最高でした。ただし、批判意見の中には監督の都合の良い部分だけ映画に納めてあって事実と異なるというレビューも多く見られます。確かにそうですが、この映画はファンタジーであり、またギャグ映画でもあるのです。悪名高き白人至上主義団体の創立者から名前を貰ったフォレストが今度は純粋無垢にアメリカの為に尽くしたギャグ映画なのです。  この時代(1995年前後)あたりから飛躍的にCG技術が進歩し、あり得ない映像をリアルに表現できるようにもなったと思います。足を切断したダン中尉(ゲイリー・シニーズ)の特撮には心底驚かされたし、前述の通り、フォレストが歴代大統領らと握手するシーンなども素晴らしすぎました。 この作品で語られる台詞「Life was like a box of chocolates. You never know what you're gonna get.(人生とはチョコレートの箱のようなもの。開けてみるまでどんな種類かは判らない)」は『アメリカ映画の名台詞ベスト100』にも選ばれています。良い意味で前向きに物事を考えて生きるべきだと教えられます。142分なのに長さを感じさせない点も素晴らしく、いつ観ても何度観ても飽きることがない本物の名作だと思います。観てない人なんて居ないでしょうが、万一観てない方は大至急観るべき名作です。
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-10 16:17:35)
728.  コンタクト 《ネタバレ》 
若干地味な映画ですが名作映画と呼べる骨太なSF作品に仕上がっていると思います。考えたら1995年前後って映画の当たり年だったような気がしますね。  SF映画が好きな人にとっては最初の瞳のシーンは必見です。そして何といってもカール・セーガン原作、ロバート・ゼメキス監督ときたらトキメキ度MAXでしょう!リアル路線で無理の無いストーリー展開は素晴らしいのですが、前半はかなり地味なので若干間延び感があります。音が届いてから一気に話が進み、設計図が解読された以降はハードSFになります。賛否あるようですが個人的には宇宙旅行の方法は感動的ですらありました。 オチの付け方も無理がなくて好感が持てます。側で見ていた人には一瞬で落下しただけに見えるなんてSFとしては最高にロマンがあるし、旅行者の最も身近な人を通して会話を行うのもある意味自然なことだと思いました。一流の科学者に対して神を信じないと代表になれないという評議会(人類の代表)の決定や、エリー(ジョディ・フォスター)とパーマー(マシュー・マコノヒー)が語り合う、愛するということの証明など、文学的にも素晴らしく色々と考えさせられる映画だったと思います。ちなみに、ラストの評議会で議論される「実は18時間の無音の録画時間があった」というくだりは蛇足でした。アレには心底ガッカリでしたね。  宇宙人はチョット意地悪ですね、やはり何か証拠を持たせてくれないと旅行者が変人扱いされるだけです。まあ知的レベルの高い宇宙人には疑うなどという低俗な倫理観など持ち合わせてないのかもしれません。世の中の評価は微妙な感じですが、純粋に名作SFとして強くお勧めできる映画です!
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-08 17:10:59)
729.  インセプション
新しい作品ですが一気にトップテン入りしてしまった映画です。冷静に筋を追えばかなり穴が多いストーリーですが、それら数々の矛盾点を無視したくなるほどスタイリッシュでクールな映画でした。個人的な印象としてはマトリックス以来の衝撃といっても過言ではありません。  脚本に矛盾点はあるものの映像表現や理論部分はよく練られていて、想像力を掻き立てるストーリー展開は見事としかいいようがありません。読書が好きな人(=妄想するタイプの人)には高得点だと思いますが、いわゆる直感的なタイプの人にはいちいち説明的でテンポの悪い展開は耐え難いかもしれません。しかしながらノーラン監督のオリジナル脚本×ダイナミックなハンス・ジマーの音楽×情緒たっぷりの美しい映像を見せられると、ついつい引き込まれてしまいます。この映画にはマイナス点を余裕ではねのけるほどの大きな魅力が存分に備わっています。  夢の階層が深くなるにつれ時間が20倍の速度で過ぎてゆき、夢の三階層くらいまで降りると数日で50年くらい暮らしていたことになるなんて心底素晴らしい発想です。惜しいのはホテルの階層まではコダワリまくっていたクールな演出が雪の階層で一気に普通のアクション映画になってしまった点です。ノーラン監督が007大好き過ぎるのか、ネタ切れで息切れしてしまったのか、良いところで失速してしまった印象があります。雪の階層がほぼクライマックスだっただけに本当に惜しかったです。  この映画の最も印象的なシーンの一つとして、年寄や病気の人が大量に夢の世界に繋がっている地下のシーンは素晴らしかったです。本来ならメインストーリーには不要なシーケンスですが、監督はどうしてもこのシーンを入れたかったのでしょう。身体の不自由な彼らは毎日寝に来ているだけですが、その本人たちは夢の中こそが不自由のない理想の世界であるという。これは現在のネット時代、オンラインゲームへの比喩とも考えられる非常に素晴らしいメッセージだったと思います。  不思議なことに何度も見たくなる映画で、私は二回連続で鑑賞しました。この映画は高評価と低評価が混在していますが、あまり深く考えすぎないことがポイントです。辻褄が合わない部分は華麗にスルー、何となく判ったような気になってファンを気取るのがノーラン作品の正しい鑑賞法です。とにかく、、近年まれにみるインナーSFの傑作でしょう!
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-08 14:09:02)
730.  ヒート
古さを感じさせない完成度の高い映画です。今となってはこの手のクライム系作品の手本といわれるほど評価されています。ロードショー当時はパチーノ&デニーロの夢の初競演と話題になりましたが、いつまでたっても同じ画面に映らず「本当は別撮りなんじゃないか?」とまでいわれた映画でした。(結局レストランのシーンだけだとガッカリしましたが、今思えばこれで正解だった) 個人的にはパチーノとデニーロの役柄が反対なんじゃないか?と、思っていましたがこれも私が間違っていました。特に抑えたデニーロと弾けたパチーノの対比がメリハリを生む演出になっていて、物語に緩急がつく形になっています。(パチーノ役は演技力の無い人がやると退屈するか鬱陶しい奴になりそう)  171分と長い映画ですが、主要人物の私生活まで丁寧に描かれているので飽きさせません。反面、サイドストーリーが多く話が散漫になりがちですが、クリス(ヴァル・キルマー)と妻のシャリーン(アシュレイ・ジャッド)のエピソードにニール(ロバート・デ・ニーロ)が絡む流れはなかなか面白いです。ヴァン・ザント(ウィリアム・フィクトナー)の一件、黒人シェフ、ドナルド(デニス・ヘイスバート)の一件なども非常に印象深く、全体的にサイドストーリーも魅力的で捨てがたいです。 ローレン(ナタリー・ポートマン)の自殺未遂の件は正直いらなかったかなと思いますが、自分に懐いていた義理の娘の一大事を差し置いてヘリで駆けつけるヴィンセント・ハナ警部補(アル・パチーノ)の非情な一面を見せるには必要だったのかもしれません。とにかく、これら大量のサイドストーリーのおかげで白昼13分にもおよぶ大銃撃戦からラストまでのギリギリの攻防は感情移入がハンパない仕上りになっています。  全ての登場人物がつまらない意地と大きなプライドを持っていて、結末はある程度予見できますが、破滅に向かうロマンというものがあると感じさせる渋いラストです。男なら胸が熱くなる映画でしょう。素晴らしい作品でした。(※余談ですが、後に実生活で逮捕されたウェイングロー役のケヴィン・ゲイジは獄中でもウェイングローと呼ばれていたそうです。。劇中6分しか出演していないのに凄い印象を残していますね)
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-08 13:48:00)
731.  カリートの道 《ネタバレ》 
記念すべき初レビューはこの映画と決めていました。(ヒートと迷いましたが) 今までどれほどこちらのレビューを参考にしてきたことか、やっと仲間入りができて光栄です。 さて本作のレビューですが、あらすじに目立った起伏は無いものの、まるで映画のお手本のような作品に仕上がっています。物語としては非常にシンプルですが、カリート(アル・パチーノ)やその取り巻き達の過去まで感じられる台詞の数々はなかなかです。従弟役のジョン・オーティスも”イタイ”若造を好演しており、ビリヤード台のシーンは序盤の見どころの一つになっています。  カリートの独白やゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)との語らいが多く、彼らの人生観が掘り下げられていて感情移入しやすい作りになっています。ベネロープとの相性が良いのかアル・パチーノのキャリアの中でもかなり自然な演技が引き出せています。クルクル頭のショーン・ペン(クラインフェルド役)も奇跡の演技で、ラストのアディオス(弾無しで撃たれるシーン)は最高でした。そして怒涛の勢いを維持したままグランドセントラル駅の長回しへ。今までのツケを全て支払ってラストのYou are So Beautiful(ジョー・コッカー版)が流れてくると感動の嵐です。(いや、結末はわかっちゃいるんですが・・) また、本作ではデ・パルマ監督特有の演出やカメラワークがビシバシ決まっていて、パチーノのスカした演技と監督特有の癖がとても良くマッチしています。ビリヤードのシーン、女の部屋の扉をぶち破るシーン、ディスコの階段を上るシーン、四人のマフィアをテーブルで囲ったシーン、エスカレーターでの銃撃シーン等々、デ・パルマお得意の長回し&グルグルカメラのベタ演出がこんなにも決まっている映画も珍しいと思います。  カリートのセリフで「カサブランカ」が出るところもニンマリさせられますが、特筆すべきはオープニングとエンディングで語られるカリートの独白の上手さです。あの独白で一気に物語に引き込まれるオープニングは映像も含めて本当に素晴らしいです。またエンディング曲(ユーアーソービューティフル)も素晴らしいですが、劇中で使われている全ての70年代ディスコミュージックもクールすぎて、本当にもう何から何まで抜かりがない作品に仕上がっています。コテコテな作品ではありますが、私にとっては生涯トップ5の映画の一つに挙げられる名作です!
[ビデオ(字幕)] 10点(2014-04-03 18:47:27)(良:1票)
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